業務委託に有給はあるか|休みの扱いと契約


この記事のポイント
- ✓業務委託に有給休暇はあるのかを
- ✓労働基準法の仕組みから説明します
- ✓働き方の実態で労働者に当たる場合
業務委託で働いていると、「休みたい日があるけれど、有給休暇は使えるのか」という疑問にぶつかります。結論から言うと、業務委託契約には有給休暇はありません。有給休暇は労働基準法で雇われている人(労働者)に与えられる権利で、業務委託を受ける個人事業主はその対象ではないためです。
ただし、話はそこで終わりません。契約の名前が業務委託でも、働き方の実態が雇われている人と同じなら、労働者として有給休暇を求められる可能性があります。また、業務委託のままでも、休み方を契約で決めておけば、収入を大きく崩さずに休むことができます。この記事では、有給休暇の仕組み、業務委託にない理由、実態で判断される場合の見分け方、休みを確保する契約の決め方、病気や出産のときに使える制度までを順に整理します。
有給休暇とは:法律で決まっている休みの仕組み
有給休暇(年次有給休暇)とは、休んでも給料が支払われる休みのことです。労働基準法第39条で、会社が労働者に与えなければならないと決められています。
条文の内容を言い換えると、次のようになります。
- 雇われた日から6か月続けて働き、決められた労働日の8割以上出勤した人には、10日の有給休暇を与える
- その後は1年ごとに日数が増え、6年6か月以上続けて働くと1年あたり20日になる
- 週の労働日数が少ないパートタイムの人にも、日数に応じた有給休暇がある
- 労働者が休みたい時期を指定したら、会社は原則としてその時期に休ませる
ここで大事なのは、有給休暇は「会社が雇っている労働者」に与える義務として書かれている点です。会社が業務を頼んでいる外部の事業者は、この条文の対象に入っていません。
| 続けて働いた期間 | 有給休暇の日数 |
|---|---|
| 6か月 | 10日 |
| 1年6か月 | 11日 |
| 2年6か月 | 12日 |
| 3年6か月 | 14日 |
| 4年6か月 | 16日 |
| 5年6か月 | 18日 |
| 6年6か月以上 | 20日 |
上の表は、週5日など通常の日数で働く労働者の場合です。会社員として働いていれば、この日数の休みは給料を減らさずに取れます。業務委託に移ると、この仕組みがなくなるという点を、まず押さえておいてください。
条文そのものは、e-Govの労働基準法で確認できます。
業務委託に有給休暇がない理由
業務委託とは、会社が自社の外にいる人や事業者に、仕事の一部を頼む契約のことです。頼まれた側は会社に雇われているのではなく、独立した事業者として仕事を引き受けます。求人サイトの解説記事でも、この点ははっきり書かれています。
では、業務委託契約で仕事をするフリーランスはどうなるのでしょうか。結論から言うと、業務委託契約においては有給休暇は発生しません。 出典: gigabaito.com
雇用契約と業務委託契約の違いを並べると、有給休暇がない理由が見えてきます。
| 項目 | 雇用契約 | 業務委託契約 |
|---|---|---|
| 立場 | 会社に雇われる労働者 | 独立した事業者 |
| 報酬の考え方 | 働いた時間への給料 | 仕事の遂行や成果への報酬 |
| 働く時間と場所 | 会社が決める | 原則として自分で決める |
| 労働基準法 | 適用される | 原則として適用されない |
| 有給休暇 | ある | ない |
| 社会保険 | 会社の健康保険と厚生年金 | 国民健康保険と国民年金 |
業務委託で働く人は、いつ、どこで、どのように仕事を進めるかを自分で決められる立場にあります。休みも自分で決められる代わりに、休んだ分の報酬は出ないという考え方です。
業務委託の契約には、大きく分けて「請負」と「準委任」の2つがあります。請負は、成果物を完成させて納めることに報酬が支払われる契約です。準委任は、決められた業務を行うこと自体に報酬が支払われる契約です。どちらの場合も有給休暇はありませんが、休んだときに報酬がどうなるかは、この違いで変わります。後の節で詳しく説明します。
なお、業務委託の契約書に「有給休暇」や「特別休暇」という言葉が書かれていることがあります。これは法律上の有給休暇ではなく、当事者どうしが合意した取り決めです。たとえば「年間5日までは休んでも月額を減らさない」という約束であれば、それは契約の内容として有効に働きます。法律で決まっていないからこそ、こうした取り決めは交渉で決めることができます。
「業務委託なのに休めない」は労働者に当たる可能性がある
契約書の名前が業務委託でも、実際の働き方が雇われている人と変わらない場合があります。その場合、労働基準法の労働者に当たると判断され、有給休暇を含む労働者の権利が認められる可能性があります。
厚生労働省は、労働者に当たるかどうかを契約の形式ではなく実態で判断すると説明しています。
「使用従属性」が認められるかどうかは、請負契約や委任契約といった契約の形式や名称にかかわらず、契約の内容、労務提供の形態、報酬その他の要素から、個別の事案ごとに総合的に判断されます。 出典: 厚生労働省
使用従属性とは、相手の指示のもとで働き、その働きへの対価として報酬を受け取っている関係のことです。厚生労働省のページでは、判断の材料として次のような点が挙げられています。
- 仕事の依頼や指示を断る自由があるか
- 仕事の進め方について、細かな指揮命令を受けているか
- 働く時間と場所が決められ、管理されているか
- 自分の代わりに別の人に仕事をさせることが認められているか
- 報酬が、成果ではなく働いた時間に対して支払われているか
これに加えて、仕事に使う機材や費用を自分で負担しているか、ほかの会社の仕事を受けることが制限されていないか、といった点も補強の材料になります。
これらの判断は、1つの項目で決まるものではなく、全体を見て総合的に行われます。実際に労働者に当たるかどうかは個別の事情で変わるので、自分だけで結論を出さないことが大切です。全国の労働基準監督署には「労働者性に疑義がある方の労働基準法等違反相談窓口」が設けられており、自分の働き方が労働者に当たるかもしれないと考えるフリーランスの相談を受け付けています。
自分の働き方を確かめるチェックポイント
自分の働き方が業務委託として適切かどうかを、日々の状況から確かめてみます。次の項目に多く当てはまるほど、雇われている人に近い働き方をしていることになります。
- 始業と終業の時刻が決められ、遅刻や早退を注意される
- 休む日を事前に申請し、許可をもらう必要がある
- 仕事の手順を細かく指示され、自分の判断で進め方を変えられない
- 依頼された仕事を断ると、契約を打ち切ると言われる
- 報酬が時給や日給で計算され、成果の出来とは関係なく支払われる
- パソコンや作業場所を会社が用意し、費用を自分で負担していない
- 他社の仕事を受けることを禁止されている
多く当てはまる場合は、契約の内容と実際の働き方がずれていないかを見直すきっかけにしてください。会社に契約内容の見直しを相談する、雇用契約への切り替えを求める、労働基準監督署の窓口に相談する、といった道があります。
反対に、ほとんど当てはまらない場合は、業務委託として自分で働き方を決められる立場にあるということです。その場合は、次の節で説明するように、休みを契約で決めておく方向で考えます。
請負と準委任で、休んだときの報酬はどう変わるか
業務委託では、休んだ日の報酬は出ません。ただし、休みが報酬にどう響くかは契約の形で違います。
請負の場合、報酬は成果物を納めたことに対して支払われます。納期までに完成させれば、その途中で何日休んでも報酬は変わりません。たとえば、30日後が納期のWebサイト制作であれば、作業を前倒しして1週間の休みを取ることもできます。休みを取りやすい反面、納期に遅れると報酬の支払いが遅れたり、損害の責任を問われたりする可能性があります。
準委任の場合、報酬は業務を行ったことに対して支払われます。1か月の稼働時間に幅を決め、その範囲で働けば決まった額が支払われる形が多く見られます。たとえば「1か月140時間から180時間、月額50万円、140時間を下回ったら1時間あたり3,500円を減額」という決め方です。この場合、休みを取って稼働が下限を下回れば、その分の報酬が減ります。
| 契約の形 | 休んだときの報酬 | 休みを取るときの注意 |
|---|---|---|
| 請負 | 納期に間に合えば変わらない | 納期と品質を守れる計画を立てる |
| 準委任(月額の幅あり) | 下限を下回ると減額 | 稼働時間の下限と減額の計算方法を確かめる |
| 準委任(時間単価) | 休んだ時間の分だけ減る | 1か月の収入の見通しを立てておく |
自分の契約がどの形か、休んだときにどう計算されるかを、契約書で確かめておいてください。分からなければ、発注先に「稼働が下限を下回った月はどう精算されますか」と聞いておくと、後の食い違いを防げます。
休みを確保するための契約の決め方
業務委託には有給休暇がない以上、休みは契約で決めておくのが基本です。契約を結ぶとき、または更新するときに、次のような項目を入れておくと安心です。
1つ目は、休業の期間と連絡の方法です。年末年始や夏季などに、あらかじめ休む期間を決めておきます。例として、次のような書き方があります。
「受託者は、年末年始(12月29日から1月3日まで)および夏季(8月中の連続5日間)を休業期間とし、この期間は業務を行わない。夏季の休業期間は、受託者が7月1日までに委託者に通知する。」
2つ目は、休業期間中の対応の範囲です。システムの保守などで緊急の連絡が想定される場合、休みの間にどこまで対応するかを決めておきます。「休業期間中の障害対応は行わない。ただし、委託者が別に依頼した場合は、時間単価を1.5倍とする」のように、対応する場合の条件を決めておく方法もあります。
3つ目は、稼働時間の計算から休業期間を除くかどうかです。準委任で月額の幅がある場合、休業期間を含む月の下限を引き下げる取り決めにしておくと、休んだ月に減額されずに済みます。
4つ目は、体調不良や家族の事情で急に休む場合の連絡と、代わりの日程の決め方です。急な休みは避けられないので、連絡の手段と、作業日を後ろにずらすときの手順を決めておくと、相手も対応しやすくなります。
契約書の作り方は、フリーランスの業務委託契約書テンプレート|最低限入れるべき10項目で、入れておくべき項目を整理しています。また、受け取った契約書を確認するときは、フリーランスの業務委託契約のチェックポイント10選が役立ちます。休みの取り決めを含め、署名の前に見ておきたい点がまとまっています。
契約を結ぶ前に、休みについて確かめたい質問
休みの扱いは、契約を結んでからでは変えにくくなります。新しい取引先と話を進める段階で、次のような質問をしておくと、後の食い違いを防げます。
- 年末年始や夏季に、決まった休業期間はありますか。発注先の会社が休みの期間に、こちらも作業を止めてよいですか
- 1か月の稼働時間に下限がある場合、休業期間を含む月の下限はどう扱われますか
- 体調不良などで急に休む場合、連絡はどの手段で、誰に入れればよいですか
- 休みの間に急ぎの対応が必要になる業務はありますか。ある場合、対応の条件はどうなりますか
- 仕事の一部を、自分が信頼する別の事業者に任せることは認められますか
これらの質問は、相手にとっても仕事の段取りを考える材料になります。答えをもらったら、口頭のままにせず、契約書に書き込むか、少なくともメールで確認しておくことが大切です。メールで確認する場合は、「本日のお打ち合わせで確認した内容を、念のためお送りいたします」と書き出し、決まった内容を箇条書きで並べると、相手も読み返しやすくなります。
質問への答え方から、取引先の考え方も見えてきます。休みの相談に具体的に答えてくれる相手は、業務委託の立場を理解している相手です。反対に、「休みは困る」「常に連絡がつくようにしてほしい」といった答えが返ってくる場合は、実態として雇われている人と同じ働き方を求められていないかを、契約前に考え直すきっかけにしてください。
長期休暇を取るときの段取り
業務委託で1週間以上の休みを取りたいときは、早めの相談と準備が欠かせません。次の順で進めると、取引先との関係を崩さずに休めます。
- 休みの1か月から2か月前に、取引先へ時期と期間を伝える
- 休みの間に止まる仕事と、前倒しで終わらせる仕事を一覧にする
- 休みの前に終わらない仕事は、納期の調整を相談する
- 休みの間の連絡先と、緊急時の対応の有無を伝える
- 休みが明けた日の作業予定を、先に共有しておく
取引先に伝えるときは、メールで日付と範囲を明記しておくと、後で確認できる記録になります。例文を載せておきます。
「〇〇株式会社 △△様。いつもお世話になっております。□□です。8月10日から8月16日までの7日間、休業をいただきたく、ご相談いたします。この期間に予定していた月次の集計作業は、8月8日までに前倒しで納品いたします。休業期間中はメールの確認ができませんが、8月17日の午前中に返信いたします。ご都合の悪い点がございましたら、7月25日までにお知らせいただけますと幸いです。」
自分の仕事を別のフリーランスに一時的に任せる方法もあります。ただし、仕事を他人に任せること(再委託)が契約で認められているかを先に確認する必要があります。無断で任せると、契約違反になる可能性があります。再委託のルールは、フリーランスの再委託ルール|下請けに出す際の契約・法的注意点で詳しく説明しています。
休む分を報酬に織り込む考え方
有給休暇がない業務委託では、休む日の分の収入を、はじめから報酬の単価に含めておく考え方が大切です。ここ、意外と見落とされがちです。会社員時代の月給をそのまま業務委託の月額と比べてしまうと、休みの分だけ収入が目減りします。
具体的な計算で考えてみます。会社員として年間の休日が120日、有給休暇が10日ある人は、1年間に働く日がおよそ235日です。休む日もすべて給料が出ています。
一方、業務委託で年間の目標収入を600万円とし、年末年始や夏季、体調不良などで年間20日休むと見込むとします。土日を除いた平日がおよそ245日あるとすると、実際に働ける日は225日程度です。
この場合、1日あたりの単価は次のようになります。
600万円 ÷ 225日 = 約26,700円
休みを考えずに245日で割ると約24,500円になるので、1日あたり2,200円ほどの差があります。休みの分を単価に織り込んでおかないと、休むたびに目標の収入を割り込むことになります。
さらに業務委託では、会社が負担していた健康保険と厚生年金の保険料の分や、パソコン、通信費などの経費も自分で負担します。単価を決めるときは、休みの分に加えて、これらの費用も含めて考える必要があります。単価の交渉が苦手でも、「この単価には年間20日の休業と、機材の費用が含まれています」と根拠を示せば、相手にも伝わりやすくなります。
休みの記録と請求書の書き方
業務委託で休みを取った月は、請求書と稼働の記録の書き方にも気を配る必要があります。特に準委任で稼働時間を報告する契約では、休んだ日が記録から読み取れるようにしておくと、精算の食い違いを防げます。
稼働の記録は、日付、作業の時間、作業の内容を1日ごとに残します。休業の日は「休業(事前通知済み)」のように書いておくと、後から見たときに、無断で作業をしなかったのか、取り決めどおりに休んだのかが区別できます。表計算ソフトで次のような形にしておけば、月末の集計も簡単です。
| 日付 | 作業時間 | 作業の内容 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 8月7日 | 8時間 | 月次の集計、報告書の作成 | 休業前の前倒し分を含む |
| 8月8日 | 6時間 | 集計結果の確認と納品 | なし |
| 8月10日から16日 | 0時間 | なし | 休業(7月1日に通知済み) |
| 8月17日 | 7時間 | 休業中の連絡への返信、作業の再開 | なし |
請求書には、契約で決めた月額と、稼働時間の合計、減額や追加がある場合はその計算の根拠を書きます。休業期間を稼働の計算から除く取り決めがある場合は、「休業期間(8月10日から16日)は契約第〇条により稼働時間の計算から除く」と一行添えておくと、相手の経理担当者にも伝わります。
また、取引先との連絡で休みの時期を伝えたメールは、そのまま保存しておいてください。後から「聞いていない」と言われたときに、事前に伝えた記録として使えます。契約書、通知のメール、稼働の記録、請求書の4つが揃っていれば、休みをめぐるトラブルはほとんど防げます。
会社員の副業として業務委託を受けている場合
会社に勤めながら、副業として業務委託の仕事を受けている人もいます。この場合、本業の会社では有給休暇がありますが、副業の業務委託には有給休暇はありません。2つの契約は別のものとして扱われます。
本業の有給休暇を使って副業の仕事をすること自体は、有給休暇の使い道を会社が制限できないため、一般に問題にはなりません。ただし、本業の就業規則で副業の届け出や許可が必要とされている場合は、そのルールに従う必要があります。また、本業と競合する会社の仕事を受けることや、本業の秘密を使うことは、副業が認められている会社でも禁止されていることが多いので、就業規則を確認してください。
副業の業務委託で休みを取りたいときも、考え方は専業のフリーランスと同じです。休む時期を早めに伝え、仕事を前倒しにし、休みの分を単価に織り込みます。副業では稼働できる時間が限られるため、本業の繁忙期に合わせて副業の休業期間を決めておくと、無理なく両立できます。
副業の所得が年間20万円を超える場合は、確定申告が必要になります。所得とは、報酬から経費を引いた額のことです。休んだ月の報酬が減っても、1年間の合計で判断します。
業務委託と雇用、どちらの働き方を選ぶか
ここまで見てきたように、業務委託には有給休暇がなく、休みは自分で設計する必要があります。これから働き方を選ぶ人は、休みの面から次のように考えると判断しやすくなります。
雇用契約が向いているのは、休みの日数と収入の安定を優先したい人です。有給休暇に加え、病気のときの傷病手当金、出産や育児のときの休業給付など、休むときの支えが制度として用意されています。
業務委託が向いているのは、休む時期と長さを自分で決めたい人です。繁忙期に集中して働き、閑散期にまとまった休みを取る、といった働き方ができます。その代わり、休みの分を単価に織り込み、病気やけがへの備えを自分で用意する必要があります。
どちらか一方に決めずに、雇用の仕事と業務委託の仕事を組み合わせる人も増えています。短時間のパートで社会保険と有給休暇を確保し、残りの時間で業務委託の仕事を受ける、という形です。自分にとって休みと収入のどちらを優先したいかを整理してから、働き方を選んでください。
病気やけがで働けないとき
業務委託で働く人が病気やけがで休むときは、会社員よりも使える制度が少ないことを知っておく必要があります。
会社員であれば、健康保険から傷病手当金が出ます。傷病手当金とは、病気やけがで働けない間に、健康保険から給料の一部が支払われる制度のことです。しかし、フリーランスが加入する国民健康保険には、原則としてこの傷病手当金がありません。働けない期間は、収入がそのまま止まります。
仕事中のけがについては、2024年11月1日から、企業などから業務委託を受けているフリーランスが、業種を問わず労災保険に「特別加入」できるようになりました。厚生労働省のフリーランスの労災保険の特別加入の案内によると、特別加入すると、仕事中や通勤中のけがや病気、死亡について補償を受けられます。加入は、特別加入団体を通して手続きします。保険料は自分で払う必要があり、選ぶ給付の基礎となる日額によって変わります。
仕事に関係のない病気やけがに備えるには、民間の保険を使う方法があります。働けない間の収入の一部を補う所得補償保険などがあり、保険料と補償の内容は保険会社によって違います。加入するかどうかは、手元の貯金でどのくらいの期間を乗り切れるかと合わせて考えるのが現実的です。
また、病気で国民年金保険料の支払いが難しくなったときは、免除や猶予の制度があります。前年の所得が一定以下であることなどが条件で、申請は市区町村の窓口で行います。保険料を払わずに放置すると、将来の年金や、障害を負ったときの年金を受け取れなくなる可能性があるので、払えないときは申請しておくことが大切です。
急な体調不良で休むときは、取引先への連絡を早く、短く入れることを優先します。例として、次のような文面があります。
「〇〇株式会社 △△様。□□です。体調不良のため、本日と明日の作業をお休みさせていただきます。本日締め切りの報告書は、明後日の正午までに納品いたします。ご迷惑をおかけし申し訳ございません。急ぎのご用件がございましたら、メールでお知らせください。」
休む期間、遅れる作業とその新しい期限、連絡の方法の3つを入れておけば、相手は次の段取りを考えられます。回復の見込みが立たない場合は、その旨を早めに伝え、納期の調整や、別の人への引き継ぎを相談してください。黙って作業を止めてしまうと、契約の打ち切りにつながりやすくなります。
出産・育児・介護で休むとき
業務委託で働く人にも、出産や育児、介護と仕事を両立するための制度があります。
まず、2024年11月に施行されたフリーランス法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)では、6か月以上続く業務委託について、発注事業者はフリーランスからの申し出に応じて、妊娠、出産、育児、介護と仕事を両立できるよう必要な配慮をしなければならないとされています。6か月未満の業務委託でも、配慮するよう努める必要があります。配慮の例としては、作業日や時間の調整、オンラインでの打ち合わせへの切り替え、納期の調整などが考えられます。ただし、これは休みを取る権利ではなく、配慮を求められる仕組みです。どのような配慮をするかは、発注事業者との話し合いで決まります。
同じ法律では、6か月以上続く業務委託を解除するときや更新しないときは、原則として30日前までに予告しなければならないとも決められています。出産や育児を理由にした申し出をきっかけに、予告なく契約を打ち切られた場合は、相談窓口に相談できます。
国民年金には、出産したときに保険料が免除される制度があります。日本年金機構の案内によると、出産予定日または出産日の月の前月から4か月間、国民年金保険料が免除され、免除の期間も保険料を払ったものとして年金額に反映されます。さらに、2026年10月から「育児免除制度」が始まり、1歳までの子を育てる国民年金の加入者は、所得に関係なく、子が1歳になるまでの期間の保険料が免除されるようになりました。父母のどちらも対象になります。手続きは、住んでいる市区町村の国民年金の窓口で行えます。
国民年金保険料は令和8年度で1か月あたり17,920円なので、免除される期間が長いほど家計への効果は大きくなります。出産や育児の予定がある人は、早めに窓口で確認してください。
契約を打ち切られた、報酬を減らされたときの相談先
休みを取ったことを理由に契約を打ち切られた、報酬を一方的に減らされた、といったトラブルが起きたときは、ひとりで抱えずに相談先を使ってください。
フリーランス法では、取引条件の明示、受け取った日から60日以内の支払期日の設定、報酬の不当な減額の禁止などが決められています。条件を書面やメールで受け取っていない、決めた額から一方的に減らされた、といった場合は、この法律に照らして相談できます。
主な相談先は次のとおりです。
- フリーランス・トラブル110番:契約や報酬のトラブルを、弁護士に無料で相談できる
- 労働基準監督署の相談窓口:働き方の実態が労働者に当たるかもしれないときに相談できる
- 都道府県労働局:フリーランス法のうち、育児や介護への配慮、ハラスメント対策に関する申し出を受け付けている
フリーランス法の全体像と相談窓口は、厚生労働省のフリーランスとして業務を行う方への案内にまとまっています。相談するときは、契約書、発注のメール、請求書、やり取りの記録を手元に揃えておくと、話が早く進みます。
なお、個別のトラブルが法律上どう扱われるかは、事情によって変わります。この記事の内容は一般的な仕組みの説明であり、具体的な判断は相談先や専門家に確認してください。
運営者として見てきた、休みを上手に取る人の共通点
2004年からフリーランスと在宅ワークの仲介を続けてきた運営者として見てきた限りでは、業務委託で長く働き続けている人ほど、休みを「取れたら取るもの」ではなく「契約の一部」として扱っています。年間の休業期間を契約の最初の段階で伝え、休みの分を単価に織り込み、休む前には仕事を前倒しで終わらせる。こうした段取りがある人は、取引先からも「計画を立てて動ける人」として信頼されやすく、契約が長く続く傾向があります。
もう1つ見えてきたのは、中間の取り分が少ない直接の取引ほど、休みの調整がしやすいということです。発注者と受注者が直接やり取りできれば、休みの時期や納期の相談もすぐにまとまります。中間の取り分がなければ、同じ予算で受け取る報酬が厚くなり、休む分を単価に織り込む余裕も生まれます。
休みの取り決めを契約書に書き、取引先に伝える文章を整えるには、ビジネス文書を正確に書く力が役立ちます。ビジネス文書検定では、試験の内容と学び方を紹介しています。また、業務委託で受けられる仕事の中には、業務システムの開発のように、稼働時間と納期を自分で設計しやすいものもあります。Web・業務システム開発のお仕事では、仕事の内容と求められる技術を整理しているので、働き方を選ぶ材料にしてください。
業務委託に有給休暇はありません。だからこそ、休みは自分で設計できます。契約書の休業の項目、単価の計算、休む前の段取りの3つを、次の契約更新までに見直してみてください。
よくある質問
Q. 業務委託でも有給休暇をもらえることはありますか?
業務委託契約には原則として有給休暇はありません。ただし、契約の名前が業務委託でも、勤務時間を管理され、細かな指示を受け、仕事を断れないなど、実態が雇われている人と同じ場合は、労働基準法の労働者と判断され、有給休暇を求められる可能性があります。判断は個別の事情で変わるため、労働基準監督署の相談窓口で確認してください。
Q. 業務委託で休んだ月は報酬が減りますか?
契約の形によって違います。成果物を納める請負なら、納期に間に合えば休んでも報酬は変わりません。業務を行うことに報酬が出る準委任で、1か月の稼働時間に下限がある場合は、休んで下限を下回ると減額されることがあります。契約書で稼働時間の幅と減額の計算方法を確認しておくと安心です。
Q. 業務委託で長期休暇を取るとき、いつ伝えればよいですか?
1週間以上の休みであれば、1か月から2か月前に取引先へ伝えるのが目安です。休みの期間、前倒しで終わらせる仕事、休み中の連絡の可否、休み明けの予定をメールで具体的に伝えると、相手も調整しやすくなります。年末年始や夏季の休みは、契約を結ぶ段階で休業期間として決めておく方法もあります。
Q. 業務委託で病気になったとき、収入の補償はありますか?
国民健康保険には、会社員の健康保険にある傷病手当金が原則としてありません。仕事中のけがや病気については、2024年11月から業務委託を受けるフリーランスも労災保険に特別加入できるようになりました。仕事と関係のない病気に備えるには、民間の所得補償保険や、手元の貯金で生活費を確保しておく方法があります。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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