トランクルームを貸す副業の始め方|物件選びと運営にかかる手間

朝比奈 蒼
朝比奈 蒼
トランクルームを貸す副業の始め方|物件選びと運営にかかる手間

この記事のポイント

  • ✓トランクルームを貸す副業の始め方を
  • ✓倉庫業法や建築基準法の確認
  • ✓失敗の型まで公的資料をもとに整理しました

トランクルームを貸す副業は「手のかからない不動産投資」として紹介されることが多いのですが、結論から言うと、手がかからないのは運営を外に任せた場合だけです。自分で募集から集金まで持つなら、手間の中身はアパートの管理に近づきます。そして収入の規模は、はじめから住居の賃貸よりも小さくなります。

この記事では、トランクルームを貸す副業を、貸し方の型、運営会社との関わり方、収入と出ていく費用、物件選びの条件、法律と届出の確認、税の扱い、失敗の型、運営にかかる手間の順に整理します。金額は計算の道筋を示すための試算として書き、制度の部分は公的な資料で確かめた内容だけを載せます。

この副業は、実際には何を売っているのか

トランクルームを貸す事業は、荷物の保管を引き受ける仕事ではなく、収納のための空間を貸す仕事です。この違いが後の法律の話につながるので、最初に押さえておきます。

需要の側から見ると、伸びている理由は単純です。住まいが手狭になっているからです。

大手不動産ポータルサイトを運営するLIFULLの子会社であるLIFULL SPACEが2020年に発表した「コロナ禍での収納と自宅スペース」に関するアンケート調査によると、コロナ前と比べて、自宅が手狭になったと感じている人は、約30%に上っています。 出典: kasegroup.co.jp

在宅で仕事をする時間が増え、部屋の一角を作業のための場所に切り替えた世帯では、それまで部屋に収めていたものの行き先がなくなります。季節の道具、子どもの用品、趣味の道具、事業の在庫。捨てる判断がつかないものを、家の外に移す選択が選ばれます。

貸す側から見た特徴は3つあります。1つ目は、人が住まないことです。設備の故障、騒音、退去時の原状回復といった住居特有の負担がありません。2つ目は、1室あたりの単価が小さいことです。そのぶん、部屋数を確保しないと収入の規模が作れません。3つ目は、需要が場所に強く縛られることです。荷物を出し入れするために利用者が足を運ぶので、生活圏の外にあると選ばれません。

つまりこの副業は、小さな単価を数で積み上げ、立地で決まる需要を拾う商売です。大きく当てる形ではなく、埋まり続ける状態を作れるかどうかで結果が決まります。

貸し方は大きく3つに分かれる

一口にトランクルームと言っても、形が3種類あります。必要な資金も手間も違うので、最初にどれを選ぶかを決めます。

貸し方 中身 初期費用の傾向 主な手間
屋内型 建物の中を仕切って収納の区画にする 内装の工事費が中心 空調と湿度、防犯、清掃
屋外コンテナ型 土地にコンテナを設置して区画ごとに貸す コンテナの購入と設置 雨風と結露、外構、除草
土地のみを貸す 運営会社に土地を貸して運営は任せる ほぼかからない 契約管理と固定資産税

屋内型は、駅に近い場所や住宅が密集した地域で成り立ちます。空調が効かせられるため、紙の資料や衣類、楽器のように湿度に弱いものを扱えます。そのかわり、内装の工事費と、建物そのものの賃料か取得費がかかります。

屋外コンテナ型は、郊外や幹線道路沿いの土地で選ばれます。車で荷物を運び込む使い方に向いていて、面積あたりの単価は屋内型より下がります。コンテナは金属なので、夏の内部の温度と冬の結露が課題になり、湿度に弱いものを収納する用途には向きません。

土地のみを貸す形は、手間が最も小さいかわりに、受け取る額も最も小さくなります。すでに使っていない土地を持っている人にとっては、固定資産税を払うだけの状態から動かす選択になります。

自分がどの形を取れるかは、手元にある資産で決まります。土地を持っているなら屋外型か土地貸し、建物の一部を使えるなら屋内型、どちらもないなら、まず土地や建物を借りるところから始まるため負担は一段上がります。

運営会社との関わり方で、手間と取り分が変わる

もうひとつの分かれ道が、運営をどこまで自分で持つかです。3つの型があります。

第一に、一括で借り上げてもらう形です。運営会社が区画の全体を借り、毎月一定額を支払います。空いている区画があっても受け取る額は変わらないため、収入が読めます。そのかわり、満室のときの取り分は自主運営より小さくなります。契約の更新時に借り上げの額が見直される条項が入っていることが多いので、何年ごとに、どういう基準で見直されるのかを契約書で確認します。

第二に、管理を委託する形です。募集、契約、集金、問い合わせの対応を運営会社に任せ、手数料を払います。空いている区画のぶんは収入が落ちるため、稼働の変動をこちらが負います。取り分は一括の借り上げより大きくなります。

第三に、自分で運営する形です。募集の掲載、内見の案内、契約、集金、滞納の督促、清掃、鍵の管理をすべて自分で持ちます。取り分は最大ですが、手間も最大です。副業として平日に別の仕事をしている人が全部を抱えると、滞納の督促と問い合わせの対応で崩れます。

現実的な進め方は、最初は管理を委託し、数年で流れを覚えてから自主運営の範囲を広げるという順序です。いきなり自主運営から入る場合は、問い合わせの窓口を電話ではなく文字のやり取りに寄せ、対応する時間帯を決めておくと続きます。

収入の組み立てと、出ていく費用

収入の計算は単純です。1区画あたりの月額の賃料に、区画の数と稼働の割合を掛けます。ただし、この3つの数字のどれもが、思っているより下に振れます。

試算の形で並べます。屋外コンテナ型で、20フィートのコンテナを2基入れて、内部を仕切って合計10区画を作ったとします。1区画あたり月額8,000円で、稼働率が80%なら、1か月の収入は64,000円です。年間で768,000円になります。

ここから出ていくものを引きます。土地を借りている場合は地代、自分の土地なら固定資産税と都市計画税。コンテナの減価償却費。損害保険料。看板と照明の電気代。防犯カメラの通信費。除草と清掃の費用。管理を委託しているなら手数料。入れ替わりのたびに発生する清掃と鍵の交換。募集の広告費。そして、修繕の積み立てです。

見落とされやすいのが3つあります。1つ目は、立ち上がりの期間です。開設した翌月に満室になることはありません。稼働が想定に届くまでに半年から1年かかる前提で、その間の支出を用意しておきます。2つ目は、入れ替わりの頻度です。収納の契約は住居より短くなる傾向があり、荷物が片づいた時点で解約されます。3つ目は、撤去の費用です。やめるときにコンテナを運び出し、土地を元に戻す費用がかかります。始める前に、この金額を見積もっておきます。

収入の伸ばし方は、賃料を上げる方向よりも、稼働を上げる方向と、空いている区画の使い道を作る方向のほうが確実です。区画の大きさを複数そろえて、小さい荷物の利用者も拾えるようにすると、埋まる速さが変わります。

試算をするときに、数字を1つずつ動かして影響を確かめておくと判断を誤りません。先の例で稼働率が80%から60%に落ちると、1か月の収入は64,000円から48,000円へ下がります。年間で192,000円の差です。この幅が固定費を下回るかどうかが、耐えられる範囲の境目になります。逆に1区画あたりの賃料を1,000円上げられれば、同じ稼働でも年間で96,000円の差が出ます。単価と稼働のどちらに手を入れるほうが効くのかは、この2つの試算を並べれば見えます。

区画の数の設計も、先に検討する価値があります。同じ面積で区画を細かく割れば、1区画あたりの賃料は下がりますが、区画数が増えるため合計の収入は上がりやすくなります。ただし仕切りの工事費と、錠の数、管理する契約の件数も増えます。細かく割るほど、埋まりやすさと手間が同時に上がるという関係です。

物件選びで実際に見る条件

立地の判断がこの副業の結果をほぼ決めます。見る条件を順に並べます。

第一に、車が入れるかどうかです。屋外型では、利用者が荷物を車から降ろします。前面道路の幅、曲がり角の余裕、車を停めて作業できる場所があるか。ここが狭いと、内見の段階で断られます。

第二に、周囲の世帯の性格です。単身者が多い地域と、家族世帯が多い地域では、求められる区画の大きさが違います。単身者の多い地域では小さい区画が回り、家族世帯が多い地域では大きい区画の需要が出ます。近隣に大きな集合住宅が建っているかどうかは、実際に歩いて確認します。

第三に、競合です。同じ生活圏に既にある施設の数と、その空き状況を見ます。空きが多く出ている地域は、需要が足りていないか、価格が崩れています。公開されている料金表と空室の表示は、無料で得られる最良の情報です。

第四に、目に入るかどうかです。収納スペースは、通りがかりに看板を見て問い合わせが入る商売です。幹線道路から見える位置にあるかどうかで、広告に使う費用が変わります。

第五に、水と電気と排水です。屋内型では清掃のための水が必要になります。屋外型でも照明と防犯カメラのために電気を引きます。引き込みの工事費は、後から分かると計画が崩れる金額になりがちです。

第六に、地盤と水はけです。雨のあとに水が溜まる土地では、コンテナの下が傷み、利用者の荷物にも影響します。雨の日に一度見に行くのが、いちばん確実な確認方法です。

第七に、夜の様子です。人通りがなく暗い場所は、防犯の負担が上がります。夜に一度歩いてみると、照明の必要量が分かります。

土地を借りて始める場合は、契約の期間と原状回復の条件も物件選びの条件に入ります。コンテナを設置して数年で撤去を求められると、投じた費用を回収できません。契約の期間、更新の条件、更新のときに地代が見直される仕組みがあるかを、設置の計画を立てる前に確認します。土地の所有者に、収納の事業として使う目的を明確に伝えておくことも必要です。目的を曖昧にしたまま設置すると、用途の違いで契約の解除を求められる余地が残ります。

法律と届出を先に確認する

この副業でいちばん誤解されているのが、倉庫業の登録が必要かどうかという点です。法律の条文から見ます。

倉庫業法は、倉庫業を次のように定めています。

この法律で「倉庫業」とは、寄託を受けた物品の倉庫における保管(保護預りその他の他の営業に付随して行われる保管又は携帯品の一時預りその他の比較的短期間に限り行われる保管であつて、保管する物品の種類、保管の態様、保管期間等からみて第六条第一項第四号の基準に適合する施設又は設備を有する倉庫において行うことが必要でないと認められるものとして政令で定めるものを除く。)を行う営業をいう。 出典: laws.e-gov.go.jp

ここでの鍵は「寄託を受けた物品の保管」という部分です。荷物を預かって保管する責任を負う営業が倉庫業に当たります。一方、区画という空間を貸して、荷物の管理は利用者が行う形は、賃貸借であって寄託ではないという整理になります。この整理に立つかぎり、区画を貸すだけの形は倉庫業の登録の対象にはならないという扱いです。同法は第25条でトランクルームの認定の制度を設けていますが、これは倉庫業者が受ける認定なので、区画を貸す形とは別の話になります。

ただし、契約書の書き方によって実質が変わります。荷物の内容を把握し、出し入れを事業者が行い、破損に責任を負う運用にすると、寄託に近づきます。自分が結ぶ契約がどちらに当たるのかは、地方運輸局の倉庫業の担当窓口に、運用の中身を具体的に説明して確認してください。金額や事情で扱いが変わる部分です。

もうひとつ確かめるのが建築の規制です。コンテナを土地に据えて収納として使う場合、原則として建築基準法の建築物として扱われます。用途地域によって設置できない場合があり、確認申請が必要になる場合もあります。判断は市区町村の建築指導の窓口が持つので、土地を契約する前に、設置したい形を図で示して相談します。ここを飛ばして設置してしまうと、後から撤去を求められることがあります。

近隣への説明も、手続きではありませんが実質的に必要です。車の出入り、夜間の照明、看板。開設の前に周囲へ知らせておくと、苦情が出てから動くよりも軽く済みます。

税の扱いを整理する

収入の区分は、原則として不動産所得になります。国税庁の説明では、不動産所得は土地や建物などの不動産の貸付け、不動産の上に存する権利の設定と貸付け、船舶や航空機の貸付けによる所得を指し、事業所得や譲渡所得に当たるものは除かれます。総収入金額から必要経費を引いた額が所得です。

必要経費に入れられるのは、その収入を得るために直接必要な費用で、家事の費用と明確に区分できるものです。国税庁は主なものとして固定資産税、損害保険料、減価償却費、修繕費を挙げています。収入の側には、賃料のほかに、返還を要しない敷金や保証金、共益費の名目で受け取る電気代や清掃代も含まれます。詳しい扱いは国税庁のタックスアンサーで確認できます。

規模が大きくなると、事業として行われているかどうかで計算が変わります。国税庁は、建物の貸付けについて、貸間やアパートなら独立した室数がおおむね10室以上、独立家屋の貸付けならおおむね5棟以上であれば、原則として事業として扱うという基準を示しています。事業として扱われる場合は、資産の損失を全額必要経費に入れられ、貸倒れの処理が有利になり、青色申告の事業専従者給与の適用があります。青色申告特別控除については、正規の簿記の原則による記帳などの要件を満たすと最高55万円、電子帳簿保存かe-Taxによる電子申告を行っている場合は65万円、それ以外は最高10万円です。

会社に勤めながら受ける場合の線引きも押さえます。給与を1か所から受けていて、ほかの所得の合計が20万円以下なら所得税の確定申告が不要になる場合があります。ただしこの20万円の線は所得税だけの話で、住民税の申告は別に必要です。副業の分を勤務先に知られにくい形にしたい場合、住民税を自分で納める普通徴収を選べますが、対象になるのは給与以外の所得だけです。不動産所得はこれに当たります。

勤務先の規則も確認します。厚生労働省のモデル就業規則では、副業と兼業について第70条で定めが置かれ、届出を前提に、労務提供上の支障、企業秘密の漏えい、名誉や信用を損なう行為、競業による利益侵害の4つの事由がある場合に禁止や制限ができるという形になっています。不動産の貸付けを資産の運用として扱う会社もありますが、規則の書き方は会社ごとに違います。

失敗の型は決まっている

この副業でつまずく形は、いくつかの型に収まります。先に知っておくと避けられます。

1つ目は、埋まらないことです。立地の需要を確かめずに設置し、稼働が想定の半分で止まります。原因は、車が入りにくい、通りから見えない、同じ生活圏に競合が多い、区画の大きさが需要と合っていないのいずれかです。開設前に、近隣の施設の空き状況を数えておけば大半は見抜けます。

2つ目は、賃料を下げて埋めようとすることです。稼働は上がりますが、一度下げた賃料は戻しにくく、収入の上限が下がります。下げる前に、区画の大きさを分ける、契約の最短期間を短くする、初月の費用を抑えるといった条件面の工夫を試す順序が現実的です。

3つ目は、解約の連続です。荷物を片づける目的で契約した利用者は、目的が終わると出ていきます。入れ替わりのたびに清掃と鍵の対応が発生するため、稼働は同じでも手間だけが増えます。長く使う目的の利用者、たとえば事業の在庫や季節の道具を収納する用途を取れる立地のほうが安定します。

4つ目は、荷物に関するもめごとです。結露で中身が傷んだ、鍵が壊れて中のものがなくなった、契約が終わったのに荷物が残っている。どれも契約書の書き方で備えられます。収納できないものを列挙し、管理の責任は利用者が負うことを明記し、賃料が滞ったときと契約が終わったあとの荷物の扱いを定めておきます。文面の作り方に自信がない場合は、専門家に一度見てもらう費用を惜しまないほうが安く済みます。書類の型そのものを学びたい人には、社会人向けの文書の構成を体系的に問うビジネス文書検定の出題範囲が参考になります。

5つ目は、撤去まで考えていないことです。やめるときの費用を計算に入れていないと、収支が黒でも手元に残りません。

運営にかかる手間を工程で見る

手間の中身を月ごとの作業として並べると、副業として回せるかどうかが判断できます。

募集の管理は、空きが出たときに発生します。掲載の文面と写真を更新し、問い合わせに答え、内見の日程を合わせます。内見は利用者の都合に合わせるため、平日の夜か週末に入ります。

契約は、書類のやり取りと本人の確認です。郵送か電子で完結させる仕組みを作っておくと、対面の負担が消えます。鍵の受け渡しも、置き場所を決めて連絡だけで済む形にできます。

集金は、口座振替かクレジットカードの決済を使う形にすると、毎月の作業がほぼなくなります。振込にすると、入金の確認と未入金の把握が毎月発生します。滞納の督促は、精神的な負担が最も大きい業務なので、仕組みで減らす価値があります。

清掃と点検は、屋外型なら月に1回から2回です。除草、ごみの片づけ、照明の確認、施錠の確認、コンテナの外側の傷みの確認。夏は草が伸びるので回数が増えます。除草そのものを外に頼む選択もあります。

問い合わせの対応は、量は多くありませんが時刻が読めません。鍵が開かない、暗証番号を忘れた、隣の区画の荷物がはみ出している。対応する時間帯を決めて案内しておくと、深夜の連絡に振り回されなくなります。

年に1回は、賃料の見直しと、保険の更新、確定申告のための帳簿の整理があります。帳簿は月ごとにつけておくほうが、年末に一度で終わらせるより楽です。

契約書に必ず書いておく項目

収納の区画を貸す契約は、住居の賃貸借とは別の項目が要ります。もめごとはほぼ全部、書いていなかった項目から起きます。並べます。

第一に、収納できないものの列挙です。現金と貴重品、動物、食品、危険物と引火性のあるもの、悪臭を放つもの、法令で所持が禁じられているもの。列挙しておかないと、置かれてから止められません。

第二に、管理の責任の所在です。区画の中の荷物の管理は利用者が行い、事業者は荷物の内容を把握しないこと。この一文があるかどうかで、寄託か賃貸借かの整理も変わります。

第三に、賃料の支払いの方法と、滞納したときの手順です。いつまでに払うのか、遅れたときの連絡の順序、何か月の滞納で契約を終えるのか。

第四に、契約が終わったあとの荷物の扱いです。期限までに搬出されない場合の措置を書いておきます。ここが空白だと、荷物が残った区画を次に貸せなくなります。

第五に、解約の予告の期間です。1か月前の通知とするのが一般的ですが、短くすると入れ替わりの手間が増え、長くすると契約そのものが敬遠されます。

第六に、鍵の扱いです。誰が鍵を管理し、なくしたときの費用を誰が負うのか。暗証番号の錠を使う場合は、番号を変える手順も決めておきます。

第七に、立入りの条件です。点検や修繕、緊急のときに事業者が区画に入る場合の条件と事前の通知を書きます。書かずに入ると、信用を失うだけでなく紛争になります。

この7項目は、ひな型を使う場合でも自分の運用に合わせて書き換える必要があります。専門家に一度だけ見てもらう費用は、後で起きる1件のもめごとより安く済みます。

保険と防犯をどう備えるか

貸す側が備えるのは、自分の設備に対する備えと、利用者との関係に対する備えの2つです。

設備については、火災、風水害、盗難による損害を対象にした保険を検討します。屋外のコンテナは風の影響を受け、台風で扉が破損する事例があります。土地に工作物を設置している状態なので、第三者に損害を与えた場合の賠償についても範囲を確認します。

利用者の荷物については、貸す側が補償の責任を負わない形にしておくのが原則です。そのうえで、利用者が自分で保険をかけられるように案内します。契約時に、荷物の補償は利用者の負担であることを口でも伝えておくと、後の行き違いが減ります。

防犯は、費用と効果の釣り合いで決めます。効果が高い順に、敷地の入口の施錠、照明、カメラ、区画ごとの錠の質です。照明は防犯の効果に加えて、夜に荷物を出し入れする利用者の利便にもつながります。カメラは、設置していることを表示するだけでも抑止になります。録画の保存期間と、誰が映像を確認できるのかを決めておきます。

利用者の本人確認も防犯の一部です。書類で確認し、連絡が取れる手段を2つ以上押さえておきます。連絡が取れない利用者の区画に荷物が残ると、処理に数か月かかります。

小さく試す方法もある

土地も建物も持っていない段階で、いきなりコンテナを設置するのは重い判断です。手前に小さく試す選択があります。

1つは、自宅や所有している部屋の使っていない一角を、収納の場として貸す仕組みを使う形です。空いている空間と、収納したい人を仲介する事業者があり、そこに登録すれば、設備を用意せずに需要の有無を確かめられます。受け取る額は小さいものの、どんな人が、どんなものを、どのくらいの期間収納したいのかが実際のやり取りから分かります。この情報は、後で本格的に始めるときの区画の大きさの設計に直結します。

もう1つは、既に運営している事業者の施設を借りて、自分が利用者側を経験する形です。1か月だけ契約してみると、申し込みから鍵の受け取りまでの流れ、料金の説明の分かりにくさ、搬入時の不便がすべて見えます。自分が貸す側になったときに何を直せばよいかが、机の上で考えるより早く分かります。

3つ目は、周辺の施設の空き状況を3か月続けて記録することです。費用はかかりません。公開されている料金表と空室の表示を月に1回控えるだけで、その地域に需要の余りがあるかどうかが見えてきます。この記録は、金融機関に説明するときの材料にもなります。

始める前に使えるこうした手は、どれも失っても小さい規模で済みます。最初の判断を急がないことが、この副業では最も効きます。

将来性をどう見るか

この分野の先行きを見るときは、需要と供給を別々に見ます。

需要の側は、住まいの面積と世帯の形に連動します。都市部で住戸の面積が小さくなり、在宅で仕事をする時間が定着した状態が続くかぎり、家の外に収納を求める動きは残ります。事業者側の需要もあります。小規模な事業で在庫や道具を扱う人が、事務所を借りるより安く収納だけを確保する使い方です。

供給の側は、参入が容易であることが弱点になります。土地とコンテナがあれば始められるため、需要のある地域には短期間で施設が増えます。増えると価格が下がります。つまり、この副業の将来性は分野全体の話ではなく、自分が持つ土地の周辺で需要と供給がどう動くかという、極めて局所的な話になります。

判断の材料は3つです。第一に、周辺の施設の空き状況の推移を、半年おきに数えることです。第二に、住戸の供給の動きです。近隣に集合住宅が建てば需要が増え、更地が増えれば減ります。第三に、価格の動きです。近隣の施設が値下げを始めたら、供給が需要を超えた合図です。

正直なところ、この副業を「放っておいても収入が入る仕組み」として紹介する説明には無理があります。手間が小さいのは事実ですが、埋まり続ける状態を保つには、周辺を見続ける作業が要ります。その作業を楽しめるかどうかが、続くかどうかの分かれ目です。

資金が小さいうちに何をするかで、後の選択肢が変わる

この副業の最大の制約は、土地か建物が必要だという点です。持っていない人が借りて始める場合、立ち上がりの数か月を支える資金と、撤去の費用を用意しておく必要があります。つまり、最初に必要なのは物件探しではなく、手元の資金です。

ここで現実的な順序は、先に手を動かして稼げる仕事で資金と信用を作り、そのうえで場所に投資することです。業務委託の求人を扱う仲介サイトの分布を見ていて分かるのは、在宅で完結する仕事は季節の波が小さく、平日の夜と週末だけでも組みやすいという点です。

文章を書く仕事に寄せるなら、単価の分布は著述家,記者,編集者の年収・単価相場で確認できます。職種ごとの実額が並んでいるので、1件いくらで受けるべきかの目線が作れます。在宅で受けやすい仕事と、それに効く資格の組み合わせは在宅ワークに強い資格10選|自宅で稼げるスキルを身につけるに整理されています。技術寄りに進む場合はソフトウェア作成者の年収・単価相場で、学習に使う時間の回収の目安を見ておく価値があります。在宅で働く環境を整える話は在宅ワークに最適なネット回線|光回線vsホームルーターの選び方にまとまっています。

20年にわたって在宅とフリーランスの市場を運営してきた立場から見えるのは、資産を使う副業に進んだ人のうち、続いているのは「先に小さく稼ぐ経験をしてから資産に手を出した人」だという点です。順序が逆になった人、つまり借り入れで場所を先に確保した人は、立ち上がりの数か月で余裕を失い、判断が焦ります。収納の区画が埋まるまでの半年を静かに待てるかどうかは、性格ではなく手元の資金で決まります。

もうひとつ、運営者として見てきた限りで言えるのは、受け取る側の手取りの厚みが持続性を左右するということです。仲介の手数料が2割近く乗る仕組みでは、同じ作業をしても手元に残る額が薄くなります。手数料0%で直接やり取りできる形なら、依頼する側は同じ予算でより多く頼めて、受ける側は同じ作業で手取りが厚くなります。資産に投じるための資金を作る段階では、この差が到達までの月数をそのまま短くします。どんな分野の募集が出ているかはAIコンサル・業務活用支援のお仕事から確認できます。

よくある質問

Q. トランクルームを貸すのに倉庫業の登録は必要ですか?

倉庫業法が定める倉庫業は「寄託を受けた物品の倉庫における保管」を行う営業です。区画という空間を貸し、荷物の管理は利用者が行う形は賃貸借であって寄託ではないという整理になり、この形なら登録の対象にはならない扱いです。ただし契約と運用の中身で判断が変わるため、地方運輸局の倉庫業の窓口で確認してください。

Q. コンテナを土地に設置するだけなら手続きは不要ですか?

コンテナを土地に据えて収納として使う場合、原則として建築基準法の建築物として扱われます。用途地域によって設置できない場合があり、確認申請が必要になる場合もあります。設置したい形を図にして、市区町村の建築指導の窓口に土地の契約前に相談してください。後から撤去を求められると損失が大きくなります。

Q. 収入はどの所得に区分されますか?

原則として不動産所得です。総収入金額から必要経費を引いて計算し、必要経費には固定資産税、損害保険料、減価償却費、修繕費などが入ります。建物の貸付けが独立した室数でおおむね10室以上、独立家屋でおおむね5棟以上であれば、原則として事業として扱われ、青色申告特別控除などの取り扱いが変わります。

Q. 運営は自分でやるべきですか、会社に任せるべきですか?

一括で借り上げてもらう形は収入が読める反面、取り分が小さくなります。管理を委託する形は稼働の変動を負いますが取り分は大きくなります。自分で運営する形は取り分が最大でも、募集、集金、滞納の督促、清掃をすべて抱えます。平日に別の仕事がある場合は、委託から始めて流れを覚える順序が現実的です。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年9月5日最終更新:2026年10月1日
朝比奈 蒼

この記事を書いた人

朝比奈 蒼@SOHO編集部

ITメディア編集者

IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。

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