育休中の公務員が副業をしたいとき|認められる条件と相談の順番 2026

丸山 桃子
丸山 桃子
育休中の公務員が副業をしたいとき|認められる条件と相談の順番 2026

この記事のポイント

  • ✓育休中の公務員が副業を考えるときの条件を整理しました
  • ✓休業中も兼業の許可が必要な理由
  • ✓共済組合の育児休業手当金との関係

育休中の公務員が副業を考えるとき、最初に知っておくべきことは一つです。休業していても身分は続いているので、兼業の制限もそのまま続きます。勤務を免除されているだけで、公務員でなくなったわけではありません。

つまり、報酬を得て働くなら任命権者の許可が必要です。ここを飛ばして始めると、休業中であっても服務違反になります。

とはいえ「だから何もできない」という話でもありません。許可を得られる仕事の型はありますし、報酬を伴わない準備であれば制限の外です。この記事では、条文の位置、共済組合の手当金との関係、相談する順番の三つを具体的に整理します。

育休中に副業を考える人が増えている背景

相談が増えている理由は、気持ちの問題ではなく数字の問題です。

まず収入の減り方です。共済組合の育児休業手当金は、はじめの180日が標準報酬日額の67%、それ以降は50%に下がります。手当金は非課税で社会保険料も免除されるため、手取りの比率で見れば額面より有利ですが、それでも生活は圧縮されます。住宅ローンと保育の準備が重なる時期に、月の手取りが3割から4割下がるわけです。

次に、期間の長さです。公務員の育児休業は子が3歳になるまで取得できます。制度として長く休めるのに、手当金が出るのは原則1歳までです。この差の期間をどう過ごすかという問題は、民間の会社員より公務員のほうが大きく出ます。

三つめは、男性の取得が増えたことです。総務省が公表している地方公務員の育児休業の取得状況では、男性職員の取得率が近年大きく上がっています。世帯の主な収入を担っていた人が休業に入ると、家計の穴はさらにはっきりします。制度の詳細や最新の統計は総務省の資料で確認できます。

四つめは、在宅で受けられる仕事が増えたことです。10年前なら、育休中に働くという発想自体が現実的ではありませんでした。いまは資料作成やデータ整理のような、自宅で完結して納期に幅のある仕事が一般的になっています。「できるかもしれない」という状況が生まれたから、相談が増えている。これが実態だと思います。

ただし、できるようになったことと、してよいことは別です。ここから制度の中身に入ります。

休業中も兼業の制限が続く理由

根拠は身分の継続です。育児休業は職を離れる制度ではなく、勤務しないことを承認される制度です。給与は支給されませんが、公務員としての身分は保たれ、服務に関する規定も適用されたままになります。

制限している条文を確認します。地方公務員なら地方公務員法38条です。営利企業の役員となること、自ら営利企業を営むこと、報酬を得て事業や事務に従事すること。この三つに任命権者の許可が必要と書かれています。国家公務員は国家公務員法103条と104条が同じ範囲を受け持ちます。

条文に「勤務中に限る」という限定はありません。ですから育休中も、休職中も、同じように適用されます。

よくある誤解を二つ挙げます。一つめは「給与が出ていないなら自由に働ける」という理解です。給与の有無と服務の適用は連動していません。二つめは「短時間なら届け出なくてよい」という理解です。時間の長短ではなく、報酬を得て従事するかどうかが基準になります。単発の原稿料でも、報酬であれば判断の対象に入ります。

一方で、職務専念義務の側は事情が変わります。育休中は勤務そのものが免除されているため、「勤務時間中に他の仕事をしていた」という問題は起きません。ここは在職して働いている人より条件が良い部分です。実際、育休中の兼業許可が認められた例は各自治体にあります。判断されるのは、公務の信用を損なわないか、そして育児休業の目的に反しないか、という二点です。

公務員の育休制度は、民間より長く取れる

前提となる制度を押さえます。公務員の育児休業は、子が3歳に達する日まで取得できます。民間の育児・介護休業法が原則1歳、事情があれば最長2歳までとしているのに対し、期間が長く設定されています。

一方、お金が出る期間は同じではありません。共済組合から支給される育児休業手当金は、原則として子が1歳になるまでで、保育所に入れないなどの事情があれば1歳6か月または2歳まで延長されます。支給の水準は、はじめの180日が標準報酬日額の67%、それ以降は50%です。

つまり3歳まで休めるとしても、1歳を過ぎたあたりから収入が止まります。ここが副業を考え始める時期と重なります。相談が増えるのも、ちょうどこのタイミングです。

2025年4月からは、両親がともに一定期間の休業を取る場合に給付を上乗せする仕組みが、民間の雇用保険と共済のそれぞれで整えられています。名称と条件は制度ごとに異なるので、自分が対象になるかは加入している共済組合の案内で確かめてください。制度全体の考え方は厚生労働省が公開している資料で追えます。

手当金には税の面で有利な点もあります。育児休業手当金は非課税で、社会保険料も免除されます。額面では給与の67%でも、手取りの比率で見ると8割近くになる場合があります。副業でいくら足せば生活が回るのかを計算するときは、額面ではなく手取りで並べてください。ここを間違えると、必要のない働き方まで背負い込むことになります。

民間の会社員とは、給付の減額ルールが違う

ここは混同されやすい部分です。ネット上の記事は会社員向けに書かれているものが多く、そのまま公務員に当てはめると判断を誤ります。

会社員の場合、育児休業給付金は雇用保険から支給され、就業した日数や収入によって調整されます。

育休中に副業先での雇用契約に基づく賃金を受け取る場合、その賃金が育休前の月給の13%を超えると給付金が減額対象となり、80%以上に達すると給付金は支給停止となります。 出典: youtrust.jp

このルールは雇用保険の仕組みに基づくものです。公務員は雇用保険の被保険者ではなく、共済組合から育児休業手当金を受け取ります。したがって、上の数字がそのまま当てはまるわけではありません。

では公務員はどう扱われるのか。ここは制度と組合によって取り扱いが異なるため、断定できません。だからこそ、副業を考える段階で共済組合に直接確かめてください。聞くべきことは三つです。育児休業手当金の受給中に他から収入を得た場合、手当金は減額されるのか。減額される場合、基準になるのは収入の額か、それとも働いた日数か。そして、届け出は必要なのか。

電話で聞けば、多くの組合は答えてくれます。窓口に記録が残ることを心配する方がいますが、聞いたこと自体が問題になることはありません。むしろ、聞かずに始めて後から返還を求められるほうが厄介です。

聞くときの言い方も添えておきます。「副業をしてよいか」と尋ねると、服務の話として人事に回されてしまいます。共済組合に確かめたいのは服務ではなく給付の扱いなので、「育児休業手当金を受け取っている期間に、他から収入があった場合の取り扱いを知りたい」と用件を限定して聞いてください。担当者もそのほうが答えやすく、回答までの時間が短くなります。あわせて、回答をくれた担当者の部署名と日付をメモに残しておくと、後で人事に説明するときの材料になります。

私が仕事で関わった中でも、制度の確認を後回しにして進めた案件は、あとで必ず手戻りが出ました。EC運営の支援をしていた頃、規約の確認を先にしなかったために、作った販売ページを全面的に作り直したことがあります。確認は面倒に見えて、実は一番速い手順です。

許可が通りやすい仕事、通りにくい仕事

実務の感覚を整理します。判断の基準は、公務の信用を損なわないか、育児休業の目的に反しないか、そして継続的に事業を営む形になっていないか、という三点です。

通りやすいのは、次のような形です。単発の執筆や講演、非営利団体での活動、大学や専門学校での非常勤の講義、家業の手伝いで軽微なもの。どれも期間や回数が限られていて、事業として継続する形になっていません。2020年以降、国は公益的な活動に関わる兼業の許可基準を明確にする方向で整理を進めており、自治体側でも基準を公開している例が増えています。

通りにくいのは、次のような形です。同じ分野の企業で継続的に働くこと、役員に就くこと、店舗や教室を自分で開くこと。加えて、許認可や入札、補助金の審査など、自分の職務と利害が重なる相手からの仕事は、内容に関係なく避けるべきです。

判断が微妙なのが、在宅で受ける業務委託です。文章を書く、資料を作る、データを整える。内容そのものに問題はありませんが、毎月継続して受ける形になると「事業に従事している」と見られます。単発で終わるのか、継続するのかを先に決めて、継続するなら最初から許可を求めるのが筋です。

対象外になるものも整理しておきます。株式や投資信託の運用は、資産運用であって労務の提供ではないため、兼業の制限には触れません。不動産の賃貸は規模の基準があり、独立家屋5棟以上、アパートなど10室以上、賃貸料収入が年額500万円以上のいずれかに達すると承認が必要になります。育休中に相続で物件を引き継いだ場合は、この基準に注意してください。

相談する順番を間違えない

手順が前後すると余計な説明が必要になります。順番はこうです。

第一に、所属の人事担当へ相談します。申請書を書く前に、口頭で「こういう仕事を考えている」と伝えます。ここで自治体ごとの運用が分かります。上司に先に言うべきか、人事に直接聞くべきかは職場によって違いますが、育休中であれば人事担当に連絡するほうが話が早いことが多いです。

第二に、共済組合に手当金の扱いを確認します。前の節で挙げた三つの質問を、そのまま聞いてください。

第三に、許可の申請書を出します。書く内容は、仕事の相手、業務の内容、期間、報酬の見込み、そして稼働の頻度です。報酬の額を小さく見せる必要はありません。判断されるのは金額ではなく、継続性と利害関係です。

第四に、許可が下りてから始めます。申請中に受けるのは避けてください。

第五に、年が明けたら申告を確認します。給与以外の所得が年間20万円を超えれば確定申告が必要です。20万円以下でも住民税の申告は別に必要になります。基準の詳細は国税庁の案内で確かめられます。育休中は給与の年末調整がないため、自分で手続きする部分が増えます。

この五つを順番どおりに進めれば、あとで問題になる要素はほぼ残りません。逆に、始めてから相談する形になると、許可を求める話が「すでに始めてしまったことの事後承認」に変わり、判断が厳しくなります。

報酬を伴わない準備は、制限の外にある

制限がかかるのは報酬を得る行為です。ですから、学ぶこと、作ること、試すことは自由にできます。ここを使い切っている人が、復職後に強くなります。

まず学習です。資格の取得も、オンライン講座の受講も、兼業には当たりません。文書作成の型を整えたいならビジネス文書検定のような検定が使えます。役所の文書に慣れている方ほど、民間向けの文書の書き方で差が出る部分なので、視点の整理に向いています。技術側に寄せるならCCNA(シスコ技術者認定)が定番で、学習に数か月かかるぶん、育休の期間と相性が良い資格です。

次に、市場の相場を知ることです。将来外で働く可能性を考えるなら、自分の経験がいくらで取引されているかを先に知っておくべきです。文章や編集の方向なら著述家,記者,編集者の年収・単価相場、情報システムの経験があるならソフトウェア作成者の年収・単価相場で職種ごとの水準を確かめられます。

三つめは、需要が伸びている領域を知ることです。生成AIの導入支援は、いま企業が人を探している分野で、業務の棚卸しや手順書の整備といった、行政の仕事と重なる作業が含まれます。どんな内容かはAIコンサル・業務活用支援のお仕事に整理されています。

四つめは、契約の知識です。許可を得て業務委託で受ける場合も、復職後に副業を続ける場合も、発注書の項目を知らないまま受けるのは危険です。フリーランスを守る「下請法(取適法)」の知識|発注書・契約書の必須項目チェックリストに必要な項目が並んでいます。報酬が支払われないときの手順は未払い報酬を回収する!弁護士の着手金・成功報酬と支払督促の流れ【2026年最新】が実務に沿っていて、金額の見込みまで書かれています。

勤務先の規程に縛られる立場で副業をどう組むかという論点は、会計士の副業ガイド|監査法人勤務でもできる高収入の稼ぎ方【2026年版】にも整理されています。職種は違っても、許可を得る発想と利害関係の避け方は共通です。

育児と両立できる働き方の実際

制度の話が済んだところで、現実的な話をします。育休中に副業を組み込むのは、思っているより難しいです。

理由は時間の質です。子どもが小さいうちは、まとまった時間が取れません。1時間の作業を1時間で終えられる日が、週に何日あるかを考えてみてください。多くの場合、2時間かかります。ですから「月に何時間働けるか」ではなく「中断されても壊れない作業か」で選ぶ必要があります。

向いているのは、1回の作業が30分で切れるもの、締め切りまでの日数に余裕があるもの、そして納品物がはっきりしているものです。文章、資料作成、データ整理はこの条件に合います。

向いていないのは、即時の返信が求められるもの、時間で拘束されるもの、そして相手の都合で作業時間が決まるものです。オンラインの打ち合わせが頻繁に入る仕事は、想像以上に負担になります。

具体的に、条件に合う仕事の型を挙げます。

資料の作成は相性が良い部類です。議事の要旨をまとめる、手順書を整える、説明用のスライドを作る。役所の仕事で日常的にやっている作業がそのまま使えます。1件ごとに完結するので、中断しても壊れません。

文章の作成も同じです。分量と締め切りが決まっていて、途中で止めても続きから書けます。単価は文字あたり1円前後から、専門分野の実務経験があるものは3円から5円程度まで幅があります。行政の手続きや制度を説明する記事は、経験のある人が少ないため、条件の良い依頼が出ることがあります。ただし、自分の職務と直接関わる分野は、利害の面で避けるべきです。

データの整理も挙げておきます。表の突き合わせ、入力の確認、項目の統一。単価は高くありませんが、作業時間が読めるという長所があります。育児の合間に少しずつ進める形に向いています。

逆に、SNSの運用代行のような仕事は、内容は在宅で完結するのに向いていません。投稿の時間帯が決まっていたり、コメントへの対応に即時性が求められたりするからです。私が関わっていた案件でも、運用の担当は「見ていない時間」を作れないことが最大の負担でした。育児と並べるなら、時間に縛られる要素があるかどうかで判断してください。

収入の見込みも現実的に置きましょう。育休中に確保できる稼働が月に20時間なら、単価が時間あたり2,000円の仕事で月4万円です。これを増やすには単価を上げるしかありませんが、単価は実績で決まるので、育休中の数か月で大きく動くものではありません。無理に増やそうとすると、睡眠を削る方向に行きます。

私が見てきた中で、うまく進んでいた人に共通していたのは、育休中を「稼ぐ期間」ではなく「準備する期間」と割り切っていた点です。許可を得て単発の仕事を数件だけ受け、あとは学習と相場の把握に充てる。復職後に副業を続けるための土台をつくる、という設計です。数字で見れば、この形のほうが1年後の収入は大きくなります。

「知られずにできるか」で考えない

検索の場面では「ばれるか」という関心が先に立ちます。ただ、この問いから設計を始めると、あとで必ず行き詰まります。理由を三つ挙げます。

一つめは、収入は記録に残るからです。報酬を振り込みで受け取れば、支払った側には支払調書や帳簿が残ります。確定申告をすれば税務署に、申告内容は住民税の計算を通じて市区町村に伝わります。個人の判断で消せる経路ではありません。

二つめは、申告しない選択が別の問題を作るからです。所得を申告しなければ、服務違反に加えて税の未申告が積み上がります。金額が小さいうちは見過ごされるという話を見かけますが、見過ごされることと合法であることは違います。

三つめは、心理的な負担です。許可を得ていない状態で仕事を受けると、職場からの連絡が来るたびに身構えることになります。育児をしながらこの負担を抱えるのは、収入の増加に見合いません。

逆の順番で考えてください。許可が下りる形に仕事を合わせる。単発にする、非営利にする、量を絞る。そうすれば隠す必要がなくなり、記録が残ることも問題になりません。制度の側に自分を合わせるほうが、結果として自由に動けます。

許可が下りない見込みなら、報酬を受け取らない準備に切り替える判断もあります。学習、資格、市場の把握。これらは記録に残っても何の問題もありませんし、復職後の選択肢を広げる効果は、育休中に数万円を得ることより大きい場合があります。

復職後も続けるなら、設計を作り直す

育休中に許可を得て始めた仕事を、復職後もそのまま続けられるとは限りません。ここで条件が変わります。

一番大きい変化は職務専念義務です。育休中は勤務が免除されているので、平日の日中に作業できます。復職すると、その時間は職務の時間になります。同じ仕事量を続けるには、夜と休日に寄せることになり、体力の計算が変わります。

二つめは許可の範囲です。育休中の事情を前提に許可が出ている場合、復職後の継続について改めて判断されることがあります。期間を定めた許可であれば、更新の手続きが必要です。復職の1か月前には人事担当に確認してください。「そのまま続くと思っていた」という理解のずれが、一番起きやすい部分です。

三つめは収入の設計です。復職すれば給与が戻ります。副業の収入を足すと、所得税と住民税の負担が上がります。年間20万円を超える所得があれば確定申告が必要で、住民税は給与から引かれる特別徴収の税額に反映される場合があります。金額が同僚と大きく違えば、経理の担当者には分かります。許可を得ていれば説明できる話なので問題にはなりませんが、驚かないように先に知っておいてください。

現実的な設計としては、復職後の最初の3か月は副業を止めるか、量を半分に落とすことを勧めます。復帰したばかりの時期は、職場の仕事量も、子どもの体調による早退も読めません。ここで無理をすると、どちらの評価も落とします。落とした評価を戻すほうが、休んだ数か月を取り戻すよりずっと大変です。

つまずきやすい三つの場面

相談の内容は、だいたい三つに集まります。

一つめは、単発だと思って受けた仕事が継続してしまうことです。1本の原稿を書いたら好評で、毎月お願いしたいと言われる。ここで断らずに受けると、事業への従事という形に変わります。許可の範囲を超えていないか、受ける前に確認してください。断る場合は「勤務先の規程で継続の受託ができません」と伝えれば足ります。理由を細かく説明する必要はありません。

二つめは、報酬の受け取り方があいまいなことです。謝礼として現金でもらう、物品で受け取る、家族の口座に振り込んでもらう。どの形でも報酬は報酬です。名目を変えれば制限を回避できる、という理解は通りません。記録に残らない形で受け取るほど、あとで説明が難しくなります。

三つめは、育児の負担を過小に見積もることです。子どもが寝ている時間に作業できると考えて仕事を受け、実際には夜泣きで作業できない。納期を守れず、相手にも自分にも損が出ます。受ける量は、最初の1か月で実際に確保できた時間の半分で決めるのが安全です。多めに見積もって失敗する人は多いですが、少なめに見積もって失敗する人はいません。

運営者として見てきたこと

在宅とフリーランスの市場を20年見てきた立場から言えば、公的な仕事の経験は外の市場で明確に評価されています。書類の正確さ、期限を守る習慣、手順を文書に残す癖。どれも、民間の現場では意外に不足している部分です。にもかかわらず、本人が「特別なスキルがない」と考えて、相場より安い金額で受けてしまう場面をよく見てきました。最初の一件の金額が次の基準になるので、ここは慎重に決めたほうがよいところです。

もう一つ、手取りの話をします。仲介の手数料が引かれる仕組みでは、依頼した側が払った金額と、受け取る側に届く金額の差が開きます。手数料0%で直接やり取りできる形なら、同じ予算で依頼者はより多く頼めて、受け手の手取りは厚くなります。運営者として見てきた限りでは、育児と並行して働く人にとって、この差は金額以上の意味を持ちます。手取りが厚ければ、同じ収入を得るための作業時間が短くなり、削るものが減るからです。

職種ごとのデータを並べて気づくのは、在宅で受けられる仕事のうち、文書と事務の領域は単価の幅が狭く、技術とAIの領域は幅が広いということです。前者は始めやすく見通しが立ち、後者は学習した時間の分だけ後から効いてきます。育休という期間の性質を考えれば、学習に投じられる時間がまとまって取れる最後の機会になる人も少なくありません。制度上できないことを数えるより、制限の外側にある準備を使い切るほうが、復職後の選択肢は確実に広がります。

よくある質問

Q. 育休中の公務員でも副業の許可は必要ですか?

必要です。育児休業は職を離れる制度ではなく勤務を免除される制度なので、公務員としての身分は続き、地方公務員法38条や国家公務員法103条・104条の兼業の制限もそのまま適用されます。報酬を得て働くなら任命権者の許可が要ります。給与が支給されていないことと、服務の規定が適用されるかどうかは別の問題です。

Q. 副業をすると育児休業手当金は減額されますか?

公務員は雇用保険ではなく共済組合から育児休業手当金を受け取るため、会社員向けに説明されている13%や80%という基準がそのまま当てはまるとは限りません。減額の有無、基準が収入か日数か、届け出が必要かの三点を、加入している共済組合に直接確かめてください。始めてから確認すると返還を求められる場合があります。

Q. 育休中はどんな仕事なら許可が通りやすいですか?

単発の執筆や講演、非営利団体での活動、非常勤の講義など、期間や回数が限られていて事業として継続しない形は通りやすい傾向があります。逆に、同分野の企業で継続的に働く形、役員に就く形、自分で店舗や教室を開く形は通りにくく、許認可や入札など自分の職務と利害が重なる相手からの仕事は内容に関係なく避けるべきです。

Q. 報酬を受け取らない活動も許可が必要ですか?

制限の対象は報酬を得て従事する行為なので、資格の学習やオンライン講座の受講、市場の相場を調べることは兼業に当たりません。株式や投資信託の運用も資産運用なので制限の外です。ただし不動産の賃貸は規模の基準があり、独立家屋5棟以上やアパート10室以上、賃貸料収入が年額500万円以上に達すると承認が必要になります。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年5月14日最終更新:2026年9月20日
丸山 桃子

この記事を書いた人

丸山 桃子@SOHO編集部

アパレルEC運営支援・SNSコンサル

アパレル企業でMD・ECバイヤーとして勤務後、フリーランスに独立。アパレルブランドのEC運営支援・SNS運用を手がけ、ファッション・EC系の記事を執筆しています。

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