ホームページ制作の継続案件にする|単発で終わらせない


この記事のポイント
- ✓ホームページ制作を継続案件に変えるための実務をまとめました
- ✓準委任と請負の使い分け
- ✓単発で終わらせないための手順を解説します
ホームページ制作を継続案件にできるかどうかは、営業力よりも設計の問題です。結論から言うと、継続が生まれるのは公開後に相手が困る場面を先に把握し、そこを引き受ける形を用意しているときだけです。作って納めるところまでで完結する組み立てになっていると、どれだけ品質が高くても関係はそこで終わります。この記事では、単発の制作を継続的な取引に変えるための手順と、契約や範囲設定の判断基準を整理します。
単発で終わる案件と続く案件の分かれ目
制作の仕事は、構造的に単発になりやすい性質を持っています。サイトは一度作れば数年は使われ、次の作り直しまで間が空きます。この間隔をそのまま受け入れると、案件は数年に一度しか発生しません。継続案件を持っている人は、この間隔の中に別の役割を差し込んでいます。
分かれ目になるのは、公開が終わりなのか始まりなのかという位置づけです。公開を終わりとして設計すると、納品物の一覧に「サイト一式」とだけ書かれ、そこで作業が閉じます。始まりとして設計すると、公開後にやることの一覧が納品物に含まれ、その一覧が次の作業の起点になります。同じ制作でも、渡す資料の中に「公開後にやるとよいこと」が入っているかどうかで、その後の展開が変わります。
もう1つの分かれ目は、相手の運用能力を測っているかどうかです。更新を自社でできる会社と、できない会社では、必要になる支援がまったく違います。制作中にこれを見極めていない人は、公開後に相手が何に困るのかを予測できません。予測できなければ提案も出せず、相手が別の業者に相談して初めて、そんな需要があったのかと気づくことになります。
継続の形は4つに分かれる
継続案件と一口に言っても、内容は大きく4種類あります。どれを狙うかで、提案の出し方も契約の形も変わります。
保守
サーバーやCMSの管理、バックアップ、更新プログラムの適用、障害時の対応を引き受ける形です。作業量は少なく、相手にとっては保険の性質を持ちます。何も起きなければ作業がほとんど発生しない月もあるため、価格の根拠を説明できないと「使っていないので解約したい」と言われます。何も起きていない状態を維持するために何をしているのかを、月次の報告で示す必要があります。
運用代行
更新作業そのものを引き受ける形です。お知らせの投稿、ページの追加、画像の差し替え、原稿の調整などが含まれます。担当者が兼任で時間を取れない会社では、この形が最も刺さります。作業内容が目に見えるため価値を説明しやすい反面、依頼が青天井になりやすく、範囲の線引きが甘いと消耗します。
追加開発と改修
公開後に発生する機能追加やページ追加を、その都度受ける形です。案件ごとの見積もりになるため月額ではありませんが、相談先として固定されていれば実質的に継続取引になります。この形を狙う場合、公開時点で「次にやるとよいこと」の一覧を渡しておくと、相手の社内で予算化されやすくなります。
相談役
制作作業そのものではなく、判断を求められる立場に入る形です。他社に依頼した制作物の確認、ツール選定の助言、社内の担当者への説明といった仕事が含まれます。作業量に対して価値が高く、関係も切れにくい形ですが、実績と信頼が積み上がってからでないと成立しません。
多くの場合、保守から入り、運用代行に広がり、やがて相談役の位置に移っていきます。最初から相談役を狙っても通らないため、順序を意識して積み上げます。
公開後に必ず発生する仕事を一覧にする
継続の提案を作るには、公開後に何が起きるかを具体的に把握している必要があります。想像で書いた提案は抽象的になり、相手に必要性が伝わりません。実際のサイト運用で発生する作業は、おおむね次のように整理できます。
技術的な維持に関わる作業。 CMSやプラグインの更新、サーバーの契約更新、SSL証明書の更新、バックアップの取得と復旧手順の確認、PHPなど実行環境のバージョン更新への追随。これらは放置しても数か月は何も起きませんが、ある日突然、サイトが表示されなくなる形で顕在化します。更新を怠ったCMSは攻撃の対象になりやすく、改ざんされた場合の復旧には制作よりも時間がかかります。
内容の維持に関わる作業。 お知らせや実績の追加、料金や営業時間の変更反映、担当者や役員の変更、採用情報の入れ替え、古くなった記述の修正。これらは相手が自分でできる想定になっていることが多いものの、実際には手が回らず放置されます。放置された情報は、閲覧者にとって最も分かりやすい不信の材料になります。
改善に関わる作業。 表示速度の点検、リンク切れの確認、フォームの動作確認、スマートフォンでの表示崩れの修正、検索からの流入状況の確認。定期的に見ないと悪化に気づけない種類の作業です。
事故対応。 表示障害、フォームからのメールが届かない、迷惑メール扱いになる、スパム投稿の流入、改ざん。頻度は低いものの、起きたときに対応できる相手がいるかどうかで被害の大きさが変わります。
この4種類を一覧にして相手に見せると、公開後にやることが想像以上に多いと理解されます。提案の説得力は、この一覧の具体性から生まれます。
相手の運用体制を見極める
どの形の継続が刺さるかは、相手の体制によって決まります。制作中に3つのことを確認しておくと、提案の方向が定まります。
1つ目は、更新を誰がやる予定なのかです。専任の担当者がいるのか、他業務と兼任なのか、そもそも決まっていないのか。決まっていない場合、公開後に必ず滞ります。この状態が見えたら、運用代行の提案が現実的な選択肢になります。
2つ目は、社内でWebに詳しい人がいるかどうかです。詳しい人がいる会社では、技術的な保守だけを求められ、内容の更新は自社で回ります。詳しい人がいない会社では、判断そのものを外部に求めるため、相談役としての需要が生まれます。
3つ目は、予算がどう組まれているかです。年度単位で予算を組む会社では、期の途中に新しい支出を追加するのが難しく、次年度の予算に組み込んでもらう働きかけが必要になります。予算編成の時期を聞いておくと、提案を出すタイミングを外しません。
この3点は、雑談の中で自然に確認できます。詮索ではなく、公開後の運用設計に必要な確認として聞けば、相手も答えやすくなります。
提案を出すタイミングは制作中
継続の提案を納品後に出すと、追加の営業として受け取られます。制作の中盤、遅くとも検収の前に出すと、公開後の運用計画として扱われます。この差は大きく、通過率がはっきり変わります。
提案書に書くべき内容は3点です。公開後に想定される作業、その作業を誰がやるのか、対応できない場合に何が起きるのか。3点目が抜けている提案書は、あってもなくてもよい追加サービスに見えます。更新プログラムを当てないまま放置した場合に何が起きるのか、バックアップがない状態で障害が起きたら復旧にどれだけかかるのか。この説明があると、保守は保険として理解されます。
提示の仕方としては、複数の段階を用意します。最小限の管理だけを行う形、更新作業まで含む形、企画や改善の相談まで含む形の3段階です。1つだけ提示すると受けるか断るかの二択になりますが、3段階あると「どれにするか」の検討に移ります。この違いは通過率に直結します。
断られた場合も、提案書は相手の手元に残ります。担当者が交代したとき、あるいは実際に困った場面が発生したときに、その資料が思い出されます。提案の目的は即決を取ることだけではありません。
契約の形をどう選ぶか
継続の取引では、契約の形が実務に直結します。制作の請負契約とは考え方が違う部分があるため、整理しておきます。
請負は、成果物の完成に対して責任を負う形です。ページを作る、機能を追加するといった、完成の定義がはっきりしている作業に向きます。完成しなければ報酬が発生しないため、作業量が読めない仕事には不向きです。
準委任は、作業の遂行に対して責任を負う形です。保守や運用代行のように、月ごとに発生する作業量が変動する仕事に向きます。完成という概念がないため、何をどこまでやるのかを契約書で具体的に定める必要があります。
継続的な業務委託の相場観については、外部の仕事情報を眺めておくと感覚が掴めます。
Web制作・Webデザインの仕事・案件一覧ページです。クラウドソーシング・アウトソーシングに強いランサーズでは、Web制作・Webデザインの仕事情報の検索から納品、報酬の受け取りまで、すべて完結します。時間や場所にとらわれず、在宅や副業などさまざまな働き方を実現可能です。 出典: lancers.jp
契約書に必ず書いておきたいのは、対応する作業の範囲、対応時間帯と応答の目安、範囲外の作業が発生した場合の扱い、契約期間と更新の条件、解約時の予告期間の5点です。特に解約の予告期間は、突然の終了で収入が途切れる事態を防ぐために重要です。取引条件の明示については法令上の整備も進んでいるため、公正取引委員会の公開情報で、業務委託の条件明示に関する考え方を確認しておくと、条項を組み立てるときの土台になります。
作業範囲の線引きが継続の寿命を決める
継続案件が破綻する最大の原因は、範囲の曖昧さです。月額を受け取っている以上、何を頼んでも同じ金額でやってもらえると相手が理解してしまうと、依頼量が増え続けます。断れば関係が悪化し、受け続ければ採算が合わなくなります。
線引きの方法は2つあります。1つは作業の種類で区切る方法です。「文言の修正と画像の差し替えは含む。ページの新規作成とデザインの変更は含まない」というように、作業内容で分けます。分かりやすい反面、境界にある作業で毎回議論が起きます。
もう1つは時間で区切る方法です。月あたりの作業時間の上限を決め、その中で優先順位を相手に決めてもらう形です。「今月はこの範囲まで対応できます。どれを優先しますか」という会話になるため、断るという行為が発生しません。時間の消費状況を毎月共有すれば、相手も依頼量を調整できます。
実務では、時間で区切ったうえで、明らかに範囲外となる作業の種類だけを列挙する併用が扱いやすくなります。上限を超えた分をどう扱うかも決めておきます。翌月に繰り越すのか、追加で精算するのか、対応しないのか。ここが未定のまま運用を始めると、超過が起きた最初の月に必ず揉めます。
月次の運用リズムを作る
継続案件は、動きがないと存在を忘れられます。毎月何が起きるかを固定しておくと、相手の中で予算項目として定着します。
月の初めに、その月に予定している作業を共有します。月の終わりに、実施した作業と使った時間、気づいた点を報告します。報告書は長い必要がなく、実施内容、状況、次の提案の3項目で足ります。この報告が積み上がると、契約更新の判断材料が相手の手元に揃います。報告がないまま更新の時期が来ると、費用対効果を判断できないため、削減の対象になります。
報告には必ず提案を1つ入れます。大きな施策である必要はありません。「更新が止まっているページがあるので、内容を整理しませんか」「表示速度が落ちているので、画像の最適化を提案します」といった粒度で構いません。提案が入っていると、相手は継続の理由を自分の言葉で説明できるようになります。
四半期に一度は、まとまった振り返りの機会を作ります。数字の推移、実施した施策、次の期にやることを整理して共有します。この場が、追加開発や改修の相談が出てくる入口になります。
単発の案件を継続に変える進め方
すでに納品が終わっている案件でも、継続に変えられる場合があります。手順には順序があり、いきなり契約の話をすると失敗します。
最初にやるのは、相手のサイトの現状を確認することです。更新が止まっているか、リンク切れがあるか、表示速度が落ちていないか、CMSのバージョンが古くなっていないか。この確認は無償で行い、結果を短くまとめて連絡します。営業ではなく、気づいた点の共有という形にします。
次に、指摘した内容のうち、緊急性の高いものを1つだけ対応します。ここでも大きな作業を提案せず、小さく直せるものを選びます。相手にとっては、頼んでいないのに問題が減った状態になり、対応の速さと確実性が実感として伝わります。
そのうえで、同種の問題が今後も発生することと、定期的に見る体制があれば未然に防げることを説明します。ここで初めて、継続の形を提示します。順序を逆にして最初に契約の話を出すと、指摘そのものが営業の口実に見え、信用されません。
この進め方は時間がかかりますが、通ったあとの関係は安定します。相手が必要性を実感したうえで始まる契約は、予算削減の場面でも残りやすくなります。
価格ではなく役割で選ばれる状態にする
継続案件の獲得を価格勝負で進めると、必ず消耗します。安く受ければ受注はできますが、作業量は減らないため、継続するほど苦しくなります。価格以外の軸で選ばれる状態を作る必要があります。
軸になるのは、対応の速さ、判断の代行、説明のしやすさの3つです。対応の速さは、着手の速さではなく、受け取った旨を返す速さで評価されます。判断の代行は、選択肢を並べて相手に選ばせるのではなく、推奨案を示したうえで理由を添える形です。説明のしやすさは、相手が社内で報告する場面を想定した資料の作り方に表れます。
この3つは技術の高さと直接関係がありません。だからこそ、技術で差がつきにくい領域で選ばれる理由になります。制作の技術だけで比較されると、より安い相手や、より規模の大きい会社と並べられます。役割で選ばれている状態では、比較の土俵そのものが変わります。
報酬の水準を判断する材料として、隣接職種の相場を把握しておくのも有効です。ソフトウェア作成者の年収・単価相場には開発職の報酬水準がまとめられており、制作から開発寄りに範囲を広げる場合の目安になります。
継続が切れる原因
続いていた契約が終わるとき、原因はいくつかの型に収まります。
担当者が交代した。 最も多い原因です。新しい担当者にとっては、前任者が決めた契約であり、内容を把握していません。交代の情報を得たら、早い段階で改めて説明の場を作ります。これまでの経緯と現在の作業内容をまとめた資料を用意しておくと、そのまま引き継ぎ資料として使えます。
成果が見えない。 作業はしているのに、報告がないため相手が価値を認識できていない状態です。何も起きていない月ほど、何をして何も起きなかったのかを書く必要があります。
依頼しづらくなった。 断られた経験、返信が遅かった経験が積み重なると、相手は依頼をためらうようになります。依頼が減った状態は、満足しているのではなく、諦めている可能性があります。依頼が減ったら理由を確認します。
先方の予算が削られた。 外部要因ですが、備えはできます。作業の一部を自社でできるように移管し、支援の範囲を絞る形を提案すれば、契約自体は残せます。全額の削減より、規模の縮小のほうが相手にとっても選びやすい選択肢です。
こちらの対応品質が落ちた。 案件が増え、初期のような手厚い対応ができなくなるパターンです。受注量の管理を怠ると、既存の継続案件から静かに失われていきます。
報告書に何を書くか
継続案件の価値は、報告書の質でほぼ決まります。作業の実態が同じでも、書き方によって「必要な費用」にも「削れる費用」にも見えます。
報告書に入れる項目は5つです。実施した作業の一覧、その作業に要した時間、点検して問題がなかった項目、現在残っている課題、次月に提案する内容。3つ目の「問題がなかった項目」を省く人が多いのですが、ここが保守の価値を示す中心になります。バックアップが正常に取得できていること、更新プログラムが適用済みであること、フォームが正常に動作していること。これらは何も起きていないことの証明であり、確認しなければ分からない情報です。
残っている課題は、対応しない理由も併記します。「優先度が低いため次期に持ち越し」「先方の判断待ち」といった状態を明示すると、放置ではなく管理下にあることが伝わります。課題が管理されている状態を示せると、相手は他の相談も持ち込みやすくなります。
書式は毎回同じにします。読む側は前月との差分を見たいため、項目の並びが変わると比較できません。同じ形式で積み上がった報告書は、契約更新の稟議でそのまま添付資料として使われます。
継続だけに寄せるリスクも見ておく
継続案件は収入を安定させますが、割合が偏ると別のリスクが生まれます。1社への依存度が高い状態で契約が終わると、収入の大部分が一度に失われます。取引先の事業状況や担当者の異動といった、自分ではどうにもならない要因で決まる部分が大きいためです。
依存を避けるには、継続の取引先を複数持つことと、新規の入口を止めないことの2つが必要です。継続案件が埋まっている時期ほど新規の営業が止まり、契約が切れたときに何もない状態になります。稼働に余裕がない時期でも、案件情報を眺める習慣だけは残しておくと、相場の変化にも気づけます。
領域を隣に広げておくのも有効です。制作の依頼が減っても、周辺の業務で関係が続いていれば取引は残ります。業務改善やAIの活用支援を求められる場面が増えているため、AIコンサル・業務活用支援のお仕事で扱われている仕事の内容を把握しておくと、相談が来たときに受け止められます。解析や集客まで含めて任される形を目指すなら、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事にまとめられた領域が参考になります。サイト以外の仕組みを求められる場面に備えるなら、アプリケーション開発のお仕事の範囲を確認しておくと判断が早くなります。
技術の裏付けを示す材料として、資格を1つ持っておく選択肢もあります。ネットワークやインフラの相談まで受ける立場になる場合は、CCNA(シスコ技術者認定)のような認定が、社内稟議の場面で説明材料になります。
継続案件を取れる人が持っている条件
継続の取引を複数持っている人には、共通する特徴があります。
作業の見える化ができています。何をしたか、どれだけ時間を使ったか、次に何をするかを毎回示せる状態です。見えない作業は、相手にとって存在しない作業と同じです。
判断を任せられます。細かい確認を毎回求められる相手は、依頼側の負担が減りません。任せられる範囲を明示し、その範囲では自分で判断して進める形にしておくと、相手の手間が減ります。継続の価値は、作業を代わりにやることではなく、考える手間を減らすことにあります。
止まらない仕組みを持っています。体調不良や繁忙期でも、最低限の対応が続く体制です。一人で受けている場合でも、緊急時の連絡手段と、対応できない場合の代替案を先に伝えておけば、相手は備えられます。何も伝えずに止まる状態が、最も信頼を損ないます。
複数の継続案件を同時に回すための管理
継続の取引が増えると、今度は管理が問題になります。単発の制作は納期で区切られますが、継続案件は終わりがないため、意識しないと作業が後回しになり、気づけば何か月も何もしていない状態になります。
まず、案件ごとに定期作業の一覧と実施予定日を持ちます。月次で行う点検、四半期で行う報告、年次で行う更新をそれぞれ並べ、実施したら記録します。記録がないと、前回いつやったのかが分からなくなり、二重にやるか、やらないまま過ぎるかのどちらかになります。
次に、作業時間の記録を案件ごとに取ります。想定した範囲に収まっているか、特定の案件だけ膨らんでいないかを確認するためです。膨らんでいる案件は、範囲の再設定か、条件の見直しが必要な状態です。感覚ではなく記録で判断すると、相手に説明する材料も揃います。
連絡の履歴も案件ごとにまとめておきます。誰が何を言ったか、いつ何を約束したかが追える状態にしておくと、担当者が交代したときの引き継ぎがそのまま作れます。継続案件の管理は、突き詰めると自分自身の引き継ぎ資料を常に更新している作業に近くなります。
制作以外の作業が増えてくると、文書の作成能力そのものが業務の質を左右します。報告書や提案書の書式を整えたいなら、ビジネス文書検定で扱われる範囲が、体系的に整理する際の指標になります。
稼働の上限を先に決めておく
継続案件は積み上がる性質があるため、上限を決めないまま増やすと、いずれ新規の制作に手が回らなくなります。制作の依頼が来ても受けられない状態が続くと、単価の高い仕事を取り逃がし、結果として収入が伸びなくなります。
上限の決め方は、月あたりの稼働時間のうち、継続案件に充てる割合を決める形が扱いやすくなります。残りを新規の制作と、営業や学習に充てる時間として確保します。継続案件が上限に達したら、新しい継続の提案を止めるか、既存の条件を見直します。
条件の見直しは、価格の話だけを指しません。作業の一部を相手側に移管する、点検の頻度を下げる、対応時間帯を明確にするといった調整でも、負荷は下がります。相手にとっても、費用を維持したまま範囲を調整するほうが受け入れやすい選択になります。
上限を超えたまま無理を続けると、対応品質が落ち、既存の案件から静かに失われていきます。継続案件を守る作業は、増やす作業と同じくらい意識して行う必要があります。
運営者の視点から見た継続の実際
20年この市場を見てきた立場から言えば、継続案件を安定して持っている人は、単発の作業を上手にこなす人ではなく、相手の社内事情を理解している人です。誰が決裁するのか、予算がいつ組まれるのか、担当者が社内で何を求められているのか。ここを把握している人は、提案を出すタイミングが正確で、通りやすい形で出せます。技術の話に終始している人は、良い提案をしていても時期を外し、来期に持ち越されたまま忘れられます。
運営者として見てきた限りでは、長く続く関係にある人ほど、単価の交渉に費やす時間が短くて済んでいます。実績と信頼が積み上がった相手との取引では、価格が最初の論点になりません。加えて、仲介手数料が差し引かれない直接の取引であれば、同じ予算で依頼側はより多くを頼め、受け手の手取りが厚くなります。この構造は単発の取引でも働きますが、効果が積み上がるのは継続している関係のほうです。単発で終わらせないという判断は、営業の負担と価格交渉の負担を同時に減らす選択でもあります。
よくある質問
Q. 継続の提案はいつ出すのが効果的ですか?
納品後ではなく制作の中盤、遅くとも検収の前に出します。納品後に持ち出すと追加の営業に見えますが、制作中であれば公開後の運用計画の一部として受け取られます。提案には想定される作業、担当する主体、対応しなかった場合に何が起きるかの3点を書くと、必要性が伝わります。
Q. 保守契約は何をしていない月でも請求してよいですか?
問題ありません。ただし、何も起きていない状態を維持するために何をしているのかを月次で報告する必要があります。更新プログラムの適用状況、バックアップの取得結果、点検した項目を並べた短い報告で足ります。報告がないと、使っていない費用と判断されて解約の対象になります。
Q. 月額の作業範囲はどう決めればよいですか?
月あたりの作業時間の上限を決め、その範囲で優先順位を相手に選んでもらう形が扱いやすくなります。あわせて、明らかに範囲外となる作業の種類を列挙します。上限を超えた分を繰り越すのか追加精算するのかも先に決めておかないと、超過が起きた最初の月に必ず揉めます。
Q. 準委任契約と請負契約はどう使い分けますか?
完成の定義がはっきりしているページ追加や機能開発は請負、作業量が月ごとに変動する保守や運用代行は準委任が向きます。準委任では完成という概念がないため、対応範囲、応答の目安、契約期間、解約の予告期間を契約書に具体的に書いておくことが前提になります。
Q. 継続案件が1社に偏っている状態は危険ですか?
契約が終わった時点で収入の大部分が失われるため、依存度は下げておくべきです。取引先を複数持つことと、稼働が埋まっている時期でも案件情報を眺める習慣を止めないことの2つが備えになります。制作の隣接領域まで対応範囲を広げておくと、制作の依頼が減っても関係が残ります。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
朝比奈 蒼@SOHO編集部
ITメディア編集者
IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。
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