副業でも有給休暇は取れるのか|日数の数え方と申し出の相手

清水 智也
清水 智也
副業でも有給休暇は取れるのか|日数の数え方と申し出の相手

この記事のポイント

  • ✓副業有給の扱いを法律の条文から整理します
  • ✓有給休暇は勤め先ごとに別々に発生し
  • ✓労働時間は通算しても日数は通算しません

副業を始めたとたん、有給休暇の扱いが分かりにくくなります。本業では毎年もらえていたのに、副業先でももらえるのか。本業の有給休暇を使って副業先で働いてよいのか。日数は2つの勤め先を合わせて数えるのか。「副業有給」で検索する人がつまずいているのは、だいたいこの3点です。

結論から書きます。有給休暇は、雇われて働いている勤め先ごとに別々に発生します。労働時間は2社を通算して数えますが、有給休暇の日数は通算しません。そして本業の有給休暇をどう使うかは、原則として働く人の自由です。ここから先は、その根拠と日数の数え方、申し出の相手、注意しておく点を順に整理します。数字はすべて厚生労働省と法令の原文で確かめたものだけを載せました。

有給休暇は勤め先ごとに別々に発生する

年次有給休暇の根拠は労働基準法第39条です。条文はこう書かれています。

使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。 出典: laws.e-gov.go.jp

ここで主語になっているのは「使用者」です。つまり雇っている側ごとに義務が生まれます。本業の会社に雇われて6か月働けば本業の有給休暇が発生し、副業先のアルバイト先に雇われて6か月働けば副業先の有給休暇が別に発生します。片方でもらった日数が、もう片方から差し引かれることはありません。

出勤率の8割も、勤め先ごとに数えます。本業で全労働日の8割以上出勤していれば、副業先での出勤状況とは関係なく本業の有給休暇は発生します。逆に副業先で欠勤が多くて8割を割れば、その年は副業先の有給休暇が発生しないことがありますが、本業の有給休暇には影響しません。

もう1つ押さえておきたいのは、雇用の形が正社員かアルバイトかは条文に書かれていないという点です。週1日だけのアルバイトでも、雇用契約を結んで働いていれば第39条の対象になります。「パートだから有給休暇はない」「試用期間中はない」という説明は、法律上の根拠がありません。日数が少なくなることはありますが、ゼロにはなりません。

副業先が小さな会社や個人商店で、有給休暇の制度そのものが就業規則に書かれていないこともあります。それでも第39条は強制的に適用されるため、就業規則に書いていないことを理由に断ることはできません。実際の相談では、この点が最も多くもめます。

何日もらえるかは週に何日働くかで決まる

副業先の勤務が週に1日から4日程度なら、フルタイムと同じ日数にはなりません。労働基準法施行規則第24条の3が、週の所定労働日数に応じた日数を定めています。対象になるのは、週の所定労働時間が30時間未満で、かつ週の所定労働日数が4日以下の人です。

週の所定労働日数 6か月 1年6か月 2年6か月 3年6か月 4年6か月 5年6か月 6年6か月以上
5日以上(または週30時間以上) 10日 11日 12日 14日 16日 18日 20日
4日 7日 8日 9日 10日 12日 13日 15日
3日 5日 6日 6日 8日 9日 10日 11日
2日 3日 4日 4日 5日 6日 6日 7日
1日 1日 2日 2日 2日 3日 3日 3日

週の日数が決まっていないシフト制の場合は、1年間の所定労働日数で当てはめます。年間169日から216日なら週4日の行、121日から168日なら週3日の行、73日から120日なら週2日の行、48日から72日なら週1日の行です。シフトが月ごとに変わる働き方では、この年間日数で見るほうが実態に合います。

ここで見落としやすいのが、週の所定労働時間が30時間以上ある人は、日数が少なくても比例付与の対象にならないという点です。たとえば週3日勤務でも1日10時間働いていれば週30時間なので、フルタイムと同じ10日から始まります。副業先で長時間のシフトに入っている人は、この線を超えていないか確かめる価値があります。

副業先の勤務日数を途中で増やしたときは、増やした後の日数で次の付与が計算されます。すでに発生した分が増えるわけではありません。逆に減らしたときも、発生済みの日数が減ることはありません。基準日にどうなっているかで決まります。

勤め先が2つあるとき、日数はどう数えるか

「本業で週3日、副業先で週2日だから合わせて週5日。だから10日もらえるはずだ」という考え方は成り立ちません。厚生労働省の副業・兼業の促進に関するガイドラインが、この点をはっきり書いています。

休憩(労基法第 34 条)、休日(労基法第 35 条)、年次有給休暇(労基法第 39 条)については、労働時間に関する規定ではなく、その適用において自ら の事業場における労働時間及び他の使用者の事業場における労働時間は通 算されない。 出典: mhlw.go.jp

つまり本業は本業の週3日で、副業先は副業先の週2日で、それぞれ別に表を当てはめます。先ほどの表なら本業が5日、副業先が3日です。合わせて8日ですが、それは1つの権利が8日あるという意味ではありません。本業に対して5日、副業先に対して3日を、それぞれの勤め先に申し出て使う形になります。

同じガイドラインは、労働時間については逆の扱いを示しています。法定労働時間である1日8時間・1週40時間の判定では、2社の労働時間を通算します。根拠は労働基準法第38条第1項の「事業場を異にする場合においても」という文言で、これは事業主が違う場合も含むと厚生労働省の通達が示しています。つまり残業代の計算には両方の時間が関わるのに、有給休暇の日数には関わらない。この非対称が混乱の元です。

もう1つ知っておくと役に立つのは、通算されない働き方があることです。ガイドラインは、フリーランス、独立、起業、共同経営、アドバイザー、コンサルタント、顧問、理事、監事などの形は労働基準法そのものが適用されないため、時間を通算しないと書いています。副業を雇用ではなく業務委託で受けている人は、この列に入ります。

継続勤務年数の数え方も勤め先ごとです。本業に10年いても、副業先に入ってから6か月たっていなければ副業先の有給休暇は発生しません。前職の勤続年数が引き継がれることもありません。副業先の初回付与を待つ間は、本業の有給休暇だけで組み立てることになります。

本業の有給休暇中に副業をしてもよいのか

これが検索の本命だと思われるので、正面から書きます。有給休暇を何に使うかは、法律が関知していません。第39条は「労働者の請求する時季に与えなければならない」と書いているだけで、使い道に条件を付けていません。休んだ日に家で寝ていても、旅行に出ても、別の仕事をしても、条文の上では区別がありません。

ただし、それは「会社との関係で何の問題も起きない」という意味ではありません。副業そのものが就業規則で届出制になっている場合、届出をせずに働けば就業規則違反になり得ます。厚生労働省のガイドラインは、裁判例が副業・兼業を禁止または制限できると認めた場合として、労務提供上の支障がある場合、業務上の秘密が漏洩する場合、競業により自社の利益が害される場合、自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合の4つを挙げています。

この4つに触れない副業なら、有給休暇の日に働いたこと自体を理由に処分を受ける筋合いはありません。同じガイドラインは、形式的に就業規則の規定に抵触しても、職場秩序に影響せず労務提供に支障を生じない程度のものは禁止違反に当たらないとした裁判例を紹介し、懲戒処分は慎重に判断すべきだと書いています。

現実的な注意点を2つ挙げます。1つは体の側です。有給休暇は休むための制度なので、そこを全部副業に充てると、本業の勤務に疲れが持ち込まれます。労務提供上の支障という論点に自分から近づくことになるので、割に合いません。もう1つは伝え方です。本業に「副業先のシフトに入るので有給休暇を使いたい」と申し出る義務はありませんが、体調不良と説明して実は働いていたという形だけは避けたほうがよいです。理由を言わずに日付だけ伝えるのが、いちばん摩擦が少ないやり方です。

退職前の有給休暇の消化中も同じ考え方です。在籍している間は就業規則が効いているので、副業が届出制なら届出は必要です。ただ退職が決まっている段階では競業の論点が現実になりやすく、同業への転職を控えているときは特に慎重に扱う場面です。厚生労働省の副業・兼業のページには、ガイドラインとあわせて就業規則の考え方の資料が並んでいます。

申し出は誰に、いつ伝えるか

有給休暇の申し出先は、その有給休暇を発生させている勤め先です。本業の有給休暇なら本業の上司や人事、副業先の有給休暇なら副業先の店長や担当者です。本業に副業先の有給休暇を申し出ることはできません。当たり前のようですが、掛け持ちが増えると取り違えが起きます。

伝え方は、就業規則に書かれた手続きに従います。多くの会社は前日までの届出や勤怠システムからの申請を定めています。法律は申し出の期限を決めていないので、期限は各社の就業規則が決めていることになります。副業先が小さな職場で手続きが決まっていない場合は、シフトを作る前に口頭とメッセージの両方で伝えておくと後で困りません。

時間単位での取得は、労使協定がある職場だけです。第39条第4項は、労働者の過半数で組織する労働組合または過半数代表者との書面による協定で定めた場合に、年5日以内を時間単位で与えることができるとしています。協定がなければ1日単位か、就業規則で認めていれば半日単位です。副業先で数時間だけ抜けたいという場面では、まず協定の有無を確かめることになります。

副業先の有給休暇を使うときの賃金は、副業先の所定労働時間で計算します。第39条第9項は、平均賃金か、所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金のいずれかを就業規則で定めて支払うと書いています。シフト制で日ごとに時間が違う職場では、どちらの計算方法を採っているかで金額が変わるので、就業規則の該当箇所を確かめておくと見込みが立ちます。

社会保険の手続きと混同されることもあります。2社で働いて両方の社会保険の加入要件を満たした場合は、二以上事業所勤務届の提出が必要になりますが、これは有給休暇とは別の話です。日本年金機構の該当ページを確かめるか、勤め先の担当者に聞くのが早道です。

会社がその日は困ると言えるのはどんなときか

第39条第5項には、ただし書きがあります。請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合は、他の時季に与えることができるという内容です。これが時季変更権と呼ばれるものです。

ここで大事なのは、時季変更権は「別の日にずらす」権利であって、「有給休暇を与えない」権利ではないという点です。年度末で有給休暇が消えてしまう時期に変更を申し出て、結果として使えなくなるような運用は認められません。また「忙しいから」という一般的な理由だけでは足りず、その日にその人が抜けると業務が回らないという具体的な事情が必要だと解釈されています。

副業をしていることを理由に時季変更権を使うことはできません。時季変更権の要件は事業の正常な運営を妨げるかどうかで、休んだ日の過ごし方は要件に入っていないからです。「副業先のシフトのために休むなら認めない」という扱いは、条文の枠を外れます。

副業先の側でも同じです。副業先が「人が少ないから有給休暇は出せない」と言う場合、それは時季変更の話であって、有給休暇そのものを消す話にはなりません。シフトが埋まっている日を外して申し出れば通りやすくなるので、実務としてはシフトが確定する前に申し出るのが確実です。

もう1つ、退職日を超えて時季変更することはできません。退職日までに使い切れる日程で申し出れば、会社は原則として認めることになります。掛け持ちを整理して片方を辞めるときは、残日数と退職日を先に突き合わせておくと取りこぼしがありません。

副業が業務委託だと有給休暇は発生しない

副業の形が雇用ではなく業務委託や請負の場合、有給休暇は発生しません。第39条は労働者に対する規定で、業務委託で仕事を受けている人は労働者ではないからです。厚生労働省のガイドラインも、フリーランスや独立の形は労働基準法が適用されないと明記しています。

ここは副業の形を選ぶときの分かれ目になります。時間で拘束されて働くアルバイト型の副業は有給休暇が発生する代わりに、働ける時間帯が固定されます。業務委託型の副業は有給休暇が発生しない代わりに、いつ作業するかを自分で決められます。どちらが得かは一律には決まらず、本業の繁忙期の形と体力の余裕で変わります。

判断の目安になるのは、指揮命令があるかどうかです。作業の時間と場所を指定され、進め方を細かく指示され、代わりの人を立てられない働き方は、契約書の題名が業務委託でも実質は雇用と判断されることがあります。逆に納期だけ決まっていて進め方が自由なら業務委託です。契約書の題名ではなく実態で決まるので、迷ったら労働基準監督署の相談窓口で聞くのが確実です。

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年5日は会社が取らせる義務がある

2019年から、有給休暇が年10日以上発生する人については、会社が5日分の時季を指定して取らせる義務があります。第39条第7項の内容で、基準日から1年以内に、労働者ごとに時季を定めて与えなければならないと書かれています。

この義務は、勤め先ごとに判断します。本業で年10日以上発生していれば本業に義務があり、副業先で発生した日数が10日未満なら副業先には義務がありません。副業先で週4日勤務を3年6か月続けると10日に届くので、そこから先は副業先にも義務が生まれます。

労働者が自分で申し出て使った分は、5日から差し引かれます。第39条第8項がその扱いを定めています。つまり自分で5日使っていれば、会社が指定する必要はなくなります。掛け持ちで日程が組みにくい人は、年度の前半に自分で日程を決めて申し出てしまうほうが、会社から指定された日に副業先のシフトが入るという事故を防げます。

繰り越しについても触れておきます。有給休暇の請求権の時効は労働基準法第115条で2年とされているため、その年に使わなかった分は翌年に繰り越せて、翌年を過ぎると消えます。副業を始めた年は本業の有給休暇が余りがちなので、繰り越した分から先に使う運用になっているかを就業規則で確かめる価値があります。

産前産後の休業期間や、業務上のけがで療養のために休んだ期間、育児休業や介護休業の期間は、出勤率の計算で出勤したものとみなされます。第39条第10項に書かれています。副業のために取った休みはこの列に入らないので、欠勤が続くと出勤率8割の線に近づく点は覚えておいてよいところです。

掛け持ちの年間計画は基準日から逆算して作る

有給休暇を取りこぼす人の多くは、日数を知らないのではなく、いつまでに使えばよいかを把握していません。基準日から逆算すると、計画が立てやすくなります。

基準日とは、有給休暇が発生する日です。入社日から6か月後がその年の基準日で、そこから1年ごとに次の基準日が来ます。第39条第7項の年5日の指定義務も、この基準日から1年以内という単位で判断します。つまり4月入社の人なら10月が最初の基準日で、翌年の9月末までに5日を使うことになります。

全社員の基準日を4月1日にそろえている会社では、入社から6か月たたないうちに付与されます。この方式は法律が求める日数より早く与えるので認められていますが、副業先の基準日とずれるため、掛け持ちの人は2つの期限を別に管理する必要があります。手帳やカレンダーに両方の基準日を書き入れておくのが最も確実です。

計画の作り方は単純です。本業の基準日から1年の期間をカレンダーに引き、その中で本業の繁忙期を塗ります。次に副業先の基準日で同じことをします。塗り残った週に、本業の有給休暇の日と副業先の有給休暇の日を先に置き換えて書き込みます。年度の初めに5日分の日付が決まっていれば、会社から指定される事態も、期限切れで消える事態も起きません。

繰り越しの扱いも織り込んでおきます。前年から繰り越した分と今年発生した分の両方がある場合、どちらから消化するかは就業規則が決めます。繰り越し分から先に使う運用なら期限切れは起きにくく、新しい分から使う運用だと繰り越し分が消えやすくなります。就業規則にその定めがなければ、労働者に有利な繰り越し分から消化するのが実務の通例です。人事に一度確かめておくと、年度末の慌ただしさが減ります。

副業をしていることを本業に伝える必要はあるのか

有給休暇の話と地続きなので、ここも整理しておきます。法律に「副業を会社に届け出なければならない」という条文はありません。届出や許可が必要になるのは、就業規則にそう書かれている場合だけです。厚生労働省の副業・兼業のガイドラインは、使用者が労働者からの申告等により副業の有無と内容を確認するとし、その方法として就業規則や労働契約に届出制を定めておくことを挙げています。つまり届出制は各社が作るもので、法律が全員に課しているものではありません。

ではなぜ多くの会社が届出制にしているのか。理由は労働時間の通算です。労働基準法第38条第1項で2社の労働時間を通算する必要があるため、会社は他社での労働時間を把握しないと残業代を正しく計算できません。ガイドラインは、この通算は労働者からの申告等で把握した他社の労働時間と合わせて行うと書いています。会社が知る手段は申告しかないので、届出制にしているわけです。

届出が必要な職場で出さずに働いた場合、就業規則違反にはなり得ます。ただしガイドラインが紹介している裁判例は、形式的に規定に抵触しても職場秩序に影響せず労務提供に支障を生じない程度のものは禁止違反に当たらないとしています。処分の重さは実害の有無で判断されるという整理です。

伝えるときの範囲も決めておくと楽になります。会社が知りたいのは、労働時間の通算に関わる部分、つまり雇用かどうか、週に何時間働くか、どの時間帯かです。業務委託なら通算の対象外なので、時間帯を細かく報告する必要は薄くなります。報酬の額は残業代の計算に関係しないため、聞かれなければ伝える必要はありません。

有給休暇が何日残っているかを確かめる3つの書類

掛け持ちをしていると、どちらに何日残っているかが分からなくなります。確かめる手がかりは3つあります。

1つ目は年次有給休暇管理簿です。労働基準法施行規則第24条の7は、会社が有給休暇を与えた時季と日数、基準日を労働者ごとに明らかにした書類を作り、与えた期間中とその期間が終わってから5年間保存しなければならないと定めています。従業員が見せてほしいと求めたときに開示する義務までは書かれていませんが、実務では人事に頼めば残日数を教えてもらえます。副業先が小さな職場でも作る義務は同じなので、聞いてみる価値があります。

2つ目は給与明細です。多くの勤怠システムは明細に有給休暇の残日数を印字しています。時間単位の取得を認めている職場では、残りが「5日3時間」のように時間まで出ます。副業先の明細に欄がない場合は、締め日のあとにシフト表と突き合わせて自分で数えることになります。

3つ目は雇用契約書です。ここに週の所定労働日数と所定労働時間が書かれているので、比例付与の表のどの行に当たるかが決まります。シフト制で契約書に「週2日程度」としか書かれていない場合は、実際のシフト日数を1年分数えて年間の所定労働日数で当てはめます。契約書を受け取っていないときは、労働条件通知書の交付は労働基準法第15条の義務なので、副業先に求めて構いません。

3つを突き合わせると、残日数の食い違いが見つかることがあります。よくあるのは、基準日の取り違えです。入社日から6か月後を基準日にしている会社と、全社員の基準日を4月1日にそろえている会社があり、後者では初回の付与が入社6か月より早まります。どちらの運用かで、年度末に残る日数が変わります。

副業先で有給休暇を断られたときの順番

副業先が「うちに有給休暇はない」と言う場面は、実際に起きます。順番を決めておくと落ち着いて進められます。

最初にやることは、労働基準法第39条の条文を示して、雇用契約を結んで6か月働き出勤率8割を満たしていれば発生すると伝えることです。この段階で通ることが多いです。就業規則に書いていないことは、発生しない理由になりません。

次の段階は、日付を変えて申し出ることです。時季変更権は別の日にずらす権利なので、シフトが埋まっていない日を指定すれば断る理由がなくなります。シフトが決まる前に申し出るのが確実で、月の中旬までに翌月分を伝える形が現場では通りやすいです。

それでも通らないときは、勤め先の所在地を管轄する労働基準監督署の総合労働相談コーナーに相談します。相談は無料で、匿名でも受け付けています。持っていくものは雇用契約書、シフト表、給与明細の3点です。申し出た日付と相手の返答を記録しておくと、話が早く進みます。

辞めることを先に決めている場合は、退職日までに残日数を使い切れる日程で申し出ます。退職日を超えて時季変更はできないので、日程が収まっていれば会社は原則として認めることになります。残日数を買い取る扱いは法律上の義務ではないため、金銭で解決することを前提にしないほうが安全です。

掛け持ちを整理するときに困るのが、2社の繁忙期が重なる場合です。両方の有給休暇を同じ週に使おうとすると、どちらも時季変更の対象になりやすくなります。年度の初めに、本業の繁忙期と副業先の繁忙期をカレンダーに並べて、空いている週に先に日付を入れてしまうほうが確実です。

在宅の仕事の形から見た、休みの取りやすさ

ここまで制度の話を整理してきましたが、実務の側から見た事情も書いておきます。編集部が在宅の仕事の募集を長く見てきた限りでは、有給休暇が発生する雇用型の在宅勤務は、募集全体の中では多数派ではありません。多いのは業務委託の形で、有給休暇はない代わりに作業時間を自分で決められる募集です。

このため「副業で有給休暇を確保したい」という目的で仕事を選ぶと、選べる範囲が狭くなります。逆に「本業の有給休暇を温存したまま副業の収入を増やしたい」という目的なら、業務委託型のほうが噛み合います。副業の目的を先に決めてから契約の形を選ぶ順番のほうが、後で困りません。

仲介手数料が引かれない直接取引の募集では、同じ予算で依頼者はより多く頼めて、受け手の手取りは厚くなります。手数料0%という条件は、金額そのものの話よりも、同じ時間を使ったときに手元に残る額が変わるという意味で効いてきます。編集部が長く見てきた限りでは、続いている人ほど単発の作業を追うのではなく、同じ相手から繰り返し頼まれる関係づくりに時間を使っています。時間の融通が利く働き方は、その関係づくりを続けるための土台でもあります。

職種ごとの相場を見ておくと、副業に何時間を充てるかの見通しが立ちます。ソフトウェア作成者の年収・単価相場は開発職の水準を職種別に並べていて、時間単価から逆算しやすい形になっています。文章の仕事なら著述家,記者,編集者の年収・単価相場が参考になり、文字単価と月あたりの本数の関係が見えてきます。

始めやすい分野を探すなら、仕事の内容から入るのが早いです。アプリケーション開発のお仕事は必要な技術と進め方をまとめていて、業務委託で受けるときの流れが分かります。相談や助言の形で受ける仕事はAIコンサル・業務活用支援のお仕事に依頼の形が整理されています。

書類のやり取りが増えると、契約書や見積書の書き方でつまずく場面が出てきます。ビジネス文書検定は文書の型を学ぶ入口として使えて、発注側とのやり取りで役に立ちます。技術の裏付けを1つ足したいならAI・マーケティング・セキュリティのお仕事に、どの分野でどんな知識が求められているかが並んでいます。

副業と有給休暇の関係は、法律の側は意外にすっきりしています。勤め先ごとに別、労働時間は通算するが日数は通算しない、使い道は自由。ややこしくなるのは、就業規則の書き方と職場の運用がここに重なるところです。就業規則の該当ページを1回だけ読んでおくと、次に休みを取るときの段取りがはっきりします。

最後に、確かめる順番をもう一度並べておきます。まず雇用契約書で週の所定労働日数と所定労働時間を見て、比例付与の表のどの行に当たるかを決めます。次に就業規則で基準日の方式と、時間単位や半日単位の取得を認めているかを見ます。そのうえで人事または副業先の担当者に残日数を聞き、基準日から1年の期限をカレンダーに書き込みます。この4手順を年度の初めに一度やっておけば、掛け持ちでも有給休暇を取りこぼさずに使い切れます。制度の細かい解釈で迷ったときは、勤め先の所在地を管轄する労働基準監督署の総合労働相談コーナーが無料で答えてくれるので、自己判断で済ませずに確かめてください。

よくある質問

Q. 本業と副業先の両方から有給休暇をもらえますか?

もらえます。有給休暇は雇っている側ごとに発生するため、本業で6か月継続勤務して出勤率8割を満たせば本業の分が発生し、副業先でも同じ条件を満たせば別に発生します。厚生労働省の副業・兼業のガイドラインも、年次有給休暇は2社の労働時間を通算しないと明記しています。

Q. 副業先が週2日勤務だと何日もらえますか?

週の所定労働時間が30時間未満で週2日勤務なら、6か月時点で3日です。その後は1年6か月で4日、2年6か月で4日、3年6か月で5日、4年6か月で6日、5年6か月で6日、6年6か月以上で7日と増えます。週30時間以上働いている場合は日数が少なくても10日から始まります。

Q. 本業の有給休暇の日に副業先で働いてもよいですか?

法律は有給休暇の使い道に条件を付けていないため、条文の上では問題ありません。ただし副業が届出制の職場では届出が必要で、労務提供上の支障や競業など就業規則で制限できる事由に触れる場合は別の問題になります。就業規則の副業に関する条文を先に確かめてください。

Q. 業務委託の副業でも有給休暇は発生しますか?

発生しません。有給休暇は労働基準法が労働者に与えている権利で、業務委託や請負で仕事を受けている人は対象外です。ただし契約書の題名ではなく実態で判断されるため、時間と場所を指定され進め方も細かく指示される働き方なら、労働基準監督署の相談窓口で確かめる価値があります。

この記事について

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編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年2月16日最終更新:2026年9月30日
清水 智也

この記事を書いた人

清水 智也@SOHO編集部

採用コンサルタント・元人事部長

IT企業で人事部長として採用を統括。中小企業・スタートアップの採用支援を数多く担当し、無料採用の仕組み作りや求人戦略系の記事を執筆しています。

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個人事業主・フリーランスが使える公的補助金・助成金・給付金の申請ガイド

アウトソーシング・外注ガイド

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SNS運用・経理・広告など、業務のアウトソーシング(外注)を検討する企業・個人向け。費用相場・依頼の流れ・失敗しない選び方