公務員の投資は副業にあたるか|認められる範囲と届出の進め方 2026

朝比奈 蒼
朝比奈 蒼
公務員の投資は副業にあたるか|認められる範囲と届出の進め方 2026

この記事のポイント

  • 公務員の投資と副業の境界を条文から整理しました
  • 株式や投資信託が兼業規制の外にある理由
  • 不動産投資の5棟10室と年500万円の線

公務員の投資は副業にあたるのか。結論から言います。株式や投資信託、債券への投資は原則として兼業規制の外にあり、許可も届出も要りません。線を越えるのは、不動産の賃貸や太陽光発電のように「事業の規模」に達したときだけです。

ただし、原則の外側に例外が三つあります。規模の基準に達した不動産賃貸、勤務時間中の取引、そして職務で知った情報を使った売買です。この三つを外せば、公務員が資産運用で処分を受ける場面はほぼありません。

逆に言うと、ネット上で見かける「公務員は投資も禁止」という説明は不正確です。正直なところ、こうした情報が広まっているのは、副業と投資を同じ言葉でまとめてしまっているからだと思います。以下、条文と規則の中身から順に整理します。

なぜ公務員の投資が増えているのか

背景を数字で押さえます。まず給与の性質です。公務員の給与は人事院勧告と各自治体の条例で決まり、民間の景気がよい年に大きく跳ねることはありません。安定している代わりに、物価が上がった局面では実質の手取りが目減りします。ここが投資に向かう動機の一つめです。

二つめは退職後の設計です。共済年金は2015年に厚生年金へ統合され、公務員も会社員と同じ制度の上で老後の給付を計算するようになりました。退職手当の水準も見直しが続いています。「勤め上げれば安心」という前提が薄くなったぶん、自分で積み立てる必要が生じています。

三つめは制度の後押しです。NISAは2024年に恒久化され、年間の投資枠が広がりました。iDeCoの掛金上限も公務員について引き上げられています。国が「貯蓄から投資へ」という方向を制度で示している以上、公務員がその制度を使えないという整理にはなりません。

そして四つめが、副業の道が狭いことです。会社員は就業規則の届出で副業を始められますが、公務員は許可制です。報酬を得て働く選択が取りにくいため、資産運用が現実的な手段として残ります。投資への関心が会社員より高く見えるのは、選べる手段が少ないという事情の裏返しです。

ここで注意したいのは、手段が限られているからこそ、判断を誤ったときの影響が大きいという点です。「公務員でもできる投資」と銘打った勧誘は多く、なかには融資を組ませることが目的の営業も混ざります。安定した勤め先という属性は、金融機関から見れば貸しやすい相手です。声をかけられる回数が多いのは、有利な立場だからではなく、売りやすい相手だからだという前提で聞いたほうがよいと思います。

副業を制限している条文は、投資に触れていない

まず根拠になる条文を確認します。国家公務員の場合、関係するのは国家公務員法の103条と104条です。103条は営利企業の役員を兼ねることと、自ら営利企業を営むことを制限しています。104条は、報酬を得て事業や事務に従事する場合に許可を求めています。

地方公務員は地方公務員法38条が一本で受けています。営利企業の役員となること、自ら営利企業を営むこと、報酬を得て事業や事務に従事すること、この三つに任命権者の許可が必要です。条文の並びは異なりますが、規制している中身は国家公務員とほぼ同じです。

どの条文にも、株式を買うこと、投資信託を保有すること、配当や売却益を受け取ることは書かれていません。制限の対象になっているのは「営むこと」と「従事すること」、つまり労務の提供や事業の経営です。資産を持って値上がりや配当を受け取る行為は、これに当たりません。

この整理は、公務員試験の対策サイトや自治体の人事向けの説明でも共通しています。

公務員は副業が禁止されていますが、投資は可能です。投資には投資信託や株式投資などさまざまな種類があり、貯蓄とは異なり元本割れのリスクも伴います。実際にお金を動かす前に、主な種類を理解して自分に合う方法を知ることが重要です。この記事では公務員ができる投資について、基礎知識、メリット、デメリットを解説します。 出典: studying.jp

もう一つ押さえておきたい条文があります。職務専念義務です。国家公務員法101条と地方公務員法35条で、勤務時間中は職務に専念することが求められています。投資そのものは自由でも、勤務時間中に取引画面を開いていれば、こちらで問われます。処分を受けた事例で多いのは、兼業禁止ではなくこの職務専念義務の側です。

株式・投資信託・NISA・iDeCoの扱い

具体的な商品ごとに見ていきます。

株式の現物取引は問題になりません。上場株式を買って保有し、配当を受け取り、値上がりしたら売る。この流れに許可は不要です。NISA口座を使えば、年間の投資枠の範囲で運用益が非課税になります。制度の内容は金融庁が案内しています。

投資信託と債券も同じ扱いです。積立の設定をして毎月一定額を買う形は、勤務時間中に画面を見る必要もないため、公務員の働き方と相性が良い方法です。

iDeCo(個人型確定拠出年金)も使えます。公務員の掛金の上限は、2024年12月の制度改正で月額2万円に引き上げられました。掛金は全額が所得控除の対象になるため、税負担を下げながら老後の資産をつくれます。ただし60歳まで引き出せない点は、始める前に理解しておく必要があります。制度の詳細は日本年金機構や運営管理機関の資料で確かめてください。

デイトレードのような短期売買には注意が必要です。商品の性質としては株式投資ですが、平日の日中に取引が集中するため、勤務時間中の売買という形になりやすいのです。ここは商品ではなく「やり方」が問題になります。指値注文を前夜に入れておく、積立に切り替える、といった運用で回避できます。

インサイダー取引の規制も忘れてはいけません。金融商品取引法は、上場会社の重要な情報を職務上知った人が、公表前に売買することを禁じています。許認可や入札、税務、監督といった業務に就いている方は、関係する企業の株式を避けるのが安全です。職務で知った情報は、使わないだけでは不十分で、疑われない距離を取ることまでが必要になります。

不動産投資は「5棟10室・年500万円」で線が引かれる

投資の中で唯一、明確に兼業規制の対象になるのが不動産の賃貸です。ここは規模の基準があります。

国家公務員の場合、人事院規則14-8の運用方針で、自営に当たる規模が示されています。独立した家屋が5棟以上、アパートやマンションなど独立家屋以外で10室以上、土地の賃貸が10件以上、駐車場の賃貸で10台以上、賃貸料の収入が年額500万円以上、太陽光発電設備の出力が10キロワット以上。このいずれかに達すると「自営」となり、承認を得なければ続けられません。

基準に達していなければ、承認は不要です。ワンルームを2室、3室という規模なら、多くの場合は届け出ずに保有できます。とはいえ自治体や省庁によって運用の細かさが違うので、買う前に人事担当へ確認しておくのが確実です。

この上限が投資の設計を左右します。

しかし、公務員には「5棟10室・年間家賃収入500万円未満」という副業規定の絶対的な上限が存在します。 出典: invest.re-ism.co.jp

枠が限られているという点は事実です。ただし「だから都心のワンルームが正解」という結論には賛同しません。室数の上限があるからこそ、1室あたりの利回りと空室のリスクを厳しく見る必要があり、価格の高い物件は融資額も大きくなります。安定した勤め先という属性は融資審査で有利に働きますが、借りられる額の大きさは、返せる額の大きさとは別の話です。

相続で不動産を引き継いだ場合や、転勤で自宅を貸し出す場合は、承認の判断が緩やかになる傾向があります。自ら事業を拡大したのではなく、やむを得ない事情によるものだからです。この場合も、黙って貸すのではなく、事情を添えて承認を申請するのが正しい手順です。

太陽光発電、FX、暗号資産はどう扱われるか

判断が分かれやすい三つを整理します。

太陽光発電は、出力10キロワット未満であれば承認は不要とされています。自宅の屋根に載せて余剰分を売る形は、この範囲に収まることが多いです。10キロワット以上の設備を設置して売電する場合は、不動産賃貸と同じく自営の扱いになり、承認が必要になります。野立ての設備を検討している場合は、必ず事前に相談してください。

FX(外国為替証拠金取引)と暗号資産は、資産運用として扱われます。事業の経営でも労務の提供でもないため、条文の制限には触れません。ただしFXは値動きの速さから取引画面を見続けることになりやすく、職務専念義務の面で危うい方法です。この点は率直に言って、公務員の働き方には向きません。

もう一つ、収益が出たときの申告は別問題として残ります。FXと暗号資産の利益は原則として雑所得になり、給与以外の所得が年間20万円を超えれば確定申告が必要です。NISAのような非課税の枠はありません。申告の要件は国税庁の案内で確かめられます。

ソーシャルレンディングやクラウドファンディング型の不動産投資も、資金を出して分配を受ける形であれば運用の範囲です。ただし出資の形態が組合契約になっている商品では、事業への参加と見られる余地が残ります。契約書の名称ではなく、自分が経営に関与するかどうかで判断してください。関与しないのであれば、運用です。

承認が必要になったときの進め方

規模の基準に達する見込みが出てきたら、手順は決まっています。

第一に、所属の人事担当へ相談します。いきなり申請書を出すのではなく、「こういう状況になる見込みです」と口頭で伝えるのが先です。ここで自治体や省庁ごとの運用を教えてもらえます。

第二に、申請書を作成します。国家公務員の場合は自営兼業の承認申請、地方公務員の場合は各自治体の規則に沿った兼業許可の申請です。書く内容は、対象となる物件や設備の内容、規模(棟数、室数、出力)、見込みの収入、管理の方法、そして職務への影響がないことの説明です。

第三に、管理を委託する体制を整えます。承認の判断で重く見られるのは、本人が管理業務に時間を取られないかどうかです。賃貸なら管理会社に委託する、太陽光なら保守を業者に任せる。この形が整っていれば、職務専念義務との衝突がないと説明できます。

第四に、承認が出るまで規模を広げないことです。申請中に物件を増やすと、無許可の状態が生まれます。

一つ補足します。承認は「稼ぐことの許可」ではありません。職務に影響がなく、公務の信用を損なわないことの確認です。ですから申請書には、収益の大きさをアピールする必要はありません。むしろ、管理の手間がかからないことを具体的に書くほうが通ります。

税金と、職場に伝わる経路

隠す前提で設計するのは勧めませんが、どこから伝わるのかを知っておくことは重要です。

まず住民税です。公務員の給与から引かれる住民税は特別徴収で、市区町村が勤め先に税額を通知します。この税額は、給与以外の所得も合算された結果として計算されます。不動産所得が大きければ、通知される税額が同僚と大きく違う、という形で見えることがあります。確定申告のときに、給与以外の所得の住民税を普通徴収(自分で納付)にできる場合もありますが、対応は自治体によって異なります。

次に確定申告です。不動産所得や雑所得が年間20万円を超えれば申告が必要です。20万円以下でも住民税の申告は別に必要になります。申告しないという選択は、税の問題と服務の問題を二つ抱えることになるので、絶対に避けてください。

処分の重さについても触れます。国家公務員法82条は、法令違反や職務上の義務違反に対する懲戒処分を定めています。人事院が公表している懲戒処分の指針では、無許可で兼業した場合の標準的な処分として減給または戒告が挙げられています。悪質な場合や、勤務時間中の行為が重なる場合は、さらに重くなります。投資で得た金額がいくらであっても、処分が出れば昇任や退職金に響きます。取り返しのつく話ではありません。

申告の実務も押さえておきます。不動産所得がある場合は、収入から必要経費を引いて計算します。経費に入るのは、固定資産税、管理会社への委託料、修繕費、損害保険料、借入金の利息、そして建物の減価償却費です。土地の購入代金は減価償却できませんが、建物部分は耐用年数に応じて毎年費用として落とせます。ここを計算に入れていないと、手元のお金は増えていないのに所得だけが大きく見える、という事態になります。

配当や株式の売却益は、特定口座で源泉徴収ありを選んでおけば、証券会社が税を引いて納めてくれます。この形なら申告は不要で、住民税の通知にも反映されません。職場に知られる経路を減らしたいのであれば、まずこの設定を確認するのが確実です。損失が出た年に繰越控除を使いたい場合は申告が必要になるので、そのときだけ判断が入ります。

ここまでを踏まえると、判断の基準は単純です。規模が基準に近づいたら申請する。勤務時間中は取引しない。職務で知った情報には触らない。この三つを守るだけで、公務員の資産運用はほとんど安全圏に入ります。

つまずきやすい四つの型

相談の内容は、だいたい四つの型に分かれます。先に知っておけば避けられるものばかりです。

一つめは、勧められた物件をそのまま買う型です。職場の近くで開かれるセミナーや、電話でかかってくる営業から入り、収支のシミュレーションを見て決めてしまう。渡される試算は、空室率と修繕費が甘く置かれていることが多く、家賃の下落も織り込まれていません。判断の材料にするなら、空室が年に2か月出た場合と、家賃が10年で1割下がった場合の二つを自分で計算し直してください。数字が残らないなら、買わない判断で構いません。

二つめは、規模の基準を知らずに増やす型です。ワンルームを1室ずつ買い増していき、気づいたら10室に近づいている。基準に達した時点で無許可の状態になります。購入を検討する段階で人事担当に伝えておけば、そもそも起きません。

三つめは、短期売買に時間を取られる型です。値動きを追い始めると、勤務時間中に画面を見たくなります。ここで職務専念義務の問題が生まれます。売買の判断を自分の意思で止められる人は少ないので、仕組みの側で止めるのが確実です。積立の設定にする、取引アプリを端末から消す、といった対処が実際に効きます。

四つめは、申告を後回しにする型です。不動産所得や雑所得が出た初年度に申告を忘れ、翌年に気づいて放置する。税の未申告は服務の問題と重なって、事態を複雑にします。気づいた時点で修正申告や期限後申告を出せば、加算税は生じても処分の話には発展しにくくなります。隠す時間が長くなるほど、説明が難しくなります。

どの型にも共通しているのは、判断を他人に預けている点です。制度の中身を自分で確かめていれば、勧誘の言葉に判断を委ねる必要はありません。

家族名義にすれば通る、という理解は危うい

相談でよく出てくるのが名義の話です。物件を配偶者の名義にすれば規模の基準に引っかからないのではないか、という発想です。

形式だけを見れば、配偶者が所有する物件は本人の自営ではありません。実際に配偶者が自分の資金で購入し、自分で管理しているのであれば、本人の兼業の問題は生じません。

問題になるのは中身が伴っていない場合です。資金の出どころが本人で、入居者の対応も本人がしていて、名義だけが配偶者になっている。この形は、実質的に本人が営んでいると判断される余地があります。加えて、資金を出したのに名義が配偶者であれば、贈与税の問題が別に立ち上がります。税の側で説明できない構造は、服務の側でも説明できません。

もう一つ、法人を作って所有する形もよく紹介されます。しかし公務員は営利企業の役員となることを制限されているため、自分が役員になる法人での保有は、そのまま条文に触れます。配偶者を代表者にしても、実態が本人の経営であれば同じ判断になります。

結局のところ、抜け道を探すほど説明が難しくなります。規模の基準に近づいたら承認を申請する。それが最も手数の少ない方法です。承認が下りない前提で動く方が多いのですが、管理を委託して職務に影響がないことを示せば、実際には認められている例が各自治体にあります。まず相談してみるのが先です。

始める順番を決めておく

投資の方法を並べる記事は多いのに、順番を書いた記事は少ないので、ここで整理します。

最初にやるのは、生活の予備費を確保することです。給与の3か月から6か月分を、すぐ引き出せる形で置いておきます。公務員は収入が安定しているため、会社員より少ない予備費でも回りますが、住宅の修繕や家族の医療費のような突発的な支出は同じように発生します。値下がりしている局面で売らざるを得ない状況をつくらないための備えです。

次に、税の優遇がある枠から埋めます。iDeCoは掛金が全額所得控除になるため、同じ金額を投じたときの効果が最も大きい枠です。上限は月額2万円で、拠出した分は60歳まで引き出せません。この性質があるので、教育費の支出が重なる時期にある方は、上限まで使わずNISAに寄せる判断もあります。

三番目がNISAです。引き出しの自由度が高く、運用益が非課税になります。積立で買う設定にしておけば、勤務時間中に画面を見る必要がありません。公務員の立場では、この「手を動かさない」という性質が、制度上の安全性にも直結します。

四番目に、余力があれば課税口座での運用や、不動産などの実物資産を検討します。ここから先は規模の基準が関わってくる領域なので、買う前に人事担当へ確認する手順が入ります。順番を飛ばして不動産から入る方が多いのですが、融資を伴う投資は失敗したときの後戻りが効きません。

この順番を守るだけで、制度上の問題と資金繰りの問題を同時に避けられます。派手さはありませんが、勤務先に説明できる形で資産を増やすなら、これ以上の近道はないと考えています。

退職後や定年後を見据えるなら、別の準備が要る

投資と並べて考えておきたいのが、働く形の準備です。公務員は在職中に報酬を得る仕事を自由に受けられませんが、退職後は制限がなくなります。ここで困るのが、経験を外の市場でどう値付けするかが分からない、という点です。

参考になるのは職種ごとの相場のデータです。文書作成や調査の経験を活かす方向なら著述家,記者,編集者の年収・単価相場、情報システムの部署にいた方ならソフトウェア作成者の年収・単価相場で、市場の水準を確かめられます。役所の中の等級と、外の単価は連動していません。先に相場を知っておくと、退職後に安く請けてしまう事故を防げます。

資格の面では、公文書の作成に慣れている方ほどビジネス文書検定の内容が既知のものになります。逆に不足しがちなのはIT側の基礎で、ネットワークの知識を体系的に押さえるCCNA(シスコ技術者認定)は、在職中でも学習だけなら制限に触れません。学ぶことは兼業ではないからです。

在職中に許可を得て非営利の講師や執筆を引き受ける場合、あるいは退職後に業務委託で仕事を受ける場合は、契約の基礎知識が必要になります。発注書に何を書いてもらうべきかはフリーランスを守る「下請法(取適法)」の知識|発注書・契約書の必須項目チェックリストに項目が整理されています。報酬が支払われないときの手順は未払い報酬を回収する!弁護士の着手金・成功報酬と支払督促の流れ【2026年最新】が実務に沿っています。

資格を持つ職種の兼業事情を比べたい場合は、会計士の副業ガイド|監査法人勤務でもできる高収入の稼ぎ方【2026年版】が参考になります。勤務先の規程で制限を受ける立場という点で、公務員と共通する論点が多く扱われています。伸びている分野に目を向けるならAIコンサル・業務活用支援のお仕事で、行政の業務改善の経験がそのまま需要につながる領域があることが分かります。

運営者として見てきたこと、判断の軸

在宅とフリーランスの市場を20年見てきた立場から言えば、公務員の方が退職後につまずくのは、スキルではなく値付けです。役所での経験は外から見て価値が高いのに、本人が「専門職ではないから」と低く見積もってしまう。最初の一件を相場の半分で受けると、その金額が次の基準になります。先に市場の水準を確かめておくだけで、この事故は防げます。

もう一つ、受け取る側の手取りについて。仲介の手数料が引かれる仕組みでは、依頼した側が払った金額と、受け取った側に届く金額の差が開きます。手数料0%で直接やり取りする形なら、同じ予算で依頼者はより多く頼めて、受け手の手取りは厚くなります。運営者として見てきた限りでは、長く続く関係はほぼこの形で、額面の大きさより手取りの厚さが続くかどうかを決めています。

職種ごとのデータを並べて見えてくるのは、資産運用と仕事の準備で時間の使い方が逆になるということです。投資は制度を理解すれば自動で回る仕組みをつくれますが、仕事の準備は積み上げた時間しか効きません。在職中は投資を仕組み化して手を離し、空いた時間を学習に回す。この配分が、公務員という立場では最も合理的だと考えています。

最後に、判断に迷ったときの軸を一つだけ挙げます。「自分が働いて得ているのか、資産が働いて得ているのか」。前者なら許可の話が出てきます。後者なら運用です。この問いに当てはめれば、新しい金融商品が出てきても、自分で判断できます。

よくある質問

Q. 公務員が株式投資をするのに許可は必要ですか?

不要です。国家公務員法103条と104条、地方公務員法38条が制限しているのは営利企業の経営と、報酬を得て事業や事務に従事することです。株式の保有や売買は資産運用にあたり、これらに含まれません。ただし勤務時間中の取引は職務専念義務に触れ、職務で知った情報を使った売買は金融商品取引法の規制対象になります。

Q. 不動産投資はどこから副業と判断されますか?

規模の基準で判断されます。国家公務員では人事院規則の運用方針により、独立家屋5棟以上、アパートなど10室以上、駐車場10台以上、賃貸料収入が年額500万円以上のいずれかに達すると自営と扱われ、承認が必要です。地方公務員は自治体の規則で似た基準が置かれています。購入前に人事担当へ確認してください。

Q. 投資の利益は確定申告が必要ですか?

給与以外の所得が年間20万円を超えると所得税の確定申告が必要です。20万円以下でも住民税の申告は別に必要になります。NISA口座内の運用益は非課税で申告は不要です。FXや暗号資産の利益は原則として雑所得で、非課税の枠はありません。判断に迷う場合は国税庁の案内や税務署の相談窓口で確かめられます。

Q. 無許可で兼業にあたる投資を続けるとどうなりますか?

懲戒処分の対象になります。国家公務員法82条に基づく処分で、人事院の指針では無許可の兼業について減給または戒告が標準例として挙げられています。勤務時間中の行為が重なると、さらに重くなります。規模の基準に近づいた時点で申請すれば処分の問題は生じないため、隠すより先に相談するほうが確実です。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年4月8日最終更新:2026年9月20日
朝比奈 蒼

この記事を書いた人

朝比奈 蒼@SOHO編集部

ITメディア編集者

IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。

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