副業禁止の会社で在宅オンライン家庭教師を受けられるかの線引き

前田 壮一
前田 壮一
副業禁止の会社で在宅オンライン家庭教師を受けられるかの線引き

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この記事のポイント

  • オンライン家庭教師を副業禁止の会社で在宅でやれるのか
  • 雇用契約と業務委託の違い
  • 住民税から発覚する経路

まず、安心してください。「オンライン家庭教師 副業禁止 在宅」で検索されている皆さんの多くが、実は必要以上に不安になっています。就業規則に副業禁止と書いてあるのを見つけて、そこで思考が止まってしまっている。あるいは、すでに1件だけ生徒を受けてしまって、今さら会社に言えなくなっている。そういう状態の方が、この記事を読んでいるはずです。

結論から書きます。会社の「副業禁止」は法律ではありません。就業規則という社内ルールであり、違反したからといって即座に処罰されるものでもない。ただし、無条件に自由というわけでもなく、争いになったときに会社側が正当に制限できる場面ははっきり存在します。その線引きがどこにあるのかを、この記事で整理します。

私自身、42歳でメーカーを辞める1年前から、在職中に副業を始めた人間です。当時の会社の就業規則にも副業に関する条項はありました。だから、就業規則をどう読み、何を確認し、どこで線を引いたか。その実務を含めて書きます。リスクは正直に書きます。都合のいい話だけ並べるつもりはありません。

「副業禁止」は法律ではない。まずここを押さえる

いちばん多い誤解から潰しておきます。日本の法律に「会社員は副業をしてはいけない」という規定はありません。あるのは会社ごとの就業規則です。

会社が副業を禁止できる根拠と、その限界

会社が就業規則で副業を制限できるのは、労働契約に付随する義務があるからです。具体的には、労務を提供する能力を維持する義務、会社の秘密を守る義務、会社の名誉信用を害さない義務。この3つが根拠になります。

一方で、勤務時間外は本来、労働者が自由に使える時間です。憲法が職業選択の自由を定めていることもあり、裁判所は「副業を一律全面的に禁止する就業規則は、そのままの形では効力が限定される」という考え方を取ってきました。実際の裁判例でも、副業を理由とする懲戒処分が有効とされたのは、本業に具体的な支障が出たケースや、競合他社での就労だったケースに集中しています。

つまり、就業規則に「副業を禁止する」と書いてあっても、その文言だけであらゆる副業が違法になるわけではない。ここが出発点です。ただし「規則違反ではない」ことと「会社との関係が悪化しない」ことは別問題です。ここは後で詳しく書きます。

国が示している方向は、容認側に動いている

厚生労働省が公開しているモデル就業規則は、以前は副業を禁止する内容でしたが、2018年に改定され、原則として労働者は勤務時間外に他の会社等の業務に従事できるという内容に変わりました。同省は副業・兼業の促進に関するガイドラインも公表しています。詳しい原文は厚生労働省のサイトで確認できます。

この改定以降、大企業を中心に副業を解禁する動きが広がりました。ただし「解禁」の中身は会社によってばらばらです。完全自由化した会社もあれば、届出制にした会社、許可制のまま運用している会社もある。皆さんが確認すべきなのは、国の方針ではなく、自分の会社の現在の規則です。数年前に読んだ内容が改定されている可能性は十分あります。

例外:公務員と教員は、法律そのもので制限されている

ここは明確に分けて理解してください。公務員の場合、副業の制限は就業規則ではなく法律で定められています。国家公務員法と地方公務員法に、営利企業への従事や兼業についての制限規定があり、任命権者の許可が必要とされています。

公立学校の教員も地方公務員なので、この規定が適用されます。「教える仕事だから問題ないだろう」という感覚で始めると、これは明確な違反になり得ます。教員の方がオンライン家庭教師をする場合、勤務先の教育委員会の兼業許可基準を確認するのが先です。ここは自己判断で進めてよい領域ではありません。

私立学校の教員は公務員ではないので、この法律上の制限は受けません。ただし学校法人の就業規則が適用されるので、確認は必要です。

就業規則のどこを、どう読むか

では、実際に自分の会社の就業規則をどう読むか。ここが実務の第一歩です。

3つの類型に分けて判別する

副業に関する規定は、大きく3つに分かれます。

1つ目は全面禁止型。「従業員は、会社の許可なく他に雇われ、または事業を営んではならない」という書き方です。古い規則に多い形です。

2つ目は許可制。「他の業務に従事しようとする場合は、事前に会社に届け出て、許可を得なければならない」という形。現在いちばん多いパターンです。

3つ目は届出制。「他の業務に従事する場合は、あらかじめ会社に届け出るものとする」。許可という言葉がなく、届け出れば足りる形です。

この3つのどれに当たるかで、取るべき行動が変わります。届出制なら出すだけ。許可制なら申請して判断を待つ。全面禁止型は、条文の文言だけ見ると厳しいのですが、前述のとおり、そのままの効力が全面的に認められるわけではありません。とはいえ無断でやれば規則違反であることは事実なので、判断が必要になります。

副業の条項以外に、必ず読むべき3か所

就業規則を読むとき、多くの方は「副業」という単語がある条文だけを見て終わりにします。これが危険です。実際に問題になるのは、次の3か所です。

ひとつ目は服務規律の条項です。「職務に専念する義務」「会社の信用を傷つける行為の禁止」といった一般条項がここに入っています。副業そのものは禁止していなくても、この条項に触れると判断される余地があります。

ふたつ目は秘密保持の条項。本業で得た顧客情報や技術情報を副業で使うと、ここに抵触します。オンライン家庭教師の場合、直接抵触するケースは多くありませんが、本業が教育関連企業なら注意が必要です。

みっつ目は競業避止の条項です。「在職中および退職後一定期間、競合する事業に従事してはならない」という規定。本業が学習塾、予備校、教材出版、教育系サービスであれば、オンライン家庭教師はここに真正面から当たる可能性があります。

就業規則が見つからない場合

「就業規則をどこで見られるかわからない」という方も多いです。労働基準法上、常時10人以上の労働者を使用する事業場は就業規則を作成し、労働者に周知する義務があります。社内のイントラネット、総務部の共有フォルダ、あるいは事業所の掲示板。どこかに必ず置かれているはずです。

見つからない場合、総務や人事に「就業規則を確認したい」と言えば見せてもらえます。この時点では副業の話をする必要はありません。「規則全般を確認したい」で十分です。ここで副業の話を切り出すと、その後の申請の前に印象が固まってしまうことがあるので、私は分けることをおすすめします。

オンライン家庭教師が引っかかりやすい4つの論点

一般論から、この仕事に固有の話に移ります。オンライン家庭教師という副業が、就業規則との関係で問題になりやすいポイントは4つです。

論点1:雇用契約か、業務委託契約か

これがいちばん重要です。就業規則の多くは「他に雇われること」を制限する書き方をしています。つまり、雇用契約を結んで他社の従業員になることを想定した条文です。

オンライン家庭教師の契約形態は、運営会社によって分かれます。時給制のアルバイト雇用として扱う会社もあれば、講師を個人事業主として扱い業務委託契約を結ぶ会社もあります。プラットフォーム型のサービスでは、後者が主流です。

「他に雇われてはならない」という文言の就業規則で、業務委託契約なら形式上は雇用ではないので、条文の文言には当たらないという解釈が成り立つ場面はあります。ただし、これは条文の書きぶり次第です。「事業を営んではならない」「他の業務に従事してはならない」という広い書き方なら、業務委託も含まれます。

自分が結ぶ契約がどちらなのかは、契約書の表題と、報酬の支払い形態で判断できます。給与として源泉徴収されて振り込まれるなら雇用、報酬として支払われ源泉徴収票ではなく支払調書が出るなら業務委託の可能性が高い。ここは契約前に必ず確認してください。

論点2:勤務時間との重複

オンライン家庭教師は、生徒の都合で時間帯が決まります。小中学生なら平日の夕方から夜、高校生なら夜。多くの場合、本業の勤務時間とは重なりません。この点では相性のいい副業です。

ただし注意すべきは、海外在住の生徒を受け持つケースです。北米や欧州の生徒の夕方は、日本時間の早朝5時から8時にあたります。この枠は需要が多く、優先的に紹介されることもあります。早朝なら本業と重ならないと思いがちですが、毎朝5時起きで90分教えてから出社する生活を続けると、本業のパフォーマンスに影響が出ます。会社が副業を制限する根拠のひとつが「労務提供能力の維持」である以上、ここは実質的に問題になり得ます。

論点3:競業に当たるかどうか

本業が教育業界の場合、これは要注意です。学習塾、予備校、教材会社、教育系のシステム開発、eラーニング事業。こうした会社に勤めている方がオンライン家庭教師をやると、競業避止義務に触れる可能性が現実にあります。

ここは業界が同じかどうかだけでなく、顧客層が重なるかどうかで見ます。企業向けの研修サービスを提供する会社に勤めていて、副業で中学生を教えるなら、顧客層が違うので競合とは言いにくい。一方、個人向けの学習支援サービスの会社なら、真正面から競合します。

論点4:会社の名前や立場を使っていないか

プラットフォームのプロフィールに「大手メーカー勤務、現役エンジニアが教えます」と書く。これは効果的な宣伝ですが、同時にリスクでもあります。会社名を明示していなくても、業界と職種を書けば特定される場合があります。

会社の信用や名前を利用して個人的な収入を得ている、と評価されると、服務規律違反として扱われる余地が出ます。プロフィールには「メーカーで15年の実務経験」程度にとどめ、勤務先が特定できる情報は書かない。これが安全な線です。

会社に知られる経路は、現実には3つしかない

「バレるのか」という点は、皆さんがいちばん気になるところだと思います。正直に書きます。経路は主に3つです。

経路1:住民税

いちばん有名な経路です。仕組みを説明します。

会社員の住民税は、通常、会社が給与から天引きして納める特別徴収という方式です。この金額は、前年の所得全体から市区町村が計算して、会社に通知します。副業の所得がそこに合算されると、会社に届く通知書の金額が、本業の給与だけから計算した額より大きくなる。これで経理担当者が気づく、という流れです。

これを避ける方法として「確定申告書で住民税を普通徴収にする」という手が知られています。確定申告書には、住民税の徴収方法を選ぶ欄があり、「自分で納付」を選べば副業分の住民税は自宅に納付書が届きます。

ただし、ここに大きな落とし穴があります。この普通徴収を選べるのは、副業の所得が給与所得以外の場合に限られるのが原則です。オンライン家庭教師をアルバイト雇用として、給与所得で受け取っている場合、給与所得同士は合算されて特別徴収になるのが基本ルールです。自治体によって運用の差はありますが、給与所得の副業は普通徴収に分けられないケースが多い。ここは実務上、非常に重要な分かれ目です。

この点は、次のような素朴な疑問として多くの人が抱えています。

副業を考えています。 会社で正社員をしているのですが、そこでは住民税は特別徴収で自宅に納付書が届き自分で支払いをしています。 副業は年間15万程度の予定(給与でいただきます)なので確定申告は不要だと思うんですが、住民税の申告は必要と知りました。 もし副業を始めて年15万程度稼ぐ場合住民税の申告をしないと脱税になりますか? 手続きが難しくてよく分かりませんし、できれば何もしたくないです。15万程度でも何年も続けてたら税務署にバレるものなんですか? 出典: detail.chiebukuro.yahoo.co.jp

この質問には、押さえるべき論点が3つ含まれています。ひとつは、確定申告が不要でも住民税の申告は必要になる場合があること。ふたつめは、給与でもらう副業は住民税の分離が難しいこと。みっつめは、申告しないと申告漏れになるということです。順に整理します。

経路2:社会保険

副業先で社会保険の加入要件を満たすと、複数の事業所で被保険者になる手続きが発生し、本業の会社にも情報が伝わります。ただしオンライン家庭教師の場合、週の労働時間が短いことが多く、加入要件に達しないケースがほとんどです。業務委託契約なら、そもそも社会保険の対象外です。この経路のリスクは相対的に低いと言えます。制度の詳細は日本年金機構の資料で確認できます。

経路3:人づて、SNS、そして生徒の保護者

実は、これがいちばん多い経路です。同僚に話した、SNSに書いた、講師プロフィールを検索で見つけられた。

さらに見落とされがちなのが、生徒の保護者経由です。オンライン家庭教師のプロフィールは公開されていることが多く、本名を出していれば検索で見つかります。そして生徒の保護者が、たまたま同じ業界の人だった、というのは十分あり得ます。地方在住の生徒を受け持つと、地域のつながりから話が回ることもあります。

税務調査で発覚するケースももちろんありますが、頻度で言えば人づてのほうが圧倒的に多い。この事実は知っておいてください。

確定申告の実務と、「20万円ルール」の誤解

税務の話を整理します。ここは誤解が多いところです。

20万円以下なら何もしなくていい、は誤り

「副業の所得が年20万円以下なら確定申告は不要」というのは、正確には「給与を1か所から受けていて、他の所得の合計が20万円以下なら、所得税の確定申告をしなくてよい」という規定です。

ここで抜け落ちるのが住民税です。所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告は別途必要になります。市区町村に対して申告する義務が残る。これをやらないと、住民税の課税漏れになります。正確な要件は国税庁のタックスアンサーで確認してください。

つまり、副業を始めた時点で、金額の大小にかかわらず何らかの申告手続きは発生する、と考えておくのが正しい認識です。

収入と所得の違いを押さえる

もうひとつの誤解が、収入と所得の混同です。20万円という基準は、収入ではなく所得に対するものです。業務委託でオンライン家庭教師をしている場合、雑所得または事業所得となり、収入から必要経費を引いた額が所得になります。

必要経費として計上できるのは、業務に使った通信費、パソコンやタブレットの購入費のうち業務使用分、書画カメラやマイクなどの機材、教材として購入した問題集、参考書。自宅の一室を専用に使っているなら家賃や光熱費の一部も按分できます。年間の収入が25万円でも、経費が7万円あれば所得は18万円となり、所得税の確定申告の要否の判断が変わります。

領収書は最初から取っておいてください。あとから集めるのは無理です。私も最初の年、これで痛い目を見ました。副業を始めた月にモニターとマイクを買っていたのに、レシートを捨てていて経費にできなかった。金額としては大きくないのですが、「知らなかったせいで損をした」という感覚は、その後ずっと残ります。

申告の実務に不安があるなら

確定申告そのものが不安、という方は少なくありません。会計ソフトを使えば、収入と経費を入力するだけで申告書の形になります。freeeマネーフォワードといったサービスが代表的です。

税務の専門家に相談する選択肢もあります。副業レベルの申告であれば、記帳代行や申告代行を請け負う実務家に依頼する形も一般的です。この分野の実情については税理士の副業ガイド|確定申告代行・記帳代行で稼ぐ方法【2026年版】で、依頼する側から見た相場感も含めて整理されています。依頼する立場でも、どんな作業が発生していて何にお金を払うのかを知っておくと、費用の妥当性が判断できます。

申請するか、しないか。判断の分かれ目

ここが、この記事でいちばん書きたかった部分です。

申請したほうがいい場合

次のいずれかに当てはまるなら、申請することをおすすめします。

まず、就業規則が届出制または許可制で、実際に許可を得ている先例が社内にある場合。この場合、申請するデメリットはほぼありません。同僚がすでに副業をしているなら、運用が緩いことの証拠です。

次に、継続的に、そして長期的にやる予定がある場合。生徒を受け持つと、少なくとも数か月から1年単位の関係になります。途中で発覚して中断すると、生徒に迷惑がかかります。これは講師としての信用の問題です。

3つ目に、いずれ独立を考えている場合。副業を隠して独立準備をするより、正面から申請して認められた状態で経験を積むほうが、精神的な負担がまるで違います。私は在職中の副業を会社に伝えたうえで進めましたが、隠していたらあの1年は続かなかったと思います。毎日、誰かに見つかるかもしれないと思いながら働くのは、想像以上に消耗します。

申請するときの書き方

申請書を出すとき、書き方で結果が変わります。ポイントは3つです。

本業への影響がないことを、時間で示す。「土曜の午前2時間のみ」のように、具体的な曜日と時間を書きます。「空いた時間に」という書き方は、会社側が判断できないので不安を与えます。

競業に当たらないことを明記する。「指導対象は中学生の数学であり、当社の事業領域とは重複しません」と書く。会社が心配するのは競合と情報漏洩なので、そこを先に潰します。

会社の情報や名称を使わないことを書く。「講師プロフィールに当社名および業務内容は記載しません」。この一文があるだけで、承認が通りやすくなります。

こうした申請文書の型は、社内文書の作法そのものです。書式の基本を体系的に押さえておきたい方はビジネス文書検定の学習範囲が参考になります。資格を取らなくても、稟議や届出の型を知っているかどうかで通りやすさが変わります。

断られたときにできること

申請が通らないこともあります。そのときの選択肢は3つです。

ひとつは、条件を変えて再申請する。時間帯、コマ数、指導対象を絞って出し直す。「週3コマ」で断られたなら「月2コマ」で再提出する。会社が懸念しているのが本業への影響であれば、規模を落とせば通ることがあります。

ふたつめは、断られた理由を文書で確認する。「業務に支障が出る恐れがあるため」という理由なら、支障が出ないことを示せば覆る余地があります。「就業規則で禁止しているため」という理由だけなら、その規則の合理性が問われる場面もあります。

みっつめは、別の形の在宅ワークに切り替える。オンライン家庭教師でなくても、教える経験を活かせる仕事はあります。契約形態が明確な業務委託で、時間帯の拘束がなく、成果物を納品する形の仕事なら、会社との摩擦は起きにくい。これは逃げではなく、現実的な選択です。

契約書のどこを確認するか

副業として契約を結ぶ側になると、契約書のチェックが必要になります。会社員時代は総務や法務がやってくれていた作業を、自分でやることになります。

確認すべきは、報酬の支払い時期と方法、キャンセル時の扱い、契約の解除条件、そして自分側の義務の範囲です。特にキャンセル規定は重要で、「生徒都合のキャンセルは前日までなら報酬なし」といった条項があると、収入が読めなくなります。

もうひとつ、業務委託で仕事を受ける立場になると、取引上の保護に関する法律の枠組みも知っておいて損はありません。発注書に何が書かれているべきか、報酬の支払期日はどう決まるか。この辺りの実務はフリーランスを守る「下請法(取適法)」の知識|発注書・契約書の必須項目チェックリストでチェックリスト形式に整理されています。オンライン家庭教師の契約が直接この法律の対象になるとは限りませんが、書面で確認すべき項目の考え方は共通します。取引に関するルールの所管は公正取引委員会です。

将来的に法人化まで考える方もいるかもしれません。その場合は登記の手続きと費用感を知っておくと計画が立てやすくなります。本店移転・役員変更登記の報酬相場|オンライン申請とプロへの依頼比較【2026年最新】は、自分で申請する場合と専門家に頼む場合の比較になっています。副業段階では不要ですが、道筋として知っておくと判断が早くなります。

実際に発覚したとき、何が起きるか

最悪のケースも書いておきます。無断で副業をしていて会社に知られた場合、どうなるか。

いきなり解雇される可能性は、実際にはかなり低いです。判例上、副業を理由とする懲戒解雇は、本業に具体的な支障が出た、競合他社で働いていた、会社の信用を実際に毀損したといった事情が必要とされてきました。単に副業していただけで解雇されたケースは、そう多くありません。

現実に起きるのは、譴責や戒告といった軽い処分、あるいは口頭注意と副業の中止命令です。ただし、これは記録に残ります。人事評価や、その後の昇進の判断に影響が出る可能性は否定できません。

そして、いちばん大きいのは人間関係の変化です。「隠していた」という事実は、能力の評価とは別のところで信頼を削ります。私が申請を推奨する最大の理由は、法的リスクよりむしろここにあります。

市場を長く見てきた立場からの観察

20年にわたって在宅ワークとフリーランスの市場を運営してきた立場から、ひとつ申し上げます。

副業から独立へ進む人と、副業のまま消えていく人の差は、稼いだ金額ではありません。差が出るのは、契約と税務を自分で回せるようになったかどうかです。契約書を読める、報酬の条件を交渉できる、経費と所得の区別がつく、申告を自分で終えられる。この4つができるようになった人は、仕事の種類が変わっても続きます。できないまま金額だけ増えた人は、どこかで止まります。

もうひとつ、運営者として見てきた限りで言えるのは、額面と手取りの差に自覚的な人ほど長く続くということです。仲介の段階が多い仕事は、同じ予算でも働き手に届く額が薄くなります。中間マージンが乗らない直接取引の形なら、依頼する側は同じ予算でより多くを頼めて、受ける側は手数料0%のぶん手取りが厚くなる。副業の場合、これは稼働時間の短さに直結します。手取りが厚ければ、少ないコマ数で同じ収入になる。少ないコマ数なら、本業への影響も小さくなり、会社に説明もしやすい。ここは実務上、かなり効きます。

教える経験を持っている方は、他の在宅の仕事にも応用が利きます。技術の知識を人に伝える力は、たとえばAIコンサル・業務活用支援のお仕事のように企業の担当者にツールの使い方を伝える仕事で、そのまま価値になります。同じ文脈でAI・マーケティング・セキュリティのお仕事も、専門知識を噛み砕いて説明する工程を多く含みます。技術そのものに寄せるならアプリケーション開発のお仕事があり、単価水準の目安はソフトウェア作成者の年収・単価相場で確認できます。文章を書く方向なら著述家,記者,編集者の年収・単価相場、ネットワークの基礎から入るならCCNA(シスコ技術者認定)が入り口になります。

副業禁止という4文字を見て、そこで止まってしまう方が本当に多い。でも、就業規則を実際に読み、契約形態を確認し、住民税の扱いを調べ、申請の文面を組み立てる。この作業を順にやっていけば、進めるか進めないかの判断は必ずつきます。判断がつかないのは、情報が足りないからです。感情ではなく、条文と手続きで決めてください。それが、いちばん安全な進み方です。

よくある質問

Q. 就業規則に副業禁止と書いてあったら、オンライン家庭教師は諦めるしかないですか?

いいえ。副業禁止は法律ではなく社内ルールで、条文の文言だけであらゆる副業が違法になるわけではありません。まず規則が全面禁止型・許可制・届出制のどれかを確認し、届出制や許可制なら申請を検討してください。時間帯・コマ数・競業に当たらないことを具体的に書いて出すと、承認される可能性は上がります。

Q. 副業が会社に知られるのは、やはり住民税からですか?

住民税は主要な経路のひとつですが、実際にいちばん多いのは同僚やSNS、生徒の保護者経由の人づてです。住民税については、業務委託で受け取る所得なら確定申告で普通徴収を選べる場合がありますが、アルバイト雇用など給与所得で受け取る場合は分離できないことが多い点に注意してください。

Q. 副業の所得が20万円以下なら、何も申告しなくてよいのでしょうか?

所得税の確定申告は不要になる場合がありますが、住民税の申告は別途必要です。ここを混同すると課税漏れになります。また20万円は収入ではなく所得の基準なので、通信費や機材、教材などの必要経費を差し引いた金額で判断します。領収書は購入時点から必ず保管してください。

Q. 公立学校の教員でもオンライン家庭教師はできますか?

公立学校の教員は地方公務員にあたるため、副業の制限は就業規則ではなく法律で定められており、任命権者の許可が必要です。教える仕事だから問題ないという自己判断は危険です。まず勤務先および教育委員会の兼業許可基準を確認し、許可の手続きを踏んでから検討してください。私立学校の場合は学校法人の就業規則が基準になります。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年4月11日最終更新:2026年9月14日
前田 壮一

この記事を書いた人

前田 壮一@SOHO編集部

元メーカー管理職・43歳でフリーランス転身

大手電機メーカーで品質管理を20年間担当した後、42歳でフリーランスに転身。中高年のキャリアチェンジや副業の始め方を、自身の経験をもとに発信しています。

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