地方公務員の兼業|条例で決まる範囲と許可申請の書き方 2026


この記事のポイント
- ✓地方公務員の兼業は地方公務員法第38条の許可制で
- ✓認められる範囲は各自治体が定める許可基準で決まります
- ✓総務省が2025年6月に出した通知の中身
まず、安心してください。地方公務員の兼業は、法律で頭から禁じられているものではありません。認められる範囲が「自分の自治体が書いた基準」で決まる仕組みになっているだけです。だから同じ内容の活動でも、隣の市では通り、自分の市では前例がないということが起こります。ここでつまずいている皆さんが多い。
そして、その基準そのものが、この2年で大きく動きました。総務省は2025年6月11日に各都道府県知事、指定都市市長、人事委員会委員長へ通知を出し、兼業の許可基準を詳細かつ具体的に作るよう求めました。実際に基準を設けた自治体は増え続けています。つまり皆さんが数年前に「うちは無理だと聞いた」と思った話は、今もう古くなっている可能性があります。
この記事では、条文と総務省の通知、そして全国調査の数字をもとに、地方公務員の兼業が何で決まるのか、自分の自治体の基準をどう調べるのか、申請書に何を書けば審査が止まらないのかを順に整理します。正直に書きますが、時間の上限は決して大きくありません。だからこそ、どの形を選ぶかで結果が変わります。
地方公務員の兼業は何で決まるのか。法律と自治体の基準の関係
根拠条文は地方公務員法第38条第1項です。この条文が対象にしている行為は3つあります。総務省の通知(総行公第72号)の整理をそのまま引きます。
- 営利企業の役員等の地位を兼ねること
- 自ら営利企業を営むこと
- 報酬を得ていかなる事業又は事務に従事すること
この3つは「してはならない」ではなく「任命権者の許可を受けなければならない」と書かれています。つまり許可が出れば適法にできる。逆に、内容がどれほど地域のためになっていても、許可を取らなければ手続き違反です。
ここで多くの人が混乱するのが、「では許可の基準はどこに書いてあるのか」という点です。法律には基準が書いてありません。基準は各任命権者が設定します。だから条例や規則、要綱、内部の基準という形で、自治体ごとに中身が違う。皆さんが検索して出てくる「公務員の副業は原則禁止」という説明は、法律の入口だけを見た話で、実際の可否は自分の自治体の基準を読まないと分かりません。
総務省の通知は、この点を正面から書いています。地方公務員制度が作られたときの考え方に立ち返り、特定の私企業の影響が公務に及ばない限りは兼業を許可するほうが実情に即した人事行政の運営が確保されるという前提に立って、各自治体が創意工夫のうえ詳細かつ具体的な許可基準を設定すべきものだ、という整理です。
そして、どの自治体でも共通して確認される原則が3つあります。
○ 全体の奉仕者としての性質上、職員が兼業を行う際には、 ➀ 職務遂行上、能率の低下を来すおそれがないこと(公務能率の確保)、 ② 相反する利害関係を生じるおそれがなく、かつ、その他職務の公正を妨げるおそれがないこと(職務の公正の確保)、 ③ 職員及び職務の品位を損ねるおそれがないこと(職員の品位の保持)、 の3点の基本的な原則を満たすことを確認する必要がある。 出典: soumu.go.jp
この3点が審査の骨組みです。申請書に書くことも、断られたときに直す場所も、すべてこの3つのどこに引っかかったかで決まります。業種の一覧を眺めるより、この3つで自分の計画を点検するほうが早い。
なお、この通知は地方公務員法第59条(技術的助言)と地方自治法第245条の4(技術的な助言)に基づくものだと明記されています。国が自治体に命令しているのではなく、助言という形です。だから自治体によって進み方に差が出ます。差が出ることを前提に、自分の足元を確かめるのが実務です。
全国の許可件数と基準整備の現状。数字で見ると何が起きているか
総務省は通知と同時に、「営利企業への従事等に係る任命権者の許可等に関する実態調査」を公表しました。2024年4月1日時点の数字です。感覚論ではなく、ここを見るのが確実です。
許可件数の合計は、平成30年度の41,669件に対して令和5年度が41,587件でした。総数はほぼ横ばいです。
総務省の令和6年度調査では、地方公務員の兼業許可件数は約4万1千件と横ばいで推移している。一方で、社会貢献活動に関する兼業は増加傾向にある。また、許可基準を明文化する自治体も増えており、副業をめぐる運用は徐々に整理されつつある。 出典: jichitai.works
中身を分けると、動きがはっきり見えます。社会貢献活動としての許可は11,506件から13,498件へ増え、その他の活動は30,163件から28,089件へ減っています。総数が動いていないのに中身が入れ替わっている。地域の課題解決に関わる活動が増え、それ以外が減った形です。
もう一つ、皆さんに直接効く数字があります。許可基準を設定している団体の数です。
| 項目 | 2019年4月1日時点 | 2024年4月1日時点 |
|---|---|---|
| 許可基準を設定している団体(合計) | 703 | 1,152 |
| うち市区町村 | 646 | 1,092 |
| 基準を庁内外に公表 | 618 | 1,008 |
| 基準を人事当局内にとどめる | 85 | 144 |
通知の本文では、この結果を「兼業許可に係る基準を設定している地方公共団体は、都道府県及び市区町村のうち64%となっており、前回調査から25ポイント増加した」と整理しています。また、基準を庁内外に公表している団体は56%で、前回から21ポイント増えました。
この数字の読み方を書きます。5年前は、基準がある自治体が4割ほどでした。だから当時「うちは基準がないから無理」と言われた人が多かった。今は6割を超え、半数以上が外に公表しています。皆さんが以前聞いた答えは、更新されている可能性が高いということです。
許可の有効期間も分布が出ています。2年超としている団体が677、1年以下が404、2年以下が71でした。長めに出す自治体が多数派です。
地方公務員だけに開いている道。営利企業の従業員としての兼業
ここは国家公務員と地方公務員で扱いが違う、重要な一点です。
国家公務員の場合、営利企業の従業員として報酬を得て働く兼業は、昭和41年2月11日付け総人局第97号の通達に該当するものとして、原則認められていません。ところが総務省の通知は、地方公務員についてこう整理しました。地方公共団体の実情および人的資源の有効活用の点から、一律にこれを禁止するのではなく、基本的原則を満たす場合には、各任命権者の判断で営利企業の従業員との兼業を認めることが可能である、と。
つまり「民間企業でアルバイト的に働く形は絶対に無理」という理解は、地方公務員には当てはまりません。実際の基準を公表している例を見ます。
長野県は、営利企業であってもその活動が副次的に広く不特定多数の利益の増進に寄与すること、従事者数が不足しており社会的な需要が高いこと(民間の就業を阻害しないこと)という条件で、公益性の高い社会貢献活動として判断できる場合に認めています。千葉県は2026年4月からの見直しで、人手不足が生じている地域のバス運転手を例に挙げました。
山形県は、職務の遂行に支障を及ぼすおそれがある場合と、職員が勤務する機関または占めている職と兼ねようとする地位等との間に特別な利害関係がありまたはその発生のおそれがある場合に該当せず、法の精神に反しないと認められる場合に限り、営利企業との兼業を認めています。
福島県いわき市の基準は、もう少し細かく書かれています。職務遂行に支障が生じないことが明らかであること、全体の奉仕者として特定の利益に偏らないこと、営利企業と職員の所属との間に特別な利害関係が生じるおそれがないこと、市職員としての信用を傷つけるおそれがないこと、そして報酬が社会通念上相当と認められる程度を超えない額であること。この最後の点について、所得額年額20万円を基準として示しています。金額の目安が公表されている、分かりやすい例です。
条件の並びを見ると、共通しているのは「人手が足りない領域か」「自分の職務と利害がぶつからないか」という2点です。この2つが説明できる仕事であれば、民間企業の従業員という形でも道はあります。
自治体別に見る時間の上限。月30時間で何ができるか
正直なところを書きます。ここが一番の制約です。
国家公務員については、平成31年3月28日付け閣人人第225号で兼業時間数の上限の目途が示されており、週8時間または1箇月30時間を超えるとき、勤務時間が割り振られた日において1日3時間を超えるときは、原則として許可されない扱いです。総務省の通知はこの数字を参考情報として紹介し、各自治体が予め上限を定めることを求めています。
実際の自治体の基準を並べます。
| 自治体 | 兼業時間数の基準 |
|---|---|
| 秋田県 | 1週間あたり8時間かつ1か月あたり30時間以内、勤務時間が割り振られた日は1日3時間以内、勤務時間外または週休日であること |
| 熊本県天草市 | 原則週8時間以下、1か月30時間以下、勤務日は3時間以下。上限内でも深夜に及ぶ場合は許可しない |
| 千葉県(2026年4月以降) | 週8時間または1か月30時間以内、勤務時間が割り振られた日は1日3時間以内 |
千葉県の見直しは、設計思想が見えるので触れておきます。それまでは年104時間の上限の範囲内で個別に判断する形でした。年単位の枠だと、ある月に集中しても枠内に収まってしまいます。そこで月と日で抑える形に組み替えました。公務能率の確保という原則を、実際に効く形にしたということです。
では月30時間で何ができるのか。土日に3時間ずつ入れて月24時間、平日の夜に少し足して30時間です。この枠に収まる形を選ばないと、そもそも申請が通りません。
枠に収まりやすいのは、単発で完結する仕事です。年に数回の講師、月1本の原稿、決まった時期の相談対応、週末の指導。逆に収まりにくいのは、納期が固定された受託開発や、毎日の対応が要る運用業務です。内容が問題なくても、繁忙期に破綻します。総務省の通知も、繁忙期には時間外勤務も含めた勤務状況に目配りし、職員の状況を丁寧に把握することが重要だとしています。
報酬額については、全国一律の金額基準はありません。通知は、一律に具体的な報酬額を定めるのではなく「社会通念上相当と認められる程度を超えない額」等とすることが考えられると書いています。同種の事例の報酬額を参考にし、公務員としての地位を利用した不適正な額になっていないかという観点で個別に判断する組み立てです。いわき市のように年20万円という目安を書いている例もあるので、自分の自治体の基準を確認してください。
申請書の書き方。審査で止まらないための5項目
申請の実務です。私が資料を読み比べて感じたのは、審査側が知りたいことは驚くほど一貫しているということでした。書式が違っても、聞かれているのは同じです。次の5つを埋めれば、差し戻しはほとんど起きません。
1. 何をするのかを具体名で書く。「地域活動」ではなく「◯◯スポーツクラブでの小学生への指導」まで落とします。参考になるのが、国家公務員の自営兼業について人事院が2026年4月から適用した承認基準です。事業の目的、業務内容、営業日と営業時間、収入の予定年額を書いた事業計画書等を作成することが求められています。地方でも、この項目を埋めておけば十分な材料になります。
2. 誰から報酬を受け取るのかを書く。相手の名称を書きます。ここを曖昧にすると、次の利害関係の確認ができません。
3. 自分の職務と利害関係がないことを先に書く。審査側は、あなたの職務と兼業先との間に相反する利害関係がないかを確認します。秋田県は、職員が職務として携わる許認可、補助金交付、監査、指導、契約等の事務を通じた関係がないかを個別に判断していると公表しています。兵庫県宝塚市は市の倫理規則に定める利害関係がないかを、岐阜県岐阜市は必要に応じて所属長や本人へ聞き取りをして個別に判断しています。申請者の側から「兼業先は私の課の許認可や契約の相手ではありません」と書いてしまうほうが早い。
なお、確認の単位について総務省の通知は、組織レベル、部レベル、課レベルなど一律の基準を設けず、個別具体的に判断する必要があるとしています。過剰に制限されないための配慮です。部が同じでも課が違えば問題にならないケースもある、ということです。
4. 曜日と時間帯を書く。勤務時間が割り振られた日の勤務時間外か週休日であること、深夜に及ばないことが読み取れる形にします。月の合計時間も書いてください。
5. 実績報告に応じる前提で書く。通知は、許可に一定の有効期間を設定し、兼業先の業務内容の報告を受けるなど実態把握を定期的に行うべきものとしています。山形県上山市は、申請と実績報告の際に兼業時間の記載を求めて確認し、職務遂行に支障を来すおそれがあるときは許可の取消しを行うこととしています。熊本県天草市は、申請があった際に職員や所属へヒアリングを実施して確認しています。
外部から仕事を受けるなら、相手との条件も書面にしておいてください。業務範囲、納期、報酬、支払期日を残しておくと、公務側への説明もそのまま通ります。何を書くべきかはフリーランスを守る「下請法(取適法)」の知識|発注書・契約書の必須項目チェックリストにチェックリストとしてまとまっています。所属先の規程と守秘義務を両方守りながら外部の仕事を選ぶ考え方は、資格職の事情を整理した会計士の副業ガイド|監査法人勤務でもできる高収入の稼ぎ方【2026年版】とよく似ています。
許可が出たあとに落とし穴になる3つのこと
許可が下りると安心してしまいますが、ここから先に落とし穴があります。
人事異動があったら出し直す。これが最も多い見落としです。許可は、その職員の職務との関係を考慮して与えられます。総務省の通知は、人事異動等により職員の職務と兼業先との関係に変化が生じた場合などは、有効期間内であっても再度許可手続を行う必要があるとしています。実態調査では、この再度の許可手続を行っている団体が260、行っていない団体が892と分かれていました。運用が緩い自治体でも、異動したら人事に一報を入れるほうが安全です。
労働時間の通算。兼業先が労働基準法の労働時間規制が適用される業務である場合、公務と兼業先の労働時間は通算されます。通知は、兼業する職員から兼業先での労働時間の実績の申告を受け、通算した労働時間について労働基準法第32条や第36条第6項第2号および第3号の規定を遵守する必要があると書いています。一方、自ら事業を営む自営兼業の場合は、労働基準法第38条第1項による労働時間の通算は適用されません。だからといって無制限ではなく、職務遂行上の能率低下がないかを確認する必要があるとされています。
健康の確保。通知は、上限時間内であっても、公務で恒常的に時間外勤務が多い状況にある場合や臨時的な業務の増加が見込まれる場合には、上司とも相談しながら許可するかどうかを慎重に判断する必要があるとしています。また地方公務員には原則として労働安全衛生法が適用されるため、兼業の有無にかかわらず、健康診断、長時間労働者に対する医師による面接指導、ストレスチェックとその事後措置が実施されます。
もう1点、皆さんが知っておいてよいことがあります。通知は、兼業はあくまで勤務時間外の自発的な活動であり、職員の意に反した動員的な運用であってはならないと明記しました。人手不足の地域では、善意の制度が動員に化ける危険があります。断ってよいと国が書いている、という事実は覚えておいてください。
税と申告。許可とは別に自分でやること
許可の話と税の話は、まったく別の手続きです。人事から許可が出ても、税務署や市区町村への手続きは誰も代わりにやってくれません。ここを混同したまま始めて、翌年の春に慌てる人が毎年います。
給与のほかに所得があり、その所得が年間20万円を超える場合は、所得税の確定申告が必要です。気をつけてほしいのは、20万円以下なら何もしなくていいという意味ではないことです。所得税の申告が不要になるだけで、住民税の申告は別に必要になります。市区町村の窓口か、自治体のウェブサイトで手続きを確認してください。所得税の考え方や申告の手順そのものは国税庁のサイト(https://www.nta.go.jp/ )に整理されています。
「所得」は受け取った金額そのものではありません。売上から必要経費を引いた残りです。講師を務めたときの交通費、原稿を書くために買った資料、教室で使う材料費。領収書を残しておけば、経費として差し引けるものがあります。逆に言えば、記録を付けていないと、受け取った額がそのまま所得として扱われることになります。月に1回、売上と経費を書き出すだけで、翌年の作業は半分以下になります。
自ら事業を営む形にするなら、開業届の提出が前提になります。国家公務員の自営兼業について人事院が2026年4月から適用した承認基準では、所得税法第229条に規定する開業届を提出して行うことが明記されました。地方でも、事業として続けるつもりなら同じ考え方で整えておくほうが説明しやすい。
住民税の徴収についても触れておきます。給与から住民税が引かれている場合、副業分の所得も合算されて職場へ通知が届くのが通常です。許可を取っているなら、これは困ることではありません。困るのは許可の範囲を超えた活動をしている場合で、そこで初めて発覚します。制度の上で正面から許可を取るほうが、結局は気が楽です。
もう一つ、家族名義の話を書いておきます。自分の名義を避けて家族の名義で事業を行い、実際の経営判断や日々の業務は自分がしている形は、自営と評価され得ます。名義を替えたという事実が加わるため、露見したときの不利は、無許可で始めた場合より大きくなります。実態で判断されるという点を忘れないでください。
処分の傾向についても、正直に書きます。表に出ている事案を見ていくと、活動の内容そのものが悪質だったケースよりも、許可を取らずに続けていたケース、許可した範囲を超えていたケース、そして勤務時間中に副業の作業をしていたケースが目立ちます。許可の有無とは別に、職務専念義務(地方公務員法第35条)、信用失墜行為の禁止(同第33条)、秘密を守る義務(同第34条)は常にかかっています。職務で知った情報を副業側で使う行為は、許可があっても問題になります。
総務省の通知も、この点に触れています。許可基準が明確でないために、許可を得ずに兼業を行って懲戒処分に至る事案を防ぐため、各自治体が許可基準を公表し周知することが重要だとしています。基準の公表は、職員を守るための仕組みでもあるということです。
自分の自治体の基準を調べる手順と、経験が値段になる領域
自分の職場の基準を確かめる順番を書きます。
- 自治体のウェブサイトで「兼業 許可基準」「職員 兼業」で検索する。公表している団体は1,008まで増えています
- 見つからなければ庁内の規程集を当たる。要綱やガイドラインの形になっている場合があります
- それでも無ければ人事担当に問い合わせる。基準が未整備なら、国の通知が基準の設定を求めていることを伝えてよい
住民への説明という観点も動いています。通知は、地方公務員法第58条の2(人事行政の運営等の状況の公表)を踏まえ、各自治体が兼業の許可件数の状況を毎年公表するなど、説明責任を果たすための取組が必要だとしています。件数が公表されるようになれば、前例の有無も外から見えるようになります。
制度が開いたことによる効果も、各自治体から報告されています。福井県は、職員がこれまでの行政経験で培ってきた知見を活用し地域課題の解決に貢献できていると挙げました。長野県豊丘村は、村民との協働スキルが身につき、公務として働きかけをする上でも役立っていると報告しています。岐阜県岐阜市は市版の「福業」ガイドラインを策定したことで、報酬を得る場合の地域活動を含む具体的な事例が周知され、職員の意識が高まったとしています。大阪府和泉市は、職務を超えた経験が人材育成につながり、趣味や特技をいかした活動も実施されていると挙げました。
最後に、皆さんの経験が外の市場でどう値段になるのかに触れます。在宅で受ける仕事の中で、地方公務員の経歴が素直に効くのは、正確さと手続きの理解が要る領域です。補助金や助成金の申請書の確認、公的様式に合わせた文書の作成、条例や要綱を読んで要件を整理する作業。この種の仕事は民間の書き手が苦手にする部分で、発注する側は毎回困っています。文章や編集の仕事がどの水準で動いているかは著述家,記者,編集者の年収・単価相場で職種単位に確認できますし、文書の型を扱う力を形にしたいならビジネス文書検定の体系が何が評価されるのかを教えてくれます。
庁内で情報システムやセキュリティを担当している人は、調達や仕様書の経験がそのまま通じます。どんな相談が外部に出ているのかはAI・マーケティング・セキュリティのお仕事を見ると具体的に分かります。庁内システムの更新や業務アプリの導入に関わった経験があるなら、アプリケーション開発のお仕事で求められる役割の広さを確認しておくと、自分がどこに入れるかの見当がつきます。
20年この市場を見てきた立場から言うと、月30時間という枠は、実は不利な条件だけではありません。時間を増やせないので、同じ相手と長く続ける形に自然と向かいます。単発の作業を数える働き方より、「この人に任せると楽だ」と思われる関係を作った人のほうが、結果として長く残っています。皆さんは公務で、同じ相手と何年も向き合う仕事をしてきたはずです。その筋力はそのまま使えます。
それから、運営者として見てきた限りで一つ。仲介の中間マージンが乗らない直接の取引では、同じ予算でも依頼する側はより多く頼めますし、受ける側は手取りが厚くなります。手数料0%の意味は、金額の大小ではなく手元に残る質の話です。使える時間が月30時間しかないなら、1時間あたりどれだけ残るかが効いてきます。許可を取って始めるときは、その1時間がどこへ消えているかを先に確かめてください。
よくある質問
Q. 地方公務員の兼業は条例で禁止されているのですか?
禁止ではありません。地方公務員法第38条第1項が任命権者の許可制を定めており、認められる範囲は各自治体が設定する許可基準で決まります。基準を設定している自治体は都道府県と市区町村のうち64%で、前回調査から25ポイント増えました。まず自分の自治体の基準を確認してください。
Q. 民間企業の従業員として働く兼業は認められますか?
国家公務員では原則認められていませんが、地方公務員は一律禁止ではありません。総務省の2025年6月の通知は、基本的原則を満たす場合には各任命権者の判断で認めることが可能だと明記しています。長野県や千葉県は、人手不足で社会的需要が高い活動を条件に認めています。
Q. 兼業に使える時間はどのくらいまでですか?
国家公務員では週8時間または1か月30時間、勤務時間が割り振られた日は1日3時間が目途とされ、秋田県や熊本県天草市、千葉県も同様の基準を設けています。天草市は上限内でも深夜に及ぶ場合は許可しない扱いです。月30時間に収まる形の仕事を選ぶことが前提になります。
Q. 一度許可をもらえば異動しても続けられますか?
続けられません。許可は職員の職務との関係を考慮して与えられるため、人事異動などで職務と兼業先の関係が変わった場合は、有効期間内でも再度の許可手続が必要とされています。自治体によって運用の厳しさは違うので、異動が決まった時点で人事担当に確認してください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
前田 壮一@SOHO編集部
元メーカー管理職・43歳でフリーランス転身
大手電機メーカーで品質管理を20年間担当した後、42歳でフリーランスに転身。中高年のキャリアチェンジや副業の始め方を、自身の経験をもとに発信しています。
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