フリーランスの名刺に書く内容|肩書きと連絡先の決め方


この記事のポイント
- ✓フリーランスの名刺に書く内容を
- ✓SNSやポートフォリオ
- ✓資格と実績に分けて説明します
フリーランスとして名刺を作ろうとして、何を書けばよいのか、肩書きはどうするのか、自宅の住所まで載せるべきなのかで手が止まっている人に向けて、名刺に書く内容を順番に整理します。先に答えを書くと、フリーランスの名刺に必ず書くのは「名前」「肩書き(何の仕事をする人か)」「連絡先(メールアドレスと、必要なら電話番号)」の3つです。そこに屋号、ポートフォリオやSNSの案内、資格や実績を、仕事の取り方に合わせて加えます。自宅の住所は、取引の内容によっては載せなくてもかまいません。この記事では、それぞれの書き方と決め方、職種別の記載例、作るときの費用の目安までを説明します。
フリーランスの名刺に書く内容の一覧
まず、名刺に書く内容を、必ず書くもの、あるとよいもの、書かなくてよいものに分けて見ておきます。
項目の一覧
| 区分 | 項目 | 書く理由 |
|---|---|---|
| 必ず書く | 名前 | 名刺を受け取った人が誰と会ったかを思い出すため |
| 必ず書く | 肩書き | 何を頼める人なのかを一目で伝えるため |
| 必ず書く | 連絡先 | 仕事の相談の窓口を伝えるため |
| あるとよい | 屋号 | 事業として続けている印象を与え、検索の手がかりにもなるため |
| あるとよい | ポートフォリオやWebサイトの案内 | 実績を見てもらうため |
| あるとよい | 資格や得意分野 | 任せられる範囲を伝えるため |
| 状況による | 住所 | 郵送のやり取りがある、地域の取引先が多い場合に必要 |
| 状況による | 顔写真やイラスト | 対面の交流会などで顔と名前を結び付けてもらうため |
名刺が果たす役割
名刺の役割について、名刺の印刷のサービスを運営する会社のメディアは次のように書いています。
フリーランスだからこそ、名刺作りにこだわることで得をする場面は多々あります。印象に残る名刺にする方法はさまざまで、自身の職業やアピールしたい内容に合わせて、デザインを工夫することが大切です。 出典: skypce.net
会社員の名刺は、会社の名前が信用の土台になります。フリーランスの名刺には会社の名前がないので、自分が何者で、何を頼めて、どうやって連絡すればよいかを、名刺そのもので伝える必要があります。書く内容を決めるときは、「名刺を受け取った人が、数週間後に名刺を見返したときに、仕事を頼めるか」を基準にすると迷いにくくなります。
載せる量の目安
表面に載せるのは、名前、肩書き、屋号、連絡先の基本の情報にとどめ、ポートフォリオの案内や得意分野、資格などは裏面に回すと、読みやすい名刺になります。情報を詰め込みすぎると文字が小さくなり、かえって何も伝わらなくなります。
名前の書き方
名前は、名刺の中でもっとも目立つように書きます。フリーランスは、名前そのものが仕事の看板になるからです。
本名か、活動名か
本名で仕事をする場合は、本名をそのまま書きます。イラストレーターやライター、作曲家など、活動名(ペンネームや筆名)で仕事をする場合は、活動名を大きく書き、契約や請求のやり取りで本名が必要な取引先には、別に伝える形が一般的です。名刺に両方を書く場合は、活動名を大きく、本名を小さく添えると、取引先が請求書の宛名を確かめるときに迷いません。
ふりがなとローマ字
読み方が難しい名前や、複数の読み方がある名前には、ふりがなを付けます。初対面の人が名前を正しく呼べると、その後のやり取りが円滑になります。海外の取引先や外国籍の人と会う機会がある場合は、ローマ字の表記も加えます。日本語の名前のローマ字の順番は、名と姓のどちらを先にしてもかまいませんが、名刺の中で統一してください。
名前の大きさと位置
名前は、肩書きや連絡先より一回り大きい文字にします。縦書きの名刺なら中央、横書きの名刺なら中央か左寄りに置くのが一般的です。デザインに凝りすぎて名前が読みにくくなると、名刺の役割を果たせません。
肩書きの決め方
肩書きは、フリーランスの名刺でもっとも考える価値がある項目です。名刺を受け取った人は、肩書きを見て「この人に何を頼めるか」を判断します。
職種の名前に、専門を1つ添える
肩書きは、職種の名前だけでなく、得意な分野を1つ添えると伝わりやすくなります。
- 「Webデザイナー」より「Webデザイナー(飲食店・美容室のサイト制作)」
- 「ライター」より「医療・介護の取材ライター」
- 「エンジニア」より「業務システムのバックエンドエンジニア」
- 「経理」より「中小企業の経理代行・記帳サポート」
- 「作曲家」より「作曲家(CM・動画のBGMとジングル)」
専門を添えると、その分野の仕事を探している人の記憶に残ります。反対に、何でも引き受けたいからと肩書きを広くしすぎると、誰の記憶にも残りにくくなります。
肩書きは2つまでにする
複数の仕事をしている人は、肩書きを並べたくなります。ただ、3つ以上並べると、どれが本業なのかが分からなくなります。名刺の肩書きは多くても2つまでにし、それ以外の仕事は裏面の「できること」の欄に書くと整理できます。仕事の種類が大きく違う場合は、仕事ごとに名刺を分けて作る方法もあります。
「代表」「CEO」は付けなくてよい
個人で働くフリーランスが「代表」「CEO」を肩書きに付けることがありますが、何の仕事をする人かは伝わりません。屋号の後に「代表」を付ける程度ならかまいませんが、肩書きの中心は職種と専門にしてください。
肩書きは後から変えてよい
肩書きは一度決めたら変えられないものではありません。仕事を続けるうちに、依頼が多い分野や、自分が続けたい分野が見えてきます。名刺は数百枚単位で作ることが多いので、最初は少なめの枚数で作り、肩書きを見直しながら作り直すのが現実的です。
屋号の書き方
屋号とは、個人事業で使う店や事務所の名前のことです。屋号を付けている人は、名刺にも書きます。
屋号は名前の上か横に書く
屋号は、名前より小さく、名前の上か横に書くのが一般的です。会社員の名刺の会社名の位置に置くと考えると、配置しやすくなります。本名を出さずに活動している人は、屋号が名前の代わりになることもあります。
屋号を付けると良いこと
屋号を付けると、事業として続けている印象を与えやすくなり、Webサイトやメールアドレスの名前にも使えます。屋号の付いた銀行口座を作れば、取引先からの振り込みのときに事業の口座だと分かりやすくなります。屋号は開業届に書く欄がありますが、付けるかどうかは自由です。
屋号の付け方のコツ
屋号は、読みやすく、仕事の中身が想像できる名前にすると、名刺を見返したときに思い出してもらいやすくなります。たとえば「〇〇デザイン室」「〇〇経理サポート」「〇〇翻訳工房」のように、名前の一部と仕事の種類を組み合わせる形がよく使われます。同じ地域や同じ業種で似た名前がないかは、検索で確かめておくと安心です。
連絡先の決め方
連絡先は、名前と並んで名刺に欠かせない情報です。ただ、すべての連絡手段を載せる必要はありません。
メールアドレスは仕事用を用意する
メールアドレスは必ず載せます。個人で使っているアドレスと分けて、仕事用のアドレスを用意してください。独自のドメイン(自分のWebサイトの住所と同じ名前)のアドレスは、事業として続けている印象を与えます。無料のメールサービスのアドレスでも、名前や屋号が入った分かりやすいものなら問題はありません。
電話番号は載せるかを選ぶ
電話番号は、取引先が急ぎで連絡したいときに役立ちますが、載せると営業の電話がかかってくることもあります。電話で打ち合わせをすることが多い仕事なら載せ、メールやチャットで済む仕事なら載せない、という判断で十分です。載せる場合は、個人の番号とは別に、仕事用の携帯電話や、050で始まるIP電話の番号を用意する人もいます。
チャットやWeb会議の連絡先
取引先とのやり取りが仕事用のチャットやWeb会議のサービスで行われる場合は、そのサービスのIDを載せることもあります。ただし、名刺に載せた連絡手段にはすべて返信する責任が出るので、確実に確認できるものだけに絞ってください。
連絡先の優先順位を書く
「ご連絡はメールでお願いします」「打ち合わせはWeb会議で対応します」のように、どの手段で連絡してほしいかを一言添えておくと、取引先も迷いません。対応できる時間帯(平日10時から17時など)を書いておくのも、子育てや介護と仕事を両立している人には有効です。
住所を載せるかどうか
フリーランスの名刺で一番迷うのが住所です。在宅で仕事をする人は、住所が自宅になるからです。
載せなくてもよい場合
名刺の印刷のサービスのメディアでも、フリーランスは個人情報を守るために住所を載せないことも少なくないと説明しています。Webでのやり取りで完結する仕事、取引先と郵便物をやり取りしない仕事なら、住所がなくても困る場面はほとんどありません。
載せたほうがよい場合
一方、地域の店舗や会社と取引する、書類や商品を郵送でやり取りする、相手が住所のない名刺を不安に感じる業界で仕事をする、といった場合は、住所があるほうが信頼につながります。その場合は、市区町村までを載せて番地を省く、レンタルオフィスやバーチャルオフィスの住所を使う、といった方法があります。バーチャルオフィスとは、実際に通うのではなく、事業用の住所と郵便物の受け取りだけを借りるサービスのことです。
住所を省いても伝えることはある
名刺に住所を載せなくても、契約書や請求書には住所を書く必要が出ることがあります。2024年11月に施行されたフリーランス・事業者間取引適正化等法では、発注する側に取引条件の明示が義務付けられており、契約の場面では互いの正式な情報をやり取りします。名刺は最初の接点、正式な情報は契約の書類、と役割を分けて考えると整理できます。
SNS・ポートフォリオ・QRコード
名刺だけでは、実績や作品を十分に伝えられません。そこで、ポートフォリオやSNSへの案内を載せます。
ポートフォリオのURLを載せる
ポートフォリオとは、これまでの作品や実績をまとめたものです。Webサイトや作品の公開のサービスにまとめておき、そのURLを名刺に載せます。デザイナー、イラストレーター、カメラマン、ライターなど、作品で判断される仕事では特に重要です。URLが長い場合は、短く分かりやすい形にするか、次のQRコードを使います。
QRコードで読み取れるようにする
QRコードを載せると、スマートフォンで読み取るだけでポートフォリオやWebサイトを開いてもらえます。QRコードの作成と読み取りについて、開発元が運営するサイトは次のように案内しています。
JIS規格やISO規格に制定されているQRコードの使用に対するライセンス等は必要なく、誰でもご自由にお使い頂けます。 出典: qrcode.com
名刺にQRコードを載せる場合は、読み取った先のページが実際に開くかを、印刷する前に必ず確かめてください。印刷した後にページの住所を変えると、名刺のQRコードが使えなくなります。
SNSは仕事用のアカウントだけ
SNSのアカウントを載せる場合は、仕事の発信をしているアカウントだけにします。私生活の投稿が中心のアカウントを載せると、取引先が仕事の内容を判断しにくくなります。複数のSNSを並べるより、もっとも仕事の発信に力を入れているものを1つ載せるほうが効果的です。
資格と実績の書き方
資格や実績は、任せられる仕事の範囲を伝える材料になります。ただし、書き方には決まりがあるものもあります。
資格は正式な名称で書く
資格は、略称ではなく正式な名称で書きます。登録して初めて名乗れる資格は、登録が済んでから書きます。たとえば情報処理推進機構(IPA)は、情報処理安全確保支援士について、登録簿への登録を受けた時点から名乗れると説明し、名刺への書き方の例も示しています。
情報処理安全確保支援士の方は、「情報処理安全確保支援士(通称 登録情報セキュリティスペシャリスト〔登録セキスペ〕)」の名称を履歴書や名刺等へ記載することが可能です。 出典: ipa.go.jp
同じページでは、資格の名称を載せる場合に、偽って名乗っていないことを示すために登録番号を書くことを勧めています。また、試験に合格しても登録をしないと名称は使えず、登録していない人がこの名称を使うと30万円以下の罰金になると案内しています。登録が必要な資格は、他にも多くあります。名刺に書く前に、その資格を所管する団体の案内で、名乗ってよい条件を確かめてください。
実績は具体的に、短く書く
実績は、「飲食店のWebサイト制作 30件以上」「医療系の取材記事 年間50本」のように、何をどれくらいしてきたかが分かる形で短く書きます。取引先の会社名を書きたい場合は、その会社の許可を取ってからにしてください。守秘の約束がある仕事は書けません。
得意分野を書く
「できること」として、受けられる仕事を3つから5つほど並べると、取引先が依頼の内容を想像しやすくなります。たとえばWebデザイナーなら「サイトの新規制作」「既存サイトの更新」「バナーの制作」「ロゴの制作」のように書きます。
裏面に載せる内容
表面に載せきれない情報は、裏面にまとめます。裏面を使うと、表面をすっきり見せながら、伝えたいことを十分に載せられます。
裏面に向いている内容
- できる仕事の一覧(3つから5つ)
- 得意な分野、扱える道具やソフト
- ポートフォリオのQRコード
- 資格と登録番号
- 対応できる時間帯と連絡の方法
- 英語の表記(海外の取引先がある場合)
料金は載せないほうがよい
料金を名刺に載せると、料金の改定のたびに作り直す必要があり、案件の内容によって変わる料金を固定した額だと受け取られることもあります。料金は、Webサイトや見積もりで伝えるほうが確実です。
白い余白を残す
裏面を情報で埋めすぎないことも大切です。受け取った人が、会った日付や話した内容をメモする余白があると、後で思い出してもらいやすくなります。
職種別の記載例
ここでは、職種ごとに名刺の表面と裏面に何を書くかの例を示します。名前や屋号は例として「〇〇」を使っています。自分の情報に置き換えて使ってください。
Webデザイナーの例
表面には「〇〇デザイン室」「Webデザイナー(飲食店・美容室のサイト制作)」「〇〇 〇〇(ふりがな)」「メールアドレス」「ポートフォリオのURL」を書きます。裏面には「できること:サイトの新規制作、既存サイトの更新、バナー制作、ロゴ制作」「使用ソフト:Figma、Photoshop、Illustrator」「ポートフォリオのQRコード」を載せます。デザインの仕事は名刺そのものが作品の見本になるので、仕事の雰囲気が伝わるデザインにします。ロゴや名刺の制作の仕事の中身は、ロゴ・名刺・チラシ・パンフレットのお仕事で確かめられます。
ライターの例
表面には「医療・介護の取材ライター」「〇〇 〇〇」「メールアドレス」「執筆記事をまとめたページのURL」を書きます。裏面には「取材・執筆の分野:介護施設の紹介、医療職のインタビュー、健康に関する解説記事」「対応できること:取材、構成案の作成、写真撮影の手配」「保有資格」を載せます。
作曲家の例
表面には活動名を大きく書き、「作曲家(CM・動画のBGMとジングル)」「メールアドレス」「作品の試聴ページのURL」を書きます。裏面には「制作できるもの:BGM、ジングル、効果音、歌ものの編曲」「試聴ページのQRコード」を載せます。音の仕事は、名刺から作品を聴いてもらえるかどうかで依頼の数が変わります。作曲や効果音の仕事の種類は、作曲・編曲・効果音・ジングルのお仕事で整理しています。
通訳・翻訳者の例
表面には「医療通訳・翻訳(英語・日本語)」「〇〇 〇〇(ローマ字の表記も)」「メールアドレス」「電話番号」を書きます。裏面は英語の表記にして、対応できる言語と分野を載せると、海外の取引先にも使えます。医療の分野で通訳をする仕事の中身は、医療通訳フリーランスの仕事内容と収入|語学力を医療現場で活かすで説明しています。
名刺で気をつけること
名刺は、初対面の相手に渡す正式な書類の1つです。書く内容で気をつけたいことを整理します。
実際より大きく見せない
経験が浅いうちは、肩書きや実績を大きく見せたくなるものです。ただ、名刺に書いた内容と実際の仕事ぶりが違うと、信頼をなくします。「〇〇の専門家」と書くなら、その分野の仕事を実際に受けてきた実績を説明できるようにしておいてください。
前の勤め先の情報を書くとき
前の勤め先の名前を経歴として書く場合は、在籍していた事実を書くのにとどめ、前の勤め先の名前で仕事を受けているように見える書き方は避けます。ロゴを使うのは避けてください。
個人情報の載せすぎに注意する
名刺は、渡した相手からさらに別の人に渡ることもあります。自宅の住所、個人の携帯電話の番号、家族が分かる情報などは、本当に必要な場合だけに絞ります。
名刺の作り方と費用の目安
書く内容が決まったら、名刺を作ります。作り方によって費用と手間が変わります。
サイズは一般的な大きさにする
日本の一般的な名刺の大きさは、縦55mm、横91mmです。この大きさなら、受け取った人の名刺入れや名刺の整理の道具にそのまま収まります。変わった形や大きさの名刺は目を引きますが、保管されにくくなることがあります。
デザインを頼む場合の費用
名刺のデザインを頼む場合の費用について、名刺の印刷のサービスを運営する会社のメディアは、フリーランスのデザイナーに頼むと5,000円から30,000円、デザインの制作会社に頼むと50,000円から100,000円ほどかかることもあると書いています。印刷の費用は別にかかることが多いので、見積もりで確かめてください。デザインの考え方や無料のテンプレートの使い方は、フリーランスの名刺デザイン|無料テンプレートと作り方で説明しています。
自分で作る場合
テンプレートを使って自分でデータを作り、印刷の通販サービスに注文する方法もあります。ある名刺の印刷のサービスは、フリーランス向けのテンプレートについて次のように説明しています。
テンプレートを元にして、ロゴ・写真・QRコードの追加、レイアウトの調整も可能ですので、ご注文時にお申し付けください。 出典: meishi-first.jp
最初は100枚程度から作り、肩書きや連絡先を見直しながら作り直していくと、無駄が少なくなります。
インボイスの登録番号を名刺に書くか
消費税のインボイス制度に登録したフリーランスから、登録番号を名刺に書くべきかという相談がよくあります。結論から書くと、名刺に書く決まりはなく、書くかどうかは自由です。
登録番号とは何か
インボイス制度とは、消費税を納める事業者が、取引先に決められた形式の請求書(適格請求書)を出せるようにする仕組みのことです。適格請求書を出すには税務署への登録が必要で、登録を受けると番号が通知されます。国税庁の公表サイトは、登録番号の形を次のように説明しています。
上記以外の課税事業者(個人事業者、人格のない社団等) 「T」(ローマ字) + 数字13桁(注) (注)13桁の数字には、マイナンバー(個人番号)は用いず、法人番号とも重複しない事業者ごとの番号になります。 出典: invoice-kohyo.nta.go.jp
個人のフリーランスの登録番号にマイナンバーは使われていないので、名刺に書いてもマイナンバーが知られることはありません。
書いたほうがよい場合と、書かなくてよい場合
登録番号が必要になるのは請求書を出すときで、名刺の段階では使いません。取引先の多くは、取引を始めるときに登録の有無を確かめ、請求書に書かれた番号で確認します。そのため、名刺には書かず、請求書と見積書に正しく書くことを優先すれば十分です。
一方で、会社を相手に仕事をすることが多く、最初の打ち合わせで「インボイスは登録していますか」と聞かれる場面が多い人は、裏面の下のほうに小さく書いておくと、やり取りが一度で済みます。登録をやめたときに名刺を作り直す必要が出る点は、書く前に考えておいてください。インボイス制度の全体の説明は、国税庁のインボイス制度特設サイトにまとまっています。登録するかどうかは、売上の額や取引先によって損得が変わるので、迷うときは税務署の相談窓口や税理士に確かめてください。
名刺を作る前の確認の手順
書く内容が決まっても、印刷した後で誤りに気づくと、すべて作り直しになります。注文の前に、次の順番で確かめると失敗が減ります。
- 名前、屋号、肩書きの漢字と、ふりがなやローマ字の綴りに誤りがないかを、声に出して読みながら確かめる
- メールアドレスに実際にメールを送り、届くかを確かめる。大文字と小文字、ハイフンと下線の違いも見る
- 電話番号を載せる場合は、別の電話から実際にかけてつながるかを確かめる
- URLとQRコードを、自分のスマートフォンと、できれば別の機種の両方で読み取り、ページが開くかを確かめる
- 資格の名称が正式なものか、登録が必要な資格なら登録が済んでいるかを確かめる
- 印刷する前の見本の画面を、家族や知人など自分以外の人に見せ、何の仕事をする人か伝わるかを聞く
最後の6番目は省かれやすいのですが、効果が大きい確認です。自分では分かりやすいと思った肩書きが、他人には伝わらないことはよくあります。「この名刺を見て、どんな仕事を頼みたくなるか」と聞いて、答えが自分の想定と違っていたら、肩書きか裏面の「できること」を見直します。
文字の大きさも見ておきます。連絡先やURLを小さくしすぎると、受け取った人が読めません。印刷する前に、実際の大きさで紙に出力して確かめると、画面で見たときとの差に気づけます。
名刺を渡す場面ごとの使い分け
フリーランスが名刺を使う場面は、会社員とは少し違います。場面ごとに、名刺の持ち方と渡し方を考えておくと役立ちます。
交流会や勉強会
初対面の人に多く会う場では、名刺がもっとも役立ちます。短い会話の後で名刺を見返したときに、話した内容を思い出してもらえるよう、肩書きを具体的にしておくことが大切です。渡すときに「名刺の裏に、受けられる仕事を書いています」と一言添えると、裏面まで見てもらえます。
取引先との最初の打ち合わせ
紹介や問い合わせから始まった打ち合わせでは、相手はすでにこちらの情報をある程度知っています。この場面の名刺は、正式な連絡先を伝える役割が中心です。契約の話に進むときは、名刺とは別に、正式な住所や請求の情報を書類で伝えます。
Web会議で会う相手
Web会議だけで仕事が進む場合は、紙の名刺を渡す機会がありません。名刺と同じ内容を画像やPDFにしておき、最初の打ち合わせの後のお礼のメールに添付する、メールの署名に名刺と同じ情報を入れる、といった方法で代わりにできます。紙の名刺と、メールの署名と、ポートフォリオのページで、肩書きと連絡先を同じにしておくと、受け取った人が混乱しません。
名刺を持ち歩く枚数
外出のときは、名刺入れに10枚から20枚ほどを入れておくと、思いがけない出会いにも対応できます。名刺が折れたり汚れたりしていると印象が下がるので、名刺入れに入れて持ち歩いてください。
会社員の副業として名刺を作るとき
会社に勤めながら、副業としてフリーランスの仕事を始める人も増えています。副業の名刺は、本業の名刺とは別のものとして作り、書く内容にもいくつか気をつける点があります。
本業の会社の名前は書かない
副業の名刺に、本業の会社の名前や部署、会社のメールアドレスを書くのは避けてください。会社の名前で仕事を受けているように見えると、勤め先にも取引先にも誤解を招きます。副業の名刺は、屋号か自分の名前を主役にし、連絡先も副業専用のメールアドレスにします。
勤め先の決まりを先に確かめる
副業を始める前に、勤め先の就業規則で副業がどう扱われているかを確かめます。厚生労働省のモデル就業規則では、副業を原則として認めたうえで、仕事に支障が出る場合や会社の秘密が漏れる場合などに制限できる形が示されています。実際の扱いは会社ごとに違うので、届け出が必要な会社では、名刺を配り始める前に手続きを済ませておくと安心です。副業の考え方は、厚生労働省の副業・兼業のページで確かめられます。
連絡できる時間を書いておく
副業の場合、平日の昼間はすぐに返信できないことが多くなります。名刺の裏面に「平日は19時以降、土日は終日対応」のように連絡できる時間を書いておくと、取引先が返信の遅れを不安に感じにくくなります。返信できる時間を先に伝えておくことは、本業と副業を無理なく両立させることにもつながります。
本業と同じ分野で受けるときの注意
本業と同じ分野の仕事を副業で受けると、勤め先の取引先と重なったり、競合と受け取られたりすることがあります。名刺の肩書きや得意分野を決めるときは、本業と重ならない範囲を選ぶか、勤め先の了解を得てから書いてください。
運営者として見てきた、名刺が仕事につながる人の共通点
在宅ワークとフリーランスの仲介を20年以上続けてきた運営者として見てきた限りでは、名刺がきっかけで仕事につながる人には共通点があります。
名刺の先にある情報を整えている
名刺そのものより、名刺から見てもらうポートフォリオやWebサイト、仕事の紹介のページを整えている人ほど、名刺が仕事につながっています。名刺は入り口で、仕事を頼むかどうかは、その先で実績を見て決まります。名刺を作る前に、名刺から案内するページを先に整えておくと効果が上がります。
文書の力も信頼になる
名刺を渡した後のお礼のメールや、見積もりや提案の文書の分かりやすさも、取引先が仕事を頼むかを決める材料になります。名刺の肩書きと同じくらい、文書の書き方も大切です。文書の書き方を体系立てて学びたい人は、ビジネス文書検定のような資格で基本を固める方法があります。仲介の手数料がかからない直接の取引なら、同じ報酬でも手元に残る額が多くなり、名刺や作品のページを整える費用にも回しやすくなります。デザイン職の単価の目安は、デザイナーの年収・単価相場で確かめられます。
よくある質問
Q. フリーランスの名刺に必ず書く内容は何ですか?
必ず書くのは、名前、肩書き、連絡先の3つです。肩書きは「Webデザイナー」のような職種の名前に、「飲食店のサイト制作」のような得意分野を1つ添えると、何を頼める人かが伝わります。連絡先は仕事用のメールアドレスを必ず載せ、電話番号は電話での打ち合わせが多い仕事なら載せます。屋号やポートフォリオの案内は、あると効果的です。
Q. 名刺に自宅の住所を載せる必要はありますか?
Webでのやり取りで完結する仕事なら、載せなくても困る場面はほとんどありません。郵送のやり取りがある、地域の取引先が多いなど住所があるほうが信頼につながる場合は、市区町村までにとどめる、レンタルオフィスやバーチャルオフィスの住所を使うといった方法があります。契約書や請求書では正式な住所を伝えます。
Q. 名刺に資格を書くときに気をつけることはありますか?
資格は略称ではなく正式な名称で書き、登録して初めて名乗れる資格は登録が済んでから書きます。たとえば情報処理安全確保支援士は、登録簿に登録された時点から名乗れ、登録番号を併記することが勧められています。登録していない人が名称を使うと罰金の対象になる資格もあるので、所管する団体の案内を確かめてください。
Q. 名刺は何枚くらい作ればよいですか?
最初は100枚程度から作るのが無駄の少ない方法です。フリーランスになったばかりのころは、仕事を続けるうちに肩書きや得意分野、連絡先が変わることがよくあります。少ない枚数で作って実際に配り、受け取った人の反応を見ながら内容を見直し、固まってきたら枚数を増やして作り直すと、作り直しの費用を抑えられます。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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