レンスペ副業を始めるには|部屋の準備と利用者との約束事

伊藤 遥
伊藤 遥
レンスペ副業を始めるには|部屋の準備と利用者との約束事

この記事のポイント

  • ✓レンスペ副業の始め方を
  • ✓部屋探しの前に確かめる法律の点から
  • ✓予約が入らないときの見直し方まで順番に説明します

「レンスペ副業って、実際どのくらい手がかかるんですか」。キャリアの相談をしていると、ここ1年で急に増えた質問です。

聞いてみると、多くの方が同じところで足が止まっています。物件を見に行くところまでは調べた。でも、契約していいのか、法律に引っかからないのか、失敗したときにどこまで損をするのかが分からない。だから動けない。

その慎重さは正しいです。レンスペ副業は、始めるまでに決めることが多く、決め方を間違えると戻せない部分があります。だからこそ、順番があります。

この記事では、部屋を探す前に確かめることから、費用の出し方、利用者との約束事の決め方、予約が入らないときの見直し方までを順番に説明します。読み終えたときに、あなたが「まず小さく試す方法」を1つ選べる状態になることを目標にします。

レンスペ副業がどういう仕事なのかを先に整理する

レンタルスペースは、部屋や区画を時間単位で貸す形の商売です。会議、撮影、教室、パーティー、作業のための場所として使われます。以下ではレンスペと短く書きます。

ここで、最初に区別しておくべきことがあります。泊まらせるのかどうかです。この一点で、かかる法律がまったく変わります。

旅館業法は「宿泊」をこう定義しています。

この法律で「宿泊」とは、寝具を使用して前各項の施設を利用することをいう。 出典: laws.e-gov.go.jp

寝具を使わせて宿泊料を受け取る営業は旅館業になり、同じ法律の第3条で都道府県知事(保健所を設置する市や特別区では市長または区長)の許可が必要と定められています。住宅を使って泊まらせる場合は、住宅宿泊事業法にもとづく届出という別の道もあります。

つまり、レンスペとして時間貸しをするのであれば、寝具を用意しないことが前提になります。ソファーベッドを用意する、仮眠用の布団を用意する。こうした親切心が、許可の必要な営業に踏み込む合図になります。この線は必ず守ってください。判断に迷う設備があるときは、保健所に図面を持って相談するのが確実です。

収益の出方も整理しておきます。時間単価と稼働率の掛け算です。1時間2,000円の部屋が1か月に60時間使われれば、売上は12万円です。ここから賃料、光熱費、清掃費、掲載先に払う手数料を引いた残りが手元に入ります。売上の話と手元に残る額の話を混ぜないでください。相談で伸び悩んでいる方は、ほぼここが曖昧です。

3つの始め方。どれを選ぶかで負担が変わる

始め方には大きく3つあります。順に負担が重くなります。

1つ目は、自宅や所有している部屋の空きを使う形です。賃料の追加負担がないので、失敗したときの損失がもっとも小さくなります。私が相談を受けたときに最初にすすめるのは、ほぼこの形です。まず小さく試して、予約が入るかどうかを自分の目で確かめる。それができてから次へ進めば、取り返しのつかない失敗になりません。

2つ目は、部屋を借りて転貸する形です。空室を借りて時間貸しにします。売上は伸ばせますが、賃料が毎月出ていくので、稼働が読めないうちに始めると赤字が続きます。

そしてこの形には、法律上の必須条件があります。

賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。 出典: laws.e-gov.go.jp

民法の第612条です。同じ条文の第2項では、これに違反して第三者に使わせたときは、貸主が契約を解除できると定められています。つまり、貸主の承諾を書面で得ていない転貸は、いつ止められてもおかしくない状態です。「黙っていれば分かられない」と考えて始めた方が、掲載先の写真から特定されて退去を求められた例を実際に見ています。承諾は口頭ではなく書面で取ってください。

3つ目は、運営を任せる形です。物件を用意して、集客と運営を専門の会社に任せます。手はかかりませんが、その分の取り分が減ります。本業が忙しい方が選ぶ道です。

どれを選ぶかは、使える時間で決めてください。1週間に使える時間が2時間しかないのに2つ目を選ぶと、清掃と連絡が回らなくなります。

部屋を決める前に確かめる4つのこと

ここが、いちばん飛ばされやすくて、いちばん高くつく部分です。4つに絞って説明します。

1つ目は用途地域です。都市計画で、その土地に何を建てて何に使えるかが決まっています。住居専用の地域では、営業として使える用途が限られます。建築基準法の第87条第2項では、建築物の用途を変更する場合に用途の制限の規定を準用すると定められています。確認申請が要らない規模であっても、用途の制限そのものは効くということです。

2つ目は確認申請の要否です。建築基準法の第87条第1項は、用途を変更して同法第6条第1項第1号の特殊建築物にする場合に、確認申請の手続きを準用すると定めています。その第1号は「その用途に供する部分の床面積の合計が二百平方メートルを超えるもの」です。つまり、200平方メートルを超える規模で用途を変えるときは確認申請の対象になります。個人が始める規模であれば超えないことが多いのですが、区画をまとめて借りるときは自分で面積を計算してください。

3つ目は消防です。必要な設備は建物の用途と規模、階数で変わります。消火器、誘導灯、自動火災報知設備のどれがどこまで必要かは、図面を持って所轄の消防署に相談するのが唯一の確実な方法です。ここを後回しにして内装を進めてしまい、やり直しになった例が少なくありません。

4つ目は近隣です。法律ではありませんが、実務ではここで決まります。集合住宅の一室を使う場合、音と人の出入りが問題になります。管理規約で民泊や営業の禁止が書かれていないか、管理会社に確認してください。

この4つは、契約書に判を押す前に終わらせます。契約してから調べると、使えない部屋の賃料を払い続けることになります。

初期費用と毎月の支出を書き出す

数字を先に書き出さないまま始める方が、本当に多いです。紙1枚で済みますから、必ずやってください。

初期にかかるものを並べます。敷金と礼金、仲介手数料、前払いの賃料。内装と設備では、机と椅子、照明、鏡、モニター、プロジェクター、Wi-Fiの回線、鍵の受け渡しの仕組み、清掃の道具。掲載用の写真を撮る費用。合わせて、ワンルーム規模でも数十万円になることが普通です。

毎月かかるものも並べます。賃料、電気とガスと水道、通信費、清掃の費用または自分の時間、消耗品(ティッシュ、洗剤、ゴミ袋)、掲載先に払う手数料、損害保険料。

このうち、見落とされやすいのが2つあります。1つは通信費です。利用者がいちばん不満を書くのは、椅子の質でも照明でもなく、回線が遅いことです。会議や配信で使われる部屋なら、ここは削れません。回線の種類による差については、在宅ワークに最適なネット回線|光回線vsホームルーターの選び方で速度と工事の要否を整理しています。部屋の用途に合う回線を選ぶときの手がかりになります。

もう1つは保険です。利用者がけがをした場合、備品を壊した場合、水漏れを起こした場合。個人で負える金額ではありません。施設の賠償を対象にした保険に入ってから営業を始めてください。

支出を書き出したら、最後に損益分岐の時間を計算します。毎月の支出の合計を時間単価で割ると、何時間使われれば赤字にならないかが出ます。この時間が1か月の営業可能時間の半分を超えているなら、その物件は見送ったほうがいいです。

部屋の準備。利用者が見ているのは写真ではない

写真をきれいに撮ることに時間をかける方が多いのですが、予約が続くかどうかは別のところで決まっています。

利用者が実際に見ているのは、次の3つです。

1つは、写真と現物が合っているかどうかです。広角で撮って実際より広く見せると、来たときの落胆が評価に出ます。狭いなら狭いと書いてください。狭いことを理由に選ぶ人もいます。

2つは、すぐ使えるかどうかです。照明のスイッチがどこにあるか、Wi-Fiのパスワードがどこに書いてあるか、ゴミをどこに出すか。入室してから5分で迷わせない状態を作ります。私が相談者と一緒に見直すときは、まず「初めて来た人が5分で困ることは何か」を紙に書き出してもらいます。だいたい10個出てきます。

3つは、清潔かどうかです。ここは説明が要りません。水回りと床が、評価のほぼすべてを決めます。

設備をそろえる順番も決めておきます。最初に用意するのは、机と椅子と照明と回線です。プロジェクターや撮影用の機材は、その用途の予約が実際に入ってから追加してください。使われない設備は、置き場所を取るだけで収益に貢献しません。

もう1つお伝えしておきたいことがあります。案内の文章です。私は娘が2歳のころに、寝かしつけたあとの時間で相談者の掲載文を一緒に直していたのですが、文章を整えただけで予約が入り始めた例が何度もありました。何のための部屋なのか、誰に向けた部屋なのかを最初の3行に書く。それだけです。伝わる文章の組み立て方を体系的に押さえたい方には、ビジネス文書検定で問われる範囲が参考になります。

どんな用途で借りられているのかを知る

部屋の作りを決める前に、誰が何のために借りるのかを知っておくと無駄な投資が減ります。実際に需要のある用途を整理します。

会議と打ち合わせです。少人数で静かに話せる場所が求められます。必要なのは机と椅子、回線、モニターかホワイトボード。装飾は不要で、清潔さと静けさで選ばれます。平日の日中に集まる需要で、稼働が読みやすいのが利点です。

撮影です。物撮り、人物の撮影、動画の収録。求められるのは白い壁と自然光、そして電源の数です。背景紙を掛けられる場所があると強くなります。曜日を選ばない需要で、単価も比較的高く付きます。

教室と講座です。ヨガ、料理、楽器、勉強会。床の素材、鏡、水回り、音の出せる時間帯が決め手になります。同じ人が毎週使う形になりやすく、稼働が安定します。

作業と自習です。一人で集中したい人の需要で、単価は低い代わりに空いた時間を埋めるのに向きます。

配信と収録です。音が入らない環境と回線の速さが条件になります。近くに幹線道路があると成立しません。

パーティーと集まりです。単価は高いのですが、騒音とゴミの問題が出やすく、近隣との関係を壊すおそれがあります。集合住宅では避けたほうがいいです。

自分の部屋がどの用途に向いているかは、面積、天井の高さ、窓の向き、近隣の状況で決まります。向いていない用途に合わせて設備を用意しても、予約は入りません。まず向いている用途を1つか2つに絞り、そこに必要なものだけを用意してください。

掲載先の選び方と手数料の考え方

自分で集客するのは、最初は現実的ではありません。掲載先を使うことになります。選ぶときに見る点を挙げます。

手数料の計算方法です。売上に対する割合で引かれる形が一般的です。割合そのものよりも、何に対して掛かるのかを確認してください。基本料金だけなのか、延長や備品の追加料金にも掛かるのかで、手元に残る額が変わります。

支払いの時期です。利用のあと何日で入金されるかを確かめます。賃料の支払日と入金日がずれていると、手元の資金が回らなくなります。

取り消しの規定を自分で決められるかです。掲載先が定めた規定に従う形だと、直前の取り消しで損が出たときに何もできません。

利用者への連絡手段です。予約前に質問をやり取りできるかどうかで、行き違いによるトラブルの数が変わります。

掲載を1か所に絞るか複数にするかも決めます。複数に出すと予約は増えますが、同じ時間の二重予約が起きます。予約を1か所で管理できる仕組みを用意できないうちは、1か所から始めたほうが安全です。

そして、手数料を嫌って自分で集客に切り替える判断は、稼働が安定してからにしてください。掲載先の手数料は集客の費用です。自分で集客するなら、同じ額を広告か時間に払うことになります。この比較をせずに切り替えて、稼働が半分になった例を見ています。

稼働を読むための記録の付け方

数字を残していない方が、驚くほど多いです。記録がないと、改善したのかどうかが分かりません。

最低限つけるのは4つです。

1つ目は、月ごとの利用時間の合計です。売上ではなく時間で見ます。単価を変えたときに、売上だけ見ていると何が起きたのか分からなくなります。

2つ目は、用途の内訳です。会議が何件、撮影が何件。これが分かると、どの設備に投資すべきかが決まります。

3つ目は、問い合わせの数と、そのうち予約になった数です。問い合わせは来ているのに予約にならないなら、価格か回答の内容に原因があります。問い合わせそのものが来ないなら、掲載の見え方の問題です。原因の場所が切り分けられます。

4つ目は、曜日と時間帯の分布です。埋まっていない枠が分かれば、その枠だけ料金を下げる、その枠に向く用途を書き足すといった手が打てます。

書き方は、表計算の1枚で足ります。凝った仕組みは要りません。1か月に1回、10分で更新できる形にしてください。続かない記録は役に立ちません。半年たつと、季節による波が見えてきます。3月と4月は教室の需要が伸び、夏は撮影が減る。こうした波が分かると、料金を動かす時期を先に決められます。

集計や自動化まで踏み込むと、これは技術寄りの作業になります。自分でどこまで作るかを判断するときの目安として、ソフトウェア作成者の年収・単価相場で開発側の単価の水準を見ておくと、外に頼む場合の費用感が分かります。

利用者との約束事をどう決めるか

ここを曖昧にしたまま貸すと、必ず揉めます。書いておくべき項目を挙げます。

使える時間と、延長の扱い。何時から何時まで使えるのか、延長した場合の料金をどう計算するのか。退室が遅れたときの扱いを書いていないと、次の利用者と重なります。

人数の上限。防災の面でも、近隣への配慮の面でも必要です。上限を超えた場合の追加料金か、利用の取り消しかを決めておきます。

してはいけないことの一覧。喫煙、火気、飲酒の可否、ペットの可否、大きな音を出す時間帯、宿泊。宿泊を禁止する一文は必ず入れてください。前の章で説明したとおり、寝具を使わせて宿泊料を受け取ると旅館業の許可が必要になります。利用者が勝手に泊まった場合でも、管理の責任を問われます。

取り消しの規定。何日前までなら無料か、それ以降は何割かかるのか。ここを書いていないと、直前の取り消しが続いても何も言えません。

壊したときの扱い。原状に戻す責任、修理費の負担、連絡の期限。備品の一覧と現状の写真を残しておくと、話が早く終わります。

鍵の扱い。受け渡しの方法、番号を変える頻度、紛失したときの費用。暗証番号式にしている場合は、利用ごとに番号を変える運用にしてください。

これらを書いた文面は、予約の画面で同意を取れる形にします。あとから口で説明する形だと、揉めたときに証拠が残りません。

文面の長さについても一言添えます。長すぎる規約は読まれません。読まれない規約は、あってもなかったことになります。私が相談者と作るときは、本文を1画面に収め、細かい条件は入室時の掲示に回します。守ってほしいことのうち上位5つだけを規約に書き、残りは現地で伝える。この配分がいちばん守られます。

そして、規約は一度作って終わりにしないでください。実際に揉めた項目、質問が多かった項目を、そのつど書き足します。半年ほど運営すると、自分の部屋に合った形に育ちます。最初から完璧なものを作ろうとして着手が遅れるくらいなら、5項目で始めて直していくほうが早いです。

予約が入らないときに見直す順番

「掲載したのに問い合わせがゼロです」。この相談を受けたときに、私が確認する順番をそのまま書きます。

最初に見るのは、検索結果に出ているかどうかです。掲載先の中で自分の部屋がどの位置に出るかを、利用者の立場で検索して確かめます。出てこないなら、内容の問題ではなく掲載の設定の問題です。地域名、用途の分類、対応人数の設定を見直します。

次に見るのは、写真の1枚目です。一覧に出るのはこの1枚だけです。部屋全体が明るく写っているものにします。細部の写真を1枚目にしている方が、意外に多いです。

3番目が価格です。同じ地域の同じ規模の部屋をいくつか見て、自分がどのあたりにいるかを確かめます。高すぎるのも問題ですが、極端に安いのも選ばれません。安すぎる部屋は「何か問題があるのでは」と読まれます。

4番目が用途の書き方です。「多目的に使えます」と書くと、誰にも刺さりません。会議に使えるのか、撮影に向くのか、教室として使えるのか。1つか2つに絞って書いたほうが予約は入ります。

5番目が返信の速さです。問い合わせへの返信が半日空くと、その間に他の部屋が予約されます。通知を受け取る設定を見直してください。

ここまで見直しても動かないときは、立地か規模が需要に合っていないということです。その場合は部屋を変えるしかありません。改善で埋まらない差もあると認めることが、次の判断を早くします。

トラブルの型と、起きる前の手当て

相談で持ち込まれるトラブルは、種類がそう多くありません。型を知っておけば、ほとんど手前で止められます。

騒音の申し立てです。近隣から管理会社へ連絡が入ります。手前の手当ては、利用規約に静かにする時間帯を明記し、入室時に目に入る場所へ掲示することです。防音材を入れるより、書いて伝えるほうが先に効きます。

備品の破損です。壊れた状態で次の利用者が入ると、評価が落ちます。手当ては、利用の前後を写真で残す運用と、備品の一覧を掲示することです。

退室の遅れです。次の予約と重なります。手当ては、予約の枠の間に30分の空きを作ることです。埋まる時間は減りますが、事故は止まります。

ゴミの放置です。手当ては、ゴミの出し方を紙に書いて掲示し、持ち帰りをお願いする形にすることです。地域の収集の規則に反すると、近隣との関係が悪くなります。

聞いた話ではなく実際に起きたものとして、いちばん厄介なのは無断での人数超過です。10人までの部屋に30人が入り、床が抜けかけた例があります。手当ては、人数の上限と超過したときの取り消しを規約に書き、入室時の写真の提出を求める運用にすることです。

もう1つ挙げておきます。連絡が取れない利用者です。予約の時間になっても現れず、電話にも出ない。次の予約を入れられないまま枠が空きます。手当ては、予約の際に連絡が取れる電話番号を必須にし、当日の一定時間までに連絡がない場合は取り消しとして扱う旨を規約に書くことです。

どの型にも共通しているのは、設備でなく取り決めで防げるということです。お金をかける前に、言葉で決めてください。そして、起きたトラブルは必ず記録に残します。同じことが2回起きたら、それは運ではなく仕組みの問題です。記録があると、どこを直せばいいかが自分で分かります。

無人で運営するときに残る仕事

「無人だから手がかからない」と聞いて始める方が多いので、残る仕事を具体的に書きます。

清掃です。無人にしても、これは消えません。利用のあとに誰かが入って整えます。自分でやるか、代行に頼むか。代行に頼む場合の費用を、最初の計算に入れてください。

消耗品の補充です。ティッシュ、洗剤、ゴミ袋、電球。切れているだけで評価が落ちます。

連絡の対応です。予約前の質問、利用中の困りごと、鍵の番号の案内。ここは時間が読めません。利用の直前と直後に集中します。

設備の点検です。照明の球切れ、椅子のがたつき、回線の不調。利用者から指摘されてから直すと、その回の評価は戻りません。

鍵の管理です。番号を変える作業、記録の保存。

この5つを月にどれだけの時間で回せるかを、始める前に見積もってください。2部屋までなら片手でできますが、それを超えると回らなくなります。予約の管理や鍵の解錠を自動化する道具を自作する方もいます。自分で作るか外に頼むかを判断するときは、アプリケーション開発のお仕事で開発を外部に任せる場合の業務の範囲を確認しておくと、見積もりの読み方が分かります。

収益が出たときの税金と会社への向き合い方

数字が動き始めたら、ここを整えます。順番に説明します。

まず、確定申告が必要になる線です。国税庁は、給与を1か所から受けていて源泉徴収の対象になっている人について、給与所得と退職所得を除いた各種の所得金額の合計額が20万円を超える場合に確定申告をしなければならないと案内しています。ここでいう所得は、売上ではなく売上から必要経費を引いた残りです。

次に、所得の区分です。ここは少しややこしいので、丁寧に書きます。国税庁は不動産所得を「土地や建物などの不動産の貸付け」による所得(事業所得または譲渡所得に該当するものを除く)と説明しています。一方で、時間貸しに清掃や備品の用意といった役務が伴う形は、実態によって事業所得または雑所得として扱われる場合があります。

この線引きは金額や事情で変わるため、断定はできません。売上の規模、帳簿の備え方、どこまで役務を提供しているかで判断されます。最初の確定申告の前に、税務署か税理士に自分の形を説明して確認してください。

参考として、建物の貸付けが事業として行われているかどうかの判定には目安があります。国税庁は、貸間やアパートについては貸与できる独立した室数がおおむね10室以上、独立家屋の貸付けについてはおおむね5棟以上であれば、原則として事業として行われているものとして取り扱うと案内しています。

届出の期限も押さえます。国税庁は、個人事業の開廃業等届出書の提出期限を「事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限まで」と案内しています。よく言われる「1か月以内」は現在の記載と違います。青色申告の承認申請は原則としてその年の3月15日までで、その年の1月16日以後に新たに事業を開始した場合や不動産の貸付けを始めた場合は、その日から2か月以内です。

住民税についても触れておきます。副業の収益が給与以外の所得であれば、住民税の徴収方法として普通徴収を選べる場合があります。選べるのは給与所得以外の所得についてで、副業がアルバイトなどの給与であれば選べません。

会社の就業規則も確認してください。厚生労働省のモデル就業規則の令和7年12月版では、副業と兼業について第70条に定めが置かれています。届出を求める形が基本で、禁止や制限ができる事由として、労務の提供に支障がある場合、企業秘密が漏れる場合、会社の名誉や信用を損なう場合、競業により会社の利益を害する場合の4つが挙げられています。

撤退の線を先に決めておく

この章を読み飛ばさないでください。始めるときにいちばん決めておくべきことです。

決めるのは3つです。

何か月続けて赤字なら止めるか。半年が一つの目安です。掲載してから最初の3か月は、評価が付いていないので予約が入りにくい時期です。そこを抜けて、さらに3か月動かなければ、需要の問題です。

いくらまでの追加投資で止めるか。設備を追加すれば予約が入るのではないかと考えて、赤字の上に設備費を重ねる方がいます。上限を先に決めておくと、この連鎖が止まります。

契約をいつまでに解約するか。賃貸の解約は、多くの場合で1か月から2か月前の予告が必要です。止めると決めてからも賃料が発生します。予告の期間を契約書で確認し、逆算した日を手帳に書いておいてください。

私が相談の場で繰り返しお伝えしているのは、撤退の線を決めてある人は、そもそも撤退しないということです。線があると、判断が冷静になり、改善の手が早く出ます。線がない人ほど、ずっと迷ったまま赤字を続けます。

20年この市場を見てきた立場からの観察

最後に、フリーランスと在宅の仕事の市場を長く運営してきた立場から、いくつか書いておきます。

運営者として見てきた限りでは、レンスペを続けている方には共通した動き方があります。部屋を増やす前に、1部屋の稼働を徹底して上げているのです。同じ手間で2部屋に広げるほうが早いと考えて先に増やした方は、清掃と連絡が回らなくなって両方の評価を落とします。1部屋で回る形を作ってから増やす。順番はこれだけです。

もう1つの観察は、レンスペで身に付く力が別の仕事に移せるということです。写真の撮り方、掲載文の書き方、予約が入る価格の付け方、問い合わせへの返し方。これは、そのまま販売や集客の仕事の中身です。実際に、部屋の運営から始めて、集客の支援を請け負うようになった方を何人も見ています。企業側がどんな支援を外部に頼んでいるかは、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事で業務の範囲が整理されています。

そして、収益は額面ではなく手元に残る額で考えてください。仲介の手数料が乗る経路で仕事を受けると、同じ依頼でも受け取る額が変わります。手数料0%の直接取引では、依頼する側は同じ予算でより多く頼めて、受ける側は手元に残る額が厚くなります。この構造は抽象論ではなく、長く見てきた実感です。レンスペの運営で関係ができた利用者から仕事の相談が来ることは、珍しくありません。そのときに仲介を通す必要はありません。

自分の持っている力を言葉にする作業も、あわせてやっておいてください。何が売れるのかを整理する助けとして、在宅ワークに強い資格10選|自宅で稼げるスキルを身につけるでは、在宅の仕事に結びつきやすい分野を用途別にまとめています。

明日やることを1つ決めるとしたら、物件を見に行くことではありません。自宅の空いている部屋か、借りられそうな部屋の面積と、月にかかる支出を紙に書き出すことです。数字が出れば、進むか止まるかは自分で決められます。完璧にそろえてから始めなくて大丈夫です。まず小さく試して、そこから判断してください。

よくある質問

Q. 賃貸の部屋でレンスペ副業を始めても大丈夫ですか?

貸主の承諾が必要です。民法第612条は、貸主の承諾を得なければ賃借物を転貸できないと定め、違反した場合は貸主が契約を解除できるとしています。承諾は口頭ではなく書面で取ってください。あわせて、集合住宅では管理規約で営業が禁止されていないかを管理会社に確認します。

Q. レンスペで宿泊させると何か許可が必要になりますか?

必要です。旅館業法は「宿泊」を寝具を使用して施設を利用することと定義し、宿泊料を受けて人を宿泊させる営業には都道府県知事などの許可を求めています。住宅を使う場合は住宅宿泊事業法の届出という道もあります。時間貸しで運営するなら、寝具を用意せず、規約で宿泊を禁止してください。

Q. 初期費用はどのくらい見ておけばいいですか?

借りる場合は敷金や礼金と仲介手数料、机や椅子や照明などの設備、回線の工事、鍵の仕組み、掲載用の写真で、ワンルーム規模でも数十万円になることが普通です。自宅の空き部屋から始めれば設備と写真だけで済みます。まず小さく試して、予約が入るかを確かめてから広げるのが安全です。

Q. 収益が出たら確定申告は必要ですか?

国税庁は、給与を1か所から受けて源泉徴収されている人について、給与所得と退職所得を除いた所得金額の合計が20万円を超える場合に確定申告が必要と案内しています。所得は売上から必要経費を引いた額です。不動産所得と事業所得と雑所得のどれになるかは実態で判断されるため、税務署か税理士に確認してください。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年3月20日最終更新:2026年9月30日
伊藤 遥

この記事を書いた人

伊藤 遥@SOHO編集部

キャリアコンサルタント・元人事

大手メーカー人事部で採用・研修を担当した後、キャリアコンサルタントとして独立。女性のキャリアチェンジや副業開始に関する記事を、自身の経験をもとに執筆しています。

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