介護休暇と介護休業の違いと、それぞれの申し出先と手続きの順番


この記事のポイント
- ✓介護休暇と介護休業は名前が似ていますが
- ✓日数も申し出先もお金の出方も別の制度です
- ✓年5日の介護休暇と通算93日の介護休業の違い
親が倒れたという連絡を受けた日に、会社へ何と言えばよいのか。介護休暇と介護休業は名前が1文字しか違わないのに、取れる日数も、申し出る相手も、お金が出るかどうかも別の制度です。そして急いでいる場面で、この2つを混ぜて説明している情報がとても多い。
この記事では、2つの制度の違いを条文と公式の案内で確かめたうえで、どちらをいつ使うか、どこに何を出すか、お金はいくら出るかを順番に整理します。令和7年4月1日から会社側の義務が増えた部分も含めます。
2つの制度は何が違うのか
まず結論から並べます。どちらも育児・介護休業法という法律で定められた、働く人の権利です。会社の好意で与えられる休みではありません。
介護休暇は、短い用事のための休みです。1つの年度に5日まで、介護が必要な家族が2人以上いる場合は10日まで取れます。病院への付き添い、介護の相談、手続きのために役所へ行く、といった半日単位の用事に使います。時間単位で取れます。
介護休業は、介護の体制を組むためにまとまって休む制度です。同じ家族について通算93日まで、3回まで分けて取れます。介護施設を探す、在宅の介護の準備をする、退院後の生活を整える、といった期間に使います。
違いを左右する軸は3つです。
1つ目は長さです。介護休暇は日単位か時間単位、介護休業は週単位から月単位でまとまって休みます。数日で済む用事に介護休業を使うと、93日という限られた枠を減らしてしまいます。
2つ目はお金です。介護休暇は、給与が出るかどうかが会社の定めによります。無給の会社が少なくありません。介護休業には雇用保険から介護休業給付金が出ます。ここが実務上いちばん大きな差です。
3つ目は申し出の期限です。介護休暇は当日の申し出でも取れる運用が一般的です。介護休業は、開始予定日の2週間前までに申し出るのが原則で、それより直前だと会社が開始日をずらせる仕組みがあります。
この3点を押さえると、使い分けの判断は単純になります。急ぎの用事は介護休暇、体制を組むための期間は介護休業です。
「要介護状態」と「対象家族」の範囲
どちらの制度も、使えるかどうかは2つの条件で決まります。家族が要介護状態にあるか、その家族が対象家族に入るかです。
要介護状態とは、ハローワークの案内では次のように説明されています。
負傷、疾病又は身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上にわたり常時介護(歩行、排泄、食事等の日常生活に必要な便宜を供与すること)を必要とする状態 出典: ハローワークインターネットサービス
ここでよくある誤解が2つあります。1つは、介護保険の要介護認定を受けていなければ使えないと思い込むことです。介護保険の認定と、この法律の要介護状態は別の判断です。認定を待っている間でも、2週間以上にわたり常時の介護が必要な状態であれば対象になります。もう1つは、身体の状態だけが対象だと思うことです。条文では精神上の障害も含まれています。
対象家族は、配偶者、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫です。配偶者には事実上の婚姻関係にある人が含まれます。父母と子は、養父母と養子を含みます。
範囲の外にある人で迷いやすいのが、配偶者の祖父母と、配偶者の兄弟姉妹です。これらは対象家族に入りません。会社の制度で独自に広げている場合はありますが、法律上の権利としては請求できません。就業規則を確認してください。
同居や扶養の条件は、現在は付いていません。離れて暮らす親でも、扶養に入れていない親でも対象になります。ここは以前の制度と変わった部分で、古い説明が残っていることがあります。
介護休暇の中身。日数と、時間単位の数え方
介護休暇の根拠は、育児・介護休業法の第16条の5です。条文はこう書かれています。
要介護状態にある対象家族の介護その他の厚生労働省令で定める世話を行う労働者は、その事業主に申し出ることにより、一の年度において五労働日(要介護状態にある対象家族が二人以上の場合にあっては、十労働日)を限度として、当該世話を行うための休暇(以下「介護休暇」という。)を取得することができる。 出典: e-Gov法令検索
数え方の単位は「1つの年度」です。年度は、会社が別の定めをしていない限り4月1日から翌年3月31日までです。年度の途中で使い切ると、次の年度まで増えません。
家族の人数で日数が変わる点に注意してください。介護が必要な家族が1人なら5日、2人以上なら10日です。3人いても10日で、それ以上は増えません。
時間単位での取得は、令和3年1月1日から可能になりました。厚生労働省の案内では、次のように変わっています。
・半⽇単位での取得が可能 ・1⽇の所定労働時間が4時間以下の労働者は取得できない 出典: 厚生労働省
これが改正前の姿で、現在は時間単位で、すべての働く人が取れる形になっています。時間単位の数え方には決まりがあります。1時間の整数倍で、本人が希望する時間数で取れなければなりません。会社が一方的に「2時間単位でのみ」と決めることはできません。
時間を積み上げて「1日分」になる計算も決まっています。1日の所定労働時間に1時間未満の端数があるときは、端数を切り上げます。厚生労働省のQ&Aでは、1日の所定労働時間が7時間30分の人の場合、30分を切り上げて8時間分の休暇で1日分になると説明されています。5日分が使える人が7時間だけ休んだ場合、残りは4日と1時間です。
取れる時間の位置にも決まりがあります。始業の時刻から連続する形、または終業の時刻まで連続する形です。就業時間の途中から抜けて途中で戻る取り方は、法令で求められている形ではありません。ただし、認めている会社はそのまま続けるのが望ましいとされており、認めていた会社が取りやめるのは働く人に不利な変更になります。
会社が労使協定を結んで、時間単位の取得の対象から外せる働く人もいます。外せるのは、業務の性質や実施の体制から見て1日未満の単位で休みを取ることが難しいと認められる業務に従事している人です。所定労働時間が短いことだけを理由に一律に外す扱いは、適当ではないと厚生労働省のQ&Aに明記されています。
介護休業の中身。93日、3回まで、2週間前
介護休業の根拠は同じ法律の第11条です。日数と回数の上限が条文に書かれています。
一 当該対象家族について三回の介護休業をした場合 二 当該対象家族について介護休業をした日数(中略)が九十三日に達している場合 出典: e-Gov法令検索
この93日と3回は、対象家族1人ごとの枠です。父について93日を使い切っても、母についてはまた93日が使えます。逆に、同じ父について4回目を申し出ることはできません。
分け方は自由です。最初に30日休んで施設を探し、入所が決まってから10日休んで手続きをして、状態が変わったときに残りを使う。この形が想定されている使い方です。1回で93日を続けて使う必要はありません。
期間を定めて雇用されている人にも条件があります。介護休業の開始予定日から93日を経過する日から6か月を経過する日までに労働契約が満了することが明らかでない人であれば申し出られます。契約の更新が見込まれる状態なら対象になる、という読み方です。
申し出があったとき、会社はこれを拒めません。第12条に「事業主は、労働者からの介護休業申出があったときは、当該介護休業申出を拒むことができない」と書かれています。ただし同じ条文に、開始予定日が申し出の日の翌日から2週間を経過する日より前であるときは、会社がその範囲で開始日を指定できる仕組みがあります。つまり、直前に申し出た場合に会社が開始日をずらせるのであって、休みそのものを断れるわけではありません。
申し出のときに明らかにするのは、対象家族が要介護状態にあること、休みの初日と末日です。書式は会社ごとに用意されています。診断書の提出を必ず求められるわけではありませんが、要介護状態の確認のために資料の提出を求める会社があります。
もう1つ、労使協定で対象から外せる人がいます。雇用された期間が1年に満たない人と、申し出の日から93日以内に雇用関係が終わる人、週の所定労働日数が2日以下の人です。この除外を会社が定めているかどうかは、就業規則で確かめてください。
申し出先はどこか
ここが混乱しやすい部分です。申し出る相手は2つあり、役割が分かれています。
休みそのものの申し出先は、勤務先の会社です。介護休暇も介護休業も、会社に申し出ることで取れます。窓口は人事の部署か、直属の上司を経由する形が一般的です。会社を通さずにハローワークへ行っても、休みは取れません。
お金の申請先は、ハローワークです。ただし、本人が直接行くのではなく、原則として会社が手続きをします。ハローワークの案内では、事業主が休業開始時賃金月額証明書を提出し、そのうえで事業主を経由して支給申請をする流れが示されています。本人が自分で申請することを希望する場合は、本人が行うことも可能です。
つまり、順番はこうなります。会社に申し出て休みを取る。会社がハローワークに賃金の証明書を出す。会社を通して給付金を申請する。給付金が本人の口座に入る。
自分が動く場面は、最初の申し出と、書類への記入と、口座の指定です。ここから先は会社の担当者が進めます。担当者が慣れていない場合があるので、申し出のときに「介護休業給付金の申請もお願いします」と言葉にしておくと、手続きが止まりません。
介護休暇については、給付金の仕組みがありません。給与が出るかどうかは会社の定めによります。無給であれば、その日の分の賃金が減ります。有給休暇を先に使うよう求めることは会社にはできず、どちらを使うかは本人が選びます。
介護休業給付金はいくら出るか
介護休業中に雇用保険から出るお金が介護休業給付金です。金額の計算は、ハローワークの案内に次のように書かれています。
介護休業給付の各支給対象期間(1か月)ごとの支給額は、原則として休業開始時賃金日額×支給日数×67%です。 出典: ハローワークインターネットサービス
賃金日額は、休業前6か月の賃金を180で割った額です。これに支給日数の30日を掛けた賃金月額には上限と下限があり、上限は546,600円、これに対応する1か月あたりの給付金の上限は366,222円です。下限は96,090円です。これらの額は毎年8月1日に見直されます。
受け取るための条件は3つあります。1つ目は、休業を始める前の2年間に、賃金の支払いの基礎となった日数が11日以上ある月が12か月以上あることです。2つ目は、休業の各1か月ごとに、休業前の1か月あたりの賃金の8割以上が支払われていないことです。3つ目は、働いた日数が各1か月の期間ごとに10日以下であることです。
2つ目の条件は見落としやすい部分です。会社が休業中も給与を出している場合、その額が休業前の8割以上だと給付金は出ません。給与と給付金の合計が8割を超える部分は減額されます。会社の制度で休業中の給与が出る場合は、人事の担当者に合計額を確認してください。
申請の期限も決まっています。支給申請書の提出は、各介護休業の終了日の翌日から起算して2か月を経過する日の属する月の末日までです。介護休業が3か月を超える場合は、開始日から3か月を経過した日が起点になります。この期限を過ぎると受け取れなくなるため、休業が終わったら会社の担当者に進捗を確認してください。
93日を3回に分けた場合、それぞれの休業について申請します。給付の限度も、同じ家族について通算93日、3回までです。
令和7年4月から会社に増えた義務
令和7年4月1日から、介護に関する会社側の義務が増えました。働く側から見ると、会社に何を求められるかが変わっています。
1つ目は、介護休暇を取れる人の要件の緩和です。改正前は、労使協定を結べば継続して雇用された期間が6か月に満たない人を対象から外せました。この規定が廃止され、外せるのは週の所定労働日数が2日以下の人だけになりました。厚生労働省のリーフレットにはこう書かれています。
〈 除外できる労働者〉 ①週の所定労働日数が2日以下 ②継続雇用期間6か月未満 ※②を撤廃 出典: 厚生労働省
入社して間もない人でも介護休暇が取れるようになった、という変更です。
2つ目は、介護離職を防ぐための雇用環境の整備です。会社は、研修の実施、相談の窓口の設置、利用した事例の収集と提供、利用を促す方針の周知のいずれかを行わなければなりません。
3つ目は、個別の周知と意向の確認です。介護に直面したことを申し出た人に対して、会社は制度の内容、申し出先、介護休業給付金に関することを個別に伝え、休業を取るか制度を使うかの意向を確認しなければなりません。伝え方は面談、書面の交付、ファクシミリ、電子メールのいずれかです。取得を控えさせるような伝え方は認められていません。
4つ目は、40歳前後での情報提供です。介護に直面する前の早い段階で理解を深めてもらうために、会社は40歳に達する日の属する年度か、40歳の誕生日から1年間のいずれかに、制度の内容と申し出先と給付金のことを伝えなければなりません。介護保険制度の周知も併せて行うことが望ましいとされています。
5つ目は、介護のためのテレワークです。要介護状態の家族を介護する人がテレワークを選べるように措置を講じることが、会社の努力義務になりました。義務ではないので必ず用意されているとは限りませんが、相談する根拠にはなります。
この5つを知っていると、会社に相談するときの言い方が変わります。「休ませてもらえますか」ではなく、「介護に直面したことを申し出るので、制度の説明と意向の確認をお願いします」と言えます。
手続きの順番を1本の流れにする
急いでいる場面で迷わないように、順番を並べます。
最初にやるのは、介護休暇での初動です。連絡を受けた日や翌日に病院へ行く、状況を確認する、地域包括支援センターへ相談する。ここは1日か2日で済む用事なので、介護休暇を使います。当日の申し出で取れる運用が一般的なので、まず上司に電話で伝えてください。
次に、介護保険の申請をします。市区町村の窓口で要介護認定の申請をし、認定の調査を受けます。この間も介護休暇を使えます。介護休業の枠は、この段階では使わないでおくのが得策です。
3つ目に、まとまって休む必要が見えた段階で介護休業を申し出ます。退院の日程が決まった、施設を探す期間が要る、在宅の準備をする期間が要る。このときに、開始日と終了日を決めて会社に申し出ます。2週間前までに出すのが原則です。
4つ目に、会社へ給付金の申請を依頼します。休業開始時賃金月額証明書の提出と、支給申請の手続きです。書類に自分の口座を記入します。
5つ目に、休業中の連絡の頻度を決めます。復帰の日を動かす可能性があるなら、その相談の窓口も決めておきます。介護休業は終了予定日を繰り下げて延ばすことができる制度ですが、手続きの期限があるので早めに相談してください。
6つ目に、復帰の1か月前に働き方の相談をします。短時間勤務、時間外労働の制限、深夜業の制限、テレワーク。介護休業を使い切った後も、これらの制度で働き続けられます。
この流れの中で、書面に残すことを意識してください。申し出の日付、伝えた内容、会社からの回答。後でもめたときに効くのは記録です。文書の作法を体系的に押さえたい人にはビジネス文書検定の範囲が参考になります。
断られたとき、不利な扱いを受けたとき
介護休暇も介護休業も、会社は申し出を拒めません。それでも断られることがあります。
断られたときに最初にやるのは、断った理由を文面で出してもらうことです。口頭のやり取りだけでは後に残りません。メールで「先日の申し出について、認められない理由をお知らせください」と送るだけで足ります。
次に、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談します。育児・介護休業法に関する相談の窓口で、厚生労働省のリーフレットに都道府県ごとの電話番号が載っています。無料で相談でき、会社への助言も行われます。
休みを申し出たことや取ったことを理由に、解雇や降格、不利な配置の変更をすることは法律で禁じられています。嫌がらせを受けた場合も同じ窓口が相談先になります。
金銭の請求が絡む段階になったら、専門家に相談する判断になります。労働局の助言で解決しない場合の進め方や費用の考え方は、未払い報酬を回収する!弁護士の着手金・成功報酬と支払督促の流れ【2026年最新】で扱われている流れが参考になります。請求の性質は違いますが、証拠を揃える順番と費用の見込み方は共通します。
なお、税や社会保険の個別の扱いは、金額や事情によって変わります。休業中の社会保険料の免除の有無、住民税の徴収の方法、扶養の判定。一般にはこう扱われるという説明は多く出ていますが、自分の場合にどうなるかは、勤務先の担当者と年金事務所、市区町村の窓口で確認してください。
介護休業だけでは足りない。組み合わせる4つの制度
93日は、介護そのものを担う期間としては短いです。この制度は、介護の体制を組むための期間として設計されています。使い切った後も働き続けるには、ほかの制度と組み合わせます。
1つ目は、所定外労働の制限です。残業を免除してもらえる制度で、要介護状態の家族を介護している間、請求できます。回数の制限はなく、繰り返し請求できます。
2つ目は、時間外労働の制限です。1か月24時間、1年150時間を超える時間外労働を禁じる形で請求できます。
3つ目は、深夜業の制限です。午後10時から午前5時までの間に働かせないことを請求できます。夜間の介護が必要な場合に効きます。
4つ目は、所定労働時間の短縮などの措置です。短時間勤務、フレックスタイム制、始業と終業の時刻の繰り上げや繰り下げ、介護の費用の援助のいずれかを、会社は用意しなければなりません。利用できる期間は、連続する3年以上の期間で2回以上使える形です。
この4つは、介護休業の93日とは別枠です。休業を使い切ったから終わり、ではありません。会社の就業規則にどう書かれているかを確認し、書かれていない場合は法律で定められた制度であることを示して相談してください。
前述のとおり、令和7年4月からは介護のためのテレワークも会社の努力義務になりました。出社が難しい期間に、在宅で働く形を提案する根拠になります。
介護休暇と年次有給休暇のどちらを使うか
現場で最も多い迷いがこれです。介護休暇が無給の会社では、年次有給休暇を使ったほうが手取りが減りません。それでも介護休暇を先に使う理由があります。
理由は3つあります。1つ目は、年次有給休暇には日数の限りがあり、自分の体調や子どもの行事にも使うからです。介護のために年次有給休暇を先に消費すると、自分が倒れたときに使える日がなくなります。
2つ目は、介護休暇は時間単位で1時間から取れることです。年次有給休暇の時間単位の取得は、労使協定を結んでいる会社でしか使えず、年5日分が上限です。1時間の通院の付き添いに半日の年次有給休暇を使うのは、もったいない使い方になります。
3つ目は、記録が残ることです。介護休暇の申し出は、介護に直面していることを会社へ伝える行為です。前述の個別の周知と意向の確認の義務は、この申し出を起点に動きます。年次有給休暇で処理してしまうと、会社の側に介護の事情が残りません。
判断の目安はこうなります。まず介護休暇の5日または10日を使う。使い切った後で、介護休業を申し出るほど長くない用事が続くなら年次有給休暇を使う。会社が介護休暇を有給としている場合は、迷わず介護休暇を先に使ってください。
会社が「まず年次有給休暇を使ってから」と求めてくることがありますが、これは認められていません。会社は介護休暇の申し出を拒めないため、先に年次有給休暇を消化させる指示は法律に反します。断られた場合の相談先は前述の労働局の窓口です。
パート、契約社員、派遣で働く人の場合
正社員でなければ使えないと思われがちですが、どちらの制度も雇用の形で区別されていません。ただし条件の当たり方が変わります。
介護休暇は、日雇いで働く人を除いて対象です。労使協定で外せるのは、週の所定労働日数が2日以下の人だけになりました。令和7年4月1日より前は、継続して雇用された期間が6か月に満たない人も外せましたが、この規定は廃止されています。入社して1か月の人でも取れます。
日数の数え方は、所定労働日数に応じて変わる部分があります。週の所定労働日数が少ない人は、日数が比例して少なくなる扱いがあるため、自分の場合の日数は就業規則か人事の担当者に確認してください。時間単位で取る場合の「1日分」の時間数も、自分の1日の所定労働時間で決まります。1日の所定労働時間が5時間の人は、5時間分の休暇で1日分です。
介護休業は、期間を定めて雇用されている人にも条件付きで認められます。開始予定日から93日を経過する日から6か月を経過する日までに労働契約が満了することが明らかでない人であれば申し出られます。契約が更新される見込みがある状態なら、この条件に当たります。労使協定で、雇用された期間が1年に満たない人を対象から外している会社もあるので、就業規則を確認してください。
介護休業給付金の側にも条件があります。休業を始める前の2年間に、賃金の支払いの基礎となった日数が11日以上ある月が12か月以上必要です。労働時間が短い人は、この日数の条件で当たらないことがあります。当たらない場合は、月の賃金の支払いの基礎となった時間数が80時間以上である月で数える扱いがあります。自分が条件に当たるかは、ハローワークで確認してください。
派遣で働く人は、申し出先が派遣元の会社です。派遣先ではありません。派遣元の就業規則に制度が書かれているので、そちらを確認します。
家族が複数いるとき、兄弟で分担するときの数え方
介護が必要な家族が2人以上になる場面は珍しくありません。数え方を整理します。
介護休暇の日数は、家族の人数で変わります。1人なら年5日、2人以上なら年10日です。3人でも10日で、それ以上は増えません。この日数は家族ごとに割り振られているのではなく、合計の枠です。父に6日、母に4日という使い方もできます。
介護休業の93日と3回は、家族ごとの枠です。父について93日、母について93日が別々に使えます。ここが介護休暇と逆の数え方になっているので、混ぜないでください。同じ家族について4回目は申し出られませんが、別の家族なら新しく3回の枠があります。
兄弟で分担する場合、それぞれが自分の勤務先に申し出ます。同じ親について、兄が93日、妹が93日を別々に使えます。1人分の枠を分け合うのではありません。同じ期間に重ねて取ることもできます。
このとき、事前に話し合っておくとよいことが3つあります。1つ目は、誰がいつ休むかの順番です。同時に休むと、その先の期間に休める人がいなくなります。2つ目は、費用の分担です。介護休業給付金は本人の口座に入るため、実際の介護の費用をどう分けるかは別の話になります。3つ目は、情報の共有です。担当のケアマネージャーの連絡先、病院の窓口、介護保険の認定の状況を、兄弟の間で同じ形で保存しておくと、交代したときに止まりません。
配偶者の親を介護する場合も、配偶者の父母は対象家族に入るため、自分の勤務先に申し出られます。配偶者の祖父母や兄弟姉妹は対象に入りません。
遠方に住む親を介護する場面では、移動の時間が休みの使い方を左右します。往復に1日かかる距離なら、介護休暇の1日は移動だけで消えます。この場合は、介護休暇を時間単位で細かく使うより、まとめて日単位で取るほうが実態に合います。移動の費用は制度の対象外なので、会社の慶弔や介護に関する独自の補助があるかを就業規則で確かめてください。
介護と両立できる働き方を、先に用意しておく
運営者として見てきた限りでは、介護で仕事を離れた人の多くが、制度を知らなかったのではなく「相談する前に辞める判断をしていた」ケースでした。介護休暇が年5日あり、介護休業が93日あり、残業と深夜業を止められる制度があることを知っていれば、辞めずに済んだ場面が少なくありません。
もう1つ見えるのは、介護が始まる年齢と、働き方を変えられる年齢が重なっていることです。40代から50代は、勤め先で責任が重くなる時期と、親の介護が始まる時期が重なります。ここで選択肢が1つしかないと、辞めるか続けるかの二択になります。
在宅でできる仕事を、介護が始まる前に1つ持っておくのは、この二択を三択にする備えです。すぐに本業を替える話ではありません。週に数時間で受けられる仕事を経験しておくと、いざ出社が難しくなったときに、収入を全部失わずに調整できます。職種ごとの需要と報酬の並びはソフトウェア作成者の年収・単価相場や著述家,記者,編集者の年収・単価相場にまとまっており、自分の経験が在宅で値段の付く形になるかを確かめる材料になります。
そして、仲介の手数料が引かれない形で直接やり取りできる仕組みが成り立っていることには、依頼する側にとっても意味があります。同じ予算でより多くを頼めるからです。手数料0%の強みは金額の大小ではなく、限られた時間で受けた仕事の手取りが厚くなるという質にあります。介護と並行して働く人ほど、時間あたりの手取りが効きます。
在宅の仕事の全体像を先に見ておきたい人は、AIコンサル・業務活用支援のお仕事のように職種別の解説を並べて読むと、自分の経験がどこで使えるかが見えます。介護が始まってから探すのではなく、始まる前に1つ試しておく。この順番が、辞めない選択肢を残します。
よくある質問
Q. 介護休暇と介護休業はどちらを先に使えばよいですか?
1日か2日で済む用事は介護休暇、まとまって休む必要が出てから介護休業です。介護休業は同じ家族について通算93日までという限られた枠なので、通院の付き添いや役所の手続きに使うと枠を減らしてしまいます。介護保険の申請や認定の調査の期間は介護休暇で対応するのが得策です。
Q. 介護休暇に給与は出ますか?
給与が出るかどうかは会社の定めによります。無給としている会社が少なくありません。一方で介護休業には雇用保険から介護休業給付金が出ます。なお、会社が有給休暇を先に使うよう求めることはできず、どちらを使うかは本人が選べます。
Q. 介護休業給付金はいくら受け取れますか?
原則として休業開始時賃金日額に支給日数を掛けた額の67%です。賃金月額の上限は546,600円で、これに対応する1か月あたりの給付金の上限は366,222円、下限の賃金月額は96,090円です。額は毎年8月1日に見直されます。休業中に休業前の8割以上の給与が出ている場合は支給されません。
Q. 介護保険の要介護認定を受けていないと使えませんか?
介護保険の認定と、この法律でいう要介護状態は別の判断です。負傷や疾病、身体上もしくは精神上の障害により2週間以上にわたり常時の介護が必要な状態であれば、認定を待っている間でも対象になります。会社が資料の提出を求める場合があるので、申し出のときに何が必要か確認してください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
木村 大地@SOHO編集部
フリーランス社労士・行政書士
社労士・行政書士のダブルライセンスを持ち、フリーランスの労務・契約・社会保険に関する記事を執筆。士業フリーランスのリアルを発信しています。
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