フリーランスの賃貸の審査|通りやすくする準備


この記事のポイント
- ✓フリーランスが引っ越しで賃貸の入居審査に通るための準備をまとめました
- ✓確定申告書の控えや納税証明書など収入を示す書類のそろえ方
- ✓独立前後の引っ越しのタイミング
フリーランスでも賃貸の入居審査は通ります。ただし、会社員のように勤務先と年収だけで判断してもらえないため、収入を示す書類を自分でそろえ、家賃を収入に見合った額に抑え、保証会社の審査に備えておくことが欠かせません。準備の中心は、直近の確定申告書の控え、納税証明書や住民税の課税証明書、通帳の写しの3つです。この記事では、引っ越しの審査で何が見られるのか、どの書類をどう用意するか、家賃の決め方、保証会社と連帯保証人の扱い、独立の前後でいつ引っ越すべきか、審査に落ちたときの次の手までを、国税庁や国土交通省の公式の記載に沿って順に説明します。
フリーランスが賃貸の審査を不安に感じる理由
引っ越しを考えたフリーランスの多くが、最初に気にするのが入居審査です。会社員のときには意識しなかった壁がどこにあるのかを、先に整理しておきます。
「収入が不安定」と見られやすい
入居審査で貸主や管理会社が知りたいのは、毎月の家賃を最後まで払い続けられるかどうかです。会社員なら、勤務先と勤続年数、源泉徴収票の年収を見ればおおよその判断がつきます。フリーランスは月ごとの収入に波があり、取引先との契約が続く保証もないため、同じ年収でも慎重に見られがちです。
業界の調査でも、この不安ははっきり出ています。
以下は家賃保証業界の市場調査を行う家賃保証ラボが発表した「フリーランス賃貸入居審査実態調査2024」の調査結果です。フリーランスが賃貸物件の申し込みで感じた主な障壁として、58.8%の人が「不安定な職業とみなされて審査が通りにくい」と回答しました。 出典: freelance.levtech.jp
半数を超える人が同じ壁を感じているということは、裏返せば、準備をしている人とそうでない人で結果に差がつきやすいということです。
収入を自分で証明しなければならない
もう1つの違いは、収入を示す書類を自分で用意する必要がある点です。会社員なら勤務先が発行する源泉徴収票1枚で済みますが、フリーランスには勤務先がありません。確定申告書の控え、納税証明書、住民税の課税証明書など、どの書類をどこで取るかを知らないと、申し込みの段階で手が止まります。
逆に言えば、書類さえ整っていれば、フリーランスであること自体を理由に門前払いされることはそれほど多くありません。審査の中身を知り、先回りして準備することが、通りやすくする一番の近道です。
入居審査で見られる5つの点
審査の基準は物件や管理会社、保証会社によって違いますが、見られる項目はおおむね共通しています。
1つ目は収入と家賃のつり合い
最も重く見られるのが、家賃が収入に見合っているかです。賃貸の業界では、家賃は収入の3分の1から30%までが目安とよく言われます。不動産会社の解説でも次のように書かれています。
賃料は収入の30%まで、というのが入居審査の一つの目安です。 しかし、フリーランス歴が浅い場合や預貯金が多くない場合は、賃料をもう少し抑えた物件に申し込むのも一つの方法です。 出典: best-housing.co.jp
フリーランスの場合、ここで言う「収入」は売上ではなく、経費を引いた後の所得で見られるのが一般的です。売上が多くても経費が大きく所得が少なければ、審査の上では低い収入として扱われます。
2つ目は仕事の続き方
開業してからの年数、取引先の数、継続の契約があるかどうかも見られます。開業して数か月で確定申告を1度もしていない状態より、2年分の申告の実績がある状態のほうが、収入の安定を示しやすくなります。
3つ目は貯金の額
収入に波がある分、手元の貯金が多いと「収入が落ちた月でも家賃を払える」と判断してもらいやすくなります。管理会社によっては、通帳の写しや残高証明書の提出を求めることもあります。
4つ目は支払いの履歴
保証会社の中には、クレジットカードやローンの支払い履歴を記録する信用情報を確認するところがあります。過去に延滞があると、審査で不利になることがあります。自分の信用情報は、指定信用情報機関のCICで本人が開示を申し込めば確かめられます。開示の方法はCICの情報開示の案内に載っています。
5つ目は申込者の人柄と連絡のつきやすさ
意外に見落とされがちなのが、申し込みのときの印象です。内見や申し込みの場で、仕事の内容を分かりやすく説明できるか、問い合わせへの返事が早いかも、管理会社が貸主に報告する材料になります。「何をしている人か分からない」と思われると、それだけで慎重に扱われます。
収入を示す書類のそろえ方
フリーランスの審査で求められやすい書類と、その取り方を順に見ていきます。
確定申告書の控え
最もよく求められるのが、直近の確定申告書の控えです。2年分を求められることもあります。ここで知っておきたいのが、2025年1月からの変更です。国税庁は、税務署で申告書の控えに受付の日付印を押す扱いをやめました。
令和7年1月から、申告書等の控えに収受日付印の押なつを行いません。 出典: 国税庁「令和7年1月からの申告書等の控えへの収受日付印の押なつについて」
以前は、受付印が押された控えが「申告した証拠」として扱われていました。今は控えに印がないため、提出したことを示す方法を別に用意しておくと安心です。国税庁の同じページでは、次のような確認の方法が案内されています。
- e-Taxで申告した場合は、メッセージボックスに届く受信通知で、氏名・受付番号・受付日時を確かめられる
- 書面で出した場合も、マイナンバーカードがあれば申告書等情報取得サービスで、提出した申告書のPDFを無料で取得できる(直近の年分は原則として翌年5月1日以降)
- 窓口で希望すれば、受付の日付と税務署名を書いたリーフレットを当分の間もらえる
e-Taxで申告しているなら、申告書の控えのPDFと受信通知を一緒に出すのが分かりやすい形です。
納税証明書(その2)
確定申告書の控えより公的な裏付けとして求められるのが、税務署が発行する納税証明書です。納税証明書にはその1からその4までの種類があり、所得の額を示すのは「その2」です。国税庁の案内では、その2は「所得金額の証明」とされています。
手数料は、オンラインで請求すると1税目1年度1枚あたり370円、書面で請求すると400円です。請求の方法は国税庁の納税証明書の交付請求手続で確かめられます。e-Taxから請求すれば、窓口に行かずに郵送や電子ファイルで受け取れます。
住民税の課税証明書
住民税の課税証明書(市区町村によっては所得証明書とも呼ばれます)は、前の年の所得と住民税の額を示す書類です。住んでいる市区町村で発行され、マイナンバーカードがあればコンビニで取れる自治体も多くあります。確定申告をしていれば、その内容が住民税に反映されて証明書に載ります。発行の時期や手数料は自治体ごとに違うので、住んでいる市区町村の案内で確かめます。
通帳の写しと、仕事の続き方を示す書類
貯金や入金の流れを示すために、通帳の写しを求められることがあります。報酬の入金が毎月続いていることが見えると、収入の安定を伝える材料になります。また、取引先との業務委託契約書や、継続の発注が分かる書類があれば、開業して日が浅い人でも仕事の見通しを示せます。契約書には守秘の決まりがあることも多いので、出す前に金額以外を伏せてよいかを確かめます。
家賃の決め方と物件の選び方
書類がそろっても、家賃が高すぎれば審査は通りにくくなります。申し込む物件を選ぶ段階で、審査の通りやすさは半分決まります。
所得から逆算して家賃の上限を決める
家賃の目安は、確定申告の所得の額を12で割った額の30%前後です。たとえば所得が年360万円なら、1か月あたり30万円の30%で、家賃の上限は9万円ほどが目安になります。管理費や共益費を含めた額で考えるのが安全です。
開業して間もない人や、収入の波が大きい人は、この目安より少し下を狙うと通りやすくなります。駅から少し離れた物件や、築年数が古くても内装を新しくした物件は、同じ広さでも家賃が下がることが多く、狙い目になります。
節税と審査は両立しにくい
確定申告で経費を多く計上すると、所得が減って税金は安くなりますが、審査の上では収入が低く見えます。引っ越しの予定がある年は、この点を頭に入れておくことが大切です。もちろん、審査のために実際にかかった経費を計上しないのは本末転倒で、正しく申告することが前提です。
青色申告の特別控除は、帳簿を付けるだけで所得を減らせる仕組みなので、控除の前と後のどちらの額で見られるかは保証会社によって違います。申告書の控えを出すときは、売上、経費、所得の関係を口頭で説明できるようにしておくと、担当者に伝わりやすくなります。
審査に柔軟な物件の探し方
不動産会社に問い合わせるとき、最初に「フリーランスで、確定申告書と納税証明書を用意できる」と伝えると、審査に柔軟な貸主や保証会社の物件を紹介してもらいやすくなります。個人で物件を持つ貸主より、大手の管理会社が扱う物件のほうが審査の基準がはっきりしていて、書類で判断してもらいやすいこともあります。
自宅で仕事をする人が物件で確かめること
在宅で仕事をするフリーランスにとって、新しい部屋は住まいであると同時に仕事場でもあります。審査に通ることだけを考えて物件を選ぶと、住み始めてから仕事に差し支えることがあります。
事務所としての利用が認められているか
賃貸の契約書には、使い方の決まりが書かれています。多くの住宅用の物件は「住居としての使用」に限っていて、看板を出す、来客を受ける、商品の在庫を大量に保管する、といった使い方は認めていないことがあります。パソコンで作業するだけの在宅の仕事なら問題にならないことがほとんどですが、打ち合わせで人を呼ぶ、教室を開く、ネットショップの発送拠点にするといった予定があるなら、申し込みの前に不動産会社へ伝えて確かめます。「SOHO可」「事務所利用可」と書かれた物件なら、こうした使い方を相談しやすくなります。
開業届や名刺、請求書に新しい住所を事業所として書く予定がある場合も、念のため事務所としての表示に問題がないかを聞いておくと、後で行き違いが起きません。
回線と作業の環境
オンラインの打ち合わせが多い仕事では、インターネットの回線が死活問題になります。物件に光回線の設備が来ているか、建物全体で共有する回線か、自分で個別に引けるかを確かめます。共有の回線は、夜の時間帯に速度が落ちることがあります。あわせて、作業机を据える場所の広さ、コンセントの数と位置、日当たり、隣の部屋や道路からの音も、内見のときに見ておきます。
仕事の音や時間帯
動画の撮影や音声の収録、深夜の作業がある人は、壁の厚さや上下の部屋との関係も大切です。鉄筋コンクリートの建物のほうが音は伝わりにくい傾向がありますが、建物ごとに違うので、内見の際に実際に声を出して確かめるのが確実です。
引っ越しの費用と、家賃を経費にするときの考え方
審査に通っても、初期の費用が払えなければ引っ越しは進みません。お金の準備も先に考えておきます。
初期の費用は余裕をもって見積もる
賃貸の初期の費用には、敷金、礼金、仲介手数料、前家賃、保証会社の初回保証料、火災保険料、鍵の交換費用などがあり、合計で家賃の数か月分になるのが一般的です。物件ごとに項目と金額が違うので、申し込みの前に見積もりを出してもらいます。引っ越し業者の費用や、家具と家電の買い替えも加わるため、フリーランスの場合は、引っ越した後も数か月の生活費が手元に残る計画にしておくと安心です。仕事の入金が遅れた月にも慌てずに済みます。
自宅を仕事場にするなら家賃の一部が経費になることがある
自宅で仕事をしている場合、家賃の一部を事業の経費にできることがあります。国税庁は、店舗と住まいを兼ねた家の家賃や水道光熱費のように、仕事と生活の両方にかかわる費用を「家事関連費」と呼び、その扱いを次のように説明しています。
この家事関連費のうち必要経費になるのは、取引の記録などに基づいて、業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合のその区分できる金額に限られます。 出典: 国税庁 No.2210 必要経費の算入時期と注意事項
一般には、仕事に使っている部屋の広さや使う時間の割合で分ける方法が取られています。ただ、どの割合が認められるかは使い方によって変わるので、迷うときは税務署や税理士に確認します。また、家賃の一部を経費にすると所得が下がり、次の引っ越しの審査では収入が低く見える点も覚えておきます。審査に関係するのは、経費を引いた後の所得です。
保証会社と連帯保証人
今の賃貸契約では、保証会社の利用が条件になっている物件が多くあります。保証会社の仕組みも押さえておきます。
保証会社とは
保証会社(家賃債務保証業者)とは、借りる人が家賃を払えなくなったときに、代わりに貸主へ払う会社のことです。借りる人は、初回の保証料と毎年の更新料を払って利用します。入居審査は、管理会社と保証会社の両方で行われることが多く、フリーランスの場合は保証会社の審査が実質的な関門になります。
国土交通省には、一定の要件を満たす保証会社を登録する制度があり、国土交通省の登録家賃債務保証業者一覧では、2026年9月30日時点で125者が公表されています。登録は任意の制度ですが、物件で指定された保証会社がどんな会社かを確かめるときの手がかりになります。
保証会社ごとに審査の基準が違う
保証会社には、信用情報を確認するところと、家賃の支払い履歴などの独自のデータで判断するところがあります。ある保証会社で落ちても、別の保証会社なら通ることがあるのはこのためです。物件によっては複数の保証会社から選べるので、不動産会社に「ほかの保証会社で審査を受けられるか」を聞いてみる価値があります。
連帯保証人を立てるときの注意
保証会社に加えて、連帯保証人を求められることもあります。親や兄弟に頼む場合は、相手にも収入の書類を出してもらう必要があります。2020年4月の民法の改正で、個人が賃貸の連帯保証人になる契約では、保証する金額の上限(極度額)を決めておかないと、保証の契約が効力を持たなくなりました。
一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約(以下「根保証契約」という。)であって保証人が法人でないもの(以下「個人根保証契約」という。)の保証人は、(中略)その全部に係る極度額を限度として、その履行をする責任を負う。 出典: e-Gov法令検索(民法 第465条の2)
頼む相手には、契約書に書かれた極度額を見せ、どこまで責任を負うのかを説明してから引き受けてもらうのが誠実なやり方です。
引っ越しのタイミングと独立の前後
フリーランスの引っ越しで一番効くのは、いつ申し込むかです。
独立する前、会社員のうちに引っ越す
独立を決めているなら、会社員のうちに引っ越しを済ませるのが最も確実です。勤務先と年収で審査を受けられるので、フリーランスとして審査を受けるより通りやすくなります。退職の予定がある場合でも、申し込みの時点で在籍していれば、勤務先の情報で審査が進むのが一般的です。ただし、申込書に事実と違う内容を書くのは避けます。退職の予定を聞かれたら正直に答えます。
新卒で独立する人のように、会社員の時期がない場合は、親族を連帯保証人に立てる、家賃を抑える、貯金の額を示すといった方法で補います。新卒で独立する場合の考え方は新卒フリーランスは無謀?|メリット・デメリットと成功する人の特徴【2026年版】で詳しく取り上げています。
独立した後は、確定申告を1回終えてから
独立した後に引っ越すなら、少なくとも1回は確定申告を終えてからにすると、審査で出せる書類がそろいます。開業した年の途中では、確定申告書も納税証明書もまだないため、通帳の入金履歴や契約書でしか収入を示せません。確定申告は翌年の3月15日が期限なので、2月中に早めに申告を済ませておくと、春の引っ越しの時期に書類が間に合います。
定年後に独立する人
定年退職の後に独立する人は、年金の受給と事業の所得、退職金などの貯金を合わせて審査を受けることになります。貯金の額が大きければ、それ自体が支払い能力の裏付けになります。退職金の使い方も含めた考え方は定年後のフリーランス独立|退職金を活かした起業プランと注意点で整理しています。
申し込みから契約までの流れ
実際の申し込みでは、次の順に進めると手戻りが少なくなります。
申し込みの前にそろえておくもの
物件を探し始める前に、次の書類を手元に用意しておきます。
- 直近1年から2年分の確定申告書の控え(e-Taxなら受信通知も)
- 納税証明書(その2)
- 住民税の課税証明書
- 通帳の写し(直近数か月分の入金が分かるもの)
- 本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカード)
- 仕事の内容が分かるもの(ポートフォリオのURL、業務委託契約書など)
気に入った物件は申し込みが早い人から埋まることが多いので、書類が先にそろっていると、内見した日にそのまま申し込めます。
最近は、申し込みも書類の提出もオンラインで済ませる管理会社が増えています。書類はスキャンしたPDFやスマートフォンで撮った写真を、1つのフォルダにまとめて保存しておくと、求められたときにすぐ送れます。マイナンバーが書かれている書類は、その部分を隠してから送るのが基本です。通帳の写しも、取引先の名前や入金の額が分かれば十分で、生活の支払いの細かい内容まで見せる必要はありません。
申込書の職業欄の書き方
申込書の職業欄には、「自営業」とだけ書くより、「個人事業主(Webデザイン)」「フリーランスのシステムエンジニア」のように、仕事の中身が分かる書き方にします。勤務先の欄には屋号があれば屋号を、なければ「自営」と書き、事業の所在地と電話番号を入れます。年収の欄には、確定申告の所得の額を書くのが基本です。売上の額を書くと、提出した書類と数字が食い違って確認の手間が増えます。
仕事の内容を説明するときの例
不動産会社や保証会社から「どんなお仕事ですか」と聞かれたときに、短く具体的に答えられるようにしておくと、担当者が貸主に伝えやすくなります。次のように、仕事の中身、取引先の様子、続いている期間の3つを入れて話すのが基本です。
- 「企業のWebサイトのデザインと制作を、業務委託で請け負っています。継続の取引先が3社あり、独立して3年目です。」
- 「システム開発の会社から委託を受けて、アプリの開発をしています。半年ごとの更新の契約で、今の取引先とは2年続いています。」
- 「翻訳の仕事を、翻訳会社と直接の取引先の両方から受けています。毎年確定申告をしていて、納税証明書も用意できます。」
金額を細かく話す必要はありませんが、提出する書類の内容と食い違わないようにします。保証会社からの電話でも同じことを聞かれることがあるので、答え方をそろえておくと安心です。
審査にかかる期間
審査は、早ければ数日、保証会社の確認が重なると1週間ほどかかることがあります。その間に、保証会社から本人や連帯保証人へ確認の電話が入ることがあります。知らない番号からの着信に出られるようにしておき、出られなかったときはすぐ折り返します。
契約の前に確かめておく条項
審査に通ると、すぐに契約の手続きに進みます。ここで契約書の中身を読まずに署名すると、退去のときや更新のときに思わぬ出費が出ることがあります。フリーランスは会社の住宅手当や社内の相談先がない分、自分で確かめておくことが大切です。
重要事項説明で聞いておくこと
契約の前には、不動産会社の宅地建物取引士から重要事項説明を受けます。重要事項説明とは、物件と契約の大事な点を、契約の前に書面で説明してもらう手続きのことです。オンラインで受けられる会社もあり、在宅で仕事をしている人には便利です。説明の中で、次の点は必ず確かめます。
- 契約の期間と、更新のときにかかる更新料と保証会社の更新料
- 解約するときに何か月前までに知らせる必要があるか
- 短期間で解約したときの違約金の有無
- 事務所としての使い方や、来客についての決まり
- 退去のときの原状回復の費用の負担の考え方
原状回復の考え方を知っておく
退去のときに部屋を元に戻す費用は、トラブルになりやすい点です。国土交通省は、借りる人と貸す人のどちらがどこまで負担するかの一般的な考え方を「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」として公表しています。普通に暮らしていて生じた傷みや、年数がたって古くなった分は、借りる人の負担にならないという考え方が示されています。在宅で仕事をすると、机と椅子で床に跡がつきやすいので、マットを敷くなどの備えをしておくと安心です。ガイドラインの内容は国土交通省の原状回復をめぐるトラブルとガイドラインのページで確かめられます。契約書にガイドラインと違う特約がある場合は、署名の前にその意味を説明してもらいます。
引っ越した後の手続き
無事に引っ越しが済んだら、フリーランスならではの手続きもあります。会社員のときは勤務先がしてくれたことを、自分で進める必要があります。
住民票と、税務署への届け出
別の市区町村に引っ越したら、住民基本台帳法で、転入した日から14日以内に転入届を出すことが決められています。マイナンバーカードの住所の変更も同じ窓口で行います。
税務署への届け出は、2023年から簡単になりました。国税庁のタックスアンサーでは、個人事業者の納税地が変わった場合について「確定申告書に、異動または変更後の納税地を記載することで変更されます」と説明しています。年の途中から税務署の書類を新しい住所に送ってほしいときは、「所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する申出書」を新しい住所の税務署に出せます。詳しくは国税庁 No.2091 個人事業者の納税地等に異動があった場合の届出関係で確かめられます。
事務所の移転を届け出る場合
自宅とは別に事務所を借りていて、その事務所を移す場合は、個人事業の開業・廃業等届出書で事務所の移転を届け出ます。提出の期限は、移転した年分の確定申告の期限までです。人を雇って給与を払っている人は、給与を払う事務所の移転の届出が移転の日から1か月以内に必要になります。
取引先と各種の登録の住所を直す
請求書のひな型、名刺、契約書の住所、取引先に登録している住所も忘れずに直します。インボイスの登録をしていて、公表サイトに事務所の所在地を載せている人は、その変更も必要です。振替納税を使っている人は、税務署が変わっても特段の手続きなく続けて使えると国税庁は案内しています。住民税は、その年の1月1日に住んでいた市区町村に納めるので、年の途中で引っ越しても、その年の住民税の納め先はすぐには変わりません。
審査に落ちたときの次の手
準備をしても審査に落ちることはあります。そのときは、同じ条件で申し込みを繰り返すのではなく、原因を考えて条件を変えます。
家賃と保証会社を変える
まず見直したいのは家賃です。目安を超えていたなら、一段下の家賃の物件に切り替えます。次に、保証会社を変えられる物件や、別の保証会社と提携している不動産会社を探します。保証会社の審査の基準が違えば、結果が変わることがあります。
前家賃や貯金を示す
家賃を数か月分前払いする、貯金の残高証明書を出すといった方法で、支払い能力を示せることがあります。受け入れるかどうかは貸主次第ですが、不動産会社に「審査を通すために何を出せばよいか」と率直に聞くと、具体的な条件を教えてもらえることがあります。
名義を借りる方法は避ける
家族に契約者になってもらい、自分が住む方法を勧める情報もありますが、実際に住む人を偽る契約は、契約違反として解約を求められるおそれがあります。家族の名義で借りるなら、自分が入居者であることを申込書に正しく書き、貸主の了承を得たうえで進めます。法人を作っている人なら、法人の名義で借りて社宅とする方法もありますが、税務の扱いが変わるので、税理士や税務署に確認してから進めます。
審査に強いフリーランスの共通点
在宅ワークとフリーランスの仲介を2004年から続けてきた運営者として見てきた範囲では、引っ越しの審査で苦労しにくいのは、収入の額が大きい人というより、収入の流れが途切れていない人です。継続の取引先が複数あり、毎月の入金が通帳で確認でき、確定申告を毎年期限内に済ませている人は、書類を並べるだけで安定が伝わります。
中間の手数料がかからない直接の取引では、発注者は予算をそのまま仕事に回せ、受ける側は手取りが厚くなります。同じ仕事量でも手取りの所得が増えれば、家賃との比率で見た審査の数字は確実に良くなります。長く続く人ほど、単発の仕事を追うより、継続して任せてもらえる関係づくりに時間を使っています。
仕事の分野によっても、継続の取引を結びやすい分野があります。企業の業務改善や生成AIの導入を支援する仕事は、導入後の運用まで任されることが多く、AIコンサル・業務活用支援のお仕事で紹介しているように、月ごとの契約に移りやすい分野です。アプリやシステムの開発も、公開後の保守や改修で取引が続きやすく、仕事の中身はアプリケーション開発のお仕事で確かめられます。ネットワークの構築や保守を受ける人なら、CCNA(シスコ技術者認定)のような資格が、取引先に技術を示す材料になります。
引っ越しの家賃を決める前に、自分の職種の相場を知っておくと、無理のない計画を立てやすくなります。デザインの仕事ならデザイナーの年収・単価相場で、経験の年数や仕事の種類ごとの目安を確かめられます。収入の見通しと家賃のつり合いを先に決めておくことが、審査に通るだけでなく、引っ越した後の暮らしを安定させる一番の準備です。
よくある質問
Q. 開業して1年目でも賃貸の審査に通りますか?
通ることはありますが、確定申告書や納税証明書がまだない分、収入を示す材料が限られます。業務委託契約書や通帳の入金履歴、貯金の残高を出し、家賃を収入より低めに抑えると通りやすくなります。会社員のうちに引っ越せるなら、そのほうが確実です。
Q. 審査では売上と所得のどちらを見られますか?
一般には、経費を引いた後の所得で見られます。売上が多くても経費が大きいと、審査の上では低い収入として扱われます。申込書の年収の欄には確定申告書の所得の額を書き、提出する書類と数字をそろえておくと、確認がスムーズに進みます。
Q. 確定申告書の控えに受付印がないと使えませんか?
2025年1月から、税務署は申告書の控えに受付印を押していません。e-Taxで申告した場合は受信通知を一緒に出すか、税務署で納税証明書(その2)を取って所得を示します。書面で出した人も、マイナンバーカードがあれば申告書のPDFを取得できます。
Q. 審査に落ちたら、すぐ別の物件に申し込んでもよいですか?
申し込むこと自体はできますが、同じ家賃帯、同じ保証会社では結果が変わりにくくなります。家賃を一段下げる、別の保証会社を使える物件を探す、前家賃や貯金の残高証明書を出せるか聞くなど、条件を変えてから申し込むほうが通る見込みが高まります。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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