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退職後の国民年金|切り替えの手続きと期限

@SOHO編集部
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退職後の国民年金|切り替えの手続きと期限

この記事のポイント

  • ✓退職後の国民年金の切り替えを
  • ✓第1号と第3号の分かれ目
  • ✓退職日の翌日から14日以内の期限

退職後の国民年金の手続きは、次の会社にすぐ入らない限り、退職日の翌日から14日以内に住所の市区町村で切り替えるのが基本です。配偶者の扶養に入るなら配偶者の会社を通じて、自分で保険料を払うなら市区町村の窓口かマイナポータルで届け出ます。

この記事では、退職後にどの区分に入るかの分かれ目、手続きの期限と持ち物、退職した月の保険料の考え方、払えないときの免除と猶予、独立して働く人が知っておきたい備えまでを順番に整理します。会社員のときは給与から自動で引かれていた年金を、初めて自分で扱う人に向けて、用語はその都度言い換えながら書きます。

退職後の国民年金で最初に押さえる結論

まず結論を3つにまとめます。

  • 退職して次の会社にすぐ入らないなら、国民年金の第1号被保険者か第3号被保険者に切り替える。何もしないままにはできない
  • 第1号への切り替えは、退職日の翌日から14日以内に住所の市区町村で届け出る
  • 保険料が払えないときは、放っておかずに免除を申請する。失業した人は、本人の前年の所得にかかわらず免除を受けられる特例がある

国民年金の加入者は3つの区分に分かれます。第1号被保険者は自営業、フリーランス、無職の人などで、保険料を自分で納めます。第2号被保険者は会社員や公務員で、厚生年金に入っている人です。第3号被保険者は、第2号の人に扶養されている配偶者で、保険料を自分で納める必要はありません。

会社を辞めると第2号ではなくなるので、第1号か第3号のどちらかに移ります。日本年金機構は次のように説明しています。

健康保険(協会けんぽ)および厚生年金保険に加入している被保険者が適用事業所を退職し、しばらく次の会社に入らない場合や自営業者等になった場合には、その期間は国民年金第1号被保険者の手続きを行い、国民年金保険料を納める必要があります。また、退職して配偶者が加入する健康保険の被扶養者となる場合には、国民年金第3号被保険者の手続きを行います。 出典: nenkin.go.jp

よくある勘違いは「次の仕事が決まるまでの数か月なら、手続きしなくても問題ない」というものです。届け出をしなくても、法律上は退職日の翌日から第1号の加入者になっています。手続きをしないと保険料が未納のまま積み上がり、後で説明するように、もしものときの年金を受け取れなくなるおそれがあります。

退職後に年金で迷う人が増えている背景

退職後の年金の手続きで迷う人が増えている背景には、働き方の変化があります。転職のあいだに数か月の空白を挟む人、早期退職して独立する人、定年前に会社を離れて業務委託で働く人が珍しくなくなりました。会社員のあいだは年金の手続きを意識することがほとんどないため、辞めて初めて自分で扱うことになります。

会社員のときの年金は、厚生年金の保険料が給与から引かれ、会社が同じ額を負担していました。国民年金の保険料もこの中に含まれているので、自分で別に払う必要はありませんでした。退職すると、この仕組みがまるごとなくなります。

国民年金の保険料は、令和8年度で1か月あたり17,920円です(国民年金保険料)。所得に関係なく定額で、年間にすると20万円を超えます。会社員のときは給与明細の中で見えていた額が、退職後は納付書や口座振替でまとまって出ていくので、負担を重く感じる人が多いのです。

もう1つの背景は、年金の手続きが健康保険の手続きと別に動いていることです。退職後の健康保険は、任意継続、国民健康保険、家族の扶養の3つから選びます。任意継続を選んだ人は健康保険の手続きを協会けんぽなどで済ませるため、市区町村の窓口に行く機会がなく、年金の切り替えだけが抜け落ちることがあります。健康保険を任意継続にしても、年金は国民年金への切り替えが必要です。厚生年金には任意継続の仕組みがないからです。

手続きが遅れると、日本年金機構から「届出はお済みですか(国民年金加入のご案内)」という通知が届く場合があります。通知が届いたら、その時点で早めに届け出れば大きな問題にはなりませんが、通知を待たずに自分から手続きするのが確実です。

第1号と第3号のどちらになるかの分かれ目

退職後にどちらの区分になるかは、配偶者の働き方と、自分が配偶者の扶養に入るかどうかで決まります。

自分の状況 退職後の区分 届け出の窓口
配偶者が会社員で、その扶養に入る 第3号被保険者 配偶者の勤務先
配偶者が会社員だが、扶養に入らない 第1号被保険者 住所の市区町村
配偶者がいない、または配偶者が自営業など 第1号被保険者 住所の市区町村

第3号になれるのは、厚生年金に入っている配偶者に扶養されている20歳以上60歳未満の人です。扶養の基準の1つは収入で、日本年金機構の案内では、年間収入が原則130万円未満とされています。60歳以上の人や障害のある人は180万円未満です。

ここで注意したいのは、年間収入には雇用保険の失業給付も含まれることです。日本年金機構は被扶養者の収入の考え方の中で、失業等給付や健康保険の傷病手当金も収入に含まれると説明しています。失業給付を受け取っている間は、日額によっては扶養に入れないことがあります。扶養に入れない期間は第1号として手続きし、失業給付の受け取りが終わってから第3号に切り替える流れになることもあるので、配偶者の勤務先に基準を確かめてください。

もう1つ見落としやすいのが、自分が会社員で、配偶者を扶養していた場合です。自分が退職すると、扶養されていた配偶者も第3号ではなくなります。日本年金機構は、この場合に配偶者も第1号の手続きをする必要があると明記しています。退職するときは、自分の分だけでなく、配偶者の年金の区分も一緒に変わることを覚えておいてください。夫婦2人分の保険料を自分たちで納めることになるので、家計への影響は大きくなります。

切り替えの手続きの期限と窓口と持ち物

第1号への切り替えの手続きは、次のとおりです。日本年金機構の国民年金に加入するための手続きに沿って整理します。

  • 手続き先:住所地の市区役所または町村役場
  • 提出書類:国民年金被保険者関係届書(申出書)
  • 提出期限:退職日の翌日から14日以内
  • 提出者:本人または世帯主
  • 電子申請:マイナポータルから届け出ることもできる

持ち物は、基礎年金番号で手続きするか、マイナンバーで手続きするかで変わります。

  • 基礎年金番号で手続きする場合:基礎年金番号通知書、または年金手帳など基礎年金番号が分かる書類
  • マイナンバーで手続きする場合:マイナンバーカード。持っていなければ、マイナンバーが分かる書類と、運転免許証などの身元を確認できる書類
  • 退職直後の場合:厚生年金をやめた日が分かる書類(離職票など)を求められることがある

離職票は会社がハローワークでの手続きを経て発行するもので、手元に届くまでに時間がかかることがあります。届くのを待っていると14日の期限に間に合わない場合もありますが、窓口によっては、健康保険の資格喪失証明書や退職証明書など、退職日が分かる別の書類で受け付けてくれます。期限に間に合わないと感じたら、先に窓口に電話して、手元にある書類で手続きできるかを確かめてください。

国民健康保険に入る人は、年金の手続きと同じ市区町村の窓口で済ませられます。国民健康保険の加入も、資格が変わった日から14日以内に届け出るのが原則です。札幌市の案内では、届け出が遅れると、届け出の前日までの医療費は原則として全額自己負担になり、保険料は資格が生じたときまでさかのぼって納めると説明しています(国保加入の届け出)。健康保険と年金は、同じ日に窓口でまとめて手続きすると手間が少なくなります。

第3号になる場合は、自分で市区町村に行く必要はありません。配偶者の勤務先に、被扶養者になるための届け出を出してもらいます。配偶者の会社から求められる書類(退職日が分かる書類、収入の見込みが分かる書類など)を早めに用意しておくと、手続きが止まりません。

退職した月の保険料はどうなるか

退職した月の保険料がどうなるかは、退職日が月末か月の途中かで変わります。ここは混乱しやすいので、日本年金機構の例に沿って整理します。

ポイントは、年金の資格を失う日が「退職日の翌日」であることと、保険料はその月の末日にどの区分にいるかで決まることです。

退職日 厚生年金の資格を失う日 国民年金の第1号になる日 保険料の考え方
3月31日 4月1日 4月1日 3月分までは厚生年金。4月分から国民年金
4月15日 4月16日 4月16日 4月分から国民年金。4月分の厚生年金はかからない

月末に退職した場合、退職した月の分まで厚生年金の保険料がかかり、給与から引かれます。翌月分から国民年金の保険料を納めます。

月の途中で退職した場合、退職した月の分の厚生年金の保険料はかからず、その月の分から国民年金の保険料を納めます。月の途中で辞めると厚生年金の保険料が1か月分少なくなりますが、代わりに国民年金の保険料がかかり、将来の年金は厚生年金の分が1か月短くなります。どちらがよいかは、退職日の前後の事情で変わるので、保険料の額だけで退職日を決めないことをおすすめします。

月の途中で退職し、同じ月のうちに次の会社に入った場合は、少し複雑です。日本年金機構の例では、4月1日から国民年金の第1号になり、4月16日から会社に入って厚生年金に加入し、4月21日にまた辞めた場合、4月分の国民年金の保険料を納める必要があり、4月に厚生年金に加入した分も会社から保険料を引かれるとしています。短い期間に入退社が重なると、同じ月に二重にかかることがあると覚えておいてください。

転職先がすでに決まっていて、退職日の翌日に次の会社に入る場合は、国民年金の手続きは要りません。次の会社で厚生年金に入るからです。1日でも空く場合は、その期間について切り替えが必要になることがあるので、入社日と退職日が連続しているかを確かめておくと安心です。

保険料の納め方と前納の割引

第1号になると、日本年金機構から納付書が届きます。納め方は5つあります。

  • 納付書で金融機関やコンビニで払う
  • 口座振替
  • クレジットカード
  • スマートフォンのアプリ
  • ねんきんネットに表示される納付情報を使ったペイジー

納付期限は、納める月の翌月末日です。どの方法でも手数料はかかりません。

まとめて前払いする前納を使うと、保険料が割り引かれます。日本年金機構の国民年金保険料の前納では、令和8年度の割引額が、毎月納める場合と比べて次のように示されています。

納め方 2年前納 1年前納 6か月前納
納付書・クレジットカード 16,010円 3,820円 870円
口座振替 17,370円 4,510円 1,220円

口座振替で納付月の末日に引き落とす早割でも、1か月あたり60円の割引があります。ただし、前納はまとまったお金が一度に出ていくので、退職直後で収入の見通しが立たない時期には向きません。次の仕事が落ち着き、収入が安定してから前納に切り替える流れが現実的です。

納めた国民年金の保険料は、所得税と住民税の計算で全額が社会保険料控除の対象になります。社会保険料控除とは、払った保険料の分だけ税金の計算のもとになる所得を減らせる仕組みのことです。年の途中で退職した場合は、会社の年末調整を受けられないことが多いので、確定申告で控除を受けます。日本年金機構から届く控除証明書を保管しておいてください。

払えないときの免除と納付猶予

退職して収入がなくなり、保険料を払うのが難しいときは、免除か納付猶予を申請します。払わずに放っておくのと、免除を受けるのとでは、将来の扱いが大きく違います。

免除とは、審査を通れば保険料の全額または一部を納めなくてよくなる仕組みです。免除の割合は、全額、4分の3、半額、4分の1の4種類です。納付猶予とは、20歳以上50歳未満の人を対象に、保険料の納付を後回しにできる仕組みです。

退職した人にとって大切なのが、失業による特例免除です。日本年金機構の保険料を納めることが経済的に難しいときには、失業や倒産、事業の廃止などの事実を確認できれば、失業した本人の前年の所得にかかわらず免除や納付猶予を受けられると書かれています。会社員だった前年の所得が多くても、失業を理由に申請できるということです。ただし、審査では配偶者や世帯主の所得も見られるので、家族に一定の所得があると全額免除にならないこともあります。

申請に必要な書類は、雇用保険に入っていた人なら次のいずれかの写しです。

  • 勤務先から交付される雇用保険被保険者離職票
  • ハローワークから交付される雇用保険受給資格者証、または雇用保険受給資格通知

申請先は住所の市区町村の国民年金の窓口か年金事務所で、郵送やマイナポータルでも申請できます。申請できるのは、納付期限から2年を過ぎていない期間です。

免除と未納の違いは次のとおりです。

区分 受給資格期間に数える 老齢基礎年金の額に反映 障害・遺族基礎年金の資格期間に数える
全額免除 数える 全額納めた場合の2分の1 数える
納付猶予 数える 反映しない 数える
未納 数えない 反映しない 数えない

いちばん大きな違いは、障害や死亡のときです。未納の期間があると、病気やけがで障害が残っても障害基礎年金を受け取れない場合があります。退職して体調を崩すことも、事故にあうこともありえます。払えないときは、未納のままにせず免除を申請することが、自分と家族を守る手段になります。

免除や猶予を受けた期間の保険料は、10年以内であれば後から納める追納ができます。追納すると、老齢基礎年金の額を全額納めた場合に近づけられます。ただし、承認を受けた年度の翌年度から数えて3年度目以降に追納すると、当時の保険料に加算額が上乗せされます(国民年金保険料の追納制度)。収入が安定したら、早めに追納するほうが負担は軽くなります。

子育て中の人が使える育児免除

令和8年10月から、国民年金に育児免除の制度が新しく始まりました。子育て中に退職した人や、退職して独立した人に関わる制度です。

日本年金機構の国民年金保険料の育児免除制度によると、国民年金の第1号被保険者で、1歳になるまでの子を育てている実父母と養父母は、届け出をすれば所得に関係なく保険料が免除されます。対象になるのは令和8年10月1日以降の月の分です。

免除される期間は、立場によって違います。

  • 産前産後の免除期間がある実母:産前産後の免除期間に続く9か月間
  • 実父、養父母、産前産後の免除期間がない実母:子を育て始めた月から、子が1歳になる誕生日の前月までの最大12か月間

夫婦がどちらも第1号被保険者なら、夫婦ともに対象になります。たとえば、会社を辞めて夫婦でフリーランスとして働いている家庭では、2人分の保険料が免除される期間ができます。

制度が始まる前から子を育てていて、令和8年10月の時点で子が1歳未満の場合も、10月以降の月の分が対象になります。日本年金機構の例では、子の出産日が令和8年1月1日の実母の場合、令和8年10月から12月までの3か月間が育児免除の期間になります。

出産を予定している人は、育児免除とは別に、産前産後の期間の保険料が免除される制度もあります。どちらも届け出が必要で、何もしなければ免除にはなりません。子どもが生まれる前後に退職する人は、年金の切り替えと合わせて、市区町村の窓口でこれらの届け出もできるか確かめてください。

独立して働く人が知っておきたい年金の備え

退職して業務委託やフリーランスとして働く場合、将来の年金は国民年金だけになります。老齢基礎年金の満額は、昭和31年4月2日以後生まれの人で年847,300円です(令和8年度)。会社員として厚生年金に入っていた期間がある人は、その分の老齢厚生年金も受け取れますが、独立後の期間は上乗せがありません。

国民年金だけでは老後の生活費が足りないと感じる人のために、自分で上乗せする方法がいくつかあります。

  • 付加保険料:月額400円を国民年金の保険料に上乗せして納めると、将来の老齢基礎年金が増える
  • 国民年金基金:第1号被保険者が任意で入る、国民年金に上乗せする公的な年金
  • iDeCo(個人型確定拠出年金):自分で掛金を出して運用し、老後に受け取る制度

付加保険料と国民年金基金は同時には入れないなど、組み合わせに決まりがあります。どれも免除を受けている期間は使えないことが多いので、まずは国民年金の保険料をきちんと納め、収入が安定してから上乗せを考える順番がよいでしょう。

独立後の老後の備えをもっと詳しく知りたい人には、年金と資産形成の考え方を整理したフリーランス 老後の不安を解消!2026年最新の年金・資産形成術が参考になります。定年の前後に会社を離れて独立を考えている人は、退職金の使い方や独立の段取りを扱った定年後のフリーランス独立|退職金を活かした起業プランと注意点もあわせて読んでみてください。

健康保険も同じように自分で選んで払うことになります。国民健康保険の仕組みや保険料の考え方はフリーランス 国民健康保険の全て!仕組みから節約術まで徹底解説で詳しく扱っています。年金と健康保険は退職後の固定費の中心になるので、2つをまとめて見通しを立てておくと、独立後の家計が安定します。

未納の期間があると障害年金と遺族年金はどうなるか

退職後の年金の手続きを後回しにしたときにいちばん困るのは、老後の年金が減ることよりも、病気やけがのときに障害基礎年金を受け取れなくなることです。障害基礎年金とは、病気やけがで一定の障害が残ったときに、年齢にかかわらず受け取れる年金のことです。遺族基礎年金は、加入者が亡くなったときに、子のある配偶者や子が受け取れる年金です。

どちらも、受け取るには保険料をきちんと納めていたかという条件があります。日本年金機構の説明では、次のどちらかに当てはまると支給されません。

  • 初診日の属する月の前々月までの加入期間のうち、保険料を納めた期間と免除を受けた期間を合わせても3分の2に満たない
  • 初診日の属する月の前々月までの1年間に、保険料の未納がある

初診日とは、障害の原因になった病気やけがで、初めて医師の診察を受けた日のことです。死亡の場合は、死亡日の属する月で同じように数えます。

2つ目の条件は特に重要です。会社員として長く厚生年金に入っていた人でも、退職後の直近1年間に未納の月があると、条件を満たさなくなるおそれがあります。しかも日本年金機構は、事故や病気が起きてからさかのぼって免除を申請しても、障害基礎年金の納付の条件には算入されないと説明しています。つまり、何か起きてからでは間に合わないということです。

一方で、免除や納付猶予を受けた期間は、この条件の計算で納めた期間と同じように数えられます。払えないなら払えないなりに、免除の申請だけは先に済ませておく。これが、退職後の年金の手続きでいちばん守りたい点です。

退職して独立した直後は、仕事の立ち上げで生活が不規則になり、体調を崩しやすい時期でもあります。健康なうちは実感しにくいのですが、年金は老後のためだけでなく、働けなくなったときの保険の役割も持っています。この役割を失わないために、切り替えと納付、または免除の申請を、退職後の最初の手続きとして片づけておいてください。

60歳前後で退職した人の手続き

国民年金の第1号被保険者になるのは、20歳以上60歳未満の人です。60歳以降に会社を辞めた人は、原則として国民年金に入る義務はなく、保険料を納める必要もありません。定年や早期退職で60歳前後に会社を離れる人は、ここで扱いが分かれるので注意してください。

60歳になる前に退職した場合は、60歳になるまでの期間について第1号の手続きをして、保険料を納めます。たとえば58歳で早期退職した人は、60歳になるまでの約2年間、国民年金の保険料がかかります。

60歳以降については、任意加入という仕組みがあります。日本年金機構の説明では、60歳以上で老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていない人や、納めた期間が短くて満額の老齢基礎年金を受け取れない人は、65歳になるまで国民年金に任意で加入できます。学生時代に保険料を納めていなかった期間がある人などは、任意加入で将来の年金を満額に近づけられます。

任意加入するかどうかを考えるときは、次の点を確かめてください。

  • ねんきんネットや年金事務所で、これまでに保険料を納めた月数を確かめる。40年分(480か月)納めていれば満額
  • 足りない月数と、65歳までに任意加入できる月数を比べる
  • 任意加入している間は、保険料の免除や納付猶予を申請できない

任意加入の保険料は、通常の国民年金と同じ額です。将来の年金の増え方と、いま払う保険料の負担を比べて決めることになります。年金をいつから受け取るか、退職金をどう使うかとも関わるので、年金事務所で自分の記録をもとに相談すると、具体的な数字で判断できます。

配偶者がいる場合も確かめておきたいことがあります。自分が会社員で、扶養していた配偶者が第3号被保険者だった場合、自分が退職すると、配偶者が60歳未満なら第1号への切り替えが必要になります。夫婦の年齢差によっては、自分が60歳を過ぎてからも、配偶者の分の保険料を数年にわたって納めることになります。

退職後の年金の手続きでよくあるつまずき

退職後の年金の手続きで、多くの人がつまずく場面を挙げます。どれも事前に知っていれば防げるものです。

1つ目は、健康保険を任意継続にしたので、年金の手続きも済んだと思い込むことです。任意継続は健康保険だけの仕組みで、年金は別に国民年金への切り替えが必要です。任意継続の手続きは協会けんぽで済むため、市区町村の窓口に行く機会がなく、年金だけが抜け落ちます。

2つ目は、自分の分だけ手続きして、扶養していた配偶者の切り替えを忘れることです。自分が退職すると配偶者も第3号でなくなり、第1号への切り替えが必要になります。配偶者の分も同じ窓口で手続きできるので、夫婦そろって窓口に行くか、必要な書類を預かっていくと確実です。

3つ目は、失業による特例免除が翌年度も続くと思い込むことです。日本年金機構の説明では、全額免除や納付猶予の承認を受けた人は、希望すれば翌年度以降も継続して審査されますが、失業による特例免除で承認された人は翌年度も申請が必要です。免除の審査は年度ごとに行われるので、承認の通知に書かれた期間を確かめ、翌年度分をいつから申請できるかを窓口で聞いて、申請し直す時期を予定に入れておいてください。

4つ目は、確定申告で国民年金の保険料の控除を忘れることです。年の途中で退職して会社の年末調整を受けていない人は、自分で確定申告をしないと、納めた保険料の分の控除を受けられません。控除を受けると、払いすぎた所得税が戻ってくることがあります。

5つ目は、納付書を受け取ったまま、払えないと思って何もしないことです。納付書が届いても、払えないなら免除を申請すれば未納にはなりません。納付期限から2年を過ぎると、保険料は納められなくなります。払えるようになったときにさかのぼって納められるのは2年分までなので、払えない時期は免除、払えるようになったら納付か追納、という切り替えを意識してください。

退職から切り替えまでの手順を整理する

ここまでの内容を、退職から年金の切り替えが終わるまでの手順として整理します。

  1. 退職日と次の会社の入社日を確かめる。1日も空かずに次の会社に入るなら、国民年金の手続きは要らない
  2. 配偶者の扶養に入るかどうかを決める。入るなら配偶者の勤務先に届け出を頼む
  3. 第1号になる場合は、退職日の翌日から14日以内に住所の市区町村で届け出る。マイナポータルからでもよい
  4. 国民健康保険に入るなら、同じ窓口で一緒に手続きする
  5. 保険料が払えないなら、同じ窓口で失業による特例免除を申請する。離職票などの写しを持っていく
  6. 配偶者を扶養していた場合は、配偶者の第1号への切り替えも忘れずに行う
  7. 収入が安定したら、口座振替や前納に切り替え、免除を受けた期間は追納を考える

退職直後は、健康保険、年金、住民税、雇用保険と手続きが重なります。年金は14日という短い期限があるので、退職したらまず健康保険と年金から手をつけると、手続きの漏れを防げます。

手続きを済ませたら、ねんきんネットに登録しておくと、自分の加入記録や保険料の納め方をいつでも確かめられます。退職と転職を繰り返すと、記録に抜けや重なりが生じることがあるので、年に1回は記録を見ておくと安心です。

独立した人の働き方の現場から見えること

在宅ワークと業務委託の仲介を20年以上続けてきた運営者として見てきた限りでは、会社を辞めて独立した人のうち、最初の1年で年金や健康保険の手続きにつまずく人は少なくありません。特に多いのが、退職直後に仕事の立ち上げに追われて国民年金の切り替えを後回しにし、半年ほどたってから未納に気づく例です。仕事が軌道に乗る前の時期こそ、固定費の手続きを先に片づけておくと、後で慌てずに済みます。

もう1つ見えてきた傾向は、独立後に長く続く人ほど、収入を「額面」ではなく「手取り」で考えているということです。会社員のときは会社が負担していた年金と健康保険の保険料を、独立後はすべて自分で納めます。同じ報酬でも、間に入る業者の手数料が乗らない直接取引なら手取りが厚くなり、保険料を払ったあとに手元に残る額に差が出ます。報酬の額だけでなく、どれだけ手元に残るかで仕事を選ぶ視点が、独立後の家計を支えます。

独立して受けられる仕事の種類は、職種ごとの案内で確かめられます。会社員のときの業務の知識を活かして企業のAI活用を手伝う仕事はAIコンサル・業務活用支援のお仕事で紹介しています。研究職や専門職の経験がある人は、研究者の年収・単価相場で業務委託の相場を確かめてから、独立後の収入と年金や健康保険の負担を見比べてみてください。年金の切り替えを済ませておけば、次の働き方を落ち着いて選べます。

よくある質問

Q. 退職後に国民年金の手続きをしないとどうなりますか?

届け出をしなくても、法律上は退職日の翌日から第1号被保険者になっています。手続きをしないと保険料が未納のまま積み上がり、日本年金機構から加入の案内や納付の勧奨が届きます。未納の期間があると、病気やけがで障害が残ったときに障害基礎年金を受け取れない場合があるので、早めに届け出てください。

Q. 退職後の国民年金の切り替えはいつまでにすればよいですか?

第1号被保険者への切り替えは、退職日の翌日から14日以内に住所の市区町村で届け出ます。マイナポータルからの電子申請もできます。配偶者の扶養に入って第3号被保険者になる場合は、配偶者の勤務先を通じて届け出ます。

Q. 失業中で国民年金の保険料が払えないときはどうすればよいですか?

失業による特例免除を申請できます。離職票や雇用保険受給資格者証などの写しを添えて申請すると、失業した本人の前年の所得にかかわらず審査されます。配偶者や世帯主の所得も審査されるため、全額免除にならないこともあります。申請先は市区町村の国民年金の窓口か年金事務所です。

Q. 転職先が決まっていても国民年金の手続きは必要ですか?

退職日の翌日に次の会社に入社し、そこで厚生年金に加入するなら、国民年金の手続きは必要ありません。退職日と入社日のあいだに1日でも空きがある場合は、その期間について第1号被保険者の手続きが必要になることがあるので、市区町村の窓口に確かめてください。

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年10月13日最終更新:2026年10月28日
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