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治験ボランティアとは|参加の流れと注意点

@SOHO編集部
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治験ボランティアとは|参加の流れと注意点

この記事のポイント

  • ✓治験ボランティアとは何かを
  • ✓初めて調べる人向けに説明します
  • ✓事前検診から終了までの流れ

治験ボランティアとは、新しい薬の候補が国の承認を得るための試験(治験)に、自分の意思で参加する人のことです。「空いた時間で収入を得る方法」を調べていて、治験の募集を目にした人もいるかもしれません。ただし、治験は仕事ではなく、医療の試験への協力です。参加した人に支払われるお金は報酬ではなく、通院や入院にともなう負担を軽くするための「負担軽減費」として扱われます。この記事では、治験ボランティアとは何か、どんなルールで守られているか、参加できる人の条件、募集の探し方、参加の流れ、お金と税金の扱い、仕事との両立、参加する前に確かめたい注意点までを順に説明します。参加するかどうかは、ここに書いた事実をもとに、説明を受けたうえでご自身で決めてください。

治験とは何か、治験ボランティアの役割

薬は、すぐに病院で使えるようになるわけではありません。厚生労働省の一般向けの解説では、薬ができるまでの流れが次のように説明されています。まず、化学合成した物質や、植物、土の中の菌、海の生き物などから見つかった物質の中から、試験管の中の実験や動物実験で、病気に効果があり、人に使っても安全と予測されるものが「くすりの候補」として選ばれます。その開発の最終段階で、健康な人や患者さんの協力によって、人での効果と安全性を調べる試験が行われます。

人で行う試験を一般に「臨床試験」といい、そのうち、くすりの候補について国の承認を得るための成績を集める臨床試験を、特に「治験」と呼びます。治験で得られた成績を国が審査し、病気の治療に必要で、安全に使っていけると認めたものが、薬として使えるようになります。

治験ボランティアは、この治験に協力する人のことです。治験には大きく分けて、健康な人が参加するものと、その病気の患者さんが参加するものがあります。

  • 健康な人が参加する治験では、くすりの候補を少量から使い、体の中でどう吸収され、どう排出されるか、副作用が出ないかを調べます。一般に、開発の初期の段階で行われます。
  • 患者さんが参加する治験では、その病気に対して、くすりの候補がどれくらい効くか、どのくらいの量が適切か、既存の薬と比べてどうかを調べます。

副業や収入の観点で「治験ボランティア」を調べている人が目にする募集の多くは、健康な人を対象とした治験です。一方、持病がある人は、その病気の治験に参加できる場合があります。どちらの場合も、参加するかどうかは、病院から詳しい説明を受けたうえで、自分で決めます。

治験は病院で行われます。厚生労働省の解説によると、治験を行う病院は「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」という規則で定められた要件を満たす病院だけが選ばれます。医療設備が十分に整っていること、責任を持って治験を行う医師や看護師、薬剤師がそろっていること、治験の内容を審査する委員会を利用できること、緊急のときにすぐ必要な治療ができること、といった条件です。

治験ボランティアを守るルール「GCP」

治験は、新しい薬の候補を人に使う試験であるため、参加する人の安全と権利を守るルールが国によって細かく決められています。そのルールの中心が「GCP」です。GCPとは、「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」のことで、治験を行う製薬会社、病院、医師が守らなければならない決まりです。厚生労働省は、このルールが欧米をはじめ国際的に認められたものだと説明しています。

厚生労働省の解説で挙げられているGCPの主なルールは、次のとおりです。

  1. 治験の内容を国に届け出ること。製薬会社は、薬の量や回数、検査の内容と時期を書いた「治験実施計画書」を厚生労働省に届け出ます。
  2. 治験審査委員会で、治験の内容を前もって審査すること。参加する人の人権と福祉を守る計画になっているか、医師は適切か、参加する人への説明が正しく行われるようになっているかを審査します。委員会には、医療を専門としない人や、病院と利害関係のない人が必ず加わります。
  3. 同意が得られた人だけを治験に参加させること。目的、方法、期待される効果、予測される副作用などを文書で説明し、文書で同意を得ます。
  4. 重大な副作用を国に報告すること。これまで知られていない重大な副作用が出たときは国に報告され、必要に応じて計画の見直しが行われます。
  5. 製薬会社が、治験が正しく行われているかを確かめること。

もう1つ、参加する人にとって大切なのが、健康被害への補償です。GCPの第14条では、治験を依頼する製薬会社などは、あらかじめ、参加した人に生じた健康被害の補償のために、保険契約の締結などの必要な措置をとっておかなければならないと定めています(医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令)。治験に参加して副作用などの健康被害が出た場合、必要な治療が行われ、補償を請求できる仕組みがあるということです。補償の具体的な内容は治験ごとに違うため、説明文書で確かめます。

こうしたルールがあるため、治験は「怪しいもの」ではありません。ただし、ルールがあることと、自分の体にリスクがないことは別です。くすりの候補は、まだ人での安全性が確かめきれていないからこそ治験を行っています。この点を理解したうえで、参加を考えることが大切です。

インフォームド・コンセントと説明文書

治験に参加する前には、必ず「インフォームド・コンセント」という手続きを経ます。インフォームド・コンセントとは、十分な説明を受け、内容を理解したうえで、自分の意思で同意することです。厚生労働省は、治験への参加について次のように説明しています。

治験に参加するかしないかは、だれからも強制されることなく、自分の意思で決めてください。説明を受けたその場で決めず、説明文書を持ち帰って家族に相談してから決めることもできます。 出典: 厚生労働省 治験について(一般の方へ)インフォームド・コンセント

説明のときに渡される「説明文書」には、GCPの第51条で、書かなければならない項目が決められています。主なものは次のとおりです。

  • 治験が試験を目的とするものであること
  • 治験の目的と方法、参加する期間
  • 予測される利益と不利益(副作用など)
  • 治験の参加をいつでも取りやめられること
  • 参加しない、または途中でやめても不利益な扱いを受けないこと
  • 健康被害が起きたときの連絡先と、必要な治療が行われること
  • 健康被害の補償に関すること
  • 参加する人が負担する費用があるときは、その内容
  • 担当する医師の氏名と連絡先

また、説明文書には、参加する人に権利を放棄させるような書き方や、病院や製薬会社の責任を軽くするような書き方をしてはならないこと、できる限り分かりやすい表現を使わなければならないことも定められています。

説明の場では、分からないことは納得するまで何でも質問できます。GCPの第50条でも、医師は質問の機会を与え、十分に答えなければならないとされています。同意する場合は、同意文書に、参加する人と説明した医師が日付を書いて署名します。同意文書の控えと説明文書は、参加する人に渡されます。

説明を聞くときは、次の点を確かめておくと安心です。

  1. 入院の日数と通院の回数、それぞれの日程
  2. 守らなければならない生活上の制限(飲酒、運動、食事、ほかの薬の使用など)
  3. 予測される副作用と、その頻度
  4. 途中でやめたい場合の手続き
  5. 健康被害が出たときの連絡先と補償の内容
  6. 負担軽減費の金額と、支払われる時期

治験ボランティアに参加できる人の条件

治験には、それぞれ参加できる人の条件が決められています。この条件は治験実施計画書で定められ、治験ごとに違います。健康な人を対象とした治験の募集でよく見られる条件には、次のようなものがあります。

  • 年齢の範囲(成人であることなど)
  • 性別
  • 身長と体重から計算する体格の指数の範囲
  • 持病がないこと、定期的に飲んでいる薬がないこと
  • 喫煙の有無
  • 前回の治験の参加から一定の期間がたっていること
  • 決められた期間の入院や通院ができること

条件を満たしているかどうかは、応募した時点では決まりません。事前検診と呼ばれる健康診断で、血液検査、尿検査、心電図などを受け、その結果をもとに病院が判断します。事前検診の結果によっては、参加できないこともあります。

「前回の参加から一定の期間がたっていること」という条件は、前の治験で使った薬の影響が体に残っていないことを確かめ、参加する人の安全と試験の正確さを守るためのものです。この期間をごまかして参加することは、自分の体を危険にさらすうえ、試験の結果をゆがめることになります。過去の参加歴は正直に伝えてください。

持病がある人は、健康な人を対象とした治験には参加できないことが多い一方で、その病気の治験に参加できる場合があります。病気の治験に関心がある場合は、まず主治医に相談するのが確実です。

治験ボランティアの募集の探し方

治験ボランティアの募集を探す方法には、主に次の3つがあります。

1つ目は、治験の情報を公開しているサイトで探す方法です。厚生労働省は、国内で行われている治験を含む臨床研究の情報を公開するサイトとして、臨床研究等提出・公開システム(jRCT)を紹介しています。jRCTでは、病気の名前や、募集中かどうか、医療機関のある都道府県などで検索できます。ただし、jRCTは研究の情報を公開するためのもので、応募の窓口ではありません。参加したい場合は、掲載されている問い合わせ先に連絡します。

2つ目は、治験を行っている病院や、治験の参加者を募集する団体に登録する方法です。健康な人を対象とした治験の多くは、こうした団体を通じて参加者を募集しています。登録すると、条件に合う治験の案内が届く仕組みが一般的です。

3つ目は、通院している病院で主治医に相談する方法です。病気の治験は、その病気を診ている医療機関で行われることが多く、主治医から案内を受けることもあります。

募集を見るときに気をつけたいのは、言葉づかいです。正式に治験ボランティアを募集している団体は、「高収入」「高額」「アルバイト」「バイト」といった言葉で治験をうたわないことを方針にしているところが多くあります。治験は自由な意思で参加する医療の試験であり、お金を目的とした仕事として募集するものではないからです。「楽して高額」「寝ているだけで稼げる」のような表現で参加を誘う広告や、SNSの個人からの勧誘は、内容をよく確かめ、少しでも不安があれば応募しないことをおすすめします。

また、登録のときに、治験と関係のない情報(銀行口座の暗証番号、クレジットカードの情報など)を求められたり、登録料や紹介料を先に払うよう言われたりした場合は、正規の募集ではないと考えてください。迷ったときは、消費生活センターに相談できます。

正規の募集かどうかを見分ける手がかりとして、治験を行う病院の名前と所在地がはっきり示されているか、説明会や事前検診の案内があるか、参加をやめられることが明記されているかを確かめます。病院の名前が分からないまま、日程と金額だけを強調して参加を急がせる勧誘は、少なくとも即答しないことが大切です。登録した団体の運営会社の所在地や連絡先も、あらかじめ確かめておくと安心です。

治験に参加する流れ

健康な人を対象とした治験を例に、参加の流れを説明します。細かい内容は治験ごとに違います。

  1. 募集に応募する。団体のサイトや病院の窓口から、条件に合う治験に申し込みます。
  2. 説明会に参加する。治験の目的、方法、日程、予測される副作用、負担軽減費などの説明を受けます。この段階で参加をやめることもできます。
  3. 同意する。内容を理解し、参加すると決めたら、同意文書に署名します。説明文書を持ち帰って、家族と相談してから決めることもできます。
  4. 事前検診を受ける。血液検査や心電図などで、参加の条件を満たしているかを確かめます。
  5. 参加が決まる。検診の結果をもとに、病院から参加できるかどうかの連絡が来ます。
  6. 入院または通院する。決められた日程で入院したり、通院したりして、くすりの候補を使い、採血などの検査を受けます。入院中は、食事や運動、外出などに決まりがあります。
  7. 事後検診を受ける。治験が終わったあとも、体に異常がないかを確かめる検査を受けます。
  8. 負担軽減費を受け取る。決められた時期に、指定した口座に振り込まれるのが一般的です。

入院する治験では、決められた時刻に採血があり、食事の内容と時間も決められています。入院中は、読書やパソコン作業などで過ごせる場合が多いものの、通信の環境や持ち込める物には決まりがあることがあります。入院の生活について気になることは、説明会で確かめておきます。

途中でやめたくなった場合は、いつでもやめられます。やめても不利益な扱いを受けないことは、GCPで説明文書に書くよう定められています。体調に異変を感じたときは、我慢せず、すぐに担当の医師や看護師に伝えてください。

治験中に守ること

治験では、参加する人の安全を守り、信頼できるデータを集めるために、参加している間に守らなければならないことがあります。その内容は、インフォームド・コンセントのときに渡される説明文書に書かれています。厚生労働省の解説では、一般的な注意として次の点が挙げられています。

1つ目は、くすりの候補の使い方と検査です。服用の方法、期間、回数を正確に守ります。使わなかった分は、まだ国から承認された薬ではないため、必ず返却します。自分の判断で量を変えたり、飲むのをやめたりせず、気になることがあれば担当の医師に相談します。

2つ目は、生活上の注意です。治験の内容によっては、食事や運動についての注意や、飲酒や喫煙の制限があります。健康な人を対象とした入院の治験では、入院の前の数日間から、飲酒や激しい運動、特定の食べ物や飲み物を控えるよう求められることがあります。こうした決まりは、くすりの候補の働きを正しく調べるためのものです。

3つ目は、ほかの病院を受診するときや、ほかの薬を使うときの注意です。ほかの薬とくすりの候補を組み合わせて使うと、それぞれの作用を弱めたり強めたりするなど、予期しないことが起こる可能性があります。厚生労働省は、ほかの病院を受診するときは前もって治験を担当する医師に相談し、受診先の医師にも治験に参加していることを伝えるよう求めています。市販の風邪薬や漢方薬を使う場合も同じです。

4つ目は、体調に変化があったときの連絡です。いつもと違う症状が出たときは、すぐに担当の医師に連絡します。連絡先は説明文書に書かれているので、すぐに見られる場所に控えておきます。

こうした決まりは、入院していない期間、つまり通院の合間の日常生活にも及びます。本業の飲み会、家族の行事、旅行の予定などが治験の期間と重なる場合は、決まりを守れるかを参加の前に考えておきます。

治験中の安全を確かめる仕組み

治験に参加する人にとって、いちばん気になるのは安全のことです。厚生労働省は、治験では安全性に最も注意が払われていると説明し、その仕組みとして次のようなものを挙げています。

まず、治験の途中で何度も、製薬会社の担当者が病院を訪れ、予定どおりに診察や検査が行われているかを確かめます。これを「モニタリング」といいます。治験の内容を前もって審査した治験審査委員会も、1年に1回以上、治験が適切に行われているかを審査します。

治験の途中で、死亡や、これまで知られていない重大な副作用が起きた場合は、速やかに治験審査委員会と製薬会社に連絡されます。治験審査委員会は治験を続けてよいかを審査し、製薬会社は、重大な副作用の場合などには決められた期限内に国に報告し、必要なら治験を見直します。

参加している途中で、ほかの参加者に見られた副作用などについて説明を受け、参加を続ける意思があるかを改めて確かめられることもあります。最初に同意したからといって、最後まで参加しなければならないわけではありません。新しい情報を聞いて不安を感じたら、その時点でやめることができます。

こうした仕組みがあることは、治験のリスクがないことを意味するわけではありません。仕組みは、起きたことに早く気づき、参加する人を守るためのものです。説明文書には、これまでに見られた副作用や予測される副作用が書かれているので、よく読んでおきます。

患者として治験に参加する場合の配慮

持病のある人が、その病気の治験に参加する場合は、健康な人の治験とは少し事情が違います。厚生労働省の解説では、治験に参加すると、ふだんの治療に比べて通院や検査の回数が増えることがあると説明されています。そのため、治験を行っている病院では、参加する患者さんの負担を少なくするための配慮がされています。

厚生労働省が例として挙げているのは、次のような配慮です。

  • 診察の待ち時間を短くするための、治験専門の外来診察
  • 服薬の指導や相談を受ける専任の看護師や薬剤師
  • 治験や健康についての質問に応じる相談窓口
  • くすりの候補を使っている期間の検査費用と、一部の薬の費用を、治験を依頼した製薬会社が負担すること
  • 一定の範囲での通院の交通費の補助

こうした配慮の内容は病院によって違うため、参加する前に病院に尋ねるよう案内されています。患者として参加する場合は、治験の目的が自分の病気の新しい治療法の開発にあるため、参加するかどうかは、主治医とよく相談して決めることが大切です。治験に参加しない場合の治療法についても、説明文書に書かれています。

応募する前に整理しておくと役立つこと

治験ボランティアに応募する前に、次のことを整理しておくと、説明会や事前検診がスムーズに進みます。

  1. 過去の病気やけが、手術の経験
  2. 現在使っている薬やサプリメント
  3. アレルギーの有無
  4. 過去に治験に参加した経験があれば、その時期
  5. 喫煙や飲酒の習慣
  6. 参加できる期間と、どうしても外せない予定

これらは、参加の条件を満たしているかを判断し、参加する人の安全を守るために病院が確かめる情報です。忘れていたり、言いにくかったりする内容もあるかもしれませんが、正確に伝えることが自分の体を守ることにつながります。

負担軽減費の性格と、税金の扱い

治験ボランティアに支払われるお金は、一般に「負担軽減費」と呼ばれます。負担軽減費とは、治験に参加することで生じる交通費や、入院や通院で時間を拘束されることなどの負担を軽くするために支払われるお金です。仕事の対価として支払われる給料や報酬とは性格が違います。

負担軽減費の金額は、入院の日数、通院の回数、検査の内容などによって治験ごとに決められ、説明会で示されます。同じ治験に参加する人の間では、同じ基準で支払われるのが一般的です。参加を検討するときは、金額だけで治験を選ぶのではなく、日程、生活上の制限、予測される副作用を合わせて考えることが大切です。

負担軽減費を受け取った場合、税金の申告が必要になることがあります。一般に、治験の負担軽減費は雑所得として扱われることが多いとされています。会社員など給与を受け取っている人の場合、国税庁は、給与所得や退職所得以外の所得の合計が20万円を超える人は確定申告が必要だと案内しています。詳しくは国税庁のタックスアンサーで確かめられます。

ここでいう20万円は、負担軽減費だけでなく、副業などほかの所得と合わせた金額で判断します。また、この基準は所得税だけの話で、住民税には同じ基準がありません。所得税の確定申告が要らない場合でも、住民税の申告が必要になることがあります。どのように申告すればよいかは、金額や事情で変わるため、税務署や住んでいる市区町村の窓口で確かめてください。支払いの明細は、申告のときのために保存しておきます。

仕事や家庭との両立で考えておくこと

治験ボランティアを考える人の多くは、会社員、主婦、学生など、ほかに本業や役割を持っています。参加する前に、次の点を考えておきます。

1つ目は、日程です。入院する治験では、数日から数週間、続けて病院に泊まることがあります。通院する治験でも、決められた日に何度か病院に通う必要があります。会社員の場合は、休暇が取れるかを先に確かめます。日程は治験実施計画書で決められているため、参加の途中で自分の都合に合わせて変えることはできないと考えてください。

2つ目は、勤務先の就業規則です。治験への参加は仕事ではありませんが、勤務先によっては、長期の休暇の取り方や、副業や兼業に関する決まりに触れることがあります。気になる場合は、就業規則を確かめておきます。

3つ目は、家族への説明です。入院する治験では、家族に日程と病院の連絡先を伝えておくことが大切です。説明文書を持ち帰って、家族と一緒に読むのもよい方法です。

4つ目は、体調の管理です。治験の前後には、飲酒や激しい運動、ほかの薬の使用を控えるよう求められることがあります。本業の付き合いや予定と重ならないかも確かめておきます。

5つ目は、続けて参加しようと考えないことです。前回の参加から一定の期間をあけることが求められるのは、体の安全のためです。治験を定期的な収入の手段として当てにする考え方は、治験の性格にも、自分の健康にも合いません。

治験ボランティアを考えてよい人と、見送ったほうがよい人

治験ボランティアへの参加を前向きに考えてよいのは、次のような人です。

  • 新しい薬の開発に協力したいという気持ちがある人
  • 説明文書をじっくり読み、分からないことを質問できる人
  • 決められた日程で入院や通院ができ、生活上の決まりを守れる人
  • 家族に参加を伝え、理解を得られる人

一方で、次のような場合は、参加を見送ることを考えてください。

  • お金が目的で、決まりを守ることや副作用の説明を軽く考えてしまいそうな場合
  • 本業や家庭の事情で、日程の途中で抜けなければならない可能性が高い場合
  • 説明を聞いても不安が消えない場合
  • 家族が強く反対している場合
  • 体調に気になる点があるのに、まだ医師に相談していない場合

治験は、参加する人が決まりを守り、正確な情報を伝えることで、はじめて信頼できる結果が得られる試験です。お金を目当てに無理をして参加すると、自分の体を危険にさらすだけでなく、試験の結果にも影響します。迷ったときは、参加しないほうを選んでも問題はありません。

治験ボランティアに参加する前の注意点

ここまでの内容を、参加する前に確かめたい注意点として整理します。

  • 治験は仕事ではなく、医療の試験への協力であること。支払われるお金は負担軽減費であり、報酬ではないこと。
  • くすりの候補は、まだ人での安全性が確かめきれていないこと。副作用が起きる可能性があること。
  • 説明文書をよく読み、分からないことは納得するまで質問すること。その場で決めず、持ち帰って考えてもよいこと。
  • 参加はいつでもやめられ、やめても不利益を受けないこと。
  • 健康被害が起きたときの連絡先と補償の内容を確かめておくこと。
  • 過去の参加歴、持病、飲んでいる薬を正直に伝えること。
  • 「高収入」「楽して稼げる」とうたう募集や、登録料を求める募集には応募しないこと。
  • 負担軽減費を受け取ったら、申告が必要かどうかを確かめること。

治験に参加するかどうかは、体と時間に関わる大切な判断です。健康や体調について不安がある場合は、参加を決める前に、かかりつけの医師に相談してください。

治験に参加しないという選択

説明を聞いたうえで、参加しないと決めることも、正しい判断の1つです。厚生労働省の解説にあるとおり、治験への参加は誰からも強制されません。日程が合わない、副作用の説明を聞いて不安が残った、家族が心配している、といった理由で参加を見送る人は少なくありません。説明会に参加したからといって、参加しなければならないわけではありません。

収入を得る方法を探しているのであれば、治験とは別に、在宅でできる仕事を探すほうが、自分の生活に合わせて続けやすいこともあります。次の節では、医療や研究の分野に関わる在宅の仕事の広がりを紹介します。

在宅ワーク市場から見た医療・研究分野の仕事の広がり

在宅ワークとフリーランスの仲介を2004年から続けてきた運営者として見てきた限りでは、医療や研究の分野に関心を持つ人が在宅で長く続けている仕事には、共通点があります。それは、自分の体や時間を差し出す形ではなく、知識や文章の力を少しずつ積み上げていく形の仕事だということです。治験について調べて理解を深めた経験も、医療や健康の分野の情報を正しく読み解く力として、ほかの仕事に活かせます。

たとえば、医療や製薬の分野では、研究の内容を一般の人に分かりやすく伝える文章の仕事や、資料の作成、データの整理といった業務が、業務委託でも行われています。研究に関わる仕事の収入の目安を知りたい人は、研究者の年収・単価相場で確かめられます。研究職の働き方や、分野ごとの単価の傾向をまとめたページです。

また、正確で分かりやすい文章を書く力は、医療の分野に限らず、在宅の仕事全般で求められています。文章の基礎を体系的に学びたい人には、ビジネス文書検定があります。文書の構成や表現のルールを学べる検定で、仕事の連絡や報告書の作成にも活かせます。データの整理や分析、AIを使った業務の効率化に関心がある人には、AIコンサル・業務活用支援のお仕事のように、新しい分野の仕事もあります。

在宅の仕事を受けるときは、仲介の手数料が手取りを左右します。仲介に手数料0%の仕組みを選べば、同じ報酬でも手元に残る額が厚くなります。治験への参加を考えるときと同じように、仕事を選ぶときも、条件をよく確かめ、自分の生活に合う形を選んでください。

よくある質問

Q. 治験ボランティアと治験バイトは何が違いますか?

治験は国の承認を得るための医療の試験で、参加は自由な意思による協力です。支払われるお金は仕事の対価ではなく、通院や入院の負担を軽くするための負担軽減費として扱われます。正式に募集している団体は「バイト」「高収入」といった言葉を使わない方針のところが多く、そうした表現で誘う募集は内容をよく確かめてください。

Q. 治験に参加して副作用が出たらどうなりますか?

治験を依頼する製薬会社などは、健康被害の補償のために保険契約などの措置をとることが省令で義務づけられています。健康被害が出た場合は必要な治療が行われ、補償を請求できます。補償の具体的な内容や連絡先は治験ごとに違うため、参加する前に説明文書で確かめておきます。体調に異変を感じたら、すぐに担当者に伝えてください。

Q. 治験の途中でやめることはできますか?

いつでもやめることができます。治験に参加しないことや途中でやめることで不利益な扱いを受けないことは、説明文書に書くよう省令で定められています。やめたいと思ったときは、担当の医師や看護師に伝えてください。体の安全のため、やめたあとに検査を受けるよう求められることがあります。

Q. 治験の負担軽減費は確定申告が必要ですか?

一般に雑所得として扱われることが多く、会社員の場合はほかの副業などと合わせた給与以外の所得が20万円を超えると確定申告が必要です。20万円以下でも住民税の申告が必要になることがあります。扱いは金額や事情で変わるため、税務署や住んでいる市区町村の窓口で確かめてください。

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年11月1日最終更新:2026年11月2日
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