定款変更にかかる日数|登記が終わるまでの目安

朝比奈 蒼
朝比奈 蒼
定款変更にかかる日数|登記が終わるまでの目安

この記事のポイント

  • 決議までと申請までと完了までの3つに分けて数えると読めます
  • 会社法が定める2週間の期限
  • 法務局が公表する登記完了予定日の実データ

定款変更にどれくらいの期間がかかるのか。結論から言うと、定款を変えること自体は株主総会の決議がある日に終わります。時間がかかるのは、その前後です。決議にたどり着くまでの招集手続きと、決議のあとに走る登記の審査。この2つで合計1か月から2か月程度を見ておくのが現実的です。

なぜこんなに幅があるのか。理由は、変更の内容によって登記が必要かどうかが変わること、そして登記が必要な場合に法務局の審査期間が地域と時期で大きく違うことです。東京法務局が公表している登記完了予定日を見ると、本局の商業・法人登記で申請から完了まで1か月を超えている時期があります。「2週間もあれば終わる」という感覚で予定を組むと、確実にずれます。

この記事では、定款変更の期間を3つの区間に分けて数える方法を示します。それぞれの区間で何が期間を決めているのか、短縮できる場面はどこか、逆に自分では動かせない部分はどこか。一次資料の記載に沿って整理していきます。

定款変更の期間は、3つの区間に分けて数える

期間の見積もりが外れる原因のほとんどは、全部をひとまとめに「定款変更の手続き」と呼んでいることにあります。実際には性質のまったく違う3つの区間が並んでいます。

第1区間は、決議までの準備期間です。株主総会を開くには招集の通知を出す必要があり、通知から開催日までに一定の日数を空けなければなりません。ここは会社の機関設計と株主の構成で決まります。最短ゼロ日にできる場合もあれば、2週間かかる場合もあります。

第2区間は、決議から登記申請までの期間です。ここには上限があります。会社法が2週間と定めています。会社の都合で延ばせる期間ではありません。

第3区間は、登記申請から完了までの審査期間です。ここだけは、会社が何をしても短くできません。法務局の処理能力と混雑状況で決まります。そして実は、3つの区間のうち最も長くなるのがここです。

登記が不要な定款変更、たとえば事業年度を変えるだけであれば、第3区間が丸ごと消えます。この場合、手続きは第1区間と議事録の作成だけで完結します。自分の変更がどちらに当たるかで、見積もりの桁が変わるということです。

法務省は変更登記の義務について、次のように説明しています。

会社等の設立に当たって登記した事項に変更が生じたときは、2週間以内に、その本店又は主たる事務所の所在地において 、変更の登記をしなければなりません(会社法第915条第1項、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(以下「一般法人法」といいます。)第303条)。 また、会社法等の規定による登記をすることを怠ったときは、登記の申請を怠った代表者等は裁判所から100万円以下の過料に処される可能性があります(会社法第976条第1号、一般法人法第342条第1号)。 出典: www.moj.go.jp

ここで注意したいのは、この2週間が「申請までの期限」であって「完了までの期限」ではないという点です。2週間以内に法務局の窓口に申請書を出せば義務を果たしたことになります。審査に1か月かかっても、会社が責められることはありません。期限の意味を取り違えると、不要な焦りが生まれます。

登記が要るか要らないかを、最初に仕分ける

期間の見積もりは、この仕分けから始めます。登記が必要なら第3区間が加わり、不要ならそこが丸ごと消えるからです。判断の基準は単純で、変えようとしている項目が登記されているかどうかだけです。

会社法第911条第3項は、株式会社の設立の登記で登記すべき事項を列挙しています。目的、商号、本店および支店の所在場所、存続期間や解散事由の定めがあるときはその定め、資本金の額、発行可能株式総数、発行する株式の内容、単元株式数の定めがあるときはその数、発行済株式の総数、株券発行会社であるときはその旨、などが並びます。定款を変えた結果ここに載っている内容が動くなら、登記が必要です。

代表的な変更を並べると次のようになります。

変える内容 登記 登録免許税
商号 必要 1件3万円
事業目的 必要 1件3万円
本店の所在地 必要 1箇所3万円
発行可能株式総数 必要 1件3万円
公告の方法 必要 1件3万円
事業年度 不要 なし
取締役の員数の定め 不要 なし
定時株主総会の招集時期 不要 なし
株式の譲渡制限の定め 必要 1件3万円

登録免許税の金額は、登録免許税法の別表第一が定める商業登記の区分によります。登記事項の変更、消滅または廃止の登記は、申請1件につき3万円です。複数の項目を同じ申請書でまとめて変更する場合、この区分に入るものどうしであれば1件分の3万円で済みます。商号と目的を同時に変えるなら、合計6万円ではなく3万円です。ここを知らずに別々に申請すると、3万円を余計に払うことになります。

一方、役員の変更は別の区分なので、定款変更と同じ申請書に載せても税額は別に計算します。取締役や代表取締役に関する事項の変更は1件3万円ですが、資本金の額が1億円以下の会社は1万円です。

仕分けの結論はこうです。登記が不要な変更なら、決議した週のうちに全部終わります。必要な変更なら、法務局の審査期間を先に調べたうえで逆算する。この2つの道が最初に分かれます。

第1区間:株主総会を開くまでに必要な日数

定款を変更するには株主総会の決議が必要です(会社法第466条)。その株主総会を開くために、まず招集の通知を出します。

通知から開催日までに空けるべき期間は、会社法第299条第1項が定めています。原則は株主総会の日の2週間前までですが、株式の譲渡に会社の承認が必要な会社(公開会社でない株式会社)であれば1週間前まで、と短くなります。さらに、その会社が取締役会設置会社でない場合は、定款でこれを下回る期間を定めることもできます。

つまり、同じ「定款変更」でも会社の作りによって必要な日数が変わります。おおまかに並べると次のとおりです。

会社の区分 招集通知から開催日までに空ける期間
公開会社 2週間前まで
非公開会社(取締役会設置会社) 1週間前まで
非公開会社(取締役会を置かない会社) 1週間前まで。定款でさらに短縮可

ここに例外があります。会社法第300条は、株主の全員の同意があるときは招集の手続を経ることなく株主総会を開催できると定めています。株主が代表者1人だけ、あるいは家族数人といった中小企業では、この規定を使って通知期間をゼロにするのが実務の標準です。

もうひとつ、そもそも集まらずに済ませる方法もあります。会社法第319条第1項の決議の省略です。取締役または株主が提案をして、議決権を行使できる株主の全員が書面または電磁的記録で同意すれば、その提案を可決する決議があったものとみなされます。実務では書面決議と呼ばれます。同意書を郵送でやり取りする時間は必要ですが、全員の予定を合わせる必要がなくなるので、株主が離れて住んでいる会社では結果的に速くなる傾向があります。

ただし書面決議は全員の同意が条件です。1人でも反対または無回答の株主がいれば成立しません。株主が多い会社では、通常どおり総会を開くほうが確実です。ここは会社の実情で選ぶことになります。

決議の要件そのものも押さえておきます。定款変更は普通の決議ではなく特別決議です。会社法第309条第2項により、議決権を行使できる株主の議決権の過半数を持つ株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要になります。株式が分散している会社では、賛成の見込みを事前に確認しておかないと、総会当日に決議が成立せず、日程を組み直すことになります。これが期間を最も大きく狂わせる要因です。

さらに重い決議が必要になる場面もあります。発行する全部の株式に譲渡制限を設ける定款変更は、会社法第309条第3項により、議決権を行使できる株主の半数以上であって、その株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要です。頭数と議決権の両方で数えるため、小口の株主が多い会社では準備期間が一段と伸びます。

第2区間:決議から申請までの2週間

決議が終わったら、登記が必要な内容であれば2週間以内に申請します。この区間でやることは、書類を揃えることだけです。

必要になる書類は登記の内容で変わりますが、共通して出てくるのが次の3点です。

登記申請書。法務局が様式と記載例を公開しています。商号変更、目的変更、本店移転といった代表的な変更については、そのまま使える様式が用意されています。

株主総会議事録。会社法施行規則第72条第3項が記載事項を定めています。開催された日時および場所、議事の経過の要領およびその結果、出席した取締役等の氏名、議長の氏名、議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名です。この6項目のうち1つでも抜けると補正の対象になり得ます。

株主リスト。平成28年10月1日以降、株主総会の決議を要する登記には株主リストの添付が必要になりました。法務省は次のように案内しています。

平成28年10月1日以降 の株式会社・投資法人・特定目的会社の登記の申請 に当たっては,添付書面として,「 株主リスト 」が必要となる場合があります (商業登記規則61条2項・3項,投資法人登記規則3条,特定目的会社登記規則3条)。 出典: www.moj.go.jp

株主リストに書くのは、議決権数の上位10名の株主か、議決権割合が3分の2に達するまでの株主か、いずれか少ないほうです。その株主について、氏名または名称、住所、株式数、議決権数、議決権数割合の5点を代表者が証明します。

書面決議で決議を省略した場合も株主リストは必要です。法務省は会社法第319条第1項により株主総会決議を省略する場合にも添付が必要と明記しています。ここを見落として申請し、補正になるケースが一定数あります。

2週間という期限は短いようでいて、書類を揃えるだけなら十分な長さです。実際に間に合わなくなるのは、決議した内容を誰も登記に結びつけなかった場合です。決議した日に登記の要否を確認し、必要なら書類作成の担当を決めてしまうのが、期限切れを防ぐ最も確実な方法になります。

期限を過ぎたらどうなるか。申請自体は受け付けてもらえます。ただし会社法第976条第1号により、代表者等が裁判所から100万円以下の過料に処される可能性があります。過料は会社ではなく代表者個人に課されるという特徴があります。

第3区間:申請から完了までが、いちばん読めない

ここが本題です。法務局に申請してから登記が完了するまでの日数は、各法務局が「登記完了予定日」として公表しています。これは目安ではなく、その法務局が自ら示している予定です。

実データを見てみます。東京法務局が公表している登記完了予定日のページには、申請期間ごとの完了予定日が並んでおり、訂正のお知らせも掲載されています。そこには、本局の商業・法人登記について令和8年8月27日に申請した分の完了予定日は10月6日午前である、という訂正が載っています。申請から完了まで40日です。

同じページの別の訂正では、令和8年7月27日申請分の完了予定日は8月27日午前、7月16日申請分の完了予定日は8月19日午前と示されています。いずれも1か月を超えています。

正直なところ、この数字は多くの人の想定を裏切ります。「登記は1週間から10日で終わる」という説明を見かけることがありますが、少なくとも東京法務局の本局については、その前提で予定を組むのは危険だと言わざるを得ません。

ただし、これは全国共通の数字ではありません。登記完了予定日は法務局ごとに公表されており、支局や地方の法務局では1週間前後で完了している例も珍しくありません。混雑の度合いは地域差が非常に大きいという特徴があります。

期間を確かめる手順は単純です。管轄の法務局のホームページで「登記完了予定日」のページを開き、自分が申請する時期の欄を見る。これだけです。東京法務局の登記完了予定日のページには、申請期間ごとの完了予定日が一覧で並んでいます。大阪法務局、名古屋法務局、横浜地方法務局、さいたま地方法務局など、主要な法務局はいずれも同じ形式のページを持っています。

申請の方法でも差が出ます。オンライン申請と書面申請では、オンラインのほうが早く処理される運用になっている法務局があります。登記完了予定日をオンライン申請を基準に掲載し、書面申請はこれより数日多くかかる旨を注記している法務局も存在します。急ぐ事情があるなら、オンライン申請を選ぶ意味があります。

もうひとつ、時期の要因もあります。定時株主総会が集中する6月から7月にかけては役員変更の登記が大量に持ち込まれるため、この時期の申請は完了までが伸びる傾向があります。商号変更や本店移転を計画するなら、この繁忙期を外すだけで数週間短縮できることがあります。

登記が終わっても、そこで終わりではない

期間を見積もるとき、登記の完了をゴールに設定してしまうと、その先の作業が見えなくなります。実際には、登記が終わったあとにまだ工程が残ります。

登記事項証明書の取得。変更後の内容が反映された証明書を取り、銀行や取引先に提出する必要があります。法務局は手数料を次のように案内しています。

例えば⇒ 登記所の窓口で登記事項証明書の交付を請求する場合の手数料は 600円 のところ,オンライン請求をご利用いただくと、 証明書を郵送で受け取る場合の手数料は 520円 、 最寄りの登記所や法務局証明サービスセンターで受け取る場合の手数料は 490円 となります。 出典: houmukyoku.moj.go.jp

窓口請求は600円、オンライン請求で郵送受け取りが520円、オンライン請求で窓口受け取りが490円です。オンライン請求は平日の午後9時まで受け付けており、窓口の午後5時15分までと比べて3時間以上長く使えます。ただし午後5時15分以降の請求は翌業務日の午前8時30分以降の受付になる点に注意が必要です。証明書を急いで用意したい日は、この受付のずれが効いてきます。

税務署と自治体への届出。商号、事業目的、代表者、事業年度などを変えた場合は、税務署に異動届出書を提出します。国税庁は提出時期を「異動等後速やかに」、提出先を「異動前の納税地の所轄税務署長」としています。都道府県税事務所と市町村にも同様の届出が必要です。

年金事務所、金融機関、許認可官庁への届出。社会保険の適用事業所としての届出、銀行口座の名義変更、許認可の変更届。それぞれ別の様式と期限があります。

印刷物や登録情報の更新。名刺、封筒、ウェブサイト、契約書のひな型、請求書の発行元情報。商号や本店を変えたときは、これらの更新も同時に走ります。

登記完了から2週間程度は、この後処理に取られると考えておくのが現実的です。つまり全体としては、決議の準備を始めた日から数えて2か月前後を見ておくと、ほとんどのケースで間に合う計算になります。

ケース別にスケジュールを組み立てる

ここまでの要素を組み合わせて、代表的なケースの目安を出します。いずれも非公開会社で、株主全員の同意により招集手続きを省略できる前提です。

事業年度の変更。登記は不要です。株主総会の特別決議と議事録の作成、そして税務署等への異動届出で完結します。決議した日から届出まで含めて1週間もあれば終わります。手続きの中では最も軽い部類です。

商号の変更。登記が必要です。決議から2週間以内に申請し、審査を待ちます。登録免許税は3万円です。決議から完了まで、法務局の混雑次第で2週間から6週間程度を見ます。そのあとに名刺や印鑑、銀行口座の名義変更が続くため、新商号を対外的に使い始める日は完了予定日の2週間後くらいに設定しておくと安全です。

事業目的の変更。登記が必要で、登録免許税は3万円です。許認可が絡む場合、目的の文言を事前に許認可の窓口に確認する工程が前に入ります。この確認に数日から数週間かかることがあり、全体の期間はここで決まることが多くなります。

本店の移転。登記が必要で、登録免許税は1箇所につき3万円です。ただし移転先が別の法務局の管轄になる場合は、移転前と移転後の両方に登記が必要となり、合計で6万円かかります。管轄が変わる移転は書類も増えるため、同一管轄内の移転より期間が伸びる傾向があります。

機関設計の変更。取締役会を廃止する、監査役を置くといった変更です。登記が必要で、しかも会社法第332条第7項や第336条第4項により役員の任期が満了するケースがあります。その場合は役員変更の登記も同時に必要になり、書類が一気に増えます。役員変更の登録免許税は1件3万円ですが、資本金の額が1億円以下の会社は1万円です。このケースは専門家に相談したほうが結果的に速い場面が多くなります。

期間が伸びる原因と、縮められる場面

最後に、実務で期間を左右する要素を整理します。

伸びる原因の筆頭は補正です。申請書や添付書類に不備があると、法務局から補正の連絡が来ます。補正に応じて書類を出し直すと、その分だけ完了が後ろにずれます。補正の典型は、議事録の記載事項の漏れ、株主リストの記載内容の誤り、押印の不足、添付する証明書の期限切れです。

印鑑証明書などの期限にも注意が必要です。登記の添付書類として提出する証明書には、作成後一定期間内のものという制限がかかることがあります。決議から申請までに時間を空けすぎると、先に取っておいた証明書が期限切れになる、という事故が起きます。証明書は申請の直前に取るのが基本です。

縮められる場面は3つあります。1つ目は招集手続きの省略と書面決議の活用で、第1区間をほぼゼロにできます。2つ目はオンライン申請で、法務局によっては書面申請より数日早く処理されます。3つ目は事前相談で、申請前に法務局や専門家に書類を見てもらえば補正のリスクを下げられます。法務局は商業・法人登記の申請書様式と記載例を公開しているので、まずこれと自分の書類を突き合わせるだけでも効果があります。

一方で、縮められない部分もはっきりしています。法務局の審査期間です。ここは会社が何をしても動かせません。だからこそ、審査期間を先に調べて、そこから逆算して決議の日を決めるという順番が合理的です。多くの会社が逆をやっています。決議してから登記を意識し、完了予定日を見て慌てる。順番を入れ替えるだけで、予定の精度は大きく上がります。

効力が生じる日を、いつに置くか

期間を設計するうえで押さえておきたいのが、定款変更の効力がいつ生じるかという点です。

原則は、株主総会で決議した時です。決議が終わった瞬間に定款は変わっています。登記はその事実を公示する手続きであって、登記が終わるまで定款が変わらないわけではありません。ここを取り違えると、「登記が終わるまで新しい商号を名乗れない」といった誤解が生まれます。法律上の会社の名前は決議の時点で変わっています。

ただし実務では、対外的に使い始める日を登記完了後に置くのが普通です。新しい商号で契約書を交わしても、相手が登記事項証明書を取ったときに旧商号のままだと説明が要るからです。取引先や金融機関に出す書類は、証明書で裏が取れる状態になってから差し替えるのが無難です。

効力発生日を将来の日付にすることもできます。決議では「2026年10月1日をもって効力を生じるものとする」と定め、その日から新しい定款が効く形にします。事業年度の変更や商号の変更で、切り替えの日を社内外にはっきり示したいときに使われます。

この場合、登記の申請期限の起算点も効力発生日になります。会社法第915条第1項が定める2週間は、変更が生じたときから数えるからです。決議の日から2週間ではなく、効力発生日から2週間です。将来の日付を置いた場合は、決議のあと少し間が空くので、その間に書類を整えておけます。

逆に言えば、効力発生日を先に置いたのに書類の準備を後回しにすると、期限が来たときに慌てることになります。日付を先送りしても、やることの量は変わりません。

補正が出ると、何日戻るのか

期間が伸びる最大の要因である補正について、もう少し具体的に見ておきます。

補正とは、申請の内容や添付書類に不備があったときに、法務局から直すよう連絡が来ることです。連絡は電話または書面で来ます。指摘された箇所を直して出し直すと、そこで審査が再開されます。

問題は、補正すると完了予定日が後ろにずれるという点です。どれだけずれるかは、補正の内容と法務局の混雑によります。押印の不足や誤字といった軽い補正なら、直した日から数日で完了する場合もあります。一方、添付書類そのものを作り直す必要がある補正では、実質的に申請し直したのと同じだけの日数がかかることもあります。混雑している法務局ほど、この戻り幅が大きくなります。

補正を避ける方法は、実のところ1つしかありません。申請前に書類を突き合わせることです。法務局は商業・法人登記の申請書様式と記載例を公開しているので、自分の書類を1行ずつ照らし合わせる。この作業に1時間かけるだけで、数週間のずれを防げます。

補正の連絡が来たら、指定された期限内に対応してください。放置すると申請が却下されることがあります。却下されると、納めた登録免許税の扱いも含めて手続きをやり直すことになり、失う時間が一段と大きくなります。

期限のある書類仕事は、誰が担うのか

定款変更の期間を管理するという仕事は、法律の判断そのものよりも、日程を握って動かす力が問われる仕事です。決議の日を決める、通知を出す、議事録を作る、株主リストを作る、申請する、完了予定日を確認する、証明書を取る、各所に届け出る。この一連を落とさずに回す役割です。

20年この市場を見てきた立場から言えば、この役割は会社の規模が小さいうちは代表者が兼ねていますが、年に数回この工程が走るようになると確実に外に出ます。弁護士や司法書士に頼むのは法律判断の部分で、日程管理と書類の整形は別の人が担う。この分け方をしている会社が着実に増えているという傾向が見られます。

書類を正確に作れる人の価値は、単価だけでは測れません。期限を1日過ぎれば過料の話になり、書類が1項目抜ければ補正で数週間ずれる。ミスのコストがはっきりしている仕事だからです。文書作成の力がどう評価されているかは、著述家,記者,編集者の年収・単価相場で単価の分布を見ると掴みやすくなります。

文書の型そのものを身につけたい場合は、ビジネス文書検定が扱う範囲が実務に近いところにあります。社外文書の構成、敬語、数字と日付の書き方といった、議事録や届出書でそのまま効いてくる項目です。資格が直接案件を呼ぶわけではありませんが、発注する側から見ると「型を外さない人かどうか」を判断する材料になります。

技術側から入る道もあります。CCNA(シスコ技術者認定)のようなネットワークの認定を持ち、かつ社内文書を扱える人は、文書管理の仕組みづくりまで含めて受けられるようになります。この組み合わせを持つ人は実際のところ多くありません。

業務の棚卸しから入る仕事としては、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事の領域も近いところにあります。社内の手続きを洗い出して標準化する作業は、定款変更のような年に数回しか走らない工程ほど価値が出ます。手順が人の頭の中にしかないと、担当が変わった瞬間に期限を落とすからです。

期間の話に戻ります。定款変更にかかる期間を正確に見積もる方法は、結局のところ2つです。自分の変更に登記が必要かを先に確かめること。そして、管轄の法務局が公表している登記完了予定日を実際に見ること。この2つをやれば、見積もりが大きく外れることはありません。逆にこの2つを飛ばすと、何日かかるかという問いに誰も答えられなくなります。

よくある質問

Q. 定款変更は最短で何日で終わりますか?

登記が不要な変更、たとえば事業年度の変更であれば、株主全員の同意で招集手続きを省略して総会を開けば当日に決議が完了します。議事録の作成と税務署等への届出を含めても1週間程度です。登記が必要な変更は、決議のあと法務局の審査期間が加わるため、完了までさらに2週間から6週間程度を見込んでください。

Q. 登記の申請から完了まで、実際どれくらいかかりますか?

法務局ごとに公表されている登記完了予定日で確認できます。東京法務局が公表した訂正情報では、本局の商業・法人登記で令和8年8月27日申請分の完了予定日が10月6日午前とされており、約40日かかっています。一方で支局や地方の法務局では1週間前後の例もあり、地域差が大きいのが実情です。

Q. 決議から2週間を過ぎてしまったら、登記はできなくなりますか?

できなくなることはありません。期限を過ぎても申請は受け付けられます。ただし会社法第915条第1項の登記義務に違反した状態となり、同第976条第1号により代表者等が裁判所から100万円以下の過料に処される可能性があります。気づいた時点ですぐに申請してください。

Q. 株主総会を開かずに定款を変更することはできますか?

会社法第319条第1項の決議の省略を使えば、総会を開かずに済ませられます。取締役または株主が提案し、議決権を行使できる株主の全員が書面または電磁的記録で同意すれば、決議があったものとみなされます。ただし全員の同意が条件で、1人でも同意しなければ成立しません。この場合も議事録の作成と株主リストの添付は必要です。

この記事について

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編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年7月25日最終更新:2026年9月19日
朝比奈 蒼

この記事を書いた人

朝比奈 蒼@SOHO編集部

ITメディア編集者

IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。

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