Webマーケティングの継続案件にする|単発で終わらせない


この記事のポイント
- ✓Webマーケティングの継続案件は
- ✓契約の形と受注直後の進め方で決まります
- ✓更新交渉の切り出し方まで
Webマーケティングの継続案件が欲しい、という相談は本当に多いです。ただ、話を聞いていくと、悩みの中身は「案件が取れない」ではなく「取ったのに続かない」であることがほとんどです。広告運用を1か月やって終わり、サイト分析のレポートを1本出して終わり、SNSの立ち上げを手伝って終わり。仕事の質が低かったわけではないのに、次の月には声がかからない。
結論から言うと、継続案件になるかどうかは、納品物の出来よりも「契約の形」と「受注直後の進め方」で決まります。これ、知らない人が本当に多いんです。この記事では、Webマーケティングの案件を単発で終わらせないために、契約の形を整える手順、受注してから最初の30日でやること、月次の報告と定例の設計、更新の話を切り出すタイミングまでを、順を追って整理します。法律用語も出てきますが、必ず「つまり」で言い換えていきます。
単発で終わる案件と続く案件は、納品前から分かれている
継続案件になった仕事と、1回で終わった仕事を並べて比べると、分かれ目は納品の瞬間ではなく、その手前にあります。相手が何を頼んだつもりでいたのか。そこがずれていると、どれだけ良いものを出しても「1回分の買い物」で終わります。
「作業を渡す相手」と「判断を任せる相手」の違い
発注する側から見ると、外部のWebマーケターは2種類に分かれます。作業を渡す相手か、判断を任せる相手か。前者は、社内で決めた施策の手を動かす人です。バナーを差し替える、広告のキーワードを追加する、レポートの数字を埋める。この位置づけだと、社内で人が採用できた時点で不要になりますし、繁忙期が終われば発注も終わります。
後者は違います。「来月どこに予算を寄せるか」「この施策をやめるべきか」を一緒に決める相手です。判断を任せている相手を切ると、社内に判断材料が残りません。だから続きます。つまり、継続案件にしたいなら、作業を早く安く出すのではなく、判断の材料を出す側に回る必要があります。
この位置づけは、後から自然に変わるものではありません。最初の契約と最初の報告で決まります。1回目のやり取りで「言われたことを言われた通りにやる人」として認識されると、その枠から出るのに何か月もかかります。
継続にならない案件の共通点
相談を受けた案件を整理していくと、続かなかったものにはいくつか共通点があります。
ひとつ目は、成果物の定義が「モノ」になっていることです。レポート1本、広告アカウント1つ、記事構成案5本。モノで定義された契約は、モノが揃った時点で終わります。当たり前ですが、ここを見落とす人が多い。
ふたつ目は、社内に相談相手がいないまま進めたケースです。窓口が1人しかおらず、その人が異動すると案件ごと消えます。3人目、4人目に自分の仕事が見えていない状態は、実は非常に危うい。
みっつ目は、契約書がないか、あっても納品条件しか書かれていない場合です。継続の判断をする材料が契約に何も書かれていないので、更新するかどうかは相手の気分と予算次第になります。
よっつ目は、次の論点を出していないことです。報告書が「今月やったこと」で終わっていると、読んだ側は「終わったんだな」と受け取ります。次に何を決めなければならないかが書かれていて初めて、続きの話になります。
契約の形を先に決める(請負か準委任か)
ここは法律の話になりますが、継続案件を考えるうえで避けて通れません。噛み砕いて書きます。
請負契約で受けると継続に繋がりにくい理由
請負契約は、仕事を完成させることを約束する契約です。民法632条にそう書かれています。つまり、決めた成果物を完成させて引き渡し、相手が受け取ったら仕事は終わりです。Webサイト制作やLPの納品はこの形が合っています。
ところがWebマーケティングの実務は、完成という概念となじみません。広告の運用に完成はありませんし、SEOの改善にも終わりはありません。それなのに請負で受けると、「どこまでやれば納品なのか」が毎回もめますし、契約上は引き渡しで終わりなので、続ける理由が契約側に一切残らないという状態になります。
さらに請負には契約不適合責任がついてきます。つまり、納めたものが約束と違っていたときに、直す義務や減額に応じる義務を負います。運用型の仕事で「約束と違う」の基準が曖昧なまま請負にすると、後から無限に直しを求められる余地を残すことになります。
準委任契約に整えるときの言い方
運用や分析を継続で受けるなら、準委任契約が実態に合います。準委任は、仕事の完成ではなく、決められた業務を適切に行うことを約束する契約です。成果の保証はしませんが、善良な管理者としての注意義務、いわゆる善管注意義務を負います。つまり「専門家として当然払うべき注意を払って業務を行う」という約束です。
相手に切り出すときは、法律用語から入らないほうが通じます。「毎月やる仕事なので、成果物を1回納めて終わりという形ではなく、月ごとの業務範囲を決めて継続する形にしたい」と伝え、そのうえで契約書の表題を業務委託契約書とし、条文で準委任であることを明記します。
なお、成果物の納品も含む場合は、混合型になります。月次の運用は準委任、年に1度のサイト改修は請負、というように分けて書けば実務に耐えます。※契約書の作成そのものを他人のために業として行えるのは行政書士や弁護士などに限られますので、自社の契約書を自分で作るのは問題ありませんが、他の人の契約書を代わりに作って報酬を得るのは避けてください。
契約書に必ず入れる項目
継続を前提にするなら、次の項目は落とせません。順に確認してください。
業務範囲。何をやって何をやらないかを書きます。「Web広告の運用」だけでは足りず、「アカウント設計、入稿、日次の予算調整、月次レポートの作成まで。クリエイティブの制作は含まない」という粒度まで落とします。
報酬と支払時期。フリーランス保護新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)では、発注者は物品等を受領した日から起算して60日以内のできる限り短い期間内に支払期日を定めなければならないとされています。つまり、支払いを翌々月末まで引っ張るような条件は、法律上の上限に触れる可能性があります。ここは黙って呑まず、契約の段階で確認してください。
契約期間と更新。「本契約の有効期間は締結日から6か月とし、期間満了の30日前までにいずれからも申し出がない場合は同一条件でさらに6か月更新する」という自動更新条項を入れておくと、更新のたびにゼロから交渉する必要がなくなります。
中途解約。準委任は法律上いつでも解除できるのが原則です。つまり、放っておくと相手はいつでも切れます。だから「解約する場合は30日前に書面で通知する」という予告期間を必ず入れます。
再委託の可否、秘密保持、成果物の権利帰属、反社会的勢力の排除条項もセットで入れます。広告アカウントの管理権限や分析ツールのデータの扱いは、秘密保持の対象に含まれることを明示しておくと後の争いが減ります。
受注直後の30日で継続が決まる
契約が整ったら、次は最初の30日です。ここでの動き方が、その後の関係を決めます。
初回のヒアリングで聞く項目
初回の打ち合わせで、目の前の施策の話だけをして終わる人が多いのですが、それでは続きません。聞くべきは、事業の側の情報です。
まず、この施策で何が良くなれば社内で評価されるのか。担当者本人の評価軸と、会社としての目標は別物です。担当者が上司に何を報告しているのかが分かると、報告書の書き方が変わります。
次に、過去に外部に頼んで失敗した経験があるかどうか。ここは必ず聞きます。前任の外注先と揉めた会社は、同じ地雷を踏まれることを恐れています。何が嫌だったのかを最初に聞いておけば、避けられます。
それから、意思決定の順路です。誰が決裁するのか、稟議はいつ回るのか、予算はいつ決まるのか。予算の確定時期を知らないまま更新の話を出すと、必ず出遅れます。
最後に、社内に何が残っていないと困るのかを確認します。属人化を嫌う会社では、ドキュメントを残すこと自体が価値になります。
権限とアカウントの受け渡し
地味ですが、ここでの丁寧さが信用に直結します。広告アカウント、解析ツール、管理画面。権限は必ず相手の所有アカウントに紐づけ、自分は招待される側になります。自分名義のアカウントで運用を始めて、契約終了時にデータごと引き上げるような形は、短期的には囲い込みになりますが、業界内では悪評として残ります。
権限を受け取ったら、付与された権限の一覧と、誰がどの権限を持っているかを一覧にして返します。この一覧は、後から社内の人が変わったときにも効きます。
最初の報告で「次の論点」を出す
初回の報告は、現状の整理で終わらせず、必ず「次に決めなければならないこと」を3つ程度添えます。たとえば、計測の設定に漏れがあるので直すか、広告の配信面を絞るか広げるか、商品ページの改修が先か。
論点を出すと、相手はそれについて社内で相談します。相談が発生すると、そこに自分の名前が出ます。つまり、窓口の1人だけでなく、その上や隣の部署にも存在が伝わります。継続を決めるのは、往々にして窓口ではなく、その上にいる人です。
月次の運用サイクルを設計する
継続案件は、毎月同じ形で回るからこそ続きます。毎回違う進め方をしていると、相手側の負担が増えて、続ける動機が減っていきます。
報告書は事実・解釈・提案の3層で書く
報告書の型を決めます。1層目は事実です。数字と、実施したことを淡々と並べます。ここに意見を混ぜません。
2層目は解釈です。その数字がなぜそうなったのかを書きます。「季節要因」で片づけず、どのデータからそう読んだのかを示します。読んだ根拠が書かれていない解釈は、相手が社内で使えません。
3層目は提案です。来月何をするか、そのために相手側に何を決めてもらう必要があるかを書きます。提案には必ず、やらない選択肢の結果も添えます。「この改修をしない場合、現状維持になります」と書いてあると、相手は判断しやすくなります。
この3層を守ると、報告書がそのまま社内資料として使えるようになります。担当者が自分の言葉に直さずに上に回せる資料を出す人は、外しにくくなります。ビジネス文書としての基本の型を押さえたい場合は、ビジネス文書検定の出題範囲が参考になります。報告書や議事録の構成、敬語の使い分けまで体系立てて整理されているので、我流の報告書から抜け出すきっかけになります。
定例は短く、議題を先に送る
定例会議は長ければ良いというものではありません。議題を前日までに送り、その場では決めることだけを決める。この形にすると、相手の時間を奪わずに済みます。時間を奪わない相手は、続けやすい相手です。
議題は、報告書の3層目から持ってきます。決めることが1つもない月は、定例を書面のみに切り替える提案をしてもかまいません。むしろ、無駄な会議を減らす提案をする外部の人は、社内で評判が良くなります。
数字が動かない月の報告の書き方
継続していれば、成果が出ない月は必ず来ます。ここでの振る舞いが、契約の生死を分けます。
やってはいけないのは、外部要因だけを並べることです。競合が広告を増やした、検索の順位変動があった、季節要因である。全部事実だとしても、それだけを書くと「打つ手がない人」に見えます。
書くべきは、何を試して何が効かなかったかという事実、そこから何を学んだか、それを踏まえて次に何を変えるかです。効かなかった施策を先に自分から報告する人は、信用されます。逆に、悪い数字を小さく書く人は、一度気づかれた瞬間に全部の報告を疑われます。
契約更新の話は、更新日の前に出す
更新の相談を、契約満了の直前に出す人が多いのですが、これは順番が逆です。相手の予算は、決まる時期が決まっています。
自動更新条項と解約予告
前述の通り、契約書に自動更新条項を入れておけば、何もしなければ続きます。ただし、これに寄りかかると、相手が「惰性で続けている」と感じたときに一気に切られます。自動更新は事務手続きを減らすための仕組みであって、関係を維持する仕組みではありません。
解約予告期間は、双方に必要です。相手にとっては安心材料になりますし、こちらにとっては次の仕事を探す時間になります。予告なしにいつでも切れる契約は、生活の計画が立ちません。
更新交渉の場で使う材料
更新や範囲の拡大を相談するときは、感情ではなく記録で話します。使う材料は3つです。
1つ目は、契約時に決めた業務範囲と、実際にやってきた業務の差分です。範囲外の作業を引き受けてきたなら、それを一覧にします。責める書き方ではなく、「実態に合わせて契約を整えたい」という書き方にします。
2つ目は、成果の推移です。数字が良くなっていればそれを、良くなっていなければ「何を積み上げてきたか」を示します。
3つ目は、次の期にやるべきことの計画です。更新の話は、過去の請求ではなく未来の計画として出したほうが通ります。条件の見直しを相談するときも、実績の報告ではなく次の期の設計として持ち込んだほうが、相手の社内で通しやすくなります。為替の影響を受ける海外の取引先と続ける場合の注意点は、円安時代に海外案件で稼ぐ|ドル建て報酬のフリーランス案件の探し方で契約通貨と支払条件の決め方に触れています。
業務範囲が広がるときの扱い
継続していると、自然に頼まれごとが増えます。ここを放置すると、いつの間にか働く時間だけが増えていきます。
スコープ外の依頼を断らずに整理する
「ついでにこれもお願いできますか」と言われたときに、その場で断る必要はありません。ただし、その場で受けるとも言わない。返し方は決まっています。
まず、依頼の中身を確認します。何を、いつまでに、どの品質で必要なのか。次に、それが現在の契約範囲に含まれるかどうかを一緒に確認します。含まれないなら、「今の契約の範囲外なので、別途お見積もりを出します」と伝えます。含まれるなら、どの業務の時間を削るかを相談します。
この確認を毎回やっていると、相手も範囲を意識するようになります。範囲を意識してもらえる関係は、長く続きます。
追加業務は覚書で残す
範囲が変わったら、契約書を作り直す必要はありません。覚書(変更契約書)を1枚交わせば足ります。変更する条項、変更後の内容、適用開始日。この3つが書いてあれば有効です。
口頭で決めた変更は、担当者が変わった瞬間に消えます。これは本当によくある話で、後任の方から「そんな取り決めは引き継いでいません」と言われて揉めるケースを何度も見てきました。書面で残っていれば、こうした行き違いはほぼ起きません。
継続案件を失う兆候と、その前にできること
契約が切れる前には、たいてい兆候があります。返信が遅くなる、定例の出席者が減る、決裁者が同席しなくなる、来期の話題が出なくなる。この段階で気づけば、まだ手は打てます。
打ち手は、価格を下げることではありません。相手の社内で何が起きているかを聞くことです。予算が削られたのか、組織が変わったのか、内製に切り替える方針が出たのか。理由が分かれば、対応の形を変えられます。たとえば内製化の方針が出ているなら、運用の代行から、社内担当者への引き継ぎ支援と設計のレビューに役割を移すという提案ができます。
役割を移す提案は、目先の作業量は減りますが、関係は続きます。そして内製がうまくいかなかったとき、最初に声がかかるのは引き継ぎを手伝った人です。
記録の残し方が、いちばん確実な防具になる
法務の立場から見ると、継続案件のトラブルはほぼ全て「言った言わない」から始まります。防ぐ方法は単純で、決めたことをその日のうちに文字にして相手に送るだけです。
打ち合わせの後に、決まったこと、決まらなかったこと、次に誰が何をするかを箇条書きにしてメールで送ります。「認識に相違があればご指摘ください」と一文添えておけば、返信がなくても合意の記録として機能します。チャットツールの履歴も証拠にはなりますが、検索性と保存性を考えると、節目の合意はメールに残すのが確実です。
報酬の未払いが起きたときも、この記録が効きます。フリーランス保護新法では、発注者が業務委託をした場合に、給付の内容や報酬の額、支払期日などを書面または電磁的方法で明示する義務が定められています。つまり、条件が書面で示されていないこと自体が問題になり得ます。相談窓口としては、公正取引委員会や中小企業庁が案内している窓口があります。制度の詳細は公正取引委員会や中小企業庁の案内を確認してください。※実際に未払いが発生し、金額が大きい場合や相手が応じない場合は、弁護士に相談してください。
続く案件の輪郭は、職種の外側にある
Webマーケティングの継続案件は、マーケティングの技術だけで決まるわけではありません。運用の設計、社内向けの資料、契約の整理、記録の管理。この周辺の実務を引き受けられる人ほど、長く続いています。
継続しやすい領域には傾向があります。ツールの運用が絡む業務、データが蓄積される業務、社内に専任を置きにくい業務です。次の指摘は、マーケティングオートメーションの領域について書かれたものですが、継続案件になりやすい仕事の条件をよく言い当てています。
Salesforce(AccountEngagement)やHubSpot等の実務運用経験、ステップメール・シナリオ設計、顧客データのセグメンテーションなど豊富な知識が求められます。しかし、既存顧客のLTV(顧客生涯価値)最大化を重視する企業が増える中、ツールを使いこなせる専門人材が市場で著しく枯渇しているため、一度契約すれば数年単位での継続案件になりやすく、非常に安定して高単価を獲得できるのが魅力です。 出典: rimopuru.com
つまり、覚えるのに時間がかかり、社内で人を育てにくく、止めると業務が止まる。この3条件が重なる領域は、構造的に続きます。逆に、誰でも1週間で覚えられて、止めても業務が止まらない作業は、いつ切られてもおかしくありません。自分の担当領域がどちらに近いかを、一度冷静に見てください。
受注前に見ておく、続く相手かどうかの判断材料
継続案件にできるかどうかは、自分の努力だけで決まるものではありません。相手側の事情で、構造的に続かない案件もあります。受注前に見ておくべき点を挙げます。
予算の出どころを確認します。単発の予算枠から出ているのか、年間の運用予算に組み込まれているのか。前者は使い切ったら終わりです。「この費用はどの予算から出ていますか」と聞くのは失礼ではありません。むしろ、事業として考えている相手ほど、きちんと答えてくれます。
窓口の人数を見ます。やり取りが1人に閉じている案件は、その人の異動で消えます。契約の途中でもかまわないので、実務の相手を2人以上にできないか相談してください。「情報共有のため、もう1名を打ち合わせに同席いただけますか」という頼み方なら角が立ちません。
決裁までの距離を測ります。窓口の人が決められる金額の範囲、稟議の有無、承認までにかかる日数。これが分かると、更新の相談をいつ出せばよいかが逆算できます。決裁者と一度も会わないまま数か月が過ぎている案件は、更新の判断材料が自分の手を離れた場所で作られていることになります。
社内の体制の変化も見ておきます。マーケティング担当を採用中の会社は、採用が決まった時点で外部委託の範囲が縮みます。これは悪いことではなく、事前に分かっていれば、運用代行から教育と設計のレビューへ役割を移す提案を先に出せます。
複数の継続案件を並行させるときの管理
継続案件が増えると、今度は自分の運用そのものが破綻し始めます。月末に報告書が重なり、定例が同じ週に集中し、どの案件で何を約束したのか分からなくなる。ここも手順で解決できます。
まず、報告の締め日をずらします。全ての案件を月末締めにすると、月初の1週間が報告書作成で埋まります。契約の段階で「報告は毎月第2営業日まで」「翌月10日まで」というように分散させておくと、負荷が平準化されます。
次に、案件ごとに約束の一覧を1枚で持ちます。契約範囲、報酬の支払期日、更新月、解約予告期間、報告の締め日、定例の頻度。この6項目を並べた表を作っておくと、更新月の3か月前に動くといった管理ができます。契約書をその都度開いて確認する運用は、案件が増えると必ず破綻します。
そして、業務の記録を案件ごとに残します。何にどれだけ時間を使ったかが分かると、範囲が広がっていることに早く気づけます。時間の記録がないと、「なんとなく忙しい」という感覚だけが残り、契約を整える相談を切り出す根拠が作れません。関連する職種の業務範囲や求められるスキルを確認したい場合は、ソフトウェア作成者の年収・単価相場のように、公的統計をもとにした職種別のデータを見ると、自分の業務がどの職種に近いのかを整理する助けになります。
キャリアの後半で継続案件を軸に据える考え方については、定年後のフリーランス独立|退職金を活かした起業プランと注意点で、収入を安定させるための契約の持ち方を扱っています。
運営者の視点から見た、継続する人の共通点
在宅ワークと業務委託の市場を20年見てきた立場から言えば、長く続いている人ほど、単発の作業を速くこなすことではなく、「この人に任せると社内が楽になる」という状態を作ることに時間を使っています。報告書の形を整える、権限の一覧を作る、決まったことをその日に文字にする。どれも成果物としては地味ですが、発注する側の手間を確実に減らします。
もうひとつ、運営者として見てきた限りでは、間に手数料が乗らない直接の取引ほど、双方の満足度が高い傾向があります。仲介が入ると、同じ予算でも受け取る側の手取りが薄くなり、依頼する側は同じ金額でお願いできる量が減ります。手数料0%の直接取引は、単に受け取る額が増えるという話ではなく、依頼する側も同じ予算でより多く相談できるようになるという意味で、関係を長くする方向に働きます。継続案件を狙うなら、取引の経路そのものも選択肢に入れておいて損はありません。
案件の探し方や、どの領域に仕事があるのかを俯瞰したい場合は、Webマーケティング全般のお仕事で広告運用からSEO、SNS運用までの業務の中身と求められるスキルを整理しています。AIツールの活用が絡む領域まで広げて見たいなら、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事が近い領域です。働く場所を選ばない形での継続を考えているなら、Webマーケティング フリーランスで海外ノマド!年収、スキル、成功への道で時差のある環境での運用体制の作り方に触れています。
継続案件は、運が良ければ続くものではありません。契約の形を整え、最初の30日で位置づけを作り、毎月同じ型で報告し、更新の話を前もって出す。この4つを回している人が、結果として続いています。法律も契約書も、あなたを縛るものではなく、続けるための土台です。法律はあなたの味方です。
よくある質問
Q. 継続案件にするには、契約は請負と準委任のどちらが向いていますか?
運用や分析を毎月続ける業務なら準委任が実態に合います。請負は仕事の完成を約束する契約なので、納品した時点で契約上は終わり、続ける根拠が残りません。準委任は業務を適切に行うことを約束する形なので、月ごとの業務範囲を決めて更新していけます。年1回のサイト改修だけを請負にするなど、混合型にする方法もあります。
Q. 契約書に自動更新条項を入れておけば安心ですか?
事務手続きは減りますが、それだけで関係は維持できません。自動更新に頼っていると、相手が惰性で続けていると感じた時点で一気に切られます。あわせて解約予告期間を定め、更新時期の前に次の期の計画を提示する運びを作ってください。予算が決まる時期を初回のヒアリングで確認しておくことが前提になります。
Q. 契約範囲外の依頼をされたとき、断らずに整理する方法はありますか?
その場で受けるとも断るとも言わず、まず依頼の中身と期限を確認します。そのうえで現在の契約範囲に含まれるかを一緒に確認し、含まれなければ別途見積もりを出す、含まれるならどの業務の時間を削るかを相談します。範囲が変わったら覚書を1枚交わし、変更内容と適用開始日を書面で残してください。
Q. 成果が出なかった月の報告はどう書けばよいですか?
外部要因だけを並べるのは避けてください。試したこと、効かなかった事実、そこから読み取ったこと、次に変える点の順で書きます。悪い数字を自分から先に報告する人は信用されますが、小さく見せようとした痕跡が一度でも見つかると、それ以降の報告すべてが疑われます。事実、解釈、提案の3層で書く型を守るのが確実です。
Q. 打ち合わせで決めたことを記録に残すには何が確実ですか?
打ち合わせ当日中に、決まったこと、決まらなかったこと、次に誰が何をするかを箇条書きにしてメールで送るのが確実です。「認識に相違があればご指摘ください」と添えておけば、返信がなくても合意の記録として機能します。チャット履歴も証拠にはなりますが、検索性と保存性を考えると節目の合意はメールに残してください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
長谷川 奈津@SOHO編集部
行政書士・元企業法務
企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。
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