転職に適した年齢はあるのか

前田 壮一
前田 壮一
転職に適した年齢はあるのか

この記事のポイント

  • 厚生労働省の雇用動向調査が示す年齢階級別の転職入職率と賃金の変動から整理しました
  • 年齢で募集を絞ることが法律でどう扱われるか
  • 年代ごとに評価される材料の違い

転職年齢に限界はあるのか。この問いに、まず統計で答えます。厚生労働省の調査を年齢階級ごとに並べると、実際に動いている人の割合と、動いた結果として収入がどうなったかの両方が見えます。そして、この2つの数字は、多くの人が思い描いている「35歳の壁」のような単純な線とは違う形をしています。

まず、安心してほしい点から書きます。年齢を理由に募集を断ることは、法律上は原則としてできません。そして、40代でも50代前半でも、転職で賃金が上がっている人のほうが下がっている人より多い、という結果が出ています。一方で、数字がはっきり変わる年齢もあります。その分岐点がどこにあるのか、そこで何が起きているのかを、順番に見ていきます。

年齢階級別に、どれだけの人が動いているか

厚生労働省の令和6年(2024年)雇用動向調査から、転職入職率を年齢階級別に並べます。転職入職率とは、その年齢層の働いている人のうち、1年の間に別の職場に移った人の割合です。

19歳以下は男性20.8%、女性20.4%。20歳から24歳は男性13.4%、女性14.3%。25歳から29歳は男性15.1%、女性16.8%。30歳から34歳は男性10.3%、女性13.2%。35歳から39歳は男性7.9%、女性10.5%。

40歳から44歳は男性6.8%、女性10.2%。45歳から49歳は男性6.0%、女性10.7%。50歳から54歳は男性5.1%、女性8.2%。55歳から59歳は男性5.4%、女性7.6%。60歳から64歳は男性10.0%、女性7.7%。65歳以上は男性10.1%、女性6.5%です。

この並びから読めることが3つあります。

1つ目は、20代後半が最も動いている層だということです。25歳から29歳の水準は、10代を除けば全年齢で最高です。新卒で入った会社での経験が3年から5年たち、次を考える時期と重なります。

2つ目は、30代以降で緩やかに下がるものの、急に落ちる年齢はないということです。35歳で数字が崩れるわけでも、40歳で止まるわけでもありません。男性は30代前半の10.3%から40代後半の6.0%まで、4年ごとに1ポイント前後ずつ下がっていきます。壁というより、なだらかな坂です。

3つ目は、女性のほうが全体的に高いことです。20歳から24歳から55歳から59歳までのすべての階級で、女性が男性を上回っています。就業形態の影響もありますが、40代後半でも10.7%という水準は、男性の6.0%と比べてかなり高い数字です。

そして、60歳から64歳で男性が10.0%に上がります。これは定年や契約期間の満了による再就職が含まれるためで、同じ調査では60歳から64歳の男性が前職を辞めた理由として「定年・契約期間の満了」が54.6%を占めています。65歳以上では50.1%です。自発的に動いているというより、制度の区切りで動かされている層です。

年齢に限界があると感じている人は多い

数字が示す実態とは別に、当事者の感覚があります。

Job総研『2022年 転職年齢に関する意識調査』によると、「転職の成功に年齢リミットはあると思うか」という問いに対し、「あると思う」「どちらかといえばある」と回答した人は76.2%にのぼります。 出典: jobsoken.jp

4人に3人が、年齢の限界があると感じています。ところが、同じ調査には別の側面もあります。

Job総研『2022年 転職年齢に関する意識調査』によると、40代(41.7%)や50代(37.5%)といったミドル・シニア層でも「異職種・未経験業界」への挑戦意欲が非常に高いという実態が明らかになっています。 出典: jobsoken.jp

限界があると感じつつ、挑戦したいと思っている。この2つが同時に存在しているのが現状です。感覚としての壁と、実際に動いている人の数には、ずれがあります。

年齢で募集を絞ることは原則できない

ここは知らない人が多いところです。求人に年齢の上限を書くことは、法律上は原則として認められていません。

根拠は、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律です。旧来の雇用対策法が改正され、平成19年(2007年)から、事業主が労働者を募集・採用するときに年齢にかかわりなく均等な機会を与えることが義務になりました。

ただし例外があります。ハローワークの案内によると、例外として認められるのは施行規則第1条の3第1項に定められた場合に限られます。定年年齢を上限として期間の定めのない契約で募集する場合、労働基準法など法令で年齢制限がある場合、長期勤続によるキャリア形成の観点から若年者等を期間の定めのない契約で募集する場合、技能やノウハウの継承の観点から特定の年齢層が著しく少ない職種で募集する場合、芸術や芸能の分野で表現の真実性が求められる場合、そして60歳以上の高年齢者や就職氷河期世代など特定の施策の対象者に限定する場合です。

実務でよく見るのは3番目です。「長期勤続によるキャリア形成のため」という理由が書かれた求人は、若い層を想定しています。逆に言えば、この記載がない求人は年齢ではなく中身で見ています。求人票を読むときの判断材料として使えます。

そして注意したいのは、6番目の例外です。60歳以上の高年齢者を対象とした募集は認められているので、シニア層向けの求人は年齢を明示して出せます。年齢が上がると選択肢が消えるのではなく、対象になる枠が入れ替わるという理解のほうが実態に近いでしょう。

納得のいかない対応を受けたと感じた場合は、都道府県労働局やハローワークの窓口で相談できます。個別の事案がどう扱われるかは事情によって変わるので、自分で判断せず窓口に事実を伝えてください。制度の説明は厚生労働省のサイトに出ています。

年齢によって賃金はどう動くか

動けるかどうかより、動いた結果どうなるかのほうが重要です。ここに、はっきりした分岐点があります。

令和6年雇用動向調査によると、転職入職者の賃金を前職と比べたとき、全体では「増加」が40.5%、「減少」が29.4%、「変わらない」が28.4%でした。増加が減少を11.1ポイント上回っています。

年齢階級別に、増加した割合と、増加から減少を引いた差を並べます。

20歳から24歳は増加50.5%で差は33.7ポイント。25歳から29歳は増加46.3%で差は17.1ポイント。30歳から34歳は増加46.1%で差は21.9ポイント。35歳から39歳は増加45.5%で差は21.2ポイント。40歳から44歳は増加45.9%で差は16.9ポイント。45歳から49歳は増加46.4%で差は22.6ポイント。

ここまでは、どの年齢階級でも増加が減少を上回っています。45歳から49歳の差が22.6ポイントで、30代とほぼ同じか、むしろ高い水準にあることは注目に値します。40代後半でも、転職で賃金が上がった人のほうが多いということです。

変わるのは、その先です。50歳から54歳は増加39.0%で差は10.8ポイント。55歳から59歳は増加27.4%で差は-9.2ポイント。60歳から64歳は増加13.6%で差は-47.3ポイント。65歳以上は増加23.7%で差は-16.8ポイントです。

55歳を境に、増加と減少が逆転します。60歳から64歳では減少が60.9%に達し、増加はわずか13.6%です。これは定年や再雇用による賃金の見直しが大きく影響していると考えられます。

つまり、転職年齢を数字から見るなら、分岐点は35歳でも40歳でもなく、55歳前後にあります。それより前であれば、賃金の面では不利になる年齢階級は見当たりません。

年齢が上がると、辞める理由も変わる

同じ「転職」という言葉でも、年齢によって背景が違います。令和6年雇用動向調査の内訳を見ると、その違いがはっきり出ます。

25歳から29歳の男性が前職を辞めた理由では、「給料等収入が少なかった」が16.9%、「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」が9.8%でした。20代後半は、収入と労働条件で動いています。

30歳から34歳の男性では、「会社の将来が不安だった」が14.9%と高くなり、「給料等収入が少なかった」が11.7%、「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」が10.9%と続きます。30代前半になると、目先の条件だけでなく、勤め先の先行きを見て判断する人が増えます。

40歳から44歳の男性では、「職場の人間関係が好ましくなかった」が16.0%と最も高くなります。次いで「給料等収入が少なかった」が10.5%、「会社の将来が不安だった」が10.2%です。この年代で人間関係が理由の上位に来るのは、役割や立場が変わり、関わる相手が増えることと無関係ではないでしょう。

60歳から64歳の男性では、「定年・契約期間の満了」が54.6%と過半を占め、65歳以上では50.1%です。60歳以降の動きは、本人の意思というより制度の区切りで生じています。

女性の場合は傾向が異なります。25歳から29歳では「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」が15.2%、「職場の人間関係が好ましくなかった」が14.0%、「結婚」が8.1%です。30歳から34歳では労働条件が13.3%、人間関係が11.8%、「出産・育児」が3.4%となります。年代を通じて労働条件と人間関係が上位に来るのが特徴です。

この内訳を見ると、自分が今どんな理由で動こうとしているのかを、同世代と比べられます。同じ理由で動いている人が多い年代なら、受け入れる側もその理由を想定しています。面接で説明するときの通りやすさが変わります。

逆に言えば、その年代であまり見られない理由で動く場合は、説明を丁寧にする必要があります。たとえば50代で「仕事の内容に興味を持てなかった」という理由を挙げるなら、なぜ今その判断をしたのかを補う必要があります。統計は正解を教えてくれませんが、自分の理由が相手にとってどのくらい馴染みのあるものかを教えてくれます。

「35歳の壁」はどこから来たのか

転職年齢の話で必ず出てくるのが「35歳の壁」です。数字を見る限り、35歳で何かが急変する様子はありません。ではなぜこの言葉が定着したのか。

背景の1つは、かつての求人に年齢の上限が書かれていた時代の名残です。平成19年(2007年)に年齢制限が原則禁止になる前は、「35歳まで」という記載が実際に多く見られました。制度が変わっても、言葉だけが残っています。

もう1つは、企業側の賃金体系です。年功的な仕組みが残っている組織では、同じ職務でも年齢が上がると人件費が上がります。採用する側から見ると、40歳の未経験者を採るコストは25歳の未経験者より高くなります。この構造が「若いほうが採りやすい」という判断を生んでいます。

ただし、これは未経験採用に限った話です。経験を買う採用では、年齢が上がることは不利になりません。むしろ、その年齢までに積んだものが評価の対象になります。令和6年の統計で45歳から49歳の賃金増加割合が46.4%と高い水準を保っているのは、この層の転職の多くが経験を評価された移動だからだと考えられます。

つまり、「35歳の壁」があるとすれば、それは年齢そのものではなく「未経験で入ろうとしたときのコスト差」です。壁を越える方法は、未経験の度合いを下げることです。学習でも、副業での実績でも、隣接業務の経験でも構いません。ゼロから教える必要がないと判断されれば、コスト差は縮まります。

転職せずに動く選択肢

年齢が上がるほど、社内で動く選択肢の価値が上がります。

社内公募の制度がある会社なら、部署や職種を変えられる可能性があります。転職と違って、今までの評価や人間関係を持ち越せるので、立ち上がりが早くなります。制度がなくても、上司や人事に希望を伝えておくと、機会が来たときに声がかかることがあります。

出向や兼務の形で、他部署の業務に関わる方法もあります。いきなり移るより負荷が小さく、合わなければ戻れます。適性を試す方法としては、転職よりはるかに安全です。

社内に希望する職種がない場合でも、今の職務の中で範囲を広げる余地はあります。担当業務の周辺で、誰もやっていない仕事を引き受ける。それが次の役割につながることがあります。

転職は手段の1つであって、目的ではありません。今の不満が社内で解決できるものなら、そちらを先に試すほうが合理的です。それでも解決しないと分かってから動いても、統計が示すとおり選択肢は残っています。

20代の転職で見られていること

年代ごとに、採用する側が見ている場所が違います。ここを知っておくと、準備の中身が変わります。

20代前半は、経験より伸びしろで見られます。社会人としての基本動作が身に付いているか、素直に吸収できるか。職種を変えることへの障壁も最も低い時期です。賃金の面でも、20歳から24歳の増加割合50.5%は全年齢で最高水準です。

20代後半になると、3年から5年の経験が評価の対象に入ります。何をやってきたか、そこで何ができるようになったかを説明できる必要があります。この時期に職種を変えるのは、まだ十分に現実的です。

注意点を挙げるなら、短期間での転職を繰り返さないことです。1年未満で複数回移っていると、次の選考で必ず理由を問われます。理由が説明できるなら問題ありませんが、説明できない場合は不利に働きます。

転職活動の進め方は、年代によって使うサービスも変わります。20代向けに絞った比較は20代の転職サイトおすすめ5選|未経験・第二新卒向けにまとめました。

30代から40代で評価される材料

30代に入ると、見られる場所が伸びしろから再現性に変わります。前の職場で成果を出した方法が、新しい職場でも再現できるか。ここが判断の中心になります。

だから、書類に書く内容も変わります。何をやったかだけでなく、どういう状況で、何を考えて、どう動いて、結果どうなったか。この粒度で書けるかどうかで、書類の通過率が変わります。構成の作り方は職務経歴書の書き方完全ガイド|転職成功率を上げるコツ【2026年版】で整理しています。

40代では、さらにマネジメントや、組織をまたいだ調整の経験が問われます。人を育てた経験、部門間の利害を調整した経験、仕組みを作った経験。個人としての成果だけでなく、周囲に与えた影響を説明できると強くなります。

ハイクラス層向けの転職支援では、年齢と役職の関係についてこう説明されています。

この記事では、転職に年齢制限や年齢限界はあるのか、希望の役職やキャリアプランで転職する際の転職年齢の目安、年齢を生かして望むキャリアを実現する戦略とコツについて、ハイクラス転職のJAC Recruitment (以下、JAC)が解説します。 出典: jac-recruitment.jp

役職やキャリアプランごとに目安が変わるというのは、実務の感覚とも合います。同じ45歳でも、管理職として入るのか、専門職として入るのかで、求められるものが変わります。どちらの道を選ぶかを先に決めておくと、応募先の選び方がぶれません。

職種ごとの相場を把握しておくことも、この年代では重要です。開発系であればソフトウェア作成者の年収・単価相場、文章や編集の領域であれば著述家,記者,編集者の年収・単価相場のページで、年収と単価の両面から水準を確認できます。年代と職種で選び方が変わる点は転職サイトおすすめ比較【2026年版】|年代・職種別の選び方にまとめました。

50代以降の考え方

50歳から54歳までは、賃金の面でまだ増加が減少を10.8ポイント上回っています。ここまでは、条件を改善する転職が十分に成立します。

55歳を過ぎると、数字が逆転します。ただし、この数字の中身を見ておく必要があります。55歳から59歳で「減少」が36.6%あるのは、役職定年や、定年後の再雇用に伴う条件変更が含まれているためです。自発的に条件の良い職場へ移った人と、制度上の区切りで条件が変わった人が、同じ統計に混ざっています。

だから、55歳以降の転職を一律に不利と考える必要はありません。重要なのは、どの枠で動くかです。前述したとおり、60歳以上の高年齢者を対象とした募集は法律上認められており、シニア向けの求人枠は存在します。また、正社員としての転職にこだわらず、業務委託や短時間勤務の形で経験を活かす道もあります。

この年代で効くのは、持っている経験を「誰の何を解決できるか」の形に翻訳することです。長い経験があること自体は、採用する側から見れば費用の高さでもあります。その費用を上回る価値が何かを、具体的に説明できるかどうかが分かれ目になります。

年齢に関係なく効く準備

どの年代にも共通して効く準備を挙げます。

1つ目は、在職中に動くことです。収入が途切れないので、条件を冷静に見られます。辞めてから探すと、時間が経つほど判断基準が下がっていきます。これは年齢を問わず起きます。

2つ目は、固定費の計算です。家賃、光熱費、通信費、保険、ローン、食費に加えて、社会保険料と住民税を必ず入れてください。退職すると健康保険と年金を自分で払うことになり、住民税は前年の所得に対して請求が来ます。ここを計算に入れ忘れて苦しくなる人が非常に多いです。

3つ目は、応募先ごとに書類を書き換えることです。同じ書類を送り続けて通らないなら、数を増やしても結果は変わりません。10社出して通らなければ、書類の中身を見直すほうが早い判断です。

4つ目は、学習を並行して進めることです。資格を取り終えてから応募しようとすると、時間だけが過ぎます。面接で「今この教材の何割まで進んでいます」と言えれば、それ自体が材料になります。ネットワーク系であればCCNA(シスコ技術者認定)、事務や企画の基礎であればビジネス文書検定のように、範囲が明確な資格から入ると進捗を説明しやすくなります。

5つ目は、副業や業務委託で先に試すことです。移りたい職種の小さい案件を受けてみると、想像との差が分かります。AI分野の支援業務はAIコンサル・業務活用支援のお仕事、マーケティングやセキュリティに近い領域はAI・マーケティング・セキュリティのお仕事、開発系はアプリケーション開発のお仕事のページで、どんな依頼が出ているかを確認できます。始める前に、勤務先の就業規則を必ず確認してください。

年齢について聞かれたときの答え方

面接で年齢に関する質問が出ることがあります。直接「年齢的に厳しくないですか」と聞かれることもあれば、「若いメンバーが多いですが大丈夫ですか」という形で聞かれることもあります。

こうした質問の意図は、年齢そのものではありません。年下の上司の下で働けるか、新しいやり方を受け入れられるか、過去のやり方に固執しないか。この3点を確認しています。だから、答えるべきもその3点です。

年下の上司については、実際に経験があるならその事実を述べます。ない場合は、立場と役割は別だという考え方を、具体的な場面とともに説明します。「前職で年次の浅いメンバーがプロジェクトの担当になったとき、決定は担当者に委ね、こちらは判断材料を出す役に回った」といった形です。

新しいやり方については、最近覚えたことを1つ挙げられるようにしておきます。ツールでも、制度でも、業界の変化でも構いません。学び続けている事実があれば、抽象的な決意表明より説得力があります。

過去のやり方への固執については、前職のやり方を否定する必要はありません。「前職ではこうしていたが、それが最適とは限らないので、まずこちらのやり方を理解したい」という姿勢を示せば十分です。

なお、年齢を理由に採用しない旨をはっきり告げられた場合は、その事実を記録しておいてください。個別の事案がどう扱われるかは事情によりますが、労働局やハローワークの窓口で相談する材料になります。

雇用保険と学び直しの仕組み

辞めてから動く場合の見通しを立てておきます。

令和7年(2025年)4月1日以降に離職した場合、正当な理由がない自己都合退職の給付制限期間は原則1か月になりました。それより前の離職は原則2か月です。ただし、離職日から遡って5年のうちに2回以上、正当な理由のない自己都合退職で受給資格の決定を受けている場合は3か月になります。

また、令和7年4月以降に学び直しのための教育訓練等を受けた場合、給付制限が解除されて基本手当を受け取れるようになりました。職種を変えるために講座に通う予定があるなら、先に確認する価値があります。

受け取れる金額と日数は、離職前の賃金、被保険者だった期間、離職理由、年齢によって一人ひとり変わります。一般論で判断せず、住所地を管轄するハローワークで自分の条件を確認してください。手続きの案内はハローワークインターネットサービスに出ています。

学び直しの費用については、雇用保険の教育訓練給付があります。一般教育訓練給付金は受講費用の20%で上限10万円。特定一般教育訓練給付金は40%で上限20万円、修了後1年以内に資格を取って就職などをした場合は10%が追加されて合計50%、上限25万円です。専門実践教育訓練給付金は50%で年間上限40万円、条件を満たすと70%で年間上限56万円、訓練の前後で賃金が5%以上上がった場合はさらに上乗せされて80%、年間上限64万円になります。

いずれも雇用保険の被保険者だった期間の条件があります。一般と特定一般は原則3年以上、初めて受ける場合は1年以上。専門実践は原則3年以上、初めて受ける場合は2年以上です。申し込む前にハローワークで対象かどうかを照会してください。指定されていない講座は対象になりません。

市場を見てきた立場からの観察

運営者として在宅ワークと業務委託の市場を20年見てきた中で、年齢と仕事の関係について言えることがあります。

まず、年齢そのものを理由に仕事が来なくなる場面は、思ったほど多くありません。減るのは、年齢を理由に自分から動かなくなったときです。同じ50代でも、新しい仕組みを覚えることをやめた人と、覚え続けている人では、数年後の状況がまったく違います。これは能力の差ではなく、姿勢の差として表れます。

次に、年齢が上がるほど、関係の資産が効いてきます。長く続いている人ほど、単発の案件を安く早く仕上げることより、「この人に任せると楽だ」と思われる状態を作ることに時間を使っています。連絡が返る、期限が守られる、先に確認すべき点を挙げてくれる。この3つができる人は、若い人に技術で追い抜かれても依頼が途切れません。20代でこの型を身に付けた人は、40代以降で大きな差になります。

お金の見え方についても、一言加えておきます。会社員として働いていると、自分の仕事が生んだ金額と手元に残る金額の関係が見えません。業務委託の形になると、その差が見えるようになります。仲介手数料が何段も乗る取引では、依頼者が払った額と受け手に届く額に開きが出ます。同じ予算でも、手数料0%の直接取引であれば、依頼者はより多くの量を頼めますし、受け手の手取りは厚くなります。額面の大小ではなく、同じ仕事をして残る額が変わるという質の話です。

最後に、数字に戻ります。45歳から49歳の転職入職者のうち、賃金が増加した人は46.4%で、増加が減少を22.6ポイント上回っています。これは30代とほぼ同じ水準です。つまり、40代後半でも条件を改善する転職は成立しています。分岐点は55歳前後にあり、そこで数字が変わるのは制度上の区切りが影響しているためです。

年齢を理由に諦める前に、自分がどの年齢階級にいて、その階級の数字がどうなっているかを確認してください。感覚では76.2%の人が年齢の限界を感じていますが、統計は別の姿を示しています。焦る必要はありませんが、動かない理由に年齢を使うのは、データから見て正確ではありません。

よくある質問

Q. 転職に年齢の限界はありますか?

厚生労働省の令和6年雇用動向調査では、転職入職率は25歳から29歳の男性15.1%を頂点に緩やかに下がりますが、急に落ちる年齢はありません。45歳から49歳でも男性6.0%、女性10.7%が動いています。賃金の面でも45歳から49歳は増加46.4%で、増加が減少を22.6ポイント上回っており、30代とほぼ同じ水準です。

Q. 求人に年齢の上限を書くのは認められているのですか?

労働施策総合推進法により、募集・採用では年齢にかかわりなく均等な機会を与えることが平成19年から義務になっています。ただし施行規則に例外があり、長期勤続によるキャリア形成を理由に若年者を募集する場合や、60歳以上の高年齢者を対象とする場合などは認められます。疑問があれば労働局やハローワークで相談してください。

Q. 何歳から転職で年収が下がりやすくなりますか?

令和6年雇用動向調査では、50歳から54歳までは増加が減少を10.8ポイント上回っていますが、55歳から59歳では9.2ポイントのマイナスに転じ、60歳から64歳では47.3ポイントのマイナスになります。ただしこの数字には役職定年や再雇用に伴う条件変更が含まれており、自発的な転職だけを表した数字ではありません。

Q. 年齢に関係なく効く準備は何ですか?

在職中に動くこと、社会保険料と住民税まで含めて固定費を計算すること、応募先ごとに書類を書き換えること、学習を応募と並行して進めること、業務委託で先に試すことの5つです。特に住民税は前年の所得に対して請求が来るため、退職の年に負担が重くなります。計算に入れておいてください。

この記事について

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編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年4月21日最終更新:2026年9月23日
前田 壮一

この記事を書いた人

前田 壮一@SOHO編集部

元メーカー管理職・43歳でフリーランス転身

大手電機メーカーで品質管理を20年間担当した後、42歳でフリーランスに転身。中高年のキャリアチェンジや副業の始め方を、自身の経験をもとに発信しています。

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