キッチンカーの営業許可|取り方と必要な設備


この記事のポイント
- ✓キッチンカーの営業許可の取り方を
- ✓食品衛生法の飲食店営業許可の仕組みから
- ✓給水タンクやシンクなど必要な設備
キッチンカーで料理を作って売るには、食品衛生法にもとづく営業許可が必要です。許可を出すのは都道府県や保健所を置く市などの自治体で、窓口は保健所になります。車を改装してから相談に行くと、設備が基準に合わず作り直しになることがあるため、順番を間違えないことが何より大切です。
この記事では、キッチンカーの営業許可の仕組み、許可を取るまでの手順、車に必要な設備と給水タンクの容量、食品衛生責任者、営業できる地域の考え方、道路で営業するときの注意、許可なしで営業したときの罰則までを順に整理します。基準の細かいところは自治体ごとに違うので、例として大阪市が公開している基準を使いながら、どこを自分の地域の保健所で確かめればよいかが分かるように書いています。
キッチンカーの営業許可とはどんな許可か
キッチンカーの車内で飲食物を調理して提供する場合、必要になるのは食品衛生法の「飲食店営業」の許可です。食品衛生法とは、食べ物による健康被害を防ぐために、食品を扱う営業のルールを決めた法律のことです。法律の第55条では、許可が必要な営業を営もうとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならないと定めています。
大阪市は、キッチンカーの営業許可について次のように案内しています。
キッチンカー内で飲食物を調理し提供するためには、食品衛生法に基づく飲食店営業許可が必要です。大阪市内で営業を予定されている場合は、基地施設の所在地を管轄する保健所生活衛生監視事務所に相談、申請をしてください。 出典: 大阪市 自動車(キッチンカー)による営業について
ここで出てくる基地施設とは、仕込みをする場所や、キッチンカーと食材を保管する場所のことです。多くの自治体では、この基地施設がある地域の保健所が申請の窓口になります。
2021年の法改正で何が変わったか
食品衛生法は2018年に改正され、2021年6月1日から新しい営業許可の仕組みが始まりました。厚生労働省の資料によると、食中毒のリスクなどを踏まえて許可が必要な業種が整理され、リスクの低い一部の業種は許可ではなく届出の対象になりました。あわせて、許可の対象にならない食品の営業でも、保健所への届出が必要になる制度が新しくできています。
キッチンカーで調理をする場合は、許可の対象である飲食店営業に当たります。届出だけで済むのは、包装されたままの食品を売るなど、ごく限られた形です。自分の営業がどちらに当たるかは、扱う食品と車内での作業内容で決まるので、計画の段階で保健所に確かめるのが確実です。制度の全体像は、厚生労働省の営業規制のページで確認できます。
施設の基準は自治体の条例で決まる
営業許可を受けるには、車の設備が施設基準に合っていなければなりません。施設基準とは、給水や排水、冷蔵の設備など、衛生的に営業するために必要な設備の決まりのことです。厚生労働省は全国の目安となる基準を省令で示していますが、実際の基準は都道府県などが条例で定めます。そのため、同じキッチンカーでも、地域によって求められるタンクの容量やシンクの数が違うことがあります。
営業許可を取るまでの5つのステップ
キッチンカーの営業許可は、おおむね次の流れで進みます。大阪市が新しく始める人向けに出しているリーフレットをもとに、どの自治体でも共通する流れとして整理しました。
- 保健所に事前に相談する
- 申請書類をそろえ、手数料を払って申請する
- 書類の審査を受ける
- キッチンカーの設備の検査を受ける
- 許可が出て、営業許可証を受け取る
ステップ1:車を改装する前に保健所へ相談する
最初にするのは、車を買ったり改装したりする前の保健所への相談です。大阪市のリーフレットでも、車内を改修する前に、簡単な平面図を用意したうえで、基地施設の所在地を管轄する窓口に相談するよう案内しています。
相談のときには、何を作って売るのか、車内でどんな作業をするのか、どこで仕込みをするのかを伝えます。これによって、必要なタンクの容量やシンクの数が決まります。メニューが決まっていないまま車を作ると、あとでメニューを広げたくなったときに設備が足りず、許可の範囲を超えてしまうことがあります。
相談に持っていくとよいもの
保健所への事前相談を実りのあるものにするには、次のものを用意して行くと話が早く進みます。
- 出したいメニューの一覧と、それぞれの作り方の手順
- 使う予定の車の大きさと、車内の配置を描いた簡単な平面図
- 仕込みをする場所と、車を保管する場所の住所
- 営業したい地域や場所の候補
- 使う予定の器具(鉄板、フライヤー、冷蔵庫など)と、電源やガスの種類
特に作り方の手順は、調理の工程の数を判断する材料になるので、切る、焼く、盛り付けるといった作業を順番に書き出しておくと役に立ちます。相談の内容は、あとで車の改装を頼む業者にも伝えられるよう、メモに残しておきましょう。相談の予約が必要な保健所もあるので、行く前に電話やホームページで確かめておくと確実です。
ステップ2:書類をそろえて申請する
申請は、営業を始める日の2〜3週間前までに行うよう案内している自治体が多くあります。必要な書類は次の節で詳しく説明します。最近は、厚生労働省の「食品衛生申請等システム」を使って、オンラインで申請や届出ができる自治体も増えています。
ステップ3とステップ4:書類の審査と車両の検査
書類の審査では、営業の内容、図面による設備の確認、食品衛生責任者を決めているかなどが確かめられます。そのあと、保健所の担当者がキッチンカーの実物を見て、設備が基準に合っているかを検査します。手洗い器のセンサーや発電機、ガスボンベが動くかを確かめることもあるので、営業できる状態で車を持ち込みます。検査の日時と場所は事前に調整が必要です。
ステップ5:許可が出たら営業を始める
書類と検査の両方に合格すると、許可の期限や条件を付けて許可されます。大阪市では、許可された旨の通知をもって営業を始められ、営業許可証は後日窓口で受け取ります。許可証は、営業中に車内の見やすい場所に掲示します。
キッチンカーに必要な設備
キッチンカーの設備は、取り扱う食品の数や、車内で行う調理の工程の数によって変わります。ここでは、大阪府や和歌山県などで2025年6月から使われている共通の基準を例に、どんな設備が求められるかを見ていきます。
車の構造の基準
- 運転席など調理に使わない場所と、仕切りなどではっきり区切られていること
- 作業に十分な広さがあること(調理の一部を車外で行うような狭さは不可)
- 床、内壁、天井が、掃除や消毒をしやすい材料で作られていること(ベニヤ板やカーペットは不可)
設備の基準と給水タンクの容量
大阪市が公開している施設基準では、車の型をⅠ型、Ⅱ型、Ⅲ型の3つに分け、型ごとに給水タンクの容量を決めています。
| 設備 | Ⅲ型(基本型) | Ⅱ型 | Ⅰ型 |
|---|---|---|---|
| 給水タンク | 200L以上 | 80L以上 | 40L以上 |
| 廃水タンク | 給水タンクの容量以上 | 給水タンクの容量以上 | 給水タンクの容量以上 |
| 洗浄用シンク | 1槽以上 | 1槽以上 | 1槽以上 |
| 手洗い用シンク | 洗浄用と別に設ける | 洗浄用と別に設ける | 車内で器具を洗わない場合は兼用可 |
このほか、どの型でも、温度計を付けた冷蔵庫かクーラーボックス、ふた付きのゴミ箱、密閉できる保管設備、換気扇や窓などの換気設備が必要です。手洗い器の水栓は、手を洗ったあとに手が再び汚れないよう、センサー式、レバー式、足で踏む式などの構造にすることが求められています。
廃水タンクを給水タンクと同じかそれ以上の容量にするのは、使った水を道路や地面に流さないためです。営業中に出た汚水は、基地施設などに持ち帰って適切に処理します。
調理の工程で決まる車の型
どの型の車が必要かは、車内で行う調理の工程の数と、食中毒のリスクが高い作業をするかどうかで決まります。大阪市の基準では、調理の工程が3つ以上ならⅢ型(200L)、2工程ならⅡ型(80L)、1工程で1品目ならⅠ型(40L)が基本の考え方です。
調理の工程に数えない作業
盛り付け、薬味やトッピングをのせる、塩やソースをかける、お湯を注ぐ、食品を温める、包装を開けるといった作業は、調理の工程に数えません。
例:たこ焼きと焼きそば
大阪市のリーフレットでは、具体的な例が示されています。
- たこ焼き:生地を作る、具を入れる、ソースをかける、ネギやかつお節をのせる、といった作業は工程に数えず、鉄板で焼く作業だけが1工程。1工程でリスクの高い作業がないので、Ⅰ型(40L)で営業できる
- 焼きそば:洗った野菜を切る作業と、鉄板で炒める作業の2つが工程になる。2工程なので、Ⅱ型(80L)が必要になる
リスクが高い作業をするとき
普通の食器(使い捨てでない食器)を使う、魚の頭や内臓を取る、加熱前の肉を切る、といった作業をする場合は、工程の数にかかわらずⅢ型(200L)が必要です。刺身のような生の魚介類や、加熱しない野菜や果物をそのまま出す場合はⅡ型(80L)以上になります。
この考え方は大阪府と和歌山県の共通基準によるものです。ほかの地域では、タンクの容量の区分や工程の数え方が違う場合があるので、自分の地域の基準を保健所で必ず確かめてください。
基地施設と仕込みの考え方
キッチンカーの車内は狭く、水の量も限られるため、多くの営業では車の外に基地施設を持ちます。基地施設は、仕込みをする場所や、車と食材を保管する場所のことで、給水や器具の洗浄消毒もここで行います。
仕込みをどこでするか
車内で行わない仕込み(たとえば野菜を大量に切る、ソースを作るなど)を別の場所で行う場合、その場所にも営業許可が必要になることがあります。大阪市の申請書類には、一次加工が必要な場合に加工する施設の許可証の写しを出す項目があります。自宅の台所で仕込んだ食材をキッチンカーで使うことは、一般に認められません。
基地施設を持たない選び方
基地施設を自分で持つのが難しい場合は、仕込みの要らないメニューにする、許可を取っている飲食店の厨房を借りる、といった方法があります。メニューを絞るほど車の設備も小さくて済むので、副業として小さく始めたい人は、仕込みが少なく1工程で作れるメニューから考えると現実的です。
食品衛生責任者とHACCPに沿った衛生管理
営業許可を受けるには、施設ごとに食品衛生責任者を決めておく必要があります。食品衛生責任者とは、その施設の衛生管理を担当する人のことで、営業者自身がなることもできます。
食品衛生責任者になれる人
食品衛生法施行規則では、食品衛生責任者になれる人を次のように定めています。
- 調理師、製菓衛生師、栄養士、管理栄養士などの資格を持っている人
- 都道府県知事などが行う講習会、または知事などが適正と認める講習会を受けた人
調理師などの資格がない場合は、各地の食品衛生協会などが開く養成講習会を受けるのが一般的です。日程や受講料、オンラインで受けられるかは地域ごとに違うので、営業する地域の食品衛生協会や保健所で確かめてください。食品衛生責任者になったあとも、定期的に講習会を受けて新しい知識を身につけることが求められています。
HACCPに沿った衛生管理
2021年6月からは、原則としてすべての食品を扱う事業者に、HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理が義務づけられています。HACCPとは、食中毒などの原因になる危険を工程ごとに洗い出し、重点的に管理する衛生管理の方法のことです。
小さな飲食店やキッチンカーの場合は、業界団体が作った手引書をもとに衛生管理の計画を作り、毎日の点検や記録をつけて保存する形で対応します。冷蔵庫の温度を測って記録する、手洗いや器具の消毒をいつ行ったかを記録する、といった日々の作業が中心です。手引書は厚生労働省のホームページに掲載されています。
申請に必要な書類と手数料
申請に必要な書類は自治体ごとに少しずつ違いますが、大阪市の案内では次のものが挙げられています。
- 営業許可申請書
- 営業施設の構造と設備を示す図面
- 自動車営業設備の概要
- 仕込みが必要な場合は、仕込みをする施設の許可証の写し
- 法人の場合は登記事項証明書
- 食品衛生責任者の資格を証明する書類
- 車検証の写し
- 手数料
- 営業できる状態のキッチンカー本体
大阪市の飲食店営業の手数料は16,000円です。手数料の額は自治体によって違うので、申請先の自治体のページで確かめてください。
開業支援の事業者も、書類や書式が自治体ごとに違う点に注意を促しています。
同じ「キッチンカーの営業許可申請」でも自治体によって提出書類や書式が異なる場合があります。他地域の申請書類をそのまま参考にするのではなく、実際に申請する自治体の最新情報を確認してください。 出典: foodtruck.co.jp
インターネットで見つけた他の地域の書類の記入例をそのまま使うと、項目が足りずに出し直しになることがあります。書類は、申請する保健所のページから最新のものを取り出して使いましょう。
営業できる地域の考え方
キッチンカーの営業許可は、原則として許可を出した自治体の区域の中でしか使えません。隣の県や、保健所を置く別の市で営業するときは、そこでも許可を取る必要があるのが基本です。何か所もの許可を取るのは手間がかかるため、この点はキッチンカーの営業で長く課題とされてきました。
広い地域で使える仕組みが広がっている
この課題に対して、自治体どうしで基準をそろえ、1つの許可で広い地域を回れるようにする動きが進んでいます。大阪府と和歌山県では、2025年6月1日以降に共通の基準に合う許可を取ったキッチンカーは、大阪府と和歌山県の全域で営業できるようになりました。ただし大阪市の案内によると、大阪府域で認められる飲食店営業に付随した魚介類の販売は、和歌山県域ではできないとされています。
国も、この流れを後押ししています。厚生労働省は2026年3月27日付けの通知で、複数の都道府県をまたいで1つの許可で営業できるようにしている自治体の事例を示し、各地で調整を進めるよう求めました。同じ通知では、今後、営業許可の申請のときに営業場所の記載を必須にするなどの措置を予定していることも書かれています。
自分の地域で確かめること
営業したい地域が複数あるときは、次の点を保健所に確かめておくと、あとで困りません。
- 取った許可で、どの地域まで営業できるか
- 別の地域で営業するときに、追加の手続きや届出が要るか
- 経過措置の対象になる古い許可を持っている場合、新しい基準に切り替える手続きがあるか
営業する場所の確保と道路での営業
営業許可は、食品を安全に扱えることを認める許可で、どこで営業してもよいという許可ではありません。営業する場所は、別に確保する必要があります。
私有地やイベント会場で営業する
キッチンカーの営業場所として多いのは、商業施設の駐車場、オフィス街の空き地、イベント会場、マルシェ、道の駅などです。どの場合も、土地の持ち主や管理者の承諾を得てから営業します。場所を紹介するサービスを通して出店場所を探す方法もあり、出店料や売上に応じた手数料がかかるのが一般的です。
道路で営業するには警察署の許可が要る
道路の上に止めて営業する場合は、食品衛生法の許可とは別に、道路交通法の道路使用許可が問題になります。道路交通法の第77条は、場所を移動せずに道路に露店や屋台店などを出そうとする人は、その場所を管轄する警察署長の許可を受けなければならないと定めています。
道路は本来、人や車が通るための場所なので、営業のための使用は交通の妨げにならないかが厳しく見られます。道路で営業したいときは、計画の段階で管轄の警察署に相談してください。また、道路の管理者(国や自治体)の占用許可が別に必要になる場合もあります。
許可を取らずに営業したときの罰則
許可を取らずにキッチンカーで飲食店営業をすると、食品衛生法の違反になります。法律の第82条は、第55条第1項(営業許可)に違反した者は、2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金に処すると定めています。情状によっては、拘禁刑と罰金の両方が科されることもあります。
法律の条文は、e-Govの食品衛生法のページで確かめられます。
許可の範囲を超えた営業にも注意する
許可を取っていても、許可の範囲を超えた営業は問題になります。たとえば、Ⅰ型の車で許可を受けたのに、工程の多いメニューを出すといった場合です。メニューを変えたり増やしたりするときは、今の設備と許可で出せるかを、事前に保健所に確かめましょう。
お酒を売る場合
キッチンカーでお酒を出す場合は、どのような形で提供するかによって、酒税法の免許が必要かどうかが変わります。缶や瓶のまま売る場合と、その場で注いで飲んでもらう場合では扱いが違うので、お酒を出したいときは、営業許可とは別に税務署に確かめてください。
許可の有効期間と、取ったあとの手続き
営業許可は、一度取れば無期限に使えるものではありません。食品衛生法の第55条第3項では、都道府県知事は許可に5年を下らない有効期間などの条件を付けられると定めています。実際の有効期間は自治体ごとに決められていて、施設の内容によって長さが変わることもあります。許可証に書かれた期限を確かめ、期限が切れる前に更新の手続きをします。
更新の手続き
更新の時期と手続きの方法は自治体ごとに決まっているので、期限が近づいたら保健所の案内を確かめ、余裕をもって申請します。更新のときにも、車の設備が基準に合っているかの確認が行われるのが一般的です。古い基準で許可を受けている車は、更新のときに新しい基準への対応を求められることがあるので、早めに保健所に相談しておくと安心です。
内容が変わったときの届出
営業者の住所や氏名、食品衛生責任者、車のナンバーなど、申請した内容が変わったときは、保健所に変更の届出をします。車を買い替えた場合は、設備そのものが変わるので、新しく許可を取り直す必要があるのが基本です。営業をやめたときも、廃業の届出をします。どの変更が届出で済み、どの変更が新しい許可になるかは自治体の運用によるので、変わる前に保健所に確かめてください。
営業の1日の流れと衛生管理の実際
営業許可を取ったあとは、毎日の営業で衛生管理の決まりを守り続けることが大切です。キッチンカーの1日は、おおむね次のような流れになります。
- 基地施設で給水タンクに水を入れ、食材を冷蔵庫やクーラーボックスに積み込む
- 冷蔵設備の温度を測って記録する
- 営業場所に着いたら、車を安全な位置に止め、看板とメニューを出す
- 手を洗い、器具を準備してから調理を始める
- 営業中は、手洗いと器具の消毒をこまめに行い、ゴミはふた付きのゴミ箱に入れる
- 営業が終わったら、廃水タンクの水とゴミを持ち帰る
- 基地施設で器具を洗って消毒し、車内を掃除して、その日の衛生管理の記録をつける
水の量を逆算する
キッチンカーでいちばん気をつけたいのが水の量です。給水タンクの容量は限られているので、手洗いと器具の洗浄にどれだけ水を使うかを考え、1日の営業時間と出す数から逆算して準備します。水が足りなくなったからといって、近くの水道から勝手に水を補給したり、汚水を地面に流したりしてはいけません。
記録をつける習慣
HACCPに沿った衛生管理では、毎日の点検の記録を保存することが求められます。冷蔵庫の温度、手洗いの実施、器具の消毒、体調の確認などを、決まった用紙やアプリに書き残します。保健所の立入検査で記録を確かめられることもあるので、営業の終わりに記録をつけるまでを1日の仕事として組み込んでおきましょう。
許可を取る前にメニューを決めておく理由
ここまで見てきたように、キッチンカーの営業許可は、メニューと車内の作業内容によって必要な設備が決まる仕組みです。メニューを決めないまま許可の準備を進めることはできません。
最初は1品目から考える
副業として小さく始めるなら、1工程で作れる1品目のメニューから考えると、必要な設備が小さく済み、車の費用も抑えられます。大阪市の基準では、Ⅰ型(40L)の車でも、揚げ物1品目に加えて、市販の飲み物やかき氷、市販のアイスを小分けしたものなど「1品目未満」として扱う品を2つまで出せるとされています。こうした組み合わせを使えば、設備を大きくしなくても、お客さんの選ぶ楽しみを作れます。
メニューを広げるときは設備から考える
営業を続けて、メニューを広げたくなったときは、今の車の型と許可で出せるかを先に確かめます。工程が増えるメニューは、より大きなタンクの車でないと出せないことがあります。売れ行きを見ながら、設備の拡張と許可の取り直しを計画的に進めると、無駄な投資を避けられます。
開業にかかる費用とメリット・デメリット
キッチンカーの開業には、車、設備、許可の手数料、食品衛生責任者の講習、営業場所の出店料など、いくつもの費用がかかります。車を新しく作るか、中古の改造車を買うか、レンタルやリースにするかで初期費用は大きく変わります。
費用を考えるときの順番
- メニューを決める
- メニューに必要な車の型と設備を保健所で確かめる
- その設備をそなえた車の入手方法(新車の改造、中古車、リース)を比べる
- 基地施設をどうするかを決める
- 営業場所の出店料と、1日に出せる数の見込みを立てる
この順番で考えると、必要以上に大きな設備の車を買ってしまう失敗を防げます。特に、タンクの容量が大きい車ほど車体も大きくなり、営業できる場所が限られることがあります。
メリット
- 店舗を借りるより初期費用を抑えやすい
- 曜日や時間を選んで営業でき、会社員の副業として週末だけ営業する形もとれる
- イベントや季節に合わせて営業場所を変えられる
デメリット
- 天候に売上が左右されやすい
- 営業場所の確保に手間がかかる
- 車内が狭く、出せるメニューの数や量に限りがある
- 許可の範囲と地域を常に意識する必要がある
開業で失敗しやすいポイント
キッチンカーの開業でよく聞く失敗は、手続きの順番に関するものが中心です。
車を先に作ってしまう
もっとも多いのは、保健所に相談する前に車を改装してしまい、基準に合わずに作り直しになる失敗です。タンクの容量やシンクの数が足りない、床の材料が基準に合わない、といった点は、あとから直すと費用がかさみます。
他の地域の基準をうのみにする
インターネットの情報や、他の地域で営業している人の話をもとに車を作ると、自分の地域では基準が違ってやり直しになることがあります。基準は必ず、申請する保健所で確かめてください。
仕込みの場所を考えていない
車内で作れる量には限りがあるため、仕込みの場所を決めないまま始めると、営業時間中に作業が追いつかなくなります。仕込みをする場所にも許可が要る場合があるので、メニューを決める段階で一緒に考えます。
写真とメニュー表で伝えきれていない
キッチンカーは、前を通りかかった人が数秒で買うかどうかを決める商売です。メニューの写真、値段、待ち時間が一目で分かる看板を用意できているかで、売れ行きは大きく変わります。SNSで出店場所を事前に知らせるのも、常連を作るうえで効果的です。
副業として始めるときの税金と手続き
会社員がキッチンカーを副業として始める場合は、税金の扱いと、勤め先の就業規則も確かめておきます。
所得の区分
キッチンカーの営業で得た所得は、規模や続け方によって、事業所得か雑所得のどちらかとして扱われるのが一般的です。国税庁の雑所得のページでは、業務に係る雑所得を「副業に係る収入のうち営利を目的とした継続的なもの」と説明しています。どちらに当たるかは個別の事情で変わるため、迷ったら税務署に確認してください。
開業届と確定申告
事業として営業を始める場合は、税務署に開業届を出します。開業届の提出期限は、開業した年分の確定申告の期限までです。会社員の場合、給与以外の所得の合計が年間20万円を超えると所得税の確定申告が必要になります。住民税には20万円以下なら申告不要という決まりがないので、所得税の申告をしない場合でも、市区町村に住民税の申告が必要になることがあります。
経費と記録
車の購入費や改装費、燃料代、食材費、出店料、許可の手数料などは、経費として扱える可能性があります。車のように何年も使う物は、一度に経費にせず、何年かに分けて計上するのが原則です。最初から売上と経費を記録しておくと、申告のときに困りません。
移動販売を続けるために身につけたい力
在宅ワークとフリーランスの仲介を20年以上続けてきた運営者として見てきた限りでは、自分で商売を始める人がつまずくのは、料理や商品の質よりも、手続きと集客の段取りであることが多いものです。キッチンカーは、許可の手続き、場所の交渉、SNSでの告知、メニュー表の作成と、料理以外の仕事がたくさんあります。
出店場所の交渉は、そのまま営業の仕事と同じ力が求められます。場所の持ち主に、どんな料理をどんな形で出し、どれくらいお客さんを集められるかを説明する力です。営業や販促の仕事に関心がある人は、営業代行・アポ・販促資料作成のお仕事で、どんな仕事があるのかを確かめられます。出店の告知やSNSの運用を仕事として学びたい人には、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事が参考になります。
申請書類や出店の企画書を分かりやすく書く力も、商売を続けるうえで役に立ちます。仕事の文章の書き方を体系立てて学びたい人には、ビジネス文書検定の内容が参考になります。お店の情報をまとめたホームページを自分で作りたくなったら、ホームページ制作を副業にする方法|営業から納品まで完全解説で、制作の流れを知っておくのもよいでしょう。
車を運転する仕事全般の相場を知っておきたい人は、営業用大型貨物自動車運転者の年収・単価相場で、運転を伴う仕事の水準を確かめられます。キッチンカーの営業許可は、手順を守れば個人でも取れる許可です。まずは作りたいメニューを決め、車を用意する前に保健所へ相談するところから始めてください。
よくある質問
Q. キッチンカーの営業許可はどこで取りますか?
キッチンカーの営業許可は、食品衛生法にもとづく飲食店営業の許可で、窓口は保健所です。多くの自治体では、仕込みや車の保管をする基地施設がある地域の保健所が申請先になります。車を改装する前に、平面図を持って保健所に相談し、作りたいメニューに必要な設備を確かめてから準備を進めるのが確実です。
Q. キッチンカーの営業許可を取るのに資格は必要ですか?
営業許可を受けるには、施設ごとに食品衛生責任者を決めておく必要があります。調理師、製菓衛生師、栄養士などの資格を持っている人はそのまま食品衛生責任者になれます。資格がない場合は、各地の食品衛生協会などが開く養成講習会を受けることで食品衛生責任者になれます。運転には、車の大きさに合った運転免許が必要です。
Q. 1つの営業許可で全国どこでも営業できますか?
原則として、営業許可は許可を出した自治体の区域の中でしか使えません。別の都道府県や保健所を置く市で営業するときは、そこでも許可が必要になるのが基本です。ただし大阪府と和歌山県のように、基準を共通にして広い地域で営業できるようにしている例もあります。営業したい地域の保健所で確かめてください。
Q. キッチンカーで道路に止めて営業してもよいですか?
道路に止めて営業する場合は、食品衛生法の許可とは別に、道路交通法の道路使用許可が問題になります。場所を移動せずに道路に屋台などを出す場合は、管轄の警察署長の許可が必要です。交通の妨げにならないかが厳しく見られるので、実際には商業施設の駐車場やイベント会場など、土地の持ち主の承諾を得た場所で営業するのが一般的です。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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