退職届のテンプレート|使い方と書き換える箇所


この記事のポイント
- ✓退職届のテンプレートを全文で掲載
- ✓書き換える7か所の記入例
- ✓縦書きと横書きの選び方
退職届のテンプレートを探している人の多くは、退職すること自体はもう決めていて、「何をどこに書けば失礼がないか」「この書き方で受け取ってもらえるか」で手が止まっています。結論から書くと、退職届は書く項目がほぼ決まった定型の書類で、テンプレートのうち書き換えるのは日付・退職日・会社名・代表者名・所属・氏名・押印の7か所だけです。この記事では、そのまま書き写せるテンプレートの全文を先に載せ、書き換える箇所を1つずつ記入例つきで説明したうえで、提出の期限、封筒、渡し方、出した後の手続きまでを順に整理します。
退職届のテンプレートの全文(そのまま書き写せる形)
まずは完成形を見てください。会社に指定の様式がない場合、次の文面をそのまま使えます。縦書きで書くときは上から下へ、この順番で並べます。
退職届
私儀
このたび、一身上の都合により、
令和8年12月31日をもちまして退職いたします。
令和8年11月25日
営業部 第二課
山田 太郎 ㊞
株式会社〇〇〇〇
代表取締役社長 〇〇 〇〇 殿
横書きで作る場合は、右上に提出日、その下に所属と氏名、左上に宛名を書き、中央に「退職届」の表題、本文を続ける並びが一般的です。
令和8年11月25日
株式会社〇〇〇〇
代表取締役社長 〇〇 〇〇 殿
営業部 第二課
山田 太郎 ㊞
退職届
このたび、一身上の都合により、令和8年12月31日をもちまして
退職いたします。
以上
テンプレートの中身はこれだけです。退職届は気持ちを伝える手紙ではなく、「いつ辞めるか」を会社に確定的に伝えるための書類なので、感謝の言葉や長い理由は書きません。お世話になった気持ちは、直属の上司に口頭で伝える場面や、最終出社日のあいさつで伝えるほうが自然です。
文面のうち、「私儀(わたくしぎ)」は「私ごとですが」という意味のへりくだった書き出しです。本文の一番上に、下寄せで小さめに書きます。省略しても書類としての効力は変わりませんが、縦書きで手書きするなら入れておくほうが形が整います。「一身上の都合により」は自己都合で辞めるときの決まった言い回しで、これ以上の説明は求められません。
会社によっては、総務や人事が独自の退職届の様式を用意しています。社内のポータルや就業規則の付録に様式があれば、そちらを優先してください。様式が指定されているのに市販のテンプレートで出すと、出し直しを求められて退職日の確定が遅れることがあります。
退職願・退職届・辞表の違いと、テンプレートを選ぶ前に決めること
テンプレートを探していると、「退職願」「退職届」「辞表」の3種類が並んで出てきます。名前が似ていますが、役割ははっきり違います。
| 書類 | 意味 | 出す人 | 出した後に取り下げられるか |
|---|---|---|---|
| 退職願 | 「辞めさせてください」とお願いする書類 | 会社員 | 会社が承諾する前なら取り下げを相談できる余地がある |
| 退職届 | 「辞めます」と一方的に伝える書類 | 会社員 | 原則として取り下げは難しい |
| 辞表 | 役員や公務員が職を辞するときの書類 | 取締役・公務員 | 立場や規定による |
会社員が使うのは退職願か退職届のどちらかです。辞表は会社の取締役など役員や、公務員が使う言葉なので、一般の社員が「辞表を出す」と書くのは正確ではありません。
どちらを使うかは、退職の話がどこまで進んでいるかで決めます。
- 上司にまだ何も話していない段階で、退職の意思を最初に示す書類として出すなら退職願
- 上司と話して退職日まで合意できていて、手続きとして書類を求められたら退職届
- 会社が引き止めに応じず話が進まない、または退職日を確定させたいときは退職届
実際には、最初に口頭で上司に相談し、退職日が決まってから人事に退職届を出す流れが一番多い形です。退職願を出してから退職届を改めて出す二段構えにする会社もあります。どちらを出すべきか迷ったら、就業規則の「退職」の章を見てください。「退職願を提出する」と書いてある会社なら退職願、「退職届」と書いてあればそれに合わせます。
退職願のテンプレートは、退職届の本文の最後を「退職いたします」から「退職いたしたく、ここにお願い申し上げます」に変え、表題を「退職願」にするだけで作れます。
退職願
私儀
このたび、一身上の都合により、
令和8年12月31日をもちまして退職いたしたく、
ここにお願い申し上げます。
違いは文末の一文だけですが、受け取る側の意味は大きく変わります。退職届は「確定の通知」、退職願は「相談の申し出」です。会社と話し合う余地を残したいのか、辞める日を確定させたいのかを決めてから、テンプレートを選んでください。
テンプレートの書き換える箇所7つ(1つずつ記入例つき)
テンプレートで自分用に書き換えるのは次の7か所です。それぞれ書き方の決まりと、間違えやすい点を記入例と一緒に説明します。
1. 提出日
退職届を実際に上司や人事に手渡す日付を書きます。書いた日ではなく、渡す日です。前日に書いておいて翌日に渡すなら、翌日の日付にします。
記入例: 令和8年11月25日
縦書きでは漢数字(令和八年十一月二十五日)、横書きでは算用数字が読みやすい書き方です。和暦か西暦かは会社の文書の慣習に合わせます。社内の書類が和暦で統一されているなら和暦、外資系などで西暦が普通なら西暦で問題ありません。
2. 退職日
会社を辞める日、つまり在籍している最後の日です。上司と合意した日付をそのまま書きます。有給休暇をまとめて使ってから辞める場合は、最終出社日ではなく、有給休暇を使い終わった最後の日が退職日になります。
記入例: 令和8年12月31日をもちまして
最終出社日と退職日を取り違える人が多いので注意してください。たとえば12月10日に最後に出社し、そこから有給休暇を15日使うなら、退職日は有給休暇の最終日です。退職日は社会保険の資格を失う日や、最後の給与の計算にも関わるので、人事と日付を必ず突き合わせます。
3. 退職理由
自己都合で辞めるなら「一身上の都合により」で十分です。会社の都合による退職(退職勧奨に応じた、部署がなくなったなど)の場合は、事実に合わせて書きます。理由の書き方は後の節で詳しく説明します。
4. 会社名
正式名称で書きます。「(株)」と略さず「株式会社」と書き、前株か後株かも登記どおりにします。会社のウェブサイトの会社概要や、給与明細に印字されている名称で確かめると間違えません。
5. 宛名(代表者名)
宛名は直属の上司ではなく、会社の最高責任者である代表取締役にします。敬称は「殿」か「様」です。昔ながらの書き方では「殿」が使われてきましたが、目下に使う言葉という受け取り方もあるため、「様」を選ぶ会社も増えています。迷ったら社内の書類の慣習に合わせてください。
記入例: 代表取締役社長 鈴木 一郎 殿
代表者の氏名は自分より高い位置に書きます。縦書きでは自分の名前より上、横書きでは左上です。
6. 所属と氏名
所属は部署名と課名まで書きます。氏名はフルネームです。パソコンで作った場合でも、氏名だけは手書きで署名すると本人が出した書類であることがはっきりします。
記入例: 営業部 第二課 山田 太郎
7. 押印
氏名の後ろに認印を押します。シャチハタのようなインク内蔵型の印鑑は、正式な書類には向かないとされることが多いので、朱肉を使う印鑑を使ってください。押印がなくても退職の意思表示としての効力が消えるわけではありませんが、社内の書類の扱いとして押印を求める会社はまだ多くあります。
7か所を書き換えたら、誤字がないか、日付が2つとも正しいかを声に出して読み合わせます。退職届は書き直しになると印象を損ねやすい書類なので、清書の前に下書きを1枚作るのが確実です。
縦書きと横書き、手書きとパソコン作成の選び方
テンプレートを使うときに次に迷うのが、縦書きか横書きか、手書きかパソコンかです。
縦書きと横書き
退職届は縦書きが正式とされてきました。ただ、法律で書式が決まっているわけではなく、横書きでも書類としての意味は同じです。社内の文書が横書きで統一されていて、人事が横書きの様式を配っている会社なら横書きで出して問題ありません。
選び方の目安は次のとおりです。
- 会社に指定の様式がある: その様式に従う
- 指定はないが、社風が伝統的、または上司が年配で形式を重んじる: 縦書きの手書き
- 指定がなく、社内の書類がほぼ電子化されている: 横書きのパソコン作成でも問題ない
手書きとパソコン
手書きにはていねいな印象があり、パソコン作成には読みやすく書き損じがない利点があります。どちらかでないと受け取ってもらえない、という決まりは一般的にありません。
手書きで作るなら、白い無地の便箋(B5かA4)に、黒のボールペンか万年筆で書きます。消せるボールペンや鉛筆は、書き換えができてしまうので使いません。書き損じたら修正液で直さず、新しい紙に書き直します。
パソコンで作るなら、A4の白い用紙に印刷します。文字の大きさは本文で10.5〜12ポイント、表題はひと回り大きくすると見やすくなります。フォントは明朝体が無難です。氏名だけ手書きで署名し、押印します。
メールやチャットでの提出
最近は、退職の申し出を社内のシステムやメールで受け付ける会社もあります。会社が電子での提出を案内しているなら、それに従えば足ります。会社が受け取りを拒んで話が進まないときに、内容証明郵便で退職届を送る方法もありますが、これは関係がこじれたときの手段で、最初から使うものではありません。
ビジネス文書の書き方そのものに自信がない人は、文書の形式と敬語の使い方を体系立てて学べる資格もあります。ビジネス文書検定は、社内文書や社外文書の構成、用語、敬語の使い分けを問う検定で、退職届のような定型文書の作法を一度整理しておきたい人の参考になります。
退職理由の書き方は「一身上の都合」が基本になる理由
テンプレートの本文で一番迷われるのが退職理由です。結論として、自分の意思で辞めるなら「一身上の都合により」と書くのが基本で、具体的な理由を書く必要はありません。
なぜ具体的に書かないのか
退職届は辞める日を伝える書類で、理由の説明は求められていません。「人間関係がつらい」「給料が低い」と書いても退職日が変わるわけではなく、むしろ書類が社内で回覧されたときに余計な波風を立てます。転職先が決まっていても、転職先の社名を書く必要はありません。
会社都合の場合は事実を書く
一方で、会社から辞めるよう勧められて応じた場合(退職勧奨)や、事業所の閉鎖、部署の廃止で辞める場合は、「一身上の都合」と書かないほうがよいことがあります。退職理由は、失業保険(雇用保険の基本手当)の受け取りに関わる「離職理由」の判断材料の1つになるからです。
離職理由は最終的にハローワークが判断します。会社が書類に自己都合と書いていても、実際は退職勧奨だった場合は、ハローワークで事情を説明すれば事実関係を調べてもらえます。ハローワークの手続き案内には、離職理由に異議がある場合は相談するよう書かれています。
なお、離職理由に異議がある場合(実際は、事業主からの退職勧奨であるにも関わらず、自己都合退職とされている場合など)は、ハローワークにご相談ください。 ハローワークにおいて、事実関係を調査のうえ、離職理由を判定します。 出典: ハローワークインターネットサービス
会社都合で辞めるときの記入例は次のとおりです。
このたび、貴社からの退職勧奨に応じ、
令和8年12月31日をもちまして退職いたします。
このたび、〇〇事業所の閉鎖に伴い、
令和8年12月31日をもちまして退職いたします。
会社都合なのに会社から「一身上の都合と書いてほしい」と言われた場合は、すぐに署名せず、離職理由がどう扱われるかを人事に確認してください。判断がつかないときは、都道府県労働局や労働基準監督署にある総合労働相談コーナーで無料で相談できます。
提出のタイミングと法律上の期限(民法627条と就業規則)
テンプレートを書き終えたら、次はいつ出すかです。ここは法律と社内のルールの両方を知っておくと迷いません。
法律では2週間前の申し出で辞められる
正社員のように雇用期間の定めがない働き方の場合、民法では、退職を申し出てから2週間が過ぎると雇用が終わると決まっています。
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。 この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。 出典: e-Gov法令検索(民法第627条)
ここで言う「解約の申入れ」が、退職の申し出のことです。会社が退職を認めないと言っても、期間の定めがない雇用なら、申し出から2週間で雇用は終わるというのが民法の原則です。
就業規則の「1か月前」との関係
多くの会社の就業規則には、「退職を希望する者は退職日の1か月前までに申し出ること」のような定めがあります。民法の2週間と食い違うように見えますが、就業規則の定めは、引き継ぎや後任の手配のための社内のルールです。
実務では、就業規則の期限に合わせて申し出るのが、円満に辞めるための近道です。引き継ぎの量が多い職種では、就業規則より早めに、退職日の1〜2か月前に上司へ口頭で伝える人が多くいます。どちらの期限が優先されるかは個別の事情で変わるので、会社と期限で揉めたときは総合労働相談コーナーに相談してください。
期間の定めがある契約の場合
契約社員のように「令和8年4月1日から令和9年3月31日まで」と期間を決めて働いている場合は、民法627条ではなく、期間の途中で辞めるには原則としてやむを得ない事情が必要になります(民法628条)。契約期間が1年を超える場合の扱いなど例外もあるため、契約期間の途中で辞めたいときは、まず契約書と就業規則を確かめ、人事か相談窓口に確認してください。
提出までの順番
- 直属の上司に、口頭で退職の意思を伝える(会議室など人のいない場所で)
- 上司と退職日を相談して決める
- 決まった退職日を書いた退職届を、上司(または人事)に提出する
- 引き継ぎの計画を作り、有給休暇の消化日程を決める
いきなり退職届を机に置いて帰るのは避けてください。退職の意思が伝わらないまま書類だけが回ると、上司の立場を悪くし、引き継ぎの協力も得にくくなります。
封筒の書き方・折り方・入れ方
退職届は封筒に入れて渡します。封筒にも決まった形があります。
封筒の選び方
白無地の封筒を使います。郵便番号の枠が印刷されたものや、茶封筒は事務用なので避けます。中身が透けないよう、二重になった封筒を選ぶと安心です。大きさは、B5の便箋なら長形4号、A4の用紙なら長形3号が合います。
表と裏の書き方
- 表: 中央に「退職届」と縦書きで大きく書く
- 裏: 左下に所属部署と氏名を書く
- 封: のりで閉じても、閉じなくても構わない。手渡しなら閉じないのが一般的で、閉じた場合は「〆」と書く
郵送で送る場合は、この封筒をさらに送付用の封筒に入れ、表に会社の住所と宛名を書きます。
折り方と入れ方
用紙は三つ折りにします。
- 用紙を表を上にして置き、下から3分の1を上に折る
- 上から3分の1を下にかぶせるように折る
- 封筒の裏側から見て、書き出し(表題側)が右上に来るように入れる
封筒から取り出して開いたときに、すぐ「退職届」の表題が読める向きが正しい入れ方です。三つ折りの幅がずれると見た目が崩れるので、定規を当てて折り目をつけるときれいに仕上がります。
封筒と用紙は、百円ショップや文具店で「退職届セット」として売られているものを使っても問題ありません。セットには便箋と封筒、書き方の見本が入っていることが多く、テンプレートを手書きで写すときに便利です。
渡し方の手順と、受け取ってもらえないときの対処
渡すときの手順
退職届は、直属の上司に手渡すのが基本です。
- 上司に「お時間をいただけますか」と声をかけ、会議室など2人で話せる場所を確保する
- すでに口頭で合意した退職日を改めて伝える
- 「退職届をお持ちしました。よろしくお願いいたします」と言って、封筒を両手で渡す
- 封筒の表が上司から読める向きにして渡す
社内の手続きで人事に直接出すよう決まっている会社なら、上司に報告したうえで人事に提出します。
受け取ってもらえないとき
上司が「預かっておく」と言ったまま話が進まない、受け取りそのものを拒まれる、というケースもあります。そのときの対応の目安は次のとおりです。
- 上司のさらに上の上司や、人事部に直接提出する
- 提出した日時と相手をメモに残しておく
- それでも受け取ってもらえない場合は、内容証明郵便で会社の代表者宛に送る
内容証明郵便は、いつ、どんな内容の文書を送ったかを郵便局が証明してくれる仕組みです。退職の申し出をした日を後から証明できるので、民法の2週間を数える起点がはっきりします。
在職中の扱いに不安があるとき、たとえば退職を申し出た後に嫌がらせを受ける、損害賠償をちらつかされる、といった場合は、一人で抱え込まずに相談してください。都道府県労働局や労働基準監督署の中にある総合労働相談コーナーでは、解雇や退職、労働条件のトラブルについて無料で相談できます。
引き止められたときの答え方(例文つき)
退職届を出す前後で、上司から引き止められることはよくあります。引き止め自体は悪いことではなく、それだけ戦力として見られていたということです。ただ、気持ちが決まっているなら、曖昧な返事をすると話が長引きます。答え方の型を用意しておくと、関係を壊さずに話を前に進められます。
よくある引き止めと答え方
給与や待遇の改善を提示されたとき:
ありがたいお話ですが、待遇だけが理由ではなく、
今後の働き方を考えて決めたことですので、
退職の意思は変わりません。
「後任が見つかるまで待ってほしい」と言われたとき:
ご迷惑をおかけして申し訳ありません。
退職日までに引き継ぎ資料を作り、後任の方に
説明する時間も取りますので、
退職日は予定どおりでお願いできますでしょうか。
「繁忙期が終わるまで」と言われたとき:
繁忙期に重なることは承知しております。
その分、担当業務の手順を早めに文書にまとめ、
退職日までに引き継ぎを終えるようにいたします。
答えるときのポイントは3つあります。1つ目は、会社や上司への不満を理由にしないことです。不満を理由にすると「そこを直すから残ってほしい」と話が続きます。2つ目は、退職日を動かすかどうかの判断を自分で持っておくことです。引き継ぎのために1〜2週間延ばすのは構わないと考えるなら、その範囲を先に決めておきます。3つ目は、引き継ぎで協力する姿勢を具体的に示すことです。資料を作る、説明の時間を取る、と言葉にすると、上司も退職を受け入れやすくなります。
引き止めが度を越して、退職届を破られる、退職を認めないと言われ続ける、といった状態になったら、先の節で書いた内容証明郵便や相談窓口を使ってください。
有給休暇の消化と引き継ぎの段取り
退職届のテンプレートに書く退職日は、有給休暇の使い方と引き継ぎの期間で決まります。ここを先に組んでおくと、日付の書き直しが起きません。
有給休暇の残日数を確かめる
まず給与明細や勤怠システムで、有給休暇の残りの日数を確認します。有給休暇は働く人の権利なので、退職前にまとめて使うこと自体は問題ありません。ただし、退職日を過ぎると使えなくなるので、使い切りたいなら退職日を有給休暇の最終日に合わせます。
計算の例を示します。最終出社日を12月10日、有給休暇の残りを15日とすると、土日を除いて15営業日を数えた最後の日が退職日です。年末年始の休業日が会社の休日なら、その日は有給休暇を使う日に数えません。数え方で迷ったら、人事に「この日数で退職日はいつになりますか」と聞くのが確実です。
引き継ぎ資料の作り方
引き継ぎ資料は、担当業務ごとに次の項目を書いた一覧にすると、後任が迷いません。
- 業務の名前と目的
- 頻度(毎日、毎週、毎月、年に1回)
- 手順(どのシステムで、何を、どの順番で)
- 関係者の名前と連絡先(社内、取引先)
- 進行中の案件と、次に起きること
- つまずきやすい点と過去のトラブル
資料は退職日の1か月前を目安に作り始め、後任と一緒に1回は実際の作業をしてみると抜けが見つかります。取引先への担当者変更のあいさつは、上司と相談してから、後任と一緒に行うのが一般的です。
退職届を出した後にやること(書類・保険・年金)
退職届は手続きの入口です。出した後に受け取る書類と、自分でやる手続きを確認しておきます。
会社から受け取る書類
| 書類 | 何に使うか |
|---|---|
| 離職票(雇用保険被保険者離職票の1と2) | 失業保険(基本手当)の手続き |
| 雇用保険被保険者証 | 転職先での雇用保険の手続き |
| 源泉徴収票 | 転職先での年末調整、または確定申告 |
| 年金手帳または基礎年金番号がわかる書類 | 転職先や国民年金の手続き |
| 健康保険の資格喪失を確認できる書類 | 国民健康保険への切り替え |
離職票は、転職先がすでに決まっていて失業保険を受け取らない場合は不要なこともあります。ただ、後から必要になることもあるので、迷ったら発行を頼んでおきます。
労働基準法では、退職した人が請求すれば、会社は使用期間や業務の種類、退職の事由などを書いた証明書を遅滞なく交付しなければならないと決まっています(第22条)。退職証明書と呼ばれるもので、転職先から求められることがあります。
会社に返すもの
健康保険証(資格確認書)、社員証、入館証、名刺、会社から貸与されたパソコンや携帯電話、制服などです。私物の持ち帰り漏れと、会社の資料の持ち出しがないよう、最終出社日の前に机と共有フォルダを整理しておきます。
自分で行う手続き
転職先が決まっていない場合は、健康保険と年金を自分で切り替えます。
- 健康保険: 国民健康保険に入るか、会社の健康保険を任意継続するか、家族の扶養に入るかを選ぶ
- 年金: 厚生年金から国民年金に切り替える(市区町村の窓口)
- 失業保険: 離職票を持ってハローワークで手続きする
健康保険の任意継続は、退職後も最長2年間、それまでの健康保険に入り続けられる仕組みです。全国健康保険協会(協会けんぽ)の場合、申出書は退職日の翌日から20日以内に出す必要があります。期限を過ぎると入れなくなるので、退職日が決まった時点で比べ始めてください。詳しい要件は協会けんぽの任意継続のページに載っています。
無料テンプレートを使うときの注意点と選び方
インターネットには、WordやPDFで退職届のテンプレートを無料で配っているサイトがたくさんあります。使うと手間は省けますが、いくつか確かめておきたい点があります。
選び方の基準
- 退職願と退職届が区別されているか(文末が「お願い申し上げます」か「退職いたします」か)
- 縦書きと横書きのどちらか、自分の会社の慣習に合うか
- 宛名の欄が代表取締役になっているか(直属の上司宛になっていないか)
- 余計な文言(感謝の言葉、長い退職理由)が入っていないか
- WordやExcelなど、自分で書き換えられる形式か
ダウンロードしたら必ず消す箇所
テンプレートには、見本として仮の会社名や氏名、日付が入っています。書き換え漏れがあると、別人の名前が入ったまま提出することになりかねません。ダウンロードしたら最初に、見本の文字をすべて自分の情報に置き換え、7か所(提出日・退職日・理由・会社名・宛名・所属と氏名・押印)を1つずつチェックしてください。
テンプレートに頼りすぎない
テンプレートはあくまで形を整える道具です。退職日や退職理由は、上司や人事との話し合いの結果を正しく反映させる必要があります。テンプレートの日付をそのまま使ってしまう、会社都合なのに見本どおり「一身上の都合」と書いてしまう、といった失敗はよくあります。中身を自分の状況に合わせて書き換えることが、テンプレートを使ううえで一番大事な作業です。
提出前の点検表
清書が終わったら、次の項目を上から順に確かめてから封筒に入れます。
- 表題が「退職届」になっているか(退職願のテンプレートを流用していないか)
- 提出日が、実際に手渡す日になっているか
- 退職日が、人事と合意した日と一致しているか
- 退職理由が、自己都合なら「一身上の都合」、会社都合なら事実どおりになっているか
- 会社名が略さず正式名称で書かれているか
- 宛名が代表取締役になっていて、自分の名前より高い位置にあるか
- 所属と氏名に誤字がなく、押印がかすれていないか
- 修正液や二重線で直した跡がないか
1つでも引っかかったら、新しい用紙に書き直してください。書き直しの手間は数十分ですが、提出後に差し替えを頼むほうが、上司と人事の手を何度も煩わせることになります。
退職届の提出から最終出社日までの目安
| 時期 | やること |
|---|---|
| 退職日の1〜2か月前 | 上司に口頭で相談し、退職日を決める |
| 退職日が決まった直後 | 退職届を提出する |
| 退職日の1か月前まで | 引き継ぎ資料を作り、後任に説明を始める |
| 最終出社日の前の週 | 取引先へのあいさつ、貸与品の返却準備 |
| 最終出社日 | 社内へのあいさつ、貸与品の返却 |
| 退職日の後 | 離職票や源泉徴収票を受け取り、保険と年金を切り替える |
この流れの中で、退職届を書く作業そのものは30分もかかりません。時間がかかるのは、退職日を決める話し合いと引き継ぎです。テンプレートで書類の準備を早めに済ませておけば、残りの時間を引き継ぎと次の仕事の準備に回せます。
退職の手続きの先にある働き方を見てきた立場から
在宅ワークとフリーランスの仲介を2004年から続けてきた運営者として見てきた限りでは、退職の手続きで後から困る人の多くは、書類の書き方より、退職日と次の仕事の開始日の間に何をするかを決めないまま辞めています。転職先が決まっているなら入社日から逆算して退職日を決め、まだ決まっていないなら、失業保険と健康保険の手続きの期限を先に確かめておく。この順番を守るだけで、退職後の慌ただしさはかなり減ります。
会社員として転職するのか、独立して業務委託で働くのかでも、退職前に準備することは変わります。年代別に転職サイトの使い方を知りたい人は、未経験や第二新卒向けの選び方をまとめた20代の転職サイトおすすめ5選|未経験・第二新卒向けや、キャリアアップを狙うときの選び方を整理した30代の転職サイトおすすめ7選|キャリアアップに強いのは?が参考になります。
退職をきっかけにフリーランスとして独立を考えている人は、転職サイトと業務委託の仕事探しが別物であることを先に知っておくと遠回りしません。転職サイトはフリーランスに向かない?エージェントとの正しい使い分けでは、雇用の求人と業務委託の案件の探し方の違いを説明しています。
独立した後の仕事の相場感をつかみたい人は、職種ごとの単価の目安を確かめておくと、会社員時代の給与と比べて判断できます。たとえばデザイン職ならデザイナーの年収・単価相場で、雇用と業務委託それぞれの水準を見られます。業務委託の案件では、仲介の手数料が引かれない直接取引だと、同じ予算でも受け手の手取りが厚くなるため、手数料0%で発注者とやり取りできる場を使う人も増えています。業務の効率化を支援する仕事に関心があるなら、AIコンサル・業務活用支援のお仕事で、どんな依頼があり、どんな経験が求められるかを確かめられます。
よくある質問
Q. 退職届と退職願はどちらを出せばいいですか?
退職の意思を最初に示して会社と相談したいなら退職願、上司と退職日まで合意していて手続きとして書類を出すなら退職届です。退職願は会社が承諾する前なら取り下げを相談できる余地がありますが、退職届は原則として取り下げが難しい書類です。就業規則にどちらを出すか書いてあれば、それに合わせてください。
Q. 退職届はパソコンで作っても失礼になりませんか?
法律で手書きと決まっているわけではなく、パソコンで作っても書類としての意味は同じです。会社に指定の様式があればそれに従い、指定がなければA4の白い用紙に印刷し、氏名だけ手書きで署名して押印すると、本人が出した書類であることがはっきりします。社風が伝統的な会社では手書きを選ぶ人もいます。
Q. 退職届の日付は書いた日と提出日のどちらですか?
提出日の欄には、実際に上司や人事に手渡す日を書きます。前日に書いて翌日に渡すなら翌日の日付です。退職日の欄には在籍する最後の日を書き、有給休暇をまとめて使う場合は最終出社日ではなく有給休暇の最終日が退職日になります。2つの日付は人事と必ず突き合わせてください。
Q. 会社が退職届を受け取ってくれないときはどうすればいいですか?
直属の上司が受け取らない場合は、さらに上の上司や人事部に直接提出し、日時と相手を記録しておきます。それでも受け取ってもらえないときは、内容証明郵便で会社の代表者宛に送ると、申し出た日を証明できます。嫌がらせなどで困っているときは、総合労働相談コーナーで無料で相談できます。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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