官報に決算公告を出す手順と費用


この記事のポイント
- ✓官報に決算公告を出すときの手順と費用を
- ✓公式の料金表と日程表で確認します
- ✓枠付公告は1枠あたり税込40,882円
結論から書きます。官報に決算公告を出す費用は、表の形で載せる枠付公告なら1枠あたり税込40,882円から。そして申込から実際に載るまでには、およそ1か月を見ておく必要があります。決算公告は官報の号外に掲載されるため、本紙より日数がかかるからです。定時株主総会が終わってから慌てて申し込むと、掲載が翌月末にずれ込みます。この記事では、公式の料金表と日程表を確認しながら、申込の窓口、原稿に書く内容、掲載後に何が起きるかまでを、実際に手を動かす順番で整理します。
決算公告は「号外」に載る
まず、官報の構成から押さえます。官報は行政機関の休日を除いて毎日発行され、本紙、号外、号外政府調達公告、特別号外といった区分があります。会社が出す公告は、種類によって本紙に載るものと号外に載るものが分かれていて、掲載までに必要な期間も変わります。
全国官報販売協同組合が公開している本紙号外一覧を見ると、決算公告は「決算公告(行)」と「決算公告(枠)」のどちらも号外に区分されています。同じ会社法関係の公告でも、合併公告、資本金の額の減少公告、基準日につき通知公告などは本紙に載ります。つまり、決算公告は会社法の公告の中でも掲載まで時間がかかる側に入っている、ということです。
ここを知らずに「官報は毎日出ているのだから、申し込めばすぐ載るだろう」と考えると、日程を大きく読み違えます。正直なところ、この区分は調べないとまず分かりません。出す側が最初に確認すべき情報なのに、いちばん見つけにくい場所にある、という印象があります。
行と枠のどちらを選ぶかは、原稿の作り方によります。文章を行で流し込む形が「行」、罫線で囲った表の形が「枠」です。貸借対照表の要旨は数字を並べる表なので、実務では枠付公告が選ばれるのが通常です。
自社の公告方法が官報かどうかを先に確かめる
手順の前に、確認すべきことが1つあります。自社の公告方法が本当に官報なのか、という点です。
会社法939条1項は、公告方法として官報に掲載する方法、時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法、電子公告の3つを定款で定められるとしています。そして同条4項に、定款で公告方法を定めていない会社の公告方法は官報に掲載する方法とする、という規定があります。何も決めていなければ自動的に官報になる、ということです。
確かめ方は簡単で、登記事項証明書を1通取れば済みます。会社法911条3項27号により、定款で公告方法を定めているときはその定めが登記されます。28号により、電子公告を選んだ場合は情報を受け取るために必要な事項、つまりウェブサイトのアドレスが登記されます。そして29号により、定款に定めがない場合は、官報に掲載する方法を公告方法とする旨が登記されます。
定款の原本を探すより、登記簿を見るほうが確実です。設立を司法書士に任せた会社では、定款の写しがどこにあるか分からなくなっていることが珍しくありません。登記事項証明書なら、最寄りの法務局の窓口でもオンラインでも取得できます。
ここで公告方法が電子公告だった場合、官報に出す必要はありません。自社のサイトに貸借対照表の全文を載せることになります。逆に官報または日刊新聞紙だった場合は、要旨を官報に出すか、会社法440条3項の措置をとって自社サイトに5年間掲載するかを選びます。どちらの道を選ぶにしても、出発点は自社の登記内容の確認です。
申込から掲載まで、実際に何日かかるか
日程の目安も公開されています。組合のサイトに申込日を入れると、本紙と号外それぞれの掲載予定日が表示される仕組みがあります。
2026年9月18日に申し込んだ場合の表示は、本紙掲載予定日が2026年10月1日、号外掲載予定日が2026年10月15日でした。決算公告は号外なので、後者が目安になります。申込から掲載まで、およそ4週間です。
この日数は、定時株主総会の日程と突き合わせておく必要があります。会社法440条1項は、決算公告を定時株主総会の終結後遅滞なく行うことを求めています。3月決算の会社が6月末に総会を開いた場合、その場で申し込んでも掲載は7月末近くになります。遅滞なくと言える範囲には入りますが、総会の議事録が確定してから原稿を作り、社内で確認する時間も要るので、実際にはもっと後ろにずれます。
現実的な段取りとしては、総会の招集通知を出す段階で公告の原稿の型を用意しておき、総会で計算書類が承認されたらすぐ数字を入れて申し込む、という流れです。原稿の枠組みを先に作っておくと、総会後の作業が数十分で終わります。
なお、この日程はあくまで目安です。組合のサイトにも、正確な掲載日は申し込んだ官報サービスセンターへ直接問い合わせるよう注意書きがあります。決算期が集中する時期は混み合うので、余裕を持った日程で動いてください。日程の目安は官報公告申込日程のページでカレンダー形式で確認できます。
料金表の読み方
費用を確認します。2026年9月18日時点で公開されている、会社が出す各種公告の掲載料金は次の通りです。
・行で数える公告: 1行あたり本体3,589円、税込3,947円 ・枠付公告(普通): 1枠あたり本体37,166円、税込40,882円 ・枠付公告(ページ指定): 1枠あたり本体49,981円、税込54,979円
単位の定義も決まっています。1行は22文字詰め、活字は8ポイント、1枠の大きさは1段の6分の1で2.9センチ×6.1センチです。掲載料金の計算方法は、本体価格に行数または枠数を掛け、消費税を加えて端数を切り捨てる、と説明されています。
料金表には計算例も載っています。行で数える場合、10行で39,479円、15行で59,218円、20行で78,958円、30行で118,437円(いずれも税込)。枠で数える場合、2枠で81,765円、3枠で122,647円、4枠で163,530円です。
また、行で出すか枠で出すかで、同じ内容でも金額が変わります。貸借対照表の要旨を文章の形で流し込めば行数で計算され、表の形にすれば枠数で計算されます。読みやすさでは表に分がありますが、科目が少ない会社なら行のほうが安く収まる場合もあります。どちらが有利かは原稿を作ってみないと分からないので、迷うなら両方の形で作って取次店に見積もりを聞くのが確実です。
ここから読み取れるのは、1枠に収まるかどうかで費用が倍近く変わるということです。貸借対照表の要旨を1枠に収められれば約4万円、収まらずに2枠になれば約8万円。科目をどこまでまとめるかが、そのまま金額に直結します。
ページ指定というのは、官報の何ページ目に載せるかを指定するオプションです。決算公告で指定する必要はほとんどないので、普通を選べば足ります。
料金は改定されます。実際、特殊法人や地方公共団体向けの料金は令和8年4月1日掲載分から引き上げられることが料金表に明記されています。申し込む前に、必ず官報公告掲載料金のページで現在の額を確認してください。
原稿に何を書くか
次に中身です。官報に載せる決算公告は、貸借対照表の要旨で足ります。会社法440条2項が、公告方法が官報に掲載する方法または日刊新聞紙に掲載する方法である会社は、貸借対照表の要旨を公告すれば足りると定めているためです。
要旨に入れるのは、おおむね次の構成です。
・見出しとして、第◯期決算公告である旨と、公告の日付 ・会社の商号と本店所在地、代表者の氏名 ・貸借対照表の要旨(資産の部を流動資産と固定資産に、負債の部を流動負債と固定負債にまとめ、純資産の部に資本金、資本剰余金、利益剰余金などを並べる) ・当期純利益または当期純損失
全科目を並べる必要はありません。科目をまとめるほど行数と枠数が減り、費用が下がります。ただし、まとめ方には会社計算規則の定めがあるので、自己流で圧縮するのではなく、税理士が作った決算書の様式に沿って要約するのが安全です。
国立印刷局は「会社法 法定公告について」というパンフレットを公開していて、さまざまな法定公告の掲載例を見ることができます。決算公告の実例も載っているので、初めて作る場合はこれを手元に置いて型を真似るのが早道です。パンフレットは国立印刷局の官報公告の案内ページからダウンロードできます。
原稿を作るとき、数字の桁区切りや単位(千円単位か円単位か)を途中で混ぜないよう気をつけてください。公式の記録として残るものなので、決算書と数字が食い違うと後から面倒になります。
法人番号を併記できるようになった
比較的新しい実務として、公告に法人番号を書けるようになった点があります。2025年5月に、官報に掲載される会社法等の公告に法人番号を掲載できるようになったことが案内されています。会社名の後に13桁の法人番号を任意で載せる形で、法律上の必須の記載事項ではありません。
これは細かい変更に見えますが、実務では意味があります。同じ商号の会社は全国に存在しますし、似た商号は無数にあります。法人番号を併記すれば、その公告がどの会社のものかが一意に決まります。合併公告や資本金の額の減少公告のように、債権者が読んで判断する公告では特に効きます。
組合は合併公告と資本金の額の減少公告について掲載文例を用意していて、他の会社法等の公告でも同じ形で記載できると案内しています。決算公告でも書けるということです。必須ではありませんが、書いておいて損はありません。自社の法人番号は国税庁の法人番号公表サイトで調べられます。
申込の窓口と3つの方法
どこに申し込むのか。官報の公告は、各都道府県にある官報サービスセンターや官報公告等取次店が受け付けています。全国に所在しているので、地元のセンターに申し込むのが便利で確実だと案内されています。
申込の方法は3つ用意されています。
1つめが、オンラインの入力フォームからの申込です。画面に入力するだけで公告掲載の申込ができます。
2つめが、申込書とひな型をダウンロードして内容と原稿を入力し、保存したファイルを取次店にメールで添付送信する方法です。
3つめが、同じ申込書と原稿をプリントアウトして、郵送またはファクスで送る方法です。
どの方法でも、申込後に掲載原稿の確認が入ります。誤字や数字の誤りはこの段階で直せますが、確認のやり取りにも日数がかかるので、先ほどの日程の目安には余裕を見ておいてください。
料金の支払い方法や請求のタイミングは取次店によって扱いが異なる場合があるので、申し込む先に確認するのが確実です。
原稿の確認でつまずきやすいところ
申込のあと、掲載前に原稿の確認があります。ここで止まりやすい点を挙げておきます。
1つめが、会社の表示です。商号は登記されているとおりに書きます。株式会社が前に付くのか後ろに付くのかを間違える、旧字体と新字体が混ざる、といったずれが起きがちです。本店所在地も登記どおりの表記にします。登記事項証明書を横に置いて、一字ずつ突き合わせるのが確実です。
2つめが、期の表示です。第何期の決算なのか、いつからいつまでの事業年度なのかを、定款の事業年度の定めと決算書に合わせます。設立初年度や決算期を変更した年は、期間が12か月にならないので特に注意が必要です。
3つめが、数字の整合です。資産の合計と、負債と純資産の合計が一致しているか。当期純利益の符号が正しいか。決算書から転記する段階で桁を落とす事故は実際に起こります。単位を千円にするなら、表のどこかに単位を明示します。
4つめが、代表者の肩書です。代表取締役なのか、取締役なのか。登記されている役職名で書きます。
5つめが、分量です。原稿を詰め込みすぎて枠に収まらないと、枠数が増えて費用が上がります。科目をまとめれば済む場合が多いので、最初の原稿ができた段階で取次店に分量の見当を聞いておくと、無駄な往復が減ります。
確認のやり取りは1往復で終わるとは限りません。日程に余裕がないと、直しが間に合わず掲載が次の号に送られます。前の年の原稿を残しておいて、翌年は数字だけ入れ替える運用にすると、この工程が一気に軽くなります。
掲載された後に何が起きるか
出して終わり、ではありません。官報に載せた決算公告の情報は、その後も参照され続けます。
国立印刷局は、政府からの要請により、公告掲載の申込時に承諾を得た官報掲載情報を行政機関が整備するデータベースに提供すると案内しています。そして、政府が運営するプラットフォームで公開される情報として、決算情報が令和3年(2021年)12月から gBizINFO(経済産業省のウェブサイト)で公開されていることが明示されています。
つまり、官報に載せた決算公告は、官報そのものを検索しなくてもgBizINFOから法人名で引けるようになっている、ということです。取引先が自社を調べるとき、官報の紙面を追わなくても数字にたどり着けます。
これは、決算公告を出すことの意味を変えています。かつては「官報に載せても誰も見ない」と言われていました。実際、官報を毎日読んでいる会社はほとんどありません。しかし、国が運営するデータベースに集約されて法人名で検索できるようになると、話が変わります。見られない前提で出すのではなく、見られる前提で出す時代になっている、と考えたほうが実情に合います。
この仕組みは、自社が出す側だけでなく、調べる側に回ったときにも使えます。新しい取引先の財務状態を知りたいとき、相手が官報に決算公告を出していれば、法人名で検索して数字を見られます。与信の判断材料を無料で手に入れられる、ということです。逆に言えば、自社の数字も同じように見られています。どうせ見られるのであれば、見られて困らない決算書を作ることのほうが本質的な対策になります。
自社の公告が実際に載ったかどうかは、インターネット版の官報でも確認できます。控えが必要な場合は、官報に掲載された情報を記載した書面(官報掲載事項記載書面)の交付を受ける方法があります。手数料は非課税で、定期送付なら1か月あたり2,000円、1部単位なら32ページまでごとに140円です(号外国会会議録は110円)。1部単位の交付は原則として発行日の5営業日前までの事前申込となっているので、掲載日が決まった時点で手配しておくと確実です。
出していない年がある場合の考え方
何年も出していなかった、というケースは珍しくありません。東京商工リサーチの調査を紹介した記事によれば、実施率はきわめて低い水準にとどまっています。
調査会社である株式会社東京商工リサーチの「2022年『官報』決算公告調査」によると、官報での決算公告が義務になっていると推測される企業のうち、実際に官報での決算公告を確認できた企業の割合は、わずか1.8%だったとのことです。 出典: biz.moneyforward.com
1.8パーセントは官報で確認できた分に限った数字で、自社サイトに掲載している会社は含まれていません。それでも、大半の会社が出していないという実態は動きません。
では、遡って全部出すべきか。官報で複数年分を出すと、年数分の掲載料がかかります。5年分なら20万円前後になる計算です。これを一度に負担するのは、小さな会社には現実的ではありません。
現実的な進め方は2つに分かれます。1つは、直近の年度分から官報に出し始めて、以後は毎年続ける方法。もう1つは、公告方法を自社サイトに切り替えたうえで、過去分も含めて掲載する方法です。後者なら、掲載する年数が増えても追加の費用はかかりません。
罰則の建て付けも確認しておきます。会社法976条2号は、この法律の規定による公告または通知をすることを怠ったとき、あるいは不正の公告または通知をしたときに、100万円以下の過料に処すると定めています。
適切な時期での決算公告を怠る、もしくは不正な手段で決算公告を行うと、100万円以下の過料に処されます(会社法第976条2号)。 出典: biz.moneyforward.com
処されるのは会社ではなく取締役をはじめとする個人です。もっとも、実際に科されるかどうかは事案によって変わります。金額や適用の見通しを断定できる性質のものではないので、過去分の扱いを含めて、司法書士や弁護士に具体的な事情を伝えて相談してください。
官報を続けるか、自社サイトに移すか
毎年4万円前後を払い続けるか、一度手間をかけて仕組みを変えるか。ここは経営の判断になるので、両方の良い点と悪い点を並べておきます。
官報を続ける場合の良い点は、仕組みを変える必要がないこと、公的な媒体に載るので信頼性が高いこと、掲載の事実が残るので証明しやすいことです。悪い点は、毎年費用がかかること、申込から掲載まで約1か月かかること、原稿の確認作業が毎年発生することです。
自社サイトに移す場合の良い点は、以後の掲載費用がほぼゼロになること、掲載のタイミングを自社で決められること、過去分を並べて載せられることです。悪い点は、定款変更と変更登記という初期の手間と費用がかかること、掲載ページを5年間維持し続ける責任が生じること、サイトの移転やリニューアルのたびに確認が必要になることです。
会社法440条3項の措置を使う場合、公告方法は官報のままで、決算公告だけを自社サイトに移せます。合併や資本金の額の減少といった他の公告は従来どおり官報で行うので、切り替えの影響は決算公告だけに限定されます。掲載するページのアドレスは登記事項になるので、後から変えにくい場所に置いてください。
どちらを選ぶにしても、定款変更には株主総会の決議が必要で、変更登記には株主リストの添付が要ります。書式は法務省の株主リストのページで無料配布されています。
自社サイトに移すなら、2つある道のどちらを選ぶか
ウェブに移す話は、よく1つにまとめて語られますが、実際には道が2つあります。かかる費用も、影響が及ぶ範囲も違います。
1つめは、決算公告だけをウェブに置く道です。会社法440条3項の措置で、公告方法は官報のまま変わりません。置くのは要旨ではなく貸借対照表の内容そのもので、期間は定時株主総会の終結の日後5年を経過する日までと定められています。掲載するアドレスは登記事項なので、変更の登記を1回出すことになります。
2つめは、公告方法そのものを電子公告に変える道です。こちらは定款を変えるので、株主総会の決議が必要になります。決算公告だけでなく、会社が出すすべての公告が電子公告になります。
費用の目安は、法務局が公開している申請書の記載例に書かれています。公告方法の変更の登記は、登録免許税が1件につき3万円。添付するのは株主総会議事録1通と株主リスト1通で、代理人に頼む場合だけ委任状1通が加わります。
記載例の書き方も決まっています。登記すべき事項として「公告方法」の見出しを立て、電子公告とすることとウェブページのアドレスを書き、そのうえで「電子公告による公告をすることができない事故その他やむを得ない事由が生じた場合は、官報に掲載してする」という但し書きを添える形です。アドレスは全部を全角文字で記録する、という注記も付いています。半角で書くと補正になるので、ここは記載例のとおりに写してください。
電子公告に全部を移すときに出てくるのが、調査の義務です。
この法律又は他の法律の規定による公告(第四百四十条第一項の規定による公告を除く。以下この節において同じ。)を電子公告によりしようとする会社は、公告期間中、当該公告の内容である情報が不特定多数の者が提供を受けることができる状態に置かれているかどうかについて、法務省令で定めるところにより、法務大臣の登録を受けた者(以下この節において「調査機関」という。)に対し、調査を行うことを求めなければならない。 出典: laws.e-gov.go.jp
かっこの中が効いています。440条1項の公告、つまり決算公告だけが調査の対象から外れています。合併公告や資本金の額の減少公告を電子公告で出すなら、調査機関に調査を求める費用と日数が別に乗ります。
決算公告の負担だけを軽くしたいのであれば、1つめの440条3項の措置のほうが影響が小さくて済みます。申請書の様式は法務局の商業・法人登記の申請書様式のページで公開されています。
5年で並べると、どちらが安いか
金額で比べます。枠付公告(普通)が1枠で収まる会社を前提にします。
官報を続ける場合は、年40,882円です。5年で204,410円、10年で408,820円になります。原稿の確認にかかる時間は、これに含まれていません。
決算公告だけをウェブに置く場合は、最初に変更の登記で登録免許税3万円です。自社で申請すれば、以後の掲載費用はかかりません。5年経っても3万円、10年経っても3万円です。
差は5年で約17万円。原稿が2枠になっている会社なら、差はその倍になります。まず、自社の原稿が何枠なのかを数えてください。そこが分からないと、この比較は始まりません。
ただし、ウェブ側がゼロ円で済むわけではありません。サイトを維持する費用がかかります。載せ続けているかを毎年確かめる手間も残ります。そして、サイトを作り替えてアドレスが変わると、登記も直すことになり、また3万円です。サイトのリニューアルを予定している会社は、それが終わってから移すほうが結果的に安く済みます。
決算期が近い年に慌てて切り替えるのも避けたほうがよいです。定款変更の決議と変更の登記が終わるまで、公告方法は官報のままです。切り替えの途中で公告の期限が来ると、どちらの方法で出すのかが曖昧になります。移すなら、決算公告の時期から離れた月に手続きを始めてください。
帳簿にはどう書くか
金額が決まったら、勘定も決めておきます。
官報の掲載料は、支払手数料か広告宣伝費で立てます。どちらでもかまいませんが、毎年同じ勘定に入れてください。年によって勘定が変わると、前年といくら違うのかを拾うだけで時間を取られます。
掲載料には消費税がかかります。料金表が税込で示されているのはそのためで、枠付公告(普通)の1枠40,882円のうち、消費税は3,716円です。
一方、公告方法の変更の登記で払う登録免許税3万円は税金なので、租税公課で立てます。こちらに消費税はかかりません。同じ「官報まわりの支出」として一括で課税仕入れにしてしまうと、消費税の計算がずれます。
官報掲載事項記載書面の交付手数料は非課税と案内されています。こちらも課税仕入れには含めないよう分けておきます。
そして、掲載された号の日付とページ、支払った金額を、決算書の控えと一緒に綴じておいてください。翌年の原稿を作るときの起点になります。前の年の紙面が手元にあれば、数字を入れ替えるだけで原稿が完成します。
決算公告と一緒に出す公告、別に出す公告
会社が出す公告は決算公告だけではありません。事業を進めていくと、他の公告が必要になる場面が来ます。同じ官報を使うので、まとめて理解しておくと段取りが楽になります。
掲載される場所で分けると、次のようになります。本紙に載るのは、合併公告、吸収分割公告、新設分割公告、組織変更公告、株式交換公告、株式移転公告、資本金の額の減少公告、準備金の額の減少公告、基準日につき通知公告、株式併合につき通知公告といったものです。号外に載るのは、決算公告のほか、解散公告、任意清算公告、配当公告、公示送達などです。
本紙に載る公告のほうが掲載までの日数が短いので、合併や資本金の額の減少といった手続きは、決算公告より短い日程で動かせます。ただし、これらは債権者が異議を述べられる期間を設ける必要があるため、公告の日から起算した期間を確保しなければなりません。日程を逆算するときは、掲載までの日数と、掲載後に置くべき期間の両方を足して考えます。
料金表には「枠付公告(決算公告とその他の併せ公告)」という区分もあります。決算公告と別の公告を1つの枠にまとめて出す形です。同じ時期に2つの公告を出す必要がある場合、枠をまとめれば費用を抑えられる可能性があります。該当しそうなときは、申し込む取次店に相談してみてください。
なお、任意清算公告には2週間の期間があり事前の連絡が必要である旨が一覧に注記されています。会社をたたむ場面では、公告の日程が手続き全体の期限を決めることになるので、早い段階で窓口に確認しておくのが安全です。
事務の重さを、どこで引き受けるか
官報に決算公告を出す作業そのものは、慣れれば1時間で終わります。原稿の型があり、申込のフォームがあり、掲載の日程も公開されている。難しいのは作業ではなく、毎年忘れずにやり続けることのほうです。
20年この市場を見てきた立場から言えば、個人から法人になった働き手がつまずくのは、期限を告げてくれない義務です。税務申告は遅れれば通知が来ますが、決算公告は誰も催促してきません。だから毎年後回しになり、気づけば数年分が積み上がっています。
対処としては、誰かに任せるか、手順を仕組みにするかの2択です。そして長く続いている人ほど、自分の手を離すのが早い傾向があります。中間のマージンが乗らない直接の取引であれば、同じ予算で依頼する側はより多く頼めますし、受ける側の手取りは厚くなります。原稿を作って申し込むだけの作業に、経営者の1日を使う理由はありません。
書類や文章を整える仕事の需要は安定しています。案内文や規程を読みやすい形にする仕事の相場感は著述家,記者,編集者の年収・単価相場にまとまっていますし、その土台として評価されやすいのがビジネス文書検定です。文書の体裁と敬語の使い分けを体系的に問う試験で、事務代行や編集の案件で精度を求められる場面に効きます。会計まわりを外に出したいときの相場観は会計士の副業ガイド|監査法人勤務でもできる高収入の稼ぎ方【2026年版】が参考になります。
事業側を広げるなら、業務の進め方をAIで組み替える支援が独立した職種として定着しつつあり、AIコンサル・業務活用支援のお仕事に案件像が整理されています。マーケティングやセキュリティまで含めるならAI・マーケティング・セキュリティのお仕事、開発側に寄せるならアプリケーション開発のお仕事とソフトウェア作成者の年収・単価相場を突き合わせると、単価の現実的な水準が見えます。ネットワーク寄りの仕事で名刺代わりに使われている資格はCCNA(シスコ技術者認定)です。
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よくある質問
Q. 官報に決算公告を出すといくらかかりますか?
2026年9月時点の公式料金表では、会社が出す枠付公告は1枠あたり税込40,882円、ページ指定なら54,979円です。行で数える公告は1行あたり税込3,947円で、10行なら39,479円になります。貸借対照表の要旨は表の形なので枠付公告になるのが通常で、1枠に収まれば4万円前後が目安です。
Q. 申し込んでからどれくらいで掲載されますか?
決算公告は官報の号外に掲載されるため、本紙より日数がかかります。2026年9月18日に申し込んだ場合の目安は、号外掲載予定日が同年10月15日で、およそ4週間です。決算期が集中する時期は混み合うため、定時株主総会の日程が決まった段階で原稿の準備を始めてください。
Q. 貸借対照表は全部載せる必要がありますか?
官報を公告方法とする会社は、会社法440条2項により貸借対照表の要旨で足ります。資産の部を流動資産と固定資産に、負債の部を流動負債と固定負債にまとめ、純資産の部の主な科目と当期純利益を示す程度で構いません。行数や枠数が減れば費用も下がりますが、まとめ方は決算書の様式に沿って行ってください。
Q. 官報に出した決算公告は誰かに見られますか?
見られます。国立印刷局は、承諾を得た官報掲載情報を行政機関のデータベースに提供しており、決算情報は2021年12月からgBizINFOで公開されています。官報の紙面を追わなくても法人名で検索できるため、取引先や金融機関が確認しやすい状態になっています。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
朝比奈 蒼@SOHO編集部
ITメディア編集者
IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。
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