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電子出版の始め方|方法と流れ

@SOHO編集部
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電子出版の始め方|方法と流れ

この記事のポイント

  • ✓電子出版を個人で始めたい人向けに
  • ✓自分で出版する方法と配信サービス・出版社を通す方法の違い
  • ✓Kindleダイレクト・パブリッシングでの出版の流れ

電子出版は、出版社を通さなくても、個人が自分の書いた本を電子書籍として販売できる方法です。原稿のデータと表紙の画像を用意すれば、印刷や在庫の費用をかけずに本を出せるので、副業として関心を持つ人が増えています。ただ、「どのサービスで出せばよいのか」「原稿はどんな形で作るのか」「売れたらいくら入るのか」「税金の手続きは必要なのか」が分からず、書き始める前に手が止まる人も少なくありません。この記事では、電子出版の方法の選び方から、Amazonの Kindleダイレクト・パブリッシング(KDP)での出版の流れ、価格とロイヤリティの決まり、権利の扱い、売上の申告までを、2026年10月25日時点の公式の案内をもとに順に整理します。

電子出版とは何か

電子出版とは、本の中身をデータにして、インターネットで配信して読んでもらう出版の形です。読者はスマートフォン、タブレット、電子書籍リーダー、パソコンで本を買い、そのまま読みます。紙の本のように印刷して書店に並べる工程がないので、出版にかかる費用と時間を大きく減らせます。

電子出版(でんししゅっぱん、英: electronic publishing)とは、出版の電子化および電子化された出版物の総称のことで、デジタル出版ともよばれる 出典: ja.wikipedia.org

もともとは、紙の本を作る工程をコンピューターで行うことを電子出版と呼んでいましたが、いまはデータになった本をインターネットで配信することを指すのが一般的です。この記事でも、個人が書いた本を電子書籍として販売することを電子出版と呼びます。

紙の本の出版との違い

紙の本を出版社から出す場合、企画が通るまでに時間がかかり、出版が決まっても刷る部数や価格は出版社が決めます。自費出版で紙の本を作る場合は、印刷の費用を著者が負担し、売れ残った在庫を抱える心配もあります。

電子出版では、こうした負担がほとんどありません。主な違いを整理すると次のとおりです。

項目 紙の本(出版社) 紙の本(自費出版) 電子出版(自分で出版)
出版の可否を決める人 出版社 著者 著者(ストアの審査あり)
初期の費用 出版社が負担 著者が負担 ほとんどかからない
在庫 出版社が抱える 著者が抱える ない
価格を決める人 出版社 著者と業者 著者(ストアの範囲内)
出版後の修正 増刷のときだけ 難しい 原稿を差し替えられる

出版後に原稿を差し替えられるのは、電子出版ならではの利点です。誤字を直したり、制度の変更に合わせて内容を新しくしたりと、出したあとも本を育てていけます。

個人の電子出版が広がっている背景

個人の電子出版が広がった理由は、出版の窓口が個人にも開かれたことにあります。Amazonの KDP は、個人がアカウントを作れば、自分の本を Kindleストアで販売できる仕組みです。KDPのヘルプページには、読み放題の仕組みに本を登録している著者に支払われた総収益が表示されており、2026年9月の額は109.5億円とされています。個人や小さな出版者の本が、それだけ読まれていることを示す数字です。

ただし、これは登録している著者全体の合計であり、1人あたりの収入を示すものではありません。電子書籍は誰でも出せる分、同じテーマの本が多く並びます。出版しただけで読まれるわけではなく、テーマの選び方と、読者に見つけてもらう工夫が欠かせません。

副業として向いている人

電子出版が副業として向いているのは、次のような人です。

  • 仕事や暮らしの中で、人に説明できる知識や手順を持っている
  • 文章を書くことが苦にならず、まとまった分量を書き上げられる
  • 売上がすぐに出なくても、時間をかけて本を増やしていける
  • 自分の名前で実績を残したい

反対に、短い期間で決まった収入がほしい人には向きません。電子書籍の売上は、本の数と、読者に知られるまでの時間に左右されるからです。本業の合間に1冊ずつ書き、数冊をそろえてから手応えを見る、という長い目線で取り組む人が多い分野です。

電子出版の3つの方法

個人が電子書籍を出す方法は、大きく3つに分かれます。

方法1:ストアに自分で出版する

電子書籍のストアが用意している個人向けの窓口から、自分で本を登録して販売する方法です。代表的なのが Amazon の KDP で、アカウントの作成、原稿と表紙のアップロード、価格の設定まで、すべて自分で行います。出版の費用はかからず、売れた分だけロイヤリティ(売上のうち著者が受け取る分)が支払われます。ほかのストアにも個人向けの窓口を設けているところがあり、条件は各社の公式の案内で確かめます。

方法2:配信サービスを通して複数のストアに出す

電子書籍の取次や配信サービスに原稿を預け、複数のストアにまとめて配信してもらう方法です。1回の手続きで多くのストアに並べられる一方、ストアの取り分に加えて配信サービスの取り分が引かれます。紙の本と電子書籍の作成と販売を無料で行える BCCKS のように、本を作る道具と販売の場を一緒に提供しているサービスもあります。

方法3:出版社から電子書籍として出す

出版社に企画を持ち込み、電子書籍として出してもらう方法です。編集者が原稿を見てくれるので本の質は上がりますが、企画が通らなければ出版できず、受け取れる印税の割合は自分で出す場合より低くなるのが一般的です。電子書籍だけを扱う出版社もあります。

どの方法から始めるか

初めての人は、方法1の自分で出版する形から始めると、出版の流れを一通り経験できます。費用がかからず、失敗しても原稿を直して出し直せるからです。この記事では、利用者の多い KDP を例に、具体的な流れを説明します。

KDPで出版するまでの流れ

KDPで本を出すまでの流れは、次の順番です。

  1. KDPのアカウントを作り、2段階認証を設定する
  2. 税務プロファイル(税金の手続きに使う本人の情報)を登録し、支払いを受ける銀行口座を登録する
  3. 本の詳細情報(タイトル、著者名、内容紹介、キーワード、カテゴリー)を入力する
  4. 原稿と表紙をアップロードし、プレビューで見た目を確かめる
  5. ロイヤリティのプランと価格を決める
  6. 出版の申請をし、審査のあとに Kindleストアで販売が始まる

アカウントと税務プロファイル

KDPのアカウントは、Amazonのアカウントでサインインして作れます。アカウントを作ったら、まず税務プロファイルを登録します。KDPのヘルプでは、税務上の身元確認の情報を受け取って確認しないと、新しい本の出版も既存の本の更新もできないとされています。

税務プロファイルの登録は、画面の質問に答えていく形で進みます。日本に住む人が日本の Kindleストア以外でも販売する場合、アメリカでの売上には源泉徴収(支払いの際に先に税金が差し引かれること)がかかります。KDPのヘルプによると、源泉徴収の税率は原則30%ですが、住んでいる国がアメリカと租税条約を結んでいれば、低い税率が適用される場合があります。日本はアメリカと租税条約を結んでいるので、税務プロファイルの質問に正しく答えておくことが大事です。

本の詳細情報

タイトル、著者名、内容紹介、キーワード、カテゴリーは、読者が本を見つけるための入り口です。KDPのヘルプには、キーワードを使って本を見つけやすくする方法や、内容紹介の書き方の案内があります。タイトルには、本を読むと何が分かるのかが伝わる言葉を入れ、内容紹介には、誰のための本で、どんな悩みに答えるのかを具体的に書きます。

電子書籍では ISBN(本を識別する番号)は省略できます。KDPのヘルプでは、ISBNを省略できるのは電子書籍と内容の少ない本だけで、ペーパーバック(紙の本)には ISBN が必要とされています。

原稿の作り方とファイル形式

原稿は、KDPが対応している形式で作ります。ヘルプで推奨されている主な形式は次のとおりです。

形式 特徴
Microsoft Word(DOC/DOCX) 多くのファイルは問題なく変換されるが、複雑な書式は崩れることがある
KPF(Kindle Create で作る形式) Kindle端末に合わせた書式に整えられる。日本語は漫画の形式だけに対応
EPUB 電子書籍の標準的な形式。KDPのガイドラインの仕様を満たす必要がある

ほかにも HTML、RTF、テキストなどの形式が使えますが、PDFが使えるのは英語やフランス語など一部の言語で書かれたものだけで、日本語は含まれていません。Kindle Create は日本語の文章中心の本(リフロー型)に対応していないので、日本語の小説や実用書は Word か EPUB で作るのが現実的です。

リフロー型と固定レイアウト

電子書籍の作りには、文字の大きさに合わせて行やページが流れるように変わる「リフロー型」と、紙の本と同じようにページの見た目が固定される「固定レイアウト」があります。文章が中心の本はリフロー型、漫画や写真集、図が多い本は固定レイアウトが向いています。リフロー型は読者が文字を大きくできるので、スマートフォンでも読みやすくなります。

Wordで作るときのこつ

Wordで原稿を作る場合は、見出しにWordの「見出し」のスタイルを使います。見出しのスタイルを使うと、目次を作りやすくなり、読者が章を移動しやすくなります。空白の行を何行も入れてページを送ったり、スペースを並べて位置をそろえたりすると、電子書籍に変換したときに崩れる原因になります。ページを分けたいところでは改ページを使います。

原稿ができたら、KDPが提供している Kindle Previewer というソフトで、実際の端末での見え方を確かめます。スマートフォン、タブレット、電子書籍リーダーのそれぞれで、見出しや画像、目次がきちんと表示されるかを見てから出版します。

書き上げるための時間の作り方

電子書籍の原稿は、実用書なら数万字になることが多く、本業の合間に書き上げるには時間の使い方が鍵になります。毎日決まった時間に少しずつ書く、章ごとに締め切りを決めるといった工夫が役に立ちます。自宅で集中して作業する方法は、在宅ワークの集中力アップ|ポモドーロ以外に効く7つのテクニックで、時間の区切り方や環境の整え方を紹介しています。

表紙と内容紹介の作り方

電子書籍のストアでは、表紙の画像が小さく並びます。表紙は、スマートフォンの画面で小さく表示されても、タイトルが読める大きさと配色にします。文字を多く入れすぎると読めなくなるので、タイトルと短い副題、著者名に絞ります。

表紙は自分で作るほか、KDPの Cover Studio のような表紙作成の道具を使う方法や、デザイナーに依頼する方法があります。写真やイラストの素材を使うときは、素材サイトの利用規約で、電子書籍の表紙に使えるかどうかを必ず確かめます。素材によっては、商用の利用はできても、書籍の表紙のように商品そのものの主な部分に使うことを禁じている場合があります。表紙の仕事に興味がある人は、デザイナーの年収・単価相場で、デザインの仕事の相場を確かめられます。

内容紹介は読者の悩みから書く

内容紹介は、本の購入を決める大事な材料です。最初の数行で、誰のための本で、読むと何が分かるのかを書きます。そのあとに、目次の主な項目や、本の特徴を並べます。著者の経歴は、本のテーマとつながる部分だけを短く書きます。

内容紹介や本文の文章を整える力は、電子出版以外の仕事にも生きます。文章の力を客観的に示したい人は、ビジネス文書検定のように、ビジネス文書の作成の力を証明する検定もあります。

価格とロイヤリティの決まり

KDPでは、電子書籍ごとに35%と70%の2つのロイヤリティのプランから選べます。日本の Kindleストア(Amazon.co.jp)で決められる価格の範囲は、プランによって違います。

プラン 最低価格 最高価格
35%のロイヤリティ 99円 20,000円
70%のロイヤリティ 250円 1,650円

35%のプランでは、税抜きの希望小売価格の35%が、1冊売れるごとのロイヤリティになります。70%のプランでは、税抜きの希望小売価格からファイルの大きさに応じた配信のコストを引いた額の70%がロイヤリティになります。

日本で70%を選ぶ条件

注意したいのは、日本の読者への販売で70%のプランを選ぶには、本を KDPセレクトに登録する必要があることです。KDPのヘルプには、ブラジル、日本、メキシコ、インドの読者への販売で70%のプランを選ぶには、電子書籍をKDPセレクトに登録する必要があると明記されています。KDPセレクトに登録しない場合、日本の読者への販売は35%のロイヤリティになります。

計算してみる

たとえば、税込み550円の電子書籍を、日本の Kindleストアで販売する場合を考えます。消費税10%を除いた税抜きの価格は500円です。35%のプランなら、1冊あたりのロイヤリティは175円です。KDPセレクトに登録して70%のプランを選んだ場合は、500円から配信のコストを引いた額の70%になり、配信のコストがかからなければ350円です。配信のコストはファイルの大きさで変わるので、画像の多い本ほど差し引かれる額が大きくなります。

また、本の価格を無料に設定することはできません。無料で配りたい場合は、後で説明する KDPセレクトの無料キャンペーンを使います。

価格の決め方

価格を決めるときは、同じテーマの電子書籍がいくらで売られているかを Kindleストアで調べ、ページ数や内容をそろえて比べます。電子書籍は紙の本より安い価格で売られることが多く、読者も気軽に買える価格を期待しています。最初の1冊は、70%のプランが選べる範囲の中で手に取りやすい価格にし、レビューが集まってから見直す方法もあります。

KDPセレクトと Kindle+

KDPセレクトは、Kindle本を対象にした90日間の無料のプログラムです。登録すると、本は自動的に Kindle+ に加わり、読み放題で読んだページ数に応じたロイヤリティを受け取れるようになります。本の無料キャンペーンも使えるようになります。

登録の条件は、本の主な内容について独占的な権利を持っていることと、登録期間中は Kindleストアだけで電子書籍を販売することです。ヘルプによると、90日間の登録期間中、Kindle本は KDP と公共の図書館でのみ販売できます。ただし、紙の本や動画など、電子書籍以外の形は他の場所で引き続き販売できます。パブリックドメイン(著作権が切れた作品)の内容は対象になりません。

登録するかどうかの考え方

KDPセレクトに登録すると、日本の読者への販売で70%のプランを選べ、読み放題からの収入も期待できます。その代わり、同じ電子書籍をほかのストアで売ることはできません。最初の1冊は KDPセレクトに登録して Kindleストアでの反応を見て、ほかのストアにも広げたくなったら、登録期間が終わるときに更新しない、という進め方ができます。

登録は自動で更新される設定になっています。ほかのストアで売る予定があるなら、更新の設定を見直しておきます。登録の取り消しは、登録期間の開始から3日以内なら自分で行えますが、それを過ぎたら問い合わせが必要です。なお、期間限定で値引きする Kindle Countdown Deals は、アメリカとイギリスの Amazon だけで使える仕組みで、日本の Kindleストアでは使えません。

著作権とAIのルール

電子出版で特に気をつけたいのが、権利の扱いです。KDPのコンテンツガイドラインでは、著作権、商標、ブランド、プライバシー、パブリシティ権などの権利を侵害していないことを、著者が自分で確かめるよう求めています。インターネットで無料で見られる文章や画像でも、著作権で守られているものは、権利を持つ人の許可なく本に使えません。

ほかにも、次のような決まりがあります。

  • 著作権で守られた作品の要約や解説書は、権利を持つ人の書面による許可なく、アメリカ以外で出版できない
  • JASRACなどの著作権の管理団体が管理している曲の楽譜や歌詞を含む本は、Kindleストアで出版できない
  • パブリックドメインの作品は出版できるが、同じような本が多い場合や無料版がある場合は取り扱われないことがある

AIで作った内容は申告が必要

文章や画像を作る AI の普及に合わせて、KDPは AIで作った内容の扱いを定めています。

KDP で新しい本を出版する場合、または既存の本を編集して再出版する場合、AI 生成コンテンツ (テキスト、画像、または翻訳) についてお知らせいただく必要があります。AI 生成画像には、表紙や本文の画像、アートワークが含まれます。AI アシスト コンテンツについては開示不要です。 出典: KDP コンテンツ ガイドライン

ここでいう「AI生成」は、AIの道具で実際の文章や画像、翻訳を作ったもので、あとで大きく手を入れても AI生成とみなされます。「AIアシスト」は、自分で作った文章や画像を、AIで編集したり誤りを確かめたりしたもの、またはAIでアイデアを出して最終的に自分で作ったものです。AIアシストは申告が要りません。表紙をAIで作った場合も申告の対象になるので、出版の手続きで正しく答えます。AIを使った場合でも、ほかの決まりや権利を守る必要があることに変わりはありません。

支払いと税金の申告

KDPのロイヤリティは、最低の支払い額に達していれば、売上が報告された月の末日から約60日後に毎月支払われます。たとえば1月の売上は3月末、2月の売上は4月末に支払われます。売れた月と入金の月がずれるので、帳簿をつけるときは売上の月で記録しておくと、申告のときに混乱しません。

確定申告の基準

会社員が電子出版で収入を得た場合、ロイヤリティは給与ではないので、会社の年末調整では精算されません。国税庁のタックスアンサーでは、給与を1か所から受けている人は、給与と退職金以外の所得の合計が20万円を超えると確定申告が必要とされています。

給与を1か所から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)の合計額が20万円を超える人 出典: 国税庁 No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人

ここでいう所得は、受け取ったロイヤリティから、表紙のデザインの費用や素材の購入費、執筆に使った資料の費用などの経費を引いた額です。領収書と KDP の支払いレポートは保存しておきます。電子出版の収入が雑所得になるか事業所得になるかは、続け方や規模によって変わるので、迷うときは税務署に確かめます。また、20万円以下で所得税の確定申告をしない場合でも、住民税の申告は別に必要です。住民税の申告は、1月1日に住んでいる市区町村に行います。

アメリカでの売上に源泉徴収がかかった場合の扱いも、税金の計算に関わります。税務プロファイルの内容と、実際に差し引かれた税額を支払いレポートで確かめておき、申告で分からない点は税務署に相談します。

出版の前に確かめる点検の項目

原稿と表紙ができあがったら、出版の申請を出す前に、次の項目を1つずつ確かめます。出版したあとでも直せますが、最初の読者が受け取る本の印象は、レビューとして残ります。

中身の点検

  • 目次の項目と、本文の見出しの文言と順番が合っているか
  • 目次から各章へ移動できるか
  • 誤字や脱字、表記のゆれ(「ください」と「下さい」のような書き分けの混在)がないか
  • 図や表が、スマートフォンの小さな画面でも読めるか
  • 制度や料金のように変わりやすい情報に、確かめた日付を添えているか
  • 引用した文章に出典を書き、引用の範囲が必要な分だけになっているか

誤字や表記のゆれは、自分で読み直すだけでは見落としがちです。原稿を声に出して読む、印刷して紙で読む、日を置いてから読み直す、といった方法で、見落としを減らせます。知人に読んでもらい、分かりにくい箇所を指摘してもらうのも効果があります。

登録情報の点検

  • タイトルと著者名に誤りがないか(出版後の修正は手続きが必要になる)
  • 内容紹介が、本の中身と食い違っていないか
  • カテゴリーとキーワードが、本の内容に合っているか
  • AIで作った文章や画像がある場合、申告の欄に正しく答えているか
  • ロイヤリティのプランと価格が、意図した組み合わせになっているか

KDPのコンテンツガイドラインでは、読者の誤解を招く記述や、本の内容を正しく表していない記述を認めていません。内容紹介で本に書いていないことを約束したり、実際より大きく見せたりすると、販売を止められる理由になります。

初めての電子出版でつまずきやすい点

初めて電子書籍を出す人がつまずきやすい点を、あらかじめ知っておくと、手戻りを減らせます。

原稿の書式が崩れる

Wordで作った原稿を変換すると、行間や文字の大きさが思ったとおりにならないことがあります。原因の多くは、手作業で文字の大きさを変えたり、スペースで位置をそろえたりしたことです。見出しと本文のスタイルを決めて、文書全体で同じスタイルを使うと、崩れにくくなります。崩れた場合は、Kindle Previewer で崩れている箇所を探し、元の原稿のスタイルを直してから、もう一度アップロードします。

審査で止まる

出版の申請のあとで、追加の情報を求められたり、出版が認められなかったりすることがあります。多いのは、権利の確認が取れない内容を含んでいる場合や、ほかの本とほとんど同じ内容の場合です。インターネットで集めた文章をつなぎ合わせただけの本や、パブリックドメインの作品をそのまま出しただけの本は、認められにくくなります。自分で書いた内容であることが分かるように、自分の経験や調べたことをもとに書きます。

売れないまま止まってしまう

出版してすぐに売れなくても、それで終わりではありません。電子書籍は一度出せば販売が続くので、2冊目、3冊目と本を増やすうちに、1冊目が読まれ始めることもあります。売上の数字だけを見て判断せず、内容紹介を書き直す、価格を見直す、続きの本を出す、といった手を1つずつ試していきます。

読まれる本にするための工夫

電子書籍は出版して終わりではありません。読者に見つけてもらい、読んでもらうための工夫を続けます。

テーマは狭く深く

電子書籍で読まれやすいのは、特定の悩みに具体的に答える本です。「仕事術」のような広いテーマより、「経理を初めて担当する人が、最初の3か月で覚える仕事」のように、読者と場面を絞った本のほうが、検索で見つけてもらいやすくなります。自分の仕事や暮らしの経験の中から、人によく聞かれることを書き出すと、テーマの候補が見つかります。

1冊より、シリーズで考える

1冊目で扱いきれなかった内容を2冊目、3冊目にまとめると、1冊目を気に入った読者が続けて読んでくれます。KDPのヘルプにはシリーズの作り方の案内もあるので、続けて出す予定があれば最初に目を通しておきます。最初から全体の構成を考えておくと、1冊ごとの内容が重ならず、読者にも分かりやすくなります。

出したあとに直す

電子書籍は出版後も原稿を差し替えられます。読者のレビューで分かりにくいと言われた箇所や、情報が古くなった箇所は、直して更新します。制度や料金のように変わりやすい情報を扱う本では、定期的に見直す日を決めておくと、古い情報のまま売り続けることを防げます。

電子出版の経験を、ほかの仕事につなげる

電子出版を続けると、文章を書く力に加えて、本の構成を考える力、表紙や内容紹介で読者に伝える力、原稿のデータを整える力が身につきます。これらは、ほかの仕事にも通じる技術です。

文章とデータを扱う仕事

電子書籍の原稿を整える作業は、文書やデータを扱う仕事の基礎になります。資格を取って在宅の仕事の幅を広げたい人は、在宅ワークに強い資格10選|自宅で稼げるスキルを身につけるで、自宅で生かしやすい資格を比べてみてください。また、AIの道具を使った執筆や校正の経験は、企業がAIを業務に取り入れる手伝いにも生きます。AIコンサル・業務活用支援のお仕事では、AIの使い方を企業に教えたり、業務に組み込んだりする仕事の内容を整理しています。

本を売る経験は、マーケティングに通じる

電子書籍の内容紹介やキーワードを工夫し、読者に見つけてもらう作業は、商品を売るためのマーケティングそのものです。どんな言葉で検索されるのか、どんな表紙なら手に取ってもらえるのかを試した経験は、企業の販促を手伝う仕事に生かせます。AI・マーケティング・セキュリティのお仕事では、デジタルマーケティングの戦略づくりなど、企業から求められている仕事の内容を紹介しています。

運営者として見てきたこと

在宅ワークとフリーランスの仲介を2004年から続けてきた運営者として見てきた限りでは、電子出版を長く続けている人ほど、本そのものの売上だけでなく、本をきっかけにした仕事のつながりを大事にしています。本を読んだ人から、同じテーマで原稿の執筆や監修を頼まれたり、社内の資料づくりを任されたりと、1冊の本が名刺のような役割を果たすことがあるからです。

そうした個別の依頼を受けるときは、仲介の費用がかからない形で直接やり取りできる場を持っておくと、依頼する側は同じ予算でより多くを頼め、受ける側は手取りが厚くなります。業務委託のマッチングサービスの中には、手数料0%で直接取引できるところもあり、本で示した知識を個別の仕事として受けたい人には選択肢の1つになります。電子出版で身につけた技術を生かせる仕事を探すときは、AIコンサル・業務活用支援のお仕事のような仕事の案内から、自分の経験と重なる分野を見つけていくと、次の一歩が具体的になります。

よくある質問

Q. 電子出版は個人でも費用をかけずにできますか?

AmazonのKindleダイレクト・パブリッシング(KDP)のように、個人がアカウントを作って自分で本を登録できる仕組みでは、出版そのものに費用はかかりません。売れた分だけロイヤリティが支払われます。ただし、表紙のデザインを依頼したり、素材を購入したりすると、その費用は自分で負担します。費用は確定申告の際に経費として扱える場合があります。

Q. KDPで電子書籍を出すとロイヤリティは何%ですか?

電子書籍ごとに35%と70%のプランから選べます。日本のKindleストアでは、35%のプランは99円から20,000円、70%のプランは250円から1,650円の範囲で価格を決めます。日本の読者への販売で70%を選ぶには、本をKDPセレクトに登録する必要があります。70%のプランでは、ファイルの大きさに応じた配信のコストが差し引かれます。

Q. 日本語の原稿はどの形式で作ればよいですか?

KDPではWord(DOC/DOCX)やEPUBなどの形式に対応しています。PDFが使えるのは英語やフランス語など一部の言語だけで、日本語は含まれていません。Kindle Createは日本語の文章中心の本に対応していないため、日本語の小説や実用書はWordかEPUBで作るのが現実的です。出版前にKindle Previewerで見え方を確かめます。

Q. AIを使って書いた本はKDPで出版できますか?

出版自体はできますが、AIで実際の文章や画像、翻訳を作った場合は、出版の手続きでAI生成の内容があることを申告する必要があります。表紙の画像をAIで作った場合も対象です。自分で書いた文章をAIで校正しただけの場合は申告は要りません。どちらの場合も、著作権などの権利やコンテンツガイドラインを守る必要があります。

この記事について

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年10月22日最終更新:2026年10月26日
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