【重要】PHPの脆弱性、うちのサイトは大丈夫?今すぐチェック

調味料の販売の許可|必要な営業許可と表示

@SOHO編集部
@SOHO編集部
調味料の販売の許可|必要な営業許可と表示

この記事のポイント

  • ✓調味料の販売に必要な許可を
  • ✓作る調味料の種類ごとに整理しました
  • ✓スパイスのミックスや塩で変わる営業許可と営業届出の区分

手作りのたれやドレッシング、ブレンドしたスパイス、家で仕込んだみそを、マルシェやネットで売ってみたいと考えたとき、最初に引っかかるのが「調味料を売るのに許可は要るのか」という疑問です。結論から言うと、調味料の販売に必要な手続きは、どの調味料を、どんな容器に詰めて、どう保存して売るかで変わります。みそやしょうゆ、常温で保存する瓶詰のたれやソースの多くは保健所の営業許可が必要で、乾燥したスパイスのミックスや塩、食酢などは営業許可ではなく営業届出の対象になります。仕入れた包装済みの調味料を売るだけなら、届出も要らない場合があります。この記事では、2021年6月に変わった食品衛生法の営業許可と届出の仕組みを、調味料の種類ごとに当てはめて説明し、ラベルの表示とネット販売の決まりまでを順に整理します。

調味料を売る前に知っておきたい3つの区分

食品の仕事は、食品衛生法によって3つに分けられています。1つ目は保健所の許可を受けなければならない営業、2つ目は許可は要らないが保健所に届け出る営業、3つ目は届出も要らない営業です。どれに当たるかで、準備する設備も手続きの手間も大きく変わります。

区分 主な手続き 調味料での例
営業許可 施設の基準を満たし、保健所の検査を受けて許可を得る みそ、しょうゆ、常温で保存する瓶詰のたれやソース
営業届出 施設の基準はなく、保健所に届け出る 乾燥スパイスのミックス、塩、食酢、粉末の調味料
届出不要 手続きは要らない 常温で長く保存できる包装済みの調味料を仕入れて売るだけ

この仕組みは、2021年6月1日に施行された改正食品衛生法で整えられました。改正の前は、許可が要らない食品については手続きがないことも多かったのですが、改正後は原則としてすべての食品事業者がHACCP(ハサップ)に沿った衛生管理をすることになり、許可の対象でない営業も保健所が把握できるよう届出の仕組みが作られました。HACCPとは、原材料の受け入れから出荷までの工程ごとに、食中毒や異物混入につながる危険を洗い出して管理する衛生管理の方法のことです。小さな事業者には、業界団体が作った手引書に沿って簡単な計画と記録をつける形が用意されています。

厚生労働省は、届出の仕組みについて次のように説明しています。

営業許可の対象となっていない業種を営む営業者は、一部の届出対象外の営業者を除き、管轄の保健所に届出をする必要があります。 届出する内容は、届出者の氏名、施設の所在地、営業の形態、主として取り扱う食品等に関する情報、食品衛生責任者の氏名です。 許可とは異なり、要件(施設基準)はありません。 出典: 厚生労働省「営業規制(営業許可、営業届出)に関する情報」

つまり調味料を売る人が最初にすることは、自分の作る調味料が3つの区分のどれに当たるかを見極めることです。その判断の材料を、次の節から種類ごとに見ていきます。

営業許可が必要になる調味料

食品衛生法施行令の第35条には、許可が必要な営業が32の業種として並んでいます。そのうち調味料を作る人に関わりが深いのは、次の業種です。

  • みそ又はしょうゆ製造業(みそやしょうゆ、それらを主な原料にした食品を作る営業)
  • 密封包装食品製造業(瓶詰、缶詰、レトルトパウチなどに密封し、常温で保存する食品を作る営業)
  • 食用油脂製造業(食用の油や脂を作る営業)
  • 漬物製造業、そうざい製造業など、調味料と隣り合う食品を作る営業

みそとしょうゆは、名前のとおり独立した許可業種です。家で仕込んだみそを少量でも売る場合は、みそ又はしょうゆ製造業の許可を受けた施設で作る必要があります。みそを使った練りみそや、しょうゆをベースにしたたれのように、みそやしょうゆを主な原料にした食品も同じ業種で作れるとされています。

迷いやすいのが、瓶に詰めたたれ、ソース、ドレッシング、ジャムのような調味料です。改正前には「ソース類製造業」という許可業種がありましたが、改正で廃止され、そのうち容器に密封して常温で保存できるものは密封包装食品製造業の対象になりました。厚生労働省の解説では、密封包装食品製造業の対象は、瓶や缶やレトルトパウチに詰めて密栓し、冷蔵や冷凍をせずに長く保存する食品のうち、ボツリヌス菌による食中毒の危険がある物とされています。そのため、pHが4.6以下の酸の強い物や、水分活性が0.94以下の水分の少ない物は、この業種の対象から外れるという考え方が示されています。pHは酸の強さを表す数字で、小さいほど酸っぱく、水分活性は食品の中で微生物が使える水の量の目安です。

ただし、自分の作ったたれがこの基準のどちら側に当たるかは、作り方と配合によって変わり、自分だけで判断するのは難しいところです。冷蔵で保存して売る物や、瓶に詰めずに売る物は、別の業種や届出の扱いになることもあります。瓶詰の調味料を売りたいときは、レシピと容器と保存の方法を持って、管轄の保健所に相談するのが確実です。

営業届出で足りる調味料

許可業種に当たらない調味料を作って売る場合は、営業届出の対象になります。京都市の案内では、届出の業種の例として「調味料製造・加工業」が挙げられています。乾燥したスパイスを混ぜたミックススパイス、ハーブソルトのような塩の加工品、粉末のだしや粉末の調味料などが、この区分に当たることが多い調味料です。

密封包装食品製造業についても、許可の対象から外れる食品が厚生労働省の省令で決められています。食品衛生法施行規則の第66条の10には、塩、乾燥スパイス類、乾燥ハーブ類、調理ルウ類、顆粒状や粉末状の食品、それらを混ぜた食品、そして食酢などが並んでいます。これらを瓶や袋に密封して売る場合は、密封包装食品製造業の許可ではなく、営業届出をすることになります。

届出は、許可と違って施設の基準がなく、更新もありません。届け出る内容は、氏名、施設の所在地、営業の形態、主に扱う食品、食品衛生責任者の氏名です。多くの自治体では、窓口に加えて、厚生労働省の食品衛生申請等システムを使ってネットから届け出ることもできます。

ただし、届出で足りるからといって、どこで作ってもよいわけではありません。届出の営業もHACCPに沿った衛生管理の対象で、衛生管理の計画を作り、記録をつけることが求められます。また、同じスパイスのミックスでも、油で炒めてペーストにすれば別の食品になり、扱いが変わることがあります。届出の対象かどうかも、作る物の形と工程で決まるので、最初は保健所に確かめてから始めます。

調味料の種類ごとの考え方

ここまでの区分を、副業で作られることの多い調味料に当てはめると、おおよそ次のような考え方になります。あくまで目安で、最終的な判断は管轄の保健所がします。

みそとしょうゆは、量にかかわらず、みそ又はしょうゆ製造業の許可の対象です。仕込みから熟成まで時間がかかり、熟成の間の保管場所も施設の一部として見られるので、どこで寝かせるかまで含めて計画します。

瓶に詰めた焼き肉のたれ、ポン酢、ドレッシング、トマトソースのような液体の調味料は、常温で保存するなら密封包装食品製造業の許可の対象になるか、酸の強さや水分の量によって対象から外れるかの判断が必要です。冷蔵で保存して早めに使い切る形で売る場合は、密封包装食品には当たらず、別の業種や届出の扱いになることがあります。どの形で売るかを先に決めてから相談すると、話が早く進みます。

食べるラー油や香味油のように、油が主な原料の調味料は、食用油脂製造業の許可や、そうざいの扱いが関わることがあります。具の多さや作り方で判断が分かれやすい調味料なので、試作の段階で保健所に見てもらうのが安心です。

カレー粉やスパイスのミックス、ハーブソルト、粉末のだし、ふりかけに近い乾燥した調味料は、営業届出の対象になることが多い調味料です。乾燥させる工程を自分でする場合は、乾燥の方法や使う機械も衛生管理の計画に書いておきます。

ジャムやはちみつを使った調味料のように、ほかの食品と境目があいまいな物もあります。はちみつそのものは密封包装食品製造業の許可の対象から外れていますが、はちみつに別の材料を漬け込むと別の食品として扱われることがあります。

届出も要らない売り方

自分で作らず、メーカーが作って包装した調味料を仕入れて売るだけの場合は、手続きが要らないことがあります。厚生労働省は、常温で長く保存しても傷まない包装食品の販売業を「公衆衛生に与える影響が少ない営業」とし、営業届出を不要としています。

厚生労働省のQ&Aでは、この対象を「常温保存が可能で賞味期限が設定されている、製造・加工された包装食品の販売」と説明し、例として菓子類、カップ麺、清涼飲料水、茶類などを挙げています。瓶詰のしょうゆや、袋に入った市販のスパイスを、包装を開けずにそのまま売る場合は、この考え方に沿って判断することになります。

一方で、次のような売り方は届出不要の範囲を超えます。

  • 仕入れた調味料を開けて、小さな瓶に詰め替えて売る
  • 仕入れた調味料に別の材料を混ぜて、自分の商品として売る
  • 冷蔵や冷凍で保存する調味料を売る
  • 量り売りで、その場で容器に入れて売る

詰め替えや混ぜ合わせは、製造や加工、小分けに当たります。とくに小分けは、元の調味料がどの業種で作られた物かによって、食品の小分け業の許可や、元の製造業の許可が必要になることがあります。たとえば、みそやしょうゆを小分けする場合と、スパイスを小分けする場合では、扱いが違います。仕入れて売る形でも、包装に手を加えるなら保健所に確かめます。

自宅の台所で作って売れるか

調味料を副業で売りたい人の多くが知りたいのは、家の台所で作った物を売ってよいかどうかです。許可が必要な調味料の場合、答えは「家庭の台所そのままでは難しい」というのが一般的です。

営業許可の施設の基準は、厚生労働省の省令を参考に、都道府県が条例で決めています。基準には、作業場が住居の部分と壁や扉で区切られていること、手洗いの設備と食器や器具を洗う設備を分けて設けること、原材料と製品を分けて保管する場所があることなどが含まれるのが通例です。家族の食事を作る台所と兼ねたままでは、この基準を満たしにくいため、自宅の一部を専用の作業場に改装するか、外の施設を使うことになります。

外の施設としてよく使われるのが、営業許可を受けたシェアキッチンやレンタルキッチンです。施設によっては、利用者がその施設で自分の名義の許可を受けられる場合や、施設側の許可の範囲で作れる場合があります。どの業種の許可を受けた施設か、自分の名義で許可を取る必要があるかは、施設と保健所の両方に確かめます。

もう1つの方法が、製造を外に頼むことです。調味料の製造を引き受ける食品工場に、自分のレシピで作ってもらい、自分は販売者として売る形で、一般に「OEM」と呼ばれます。OEMとは、自社の商品を別の会社に作ってもらう取引のことです。自分で許可を取る必要はなくなりますが、最低の注文数が決まっていることが多く、少量から始めたい人には負担が大きくなる場合があります。

届出の対象になる調味料であれば、施設の基準はありません。ただ、自治体によっては住居と同じ場所での製造について独自の指導をしている場合もあるので、家の台所で作るつもりなら、その旨を届出の前に保健所に伝えておくと安心です。

シェアキッチンを使うときに確かめること

自宅を改装せずに許可の要る調味料を作る方法として、シェアキッチンやレンタルキッチンを使う人が増えています。ただ、施設によって受けている許可の業種も、利用者に求める手続きも違うため、契約の前に次の点を確かめます。

  • その施設がどの業種の営業許可を受けているか(菓子製造業や飲食店営業だけで、密封包装食品製造業やみそ又はしょうゆ製造業を持っていない施設もある)
  • 利用者が自分の名義で許可を受ける必要があるか、施設の許可の範囲で作れるか
  • 作った調味料の製造所として、ラベルにどの住所と名前を書くか
  • 原材料や完成した品を、施設に保管できるか
  • 食中毒や異物混入が起きたときの責任の分け方と、施設が入っている保険の範囲

とくに見落としやすいのが、許可の業種です。シェアキッチンの多くは、お菓子やパン、弁当を作る人向けに作られていて、調味料を瓶詰にする業種の許可を持っていないことがあります。「食品を作れるキッチン」というだけで決めず、作りたい調味料の業種で使えるかを、施設の運営者に書面で確かめます。

ラベルに書く製造所の所在地は、シェアキッチンの住所になります。自分の自宅の住所を製造所として書くと、表示の誤りになるので注意します。製造者と販売者が違う場合の書き方も、食品表示基準に沿って決めておきます。

食品衛生責任者を決める

営業許可でも営業届出でも、施設ごとに食品衛生責任者を1人決める必要があります。食品衛生責任者とは、施設の衛生管理の中心になる人のことで、個人で始めるなら自分がなるのが普通です。

食品衛生法施行規則では、食品衛生責任者になれる人として、次の人が挙げられています。

  • 調理師、製菓衛生師、栄養士、管理栄養士などの資格を持つ人
  • 食品衛生監視員や食品衛生管理者の資格の要件を満たす人
  • 都道府県知事などが行う講習会、または都道府県知事などが認めた講習会を受けた人

資格を持っていない人は、講習会を受けて食品衛生責任者になります。講習会は、各地の食品衛生協会などが開いています。講習の時間、受講料、日程は地域で違うため、住んでいる都道府県の食品衛生協会の案内で確かめます。

許可業種の食品衛生責任者は、決まった講習会を定期的に受けて、新しい知識を学び続けることも求められます。食品衛生責任者を決めたら、営業許可の申請や営業届出のときに、その人の名前と、資格の種類や受けた講習会を届け出ます。

許可を受けるまでの流れ

許可が必要な調味料を作る場合の、一般的な流れは次のとおりです。

  1. 作る調味料、容器、保存の方法を決め、管轄の保健所に事前に相談する
  2. 施設の図面を用意し、施設の基準に合うかを保健所に確かめてもらう
  3. 必要な改装や設備の準備をする
  4. 食品衛生責任者を決め、講習会を受けていなければ受講する
  5. 営業許可の申請をし、手数料を納める
  6. 保健所の担当者が施設を確かめ、基準に合えば許可が出る

いちばん大切なのは、1の事前の相談を、改装や設備の購入より先に済ませることです。工事を終えてから相談すると、流しの数や区切りの作り方が基準に合わず、作り直しになることがあります。図面の段階で見てもらえば、直す手間を最小限にできます。

許可には有効期間があり、期限が来る前に更新の手続きをします。期間や手数料は自治体によって違うので、許可を受けたときに確かめておきます。

手続きをせずに許可が必要な営業をした場合の罰則も、法律で決められています。食品衛生法の第82条では、許可を受けずに許可が必要な営業をした人は、2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金になり、情状によっては両方が科されます(e-Gov法令検索「食品衛生法」)。届出が必要なのに届け出なかった場合も、第85条で50万円以下の罰金の対象とされています。

ラベルに書く食品表示

容器に入れた調味料を売るときは、食品表示法に基づく食品表示基準に従って、ラベルに決まった事項を書きます。食品表示基準の第3条では、容器包装に入れた加工食品を売るときに表示する事項として、次のものが定められています。

  • 名称(その内容を表す一般的な名前)
  • 原材料名と添加物(重量の割合が高い順)
  • 内容量
  • 消費期限または賞味期限
  • 保存の方法
  • 表示に責任を持つ事業者の氏名または名称と住所
  • 製造所の所在地と製造者の氏名
  • 栄養成分の量と熱量(たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量、熱量)
  • アレルゲン(特定原材料を含む旨)
  • 原料原産地名(重量の割合が最も高い原材料の産地)

ここで、副業で始める人に関わる特例が2つあります。1つは、食品を作った場所でそのまま売る場合で、食品表示基準の第5条により、原材料名や内容量、栄養成分などの表示が要らなくなる事項があります。もう1つは、消費税を納める義務が免除されている事業者が売る場合で、栄養成分の量と熱量の表示を省略できるとされています。ただし、ネットで売る場合や、作った場所以外のマルシェで売る場合は、作った場所での販売には当たらないため、表示が必要になることが多くなります。

アレルゲンの表示は、とくに慎重に扱います。しょうゆやみそは大豆や小麦を含み、ドレッシングには卵や乳を使うものがあります。特定原材料は改正で追加されることがあり、消費者庁は令和8年4月にも、カシューナッツの特定原材料への移行に伴う改正に合わせて、事業者向けのハンドブックを改めています。表示を作るときは、消費者庁の食物アレルギー表示に関する情報で今日時点の一覧を確かめます。

賞味期限は、自分の感覚で決めずに、保存の試験をして根拠を持って決めるのが基本です。保存の試験を引き受ける検査機関もあるので、保健所に相談するときに一緒に聞いておくとよいでしょう。

健康に関する言葉と表示の注意

手作りの調味料を売るときに、つい書いてしまいがちなのが、体に良いことをうたう言葉です。「血圧が下がる」「免疫力が上がる」「やせる」のように、病気の予防や治療、体の働きに効くと受け取れる表現は、医薬品医療機器等法や健康増進法、景品表示法に触れるおそれがあります。

食品で体の働きについて表示できるのは、国の許可を受けた特定保健用食品、国の基準に合う栄養機能食品、消費者庁に届け出た機能性表示食品に限られます。個人が手作りの調味料に効き目を書くことは、基本的にできないと考えておきます。

書いてよいのは、事実として確かめられることです。使った原材料の産地、作り方の工夫、味の特徴、合う料理などは、商品の魅力として伝えられます。「無添加」「天然」のような言葉も、何を加えていないのかがはっきりしないと誤解を招くので、消費者庁の食品表示のページにある考え方を確かめ、具体的に書くようにします。

値段の付け方と原価の考え方

手作りの調味料は、材料費だけで値段を決めると、ほとんど利益が残らないことがよくあります。値段を決めるときは、材料費のほかに、次の費用を1本ごとに割り振って考えます。

  • 瓶、ふた、ラベル、シールなどの容器と表示の費用
  • シェアキッチンの利用料や、自宅の作業場の光熱費
  • 営業許可の申請手数料や講習会の受講料を、売る見込みの本数で割った額
  • 保存の試験や検査にかかった費用
  • 販売サービスの手数料、決済の手数料、送料の自己負担分
  • 作業にかかった時間に対する自分の手間賃

たとえば、材料費が1本あたり200円の調味料でも、瓶とラベルで150円、キッチンの利用料を1本あたり100円、手数料と梱包材で150円と積み上げると、それだけで600円になります。ここに作業の手間賃を加え、さらに売れ残りの分も見込んで値段を決めます。

同じような手作りの調味料が、マルシェやネットでいくらで売られているかも調べておきます。値段が高くなる場合は、原材料の産地やこだわりの製法を商品の説明で伝え、値段の理由が分かるようにします。最初は少ない本数で売ってみて、売れ方と原価を見ながら値段を見直すのが確実です。

マルシェやイベントで売るときの手続き

手作りの調味料は、マルシェや地域のイベントで、味見をしてもらいながら売ると手に取ってもらいやすい商品です。ただし、イベントで売る場合の手続きは、自治体によって扱いが大きく違います。

あらかじめ許可を受けた施設や届出をした施設で作り、包装した調味料を会場で売るだけなら、多くの場合、会場で新たな許可は要りません。一方で、会場でその場で詰め替える、量り売りをする、試食を用意するといった場合は、会場での取り扱いについて別の手続きや条件が求められることがあります。

試食は、とくに注意が必要です。不特定の人に食品を口にしてもらうことになるため、自治体によっては、試食の出し方や容器、手洗いの設備について決まりを設けています。イベントの主催者が、出店する人に保健所への手続きをまとめて案内していることも多いので、出店を決めたら主催者の案内を読み、分からない点は会場を管轄する保健所に問い合わせます。

会場では、ラベルの表示に加えて、アレルゲンを書いた案内を見やすい場所に出しておくと、買う人が安心して選べます。屋外の会場では、直射日光で瓶の中身の温度が上がりやすいので、日よけや保冷の準備もしておきます。

ネットで調味料を売るときの決まり

調味料をネットで売る場合は、食品衛生法と食品表示法に加えて、特定商取引法の通信販売の決まりも当てはまります。特定商取引法とは、ネット通販のように売り手と買い手が顔を合わせない取引で、売り手が守る表示などを定めた法律です。販売価格と送料、支払いの時期と方法、商品を届ける時期、返品の扱い、売り手の氏名と住所と電話番号などを、販売のページに表示します。

ネット販売では、ラベルの表示とは別に、販売ページにも原材料やアレルゲン、保存の方法を書いておくと、買う人が届く前に確かめられます。ラベルの写真を載せておくのも一つの方法です。

ハンドメイドの販売サービスや、フリマのアプリで調味料を売る場合は、それぞれのサービスの規約で、食品の出品に条件を付けていることがあります。営業許可や届出の写しの提出を求めるサービスもあるので、出品の前に規約と案内を読んでおきます。

配送では、瓶の割れと液漏れに気を付けます。瓶のふたをテープで留め、袋に入れてから緩衝材で包むと、万一漏れても周りを汚しにくくなります。冷蔵が必要な調味料は、クール便で送る前提で値段と送料を決めておきます。

調味料の販売で多い思い違い

調味料の販売の手続きについては、ネットの情報や人づての話をもとに、思い違いをしたまま準備を進めてしまう例が少なくありません。よく見かけるものを挙げておきます。

1つ目は、「少量なら許可は要らない」という思い違いです。食品衛生法の許可は、作る量ではなく、営業として作って売るかどうかで決まります。月に数本しか売らない場合でも、許可業種に当たる調味料なら許可が必要です。

2つ目は、「食品衛生責任者の講習を受ければ売れる」という思い違いです。食品衛生責任者は、許可や届出の際に決めておく人であって、講習を受けただけで販売の許可が出るわけではありません。許可が要る調味料なら、施設の基準を満たして許可を受けることが別に必要です。

3つ目は、「ほかの地域で大丈夫だったから、自分の地域でも大丈夫」という思い違いです。施設の基準は都道府県の条例で決まり、細かな運用は自治体ごとに違います。同じ調味料でも、地域によって求められる設備や書類が違うことがあるので、作る場所を管轄する保健所の判断に従います。

4つ目は、「ネットで売るなら食品表示は要らない」という思い違いです。容器に入れた調味料を届ける以上、ラベルの表示は必要です。販売ページに原材料を書いていても、ラベルの代わりにはなりません。

小さく始めるための準備の順番

調味料の販売を副業で始めるときは、次の順番で準備を進めると、遠回りを減らせます。

  1. 売りたい調味料を1つに絞り、レシピ、容器、保存の方法を決める
  2. 管轄の保健所に相談し、許可、届出、手続き不要のどれに当たるかを確かめる
  3. 許可が必要なら、自宅の改装、シェアキッチン、製造の委託のどれで作るかを決める
  4. 食品衛生責任者の講習会を受ける
  5. 許可の申請か届出をする
  6. 賞味期限の根拠を用意し、ラベルを作る
  7. 売る場所を決め、販売ページと特定商取引法に基づく表記を用意する

最初の1つを絞るのは、調味料ごとに業種や表示が変わるためです。たれとスパイスとみそを同時に始めようとすると、許可の種類も施設の基準もばらばらになり、準備の手間が何倍にもなります。1つを売れる形にしてから、同じ許可や届出の範囲で作れる物を広げていくのが確実です。

売上が出たら、税金の申告も確かめます。会社に勤めている人の副業なら、国税庁の案内では、給与以外の所得の合計が20万円を超えると所得税の確定申告が必要になります(国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」)。所得とは、売上から材料費や容器代、手数料などの経費を引いた額です。20万円以下でも住民税の申告は別に必要なので、売上と経費の記録を最初からつけておきます。

販売の準備で手が回らないときの考え方

調味料の販売を始めると、作ることのほかに、ラベルのデザイン、商品の写真、販売ページの文章、問い合わせへの返事、梱包と発送と、作業が次々に増えていきます。食品の場合は、表示や手続きの確認にも時間がかかります。

在宅ワークとフリーランスの仲介を2004年から続けてきた運営者として見てきた限りでは、小さく食品を売り始めて続いている人は、得意でない作業を早めに人に任せています。とくにラベルは、表示の決まりを守りながら、店頭で手に取ってもらえる見た目に仕上げる必要があり、デザインを仕事にしている人の力が生きる場面です。デザインの仕事の相場は、デザイナーの年収・単価相場で会社員とフリーランスの収入の目安を確かめられます。

商品の説明文や、保健所への相談の前にまとめる資料を分かりやすく書く力は、文書の書き方を学ぶことで伸ばせます。ビジネス文書検定は、社内外に出す文書を正しく分かりやすく書く力を測る検定で、販売ページや問い合わせへの返事にも役立つ内容です。在宅で取り組める資格を広く知りたい人は、在宅ワークに強い資格10選|自宅で稼げるスキルを身につけるも参考になります。

よくある質問

Q. 手作りのドレッシングを売るには許可が必要ですか?

瓶に詰めて常温で保存するドレッシングは、密封包装食品製造業の許可の対象になることが多い調味料です。ただし、酸の強さや水分の量、冷蔵で保存するかどうかで扱いが変わることがあります。レシピと容器と保存の方法を持って、管轄の保健所に相談してから準備を始めるのが確実です。

Q. ミックススパイスを袋に詰めて売る場合はどうなりますか?

乾燥スパイスを混ぜて袋や瓶に詰める場合は、営業許可ではなく営業届出の対象になることが多くなります。食品衛生法施行規則で、乾燥スパイス類やそれらを混ぜた食品は密封包装食品製造業の許可の対象から外れるとされているためです。届出でも食品衛生責任者を決め、衛生管理の計画と記録をつけます。

Q. 家の台所で作ったみそを売ってもよいですか?

みそはみそ又はしょうゆ製造業という許可業種で、許可を受けた施設で作る必要があります。施設の基準は都道府県の条例で決まり、住居と区切られた作業場や専用の洗い場などが求められるのが通例です。家族の食事を作る台所そのままでは基準を満たしにくいため、改装やシェアキッチンの利用を保健所と相談します。

Q. マルシェで少量だけ売る場合も食品表示は必要ですか?

容器に入れた調味料を売る場合は、少量でも食品表示基準に沿った表示が基本です。作った場所でそのまま売る場合は一部の表示が要らなくなり、消費税の免税事業者は栄養成分の表示を省略できますが、マルシェは作った場所とは別のことが多くなります。出店する前に、表示の内容を保健所や消費者庁の案内で確かめます。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年9月16日最終更新:2026年10月29日
@SOHO編集部

この記事を書いた人

@SOHO編集部

フリーランス・在宅ワークの専門メディア

@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。

@SOHOで仕事を探してみませんか?

手数料0%・登録無料のクラウドソーシング。フリーランスの方も企業の方も、今すぐ始められます。

関連記事

カテゴリから探す

クラウドソーシング入門

クラウドソーシング入門

クラウドソーシングの基礎知識・始め方・サイト比較

職種別ガイド

職種別ガイド

職種・スキル別の案件獲得方法と単価相場

フリーランス

フリーランス

フリーランスの独立・営業・実務ノウハウ

お金・税金

お金・税金

確定申告・節税・経費・ローンなどお金の知識

スキルアップ

スキルアップ

プロフィール・提案文・単価交渉などのテクニック

比較・ランキング

比較・ランキング

サービス比較・おすすめランキング

AI活用

AI活用

職種別にChatGPT・生成AIを活用して業務効率化・収益化するノウハウ

最新トレンド

最新トレンド

市場動向・法改正・AIなど最新情報

発注者向けガイド

発注者向けガイド

クラウドソーシングで外注・人材探しをする企業・個人向け

転職・キャリア

転職・キャリア

転職エージェント・転職サイト比較・キャリアチェンジ

看護師の転職・求人

看護師の転職・求人

看護師の転職・派遣・単発バイト・副業など働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

薬剤師の転職・求人

薬剤師の転職・求人

薬剤師・登録販売者の転職・派遣・パートなど働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

介護職の転職・求人

介護職の転職・求人

介護職・介護福祉士・ケアマネジャー・訪問介護員の転職・派遣・夜勤など働き方のガイド

保育士の転職・求人

保育士の転職・求人

保育士・保育補助・幼稚園教諭の転職・派遣・パートなど働き方のガイド

医療職の転職・求人

医療職の転職・求人

医師・産業医・リハビリ職・歯科衛生士・管理栄養士・医療事務の転職や働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

保険

保険

生命保険・医療保険・フリーランスの保険設計

採用・求人

採用・求人

無料求人掲載・採用コスト削減・人材募集の方法

オフィス・ワークスペース

オフィス・ワークスペース

バーチャルオフィス・コワーキング・レンタルオフィス

法律・士業

法律・士業

契約トラブル・士業独立開業・フリーランス新法

シニア・50代

シニア・50代

シニア世代のキャリアチェンジ・副業・年金

セキュリティ

セキュリティ

サイバーセキュリティ・脆弱性対策・情報保護

金融・フィンテック

金融・フィンテック

暗号資産・決済・ブロックチェーン・金融テクノロジー

経営・ビジネス

経営・ビジネス

経営戦略・ガバナンス・事業承継・知財

ガジェット・機材

ガジェット・機材

フリーランスに役立つPC・デバイス・周辺機器

子育て×働き方

子育て×働き方

子育てと在宅ワークの両立・保育園・時間管理

補助金・助成金

補助金・助成金

個人事業主・フリーランスが使える公的補助金・助成金・給付金の申請ガイド

M&A・事業売却

M&A・事業売却

会社売却・事業承継・事業譲渡を考える経営者向け。売却の流れ、税金、従業員への伝え方、仲介会社の選び方

アウトソーシング・外注ガイド

アウトソーシング・外注ガイド

SNS運用・経理・広告など、業務のアウトソーシング(外注)を検討する企業・個人向け。費用相場・依頼の流れ・失敗しない選び方