高年齢雇用継続給付は会社が変わった場合どうなるか|転職後の届け出と条件 2026

@SOHO編集部
@SOHO編集部
高年齢雇用継続給付は会社が変わった場合どうなるか|転職後の届け出と条件 2026

この記事のポイント

  • ✓高年齢雇用継続給付を受けている人や受ける予定の人が
  • ✓会社が変わった場合に給付が続くのかを
  • ✓ハローワークの資料で整理しました

高年齢雇用継続給付を受けている途中で、あるいは受ける予定のまま、会社が変わった場合に給付がどうなるのか。60歳を過ぎて転職や転籍を考えている人にとって、ここは収入の見通しに直結する問題です。

結論から書きます。会社が変わっても、雇用保険の加入が途切れた期間が1年以内で、その間に失業給付(基本手当)や再就職手当を受け取っていなければ、それまでの加入期間は通算され、新しい会社で引き続き給付を受けられる可能性があります。反対に、失業給付を受け取ってから再就職した場合は、同じ給付ではなく「高年齢再就職給付金」という別の給付の対象になるかどうかを確かめることになります。そして、業務委託やフリーランスに切り替えた場合や、週20時間未満の働き方になった場合は、雇用保険の加入者でなくなるため給付は止まります。この記事では、ハローワークが公開している資料をもとに、会社が変わったときの分かれ道と、新しい会社でやる手続きを順番に整理します。

高年齢雇用継続給付とはどんな制度か

高年齢雇用継続給付とは、60歳以降も働き続けている人の給料が、60歳時点と比べて大きく下がったときに、雇用保険から下がった分の一部を補うお金が出る制度です。定年後の再雇用で給料が下がるのはよくある話で、その落ち込みを和らげて65歳まで働き続けやすくすることが目的とされています。

この給付には2つの種類があります。1つは「高年齢雇用継続基本給付金」で、失業給付を受けずに働き続けている人が対象です。もう1つは「高年齢再就職給付金」で、失業給付を受けたあと60歳以降に再就職した人が対象です。会社が変わった場合にどちらの話になるのかは、この違いでほぼ決まります。

ハローワークインターネットサービスは、制度の概要を次のように説明しています。

高年齢雇用継続給付は、「高年齢雇用継続基本給付金」と基本手当を受給し、60歳以後再就職した場合に支払われる「高年齢再就職給付金」とに分かれますが、雇用保険の被保険者であった期間が5年以上ある60歳以上65歳未満の一般被保険者が、原則として60歳以降の賃金が60歳時点に比べて、75%未満に低下した状態で働き続ける場合に支給されます。 出典: hellowork.mhlw.go.jp

ここで出てくる言葉を言い換えておきます。「一般被保険者」とは、65歳未満で雇用保険に入っている会社員やパートのことです。「被保険者であった期間」とは、雇用保険に入って働いていた期間の合計のことです。要件をまとめると、60歳以上65歳未満であること、雇用保険の加入期間が合計5年以上あること、そして60歳以降の給料が60歳時点の75%未満に下がっていることの3つです。

会社が変わる場面で問題になるのは、このうち2つ目の「加入期間5年以上」がどう数えられるか、そして3つ目の「60歳時点と比べる」の基準がどこになるかです。この2点を押さえると、自分のケースがどこに当てはまるかが見えてきます。

給付の金額と、令和7年4月に変わった支給率

会社が変わったときの話に入る前に、いくらもらえる制度なのかを確認しておきます。転職で給料が変わると支給額も変わるので、計算の仕組みを知っておくと新しい会社の条件を比べやすくなります。

令和7年4月1日以降に60歳になった人(60歳の時点で加入期間が5年に届かなかった人は、5年に届いた日が令和7年4月1日以降の人)は、各月の給料が60歳時点の64%以下に下がっていれば、その月の給料の10%が支給されます。64%を超えて75%未満のときは、下がり方に応じて10%より小さい割合になります。それより前に60歳になった人は、61%以下で15%という旧来の割合が適用されます。

ハローワークの資料には、賃金月額(60歳になる前6か月の平均の給料)が30万円の人の例が載っています。60歳以降の給料が18万円なら、下がった割合は60%なので、18万円の10%にあたる1万8,000円が支給されます。給料が20万円なら下がった割合は66.67%で、支給額は14,545円です。給料が26万円なら75%未満に下がっていないので支給されません。

上限と下限もあります。令和8年8月1日から令和9年7月31日までの額として、各月の給料が397,369円以上なら支給されず、給料と給付の合計が397,369円を超える場合は超えない範囲に減らされます。計算した支給額が2,562円以下のときも支給されません。60歳時点の賃金月額にも上限522,000円と下限96,090円があり、これらの額は毎年8月1日に見直されます。

転職を考えるときに大事なのは、給付が「新しい会社の給料」に対して計算されるという点です。新しい会社で給料が上がって60歳時点の75%以上になれば、給付は出なくなります。給付が止まること自体は損ではなく、給料そのものが戻ったという意味です。転職先の条件を比べるときは、給付込みの手取りで比べるのではなく、まず給料そのもので比べ、そのうえで給付が出るかどうかを足し合わせて考えるのが筋です。

会社が変わったときの分かれ道は「1年以内」と「失業給付を受けたか」

ここからが本題です。会社が変わると、前の会社で雇用保険の資格を失い、新しい会社で資格を取り直すことになります。このとき、それまでの加入期間がリセットされるのか、引き継がれるのかが最初の分かれ道です。

ハローワークの資料「高年齢雇用継続給付の内容及び支給申請手続について」には、加入期間の数え方について次の注記があります。

離職等による被保険者資格の喪失から新たな被保険者資格の取得までの間が1年以内であること及びその間に求職者給付及び就業促進手当を受給していない場合、過去の「被保険者であった期間」として通算されます。 出典: hellowork.mhlw.go.jp

言い換えると、次の2つを両方満たせば、前の会社での加入期間は新しい会社の分と合算されます。

  1. 前の会社を辞めてから新しい会社で雇用保険に入るまでの間が1年以内であること
  2. その間に、失業給付(求職者給付)や再就職手当などの就職を後押しする給付(就業促進手当)を受け取っていないこと

この2つを満たしていれば、加入期間が5年以上という要件は前の会社の分を含めて判断されます。つまり、定年後の再雇用先から別の会社に移った場合でも、間を空けずに雇用保険に入り直していれば、新しい会社で高年齢雇用継続基本給付金を受け続けられる見込みがあります。

反対に、どちらかが崩れると話が変わります。辞めてから1年を超えて空いた場合は、前の加入期間が通算されず、新しい会社で5年を積み直す必要があります。60歳を過ぎてから5年を積み直すと、多くの場合は65歳に届いてしまい、実質的に給付を受ける期間が残りません。失業給付を受け取った場合は、高年齢雇用継続基本給付金ではなく、高年齢再就職給付金の対象になるかどうかを確かめることになります。この違いは次の節で詳しく見ます。

相談の場でよく見かけるのは、「少し休んでから次を探そう」と考えて失業給付の手続きをし、受け取り始めてから「前の会社でもらっていた給付が続くと思っていた」と気づく例です。失業給付を受け取ると、この通算の条件から外れます。辞める前に、次の仕事が決まっているのか、しばらく休むのかを考え、どちらの給付の道を選ぶのかを決めておくことが大切です。

失業給付を受けてから再就職した場合は「高年齢再就職給付金」

失業給付を受けたあとに60歳以降で再就職した人は、高年齢再就職給付金の対象になるかどうかを確かめます。ハローワークの資料では、次の要件がすべて必要とされています。

  • 失業給付の計算のもとになった加入期間(算定基礎期間)が5年以上あること
  • 再就職した日の前日に、失業給付の残りの日数(支給残日数)が100日以上あること
  • 安定した職業に就いて、雇用保険の加入者になったこと
  • 同じ就職について、再就職手当を受け取っていないこと

「支給残日数」とは、失業給付をもらえる日数のうち、まだ使っていない日数のことです。失業給付をほぼ使い切ってから再就職すると、この100日に届かず、高年齢再就職給付金は受けられません。

支給される期間も残日数で変わります。残りが200日以上なら再就職した日の翌日から2年を経過する日の属する月まで、100日以上200日未満なら1年を経過する日の属する月までです。どちらも65歳に達した月が上限です。比べる基準も違い、高年齢再就職給付金は60歳時点の給料ではなく、失業給付の基準になった賃金日額を30倍した額と比べて75%未満かどうかを見ます。

ここで注意したいのが再就職手当との関係です。再就職手当とは、失業給付の残り日数を多く残して早めに就職した人に、一時金として出るお金のことです。ハローワークの資料には、同じ就職について2つを両方受け取ることはできないと書かれています。

同一の就職につき、高年齢再就職給付金の支給を受けた場合には再就職手当が、再就職手当の支給を受けた場合には高年齢再就職給付金が支給されません。 出典: hellowork.mhlw.go.jp

再就職手当は一括で受け取れ、高年齢再就職給付金は原則2か月ごとに最長2年にわたって受け取ります。どちらが得かは、残日数、新しい給料、65歳までの残り期間で変わります。一方を受け取ると、もう一方は受け取れなくなるため、申請する前にハローワークの窓口で両方の見込み額を聞いてから決めることをおすすめします。申請期限も違い、再就職手当は就職日の翌日から1か月以内、高年齢再就職給付金の初回申請は最初の支給対象月の初日から4か月以内です。

なお、自己都合で辞めた場合の失業給付には給付制限があります。ハローワークの案内では、令和7年4月1日以降の自己都合離職なら待期7日のあと原則1か月です。会社が変わる間に失業給付を受けるかどうかを考えるときは、この期間も含めて生活費の見通しを立てておく必要があります。

転籍やグループ会社への移籍はどう扱われるか

定年後の再雇用では、本体の会社ではなくグループ会社や子会社で雇われる形も少なくありません。会社としては「同じグループの中で移っただけ」という感覚でも、雇用保険の手続きのうえでは、元の会社で資格を失い、移籍先で資格を取り直すことになります。

扱いの考え方は、ここまでに説明したものと同じです。移籍の間に空白がない、あるいは1年以内で、失業給付も受け取っていなければ、加入期間は通算されます。転籍のように、元の会社を辞めた翌日から移籍先で働き始める形なら、通常はこの条件を満たします。

一方で、移籍の月には気をつけたい点があります。高年齢雇用継続基本給付金は、各月の初日から末日まで雇用保険の加入者であることが必要とされています。月の途中で元の会社の資格を失い、移籍先での資格取得の日がずれると、その月は支給の対象にならないことがあります。月末で退職して翌月1日に移籍するような日程なら、この問題は起きにくくなります。

もう1つは、ハローワークへの申請を誰がやるかです。この給付の申請は、原則として勤め先の会社がハローワークに対して行います。転籍すると申請する会社が変わるので、移籍先の人事担当者が「この人が給付を受けていた」ことを知らないと、申請が止まってしまいます。転籍が決まった時点で、元の会社と移籍先の両方に「高年齢雇用継続給付を受けている」と伝え、手元の受給資格確認通知書や直近の支給決定通知書の写しを移籍先に渡しておくと、引き継ぎがスムーズです。

転籍先が「継続雇用制度」の一部として扱われるかどうかは、高年齢者雇用安定法上の会社の義務の話で、雇用保険の給付の要件とは別の問題です。給付が続くかどうかは、加入期間の通算と給料の下がり方で判断されるので、混同しないようにしましょう。個別の事情で判断が難しい場合は、移籍先の事業所を管轄するハローワークに問い合わせるのが確実です。

業務委託やフリーランスになった場合、週20時間未満になった場合

会社が変わる理由が「雇われる働き方をやめる」ことである場合は、話がはっきりしています。高年齢雇用継続給付は雇用保険の加入者に出る給付なので、雇用保険に入らない働き方になれば、給付は止まります。

まず、業務委託やフリーランスに切り替えた場合です。業務委託とは、会社と雇用契約ではなく、仕事の完成や作業の実施を約束する契約を結ぶ働き方のことです。この形で働く人は雇用保険の加入者ではないため、高年齢雇用継続給付の対象外です。定年後に元の会社から業務委託で仕事を受ける形に変わった場合も、同じく対象外になります。

次に、雇われてはいるけれど、労働時間が短くなった場合です。ハローワークの案内では、雇用保険の加入要件は「31日以上の雇用見込みがあること」と「1週間の所定労働時間が20時間以上であること」の2つです。新しい会社の勤務が週20時間未満なら、雇用保険には入らないので、給付も出ません。60歳以降は週3日勤務や短時間勤務を選ぶ人も多いので、新しい会社の条件を聞くときは、週の所定労働時間が20時間以上になるかを必ず確認しましょう。

複数の会社で短時間ずつ働く人もいます。65歳以上なら2社の労働時間を合算して雇用保険に入る仕組み(マルチジョブホルダー制度)がありますが、これは65歳以上向けの制度で、60歳から64歳の人には使えません。この年代で給付を受け続けたいなら、1つの会社で週20時間以上働くことが前提になります。

業務委託で働くことを選ぶ場合は、給付がなくなる代わりに、報酬の決め方や契約の結び方を自分で管理する必要が出てきます。発注者との取引で守られるルールについては、フリーランスを守る「下請法(取適法)」の知識|発注書・契約書の必須項目チェックリストで、発注書や契約書に入れておくべき項目を整理しています。雇用から業務委託への切り替えを検討している人は、給付の有無と合わせて目を通しておくと安心です。

新しい会社でやる手続きの流れ

会社が変わっても給付を受け続けられる条件を満たしている場合、新しい会社で何をすればよいのかを整理します。

ハローワークの資料では、高年齢雇用継続給付の申請は、事業所の所在地を管轄するハローワークに対して、原則として会社(事業主)が行うことになっています。本人が自分で申請したいと希望する場合は、本人が申請することもできます。会社が変わると、申請先のハローワークも新しい会社の所在地を管轄するところに変わることがあります。

新しい会社に入ったら、次の順番で進めます。

  1. 入社時に、雇用保険の資格取得の手続きをしてもらう(会社の義務なので通常は自動的に行われる)
  2. 人事担当者に、前の会社で高年齢雇用継続給付を受けていたこと、または受ける資格があることを伝える
  3. 手元にある受給資格確認通知書や支給決定通知書の写しを渡し、新しい会社から支給申請をしてもらう
  4. ハローワークから届く支給決定通知書で、支給額と次回の申請月を確認する

申請は原則として2か月に一度、ハローワークが指定する月に行います。初回の申請は、最初に支給を受けようとする月の初日から4か月以内という期限があります。この期限を過ぎると、その月の分を受け取れなくなることがあるので、入社後すぐに人事担当者と話をしておくことが大切です。

ハローワークの資料には、会社が60歳から65歳の人を新たに雇って資格取得の届け出をすると、交付される確認通知書に「高年齢雇用継続給付受給可」と印字される場合があると書かれています。この印字があれば、新しい会社から申請書の発行を受けられますが、本人の同意が前提です。人事担当者から確認があったときは、受けたい旨を伝えましょう。

給付は、本人が指定した金融機関の口座に振り込まれます。支給が決まってから振り込まれるまで、おおむね1週間かかるとされています。前の会社で指定していた口座を引き続き使うこともできます。

申請が会社経由になる以上、新しい会社の人事担当者がこの制度に詳しいとは限りません。中小企業では、60歳以上の人を中途で採用するのが初めてという会社もあります。手続きの案内はハローワークのページにまとまっているので、担当者にそのページを示しながら話を進めると、話が早く進みます。

年金を受け取っている人が気をつけたいこと

会社が変わる時期は、年金の受け取りが始まる時期と重なることがあります。高年齢雇用継続給付と年金の関係も確認しておきます。

生年月日によっては、65歳より前に「特別支給の老齢厚生年金」を受け取れる人がいます。この年金を受けながら働き、同時に高年齢雇用継続給付も受ける場合、年金の一部が止められる調整があります。ハローワークの資料では、令和7年4月以降の支給率が適用される人について、厚生年金の標準報酬月額(給料をもとに決まる、保険料や年金の計算に使う1か月あたりの額)が60歳時点の賃金月額の64%以下なら、標準報酬月額の4%に相当する額の年金が止められると説明されています。64%を超えて75%未満なら、それより小さい割合になります。

会社が変わって給料が変われば、標準報酬月額も変わり、給付の額も年金の調整額も変わります。転職によって給料が上がり、60歳時点の75%以上になれば、給付が出なくなる代わりに年金の調整も行われなくなります。どちらが手元に多く残るかは、給料の額、年金の額、給付の額の組み合わせで変わるので、転職先を決める前に年金事務所で見込みを聞いておくと判断しやすくなります。

また、資料には「高年齢雇用継続給付を受ける時は、老齢厚生年金の裁定手続の際に必要な手続があります」とも書かれています。年金の請求手続きの時期と給付の申請の時期が近い人は、年金事務所とハローワークの両方に確認を入れておきましょう。手続きの窓口が2つに分かれているので、片方だけで済ませてしまわないよう注意が必要です。

会社が変わったときのメリットとデメリットを整理する

60歳以降の転職を考えるとき、給付だけを見て判断するのはおすすめしません。ここでは、会社が変わることで起きることを、給付の面から整理します。

メリットとしては、次のような点があります。

  • 新しい会社の給料が今より高ければ、手取り全体が増える(給付が減っても給料の増加分のほうが大きい)
  • 加入期間が通算される条件を満たせば、給付は新しい会社でも続けられる
  • 失業給付の残日数を多く残して再就職すれば、再就職手当か高年齢再就職給付金のどちらかを選べる

デメリットとしては、次のような点があります。

  • 空白期間が1年を超えると、加入期間が通算されず、給付を受けられなくなるおそれがある
  • 失業給付を受け取ると、高年齢雇用継続基本給付金の道は閉じ、高年齢再就職給付金の要件(残日数100日以上など)を満たす必要が出てくる
  • 月の途中で資格の喪失と取得がずれると、その月は支給の対象外になることがある
  • 新しい会社の人事担当者が制度を知らないと、申請が遅れて初回の期限を過ぎるおそれがある
  • 週20時間未満の勤務や業務委託を選ぶと、給付は止まる

こうして並べると、会社が変わることそのものよりも、「辞めてから次の会社に入るまでの過ごし方」と「新しい会社での手続きの段取り」が結果を左右していることが分かります。退職日と入社日の間を詰め、新しい会社には入社前に給付の話を伝えておく。この2つを守るだけで、デメリットの多くは避けられます。

自分のケースを確かめる方法と相談先

ここまでの内容をもとに、自分のケースがどこに当てはまるかを確かめる手順をまとめます。

まず、手元の書類を確認します。給付を受けている人には、ハローワークから受給資格確認通知書や支給決定通知書が届いているはずです。そこには、比べる基準になる賃金月額や、次回の申請月が書かれています。給付をまだ受けていない人は、雇用保険被保険者証や、これまでの勤め先の在籍期間を確認し、加入期間が合計5年以上あるかを数えます。

次に、次の4つの質問に答えてみてください。

  1. 前の会社を辞める日と、新しい会社に入る日の間は1年以内か
  2. その間に失業給付や再就職手当を受け取る予定はあるか
  3. 新しい会社での働き方は、週20時間以上で31日以上の雇用見込みがあるか
  4. 新しい会社の給料は、60歳時点の賃金月額の75%未満か

1が「はい」、2が「いいえ」、3が「はい」、4が「はい」なら、高年齢雇用継続基本給付金を受け続けられる見込みがあります。2が「はい」なら、高年齢再就職給付金と再就職手当のどちらにするかを考える段階です。3が「いいえ」なら、給付は止まります。4が「いいえ」なら、給料が十分に戻っているので給付は出ません。

最終的な判断は、新しい会社の所在地を管轄するハローワークが行います。相談は無料で、雇用保険の窓口で聞けます。行くときは、受給資格確認通知書や支給決定通知書、雇用保険被保険者証、身分証明書を持っていくと話が早く進みます。会社の人事担当者と一緒に確認する場合は、ハローワークインターネットサービスの「雇用継続給付」のページを印刷して持参すると共通の資料として使えます。

年金との調整が気になる人は、年金事務所でも相談できます。ねんきん定期便や年金の請求書類を持っていくとよいでしょう。給付と年金の窓口は別なので、どちらか一方で全部が分かるわけではない点に注意が必要です。

60歳以降の働き方の変化と、給付のこれから

60歳以降も働き続ける人は増え、会社が変わるケースも珍しくなくなりました。高年齢者雇用安定法によって、会社には65歳までの雇用を確保する措置が義務づけられ、70歳までの就業機会を確保する努力義務も設けられています。その結果、定年後の再雇用、グループ会社への転籍、別の会社への転職と、働く場所の選択肢は広がっています。

一方で、高年齢雇用継続給付そのものは縮小しています。令和7年4月1日以降に60歳になった人から、支給率の上限が15%から10%に引き下げられました。給付の目的は「60歳以降の給料の落ち込みを補うこと」ですが、同じ給料の下がり方でも、受け取れる割合は以前より小さくなっています。たとえば賃金月額30万円の人の給料が18万円に下がった場合、旧来の割合なら15%の2万7,000円、令和7年4月以降の割合なら10%の1万8,000円で、1か月あたり9,000円の差があります。これから60歳を迎える人は、給付があることを前提に転職先の給料を低めに受け入れるのではなく、給料そのものを交渉の軸に据える考え方が大切になります。

転職先を探すときは、職種ごとの給料の相場を知っておくと交渉の材料になります。たとえば文章を書く仕事や編集の仕事は、会社員としての経験を60歳以降も生かしやすい分野です。著述家,記者,編集者の年収・単価相場では、雇用と業務委託の両方を含めた相場の目安をまとめています。60歳以降に事務職や文書作成の仕事に移る人は、ビジネス文書検定のように、報告書や社内文書の作り方を証明できる資格を持っておくと、経験を伝えやすくなります。

運営者として見てきた、60歳以降の働き方の変化

在宅ワークやフリーランスの仕事の仲介に20年関わってきた運営者の立場から見ると、60歳以降の人の働き方は、ここ数年で大きく変わりました。以前は「定年後は同じ会社で再雇用」が当たり前でしたが、今は再雇用を続けながら週末に業務委託の仕事を受ける人や、65歳を前に雇用をやめてフリーランスとして独立する人が増えています。

その中でよく見かけるのが、雇用をやめた時点で高年齢雇用継続給付も止まることを知らずに、独立後の収入計画を立ててしまう例です。会社員として受けていた給付は、業務委託の報酬には付いてきません。60歳以降に働き方を変えるときは、「雇用保険の加入者でいる期間」と「業務委託で稼ぐ期間」を分けて考え、給付が止まる時期を収入計画に織り込んでおくことが大切です。

もう1つの観察は、業務委託で長く続く人ほど、手数料の少ない取引を選んで手取りを厚くしている点です。発注者と直接やり取りし、仲介の手数料が乗らない形で契約すると、同じ予算でも受け手に残る金額が多くなります。手数料0%で直接やり取りできる仕組みを選べば、発注者は同じ予算でより多くの仕事を頼め、受け手の手取りも厚くなります。給付がなくなった分を補うには、単価を上げることと同じくらい、手取りを減らさない取引の形を選ぶことが効いてきます。

在宅ワーク市場のデータから見る、60歳以降の選択肢

会社が変わる理由の1つに、「通勤の負担を減らしたい」という声があります。60歳以降は体力や家族の事情から、在宅で働ける仕事を探す人も多くなります。在宅でできる仕事の中には、雇用契約で週20時間以上働けるものもあれば、業務委託で時間の融通がきくものもあります。どちらを選ぶかで、高年齢雇用継続給付が続くかどうかが変わるという点は、ここまで説明したとおりです。

求人の傾向を見ると、在宅でできる仕事は、文章の作成や編集、データ入力、事務の代行、ITの保守や開発など、会社員時代の経験をそのまま生かせる分野に集まっています。会社員として長く働いてきた人は、報告書の作成や取引先とのやり取りといった経験が、そのまま在宅の仕事の強みになります。

60歳以降に雇用から業務委託に移る人は、報酬の未払いに備えておくことも大切です。万が一報酬が支払われなかったときの回収の流れや費用の目安は、未払い報酬を回収する!弁護士の着手金・成功報酬と支払督促の流れ【2026年最新】で詳しく整理しています。会社員の給料と違い、業務委託の報酬は自分で請求し、自分で回収まで見届ける必要があります。

高年齢雇用継続給付は、会社が変わっても条件を満たせば続けられる制度です。ただし、その条件は「雇用保険の加入が途切れないこと」と「失業給付を受け取らないこと」に集約されます。60歳以降の転職や転籍、働き方の切り替えを考えるときは、給付の条件を先に確かめ、給料そのものと合わせて判断してください。

よくある質問

Q. 高年齢雇用継続給付を受けている途中で転職したら、給付は止まりますか?

前の会社を辞めてから新しい会社で雇用保険に入るまでの間が1年以内で、その間に失業給付や再就職手当を受け取っていなければ、加入期間は通算されます。新しい会社でも給料が60歳時点の75%未満で、週20時間以上の勤務なら、引き続き給付を受けられる見込みがあります。申請は新しい会社を通して行うので、入社時に人事担当者へ伝えてください。

Q. 退職後に失業給付を受けてから再就職すると、どうなりますか?

失業給付を受け取ると、高年齢雇用継続基本給付金の対象からは外れます。代わりに、再就職した日の前日に失業給付の残り日数が100日以上あり、加入期間が5年以上あれば、高年齢再就職給付金の対象になります。同じ就職について再就職手当と両方は受け取れないので、どちらにするかはハローワークで見込み額を聞いてから決めてください。

Q. グループ会社へ転籍した場合も、給付は続けられますか?

雇用保険の手続きでは、元の会社で資格を失い、転籍先で資格を取り直します。間に空白がなく、失業給付も受けていなければ加入期間は通算されるので、給付を続けられる見込みがあります。月の途中で資格の喪失と取得の日がずれると、その月は対象外になることがあるため、月末退職と翌月1日の移籍のように日程を合わせると安心です。

Q. 定年後に業務委託へ切り替えた場合、給付は受けられますか?

業務委託は雇用契約ではないため、雇用保険の加入者にはならず、高年齢雇用継続給付は受けられません。雇われて働く場合でも、週の所定労働時間が20時間未満なら雇用保険に入らないので給付は出ません。働き方を変える前に、給付が止まる時期を収入の見通しに入れておくことが大切です。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年1月22日最終更新:2026年10月6日
@SOHO編集部

この記事を書いた人

@SOHO編集部

フリーランス・在宅ワークの専門メディア

@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。

@SOHOで仕事を探してみませんか?

手数料0%・登録無料のクラウドソーシング。フリーランスの方も企業の方も、今すぐ始められます。

関連記事

カテゴリから探す

クラウドソーシング入門

クラウドソーシング入門

クラウドソーシングの基礎知識・始め方・サイト比較

職種別ガイド

職種別ガイド

職種・スキル別の案件獲得方法と単価相場

副業・在宅ワーク

副業・在宅ワーク

副業・在宅ワークの始め方と対象者別ガイド

フリーランス

フリーランス

フリーランスの独立・営業・実務ノウハウ

お金・税金

お金・税金

確定申告・節税・経費・ローンなどお金の知識

スキルアップ

スキルアップ

プロフィール・提案文・単価交渉などのテクニック

比較・ランキング

比較・ランキング

サービス比較・おすすめランキング

AI活用

AI活用

職種別にChatGPT・生成AIを活用して業務効率化・収益化するノウハウ

最新トレンド

最新トレンド

市場動向・法改正・AIなど最新情報

発注者向けガイド

発注者向けガイド

クラウドソーシングで外注・人材探しをする企業・個人向け

転職・キャリア

転職・キャリア

転職エージェント・転職サイト比較・キャリアチェンジ

看護師の転職・求人

看護師の転職・求人

看護師の転職・派遣・単発バイト・副業など働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

薬剤師の転職・求人

薬剤師の転職・求人

薬剤師・登録販売者の転職・派遣・パートなど働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

介護職の転職・求人

介護職の転職・求人

介護職・介護福祉士・ケアマネジャー・訪問介護員の転職・派遣・夜勤など働き方のガイド

保育士の転職・求人

保育士の転職・求人

保育士・保育補助・幼稚園教諭の転職・派遣・パートなど働き方のガイド

医療職の転職・求人

医療職の転職・求人

医師・産業医・リハビリ職・歯科衛生士・管理栄養士・医療事務の転職や働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

保険

保険

生命保険・医療保険・フリーランスの保険設計

採用・求人

採用・求人

無料求人掲載・採用コスト削減・人材募集の方法

オフィス・ワークスペース

オフィス・ワークスペース

バーチャルオフィス・コワーキング・レンタルオフィス

シニア・50代

シニア・50代

シニア世代のキャリアチェンジ・副業・年金

セキュリティ

セキュリティ

サイバーセキュリティ・脆弱性対策・情報保護

金融・フィンテック

金融・フィンテック

暗号資産・決済・ブロックチェーン・金融テクノロジー

経営・ビジネス

経営・ビジネス

経営戦略・ガバナンス・事業承継・知財

ガジェット・機材

ガジェット・機材

フリーランスに役立つPC・デバイス・周辺機器

子育て×働き方

子育て×働き方

子育てと在宅ワークの両立・保育園・時間管理

補助金・助成金

補助金・助成金

個人事業主・フリーランスが使える公的補助金・助成金・給付金の申請ガイド

アウトソーシング・外注ガイド

アウトソーシング・外注ガイド

SNS運用・経理・広告など、業務のアウトソーシング(外注)を検討する企業・個人向け。費用相場・依頼の流れ・失敗しない選び方