公務員の兼業禁止はどこまでか|例外として認められる活動 2026

丸山 桃子
丸山 桃子
公務員の兼業禁止はどこまでか|例外として認められる活動 2026

この記事のポイント

  • ✓公務員兼業禁止の範囲を条文から整理しました
  • ✓国家公務員法と地方公務員法のどこに何が書かれているか
  • ✓不動産賃貸や執筆で認められる条件

「公務員兼業禁止」と検索したとき、本当に知りたいのは「禁止です」という一言ではないはずです。知りたいのは、自分がやろうとしている活動が禁止の内側か外側か、そのどちらなのかという線引きのほうでしょう。結論から言うと、公務員の兼業は「全面禁止」ではなく「許可制と、許可すら要らない範囲の組み合わせ」です。そして許可が必要かどうかは、活動の名前ではなく「報酬を得るか」「営利企業を営むか」「本務に支障があるか」という3つの条件で決まります。この記事では、国家公務員法と地方公務員法の条文そのものを起点に、どこまでが禁止でどこからが例外なのかを整理します。

私は普段、中小のアパレルブランドのEC運営やSNS運用を請け負う仕事をしています。その現場で、自治体に勤めている方から「休日に商品撮影の手伝いをしたい」「SNSの投稿文を書く仕事を受けたい」と相談されたことが何度かありました。そのたびに実感するのは、当事者ほど「グレーだから全部ダメ」と自分にブレーキをかけていて、逆に規程を読めば通る道があることに気づいていない、という構図です。センスの話ではなく、条文と手続きの話です。

公務員の兼業禁止はどこまでか、まず結論から

最初に全体像を示します。公務員の兼業をめぐるルールは、大きく4つの層に分かれています。

第1層は「許可がなければできないこと」です。営利企業の役員を兼ねること、自分で営利企業を営むこと、そして報酬を得て何らかの事業や事務に従事することです。これが兼業禁止と呼ばれている部分の中身で、逆に言えばここに当たらない活動は許可の対象外です。

第2層は「許可を得ればできること」です。第1層に当たる活動でも、任命権者や人事院の承認を得れば適法に行えます。ここが「兼業禁止」という言葉から抜け落ちやすい部分です。禁止されているのは無許可で行うことであり、活動そのものが違法とされているわけではありません。

第3層は「許可も不要でできること」です。報酬を伴わない社会貢献活動、預貯金の利子や株式の配当、書籍を出して受け取る印税の一部の扱いなど、そもそも第1層の要件を満たさない行為がここに入ります。

第4層は「許可を得ていても、別の義務違反になりうること」です。職務専念義務、信用失墜行為の禁止、守秘義務は兼業の許可とは別建てで常に働きます。許可が出たから何をしてもよいわけではありません。この4層を頭に入れておくと、ネット上の断片的な情報に振り回されにくくなります。

もう1つ押さえておきたいのは、この10年ほどで運用が「禁止一色」から「基準を書いて公開する」方向に動いていることです。地方自治体では兼業の許可基準を要綱や規程として明文化し、職員が事前に読める形に整える動きが広がりました。判断が担当者の裁量に委ねられていた時代から、書かれた基準に当てはめる時代へ移りつつある、という理解が実態に近いです。

つまり、いま必要な行動は「兼業禁止かどうかを検索して不安になる」ことではなく、自分の所属先が公開している許可基準を取り寄せて読むことです。基準の有無と内容は自治体や省庁によって差があり、一般論の記事より手元の1枚のほうが正確です。

根拠となる条文を読む(国家公務員法と地方公務員法)

次に、根拠条文を実際の文言で確認します。ここを曖昧にしたまま「公務員は副業禁止」と覚えていると、判断を誤ります。

地方公務員の場合、根拠は地方公務員法第38条第1項です。条文はこう書かれています。職員は、任命権者の許可を受けなければ、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない、というものです。

読んでほしいのは「任命権者の許可を受けなければ」という前置きです。条文の構造は、行為そのものの禁止ではなく、無許可での従事の禁止です。そして同条第2項では、人事委員会が人事委員会規則によって許可の基準を定めることができると規定されています。基準を作る根拠まで法律に書かれている、ということです。

国家公務員の場合は2本立てになっています。国家公務員法第103条第1項は、職員は営利企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならないと定めます。ただし同条第2項で、人事院規則の定めるところにより所轄庁の長の申出により人事院の承認を得た場合には適用しないとされています。

もう1本が第104条です。こちらは、職員が報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、その他いかなる事業に従事し、若しくは事務を行うにも、内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可を要する、と定めています。営利企業以外、つまり非営利団体の仕事であっても、報酬を得るなら許可が必要だという点がここで押さえられています。

そして第103条と第104条のどちらにも共通しているのが「報酬」と「営利」というキーワードです。逆に言えば、報酬を得ず、営利企業を営むわけでもない活動は、この2つの条文の射程から外れます。法令の原文は総務省や人事院の公開資料のほか、e-Govからたどれる法令検索でも確認できます。自分の目で条文を読む習慣をつけておくと、伝聞に頼らずに判断できます。

加えて、兼業とは別に働く義務があることも確認しておきます。地方公務員法第35条は、職員は法律又は条例に特別の定がある場合を除く外、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用いなければならないと定めています。第33条は職の信用を傷つける行為を禁じ、第34条は職務上知り得た秘密を漏らしてはならないと定めています。兼業の許可が出ても、この3つは免除されません。

許可なしでできる活動と、許可が必要な活動の線引き

ここが読者がいちばん知りたい部分でしょう。条文の3要件に当てはめて仕分けます。

許可が必要になるのは、次のいずれかに当たるときです。1つめは、営利企業の役員や顧問、評議員などの地位を兼ねること。株式会社の取締役や監査役、合同会社の業務執行社員はここに入ります。2つめは、自ら営利企業を営むこと。個人事業として反復継続的に商行為を行う場合が典型です。3つめは、報酬を得て事業や事務に従事すること。雇用契約でも業務委託契約でも、対価を受け取るなら形式は問いません。

一方、許可の対象外と整理されるのは次のような活動です。株式や投資信託、預貯金による運用。これは資産運用であって営利企業を営む行為ではないという扱いが定着しています。国債や社債の利子、配当も同じです。ただし、デイトレードのように勤務時間中に取引画面を見続ける形になると、兼業の問題ではなく職務専念義務の問題になります。

報酬を伴わない活動も原則として対象外です。地域のイベント運営を無償で手伝う、PTAや自治会の役員を無報酬で務める、といったケースです。ここで注意したいのが、実費の弁償と報酬の区別です。交通費の実費相当だけを受け取る場合は報酬とは扱わない運用が一般的ですが、名目が「謝礼」「日当」となっていて実費を超える金額であれば、報酬と見られる余地があります。額と名目の両方を確認してください。

逆に誤解が多いのが「単発だから大丈夫」という発想です。条文には回数や金額の下限が書かれていません。1回だけの講演で謝金を受け取る場合も、報酬を得て事務に従事したことになります。実務では、単発の講演や原稿執筆について包括的に届出や許可の手続きを定めている組織が多く、その手続きを踏むことで適法に行えます。手続きがあるのに使わないのがもっとも危ない選択です。

もう1つ、家族名義にすれば回避できるという話も出回りますが、これは実質判断で見られます。事業の意思決定や資金管理を職員本人が握っていれば、名義が配偶者でも本人が営んでいると評価されるおそれがあります。名義だけ変えて実態を変えない方法は、リスクを増やすだけで解決になりません。

例外として認められる代表例と、その条件

では具体的に、どんな活動が例外として通りやすいのでしょうか。代表的な4分野を条件つきで整理します。

1つめは不動産賃貸です。相続や転勤でやむを得ず物件を持つケースを想定して、人事院の運用では「自営」に当たるかどうかの目安が示されています。独立家屋の棟数、独立家屋以外の室数、賃貸料収入の年額、駐車場の規模などで線を引く形で、収入規模が一定を超えると自営と評価され承認の手続きが必要になります。目安を超えているかどうかを、契約前に数字で確認しておくことが実務上のポイントです。

所有する不動産からの賃料収入がどれくらいになるかは、「賃貸予定の不動産の賃料収入額(月額)×室数×12ヶ月分」で計算しておきましょう。実際に賃料収入が500万円を超えてしまい、減給や懲戒処分を受けたケースも発生していますので、家賃設定を含めた経営プランには細心の注意を払ってください。 出典: relo-fudosan.jp

管理業務を自分で行うか委託するかも判断材料になります。入居者募集や修繕手配を自分でこなしていると、勤務時間への影響が具体的に生じるため、管理会社に委託している形が望ましいとされる運用が一般的です。

2つめは執筆と講演です。専門知識を文章にする活動は、公務の信用を損なわず、職務上の秘密に触れない限りは認められる余地が大きい分野です。ただし所属先の名称や肩書を出して発表する場合は、広報や人事の事前確認が必要になることが多いです。文章の内容が所管する政策の評価に踏み込むと、信用失墜行為の禁止に触れる可能性も出てきます。何を書かないかを先に決めておくほうが安全です。

3つめは家業の継承と小規模な農業です。家族が営んできた農地を引き継ぐ、実家の事業を手伝うといった場面では、規模が小さく本務に支障がないと認められれば承認されるケースがあります。ここでも判断材料は規模と時間です。

4つめが社会貢献活動です。NPOでの活動や地域づくりの支援は、報酬の有無にかかわらず制度として後押しする方向に動いてきた分野です。自治体が兼業許可の基準を明文化する動きは、この社会貢献分野を入口にして広がってきた経緯があります。4分野のどれにしても、共通する判断軸は「規模」「時間」「所属先との利害関係」の3つです。

数字で見る運用の実情

線引きの話に加えて、実際にどれくらい許可が出ているのかという実情も見ておきましょう。

総務省の令和6年度調査では、地方公務員の兼業許可件数は約4万1千件と横ばいで推移している。一方で、社会貢献活動に関する兼業は増加傾向にある。また、許可基準を明文化する自治体も増えており、副業をめぐる運用は徐々に整理されつつある。 出典: jichitai.works

この数字の読み方が重要です。地方公務員は全国で約280万人規模です。そこに対して許可件数が4万1千件ということは、許可を受けて兼業している職員は全体のごく一部にとどまります。つまり「みんなやっている」状態ではありません。

ただし、この数字を「だから通らない」と読むのは早いです。許可件数が伸びていない理由には、そもそも申請していない層が厚いという要素があります。基準が公開されていない、前例がない、上司に聞きづらいといった事情で、申請段階に至っていないケースは少なくありません。基準を明文化した自治体が増えているというのは、この入口の詰まりを解消する動きです。

もう1つの変化が、社会貢献活動に関する兼業の増加傾向です。ここには、報酬の有無が問われにくく、自治体としても地域活動への職員参加を歓迎したいという事情があります。副業というより地域参加の文脈で制度が整えられてきた、と見るのが実態に近いでしょう。

統計を見るときは、分母と分子を必ずそろえてください。「兼業許可件数が過去最多」という見出しだけを見て解禁が進んだと判断すると、実際の職場の運用とずれます。自分の所属先の許可件数と基準を確認するのが、いちばん確度の高い情報収集です。総務省が公表している地方公務員の勤務条件に関する調査は総務省のサイトからたどれます。

バレる経路と処分のリスク、無報酬なら大丈夫かという誤解

無許可の兼業が発覚する経路は、意外なほど地味です。多いのは住民税の特別徴収です。給与以外の所得があると、所得税の確定申告の内容が自治体に渡り、給与から差し引かれる住民税の額に反映されます。総務課の担当者が「この人だけ住民税の額が動いている」と気づく、という流れです。

次に多いのが社会保険です。別の勤務先で雇用され社会保険の加入要件を満たすと、二重加入の手続きが発生します。ここは隠しようがありません。3つめがSNSや実名での発信です。プロフィールに実名と活動内容を書いた状態で発信していれば、同僚や住民の目に触れます。4つめが第三者からの通報で、取引先や利用者から所属先へ連絡が入る例があります。

処分の重さは、無許可の期間、収入規模、職務との利害関係、隠ぺいの有無で変わります。戒告や減給で収まる例もあれば、収入が大きく長期にわたっていた事案では停職や免職に至った例も報じられています。ここで注意したいのは、処分の理由が「兼業したこと」だけではないケースが多い点です。無許可の兼業に加えて、勤務時間中の作業、職務上の情報の利用、虚偽の説明といった事情が重なると、量定が一気に重くなります。

「無報酬なら何をしてもよい」という理解も正確ではありません。報酬がなければ地方公務員法第38条の許可は要りませんが、職務専念義務、信用失墜行為の禁止、守秘義務は無報酬でも働きます。たとえば知人の塾を無報酬で手伝う場合でも、勤務日の疲労が翌日の職務に影響するほど時間を割いていれば、専念義務の観点から問題になりえます。所管する事業者の手伝いであれば、報酬ゼロでも利害関係の問題が残ります。

実務的な結論はシンプルです。報酬があるなら手続きを踏む。報酬がなくても、勤務時間と所管業務との距離だけは自分で線を引く。この2つを守っていれば、後から説明できない状態にはなりません。

許可を申請するときに書くこと、通りやすさを決める要素

実際に許可を申請する段になると、多くの人が「何を書けば通るのか」で止まります。組織ごとに様式は違いますが、審査する側が見ているポイントは共通しています。

1つめは、活動の内容が具体的に書かれているかです。「執筆活動」と3文字で書くのと、「業界向けのウェブメディアに、公募要領の読み方を解説する記事を月1本、各3,000字程度で寄稿する」と書くのでは、審査する側の判断のしやすさがまったく違います。抽象的な記載は、判断できないという理由で差し戻される確率が上がります。

2つめは、所要時間と実施日時です。週あたり何時間、どの曜日のどの時間帯に行うのかを書きます。ここが空欄だと、職務専念義務への影響を判断できません。平日の夜間と土日に限る、勤務日の前日は作業しない、といった自主的な制限を自分から書いておくと、審査側は許可を出しやすくなります。

3つめは、相手先と所属先の利害関係です。相手先が所管する事業者か、補助金の交付先か、入札に参加する可能性がある事業者かを確認します。ここに接点があると、活動の内容が適切でも許可は難しくなります。逆に、所管外の業種であることをはっきり書ければ、もっとも大きな懸念が1つ消えます。

4つめは、報酬の形と金額の目安です。固定額か成果連動か、月額か案件ごとかを書きます。額を隠す必要はありません。むしろ、後で住民税の額が動いたときに説明できる状態にしておくほうが安全です。

5つめは、秘密の扱いです。職務上知り得た情報を用いないこと、所属先の名称や肩書を出さないこと(または出す場合は事前に確認すること)を明記します。地方公務員法第34条の守秘義務は退職後も続く規定であり、審査する側がもっとも神経を使う部分です。

この5点を埋めた申請書は、担当者が判断に必要な材料をすべて持っている状態になります。差し戻しの多くは、不許可ではなく情報不足によるものです。最初から埋めておけば往復が減ります。前例がない組織では、申請書を出す前に人事担当へ「こういう内容を考えているが、様式はどれを使えばよいか」と口頭で確認しておくと進みが早くなります。

税金と社会保険の扱いを先に確認する

許可が取れたら、次は税の手続きです。ここを後回しにすると、無許可よりも面倒な形で表に出ます。

所得税については、給与以外の所得が年間20万円を超えると確定申告が必要になります。これは公務員に限った話ではなく給与所得者に共通の基準です。注意したいのは、この20万円は「収入」ではなく「所得」、つまり収入から必要経費を引いた後の金額だという点です。原稿執筆で年間25万円を受け取り、資料代や通信費で6万円を使っていれば所得は19万円で、この基準では申告義務は生じません。ただし医療費控除などで確定申告をする場合は、20万円以下の所得も併せて申告する必要があります。

所得の区分も確認しておきましょう。継続的に事業として行っている場合は事業所得、単発の原稿料や講演料は雑所得として扱われるのが一般的です。区分によって経費の扱いや損失の通算の可否が変わります。判断に迷うときは、国税庁が公開している所得区分の説明を確認するか、税務署の相談窓口に実態を伝えて確認するのが確実です。

住民税は、公務員にとってもっとも「見える」部分です。給与からの特別徴収が基本なので、副業分の所得が加わると翌年度の住民税額が動きます。確定申告書で普通徴収を選べる自治体もありますが、選べる範囲には制限があり、給与所得以外の所得に限られます。隠すための手段として使うのではなく、許可を得ている前提で手続きとして整えるのが正しい使い方です。

社会保険については、別の勤務先で雇用され所定労働時間や賃金の要件を満たすと加入義務が生じ、二重加入の手続きが必要になります。一方、業務委託として受ける形であれば、社会保険の加入要件とは切り離されます。制度の仕組みは日本年金機構の解説が根拠として確認しやすいです。

なお、労働時間の通算という論点もあります。労働基準法第38条第1項は、労働時間は事業場を異にする場合においても労働時間に関する規定の適用については通算すると定めています。別の勤務先に雇われる形をとると、この通算の対象になり、時間外労働の扱いが複雑になります。兼業で雇用契約を選ぶか業務委託を選ぶかは、この点でも結果が変わります。手続きの軽さと裁量の大きさを重視するなら、業務委託のほうが整理しやすい場面が多いです。

兼業が認められたあとに効くスキルの作り方

許可の見通しが立ったら、次に考えるのは「何を仕事にするか」です。ここでは、公務の経験が値段のつく形になりやすい方向を挙げます。

もっとも相性がよいのは、文章を書く仕事です。行政文書を日常的に扱う人は、要件を落とさずに読み手が理解できる文章に整える訓練を積んでいます。この能力は、業務マニュアル、申請書類の書き方の解説、補助金の公募要領のかみ砕きといった仕事で直接評価されます。単価の相場感を知りたいときは著述家,記者,編集者の年収・単価相場が参考になります。職種別に賃金構造基本統計調査などをもとにした年収帯と、業務委託での単価の考え方を並べて確認できます。

文章の型そのものを見直したい人には、ビジネス文書検定の学習範囲が役に立ちます。社外文書の構成や敬語の使い分けを体系立てて確認できるので、行政文書の作法から民間向けの作法に切り替える練習になります。

情報システムの担当経験がある人は、技術寄りの方向も現実的です。ネットワークの設計や運用に触れてきたならCCNA(シスコ技術者認定)の範囲を押さえることで、資格という形で経験を外から見える化できます。開発に近い経験がある場合はソフトウェア作成者の年収・単価相場で、経験年数と担当範囲によって単価がどう動くかを確認しておくと、見積りの根拠を持てます。

いま需要が伸びているのは生成AIの導入支援です。自治体でも文書作成や問い合わせ対応での活用検討が進んでいて、「現場の業務を知っていて、かつツールも触れる人」が不足しています。仕事の中身を具体的に把握したいならAIコンサル・業務活用支援のお仕事とAI・マーケティング・セキュリティのお仕事を読んでおくと、依頼者が何を期待して発注しているかがつかめます。前者は業務フローの整理と定着支援、後者は運用と安全管理まで含む領域です。

契約面では、報酬の支払い条件を先に固めておくことが欠かせません。発注書に書くべき項目を確認するにはフリーランスを守る「下請法(取適法)」の知識|発注書・契約書の必須項目チェックリストが実務的です。同じ許可制の職業でどう整理されているかを知りたい場合は、会計士の副業ガイド|監査法人勤務でもできる高収入の稼ぎ方【2026年版】で、資格職が所属先の規程と折り合いをつける手順を見ておくと参考になります。

市場を長く見てきた立場からの観察

20年にわたって在宅ワークとフリーランスの市場を運営してきた立場から見ると、公務員の方が兼業でつまずくポイントは、規程ではなく「受け方」に集まっています。

多いのは、単発の作業を安く速くこなす形に入ってしまい、許可の手続きコストに見合わなくなるパターンです。1回3,000円から1万円程度の細かい作業を積み上げる形は、勤務時間外の可処分時間を削るうえに、依頼者との関係が毎回リセットされます。長く続いている人ほど、作業の単発受注ではなく「この分野はこの人に聞けば整理してもらえる」という関係づくりに時間を使っています。月に1回の定例の相談枠を持つ、年間で更新される小さな契約を1本持つ、という形のほうが、許可の手続きとも噛み合います。

もう1つ、運営者として見てきた限りではっきりしているのが、仲介の中間マージンが手取りに与える影響です。同じ予算を依頼者が出したとき、仲介手数料が乗る経路では、依頼者が頼める量は減り、受け手の手取りも薄くなります。手数料0%で直接つながる経路では、同じ金額で依頼者はもう1本頼めて、受け手は同じ作業量で厚い手取りになります。これは額面の大小の話ではなく、同じ仕事に対して手元に残る割合の話です。兼業の許可を得て限られた時間で働く人にとっては、この差が続けられるかどうかを左右します。

もう1つの観察は、公務の経験が効くのは「速さ」ではなく「落とさないこと」だという点です。民間の現場では、期限や様式の要件が抜けたまま進んでしまう場面が日常的にあります。要件を確認して抜けを指摘できる人は、作業者ではなく相談相手として扱われます。値段がつくのはこの後者です。兼業の届出書に活動内容を書く段階から、自分を作業者として位置づけるか相談相手として位置づけるかを決めておくと、その後の仕事の質が変わってきます。

最後に、条文の確認先だけもう一度整理します。国家公務員の兼業は人事院規則が運用の中心にあり、基準や手続きは人事院の公開資料にまとまっています。地方公務員は所属自治体の規程と人事委員会規則が起点です。一般的な解説記事を10本読むより、所属先の1枚の要綱を読むほうが早く答えが出ます。兼業禁止という言葉の重さに立ち止まる前に、まず自分の組織の基準を取り寄せてください。

よくある質問

Q. 公務員の兼業は全面的に禁止されているのですか?

全面禁止ではありません。地方公務員法第38条第1項は「任命権者の許可を受けなければ」営利企業の役員を兼ねたり、自ら営利企業を営んだり、報酬を得て事業に従事してはならないと定めています。禁止されているのは無許可での従事であり、許可を得れば適法に行えます。報酬を伴わない活動はそもそも許可の対象外です。

Q. 報酬を受け取らなければ何をしても問題ないのですか?

報酬がなければ第38条の許可は不要ですが、職務専念義務、信用失墜行為の禁止、守秘義務は無報酬でも適用されます。勤務日の負担が翌日の職務に影響するほど時間を割く場合や、所管する事業者を手伝う場合は、報酬ゼロでも問題になりえます。時間と利害関係の2点は自分で線を引いてください。

Q. 不動産の賃貸はどこまでなら許可なしでできますか?

人事院の運用では、独立家屋の棟数、室数、賃貸料収入の年額、駐車場の規模などで自営に当たるかの目安が示されており、これを超えると承認の手続きが必要になります。相続で物件を引き継ぐ場合は、契約前に年間の賃料収入を計算し、管理業務を管理会社へ委託する形にしておくのが実務上の基本です。

Q. 無許可の兼業はどのように発覚するのですか?

多いのは住民税の特別徴収です。給与以外の所得があると住民税の額に反映され、総務担当者が気づきます。次に別の勤務先での社会保険の二重加入、実名でのSNS発信、取引先や利用者からの通報が続きます。処分は無許可の期間や収入規模、隠ぺいの有無で重くなるため、手続きを踏むことが最も安全です。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年6月21日最終更新:2026年9月22日
丸山 桃子

この記事を書いた人

丸山 桃子@SOHO編集部

アパレルEC運営支援・SNSコンサル

アパレル企業でMD・ECバイヤーとして勤務後、フリーランスに独立。アパレルブランドのEC運営支援・SNS運用を手がけ、ファッション・EC系の記事を執筆しています。

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