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辞表と退職届の違い|使い分け

@SOHO編集部
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辞表と退職届の違い|使い分け

この記事のポイント

  • ✓出す人の立場と書類の性格から解説
  • ✓会社員が出すのは退職届か退職願で
  • ✓辞表は役員や公務員が使う書類です

辞表と退職届の違いは、出す人の立場にあります。会社に雇われて働く会社員が出すのは「退職届」か「退職願」で、「辞表」ではありません。辞表は、会社の取締役などの役員や、公務員が職を辞めるときに使う書類です。会社員がドラマのように「辞表」と書いた封筒を出すと、書類の名前としては正しくないことになります。

この記事では、辞表・退職届・退職願の3つの書類の違いを、出す人、書類の性格、撤回できるかどうかの3つの観点から整理します。そのうえで、会社員・役員・公務員それぞれの立場でどの書類を出せばよいか、書き方の文例、出す順番、使い分けで迷いやすい場面までを順に説明します。

辞表・退職届・退職願の違いを一覧で確かめる

まず、3つの書類の違いを表で整理します。

書類 主に出す人 書類の性格 文末の言い回し
退職願 会社員(正社員・契約社員など) 会社に退職をお願いする 退職いたしたく、お願い申し上げます
退職届 会社員(正社員・契約社員など) 決まった退職を届け出る 退職いたします
辞表 役員(取締役など)・公務員 役職や職を辞する意思を示す 辞任いたします/辞職いたします

会社員が出すのは、退職願か退職届のどちらかです。どちらを出すかは、会社の就業規則の決まりと、退職の話し合いがどこまで進んでいるかで決まります。

そもそも何が違うのか

3つの書類の違いは、働く人と組織との契約の形の違いから生まれています。

会社員は「雇用」の関係

会社員は、会社と雇用契約を結んで働いています。雇用契約とは、会社の指示を受けて働き、その対価として給料を受け取る契約のことです。この契約を終わらせることを「退職」といいます。退職願も退職届も、この雇用契約を終わらせるための書類です。

期間の定めのない雇用、つまり正社員などの場合、民法では、労働者はいつでも退職の申し入れができ、申し入れから2週間が過ぎると雇用が終わると定められています。条文はe-Govの民法第627条で確認できます。

役員は「委任」の関係

株式会社の取締役や監査役などの役員は、会社に雇われているのではなく、会社から経営を任されている立場です。会社法には次のように定められています。

株式会社と役員及び会計監査人との関係は、委任に関する規定に従う。 出典: e-Gov法令検索 会社法 第330条

委任とは、仕事を任せる側と任される側の信頼関係にもとづく契約で、民法では、各当事者がいつでも解除できるとされています(民法第651条)。役員がその地位を辞めることは「退職」ではなく「辞任」といい、そのときに出す書類が辞表、または辞任届です。

公務員は「任用」の関係

公務員は、民間の雇用契約ではなく、法律にもとづいて職に任じられる立場です。公務員が職を辞めることは「辞職」といいます。国家公務員の場合、人事院規則8-12(職員の任免)第51条に、任命権者は、職員から書面で辞職の申し出があったときは、特に支障のない限りこれを承認する、と定められています。条文はe-Govの人事院規則8-12で確認できます。この書面が、一般に辞表や辞職願と呼ばれるものです。地方公務員の扱いは、各自治体の決まりによります。

退職願と退職届の違い

会社員が出す2つの書類は、名前が似ていますが、性格が違います。

退職願は「お願い」の書類

退職願は、会社に「退職させてください」とお願いする書類です。会社がそのお願いを承認した時点で、退職が決まる、という考え方の書類です。上司に退職の意思を伝える段階や、退職日を相談する段階で出すことが多くあります。

退職届は「届け出」の書類

退職届は、退職することを会社に届け出る書類です。会社の承認を求めるのではなく、退職の意思を一方的に伝えるものとして扱われます。上司と話し合って退職日が決まったあとに出すのが一般的です。

会社の就業規則での扱い

どちらを出すかは、会社の決まりによって違います。厚生労働省のモデル就業規則(令和7年12月版)の第52条では、退職となる場合の一つとして「退職を願い出て会社が承認したとき、又は退職願を提出して○日を経過したとき」という形が示されています。会社によっては「退職届を提出する」と定めているところもあれば、「退職願」としているところもあります。自分の会社の就業規則で、書類の名前と出す期限を確かめてください。モデル就業規則は厚生労働省の公開資料で読めます。

撤回できるかどうかの違い

辞表・退職届・退職願の違いが実務で大きく表れるのが、出したあとに取り消せるかどうかです。

退職願は承認前なら撤回の余地がある

退職願は会社へのお願いなので、会社が承認する前であれば、撤回を申し出る余地があると一般に説明されます。ただし、承認されたあとは、撤回が難しくなります。いつ承認されたとみなされるかは、会社の手続きや事情によって変わります。

退職届は原則として撤回が難しい

退職届は、退職の意思を一方的に伝える書類なので、会社に届いたあとに本人の都合だけで取り消すのは難しいと考えられています。会社が撤回を受け入れれば別ですが、受け入れるかどうかは会社の判断です。

辞表も同じく慎重に

役員の辞任も、会社に辞任の意思が届いた時点で効力が生じると一般に考えられており、出したあとに取り消すのは簡単ではありません。役員の辞任は、登記の変更も伴う手続きです。

どの書類も、出す前に意思が固まっているかを確かめてから出すことが大切です。迷いがあるうちは、書類を出す前に、上司や関係者と話し合う時間をとってください。撤回をめぐって判断がつかないときは、都道府県労働局などにある総合労働相談コーナーや、法律の専門家に相談できます。

撤回を考えたときに早めにすること

退職願を出したあとで気持ちが変わった場合は、日を空けずに上司へ伝えることが何より大切です。時間がたつほど、会社は後任の手配や引き継ぎの段取りを進めるため、撤回を受け入れにくくなります。伝えるときは口頭だけで済ませず、撤回を申し出た日付と相手をメモに残し、必要であれば撤回の意思を書いた書面も渡します。会社が撤回を受け入れてくれた場合は、出した退職願を返してもらうか、破棄したことを確かめておくと、あとで行き違いが起きにくくなります。

退職届を受け取ってもらえないとき

会社員が退職の意思を伝えても、上司が「人手が足りないから辞めさせない」と言って書類を受け取らない場面があります。このときに知っておきたいのが、民法の決まりです。

当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。 出典: e-Gov法令検索 民法 第627条

ここでいう「解約の申入れ」が、会社員にとっての退職の申し出にあたります。正社員のように期間の定めがない雇用であれば、会社の承認がなくても、申し出から2週間がたつと雇用は終わるという考え方です。厚生労働省のモデル就業規則の解説にも、会社の承認がなくても、退職を申し出た日から原則として14日がたてば退職となる、という趣旨が書かれています。

受け取ってもらえないときの出し方

手渡しを断られた場合は、人事の担当者や上司のさらに上の立場の人に渡す方法があります。それでも受け取ってもらえない場合は、郵送で出す方法がとられます。郵便局の内容証明は、いつ、どんな内容の文書を、誰から誰あてに出したかを郵便局が証明するサービスで、退職の申し出をした日付の記録として使われることがあります。

ただし、民法の2週間はあくまで法律の原則で、就業規則の期限との関係や、有給休暇の消化、引き継ぎの扱いなど、実際の話し合いで決まることも多くあります。会社と話がまとまらないときは、ひとりで抱え込まず、総合労働相談コーナーに相談してください。厚生労働省の総合労働相談コーナーのご案内には、解雇や雇止め、いじめ・嫌がらせなどあらゆる分野の労働問題を対象にしており、予約不要で無料で利用できると書かれています。

立場別に見る、出す書類の選び方

ここからは、自分の立場ごとに、どの書類を出せばよいかを整理します。

正社員の場合

正社員は、退職願か退職届を出します。一般的な流れは次のとおりです。

  1. 直属の上司に、口頭で退職の意思を伝える
  2. 退職日を相談して決める
  3. 会社の決まりに沿って、退職願または退職届を出す

会社によっては、口頭で伝える段階で退職願を出し、退職日が決まったあとに退職届を出す、という2段階の手順にしているところもあります。就業規則に書類の指定がない場合は、退職日が決まったあとに退職届を1通出す形で足ります。

契約社員・パート・アルバイトの場合

期間の定めがある契約社員などは、契約期間の満了で辞めるのが基本で、その場合は書類が要らないことも多くあります。期間の途中で辞める場合は、民法では、やむを得ない事情があるときに限られるため、まず上司や人事に相談し、会社の指示に沿って退職願か退職届を出します。パートやアルバイトも、会社から求められた場合は、正社員と同じ考え方で退職届を出します。

期間の定めがある契約について、民法第628条は「やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる」と定めています。やむを得ない事由とは、たとえば本人の病気や家族の介護など、働き続けることが難しい事情を指すと一般に説明されますが、どんな事情があてはまるかは個別に判断されます。

また、労働基準法第137条には、契約期間が1年を超える有期の労働契約を結んだ人は、契約の初日から1年がたったあとは、使用者に申し出ることでいつでも退職できる、という決まりがあります。たとえば3年契約で働いている人であれば、働き始めて1年が過ぎていれば、この決まりにもとづいて退職を申し出られます。ただし、高度な専門知識を持つ人や60歳以上の人など、対象から外れる人もいます。自分があてはまるかどうかは、契約書の期間と会社の説明で確かめてください。

派遣社員の場合

派遣社員の雇い主は派遣会社です。退職の意思は派遣会社の担当者に伝え、書類が必要な場合も派遣会社に出します。派遣先に辞表や退職届を出す必要は、通常ありません。派遣という働き方とフリーランスの働き方の違いは、派遣エンジニアとフリーランスの違いを徹底比較|年収・安定性【2026年版】で、収入や安定性の観点から整理されています。

役員の場合

取締役や監査役が辞めるときは、辞表または辞任届を出します。役員を辞めると、会社は役員の変更の登記をする必要があり、辞任届はその登記の添付書類として使われることがあります。役員でありながら従業員としての立場もあわせ持つ「使用人兼務役員」の場合は、役員を辞任する書類と、従業員として退職する書類の両方が必要になることがあります。どちらの扱いになるかは、会社の担当者や専門家に確かめてください。

公務員の場合

公務員が辞めるときは、辞職願や辞表と呼ばれる書類を出します。書類の名前や様式は、所属する役所の決まりで定められていることが多いので、人事の担当課に確かめます。

役員が辞表を出すときに確かめること

辞表を出す立場の役員には、会社員の退職とは違う決まりがいくつかあります。会社員から昇進して取締役になったばかりの人は、とくに見落としやすい点です。

辞任しても役員の役目が残る場合

会社法第346条では、役員が辞任したことで、法律や定款で決めた役員の人数に足りなくなった場合、辞任した役員は、新しい役員が選ばれて就任するまで、なお役員としての権利と義務を持つと定められています。たとえば取締役を3人以上置くと決めている会社で、3人のうち1人が辞任すると人数が欠けるため、後任が就任するまでは役員としての責任が続きます。辞表を出せばその日にすべての責任から離れられる、とは限らないということです。

登記の変更は会社の手続き

役員が辞任すると、会社は登記の内容を変える必要があります。会社法第915条には、登記した事項に変更が生じたときは、2週間以内に、本店の所在地で変更の登記をしなければならないと定められています。この手続きは会社が行うもので、辞任した本人が登記を申請するわけではありません。ただ、辞任届が登記の添付書類として求められることがあるため、会社から様式や押印の指定があれば、それに合わせて書くと手続きがスムーズに進みます。

辞任の時期は会社への影響も考える

民法第651条では、委任はいつでも解除できるとされる一方、相手方に不利な時期に解除したときは、やむを得ない事由がない限り損害を賠償しなければならない、とも定められています。決算や大きな取引の直前など、会社にとって困る時期に突然辞任すると、こうした問題になる可能性があります。辞任の時期は、ほかの役員や株主と相談して決めるのが一般的です。具体的な扱いは会社の事情で変わるため、司法書士や弁護士などの専門家に確かめてください。

書類ごとの文例

それぞれの書類の文例です。縦書きの便箋に書く場合の構成で示します。会社に決まった様式がある場合は、そちらを優先してください。

退職願の文例

退職願

私儀

このたび一身上の都合により、勝手ながら、来たる令和○年○月○日をもって退職いたしたく、ここにお願い申し上げます。

令和○年○月○日

総務部 ○○ ○○ 印

株式会社○○ 代表取締役社長 ○○ ○○ 殿

退職届の文例

退職届

私儀

このたび一身上の都合により、来たる令和○年○月○日をもって退職いたします。

令和○年○月○日

総務部 ○○ ○○ 印

株式会社○○ 代表取締役社長 ○○ ○○ 殿

辞任届(役員の辞表)の文例

辞任届

私儀

このたび一身上の都合により、令和○年○月○日をもって貴社取締役を辞任いたします。

令和○年○月○日

住所 ○○県○○市○○町○丁目○番○号 取締役 ○○ ○○ 印

株式会社○○ 代表取締役 ○○ ○○ 殿

役員の辞任届は、登記の手続きで使われることがあるため、住所を書き、押印する形が多く見られます。印鑑の種類など細かな扱いは、登記を担当する人や専門家に確かめてください。

文例を使うときの注意

  • 退職願と退職届で、文末の言い回しを取り違えない
  • 宛名は、直属の上司ではなく会社の代表者にする
  • 会社名は「株式会社」を省略せず正式な名称で書く
  • 自己都合なら「一身上の都合により」で足り、詳しい理由は書かない
  • 会社の事情で辞める場合は「一身上の都合」と書かない

書き方の共通のルール

どの書類も、書き方の基本は共通しています。

用紙と筆記用具

手書きの場合は、白無地の便箋に、黒のボールペンか万年筆で書きます。パソコンで作る場合は、A4の白い普通紙に黒で印刷します。法律上、手書きでなければならないという決まりはないので、会社の慣習に合わせて選んでかまいません。

封筒

封筒は白無地の和封筒を使い、表の中央に書類の名前(「退職願」「退職届」「辞任届」など)、裏の左下に所属と氏名を書きます。便箋は三つ折りにして入れます。

書き損じ

手書きで間違えたときは、修正液や二重線で直さず、新しい便箋に書き直します。

日付と宛名で気をつけること

書類には、退職日と提出日の2つの日付が出てきます。本文の「来たる令和○年○月○日をもって」は退職日、末尾の日付は書類を出す日です。この2つを取り違えると、いつ辞めるのかが分からない書類になるため、書き終えたら必ず見直してください。元号で書くか西暦で書くかは、会社の書類の慣習に合わせ、1通の中ではどちらかに揃えます。

宛名は、会社の最終的な決定権を持つ代表者にします。自分の名前は宛名より下の位置に書き、宛名より大きな字にならないようにするのが一般的な作法です。こうした社内文書の書き方を体系立てて身につけたい人には、ビジネス文書検定という資格があり、社内文書や社外文書の形式と表現を学べます。

出す順番とタイミング

書類の名前を正しく選んでも、出す順番を間違えると、話し合いがこじれます。

いきなり書類を出さない

会社員の場合、最初にするのは、直属の上司に口頭で退職の意思を伝えることです。何も伝えずに書類だけを渡すと、上司は突然の申し出に驚き、退職日の相談に応じにくくなります。まず「ご相談したいことがあります」と時間をもらい、話をしてから書類を渡す順番を守ってください。

出す時期は就業規則の期限に合わせる

民法では申し入れから2週間で雇用が終わるとされていますが、多くの会社の就業規則には「1か月前までに申し出る」といった決まりがあります。引き継ぎの期間も考えて、就業規則の期限より少し早めに伝えるのが、円満に辞めるための基本です。

書類は控えを残す

提出した書類はコピーをとって控えを残します。いつ、誰に渡したかもメモしておくと、退職日をめぐって行き違いが起きたときに説明しやすくなります。

在宅勤務で手渡しができない場合

在宅勤務が中心の会社や、上司と勤務地が離れている場合は、書類を直接手渡しできないことがあります。民法には、退職の申し出を紙の書類で行わなければならないという決まりはありません。そのため、会社が認めていれば、郵送や社内のシステム、メールで退職届を出す形もとられています。

ただし、会社によっては就業規則で「書面で提出する」と決めていたり、人事のシステムに専用の申請画面を用意していたりします。まずは上司とのオンライン面談などで退職の意思を口頭で伝え、そのうえで「退職届はどの方法で出せばよいですか」と確かめるのが確実です。郵送で出す場合は、退職届を白い封筒に入れたうえで、宛名を書いた送付用の封筒に入れ、添え状を同封するのが丁寧な形とされています。送ったあとは、届いたことを電話やメールで確かめておくと安心です。

メールで出す場合も、件名に「退職届の提出について」と書き、本文に退職日と退職の意思を明記します。退職届をPDFにして添付する方法もあります。いずれの方法でも、送った日時が残る形で出しておくと、あとで退職日を確かめるときの記録になります。

使い分けで迷いやすい場面

実際の場面では、書類の名前で迷うことがあります。よくある場面を整理します。

上司から「辞表を出せ」と言われた場合

上司が「辞表」という言葉を使っていても、会社員が出す書類は退職願か退職届です。言葉の違いにこだわる必要はありませんが、書類の表題は「退職届」または「退職願」と書くのが正確です。

ただし、退職するつもりがないのに「辞表を書け」と迫られている場合は、事情が違います。会社が退職を促すことを退職勧奨といい、応じるかどうかは本人が決められます。望まない退職を強く迫られている場合は、すぐに書類を書かず、やり取りを記録して、総合労働相談コーナーなどに相談してください。退職勧奨を受けて辞めた場合は、失業給付の扱いが自己都合とは変わることがあります。ハローワークの特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要には、事業主から直接または間接に退職するよう勧奨を受けたことにより離職した人が、特定受給資格者の範囲として挙げられています。

退職願と退職届の両方を出すべきか迷う場合

会社が2段階の手順を決めていない限り、両方を出す必要はありません。退職日が決まってから退職届を1通出す形で足ります。上司と話す前に書類を用意しておきたい場合は、退職願を持参し、話し合いのあとに渡す方法もあります。

転職先が決まる前に退職届を出すか迷う場合

転職を考えている人の中には、次の会社が決まる前に退職届を出してよいか迷う人も多くいます。退職届は撤回が難しい書類なので、内定が出る前に出すと、転職活動が長引いた場合に収入のない期間が続くことになります。一般には、内定を受けて入社日が決まってから、今の会社の就業規則の期限に合わせて退職の意思を伝え、退職届を出す順番がとられます。在職中に応募書類を整えておきたい人は、職務経歴書の組み立てから始めると、退職を伝えるまでの時間を有効に使えます。

役員と従業員を兼ねている場合

従業員として働きながら役員にもなっている場合は、役員の辞任と、従業員としての退職を分けて考える必要があることがあります。辞任届と退職届のどちらが必要か、両方必要かは、会社の担当者や専門家に確かめてください。

書類を出したあとにすること

書類を出したら、退職日までの準備を進めます。

  • 引き継ぎの資料を作り、後任と上司に渡す
  • 残っている有給休暇の取り方を相談する
  • 健康保険証や社員証、貸与品の返却物を確かめる
  • 離職票、源泉徴収票、年金手帳など、受け取る書類を確かめる

退職の理由を証明する書類を求められるとき

転職先や役所の手続きで、前の会社に勤めていたことや辞めた理由を示す書類を求められることがあります。労働基準法第22条では、労働者が退職するときに、使用期間、業務の種類、その事業での地位、賃金、退職の事由について証明書を請求した場合、使用者は遅滞なく交付しなければならないと定められています。これを一般に退職証明書と呼びます。証明書には、本人が求めていない事項を書いてはならないとも定められているため、必要な項目だけを伝えて請求できます。

退職証明書は、ハローワークで失業給付の手続きに使う離職票とは別の書類です。離職票は雇用保険の手続きのための書類で、退職証明書は本人の請求にもとづいて会社が出す証明書です。どちらが必要かは、提出先の案内で確かめてください。

失業給付の手続き

退職後に失業給付を受ける予定がある人は、離職票が届いたら住所地のハローワークで手続きをします。自己都合で辞めた場合は、離職日が令和7年4月1日以降なら、7日間の待期のあとに原則1か月の給付制限があります。期間の詳細は、ハローワークインターネットサービスの案内で確かめられます。

退職日の翌日から始まる健康保険と年金の切り替え

退職届を出して退職日が決まったら、その翌日からの健康保険と年金をどうするかも同時に考えておく必要があります。次の会社に間を空けずに入る場合は新しい会社で手続きが進みますが、しばらく働かない期間がある人や、フリーランスとして独立する人は、自分で切り替えの手続きをします。

健康保険は3つの道から選ぶ

退職後の健康保険には、主に次の3つの選び方があります。

  1. 前の会社の健康保険を続ける(任意継続)
  2. 住んでいる市区町村の国民健康保険に入る
  3. 家族が入っている健康保険の扶養に入る

任意継続とは、退職したあとも、在職中に入っていた健康保険に自分で保険料を払って入り続ける仕組みのことです。協会けんぽの任意継続の案内には、退職日までに被保険者期間が継続して2か月以上あること、退職日の翌日から20日以内に手続きすること、加入できる期間は2年間であることが書かれています。郵送で申し出る場合は、20日以内に必着するよう送る必要があります。期限を過ぎると任意継続は選べなくなるため、退職届を出した段階で、どの道を選ぶかの目星をつけておくと慌てずに済みます。

国民健康保険の窓口は住所地の市区町村です。保険料は前の年の所得などをもとに自治体ごとに計算されるため、任意継続とどちらが安いかは人によって違います。市区町村の窓口で国民健康保険の保険料の見込みを聞き、任意継続の保険料と比べてから決める方法がとられます。

年金は国民年金への切り替え

会社員は厚生年金に入っていますが、退職して次の会社に入らない期間や、自営業者やフリーランスになった場合は、国民年金の第1号被保険者への切り替えが必要です。日本年金機構の国民年金に加入するための手続きには、手続き先は住所地の市区役所または町村役場、提出期限は退職日の翌日から14日以内と書かれています。退職して配偶者の扶養に入る場合は、第3号被保険者として、配偶者の勤め先を通じて手続きします。

退職して保険料を納めるのが難しいときは、申請して承認を受けると保険料の納付が免除になる場合があります。退職や失業を理由とした特例免除という仕組みもあるので、払えないまま放置せず、窓口で相談してください。

運営者として見てきた、退職のしかたと次の仕事

在宅ワークとフリーランスの仲介サイトを2004年から運営してきた編集部として見てきた限りでは、会社員から業務委託やフリーランスに移る人の多くが、最初の仕事を前の職場の人脈から得ています。退職願や退職届の名前を正しく使い、順番を守って円満に辞めた人ほど、元の上司や同僚から声がかかりやすい傾向があります。書類の名前の違いは小さなことに見えますが、手続きを丁寧に進める姿勢は、退職後の信頼にもつながります。

また、会社員から業務委託に移ると、仲介の手数料がかからない手数料0%の直接取引を選べるかどうかで、同じ予算でも受け取る報酬の厚さが変わります。前の職場とよい関係を保ったまま独立できれば、その人脈がそのまま直接の取引先になり得ます。

退職後の仕事を職種データから考える

退職を決めた人が、次の仕事を考えるための材料も整理しておきます。

エンジニアへの転職を考えている人は、未経験からWebエンジニアへの転職ガイド|30代からの挑戦と成功法則【2026年版】で、未経験から目指すときの学習の進め方が整理されています。業務アプリの開発に関心がある人は、アプリケーション開発のお仕事のガイドで、在宅でも受けられる案件の種類を確かめられます。応募書類の準備を始める人は、職務経歴書の書き方完全ガイド|転職成功率を上げるコツ【2026年版】で、職務経歴書の組み立て方を確認できます。デザインの経験がある人は、デザイナーの年収・単価相場で、会社員と業務委託の収入の違いを比べられます。

辞表と退職届の違いは、出す人の立場で決まります。会社員なら退職願か退職届、役員なら辞任届、公務員なら辞職の書類です。自分の立場に合った書類を選び、口頭で伝えてから書類を出すという順番を守れば、名前の違いで迷うことはありません。

よくある質問

Q. 会社員が辞表を出してもよいですか?

会社員が退職するときに出す書類は、退職願か退職届です。辞表は役員や公務員が職を辞めるときに使う書類なので、会社員の書類の名前としては正確ではありません。上司が辞表という言葉を使っていても、表題は退職届または退職願と書くのが一般的です。

Q. 退職願と退職届はどちらを出せばよいですか?

会社の就業規則で決まっている書類を出します。指定がない場合は、上司と話し合って退職日が決まったあとに退職届を1通出す形で足ります。退職を願い出る段階で書類を求められた場合は退職願を出します。

Q. 一度出した退職届は取り消せますか?

退職届は退職の意思を一方的に伝える書類なので、会社に届いたあとに本人の都合だけで取り消すのは難しいと考えられています。退職願は会社が承認する前なら撤回の余地があると一般に説明されます。取り消したい場合は、できるだけ早く上司に相談してください。

Q. 取締役が辞めるときは何を出せばよいですか?

取締役などの役員は会社と委任の関係にあるため、退職ではなく辞任となり、辞任届(辞表)を出します。役員の辞任は登記の変更を伴い、辞任届が添付書類として使われることがあります。従業員の立場もあわせ持つ場合は、退職の書類も必要になることがあるので、担当者に確かめてください。

この記事について

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年10月22日最終更新:2026年10月29日
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会社売却・事業承継・事業譲渡を考える経営者向け。売却の流れ、税金、従業員への伝え方、仲介会社の選び方

アウトソーシング・外注ガイド

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SNS運用・経理・広告など、業務のアウトソーシング(外注)を検討する企業・個人向け。費用相場・依頼の流れ・失敗しない選び方