役員変更の登記申請書の書き方|記載例つき

朝比奈 蒼
朝比奈 蒼
役員変更の登記申請書の書き方|記載例つき

この記事のポイント

  • ✓役員変更登記申請書の書き方を
  • ✓法務局が公開している記載例に沿って欄ごとに解説します
  • ✓登記の事由と登記すべき事項の書式

結論から書きます。役員変更登記申請書は、法務局が公開している記載例をそのまま真似れば作れます。自分で文章を考える欄はひとつもありません。書く項目は決まっていて、「登記すべき事項」という欄の書式さえ理解すれば、あとは会社の情報を埋めるだけです。それでも多くの人がここで手を止めるのは、記載例のPDFを開いたときに注記が細かく入っていて、どこを読めばよいか分からなくなるからです。この記事では、申請書の欄を上から順にたどりながら、何をどう書くのか、場面によってどこが変わるのかを整理します。

申請書の様式は、場面ごとに分かれている

最初に確認すべきは、自分がどの様式を使うのかです。法務局は株式会社の役員変更だけで複数の様式を用意していて、それぞれに記載例のPDFが付いています。代表的なのは次の6つです。

代表取締役の住所移転。役員の氏名変更。取締役会設置会社で役員の全員が重任する場合。取締役会を置いていない会社で、取締役全員が各自会社を代表するか株主総会で代表取締役を選定していて、役員の全員が重任する場合。取締役会を置いていない会社で、取締役の互選により代表取締役を選定していて、役員の全員が重任する場合。そして、辞任等により新たな取締役が就任した場合と、同じく監査役が就任した場合です。

これらの様式はすべて2026年8月14日付けで更新されており、WordとPDFの両方が無料で配布されています。英語版まで用意されています。自分の場面に当たる1本を選んで、記載例のPDFと様式のWordを並べて開くのが、いちばん早い進め方です。

正直なところ、この選択でつまずく人が多い。判断に必要な情報は、すべて自社の定款に書かれています。取締役会があるかどうか、代表取締役をどう選ぶと決めているか。この2つを定款で確認すれば、使う様式は自動的に決まります。定款を見ずに「たぶん取締役会はない」と進めると、添付書類の構成ごと間違えます。

申請書の冒頭3行は、会社を特定するための欄

申請書は上から順に、受付番号票の貼付欄、会社法人等番号、商号とフリガナ、本店、と続きます。

会社法人等番号は12桁の番号で、登記事項証明書の冒頭に記載されています。記載例の注記には「分かる場合に記載してください」とあり、必須ではありません。ただし書いておくと登記所側の特定が速くなるので、手元の証明書を見て入れておくのが親切です。

商号のフリガナには、細かいルールがあります。記載例の注記によれば、会社の種類を表す部分、つまり「株式会社」を除いて片仮名で左に詰めて書きます。間に空白がある場合は空白を削除した文字がフリガナとして登録されます。そしてこのフリガナは国税庁の法人番号公表サイトを通じて公表される一方、登記事項証明書には表示されません。表に出る場所が違うので、いい加減に書くと後から公表サイト側だけおかしなことになります。

本店は、登記されているとおりに書きます。住民票の表記や名刺の表記ではなく、登記簿の表記が正です。「1丁目2番3号」なのか「一丁目2番3号」なのか、登記簿の表記をそのまま写してください。

「登記の事由」は、何が変わったかを短く書く欄

登記の事由は、今回どの登記をするのかを一言で書く欄です。法務局の記載例では、辞任と就任のケースで「取締役の変更」、監査役のケースで「監査役の変更」、役員全員が重任するケースで「取締役、代表取締役及び監査役の変更」と書かれています。

代表取締役が引っ越した場合は「代表取締役の住所変更」、氏名が変わった場合は「代表取締役たる取締役の氏変更」です。名前のほうが変わったなら「氏変更」を「名変更」に置き換えます。

ここに注記が1つ加わる場面があります。監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある会社が、平成27年5月1日以降に初めて監査役の重任や辞任就任の登記をする場合、その定めがある旨も登記する必要があります。記載例では登記の事由の欄に「監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある旨」を続けて書いています。小規模な会社の多くがこの定めを持っているので、監査役を置いているなら定款を確認してください。

最大の関門は「登記すべき事項」の書式

申請書のなかで唯一、独特な書き方をするのがこの欄です。登記簿にどう記録してほしいかを、決まった形式で指定します。

法務局の記載例では、取締役が1人辞任して1人就任する場合、次のように書きます。

「役員に関する事項」、次の行に「資格」取締役、次の行に「氏名」(辞任した人の氏名)、次の行に「原因年月日」(年月日)辞任。ここまでで1人分です。続けてもう一度「役員に関する事項」から始めて、「資格」取締役、「氏名」(就任した人の氏名)、「原因年月日」(年月日)就任、と書きます。

カギ括弧は全角で、項目名だけを囲みます。値は括弧の外に続けて書きます。この形式を崩すと読み取れないので、記載例の見た目をそのまま再現してください。

代表取締役については、氏名の前に住所も書きます。「資格」代表取締役、「住所」(住所)、「氏名」(氏名)、「原因年月日」(年月日)重任、という並びです。取締役としての重任と代表取締役としての重任は別の記録なので、同じ人について2回書くことになります。

重任の場合は、原因年月日の末尾が「重任」になります。辞任なら「辞任」、就任なら「就任」、死亡なら「死亡」、任期満了による退任なら「退任」です。住所移転なら「住所移転」、氏の変更なら「△△○○の氏変更」という形で、変更前の氏名を入れます。

監査役の監査の範囲に関する登記をする場合は、役員の記録に続けて「役員に関する事項」「資格」監査役の監査の範囲に関する事項「役員に関するその他の事項」と書き、次の行に「監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある」と書きます。

会計参与がいる会社は、さらに独特です。記載例によれば「資格」会計参与、「氏名」(税理士法人名など)、「役員に関するその他の事項」(書類等備置場所)(住所)、「原因年月日」(年月日)重任、という並びになります。

辞任と就任は、まとめて1件にできる

費用に直結する話なので、ここは覚えておく価値があります。法務局の記載例には、はっきりとこう書かれています。

(注)役員の辞任(又は死亡)及び就任の登記は合わせて1件として申請することができます。 出典: houmukyoku.moj.go.jp

登録免許税は申請1件につきかかるので、辞任と就任を別々の申請書で出すと2件分になります。1枚にまとめれば1件分です。監査役の場合も同様で、監査の範囲を会計に限定する旨の登記まで含めて1件にできます。

同じ考え方で、取締役の入れ替わりと監査役の入れ替わりが同時期に起きるなら、1枚にまとめたほうが安くつきます。時期が数日ずれる程度なら、遅いほうの変更が起きてからまとめて申請しても、それぞれの変更から2週間以内であれば問題ありません。ただし早いほうの変更の期限を過ぎてはいけないので、待てる日数は限られます。

「登録免許税」の欄に書く金額

記載例には「金3万円(又は1万円)」と書かれていて、その下に「資本金の額が1億円を超える場合は3万円、1億円以下の場合は1万円になります」という注記が付いています。

根拠は登録免許税法の別表第一です。取締役、代表取締役、監査役などに関する事項の変更の登記は、申請件数1件につき3万円、資本金の額が1億円以下の会社については1万円と定められています。中小企業のほとんどは後者に当たるので、実際に書くのは「金1万円」です。

納め方は収入印紙か領収証書です。収入印紙を使う場合は、申請書とは別の白紙、いわゆる収入印紙貼付台紙に貼ります。記載例には「割印をしないで貼ってください」「収入印紙の消印作業の都合上、右側に寄せて貼り付けていただきますよう、御協力をお願いします」という注記が入っています。割印を押してしまうと差し替えになるので、絶対に押さないでください。

収入印紙は郵便局や法務局内の印紙売り場で買えます。1万円分なら1枚で足ります。

「添付書類」の欄は、実際に付けたものを本数まで書く

添付書類の欄には、付けた書類の名前と通数を書きます。記載例では書類名の右端に「○通」と本数を書く形式になっています。

辞任と就任のケースで記載例が挙げているのは、辞任届、臨時株主総会議事録、株主の氏名または名称、住所及び議決権数等を証する書面、つまり株主リスト、就任承諾書、印鑑証明書、本人確認証明書、委任状です。株主リストと臨時株主総会議事録は各1通、それ以外は人数に応じて変わります。

役員全員が重任するケースでは、株主総会議事録、株主リスト、取締役会議事録、就任承諾書、監査役の監査の範囲に関する書面、委任状という構成になります。

ここで大事なのは、付けていない書類を書かないことです。代理人に頼まないなら委任状の行は消します。印鑑証明書が不要な人しかいないなら、その行も要りません。書いてあるのに現物がない、という状態が補正のいちばん多い原因です。

就任承諾書と印鑑証明書は、誰の分を付けるのか

添付書類の欄でいちばん迷うのが、印鑑証明書と本人確認証明書です。何通と書くかは、会社に取締役会があるかどうかで変わります。記載例の注記が、そこをはっきり分けています。

(注)取締役会を設置していない会社において新たに就任する取締役については、就任承諾書に、市町村に登録した印鑑を押し、当該印鑑について市町村長が作成した印鑑証明書を添付する必要があります。取締役会設置会社において新たに就任する代表取締役についても、同様です。 出典: houmukyoku.moj.go.jp

言い換えると、こうなります。取締役会を置いていない会社なら、新しく就任する取締役の全員が、就任承諾書に個人の実印を押して印鑑証明書を付けます。取締役会がある会社なら、実印と印鑑証明書が要るのは新しい代表取締役だけです。

では、取締役会設置会社で就任する平取締役はどうなるか。ここで本人確認証明書が出てきます。市町村長が作成した印鑑証明書を付けない人については、住民票記載事項証明書や運転免許証のコピーなどを添付します。運転免許証のコピーで済ませる場合は、裏面もコピーし、本人が原本と相違ない旨を書いて記名する必要があります。表面だけのコピーを入れて補正になる例が多いので、裏面を忘れないでください。

辞める側にも押印の決まりがあります。登記所に印鑑を届け出ている取締役が辞任するときは、辞任届に登記所届出印を押すか、市町村に登録した印鑑を押します。市町村に登録した印鑑で押した場合は、その印鑑証明書も添付します。登記所届出印を押したのであれば、印鑑証明書は要りません。会社の代表者印を持っている人が辞めるなら、会社の印鑑で押すほうが書類が1通減ります。

もう1つ例外があります。登記所に印鑑を提出している者が1人もいない会社で、代表取締役が取締役を辞任するときは、市町村に登録した印鑑を押して印鑑証明書を添付する必要があります。オンラインで登記を続けてきて会社の印鑑を届け出ていない会社は、ここに当たります。

就任承諾書は、議事録で代わりにできる

書類の枚数を減らす方法が、記載例の株主総会議事録の注記に書かれています。総会の席で選ばれた人がその場で就任を承諾し、承諾した旨と本人の住所が議事録に書かれていれば、就任承諾書を別に付ける必要がありません。

その場合、申請書の添付書類の欄には「就任承諾書は、株主総会議事録の記載を援用する。」と書きます。就任承諾書の行を削るのではなく、援用すると書き添えるのが正しい形です。

ただし、省略できるのは就任承諾書という紙だけです。印鑑証明書と本人確認証明書は、援用しても省略できません。取締役会を置いていない会社が援用する場合は、さらに条件が付きます。新しく就任する取締役が、議事録そのものに市町村に登録した印鑑を押す必要があります。議事録に認印を押していると、援用が認められず就任承諾書を作り直すことになります。

枚数を減らす価値があるのは、就任する人が複数いる場合です。3人が同時に就任するなら就任承諾書が3通になりますが、援用すれば議事録1通に寄せられます。逆に就任が1人だけなら、就任承諾書を普通に1通作ったほうが、議事録の押印に気を配らなくて済むので簡単です。

申請人の欄と、押す印鑑

申請書の下半分は、日付と申請人です。記載例では、本店、申請人として商号、代表取締役の住所と氏名、そして押印、という並びになっています。

押すのは、法務局に提出した印鑑、つまり会社の代表者印です。認印ではありません。代理人に申請を委任した場合は少し変わり、代理人の住所と氏名を書いて代理人の印鑑、これは認印で構いませんが、それを押します。この場合、代表取締役の押印は必要ありません。記載例にもその旨の注記が入っています。

連絡先の電話番号も書きます。補正が必要になったときに法務局から連絡が来るので、日中つながる番号を書いてください。ここを書き忘れると、書面でのやり取りになって余計に日数がかかります。

最後に提出先の法務局名を書きます。「○○法務局 ○○支局 御中」または「○○法務局 ○○出張所 御中」という形式です。本店の所在地を管轄する登記所を書きます。管轄は法務局のサイトで確認できます。

書面で出すか、パソコンで作るか

申請書を手書きで作る必要はありません。法務局はWordの様式を配っているので、パソコンで作って印刷するのがふつうです。

もう一段進んだ方法として、法務局は登記・供託オンライン申請システムを使った登記事項の提出という仕組みを用意しています。書面で申請する場合でも、登記すべき事項だけを先にオンラインで送っておける仕組みです。

・  申請用総合ソフト(無料)を用いることにより,申請書を簡単に作成することができます。 ・  オンラインによって,受付番号,補正,手続終了等のお知らせを受けることができます。 ・ 電子署名及び電子証明書を添付する必要はありません。 出典: moj.go.jp

電子証明書が要らないのが大きな利点です。完全なオンライン申請では電子署名が必須で、そのための電子証明書を取得する手間がかかりますが、この方式なら不要です。法務局は株式会社の役員変更について専用の操作手引書まで用意しています。

ただし注意点があります。登記事項提出書を送信しただけでは受付になりません。作成した書面を印刷して、添付書類と一緒に登記所に提出する必要があります。ここを勘違いして「送ったから終わった」と思い込むと、期限を過ぎてしまいます。

場面別に、申請書の中身がどう変わるか

同じ「役員変更登記申請書」という名前でも、場面によって書く中身はかなり違います。よくある4つを並べて比べてみます。

取締役会設置会社で、役員の全員が重任する場合。登記の事由は「取締役、代表取締役及び監査役の変更」と書きます。登記すべき事項には、取締役3人分、代表取締役1人分、監査役1人分の重任をそれぞれ4行ずつ書くので、全体で20行ほどになります。添付書類は株主総会議事録、株主リスト、取締役会議事録、就任承諾書、監査役の監査の範囲に関する書面です。いちばん行数が多くなる場面ですが、内容は繰り返しなので難しくはありません。

取締役会を置いていない会社で、取締役全員が各自会社を代表しているか、株主総会で代表取締役を選んでいる会社が、役員全員を重任させる場合。添付書類から取締役会議事録が消えます。株主総会議事録、株主リスト、就任承諾書、監査役に関する書面の4点です。

取締役会を置いていない会社で、取締役の互選により代表取締役を選んでいる場合。ここだけ添付書類が2つ増えます。互選書と定款です。定款を付ける理由は記載例の注記に書かれていて、取締役の互選によって代表取締役を選定することについての定めがある定款を添付する、とされています。自分の会社がこの方式かどうかは、定款の代表取締役に関する条文を読めば分かります。

代表取締役が引っ越しただけの場合。登記すべき事項は「資格」代表取締役、「住所」新しい住所、「氏名」氏名、「原因年月日」年月日と住所移転、の4行だけです。添付書類は代理人に頼む場合の委任状のみで、記載例には「申請書に住民票を添付する必要はありません」と明記されています。書類が少なすぎて不安になりますが、これが正解です。

氏名が変わった場合も同様に添付書類は委任状だけです。登記すべき事項の原因年月日は「令和○年○月○日△△○○の氏変更」という形式で、変更前の氏名を入れます。代表取締役は取締役でもあるので、代表取締役としての記録と取締役としての記録の両方を書きます。

申請書で止まる人は、だいたい同じところで止まる

補正の連絡が来る理由には型があります。申請書そのものに関係する部分を挙げます。

ひとつめは、原因年月日の食い違いです。申請書に書いた日付と、株主総会議事録の日付と、就任承諾書の日付が揃っていない。とくに就任承諾書の日付が総会より前になっているのは致命的で、選ばれる前に引き受けたことになってしまいます。書類を後からまとめて作ると起きやすいので、3枚を並べて日付だけ先に確認してください。

ふたつめは、本店や商号を登記簿と違う表記で書くことです。「1丁目」と「一丁目」、旧字と新字、株式会社が前に付くか後に付くか。名刺や封筒の表記ではなく、登記事項証明書の表記をそのまま写すのが唯一の正解です。

みっつめは、押す印鑑の間違いです。申請書に押すのは法務局に提出した印鑑であって、認印ではありません。逆に代理人が申請する場合は代理人の認印で足り、代表取締役の押印は不要です。ここは記載例の注記に書かれているとおりに従ってください。

よっつめは、添付書類の欄と現物のずれです。委任状の行を残したまま委任状を付けていない、印鑑証明書を「2通」と書いて1通しか入っていない、といったケースです。欄を埋めてから現物を数える、ではなく、現物を並べてから欄を書くほうが間違いません。

いつつめは、収入印紙の扱いです。割印を押してしまう、申請書に直接貼ってしまう、金額を間違える。資本金1億円以下なら1万円ですが、役員変更と同時に取締役会を廃止するような登記をすると別枠で3万円が加算されます。合計金額を確かめてから印紙を買ってください。

これらはどれも、記載例のPDFに注記として書かれている内容です。記載例は本文だけでなく、右側や下に細かい注が並んでいます。提出前にもう一度、注記だけを拾い読みする時間を取ると、往復がひとつ減ります。

綴じ方と提出の実務

書類が揃ったら、綴じ方にも決まりがあります。

一般的には、申請書、収入印紙貼付台紙、添付書類の順に重ね、左側をホチキスで綴じます。申請書が複数枚になる場合や、申請書と収入印紙貼付台紙の間には、契印を押します。記載例のPDFにも、ページの端に「契印」と書かれた印が示されています。契印は、ページのつながりを示すために、綴じ目にまたがって押す印です。押すのは申請書に押したのと同じ印鑑です。

添付書類は、原本を返してほしいものがあれば原本還付の手続きをします。コピーを取り、そこに「原本と相違ありません」と書いて記名押印し、原本と一緒に出します。審査が終われば原本が返ってきます。定款のように会社に1通しかない書類は、この手続きを使うのが普通です。

提出の方法は、窓口に持参するか、郵送するか、オンラインで申請するかです。郵送の場合、申請日は書類が登記所に到着した日になります。期限が迫っているときに投函すると間に合わないことがあるので、余裕を見てください。

出してからどれくらいで終わるか

申請書を出せば即日で登記簿が書き換わるわけではありません。そして、その待ち時間は登記所によってかなり違います。

各法務局は登記完了予定日を公開しています。2026年9月18日時点の表を見ると、東京法務局の本局では、9月18日に申請した商業・法人登記の完了予定日が10月27日でした。39日後です。同じ日の大阪法務局の本局法人登記部門では、9月18日申請分の完了予定日が10月2日、14日後です。

同じ手続きで待ち時間が2.8倍違います。東京の本局は23区すべての商業登記を引き受けているため、件数が集中しているのだと考えられます。銀行の名義変更や許認可の変更届など、登記が終わらないと進められない手続きがあるなら、申請前に管轄の法務局のサイトで予定日を確認しておくべきです。東京法務局は登記完了予定日のページで申請日ごとの予定を掲示しています。

申請に不備があれば、ここからさらに延びます。補正の連絡を受けて直し、再提出する日数が上乗せされるからです。申請書の書式そのもので止まることは少なく、多くは添付書類の不足や日付の食い違いが原因です。

株式会社以外の様式も、同じ場所に並んでいる

会社の形が違っても、申請書の作り方の考え方は変わりません。法務局の申請書様式のページは、株式会社、特例有限会社、持分会社、NPO法人、一般社団法人と一般財団法人、その他の法人、外国会社、印鑑届書、取下書という章立てになっていて、それぞれに役員変更の様式があります。

合同会社の様式は「合同会社変更登記申請書(業務執行社員の退社及び加入)」という名前です。株式会社のような重任の様式はありません。合同会社の業務執行社員には任期という考え方がないため、出入りがなければ登記そのものが発生しないからです。株主総会がないので、株主リストも要りません。

一般社団法人は「一般社団法人役員変更登記申請書(辞任等により新たな役員が就任した場合)」と「(役員全員が重任した場合)」の2種類が用意されています。役員にあたるのは理事と監事です。理事には任期があるので、株式会社と同じように重任の登記が定期的に発生します。

どの法人の様式にも、記載例のPDFが必ず付いています。そして記載例の1行目には、どの場面を想定した様式なのかが書かれています。ダウンロードしたPDFを開いて1行目を読むだけで、様式を取り違えていないかが確認できます。

提出したあとに手元に戻ってくるもの

申請が終わると、原本還付を求めた書類が返ってきます。窓口で受け取るか、返信用封筒を入れておけば郵送してもらえます。オンライン申請なら、処理状況が申請用総合ソフトの画面で確認できます。

登記が完了しても、法務局から「完了しました」という証明書が自動で届くわけではありません。新しい内容を確認したい場合や、銀行や取引先に提出する必要がある場合は、登記事項証明書を自分で取ります。手数料は登記手数料令で決まっていて、法務局の窓口で書面請求すると1通600円です。パソコンから請求して窓口で受け取るなら490円、郵送してもらうなら520円になります。

会社の印鑑証明書も同じように取れます。窓口なら1件500円、オンラインで請求すれば420円、送付を頼む場合は450円です。代表者が交代した後は、銀行や許認可の窓口でこれらを何通も求められるので、必要枚数をまとめて取っておくと二度手間になりません。

なお、登記が完了しても手続きはまだ残っています。銀行口座の代表者変更、許認可を出している官庁への変更届、社会保険の事業所に関する届け出などです。法務局の登記だけ済ませてこれらを放置しているケースは実際に多く、後から指摘されて慌てることになります。登記完了予定日が分かった時点で、その後の段取りも組んでおくと動きやすくなります。

書類の型を知っている人に任せると、時間が戻ってくる

ここまで読んで分かるとおり、役員変更登記申請書に創造的な判断はひとつもありません。決まった型に、決まった情報を、決まった順番で入れるだけの作業です。

運営者として20年この市場を見てきた立場から言えば、こういう仕事こそ本人がやるべきではありません。頻度が低いので慣れる機会がなく、しかも間違えると期限に跳ね返る。経営者が数時間かけて記載例と格闘するより、書式を扱い慣れた人に下書きを頼んだほうが、結果として安く上がります。

在宅で働く人を探せるマッチングの場では、議事録や申請書の下書き、株主リストの作成といった書類仕事の依頼が日常的に動いています。どんな職種が近くて報酬がどのあたりなのかは著述家,記者,編集者の年収・単価相場で確認できます。書式を正確に扱える人かどうかを見る物差しとしては、ビジネス文書検定のような資格ガイドが参考になります。

頼む側として気にすべきは、仲介の手数料です。何割も抜かれる場で頼むより、手数料0%で直接やり取りできる場のほうが、同じ予算でより多くを頼めます。受け手も手取りが厚くなるので、次も引き受けてもらいやすい。長く続く依頼関係を見ていると、単価を削った側ではなく、相手が動きやすい形を整えた側のほうが結局得をしています。

どの作業を外に出せるかを切り分ける観点では、業務の分解を扱ったAIコンサル・業務活用支援のお仕事も材料になります。判断が要る部分と、手を動かすだけの部分を分けるところから始めると、任せられる範囲がはっきりします。

そして、下書きを誰が作るにせよ、最後に照らし合わせる相手は法務局の記載例です。商業・法人登記の申請書様式のページに場面別のPDFとWordが並んでいます。解説記事を何本も読むより、自分の場面に当たる記載例を1枚印刷して横に置くほうが、確実で速い方法です。

よくある質問

Q. 役員変更登記申請書のひな形はどこで手に入りますか?

法務局のサイトにある商業・法人登記の申請書様式のページで、WordとPDFが無料配布されています。株式会社の役員変更だけで、住所移転、氏名変更、役員全員の重任、辞任と就任など場面別に分かれています。記載例のPDFが別に付いているので、必ず記載例と様式を並べて使ってください。

Q. 「登記すべき事項」はどう書けばよいですか?

決まった書式があります。「役員に関する事項」の次に「資格」取締役、「氏名」氏名、「原因年月日」年月日と原因、という4行で1人分を書きます。代表取締役は氏名の前に住所も入れます。原因は辞任、就任、重任、退任、死亡、住所移転などから選びます。記載例の見た目をそのまま再現するのが確実です。

Q. 辞任と就任は別々に申請書を出す必要がありますか?

まとめて1件の申請にできます。法務局の記載例にも、役員の辞任または死亡と就任の登記は合わせて1件として申請できると明記されています。登録免許税は申請1件につきかかるため、1枚にまとめれば税額も1件分で済みます。別々に出すと2件分かかります。

Q. 収入印紙はどこに貼りますか?割印は必要ですか?

申請書とは別の白紙、いわゆる収入印紙貼付台紙に貼り、申請書と綴じます。割印は押してはいけません。法務局の記載例にも割印をしないで貼るよう注記があり、消印作業の都合から右側に寄せて貼ることが求められています。申請書と台紙の綴じ目には契印を押します。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年5月3日最終更新:2026年9月19日
朝比奈 蒼

この記事を書いた人

朝比奈 蒼@SOHO編集部

ITメディア編集者

IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。

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