会社の公告とは|官報と電子公告と新聞の違い


この記事のポイント
- ✓法律が「外に知らせなさい」と定めた手続きです
- ✓官報・日刊新聞紙・電子公告の3つの違い
- ✓選び忘れたときに何が起きるか
会社を作るときの書類を書き進めていくと、定款の終わりのほうに「公告方法」という欄が出てきます。ここで手が止まる人はとても多いです。官報、日刊新聞紙、電子公告。3つ並んでいるけれど、違いが分からない。そもそも公告とは何をすることなのかも分からない。結論から言うと、小さな会社が最初に押さえるべき点は3つだけです。公告は法律が求める「外への知らせ方」であること、定款に何も書かなければ自動的に官報になること、そして選び方によって年間の負担が大きく変わることです。
この記事では、会社の公告について、3つの方法の違い、実際にかかる金額、決算公告という別枠の扱い、そしてあとから変えるときの手順までを順番に整理します。専門用語はその場で普通の言葉に置き換えながら進めます。
会社の公告は「法律が求める知らせ方」のこと
公告とは、会社が決めたことや会社の状態を、広く外の人に知らせる手続きです。ポイントは、これが会社の善意やサービスではなく、法律上の義務だという点にあります。
なぜ義務なのか。会社は自分の都合で大きな決定をします。たとえば他社と合併する、資本金を減らす、解散する。こうした決定は、会社と取引している人や、お金を貸している人の立場を直接揺さぶります。合併で相手の会社の借金を背負うかもしれない。資本金が減れば、会社の財産の厚みが薄くなる。だから法律は、決定を実行に移す前に「これから こうします」と外に向けて知らせ、異議のある人が声を上げる機会を作らせています。
公告が必要になる場面は決まっています。代表的なものは、合併、会社分割、資本金の額の減少、準備金の額の減少、解散、そして毎年の決算公告です。このうち毎年必ずやってくるのが決算公告なので、公告方法を選ぶときは「決算公告を1年に1回出すことになったら、いくらかかって、誰がやるのか」を基準に考えるのが現実的です。
なお、公告と似た言葉に「通知」があります。通知は、相手が分かっている人に個別に知らせることです。公告は、誰が相手か分からない状態で、広く知らせることです。債権者への手続きでは、この2つを両方やる場面もあります。言葉が似ているので、書類を作るときは混同しないよう注意してください。
2025年4月、官報は紙から電子に変わった
公告の話をするうえで、先に押さえておきたい大きな変化があります。官報が電子化されたことです。
官報は明治16年(1883年)に創刊され、以来ずっと紙の印刷物として発行されてきました。それが「官報の発行に関する法律」の施行により、2025年4月1日から電子的に発行される形に変わりました。今の官報は、内閣府の官報発行サイトに掲載されることをもって発行されます。
この変更で、読む側の利便性は上がりました。発行から原則90日間は官報全体を無料で閲覧・ダウンロードできますし、90日を過ぎたあとも、プライバシーへの配慮が必要な一部の記事を除いて閲覧できます。以前は過去の官報を調べるのに手間がかかりましたが、今は官報発行サイトを開けば済みます。
紙の官報がまったく無くなったわけではありません。官報に掲載された情報を記載した書面(官報掲載事項記載書面)の交付は続いています。手数料は定期送付で1か月当たり2,000円、1部単位なら32頁までごとに140円です。ただ、公告を出す側にとっては、掲載そのものがウェブで完結するようになった点のほうが重要です。「官報は紙だから見られない」という前提は、もう通用しません。
公告方法は3つ。定款に書いていなければ自動で官報になる
会社法は、公告の方法を3つ用意しています。会社はこの中から1つを選んで定款に書きます。
会社は、公告方法として、次に掲げる方法のいずれかを定款で定めることができる。 一 官報に掲載する方法 二 時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法 三 電子公告 出典: laws.e-gov.go.jp
そして、ここが見落とされやすいところです。定款にこの定めを置かなかった会社の公告方法は、自動的に官報になります。会社法939条4項がそう決めています。「決めなかった」は「自由になった」ではなく「官報に決まった」という意味です。設立のときに公告方法の欄を空欄のまま出した会社は、自分では意識していなくても官報の会社になっています。
3つの中身を順に見ていきます。
官報に掲載する方法
国が発行する官報に載せる方法です。小さな会社でいちばん多いのがこれです。理由は2つあります。1つは、定款に何も書かなければ自動的にこれになるから。もう1つは、決算公告のときに「要旨」だけで足りるからです。
要旨とは、貸借対照表の全部ではなく、主要な項目をまとめた短い形のことです。会社法440条2項は、公告方法が官報か日刊新聞紙である会社は、貸借対照表の要旨を公告すれば足りると定めています。載せる分量が減るので、後で見る掲載料金も抑えられます。
時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法
いわゆる一般紙や業界紙に載せる方法です。地域に根ざした会社や、取引先が新聞で情報を得る業界では選ばれることがあります。ただし掲載料は新聞社ごとに決められており、官報より高くつくのが通例です。全国紙に出すとなれば、1回の公告で数十万円規模になることもあります。小さな会社が積極的に選ぶ理由は、あまりありません。
電子公告
自社のウェブサイトなどに掲載する方法です。掲載そのものに料金はかかりません。ここだけを見ると、いちばん安い選択肢に見えます。
ただし電子公告には、他の2つには無い条件が付きます。1つは、決められた期間ずっと載せ続けなければならないこと。もう1つは、後で説明する「調査」が必要になる場面があることです。この2つを知らずに電子公告を選ぶと、あとで手間に驚くことになります。
なお、電子公告を選ぶ会社は、事故その他やむを得ない事由で電子公告ができない場合に備えて、予備の公告方法として官報または日刊新聞紙を定めておくことができます(会社法939条3項)。サーバーが落ちた、サイトが使えなくなったという事態への保険です。実務では、この予備を定めておくのが一般的です。
官報の掲載料金は公表されている。行単位と枠単位の2通り
費用の話に入ります。官報の掲載料金は国立印刷局が公表しており、誰でも確認できます。料金の数え方は公告の種類によって2通りあります。
1つは行単位です。合併公告や資本金の額の減少公告などの一般的な法定公告は、1行(22字)あたり3,589円に掲載行数を掛け、そこに税を加えた金額になります。文章が短ければ安く、長ければ高くなる仕組みです。
もう1つは枠単位です。決算公告は枠組公告という形式で掲載され、A4判1ページを24枠(縦横に区切ったもの)として数えます。1枠の大きさは横2.9センチ、縦6.1センチです。料金は1枠37,166円に掲載枠数を掛けて税を加えた金額です。掲載するページを指定したい場合は、1枠49,981円に上がります。
実際の負担がどうなるかを、公表されている掲載例で見てみます。大会社以外の会社が決算公告を出す場合、2枠で81,765円(本体74,332円)という例が示されています。中小企業の決算公告であれば、おおむねこの水準に収まります。大会社になると載せる情報が増えるので、枠数が増えて金額も上がります。
金額の確認や原稿の相談は、各都道府県にある官報サービスセンターや官報公告等取次店が窓口です。国立印刷局の公告申込みページに、申込み方法と手数料の一覧、そして実際の公告記載例を集めたパンフレットが公開されています。原稿の書き方に迷ったら、ここを先に見ると早いです。
決算公告には4つ目の道がある
ここまで3つの方法を見てきましたが、決算公告に限っては、事実上4つ目の選択肢があります。会社法440条3項が用意している「電磁的方法による措置」です。
仕組みはこうです。定時株主総会が終わったあと遅滞なく、貸借対照表の内容である情報を、定時株主総会の終結の日後5年を経過する日までの間、誰でも見られる状態にウェブ上へ置いておく。この措置を取れば、官報や新聞への決算公告は不要になります。
これは公告方法を電子公告に変えることとは別の制度です。定款上の公告方法は官報のままでよく、決算公告だけをウェブ掲載で済ませられます。掲載場所のURLは登記事項になるので、法務局への登記は必要です。
毎年の決算公告に数万円かかることを避けたい会社にとって、この措置は現実的な選択肢です。ただし5年間ずっと公開し続ける必要があります。途中でサイトをリニューアルして過去分が消えた、ドメインを変えて見られなくなった、という事故が起きやすい点には注意してください。
なお、金融商品取引法により有価証券報告書を提出しなければならない会社は、そもそも決算公告の規定が適用されません(会社法440条4項)。上場企業が官報に決算を載せていないのはそのためです。
電子公告を選ぶと「調査」という手間が増える
電子公告には、他の方法には無い独特の手続きがあります。電子公告調査です。
会社法941条は、法律の規定による公告を電子公告でしようとする会社に対して、公告期間中、その情報が誰でも見られる状態に置かれているかどうかについて、法務大臣の登録を受けた調査機関に調査を求めなければならないと定めています。自社のサイトに載せるだけでは足りず、第三者にきちんと載っているかを確かめてもらう必要があるということです。
ここで大事な例外があります。条文は調査の対象から「第440条第1項の規定による公告」、つまり決算公告を除いています。決算公告を電子公告で出す場合には、調査は要りません。逆に言えば、合併公告や資本金の額の減少公告のように債権者の利害に関わる公告を電子公告で出すときは、調査機関への依頼が必要になります。調査の費用は調査機関ごとに定められているので、依頼先に確認してください。
掲載し続ける期間も決まっています。会社法940条1項は公告の種類ごとに期間を定めており、決算公告は定時株主総会の終結の日後5年を経過する日まで、異議を述べられる旨の公告はその期間を経過する日まで、それ以外の公告は公告の開始後1か月を経過する日までとされています。「載せて終わり」ではなく「載せ続けて終わり」である点が、紙の公告との最大の違いです。
電子公告が止まったときは3つの条件で救われる
ウェブサイトは落ちます。サーバーの障害、更新ミス、移転の失敗。載せ続けなければならない期間中にサイトが見られなくなったら、公告そのものが無効になってしまうのか。
会社法940条3項は、この場合の救済を定めています。公告の中断が生じても、次の3つのすべてに当てはまるときは、公告の効力に影響しないとされています。
・公告の中断が生じることについて会社に悪意も重大な過失もないこと、または会社に正当な事由があること ・中断が生じた時間の合計が、公告期間の10分の1を超えないこと ・会社が中断を知った後すみやかに、その旨と中断が生じた時間と中断の内容を、その公告に付して公告したこと
3つ目が見落とされがちです。サイトが復旧しただけでは足りず、「いつからいつまで見られませんでした」という事実を公告に書き足す必要があります。電子公告を選ぶなら、この手順を運用のルールとして決めておくべきです。
公告を怠ると100万円以下の過料
公告をしなかったらどうなるか。会社法976条は、公告をすることを怠ったとき、または不正の公告をしたときには、100万円以下の過料に処すると定めています。
この過料は会社ではなく、取締役などの個人に科されます。会社の経費で払って終わり、という性質のものではありません。
現実には、決算公告を出していない中小企業は珍しくありません。ただ「珍しくない」ことと「問題がない」ことは別です。近年は決算情報が行政機関のデータベースに連携され、経済産業省のgBizINFOで一般に公開される仕組みも動いています。取引先が会社の信用を調べる手段が増えているということです。金融機関や大口の取引先と新しく取引を始めるとき、公告を出しているかどうかが会社の姿勢として見られる場面は、以前より増えています。
公告方法を変えるときの手続きと費用
設立のときに選んだ公告方法は、あとから変えられます。手順は決まっています。
公告方法は定款に書かれている事項なので、変えるには定款を変更します。定款の変更には株主総会の特別決議が必要です。特別決議とは、通常より重い賛成が求められる決議のことです。小さな会社では株主が1人や2人ということも多いので、実務上は議事録を作る作業が中心になります。
決議のあとは法務局への登記です。公告方法は登記事項なので、変更から2週間以内に変更の登記をします(会社法915条)。法務局が公開している申請書の記載例によれば、公告方法の変更の登録免許税は1件につき3万円です。添付書類は株主総会議事録と株主リスト、代理人に委任する場合は委任状が加わります。
電子公告に変える場合は、登記すべき事項の書き方に細かい決まりがあります。ウェブページのURLは全て全角文字で記録します。URLは原則として公告を実際に閲覧できるページのものである必要がありますが、公告が掲載されたページへのリンクが分かりやすく設定された目次ページがあれば、そのURLでも差し支えないとされています。そうした措置が取られていれば、自社ホームページのトップページのURLでも構いません。申請書の様式と記載例は法務局の商業・法人登記のページから無料でダウンロードできます。
つまり、公告方法の変更にかかる直接の費用は3万円です。司法書士に頼めばこれに報酬が加わります。毎年の決算公告に数万円かかっている会社が、決算公告のウェブ掲載措置や電子公告に切り替えるなら、1年から2年で元が取れる計算になります。
合同会社と特例有限会社では扱いが変わる
ここまでは株式会社を前提に書いてきました。会社の形が違うと、公告の負担も変わります。
合同会社の場合、公告方法を定款で定められる点は株式会社と同じです。定めがなければ官報になる点も同じです。ただし、決算公告の義務はありません。会社法440条は株式会社についての条文であり、合同会社には及ばないからです。毎年の決算を公告しなくてよいというのは、合同会社を選ぶ実務上の利点の1つです。
ただし合同会社にも公告が必要な場面はあります。資本金の額の減少、解散、合併、組織変更などです。こうした場面では株式会社と同じく債権者に知らせる手続きが必要になるので、公告方法を決めていないと官報に出すことになります。国立印刷局の案内でも、持分会社(合名会社・合資会社・合同会社)については最終貸借対照表の開示状況の記載は不要とされています。決算の公開義務がない分、記載事項も軽くなっているわけです。
特例有限会社は少し特殊です。2006年の会社法施行前からある有限会社が、そのままの名前で存続している形です。特例有限会社には決算公告の義務がありません。役員の任期の定めもなく、登記の手間も軽いままです。すでに特例有限会社である会社が株式会社に商号変更すると、この軽さは失われます。商号を変える判断をするときは、公告と任期の負担が一気に増える点も計算に入れてください。
実際に公告を出すときの流れ
制度の話が続いたので、実際に官報へ公告を出すときの手順を最後に整理しておきます。
最初にやることは原稿の作成です。公告の文面には、種類ごとに書くべき事項が決まっています。決算公告なら貸借対照表の要旨、資本金の額の減少なら減少する額と効力発生日と異議を述べられる期間、といった具合です。国立印刷局が公開しているパンフレットには、公告の種類ごとの実際の掲載例が並んでいます。自社の場合にどの形が当てはまるかは、まずここで確かめるのが早道です。
次に申込みです。申込先は各都道府県の官報サービスセンターと官報公告等取次店です。原稿を渡すと、掲載行数や枠数から金額を出してもらえます。この段階で金額が確定するので、社内の決裁はここを通してから進めると手戻りがありません。掲載までには一定の日数が必要なので、効力発生日から逆算して余裕を持って動く必要があります。異議を述べる期間を1か月確保しなければならない公告では、掲載日が遅れると全体の日程がずれます。
申込みのとき、公告内容を行政機関のデータベースへ提供することに承諾するかどうかを聞かれます。承諾した決算情報は、経済産業省が運営するgBizINFOで公開されます。取引先から見つけてもらいやすくなる一方で、数字が広く見られる状態にもなります。どちらを取るかは会社の方針次第です。
掲載後は、その官報が発行された事実が残ります。登記の場面で「公告をした」ことを示す添付書類が必要になることもあるので、掲載された官報の記録は手元に保存しておいてください。株券等提出公告のように、登記申請の添付書類として必要になる公告もあります。
どれを選ぶか。判断は「年に何回公告するか」で決まる
選び方の結論を整理します。
年に1回の決算公告しか出さない予定で、事務を増やしたくない会社なら、公告方法は官報のままにして、決算公告だけをウェブ掲載措置で済ませるのが負担が軽いです。定款を触らずに済み、決算公告の掲載料もかかりません。登記は必要ですが、一度やれば終わります。
合併や資本金の減少など、債権者に関わる公告を出す予定がある会社は、官報のままにしておくほうが素直です。電子公告だと調査機関への依頼が発生しますし、公告期間中の掲載を管理する手間もかかります。
自社サイトを常に自分たちで管理していて、載せ続けることに不安がない会社なら、電子公告も選択肢に入ります。ただし「サイトの管理を外部に丸投げしている」「更新を頼むと数日かかる」という状態なら、やめておくほうが安全です。中断が起きたときに、すぐ対応できないからです。
日刊新聞紙は、地域や業界の事情で新聞に載せる意味がある場合に限られます。コストだけで比べると、まず選ばれません。
なお、税務や登記の個別の判断は、会社の株主構成や事業の中身によって変わります。定款の文言をどう書くか迷ったら、法務局の登記相談や司法書士に確認してください。ここで紹介したのは制度の骨組みであって、個別の会社にそのまま当てはまるとは限りません。
つまずきやすい5つの誤解
最後に、会社の公告について相談の多い誤解を並べておきます。どれも実務でよく起きるものです。
1つ目は「自社サイトに載せているから電子公告だ」という誤解です。定款の公告方法が官報のままなら、サイトに載せても法律上の公告にはなりません。逆に、決算公告だけをウェブに載せる会社法440条3項の措置を取る場合は、公告方法を電子公告に変える必要はありませんが、掲載場所のURLを登記する必要があります。どちらにしても、サイトに置いただけでは手続きは完了しません。
2つ目は「決算公告は税務署に出す決算書と同じでいい」という誤解です。税務署に提出する決算書と、公告する貸借対照表の要旨は別物です。要旨は公告用に整えた形で作ります。何を載せるかは法務省令で決まっているので、税理士か官報サービスセンターに原稿を見てもらうのが確実です。
3つ目は「小さい会社は決算公告しなくていい」という誤解です。会社法440条1項は株式会社一般に義務を課しており、規模による例外はありません。出していない会社が多いのは事実ですが、義務がないわけではありません。
4つ目は「電子公告にすれば手間が減る」という誤解です。掲載料はかかりませんが、載せ続ける管理と、公告の種類によっては調査機関への依頼が加わります。年に1回の決算公告しか出さない会社なら、官報に出すほうがむしろ手間は少ないです。
5つ目は「公告方法は登記しなくていい」という誤解です。公告方法は登記事項です。定款を変えただけで登記をしていない状態は、登記懈怠として過料の対象になり得ます。定款の変更と登記はセットで動かしてください。
これらはいずれも、制度の建て付けを知っていれば避けられるものです。会社を作った直後は決めることが多く、公告方法は後回しにされがちですが、放置すると毎年の決算のたびに同じ悩みが戻ってきます。設立から1年目の決算を迎える前に、一度整理しておくのがおすすめです。
会社の外に向けた情報発信という視点から見る公告
公告は法律上の義務ですが、見方を変えると「会社が外に対してどう説明するか」という話でもあります。
20年にわたって在宅ワークと業務委託の市場を運営してきた立場から言えば、小さな会社が信用を得られるかどうかは、規模ではなく、外から確かめられる情報がどれだけあるかで決まります。発注する側は、初めて取引する相手の会社をまず調べます。登記の内容、決算の公開状況、サイトに書かれていること。このうち登記と公告は、会社が意図的に整えられる部分です。
運営者として見てきた限りでは、継続して仕事が集まる事業者ほど、聞かれる前に説明を用意しています。決算を公開している、取引条件を書面にしている、担当者の連絡先が明記されている。1つ1つは地味ですが、積み重なると「この会社は話が早い」という評価になります。公告方法を決めるという作業は、その最初の一歩に当たります。
情報発信の実務を外部に任せる場合も、増えています。会社の説明文や公開資料を整える仕事は、文章を書く力が直接効く領域です。この分野の報酬水準を知りたい方は著述家,記者,編集者の年収・単価相場に、職種ごとの単価がまとまっています。サイトの運用や掲載の仕組みまで含めて相談したい場合は、ソフトウェア作成者の年収・単価相場が技術側の相場の目安になります。
電子公告を選ぶなら、サイトを止めない運用が前提になります。この領域を外部に頼むなら、どういう依頼が出ているかを見ておくと話が早いです。アプリケーション開発のお仕事にはウェブ側の開発や保守の案件が、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事にはサイトの安全面や運用に関わる案件が並んでいます。業務の進め方そのものを見直したい段階なら、AIコンサル・業務活用支援のお仕事の内容が参考になります。
社内で対応する場合は、書類の書式を整える力が効きます。議事録や通知文の基本を押さえたいならビジネス文書検定が扱う範囲がそのまま実務に当たります。サイトの公開を止めない体制を社内で作るなら、ネットワークの基礎を扱うCCNA(シスコ技術者認定)のような資格が、担当者の共通言語になります。
もう1つ、お金の流れについて触れておきます。会社の実務を外部に頼むとき、仲介を挟むと報酬から中間の取り分が引かれます。直接やり取りできる関係を持っていれば、同じ予算で依頼する側はより多くを頼めますし、受ける側の手取りも厚くなります。金額の大小ではなく、同じ仕事でも手元に残る額が変わるという構造の話です。公告や登記のような年に数回の作業こそ、関係を作っておくと毎回の交渉が要らなくなります。
最後に、手を動かす順番を整理しておきます。まず自社の登記事項証明書を取り、公告方法の欄に何と書いてあるかを確かめる。空欄なら官報です。次に、今後1年で公告が必要になる場面があるかを洗い出す。決算公告しか無いなら、ウェブ掲載措置への切り替えを検討する。切り替えるなら、株主総会の議事録を作り、2週間以内に登記する。この4ステップで、公告の設計は終わります。制度は複雑に見えますが、実際にやる作業はそれほど多くありません。
よくある質問
Q. 定款に公告方法を書かなかった会社はどうなりますか?
会社法939条4項により、公告方法は自動的に「官報に掲載する方法」になります。決めなかったから自由という意味ではなく、官報に決まったという意味です。自社がどうなっているかは、登記事項証明書の公告方法の欄を見れば確認できます。空欄でも、法律上は官報の会社として扱われます。
Q. 決算公告を官報に出すといくらかかりますか?
決算公告は枠組公告という形式で、料金は1枠37,166円に掲載枠数を掛けて税を加えた金額です。国立印刷局が公開している記載例では、大会社以外の会社の例で2枠81,765円(本体74,332円)が示されています。掲載する内容の量によって枠数が変わるため、正確な金額は官報サービスセンターに原稿を見せて確認してください。
Q. 電子公告にすれば費用はゼロになりますか?
掲載料はかかりませんが、条件があります。合併や資本金の額の減少など債権者に関わる公告では、法務大臣の登録を受けた調査機関に電子公告調査を依頼する必要があり、その費用が発生します。決算公告だけは調査が不要です。また、決められた期間ずっと掲載し続ける管理の手間も発生します。
Q. 公告方法をあとから変えるにはどうすればいいですか?
公告方法は定款の記載事項なので、株主総会の特別決議で定款を変更し、変更から2週間以内に法務局へ変更の登記をします。法務局の記載例によれば、登録免許税は1件につき3万円です。添付書類は株主総会議事録と株主リストで、代理人に委任する場合は委任状が加わります。申請書の様式は法務局のサイトから無料で入手できます。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
朝比奈 蒼@SOHO編集部
ITメディア編集者
IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。
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