公務員のメルカリ出品はどこまで|副業に当たる境目と申告 2026

前田 壮一
前田 壮一
公務員のメルカリ出品はどこまで|副業に当たる境目と申告 2026

この記事のポイント

  • ✓公務員がメルカリで出品するのは副業に当たるのか
  • ✓不用品の売却と転売の境目を
  • ✓所得税法と古物営業法の条文で線引きしました

まず、安心してください。自分の家にある不用品をメルカリで売る行為は、公務員の副業禁止に触れません。ここは条文の構造からはっきりしています。問題になるのは、売るために仕入れる段階が入ったときと、品物が生活用品の範囲を超えたときです。この2つの境目を知らないまま出品を続けている方が多いので、順に整理します。

この記事では、服務規律の側(何が「営利企業を営む」に当たるのか)と税の側(何が課税され、いつ申告が必要になるのか)を分けて説明します。どちらも条文に当たって確かめた内容だけを書きます。金額の目安も出しますが、皆さんの状況で判断が変わる部分は正直にそう書きます。

不用品の売却が副業に当たらない理由

まず税の側から見ます。所得税法第9条第1項は非課税所得を列挙していて、その第9号に「自己又はその配偶者その他の親族が生活の用に供する家具、じゆう器、衣服その他の資産で政令で定めるものの譲渡による所得」があります。つまり、生活で使っていた家具や衣類を売って得たお金には所得税がかかりません。着なくなった服、使わなくなった家電、読み終えた本、子どもが卒業した習い事の道具。これらを売っても課税されないというのが出発点です。

次に服務の側です。地方公務員法第38条は「職員は、任命権者の許可を受けなければ、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない」と定めています。国家公務員なら国家公務員法第103条と第104条が同じ役割を果たします。

ここで見るべきは「自ら営利企業を営み」と「報酬を得て事業若しくは事務に従事」の2つです。自分の持ち物を処分する行為は、営利を目的とした企業を営んでいるとは言えず、誰かから報酬を得て事務に従事しているわけでもありません。資産を現金に換えているだけです。この点を厳しく言い当てている指摘があります。

厳しいことを言いますが、不用品処分はあくまで「資産の現金化」であり、継続的な収入(副業)ではありません。部屋は綺麗になりますが、あなたの資産自体は1円も増えていないんです。 出典: note.com

副業にならないという意味では安心材料ですが、同時に「不用品を売り続ければ収入になる」という期待も打ち消される話です。私も物置を整理して売り切ったことがありますが、2か月ほどで売れるものが尽きました。皆さんの家も、おそらく似た規模だと思います。

古物営業法との関係も先に片づけておきます。同法第2条第2項第1号は古物営業を「古物を売買し、若しくは交換し、又は委託を受けて売買し、若しくは交換する営業であつて、古物を売却すること又は自己が売却した物品を当該売却の相手方から買い受けることのみを行うもの以外のもの」と定義しています。自分の不用品を売るだけなら「古物を売却することのみ」に当たるので、古物営業には含まれません。したがって同法第3条が求める公安委員会の許可も不要です。条文はe-Govから確認できます。

境目になる3つの線

ここからが本題です。不用品処分から外れる線を3本引きます。

線1:売るために仕入れたら、性質が変わる

所得税法第33条第2項第1号は、たな卸資産の譲渡その他「営利を目的として継続的に行なわれる資産の譲渡による所得」は譲渡所得に含まれない、と定めています。譲渡所得に含まれないということは、事業所得か雑所得になるということです。生活用動産の非課税規定は「生活の用に供する」資産が前提なので、最初から売る目的で買った物には適用されません。

服務の側でも評価が変わります。仕入れて売って差益を得る行為を繰り返せば、それは「自ら営利企業を営む」の領域に入ってきます。この場合は任命権者の許可が必要になり、許可なく続けていれば処分の対象になり得ます。さらに中古品を仕入れて売るなら、前述の古物営業法第3条の許可も必要です。公務員が古物商の許可を取って営業するのは、兼業の許可なしには成り立ちません。

境目の見え方を、実際の悩みの形で見てみます。

公務員です。先月からカードゲームにハマり、色々買い漁っているのですが、パックから出たいらないレアカードをオークションアプリで売ることここ最近やっています。 出典: detail.chiebukuro.yahoo.co.jp

これは判断が分かれやすい典型です。自分が遊ぶために買ったパックから余ったカードを売るだけなら、趣味の副産物の処分に近い。一方で、当たりを狙ってパックを大量に買い、出たカードを継続的に売って利益を出しているなら、実質は仕入れて売っているのと同じです。同じ「カードを売る」でも、買った目的と回数と金額で評価が変わります。自分の行為がどちらに見えるかは、通帳とアプリの取引履歴が語ります。

線2:継続性と規模

1年に数回、家の片付けで出たものを売るのと、毎週10件以上を出品し続けるのでは、外から見た印象がまるで違います。条文に「何件まで」という数字はありません。だからこそ、税務署も職場も実態で判断します。同じ種類の商品を継続して出品している、サイズ違いを揃えている、まとめ買いの痕跡がある。こういった要素が揃うと、不用品処分だという説明が通りにくくなります。

判断の目安として自分に問いかけてほしいのは3つです。その品物を、売るために買いましたか。同じ品物を繰り返し仕入れましたか。売上が生活費の一部として当てにされていますか。どれかに「はい」があるなら、不用品処分の枠を出ています。

線3:30万円を超える貴金属や美術品

生活用動産の非課税には例外があります。所得税法施行令第25条は、非課税となる資産を「生活に通常必要な動産のうち、次に掲げるもの(一個又は一組の価額が三十万円を超えるものに限る。)以外のもの」と定め、掲げているものとして貴石、半貴石、貴金属、真珠及びこれらの製品、べつこう製品、さんご製品、こはく製品、ぞうげ製品、七宝製品、そして書画、こつとう及び美術工芸品を挙げています。

読み方が少しややこしいので言い換えます。宝石や貴金属の製品、書画、骨とう、美術工芸品で、1個または1組の価額が30万円を超えるものは、非課税の対象から外れます。つまり譲渡所得として課税の対象になります。相続した指輪、譲り受けた絵、集めていた腕時計。こうしたものを売るときは、金額を確認してください。

確定申告が必要になる線

課税対象になる売却があった場合の手続を整理します。

不用品ではなく課税対象の譲渡に当たる場合、譲渡所得の計算では特別控除が使えます。所得税法第33条第4項は「譲渡所得の特別控除額は、五十万円(譲渡益が五十万円に満たない場合には、当該譲渡益)とする」と定めています。売った金額から取得費と売却にかかった費用を引いた譲渡益が50万円以内なら、特別控除で譲渡所得はゼロになる計算です。

転売のように事業所得か雑所得になる場合は、この特別控除はありません。売上から仕入れ代金と送料、梱包資材、販売手数料などの経費を引いた額が所得になります。

そして給与所得者の申告義務です。所得税法第121条第1項第1号は、1か所から給与を受けて年末調整を受けている人で、給与の金額が2,000万円以下、かつ給与所得と退職所得以外の所得金額の合計が20万円以下であるときは、確定申告書の提出を要しないとしています。公務員の多くはこの条件に当てはまるので、給与以外の所得が20万円を超えたら確定申告、という理解でおおむね合っています。

ただし注意点が2つあります。1つは、所得税の申告が不要でも住民税の申告は別に必要になる場合があること。もう1つは、この20万円は売上ではなく所得(売上から経費を引いた額)だということです。売上が50万円でも、仕入れと手数料と送料で35万円かかっていれば所得は15万円です。だから記録が必要になります。申告の様式と計算方法は国税庁で確認してください。

記録の付け方は難しく考えなくて大丈夫です。表計算ソフトに、売った日、品名、売れた金額、仕入れた金額(自分の持ち物なら買ったときの金額)、送料、手数料を並べるだけです。これを月に一度更新しておけば、年末に慌てることはありません。私も最初の年に領収書をまとめて探す作業をして、これは二度とやりたくないと思いました。

税務署から問い合わせが来たときの考え方

フリマアプリの取引は、プラットフォーム側に記録が残ります。そのため、売上の規模が大きくなると税務署から内容の確認が届くことがあります。届いた時点で処分が決まったわけではありません。聞かれているのは「その売上は何の売上か」です。

答えられる状態を作っておけば、対応は事務的に終わります。用意するのは、取引履歴、品物の入手経路が分かる記録、そして生活用品の処分であることの説明です。逆に、記録が何もない状態で口頭だけで説明しようとすると、話が長くなります。不用品処分だという主張は、品目の並びを見せるだけでかなり説得力が出ます。同じ品目が並んでいないこと、家庭から出るものの種類であること。この2点です。

もし転売に当たる取引が含まれていたと自分で気づいた場合は、指摘される前に修正申告する道があります。先に動いたほうが加算税の扱いで有利になるのが原則です。ここは金額と経緯で判断が変わるので、税務署の相談窓口か税理士に事実を伝えて聞いてください。黙って様子を見るのが一番損をします。

判断に迷いやすいケース

家族の名義で出品する

配偶者や親の名義で出品すれば大丈夫、という考え方は避けてください。実際に仕入れと出品と発送を自分がやっていれば、名義を変えただけでは実態は変わりません。むしろ、隠す意図があったと評価されると、行為そのものより不利に働きます。

ハンドメイド作品を売る

自分で作ったものを売る場合、材料は売るために買っています。生活用動産の処分ではないので、所得が出れば課税対象です。服務の側でも、継続して制作して販売していれば「自ら営利企業を営む」に近づきます。趣味の範囲で年に数点なのか、継続的な販売なのかで評価が変わります。金額が小さいうちに服務担当へ確認しておくのが確実です。

ポイントや売上金の扱い

売上金をそのままアプリ内で使った場合も、売却の事実は消えません。現金に引き出していないから収入ではない、という理解は通りません。また、売上金を放置していると、収入としての記録だけが残って自分の手元には何も残らない状態になります。

職場の物品や、業務で得た情報が絡むもの

これは線1から線3とは別格で危険です。職場で配布された物品を売る、業務で知った入手困難な商品の情報を使って先回りして買う。前者は物品の所有関係の問題になり、後者は地方公務員法第34条(秘密を守る義務)と第33条(信用失墜行為の禁止)の問題になります。金額の大小に関係なく避けてください。

職場に説明できる状態を作っておく

処分に至るかどうかを分けるのは、多くの場合「説明できるか」です。不用品処分であることを示す材料を、あらかじめ持っておきます。

出品履歴は残しておいてください。何を、いつ、いくらで売ったか。同じ品物を繰り返し売っていないこと、家の中から出たものだと分かる品目の並びであること。この2つが示せれば、不用品処分だという説明に実体が伴います。

売上の使い道も記録しておくと説明が楽になります。生活費に充てた、子どもの用品を買い替えた、といった流れが通帳で追えれば、事業として運営していないことの傍証になります。

そして、迷ったら先に聞いてください。服務担当に「不用品をフリマアプリで売っているが、届け出は必要か」と聞くこと自体が問題になることはありません。聞かずに続けて、後から指摘されるほうが面倒です。相談した記録が残ることは、皆さんを守る側に働きます。

収入を積むなら、別の道のほうが早い

ここまで読んで、「では公務員が収入を増やすにはどうするのか」と思われたはずです。正直に書くと、不用品の売却は収入を増やす手段としては続きません。売るものが尽きるからです。もし収入を増やしたいなら、許可の手続を踏んで、時間と技能を売る形にしたほうが現実的です。

どんな業務が実際に発注されているかは、業務内容の粒度で並んだ資料を見ると分かります。生成AIの導入が進んだ現場では、業務の流れを分解して整理できる人が足りていません。AIコンサル・業務活用支援のお仕事とAI・マーケティング・セキュリティのお仕事には、専門知識が要る部分と、段取りと丁寧さで務まる部分が分かれて載っています。行政の事務手続を担ってきた経験は、後者と素直につながります。

文章で伝える仕事の相場感をつかむなら著述家,記者,編集者の年収・単価相場が参考になります。制度や手続を正確に書ける人は不足しているので、公務員の経験はそのまま強みになります。書式の型そのものを押さえておきたい方にはビジネス文書検定が近いです。書類の形が整っているだけで差し戻しが減り、実際の時間単価が上がります。

契約の知識も先に持っておくと安心です。業務委託で仕事を受けるときの発注書と契約書の必須項目はフリーランスを守る「下請法(取適法)」の知識|発注書・契約書の必須項目チェックリストに整理されています。報酬が支払われないときの手順については未払い報酬を回収する!弁護士の着手金・成功報酬と支払督促の流れ【2026年最新】が具体的です。どちらも、始める前に読んでおく類の資料です。

出品を続けるなら、記録の付け方を先に決める

不用品の処分であっても、出品を続けるなら記録は残しておいたほうがいいです。理由は2つあります。あとで説明を求められたときに使えること、そして自分がどこにいるのかを把握できることです。

記録する項目は6つで足ります。売った日、品名、売れた金額、その品物を買ったときの金額、送料、販売手数料。表計算ソフトで1行ずつ足していくだけです。買ったときの金額が分からない古いものは「不明」と書いておきます。それも情報です。

この表を月に一度見返すと、自分の出品が不用品処分の範囲にあるかどうかが自分で判断できます。同じ品目が並び始めた、仕入れた品が増えてきた、売上が生活費として当てにされ始めた。こういう変化は、記録があると数字で見えます。気づいた時点で服務担当に相談すれば、問題になる前に整理できます。

もう1つ、金融機関の口座を分けることもおすすめします。フリマアプリの売上金の振込先を、生活費の口座と別にしておく。そうすると通帳を見るだけで売上の総額が分かり、確定申告が必要かどうかの判断が早くなります。分けていないと、生活費の入出金に混ざって追えなくなります。皆さんが確定申告の時期に困る原因は、だいたいここです。

記録を付けるのは面倒に見えますが、実際にかかる時間は月に10分程度です。出品のたびに書くのではなく、月末にまとめて1回だけ写す形にすると続きます。私は最初の年にこれを怠って、年末に半年分の履歴を遡る作業をしました。10分を12回やるほうが、圧倒的に楽です。

運営者として市場を見てきた立場からの観察

在宅ワークと業務委託の市場を20年運営してきた立場から言えば、物を売る副業と、時間や技能を売る副業では、続き方がまったく違います。物を売る側は在庫が尽きれば止まりますが、技能を売る側は同じ相手から次の依頼が来ます。運営者として見てきた限りでは、長く続いている人ほど新規の相手を探す時間が短く、「この人に任せると楽だ」と思われる関係づくりに時間を使っています。

もう一つ、額面と手取りの話をしておきます。仲介の手数料が乗る取引では、依頼者が支払った金額と受け手に届く金額の間に差があります。フリマアプリの販売手数料も同じ構造で、売値の一部が中間に残ります。差が10%あれば、10万円売って1万円が消えます。業務委託マッチングサービスの中には手数料0%で当事者どうしが直接やりとりする形のところもあり、その構造なら同じ予算で依頼者はより多く頼めて、受け手の手取りは厚くなります。金額の大小の話ではなく、同じ仕事に残る割合が違うという質の話です。

そして兼業の許可という観点では、手取りが厚いことに実利があります。許可の申請では活動時間と収入の見込みを説明することになるので、同じ収入を得るために引き受ける仕事の量が少なければ、勤務への影響も小さく説明できます。手数料で削られる分を埋めるために件数を増やすと、説明すべき活動時間が増えていく。この関係に気づいておくと、どこで受けるかの選び方が変わってきます。皆さんが最初に確認すべきは出品先の手数料ではなく、所属の兼業基準です。そこを押さえてから、どの形で収入を積むかを決めてください。

数字を入れて計算する。10万円売ったとき手元にいくら残るのか

金額の感覚がないまま出品を続けると、税の判断もできません。具体的な数字で置きます。手数料は売値の10%として計算しますが、率は出品先の規定で変わるので、自分が使っている出品先の案内で確かめてください。

まず不用品の処分の場合です。1点3,000円で売れるものを月に10点、年間で120点売ったとします。売上は36万円。ここから販売手数料が10%で3万6,000円、送料を1点あたり平均500円として6万円、梱包の資材が年1万円。合計10万6,000円が出ていき、手元に残るのは25万4,000円です。売上の3割近くが費用で消えます。生活で使っていた家具や衣類の処分なら所得税はかからないので、この25万4,000円がそのまま残ります。

次に、売るために仕入れた場合です。同じ36万円の売上でも、仕入れに18万円かかっていれば話が変わります。売上36万円から仕入れ18万円、手数料3万6,000円、送料6万円、資材1万円を引くと、所得は7万4,000円です。給与を1か所から受けて年末調整を受けている職員の場合、給与所得と退職所得を除く所得の合計が20万円を超えると確定申告が必要になります。7万4,000円なら所得税の確定申告は要りませんが、住民税の申告は別に必要になることがあります。判定の条件は国税庁のタックスアンサーに整理されています。

この2つを並べると分かることがあります。売上が同じ36万円でも、仕入れが入った瞬間に手元に残る額は25万4,000円から7万4,000円へ落ちます。そして服務の側では、仕入れが入ったほうだけが「自ら営利企業を営む」に近づきます。手元に残る額は3分の1以下になり、説明の手間は増える。数字にすると、仕入れて売る形が公務員にとって割の悪い選択だということがはっきりします。

貴金属や美術品を売る場合の計算も置きます。譲り受けた指輪が45万円で売れて、買ったときの金額が領収書から20万円と分かるケースです。売却にかかった手数料が4万5,000円だとすると、譲渡益は20万5,000円になります。譲渡所得の特別控除は50万円なので、この譲渡益は控除の範囲に収まり、譲渡所得はゼロになる計算です。ただし同じ年に他の譲渡益があると合算されるので、複数点を売る年は合計で見てください。買ったときの金額が分からない品物の扱いは、金額と取得の経緯で変わるので税務署に確認してください。自分の税額も同じです。

出品を始めてから確定申告までを、日付順に並べる

いつ何をするかを暦で決めておくと、年末に慌てません。

出品を始める前の1日目から3日目にやることが2つあります。1つは所属の兼業の基準を確認すること。不用品の処分なら届け出は要らないのが原則ですが、職場が独自のルールを持っていることがあります。もう1つは、売上金の振込先の口座を生活費の口座と分けることです。あとから分けるほうが手間なので、最初にやります。

出品を始めた月から、毎月末に10分の作業を入れます。売った日、品名、売れた金額、その品物を買ったときの金額、送料、販売手数料の6項目を表に写すだけです。買ったときの金額が分からない古いものは「不明」と書きます。これを12回やれば、年明けの集計はほぼ終わっています。

3か月目に一度、表を見返してください。見るのは3点です。同じ品目が並び始めていないか。売るために買った品が混ざっていないか。1個または1組の価額が30万円を超える品物が入っていないか。どれか1つでも当たっていたら、その時点で服務担当に相談します。1年分ためてから相談するより、はるかに軽く済みます。

12月31日で年を締めます。1月に入ったら、出品先から取引履歴のデータを落として、自分の表と突き合わせます。金額が合わない行が出たら、その取引だけを個別に確認します。ここまでで、申告が必要かどうかの判断材料はそろいます。

申告が必要なら、期限は翌年3月15日です。事業所得として青色申告の特別控除を使う場合も、確定申告期限までに決算書を添えて提出することが条件になります。公務員の場合は事業所得と認められる規模かどうかが論点になるので、雑所得として申告する形が実態に合うことが多いです。どちらで申告すべきかは、税務署に事実を伝えて聞いてください。

住民税は、所得税の申告をすれば別に手続をしなくてよいのが原則です。所得税の申告をしない場合だけ、住んでいる市区町村へ住民税の申告が必要になることがあります。徴収の方法を選べるかどうかも自治体の運用で変わるので、課税担当に確認してください。

勘違いしやすい5つ

1つ目は「売上が20万円以下なら何もしなくていい」という読み方です。20万円は売上ではなく、売上から経費を引いた所得の額です。そして所得税の申告が不要でも住民税の申告は別に必要になることがあります。さらに、この20万円は税の話であって、服務の側で届け出が必要かどうかの基準ではありません。

2つ目は「現金に引き出していないから収入ではない」という理解です。売上金を出品先のアプリの中で使っても、売却した事実は残ります。引き出していないことは、収入がなかったことの理由になりません。

3つ目は「家族の名義にすれば安全」という発想です。仕入れと出品と発送を自分がやっているなら、名義を変えても実態は変わりません。隠す意図があったと評価されると、行為そのものより不利に働きます。

4つ目は「古物商の許可を取れば公務員でも転売していい」という誤解です。許可の話と服務の話は別です。仕入れて売る形は「自ら営利企業を営む」に近づくので、任命権者の許可の側の問題が残ります。順番は服務の確認が先です。

5つ目は「1点が30万円を超えなければ課税されない」という線引きです。30万円の基準は、宝石や貴金属の製品、書画、骨とう、美術工芸品について非課税から外れるかどうかの線です。売るために仕入れた品物は、1点いくらであっても生活用動産の非課税の対象になりません。

立場によって、確かめる先が変わる

同じ公務員でも、任用の形で確かめる先が違います。

地方公務員の常勤職員は、地方公務員法第38条の許可の基準が所属の人事委員会規則に定められています。不用品の処分なら許可の対象になりませんが、仕入れが入った時点で許可の話になります。規則が公表されている自治体なら自分で読めます。公表されていなければ服務担当に聞きます。

国家公務員は国家公務員法第103条と第104条が同じ役割を果たし、運用の考え方は人事院が示しています。所属の官署の服務担当に確認するのが早いです。

会計年度任用職員は、勤務時間の区分で第38条の適用が変わります。フルタイムは許可が必要で、パートタイムはただし書が適用されます。ただし守秘義務と職務専念義務は変わらず効きますし、職場が独自の届け出ルールを持っていることがあります。対象外という条文の読みだけで動かないでください。

配偶者の扶養に入っている職員が出品で所得を得る場合は、扶養の判定も絡みます。所得税の扶養の基準と健康保険の扶養の基準は別の物差しで、金額も違います。どちらも売上ではなく、売上から経費を引いた額で見るのが原則なので、経費の記録が判定に効きます。具体的な金額は配偶者の勤め先の規則と加入している健康保険で変わるので、勤め先か保険の窓口に確認してください。

どの立場でも、確認した日付と相手の名前を自分の記録に残してください。あとから説明を求められたとき、この記録が一番強い材料になります。

よくある質問

Q. 公務員がメルカリで不用品を売るのは副業に当たりますか?

当たりません。自分や家族が生活で使っていた家具や衣類などの譲渡による所得は、所得税法第9条第1項第9号で非課税とされています。服務の面でも、持ち物を処分する行為は「自ら営利企業を営む」ことや「報酬を得て事業に従事する」ことには当たりません。ただし仕入れて売る段階が入ると評価が変わります。

Q. 出品した金額がいくらを超えたら確定申告が必要ですか?

1か所から給与を受けて年末調整を受けている人は、給与以外の所得の合計が20万円以下なら確定申告書の提出を要しません(所得税法第121条第1項第1号)。この20万円は売上ではなく、売上から仕入れや送料、手数料を引いた所得です。あわせて住民税の申告は別に必要になる場合があるので、市区町村にも確認してください。

Q. 30万円を超える品物を売るときは何が違いますか?

所得税法施行令第25条により、貴石や貴金属、真珠、さんご、書画、こつとう、美術工芸品などは、1個または1組の価額が30万円を超えると非課税の対象から外れます。この場合は譲渡所得として計算し、所得税法第33条第4項の特別控除50万円を差し引いた残りが課税対象になります。

Q. 古物商の許可は必要になりますか?

自分の不用品を売るだけなら不要です。古物営業法第2条第2項第1号は古物営業を「古物を売却することのみを行うもの以外のもの」と定義しており、自分の持ち物の売却はこれに含まれません。中古品を仕入れて売る場合は同法第3条の公安委員会の許可が必要で、公務員の場合はそれ以前に兼業の許可が前提になります。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年5月2日最終更新:2026年9月21日
前田 壮一

この記事を書いた人

前田 壮一@SOHO編集部

元メーカー管理職・43歳でフリーランス転身

大手電機メーカーで品質管理を20年間担当した後、42歳でフリーランスに転身。中高年のキャリアチェンジや副業の始め方を、自身の経験をもとに発信しています。

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