【重要】PHPの脆弱性、うちのサイトは大丈夫?今すぐチェック

フリーランスの手取りの計算|税金と保険料の引き方

@SOHO編集部
@SOHO編集部
フリーランスの手取りの計算|税金と保険料の引き方

この記事のポイント

  • ✓フリーランスの手取りの計算方法を
  • ✓令和8年分の基礎控除と税率
  • ✓令和8年度の国民年金保険料と国民健康保険料の料率で手順どおりに説明します

フリーランスの手取りは、売上から経費を引き、さらに所得税、住民税、国民健康保険料、国民年金保険料、場合によっては個人事業税を引いた額です。目安としては売上の6割前後に落ち着くことが多いものの、経費の割合、住んでいる市区町村、青色申告かどうかで、数十万円単位で変わります。

この記事では、手取りを計算する順番を1つずつ説明し、令和8年分の所得税の基礎控除、令和8年度の国民年金保険料、東京都世田谷区の令和8年度の国民健康保険料の料率を使って、売上400万円、600万円、800万円の3つの場合を試算します。自分の数字を当てはめれば、おおよその手取りを出せるように書いています。

フリーランスの手取りの目安

まず全体の目安から確認します。フリーランス向けの情報サイトでは、手取りの目安を次のように説明しています。

フリーランスの手取りは、一般的に報酬の6~7割程度が目安です。しかし、これはあくまでも目安であり、実際の金額は収入や経費の割合、扶養家族の有無など、個々の状況によって異なります。 出典: freelance.levtech.jp

この記事の試算でも、売上に対する手取りの割合はおよそ56%から65%になりました。売上が大きくなるほど所得税の税率が上がるため、割合は下がっていきます。

ここで1つ注意したいのは、「手取り」という言葉の意味です。会社員の手取りは、給料から税金と社会保険料を引いた額です。フリーランスの場合は、売上からまず経費を引く必要があります。この記事では、売上から経費、税金、保険料をすべて引いて、生活費や貯金に回せる額を手取りと呼びます。

手取りを計算する5つの手順

フリーランスの手取りは、次の順番で計算します。

  1. 売上から経費を引き、青色申告特別控除を引いて「事業所得」を出す
  2. 事業所得をもとに、国民健康保険料と国民年金保険料を出す
  3. 事業所得から社会保険料と基礎控除などを引いて「課税所得」を出し、所得税を計算する
  4. 同じように住民税の課税所得を出し、住民税を計算する
  5. 対象の業種なら個人事業税を計算し、最後に売上から経費とすべての税金、保険料を引く

順番が大事なのは、保険料を先に出さないと税金が計算できないからです。国民健康保険料と国民年金保険料は「社会保険料控除」として、全額を所得から差し引けます。社会保険料控除とは、払った保険料の分だけ税金のかかる所得を小さくできる仕組みのことです。

以下、手順ごとに説明します。

手順1:事業所得を出す

事業所得は、次の式で出します。

事業所得 = 売上 - 経費 - 青色申告特別控除

経費とは、仕事のために使ったお金のことです。パソコン、ソフトウェアの利用料、通信費、仕事で使う書籍、打ち合わせの交通費などが代表的です。自宅で仕事をしている場合、家賃や電気代のうち仕事に使った割合の分も経費にできます(家事按分)。

青色申告特別控除とは、決められた方法で帳簿をつけて確定申告をする人が、所得から差し引ける金額のことです。国税庁の案内では、正規の簿記(一般には複式簿記)で記帳し、貸借対照表と損益計算書を添えて期限内に申告すると最高55万円、さらに電子帳簿保存かe-Taxでの申告をすると最高65万円になります。それ以外の青色申告は最高10万円です。青色申告をしない白色申告では、この控除はありません(国税庁 No.2070 青色申告制度)。

たとえば、売上600万円、経費120万円で、e-Taxで青色申告をした場合は次のとおりです。

600万円 - 120万円 - 65万円 = 415万円

この415万円が事業所得で、以降の計算の土台になります。白色申告であれば480万円になり、税金と保険料はその分だけ高くなります。

手順2:国民健康保険料と国民年金保険料を出す

国民年金保険料は、所得にかかわらず全国一律です。日本年金機構の案内では、令和8年度は1か月あたり17,920円です(日本年金機構 国民年金保険料)。1年間では次のとおりです。

17,920円 × 12か月 = 215,040円

国民健康保険料は、住んでいる市区町村によって料率が違います。ここでは東京都世田谷区の令和8年度の料率を例にします。世田谷区の保険料は、次の4つの区分ごとに「所得割」と「均等割」を計算して合計します。所得割とは所得に応じて決まる部分、均等割とは加入者1人ごとに決まった額がかかる部分のことです。

区分 所得割の料率 均等割(1人あたり) 年間の上限
基礎(医療)分 7.51% 47,600円 67万円
後期高齢者支援金分 2.80% 17,600円 26万円
介護分(40歳から64歳) 2.43% 17,800円 17万円
子ども・子育て支援金分 0.27% 1,873円 3万円

所得割の計算のもとになる額(賦課基準額)は、前年の所得から住民税の基礎控除43万円だけを引いた額です。社会保険料控除などのほかの控除は引きません。

事業所得が415万円で、39歳以下の単身の場合を計算します。

  • 賦課基準額:415万円 - 43万円 = 372万円
  • 基礎(医療)分:372万円 × 7.51% + 47,600円 = 326,972円
  • 後期高齢者支援金分:372万円 × 2.80% + 17,600円 = 121,760円
  • 子ども・子育て支援金分:372万円 × 0.27% + 1,873円 = 11,917円
  • 合計:約460,600円

40歳から64歳の人は、これに介護分(372万円 × 2.43% + 17,800円 = 108,196円)が加わります。料率や区分ごとの端数の処理は市区町村ごとに違うので、正確な額は住んでいる市区町村の案内や試算のページで確かめてください(世田谷区 国民健康保険料の計算方法)。

保険料の合計は、国民健康保険料約460,600円と国民年金保険料215,040円で、約675,600円です。この額が社会保険料控除になります。

手順3:所得税を計算する

所得税は、次の順で計算します。

課税所得 = 事業所得 - 社会保険料控除 - 基礎控除 - そのほかの控除

所得税 = 課税所得 × 税率 - 控除額

基礎控除とは、誰でも所得から差し引ける控除です。令和8年分の所得税では、国税庁の案内によると、合計所得金額に応じて次のようになります。

合計所得金額 令和8年分の基礎控除
489万円以下 104万円
489万円超655万円以下 67万円
655万円超2,350万円以下 62万円
2,350万円超2,400万円以下 48万円

令和7年分とは金額が違うので、古い情報で計算しないように注意してください(国税庁 No.1199 基礎控除)。

所得税の税率は、課税所得に応じて5%から45%の7段階です。速算表は次のとおりです。

課税所得 税率 控除額
1,000円から194万9,000円まで 5% 0円
195万円から329万9,000円まで 10% 97,500円
330万円から694万9,000円まで 20% 427,500円
695万円から899万9,000円まで 23% 636,000円
900万円から1,799万9,000円まで 33% 1,536,000円
1,800万円から3,999万9,000円まで 40% 2,796,000円
4,000万円以上 45% 4,796,000円

さらに、所得税額の2.1%の復興特別所得税を合わせて納めます(国税庁 No.2260 所得税の税率)。

事業所得415万円の例で計算します。

  • 課税所得:415万円 - 675,600円 - 104万円 = 2,434,400円(1,000円未満を切り捨てて2,434,000円)
  • 所得税:2,434,000円 × 10% - 97,500円 = 145,900円
  • 復興特別所得税:145,900円 × 2.1% = 3,063円
  • 合計:約148,900円

手順4:住民税を計算する

住民税は、所得に応じてかかる「所得割」と、定額の「均等割」の合計です。東京都の場合、東京都主税局の案内によると、所得割の税率は都民税4%と区市町村民税6%を合わせて10%、均等割は都民税1,000円と区市町村民税3,000円に、森林環境税1,000円を加えた5,000円です。

住民税の計算で気をつけたいのは、基礎控除の額が所得税と違うことです。住民税の基礎控除は、合計所得金額が2,400万円以下なら43万円です。所得税の104万円とは大きく違うので、所得税の課税所得をそのまま使うと住民税を少なく見積もってしまいます。

事業所得415万円の例で計算します。

  • 課税所得:415万円 - 675,600円 - 43万円 = 3,044,400円(1,000円未満を切り捨てて3,044,000円)
  • 所得割:3,044,000円 × 10% = 304,400円
  • 均等割:5,000円
  • 合計:約309,400円

実際には、所得税と住民税の控除の差を調整する「調整控除」などで、ここから数千円下がることがあります。

もう1つ大事なのは、住民税は前年の所得に対してかかるという点です。令和8年の所得に対する住民税は、令和9年6月ごろから納めます。国民健康保険料も前年の所得をもとに決まります。会社を辞めて独立した最初の年は、会社員時代の所得をもとにした住民税と国民健康保険料がかかるので、収入が少ない時期に負担が重く感じられます。

手順5:個人事業税を計算し、手取りを出す

個人事業税は、都道府県が決めた70の業種(法定業種)に当たる事業をしている人にかかる税金です。東京都主税局の案内では、多くの業種の税率は5%で、次の式で計算します。

個人事業税 =(事業所得 + 青色申告特別控除 - 事業主控除290万円)× 税率

個人事業税には青色申告特別控除がないので、いったん足し戻して計算します。事業主控除とは、事業を1年間続けた人が差し引ける290万円の控除のことです。事業所得415万円、青色申告特別控除65万円、税率5%の業種の場合は次のとおりです。

(415万円 + 65万円 - 290万円)× 5% = 95,000円

ただし、どの業種に当たるかは都道府県が判断します。デザイン業やコンサルタント業は法定業種に入っていますが、ライターや一部のエンジニアの仕事は、内容によって対象にならないこともあります。自分の仕事が対象かどうかは、都道府県の税事務所に確認してください(東京都主税局 個人事業税)。

ここまでの結果をまとめると、売上600万円、経費120万円の場合の手取りは次のようになります。

項目 金額
売上 6,000,000円
経費 1,200,000円
国民健康保険料 約460,600円
国民年金保険料 215,040円
所得税(復興特別所得税を含む) 約148,900円
住民税 約309,400円
個人事業税(対象の業種の場合) 95,000円
手取り 約3,571,000円

手取りは約357万円で、売上の約60%です。個人事業税の対象でなければ約367万円になります。

売上別の手取りの試算

同じ条件(東京都世田谷区、39歳以下、単身、青色申告特別控除65万円、経費は売上の15%から20%、個人事業税5%の対象業種)で、売上400万円と800万円の場合も試算しました。

項目 売上400万円 売上600万円 売上800万円
経費 60万円 120万円 160万円
事業所得 275万円 415万円 575万円
国民健康保険料 約31.3万円 約46.1万円 約63.0万円
国民年金保険料 約21.5万円 約21.5万円 約21.5万円
所得税 約6.0万円 約14.9万円 約42.8万円
住民税 約18.4万円 約30.9万円 約45.3万円
個人事業税 2.5万円 9.5万円 17.5万円
手取り 約260万円 約357万円 約450万円
売上に対する割合 約65% 約60% 約56%

売上800万円の場合、事業所得が575万円となり、所得税の基礎控除が67万円に下がります。課税所得は約423万円で税率20%の区分に入るため、所得税が大きく増えています。売上が増えても手取りの割合が下がるのは、このように税率と控除の段階が変わるためです。

この表は、扶養する家族がいない単身の人の例です。配偶者や子どもを扶養している場合は、配偶者控除や扶養控除で所得税と住民税が下がる一方、国民健康保険料は家族の人数分の均等割がかかります。自分の条件で計算し直すときは、この記事の手順に数字を当てはめてください。

白色申告の場合と、40歳以上の場合の試算

売上600万円、経費120万円の例を使い、条件を1つずつ変えると手取りがどう動くかを確かめます。

1つ目は、青色申告ではなく白色申告で申告した場合です。青色申告特別控除の65万円がなくなるので、事業所得は480万円になります。

  • 国民健康保険料:賦課基準額437万円で、合計約529,400円
  • 所得税:課税所得約301万円で、復興特別所得税を含め約208,200円
  • 住民税:課税所得約362万円で、均等割を含め約367,500円
  • 個人事業税:青色申告特別控除はもともと足し戻すので、95,000円のまま

国民年金保険料の215,040円と合わせた負担の合計は約141.5万円で、手取りは約338万円になります。青色申告の約357万円と比べると、およそ19万円の差です。複式簿記の記帳には手間がかかりますが、会計ソフトを使えば日々の入力は仕訳を選ぶだけで済むことが多く、この差を考えると青色申告を選ぶ意味は大きいと言えます。

2つ目は、青色申告のままで、年齢が40歳から64歳の場合です。国民健康保険料に介護分の約108,200円が加わり、国民健康保険料の合計は約568,800円になります。その分だけ社会保険料控除が大きくなるので、所得税は約137,900円、住民税は約298,600円に下がります。負担の合計は約131.5万円で、手取りは約348万円です。39歳以下の約357万円と比べて、およそ9万円少なくなります。

条件 負担の合計 手取り 売上に対する割合
青色申告、39歳以下 約122.9万円 約357万円 約60%
白色申告、39歳以下 約141.5万円 約338万円 約56%
青色申告、40歳から64歳 約131.5万円 約348万円 約58%

このように、同じ売上でも申告の方法と年齢だけで手取りは20万円近く変わります。目安の割合だけで判断せず、自分の条件で計算することが大切です。

月ごとの手取りと、目標から売上を逆算する方法

年間の手取りがわかったら、月ごとの額に直しておくと生活費の計画が立てやすくなります。売上600万円、青色申告、39歳以下の例では、年間の手取り約357万円を12で割ると、1か月あたり約29.8万円です。ただし、フリーランスの入金は月によって変わり、住民税や国民健康保険料の納付が重なる月は出ていくお金が増えます。毎月の生活費は、この平均額より少なめに設定しておくと安心です。

反対に、目標の手取りから必要な売上を逆算することもできます。正確に出すには手順どおりに計算する必要がありますが、おおよその目安は、目標の手取りを手取りの割合で割ると出せます。

たとえば、年間の手取りを400万円にしたい場合、この記事の試算の割合(売上600万円から800万円の間で約56%から60%)を使うと、400万円 ÷ 0.58 = 約690万円の売上が目安になります。経費が売上の2割程度という前提なので、経費が多い仕事ではさらに大きな売上が必要です。

逆算した売上を、1か月あたり、1日あたりの単価に直すと、仕事の値付けの根拠になります。年間の売上690万円で、休みを除いて年間220日働くなら、1日あたり約31,400円です。見積もりを出すときにこの数字を手元に持っておくと、安すぎる仕事を引き受けずに済みます。

経費の割合で手取りはどう変わるか

経費は手取りを減らすものと思われがちですが、税金と保険料の計算では所得を小さくする働きもあります。ここで大事なのは、経費を増やせば手取りが増えるわけではないという点です。

たとえば、売上600万円で経費を20万円増やした場合、事業所得は20万円下がります。所得税の税率10%、住民税10%、国民健康保険料の所得割約10.6%、個人事業税5%を合わせると、負担はおよそ7万円下がります。しかし、経費として20万円を払っているので、手元に残るお金は差し引き約13万円減ります。

つまり、経費は「仕事に必要なものを買ったときに、その負担の一部が税金と保険料の軽減で戻ってくる」ものと考えるのが正確です。節税のためだけに必要のない物を買うと、手取りはかえって減ります。必要な支出を漏れなく記録することが、手取りを守るうえでの基本です。

手取りが試算と違ってくる主な理由

自分で計算した手取りが試算と違う場合、次のような理由が考えられます。

1つ目は、住んでいる市区町村です。国民健康保険料の料率は市区町村ごとに違い、同じ所得でも年間で数万円以上の差が出ることがあります。

2つ目は、年齢です。40歳から64歳の人は、国民健康保険料に介護分が加わります。世田谷区の料率では、所得割で2.43%、均等割で17,800円が上乗せされます。

3つ目は、青色申告かどうかです。白色申告では青色申告特別控除がないため、事業所得がその分だけ大きくなります。65万円の控除がなくなると、所得税、住民税、国民健康保険料がそれぞれ増え、合計で十数万円以上の差になることがあります。

4つ目は、消費税です。この記事の試算は、消費税の納税が免除されている事業者を前提にしています。インボイスを発行するために登録した場合は、消費税を納める必要があります。小規模な事業者には、納める消費税を売上にかかる消費税の2割にできる「2割特例」があり、個人事業主は令和8年分の申告まで使えます。国税庁の案内では、令和9年分と令和10年分は「3割特例」を使えるようになりました(国税庁 2割特例の概要)。たとえば税抜きの売上600万円なら、2割特例で納める消費税はおよそ12万円です。

5つ目は、源泉徴収です。原稿料やデザイン料、講演料などは、支払う側が報酬の10.21%(100万円以下の部分)を差し引いて支払います。これは所得税の前払いなので、確定申告で精算されます。差し引かれた分が多ければ還付され、少なければ追加で納めます。入金額が少なく見えても、手取りが減ったわけではない点に注意してください。

会社員が副業でフリーランスの仕事をしている場合

会社に勤めながら副業でフリーランスの仕事をしている場合は、手取りの計算の仕方が変わります。健康保険と年金は会社の制度に加入しているので、副業の所得に対して国民健康保険料や国民年金保険料はかかりません。かかるのは、副業の所得に対する所得税、住民税、対象の業種なら個人事業税です。

所得税は、給与所得と副業の所得を合わせた額に税率がかかります。給与ですでに税率10%や20%の区分に入っている人は、副業の所得にもその税率がかかると考えておくと、おおよその負担がわかります。たとえば、給与で税率10%の区分に入っている人が副業で50万円の所得を得た場合、所得税は復興特別所得税を含めて約5.1万円、住民税は10%で5万円が目安になります。

副業の所得が年間20万円を超える場合は、確定申告が必要です。20万円以下でも、住民税の申告は必要になる点に注意してください。また、副業の所得にかかる住民税をどう納めるかで、勤め先に副業が知られるかどうかが変わることがあります。副業がフリーランスとしての事業の所得なら、確定申告書で住民税の納め方を「自分で納付」にする欄を選べる場合があります。扱いは市区町村によって違うので、事前に確認してください。

会社員の給料と比べるときの考え方

フリーランスの手取りを会社員と比べるときは、額面どうしで比べないことが大切です。ここ、意外と見落としがちなんです。

会社員の場合、健康保険と厚生年金の保険料は、会社と本人が半分ずつ負担しています。フリーランスは国民健康保険と国民年金の保険料を全額自分で払います。さらに、会社員には給与所得控除があり、経費を実際に使わなくても一定額が所得から差し引かれます。

一方、フリーランスは実際にかかった経費を差し引けます。仕事に使う機材や通信費、自宅の家賃の一部などを経費にできるので、経費が多い仕事では税金と保険料が下がります。

将来の年金にも違いがあります。会社員は厚生年金に加入しているので、国民年金に上乗せした年金を受け取れます。フリーランスは国民年金だけなので、老後の年金は会社員より少なくなるのが一般的です。比べるときは、今の手取りだけでなく、将来の年金の差を埋めるための積み立ても考えに入れてください。

同じ仕事の相場を知っておくことも、比べるときの材料になります。たとえば、デザインの仕事であれば、デザイナーの年収・単価相場で、会社員とフリーランスの収入の目安を確認できます。

手取りを守る方法

手取りを増やすには、売上を伸ばす以外に、税金と保険料の負担を正しく抑える方法があります。代表的なものを挙げます。

  • 青色申告にする:65万円の控除を受けるには、複式簿記での記帳と、電子帳簿保存かe-Taxでの申告が必要です。開業した年は、業務を始めた日から2か月以内に「青色申告承認申請書」を税務署に出します
  • 経費を漏れなく記録する:仕事に使った支出は、領収書や記録を残して経費にします。家事按分は、仕事に使った割合の根拠を説明できるようにしておきます
  • 小規模企業共済に入る:個人事業主の退職金づくりの制度で、掛金の全額を所得から差し引けます
  • iDeCo(個人型確定拠出年金)に入る:自分で積み立てる年金で、掛金の全額を所得から差し引けます
  • 国民年金の付加保険料を払う:月額400円を上乗せして払うと、将来の年金が増えます

小規模企業共済やiDeCoの掛金は、所得税と住民税を下げる効果があります。ただし、国民健康保険料の計算では差し引かれないので、保険料は下がりません。どれだけ効果があるかは所得によって違うので、加入する前に自分の数字で計算してください。

手取りを守るうえでは、税金と保険料の支払いに備えて、売上の一部を別の口座に分けておくことも大切です。住民税と国民健康保険料は前年の所得をもとに後から請求されるので、入金のたびに売上の2割から3割程度を分けておくと、納付の時期に慌てずに済みます。

納める時期を把握しておく

フリーランスの税金と保険料は、納める時期がばらばらです。1年の流れを把握しておくと、資金の準備がしやすくなります。

時期 納めるもの
毎月 国民年金保険料(前納すると割引あり)
3月15日まで 前年分の所得税の確定申告と納付
3月末ごろ 消費税の確定申告と納付(課税事業者の場合)
6月ごろから 住民税(年4回に分けて納めるのが一般的)
6月または7月ごろから 国民健康保険料(市区町村により回数が違う)
7月と11月 所得税の予定納税(前年の納税額が一定以上の場合)
8月と11月 個人事業税(対象の業種の場合)

所得税の予定納税とは、前年の納税額が15万円以上の人が、その年の所得税の一部を7月と11月に前払いする仕組みです。前払いした分は、翌年の確定申告で精算されます。

計算に使える公的な道具

自分の数字で計算するときは、公的な道具を使うと確実です。

国税庁の確定申告書等作成コーナーでは、売上と経費、控除の額を入力すると、所得税の額が自動で計算されます。確定申告の前に試しに入力してみるだけでも、その年の所得税の見込みがわかります。

国民健康保険料は、多くの市区町村が試算のページを公開しています。世田谷区のように、前年の所得を入力すると保険料の見込みを出せるところもあります。住んでいる市区町村の名前と「国民健康保険料 試算」で探してみてください。

住民税は、市区町村の案内に計算方法が載っています。基礎控除が所得税と違うこと、前年の所得にかかることの2点を押さえておけば、この記事の手順で概算できます。

これらの計算を年に1回だけ行うのではなく、四半期ごとに売上と経費を集計して見込みを出し直すと、年の途中で税金と保険料の負担がどのくらいになるかが見えてきます。会計ソフトの多くは、入力した売上と経費から事業所得の見込みを表示する機能を持っています。その数字をこの記事の手順に当てはめれば、確定申告の前に納める額の見当がつき、納付のための資金を計画的に分けておけます。

運営者として見てきた、手取りを安定させている人の共通点

2004年からフリーランスと在宅ワークの仲介を続けてきた運営者として見てきた限りでは、手取りが安定している人ほど、売上の額より「手元に残る額」で仕事を判断しています。単価が高くても経費や移動の負担が大きい仕事より、単価がやや低くても経費がかからず長く続く仕事を選ぶ。こうした判断ができる人は、毎年の手取りの振れ幅が小さくなっています。

もう1つ見えてきたのは、中間の取り分が少ない取引ほど手取りが厚くなるということです。同じ予算で発注されても、間に入る手数料が小さければ、受け取る報酬はその分大きくなります。発注する側にとっても、同じ予算で多くの作業を頼めるので、双方にとって得のある形です。

手取りの計算ができるようになると、仕事の単価を決めるときの根拠にもなります。たとえば、アプリの開発のように、経費が少なく単価の幅が大きい仕事もあります。アプリケーション開発のお仕事では、仕事の内容と求められる技術を整理しているので、自分の得意分野と照らし合わせてみてください。また、これから独立を考えている人は、新卒フリーランスは無謀?|メリット・デメリットと成功する人の特徴【2026年版】で、独立の前に考えておきたい点を確認できます。海外の案件も視野に入れたい人には、Upworkの使い方ガイド|日本人フリーランスが海外案件を取る方法が参考になります。

まずは昨年の売上と経費を手元に用意し、この記事の5つの手順に当てはめて、自分の手取りを一度計算してみてください。数字が見えると、単価の決め方や、税金と保険料への備え方が具体的になります。なお、この記事の試算は一般的な条件での概算です。個別の税額や保険料は、税務署、市区町村の窓口、税理士に確認してください。

よくある質問

Q. フリーランスの手取りは売上の何割くらいですか?

一般に売上の6割前後が目安です。東京都世田谷区、単身、青色申告で試算すると、売上400万円で約65%、600万円で約60%、800万円で約56%でした。経費の割合、年齢、住んでいる市区町村、青色申告かどうか、個人事業税の対象かどうかで変わるので、自分の数字で計算し直すことが大切です。

Q. 国民健康保険料はどうやって計算しますか?

多くの市区町村では、前年の所得から住民税の基礎控除43万円を引いた額に料率をかけた所得割と、加入者1人ごとの均等割を、医療分、後期高齢者支援金分、介護分、子ども・子育て支援金分の区分ごとに計算して合計します。料率は市区町村ごとに違うので、住んでいる市区町村の案内や試算のページで確認してください。

Q. 所得税と住民税で基礎控除が違うのはなぜですか?

所得税と住民税は別の法律で決まっているためです。令和8年分の所得税の基礎控除は合計所得489万円以下で104万円ですが、住民税の基礎控除は合計所得2,400万円以下で43万円です。住民税の課税所得は所得税より大きくなるので、所得税の課税所得をそのまま使うと住民税を少なく見積もってしまいます。

Q. 独立した最初の年に手取りが少なく感じるのはなぜですか?

住民税と国民健康保険料が前年の所得をもとに決まるためです。独立した最初の年は、会社員時代の所得をもとにした住民税と保険料がかかります。売上がまだ少ない時期に大きな納付書が届くことがあるので、独立前に生活費とは別に、納付に備えた資金を用意しておくと安心です。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年9月26日最終更新:2026年10月26日
@SOHO編集部

この記事を書いた人

@SOHO編集部

フリーランス・在宅ワークの専門メディア

@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。

@SOHOで仕事を探してみませんか?

手数料0%・登録無料のクラウドソーシング。フリーランスの方も企業の方も、今すぐ始められます。

関連記事

カテゴリから探す

クラウドソーシング入門

クラウドソーシング入門

クラウドソーシングの基礎知識・始め方・サイト比較

職種別ガイド

職種別ガイド

職種・スキル別の案件獲得方法と単価相場

副業・在宅ワーク

副業・在宅ワーク

副業・在宅ワークの始め方と対象者別ガイド

お金・税金

お金・税金

確定申告・節税・経費・ローンなどお金の知識

スキルアップ

スキルアップ

プロフィール・提案文・単価交渉などのテクニック

比較・ランキング

比較・ランキング

サービス比較・おすすめランキング

AI活用

AI活用

職種別にChatGPT・生成AIを活用して業務効率化・収益化するノウハウ

最新トレンド

最新トレンド

市場動向・法改正・AIなど最新情報

発注者向けガイド

発注者向けガイド

クラウドソーシングで外注・人材探しをする企業・個人向け

転職・キャリア

転職・キャリア

転職エージェント・転職サイト比較・キャリアチェンジ

看護師の転職・求人

看護師の転職・求人

看護師の転職・派遣・単発バイト・副業など働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

薬剤師の転職・求人

薬剤師の転職・求人

薬剤師・登録販売者の転職・派遣・パートなど働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

介護職の転職・求人

介護職の転職・求人

介護職・介護福祉士・ケアマネジャー・訪問介護員の転職・派遣・夜勤など働き方のガイド

保育士の転職・求人

保育士の転職・求人

保育士・保育補助・幼稚園教諭の転職・派遣・パートなど働き方のガイド

医療職の転職・求人

医療職の転職・求人

医師・産業医・リハビリ職・歯科衛生士・管理栄養士・医療事務の転職や働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

保険

保険

生命保険・医療保険・フリーランスの保険設計

採用・求人

採用・求人

無料求人掲載・採用コスト削減・人材募集の方法

オフィス・ワークスペース

オフィス・ワークスペース

バーチャルオフィス・コワーキング・レンタルオフィス

法律・士業

法律・士業

契約トラブル・士業独立開業・フリーランス新法

シニア・50代

シニア・50代

シニア世代のキャリアチェンジ・副業・年金

セキュリティ

セキュリティ

サイバーセキュリティ・脆弱性対策・情報保護

金融・フィンテック

金融・フィンテック

暗号資産・決済・ブロックチェーン・金融テクノロジー

経営・ビジネス

経営・ビジネス

経営戦略・ガバナンス・事業承継・知財

ガジェット・機材

ガジェット・機材

フリーランスに役立つPC・デバイス・周辺機器

子育て×働き方

子育て×働き方

子育てと在宅ワークの両立・保育園・時間管理

補助金・助成金

補助金・助成金

個人事業主・フリーランスが使える公的補助金・助成金・給付金の申請ガイド

M&A・事業売却

M&A・事業売却

会社売却・事業承継・事業譲渡を考える経営者向け。売却の流れ、税金、従業員への伝え方、仲介会社の選び方

アウトソーシング・外注ガイド

アウトソーシング・外注ガイド

SNS運用・経理・広告など、業務のアウトソーシング(外注)を検討する企業・個人向け。費用相場・依頼の流れ・失敗しない選び方