106万円の壁と副業|社会保険に入る前に確かめる働き方 2026

@SOHO編集部
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106万円の壁と副業|社会保険に入る前に確かめる働き方 2026

この記事のポイント

  • ✓2026年10月にパートの社会保険の賃金要件が撤廃されて形が変わりました
  • ✓副業やダブルワークで社会保険に入るかどうかの判定は勤め先ごとに行われます
  • ✓2社で加入するときの届出

「106万円の壁」と副業の関係を調べている人の多くは、パートの収入を年106万円未満に抑えながら、別の仕事で収入を上乗せできないかを考えています。ところが、この106万円の線は2026年10月に制度上の意味を失いました。パートやアルバイトが会社の社会保険に入るかどうかを決める要件のうち、月額8.8万円以上という賃金の要件が撤廃されたからです。いまは、収入の額よりも、1つの勤め先で週に何時間働く契約になっているかが判断の中心になっています。この記事では、2026年10月時点の公式の情報をもとに、副業やダブルワークをする人が社会保険に入るかどうかの判定と、その前後に確かめておきたいことを整理します。

106万円の壁とは何だったのか

まず、106万円の壁という言葉の意味を確かめておきます。

会社に雇われて働く人は、一定の条件を満たすと、会社の健康保険と厚生年金保険に加入します。この2つをまとめて社会保険と呼びます。正社員と同じように長く働く人は当然に加入しますが、パートやアルバイトのように短い時間で働く人については、別に条件が決められています。この短い時間で働く人を、制度の上では「短時間労働者」と呼びます。

短時間労働者が社会保険に入る条件の1つに、これまで「所定内賃金が月額8.8万円以上」という賃金の要件がありました。所定内賃金とは、残業代や賞与、通勤手当などを除いた、契約で決まっている基本の賃金のことです。月額8.8万円を12か月分にすると約106万円になることから、「106万円の壁」と呼ばれてきました。

この線を超えると社会保険料が給与から引かれるため、手取りが減ります。そのため、年収を106万円未満に抑えようと勤務時間を調整する人が多く、働き控えの原因として長く議論されてきました。

2026年10月に賃金要件は撤廃された

この賃金の要件は、令和7年の年金制度改正によって、2026年10月に撤廃されました。厚生労働省の社会保険適用拡大特設サイトは、次のように説明しています。

短時間労働者の社会保険加入の要件の1つであった賃金要件(所定内賃金の月額が8.8万円以上)については、令和7年年金制度改正により、2026年10月に撤廃されました。そのため、年収約106万円を気にする必要はありません。 出典: mhlw.go.jp

つまり、2026年10月以降は、年収が106万円未満でも、ほかの要件を満たせば社会保険に加入することになります。逆に言えば、収入を106万円未満に抑えることで社会保険の加入を避けるという考え方は、もう通用しません。

ここで気をつけたいのは、インターネット上には撤廃前の情報がまだ多く残っていることです。「月8.8万円を超えなければ大丈夫」という説明を見かけたら、書かれた時期を確かめてください。厚生労働省の特設サイトの中にも、ページによって「撤廃予定」という表記が残っているものがあります。判断に迷うときは、勤め先の人事担当や年金事務所に確認するのが確実です。

いまの加入の要件は4つ

賃金の要件がなくなったあと、パートやアルバイトが社会保険に加入する要件は、次の4つです。厚生労働省の特設サイトの内容を整理します。

要件 内容
週の所定労働時間 20時間以上
雇用の見込み 2か月を超えて雇用される見込みがある
学生でないこと 高校、大学、専修学校などの学生でない
勤め先の規模 2027年9月までは従業員数51人以上の企業など

勤め先の規模の要件は、段階的に広がっていきます。厚生労働省の特設サイトによると、従業員数36人から50人の企業は2027年10月から、21人から35人の企業は2029年10月から、11人から20人の企業は2032年10月から、10人以下の企業は2035年10月から、パートやアルバイトの社会保険の対象になります。ここで言う従業員数は、厚生年金保険に加入している人の数で数えます。

なお、労働時間や日数がフルタイムの4分の3以上の人は、これらの要件とは関係なく、もともと社会保険の対象です。

学生については、昼間の学校に通う学生は原則として対象外ですが、卒業後も同じ会社で働き続けることが決まっている人、休学中の人、定時制や通信制の学生などは対象になると説明されています。

週20時間の数え方

賃金の要件がなくなったいま、最も大切なのは週20時間という時間の要件です。この20時間は、実際に働いた時間ではなく、就業規則や雇用契約書で決められた「所定労働時間」で判断します。残業の時間は原則として含みません。

ただし、契約上は週20時間未満でも、実態として長く働いている場合は扱いが変わります。厚生労働省は、実際の労働時間が2か月連続で週20時間以上となり、その後も続くと見込まれる場合は、3か月目から加入の対象になると説明しています。常に残業が発生している場合なども、所定労働時間の算出に含めることがあるとされています。

週の所定労働時間が決まっていない場合の計算方法も示されています。1か月単位で所定労働時間が決まっている場合は、1か月の時間を12分の52で割って、つまり12を掛けて52で割って週あたりの時間に直します。たとえば1か月の所定労働時間が87時間なら、12を掛けて52で割ると約20.1時間になり、週20時間以上と判断されます。シフトが周期的に変わる場合は、その周期の中での1週間の平均で判断します。

ここから分かるのは、時給が高くても低くても、週の契約時間が20時間以上なら社会保険の対象になるということです。厚生労働省は、最低賃金以上で週20時間以上働く人はもともと月8.8万円の要件も満たすことになるため、収入を意識する必要はないとも説明していました。

副業やダブルワークの判定は、勤め先ごとに行われる

副業を考える人にとって最も大切なのが、この点です。社会保険に加入するかどうかは、2つの勤め先の労働時間や収入を合計して判断するのではなく、それぞれの勤め先ごとに判断されます。

日本年金機構のリーフレットは、2か所以上で働く人に向けて、社会保険の加入要件を満たしているかどうかは事業所ごとに判断されると説明しています。たとえば、A社で週15時間、B社で週10時間働く場合、合計は週25時間ですが、どちらの会社でも週20時間に届いていないので、どちらでも短時間労働者としての加入要件は満たしません。

反対に、A社でもB社でもそれぞれ週20時間以上働き、両方の会社で加入の要件を満たす場合は、両方で社会保険に加入することになります。

この仕組みを知っておくと、副業の組み立て方が見えてきます。本業のパート先で週20時間以上働いていれば、本業で社会保険に入ります。副業先の勤務が週20時間未満であれば、副業先では加入しません。副業先での働き方が加入の判定に影響するのは、副業先でも週20時間以上の契約になる場合です。

2社で加入することになったときの届出

2つの勤め先の両方で社会保険の加入要件を満たした場合は、本人が手続きをする必要があります。日本年金機構は、次のように案内しています。

被保険者が同時に2か所以上の適用事業所で働くことになった場合(日本年金機構の手続きの案内)、本人が主たる事業所を1つ選び、「健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を、事実が発生してから10日以内に日本年金機構へ提出します。提出先は、選んだ事業所の所在地を管轄する事務センターまたは年金事務所で、電子申請、郵送、窓口持参のいずれかで出せます。

この届出をすると、2つの事業所で受ける報酬月額を合計した額で標準報酬月額が決まります。標準報酬月額とは、保険料を計算するために、月々の給与を一定の幅で区切った金額のことです。保険料は、この標準報酬月額をもとに計算した額を、それぞれの事業所の報酬月額の割合で分けて、各事業所が給与から差し引きます。

日本年金機構のリーフレットには、A社の報酬月額が20万円、B社が10万円の場合に、合計の30万円で標準報酬月額が決まる例が示されています。健康保険は、選んだ事業所の保険者のもとで資格が登録されます。

届出を忘れると、保険料の計算が正しく行われません。2つの勤め先で加入の手続きが始まったら、早めに届出を済ませてください。

業務委託の副業は、社会保険の判定に入らない

副業の中には、会社に雇われるのではなく、個人として仕事を請け負う業務委託の形もあります。Webライター、デザイン、翻訳、データ入力などの在宅の副業は、この形が多くなります。

業務委託は雇用ではないので、ここまで説明した会社の社会保険の加入の判定には入りません。業務委託でいくら収入を得ても、それだけで会社の健康保険や厚生年金に加入することにはなりません。

ただし、業務委託の収入が無関係になるわけではありません。家族の扶養に入っている人の場合、後で説明する扶養の収入の要件には、業務委託の収入も含まれます。また、業務委託の所得が一定額を超えると、確定申告が必要になります。

業務委託の副業を始めるときは、契約の内容を書面で確かめておくことも大切です。報酬の額や支払いの時期、成果物の修正の範囲などが書面に残っていないと、後でもめる原因になります。発注書や契約書で確かめるべき項目は、フリーランスを守る「下請法(取適法)」の知識|発注書・契約書の必須項目チェックリストで、取引の条件を書面に残すときの確認項目として整理されています。

扶養の130万円とは別の話

106万円の壁と混同されやすいのが、扶養の「130万円の壁」です。この2つは、まったく別の仕組みです。

106万円の壁は、自分が勤め先の社会保険に入るかどうかの話でした。一方、130万円の壁は、会社員の配偶者や親の扶養に入って、その人の健康保険の被扶養者でいられるかどうかの話です。被扶養者とは、保険料を自分で払わずに、家族の健康保険に入れてもらえる人のことです。

日本年金機構によると、被扶養者になるための収入の要件は、年間の収入が130万円未満であることです。60歳以上の人や障害のある人は180万円未満になります。さらに、同居の場合は扶養する人の収入の半分未満、別居の場合は仕送りの額未満であることが求められます。

19歳以上23歳未満の人については、令和7年10月1日以降の認定から、年間の収入の要件が150万円未満に変わっています。配偶者は対象外です。

ここで言う年間の収入は、過去の収入ではなく、これから1年間に見込まれる収入です。給与の場合は月額108,333円以下であれば要件を満たすとされています。そして大切なのは、この収入には業務委託の副業の収入も含まれることです。パートの給与を抑えていても、在宅の副業の収入と合わせて130万円以上の見込みになると、扶養から外れることになります。

また、扶養を受ける人の収入が給与だけの場合は、令和8年4月1日以降の認定から、労働契約の内容で年間の収入を判定できるようになっています。給与のほかに業務委託の収入がある人は、この扱いの対象外になる点に注意が必要です。

扶養から外れるときと、社会保険に入るときの関係

2026年10月以降、週20時間以上の契約で働く人は、収入にかかわらず勤め先の社会保険に入ることになりました。家族の扶養に入っている人が社会保険に加入すると、自分で保険料を払う立場に変わり、家族の被扶養者からは外れます。

一方、週20時間未満の契約で働き、勤め先の社会保険に加入しない人は、収入が130万円未満の見込みであれば、引き続き家族の扶養に入っていられます。ただし、業務委託の副業の収入を合わせて130万円以上になると、扶養から外れます。この場合、勤め先の社会保険には入らないので、自分で国民健康保険と国民年金に加入することになります。

国民年金の保険料は、令和8年度で1か月あたり17,920円です。国民健康保険の保険料は、住んでいる市区町村と所得によって変わります。扶養から外れて国民健康保険と国民年金に入るこの形は、保険料の負担が重い一方で、将来の年金は国民年金だけになります。同じ収入でも、勤め先の社会保険に入るほうが、保険料の半分を会社が負担してくれ、厚生年金も上乗せされるので、保障の面では手厚くなります。

厚生労働省は、扶養に入っている人が社会保険に加入するとき、配偶者の会社から支払われている家族手当や配偶者手当の対象から外れる可能性があることにも留意するよう呼びかけています。手当の条件は会社ごとに違うので、家族の勤め先の規定も確かめておきましょう。

社会保険に入ると何が変わるか

社会保険に入ると、給与から保険料が差し引かれ、手取りは減ります。その一方で、受けられる保障が増えます。厚生労働省は、加入のメリットとして、将来受け取る年金が増えること、病気やけが、出産で会社を休んだときに給付が受けられることを挙げています。

将来の年金は、国民年金に加えて厚生年金を受け取れるようになります。厚生年金は、働いていた期間の給与に応じて決まり、生涯にわたって受け取れます。

休業中の給付としては、傷病手当金と出産手当金があります。傷病手当金とは、病気やけがで働けない間に、健康保険から出るお金のことです。厚生労働省は、1日あたりの金額の計算方法を、支給開始日以前の12か月間の標準報酬月額の平均を30日で割り、3分の2を掛けた額と説明しています。国民健康保険には、この傷病手当金や出産手当金が原則としてありません。副業で収入を得ている人が病気で働けなくなったとき、勤め先の健康保険に入っているかどうかで、収入の支えが大きく変わります。

手取りの変化は、厚生労働省の特設サイトにある手取りの試算の道具で確かめられます。社会保険料の額は給与の額で変わるので、自分の給与で試算してから判断してください。

iDeCoや国民年金基金に入っている人の手続き

社会保険に加入すると、年金の種類が変わります。それまで国民年金だけに入っていた人や、家族の扶養に入って国民年金の第3号被保険者だった人は、厚生年金に加入する第2号被保険者に変わります。この変化に伴って、手続きが必要になる場合があります。

厚生労働省の特設サイトは、iDeCo(個人型確定拠出年金)に加入している人のうち、国民年金の第1号被保険者、第3号被保険者、任意加入被保険者だった人が社会保険に加入する場合は、iDeCoの種別変更の手続きが必要だと案内しています。手続きをしないと、掛金の引き落としが止まるとされています。手続きは、自分が利用している金融機関に問い合わせて進めます。

国民年金基金に加入している人が社会保険に加入した場合は、国民年金基金の加入員の資格を失うので、国民年金基金に資格喪失の届出を出す必要があるとも説明されています。

これまで国民年金の上乗せとして自分で積み立ててきた人ほど、加入の前後で手続きが必要になります。勤め先で社会保険の加入手続きが始まったら、自分が入っている年金の上乗せの制度を確かめ、必要な届出を忘れないようにしてください。

副業を始める前に勤め先の決まりも確かめる

副業そのものについても、勤め先の決まりを確かめておく必要があります。厚生労働省のモデル就業規則は、労働者が勤務時間外に他の会社などの業務に従事することを原則として認める考え方をとっていますが、実際の扱いは会社ごとに違います。届出や許可が必要な会社もあるので、就業規則を確認し、必要な手続きを済ませてから始めましょう。

雇われて働く副業の場合は、労働時間の扱いにも注意が必要です。労働基準法では、2つの勤め先で働く時間は通算して扱われ、法定労働時間を超えた部分には割増賃金が必要になるという考え方がとられています。厚生労働省の副業・兼業の促進に関するガイドラインでは、通算の方法や、副業を始めるときに本人が勤め先に申告する内容が説明されています。2つの勤め先の労働時間を記録しておくことは、健康を守るうえでも大切です。

雇用保険の要件も確かめておく

社会保険と一緒に確かめておきたいのが、雇用保険です。雇用保険とは、失業したときや育児、介護で休業したときに給付が受けられる保険のことです。

厚生労働省の特設サイトは、雇用保険の適用事業所に雇われる人のうち、1週間の所定労働時間が20時間以上で、31日以上の雇用の見込みがある人は、原則として雇用保険の被保険者になると説明しています。そのため、社会保険の対象になる短時間労働者の要件を満たす場合は、社会保険と雇用保険の両方に加入することになります。

雇用保険も、原則として1つの勤め先ごとに判断します。2つの勤め先でそれぞれ週20時間未満なら、合計で20時間を超えても加入しないのが原則です。65歳以上の人には、2つの勤め先の時間を合算して加入できる制度がありますが、対象は限られています。

確定申告が必要になる場合

副業をすると、確定申告が必要になる場合があります。国税庁の案内をもとに整理します。

給与を1か所から受けていて、その給与が源泉徴収の対象になっている人は、給与以外の所得の合計が20万円を超えると確定申告が必要です。業務委託の副業の所得はここに含まれます。所得とは、収入から必要な経費を引いた額のことです。

給与を2か所以上から受けている人は、年末調整されなかった給与の収入と、給与以外の所得の合計が20万円を超えると確定申告が必要です。パートを2つ掛け持ちしている場合は、通常、副業先の給与は年末調整されないので、この基準で判断します。ただし国税庁は、給与の収入の合計から一定の所得控除を引いた額が150万円以下で、給与以外の所得の合計が20万円以下の人は申告不要としています。

確定申告が不要な場合でも、住民税の申告が必要になることがあります。金額や事情で扱いが変わるので、迷ったときは税務署や市区町村の窓口で確認してください。

4つの働き方で当てはめてみる

制度の説明だけでは、自分の場合にどうなるかがつかみにくいものです。よくある4つの働き方に当てはめて考えてみます。いずれも、勤め先は従業員数51人以上の企業で、本人は学生ではなく、2か月を超えて雇われる見込みがあるものとします。

1つ目は、スーパーのパートで週22時間の契約、ほかに副業はない人です。週20時間以上なので、2026年10月以降は年収が106万円未満でもパート先の社会保険に加入します。これまで月8.8万円未満に収まるよう時給と時間を調整していた人も、今後は時間の要件だけで判断されます。

2つ目は、パートで週18時間、別の飲食店で週8時間のアルバイトをしている人です。合計は週26時間ですが、どちらの勤め先でも週20時間に届かないので、どちらでも加入しません。家族の扶養に入っている場合は、2つの給与を合わせて年130万円未満の見込みかどうかで扶養の判定をします。

3つ目は、パートで週24時間、別の会社でも週20時間の契約で働く人です。両方の勤め先で要件を満たすので、両方で社会保険に加入します。主たる事業所を選び、二以上事業所勤務届を10日以内に出します。保険料は、2社の報酬を合計した標準報酬月額をもとに、報酬の割合で分けて各社の給与から差し引かれます。

4つ目は、パートで週15時間、ほかに在宅でWebライターの業務委託を受けている人です。パート先では週20時間未満なので加入しません。業務委託は社会保険の判定に入りません。ただし、家族の扶養に入っている場合は、パートの給与と業務委託の収入を合わせた見込み額が年130万円未満かどうかを確かめる必要があります。業務委託の所得が20万円を超えれば確定申告も必要です。

同じ「副業」でも、雇われて働くか請け負うかで、確かめるべき点がまったく違うことが分かります。

勤め先が加入の対象かを自分で確かめる方法

自分の勤め先がパートやアルバイトの社会保険の対象になる企業かどうかは、勤め先に聞くのが最も確実です。ただ、聞きにくい場合や、先に自分で確かめたい場合の方法もあります。

日本年金機構は、厚生年金保険の適用事業所を検索できる仕組みをウェブサイトで公開しています。事業所の名前や所在地で検索すると、その事業所が厚生年金保険に加入しているかどうかや、短時間労働者が加入の対象になる特定適用事業所に当たるかどうかを確かめられます。

勤め先の従業員数が基準に届いていなくても、労使で合意して、パートやアルバイトを社会保険の対象にしている企業もあります。これを任意特定適用事業所と呼びます。小さな勤め先でも、加入の対象になっていることがあるということです。

制度について個別に相談したいときは、日本年金機構の「ねんきん加入者ダイヤル」が窓口になっています。厚生労働省の特設サイトでは、事業所や厚生年金の加入者向けの番号として0570-007-123が案内されています。自分の雇用契約書を手元に置いて相談すると、話が早く進みます。

勤め先から勤務時間の変更を求められたとき

適用拡大の時期が近づくと、勤め先から勤務時間の見直しを提案されることがあります。社会保険の加入を避けるために週20時間未満に減らしてほしい、あるいは反対に、加入を前提に時間を伸ばしてほしい、という提案です。

こうした提案を受けたときは、その場で返事をせず、まず手取りと保障の変化を確かめてください。厚生労働省の特設サイトの手取りの試算や、公的年金の試算の道具を使うと、加入した場合の手取りと将来の年金の目安が分かります。

勤務時間を減らす場合、社会保険料の負担は避けられますが、収入そのものが減ります。家族の扶養に入っていない人の場合、勤め先の社会保険に入らなければ、自分で国民健康保険と国民年金に加入することになり、保険料を全額自分で払う形になります。時間を減らした結果、かえって負担が重くなることもあるので、慎重に比べてください。

勤務時間を変えることになったら、変更後の所定労働時間を雇用契約書や労働条件通知書で書面にしてもらいましょう。社会保険の判定は契約上の時間で行われるので、書面がないと後で判断が食い違う原因になります。

副業を組み立てる前に確かめる6つのこと

ここまでの内容をもとに、副業を始める前に確かめておきたいことを整理します。

  1. 本業の勤め先の従業員数。2027年9月までは51人以上が対象で、段階的に広がる
  2. 本業と副業それぞれの週の所定労働時間。合算ではなく勤め先ごとに判断する
  3. 副業先でも週20時間以上になるか。なるなら二以上事業所勤務届が必要になる
  4. 副業が雇用か業務委託か。業務委託は社会保険の判定に入らないが、扶養の収入には入る
  5. 家族の扶養に入っているか。業務委託の収入を含めて年130万円未満の見込みか
  6. 確定申告の要否。給与以外の所得や副業先の給与が20万円を超えるか

この6つを紙に書き出して、自分の働き方に当てはめてみると、どの選択肢が自分に合うかが見えてきます。

働き方を選ぶときの考え方

106万円の壁がなくなったことで、働き方の選び方は「収入をいくらに抑えるか」から「週に何時間、どこで働くか」へと変わりました。

週20時間以上働ける人にとっては、社会保険に入ることを前提に、手取りと将来の保障を比べて考えるのが現実的です。保険料の負担は増えますが、会社が半分を負担し、厚生年金や傷病手当金の保障が得られます。

家庭の事情などで週20時間未満で働きたい人は、勤め先の社会保険には入らない形になります。この場合も、業務委託の副業の収入を含めて、扶養の130万円の要件に収まるかどうかを確かめておく必要があります。

迷ったときは、目先の手取りだけでなく、10年後、20年後の自分を想像して比べてみてください。病気やけがで長く休むことになったとき、収入を支える傷病手当金があるかどうか。老後に受け取る年金が国民年金だけか、厚生年金が上乗せされるか。社会保険の保障は、すぐには実感しにくい一方で、必要になったときの差は大きくなります。収入を抑える働き方を選ぶ場合も、こうした保障を別の方法でどう備えるかを、あわせて考えておくことが大切です。

どちらが得かは、家族の収入、扶養の状況、将来の年金の見込み、健康状態などで変わります。一般的な考え方はここで整理したとおりですが、個別の判断は、勤め先の人事担当、年金事務所、税務署で確認してください。

運営者の視点から見た、副業の組み立て方の変化

在宅ワークや業務委託の市場を長く見てきた立場から言えば、106万円の壁の撤廃は、パートと在宅の副業を組み合わせる人の考え方を変えつつあります。これまでは、パートの収入を年106万円未満に抑え、足りない分を在宅の副業で補うという組み立てが多く見られました。賃金の要件がなくなったいま、パートの側は週の契約時間で判断され、在宅の業務委託の副業は扶養の収入の要件のほうで効いてくる、という形に変わっています。

業務委託の副業では、仲介を通さず発注者と直接取引する場面もあります。間に入る手数料がなければ、発注者は同じ予算でより多くの仕事を頼め、受ける側は手取りが厚くなります。手数料0%の直接取引は、限られた時間で副業をする人にとって、作業時間あたりの手取りを確保しやすい形です。一方で、直接取引では報酬の未払いが起きたときの対応も自分で担うことになります。万一のときの回収の流れは、未払い報酬を回収する!弁護士の着手金・成功報酬と支払督促の流れ【2026年最新】で、支払督促などの手続きとして説明されています。

在宅の副業として書く仕事を考えている人は、著述家,記者,編集者の年収・単価相場で書く仕事の収入水準を確認できます。発注者とのやり取りで使う文書を正確に書く力を身につけたい人には、ビジネス文書検定のページで、試験の内容と受験の流れがまとめられています。

よくある質問

Q. 2026年10月以降も106万円の壁はありますか?

制度上の106万円の壁はなくなりました。パートやアルバイトが社会保険に入る要件の1つだった月額8.8万円以上の賃金要件は、2026年10月に撤廃されたと厚生労働省は説明しています。いまは週の所定労働時間20時間以上、2か月を超える雇用見込み、学生でないこと、勤め先の規模の要件で判断されます。

Q. パートを2つ掛け持ちすると、労働時間を合計して社会保険に入りますか?

合計しません。社会保険の加入要件は勤め先ごとに判断されます。たとえば2社でそれぞれ週15時間と週10時間なら、どちらでも週20時間に届かないので加入しません。両方の勤め先で要件を満たした場合は両方で加入し、本人が二以上事業所勤務届を10日以内に日本年金機構へ出します。

Q. 在宅の業務委託の副業収入は社会保険の判定に関係しますか?

勤め先の社会保険に入るかどうかの判定には入りません。業務委託は雇用ではないためです。ただし、家族の扶養に入っている場合は、被扶養者の収入の要件である年130万円未満(19歳以上23歳未満は150万円未満)に業務委託の収入も含まれます。扶養から外れると国民健康保険と国民年金に自分で加入します。

Q. 副業をすると確定申告は必要ですか?

国税庁の案内では、給与を1か所から受けている人は、給与以外の所得の合計が20万円を超えると確定申告が必要です。給与を2か所以上から受けている人は、年末調整されなかった給与の収入と給与以外の所得の合計が20万円を超えると必要になります。住民税の申告が別に必要な場合もあるので、窓口で確認してください。

この記事について

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年1月17日最終更新:2026年10月2日
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SNS運用・経理・広告など、業務のアウトソーシング(外注)を検討する企業・個人向け。費用相場・依頼の流れ・失敗しない選び方