基本情報技術者の勤務先に知られずにできるか

朝比奈 蒼
朝比奈 蒼
基本情報技術者の勤務先に知られずにできるか

この記事のポイント

  • ✓基本情報技術者の資格を活かして副業を始めるとき
  • ✓勤務先に知られる経路は限られています
  • ✓住民税と社会保険から伝わる仕組み

結論から書きます。勤務先に絶対に知られない方法は存在しません。ただし、伝わる経路は数えるほどしかなく、そのほとんどは手続きの仕組みで説明できます。そして、ここが重要なのですが、多くの人が心配している経路と、実際に伝わる経路はずれています。基本情報技術者の資格を持っていると、記事の執筆、監修、教える仕事、小規模な開発など、在宅で完結する仕事が選べます。この記事では、就業規則の確認から始めて、住民税と社会保険という2つの主要な経路の仕組み、そしてよくある誤解を整理します。

手続きの話より先に、就業規則を確認する

順番を間違えている人が非常に多い。住民税の納付方法を調べる前に、まず自分の会社の就業規則を読んでください。ここを飛ばすと、他の対策が全部無意味になります。

法律は副業を禁止していない

前提として、労働者が勤務時間外に何をするかは、原則として本人の自由です。副業そのものを一律に禁止する法律はありません。

厚生労働省は副業と兼業に関するガイドラインを公表しており、モデル就業規則も副業を原則として認める方向で改定されています。制度の考え方や公表資料は厚生労働省のサイトで確認できます。世の中の流れとしては、認める方向に動いているというのが実態です。

ただし会社は一定の範囲で制限できる

とはいえ、会社が何も言えないわけではありません。一般に、次のような場合には制限が認められると考えられています。本業に支障が出る場合、競合する会社で働く場合、会社の秘密が漏れるおそれがある場合、会社の信用を傷つける場合です。

つまり、制限の根拠は「副業だから」ではなく「本業に具体的な支障がある」という点にあります。夜通し働いて翌日の業務に影響が出る、あるいは競合他社の仕事を受ける。こうした事情があれば、問題になります。

自分の会社の規定はどう書かれているか

就業規則を読むと、たいてい次のどれかの形になっています。完全に禁止と書いてある、許可制になっている、届出制になっている、あるいは何も書かれていない。

何も書かれていない場合は、原則として自由だと考えられますが、後で揉めないように、人事に確認しておくほうが安全です。許可制や届出制なら、手続きをすれば堂々とできます。この確認を面倒だと感じる人は多いのですが、結果的にはこれが最も負担の少ない道です。

公務員は扱いが違う

公務員の場合は、民間とは別の制限があります。国家公務員については国家公務員法の第103条と第104条に、地方公務員については地方公務員法の第38条に、営利企業への従事等の制限が定められています。

したがって、公務員の方が副業を検討する場合は、勤務先の規定と任命権者の許可の要否を先に確認する必要があります。民間向けの情報をそのまま当てはめることはできません。

勤務先に伝わる経路は、実際には4つしかない

心配の大半は、経路を正確に知らないことから来ています。整理すると、次の4つです。

経路1: 住民税

最もよく知られている経路です。住民税は前年の所得に基づいて計算され、給与から天引きされる形が原則です。副業の所得が加わると、その税額が本業の給与に対して不釣り合いに大きくなり、経理担当者が気づくことがあります。

副業をはじめる際は、会社にバレる仕組みやリスクなどを理解しておきましょう。会社に黙って副業を始めても、絶対にバレないとは限りません。たとえば、人づて・SNSなどの情報から、副業が会社にバレることがあります。また、住民税の支払い通知も、会社に副業がバレる一因です。以下では、ケース別に解説します。 出典: seraku.co.jp

この引用が指摘している通り、住民税は代表的な経路のひとつです。ただし、後で説明するように、副業の所得の種類によって扱いが変わります。

経路2: 社会保険

こちらは条件が限定されます。副業が雇用契約で、その勤務先で社会保険の加入要件を満たした場合に発生する経路です。

社会保険料の経路でバレるのは、副業が「雇用契約」で、副業先で社会保険加入要件を満たした場合に限られます。具体的には、副業先での週20時間以上・月8.8万円以上の労働等の要件を満たすと、副業先で社会保険に加入する義務が発生し、その通知が本業に伝わる仕組みです。 出典: syusodo.co.jp

要点は「雇用契約で」という条件です。業務委託で仕事を受ける場合、この経路は原則として発生しません。基本情報技術者の知識で受ける仕事の多くは業務委託の形になるので、この経路を心配する必要がある人はそれほど多くありません。

経路3: 雇用保険

副業先でアルバイトとして雇われる場合、雇用保険の扱いが問題になることがあります。ただし、雇用保険は原則として主たる賃金を受ける事業所で加入する仕組みになっているため、副業側で二重に加入する形にはなりにくいのが実情です。

いずれにせよ、これも雇用契約の場合の話です。業務委託には関係ありません。

経路4: 人づて、SNS、そして本人

実は、最も多いのがこの経路です。同僚に話した、SNSで実績を公開した、自分の名前で記事や講座を出した。こうした形で伝わるケースが、手続き経由よりはるかに多い。

制度の話ばかり調べて、この経路を軽視している人が多いのですが、順番が逆です。手続きは仕組みで説明できますが、人の口は制御できません。

人づてで伝わるときの、具体的なパターン

制度の経路より発生頻度が高いのに、対策が語られないのがこの部分です。実際にどう伝わるのかを具体的に挙げておきます。

発信した内容から特定される

技術系の発信は、内容そのものが身元の手がかりになります。扱っている技術、書いている業務の内容、勤務時間帯からうかがえる生活パターン。匿名で発信していても、同じ業界の人が読めば絞り込めます。

特に危ないのは、勤務先で扱っている技術の話を書くことです。同僚が読めば一発で分かりますし、その内容が社内の情報に触れていれば、副業の可否とは別の問題になります。発信するなら、勤務先と重ならない題材を選ぶのが基本です。

成果物にクレジットが載る

記事の監修者名、講座の講師名、開発したサービスの制作者表記。これらは公開されます。契約前に、名前が出るかどうかを確認してください。

出ない形にできる仕事もあります。ただ、名前が出ないぶん実績として使えないので、単価が上がりにくいという副作用があります。ここは目的に応じた判断になります。

取引先が勤務先とつながっている

業界が同じだと、副業の取引先と勤務先の間に接点があることがあります。担当者同士が知り合いだった、同じ展示会に出ていた、といった形です。

これは自分では見えない経路なので、防ぎきれません。勤務先の顧客リストと重なる企業からの依頼を受けない、という線を自分で引いておくのが現実的な対策です。

同僚に話してしまう

最も多い原因はこれです。信頼している同僚に話し、その同僚が悪意なく別の人に話す。これで広がります。

対策は単純で、話さないことです。ただし、隠し続けるのは精神的な負担になります。この負担を避けたいなら、やはり申請して認められた状態にしておくほうが楽です。

住民税の仕組みを正確に理解する

ここは誤解が多い部分なので、丁寧に見ていきます。

なぜ住民税で気づかれるのか

住民税は、その人の前年の所得の合計に対して計算されます。会社員の場合、市区町村が計算した税額を会社に通知し、会社が毎月の給与から天引きして納める形が基本です。これを特別徴収と呼びます。

このとき会社に届く通知には、その人の住民税の額が書かれています。同じくらいの給与の社員と比べて、明らかに税額が大きい人がいれば、他に所得があると推測できます。これが「住民税でバレる」と言われている仕組みの中身です。

自分で納める方法を選べる場合がある

確定申告をするとき、給与所得以外の所得について、住民税を自分で納付する方法を選べる欄があります。これを普通徴収と呼び、選択すると副業分の住民税の通知が自宅に届き、自分で納めることになります。

ただし、これはどんな場合でも選べるわけではありません。副業の所得が業務委託による事業所得や雑所得であれば選べることが多い一方、副業がアルバイトなどの給与所得である場合は、本業の給与と合算されて特別徴収になるのが原則です。自治体の運用によっても差があるため、確実を期すなら、自分の住んでいる市区町村の窓口に確認するのが最も速い方法です。制度の詳細は国税庁や各自治体の案内で確認できます。

20万円という数字の誤解

「副業の所得が20万円以下なら申告しなくてよい」という話を聞いたことがある人は多いと思います。これは正確ではありません。

正確に言うと、給与を1か所から受けていて年末調整が済んでいる人は、給与以外の所得が20万円以下であれば、所得税の確定申告をしなくてよいという規定です。これは所得税の話であって、住民税の話ではありません。住民税については、この免除の規定がないため、20万円以下でも市区町村への申告が必要になります。

正直なところ、この部分は情報が錯綜していて、誤った説明が広く出回っています。所得税と住民税は別の税だという点を押さえておけば、混乱しません。

社会保険の仕組みと、契約の形の関係

雇用契約と業務委託では扱いが違う

先ほどの引用にあった通り、社会保険の経路が生じるのは、副業が雇用契約で、その勤務先で加入要件を満たした場合です。週の労働時間や月額の賃金といった要件を満たすと、副業先でも被保険者となり、二以上の事業所で勤務している旨の届出を通じて、本業側にも情報が渡ります。

一方、業務委託で仕事を受ける場合、その報酬は給与ではないため、この仕組みには乗りません。制度の詳細は日本年金機構の案内で確認できます。

契約の形は自分で選べるものではない

ここで注意が必要です。「業務委託にすれば知られないから業務委託にしよう」という考え方は、順序が逆です。雇用か業務委託かは、実際の働き方の実態で判断されるものであって、書面のタイトルで決まるものではありません。

指揮命令を受けて決まった時間に働く実態があるなら、契約書に業務委託と書いてあっても雇用と判断される可能性があります。逆に、成果物を納める形で自分の裁量で進めるなら、業務委託になります。基本情報技術者の知識で受ける記事執筆、監修、講師、開発といった仕事は、後者の形になることが多い分野です。

マイナンバーで知られるという誤解

「マイナンバーで副業が会社に伝わる」という話を目にすることがありますが、これは誤りです。

マイナンバーは行政機関が所得や社会保障の情報を管理するために使われるもので、会社が従業員のマイナンバーを使って他社での所得を照会できる仕組みにはなっていません。会社が知り得るのは、自社が支払った給与と、自治体から通知される住民税額です。

制度の説明は総務省などの公的な資料に出ています。不安になったら、こうした一次情報に当たるのが確実です。

ITの仕事で特に問題になりやすい点

住民税や社会保険とは別に、エンジニアが副業をするときに固有の論点があります。ここは金額の話より重要です。

競業に当たらないか

勤務先と同じ領域の仕事を受けると、競業避止の問題になり得ます。就業規則や誓約書に競業避止の条項がある場合、その範囲を確認してください。

同じ業界というだけで直ちに問題になるわけではありませんが、勤務先の顧客と直接取引する形は、明確に避けるべきです。

秘密保持と成果物の権利

勤務先で知った技術情報や顧客情報を副業に持ち込むことはできません。就業規則の問題であると同時に、内容によっては不正競争防止法上の営業秘密の問題にもなります。

また、勤務時間中に会社の設備を使って作ったものは、権利の帰属が問題になります。副業の作業は、自分の時間と自分の機材で行う。この線を守っていれば、多くの問題は避けられます。

実名を出す仕事かどうか

記事の監修や講師の仕事は、名前が公開されることがあります。これは経路4に直結します。

名前を出す仕事を選ぶなら、就業規則を確認して、必要なら申請を済ませておくのが前提になります。名前を出さない形で受けられる仕事もあるので、状況に応じて選んでください。どんな仕事が在宅で流通しているかはキャリア・副業・人生相談のお仕事やAI・マーケティング・セキュリティのお仕事で確認できます。

資格を根拠に業務範囲を主張しない

基本情報技術者試験は情報処理の促進に関する法律に基づく国家試験ですが、この試験の合格者だけが行える業務が定められた、いわゆる業務独占の資格ではありません。資格の位置づけは基本情報技術者試験の解説で確認できます。

副業の案内文などで「この資格があるからこの業務を独占的に行える」と読める書き方をするのは、事実として正確ではありません。業務範囲が法律で定められている資格との違いは、行政書士のような資格の解説と見比べると分かりやすくなります。

副業の内容によって、状況は変わる

同じ副業でも、選ぶ仕事によって勤務先との距離が変わります。ここを意識して選ぶと、後の負担が減ります。

名前が出るかどうか

記事の監修、講師、書籍の執筆は、名前が出る前提の仕事です。実績としては強いのですが、公開されます。

一方、開発の受託、社内向けの資料作成、名前が出ない形の執筆は、公開の度合いが低くなります。始めた直後で就業規則の確認がまだ済んでいないなら、後者から入るという選び方もあります。

時間の拘束があるかどうか

決まった時間に稼働する必要がある仕事は、本業と衝突しやすくなります。オンラインの相談や講義は時間が固定されるので、平日夜や休日に限定できるかを確認してください。

納品物で評価される仕事は、自分の都合で時間を組めます。本業が忙しい時期がある人は、この形のほうが続きます。

勤務先の領域と重なるかどうか

これは競業の観点から重要です。勤務先と同じ業界の同じ顧客層に向けた仕事は、避けるのが安全です。

基本情報技術者の範囲は広いので、勤務先と重ならない領域を選ぶ余地は十分にあります。制作系や教育系など、業務とは別の軸で仕事を選ぶ人も多く、作曲・編曲・効果音・ジングルのお仕事のように、まったく別の分野を組み合わせている例もあります。

隠すより、申請したほうが結果的に得になる理由

ここまで仕組みを見てきましたが、実務的な結論を書きます。許可制や届出制の会社なら、申請したほうが確実に楽です。

隠し続けるコストが高い

隠す前提で動くと、選べる仕事が減ります。名前を出す仕事は受けられない、実績を公開できない、同僚との会話に気を遣う。この制約は、思っている以上に負担になります。

しかも、隠していることが後から分かった場合、副業の内容そのものより「隠していた」という点が問題にされます。これは処分の重さに直結します。

申請すると得られるものがある

申請が通れば、実績を公開でき、名前を出す仕事も受けられます。案件の選択肢が広がるので、単価も上げやすくなります。

会社によっては、社外での活動を評価に含める仕組みを持っているところもあります。申請してみたら普通に認められた、という例は珍しくありません。

申請書に何を書くと通りやすいか

申請が要る会社の場合、書き方で結果が変わります。通りやすい書き方には共通点があります。

ひとつめは、業務内容を具体的に書くことです。「IT関連の副業」ではなく、「資格試験の学習支援に関する記事の執筆」のように、何をするのかが分かる形で書く。曖昧な申請は、判断できないという理由で保留になります。

ふたつめは、稼働時間を明示することです。「土日のみ、月20時間以内」のように上限を書くと、本業への支障がないことが伝わります。会社が最も気にしているのはここです。

みっつめは、競業に当たらないことを自分から書くことです。「勤務先の顧客および競合他社との取引は行いません」と一行入れておく。会社が確認したい点を先回りして潰しておくと、審査が早く終わります。

よっつめは、秘密保持について触れることです。「業務上知り得た情報は一切使用しません」と書く。これも会社の懸念そのものなので、明示する価値があります。

この4点を書いた申請は、内容に問題がなければ通ることが多いという印象です。逆に、内容を曖昧にしたまま出した申請は、追加の質問が来て時間がかかります。

断られた場合にどうするか

もし禁止と言われた場合、その理由を聞いてください。本業への支障を懸念しているのか、競業を懸念しているのか。理由が分かれば、条件を調整して再度相談できる余地があります。

たとえば、勤務先と競合しない分野に限る、稼働は週末のみにする、といった条件を示すことで、認められるケースがあります。最初から諦める必要はありません。

確定申告と、日々の記録の残し方

申告が必要になる基準

給与を1か所から受けていて年末調整が済んでいる場合、給与以外の所得が20万円を超えると所得税の確定申告が必要になります。先ほど書いた通り、住民税については金額にかかわらず申告が必要です。

申告の手続きはe-Taxを使えば自宅から完結します。税務の個別の判断が必要な場面では、税理士に相談するのが確実です。税に関わる仕事の分野については税理士の副業ガイド|確定申告代行・記帳代行で稼ぐ方法【2026年版】にも整理があります。

開業届を出すかどうか

事業として継続する見込みがあるなら、開業届の提出を検討することになります。青色申告の承認を受けると控除の面で有利になりますが、帳簿の要件が厳しくなります。

開業届を出すこと自体が勤務先に伝わる仕組みはありません。税務署への届出であり、会社に通知されるものではないからです。ただし、届出をしたかどうかにかかわらず、所得の申告義務は変わりません。

記録は最初から残す

収入と経費の記録は、最初の1件から残してください。後からまとめて作ろうとすると、必ず抜けます。

記録すべきは、日付、取引先、内容、金額、入金日です。経費については、その支出が仕事に必要だったことを説明できる形で保存しておきます。会計の実務については会計士の副業ガイド|監査法人勤務でもできる高収入の稼ぎ方【2026年版】も参考になります。

経費として計上できるものと、その線引き

副業の所得は、収入から必要経費を引いた額で計算されます。何を経費にできるかは、その支出が仕事に必要だったと説明できるかどうかで決まります。

在宅で仕事をする場合に問題になりやすいのが、自宅の家賃や通信費です。生活と仕事の両方に使っているものは、使用実態に応じた割合で按分する形になります。仕事に使っている面積や時間の割合を、自分で説明できる根拠とともに記録しておいてください。

按分の割合に絶対の正解はありませんが、根拠なく大きな割合を計上すると、後で説明を求められます。迷う部分については、税理士に確認するのが確実です。

屋号や商標を考える段階の注意

活動が広がってくると、屋号やサービス名を付けたくなります。この段階で、既存の商標と衝突していないかを確認しておくと、後の手戻りを防げます。手続きと費用の目安は商標登録の代行費用相場|弁理士に依頼するメリットと自分で行う手間を比較にまとまっています。

フリーランスとして受ける側の保護も知っておく

業務委託で仕事を受ける場合、取引の条件について発注側に義務が課される場面があります。取引条件を書面などで明示すること、報酬の支払期日に関する定めなどが、法令で整理されています。

副業として少額の仕事を受けるときほど、条件が口頭のまま進みがちです。何をいつまでに納め、いくらがいつ支払われるのか。この3点が文字になっていない取引は、後で揉めます。制度の詳細は公正取引委員会の案内で確認できます。

勤務先に知られるかどうかを心配する前に、取引そのものを安全な形にしておく。順番としては、こちらのほうが先です。

自分の時間の値段を把握しておく

副業の収支を判断するには、自分の時間の値段を知っておく必要があります。ソフトウェア作成者の年収・単価相場と著述家,記者,編集者の年収・単価相場を並べて見ると、職種ごとの時間あたりの水準の差が分かります。

税や社会保険の手間を含めて考えると、単価の低い仕事を大量に受ける形は割に合いません。数を減らして単価を上げるほうが、手続きの負担も軽くなります。

運営者として見てきた、副業と勤務先の関係

在宅ワークの市場を20年見てきた立場から、この論点について観察してきたことを書きます。

まず、実際に問題になった例のほとんどは、税や社会保険の手続きが原因ではありませんでした。同僚に話した、実名で発信した、勤務先の顧客と接点ができた。この3つが圧倒的に多い。制度の心配ばかりして、この部分を無防備にしている人が非常に多いというのが、運営者として見てきた実感です。

次に、隠しながら続けている人と、申請して続けている人の差です。長く続いているのは、圧倒的に後者です。理由は単純で、隠している人は仕事の選び方に制約がかかり、単価が上がらないからです。実績を見せられない人は、次の依頼を取る材料を持てません。この差は、年単位で見ると非常に大きくなります。

そして、手取りの構造の話です。同じ5万円の報酬でも、仲介が入る形と直接取引では、手元に残る額が違います。依頼する側から見ても、手数料が乗らない分だけ同じ予算で多く頼めるので、双方が得をする構造になります。手数料0%で直接つながる形を早い段階で使っている人ほど、少ない件数で必要な収入に届いています。件数が少なければ、確定申告の手間も、勤務先との調整の必要も小さくなります。

最後にひとつ。副業を始めるかどうかで迷っている段階の人に伝えたいのは、最初にやるべきは情報収集ではなく、就業規則を開くことだという点です。ここが分からないまま制度を調べても、判断できません。読んで分からなければ人事に聞く。この1歩を踏むだけで、その後の選択肢が大きく変わります。

よくある質問

Q. 副業の所得が20万円以下なら、何も申告しなくてよいのですか?

違います。給与を1か所から受けて年末調整が済んでいる人は、給与以外の所得が20万円以下なら所得税の確定申告が不要という規定はありますが、住民税にはこの規定がありません。金額にかかわらず市区町村への申告が必要です。所得税と住民税は別の税だと理解してください。

Q. 住民税を自分で納付する方法は、必ず選べますか?

選べない場合があります。副業の所得が業務委託による事業所得や雑所得であれば選べることが多い一方、アルバイトなどの給与所得は本業と合算されて天引きになるのが原則です。自治体の運用にも差があるため、住んでいる市区町村の窓口で確認するのが確実です。

Q. 業務委託で仕事を受ければ、社会保険から勤務先に伝わりませんか?

社会保険の経路が生じるのは、副業が雇用契約で加入要件を満たした場合です。業務委託の報酬は給与ではないため、原則としてこの経路は発生しません。ただし、雇用か業務委託かは実際の働き方の実態で判断されるもので、契約書のタイトルで決まるものではありません。

Q. 就業規則で副業が禁止されていたら、諦めるしかありませんか?

まず禁止の理由を確認してください。本業への支障、競業、秘密漏洩といった懸念が根拠であることが多いため、競合しない分野に限る、稼働は週末のみにするといった条件を示して再度相談できる余地があります。公務員の場合は法律上の制限があるため、扱いが異なります。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年5月18日最終更新:2026年8月30日
朝比奈 蒼

この記事を書いた人

朝比奈 蒼@SOHO編集部

ITメディア編集者

IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。

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