電験三種の給料はいくらか|手当の相場と年収が動く条件

朝比奈 蒼
朝比奈 蒼
電験三種の給料はいくらか|手当の相場と年収が動く条件

この記事のポイント

  • ✓平均年収の数字ではなく業種別の構造から整理しました
  • ✓資格手当の相場と支給の条件
  • ✓選任と外部委託で報酬が変わる仕組み

電験三種の給料を調べると、350万円から500万円という数字と、1,000万円も可能という見出しが同じ検索結果に並びます。どちらも嘘ではありません。ただ、この2つは同じ職業の話をしていません。前者は資格を持って雇われている人の話で、後者は資格を使って事業をしている人の話です。この記事では、その間にどんな段差があるのか、そして自分がいまどの段にいるのかを、業種と働き方の構造から整理します。

平均年収の数字が調べるたびに変わる理由

主要な情報源の数字を並べてみます。ある資格講座の記事では平均350万円から500万円、求人を200件調べた記事では約400万円から450万円、別の講座では452.3万円から736.8万円という幅が示されています。知恵袋の回答では、20代前半の初任給で250万円前後、30代後半で350万円前後という現場感覚が語られています。

なぜこれほど割れるのか。理由は3つあります。

1つ目は、母集団が違うことです。求人票の提示額を集めた数字と、実際に働いている人の年収を集めた数字では、前者が高く出ます。求人は上限を大きく見せる書き方をするからです。

2つ目は、業種が混ざっていることです。ビルメンテナンス会社の保安担当と、電力会社の技術職と、製造業の工場設備担当では、給与テーブルの土台がまったく違います。同じ電験三種でも、所属する業界の平均給与に引っ張られるのが実態です。

3つ目は、資格を「持っているだけ」の人と「選任されている」人が混ざっていることです。この違いが最も大きい。電気事業法では、一定規模以上の電気工作物を持つ事業場に電気主任技術者を選任する義務があります。選任されている人は法的な責任を負っているぶん報酬に反映されますが、資格を持っているだけの人は、手当の月1万円を受け取って終わることが珍しくありません。

つまり、平均値を探すこと自体があまり意味を持ちません。見るべきなのは、自分が選任される立場に立てるかどうか、そしてどの業種の給与テーブルに乗るかです。

電気系の職種全体で収入がどのあたりに位置するのかを先に把握しておくと、提示された金額の良し悪しを判断できます。全国平均と都道府県別の水準をまとめた電気技術者の年収・単価相場を見ると、地域によって100万円前後の差があることが分かります。同じ求人でも、勤務地が変わると比較の基準が変わります。

資格手当は月1万円から2万円という現実

電験三種の資格手当は、月額1万円程度が相場です。太っ腹な会社でも2万円前後にとどまります。年額に直すと12万円から24万円です。

難易度に見合わないと感じる方が多いのは当然です。電験三種の合格率は例年10%台で推移し、科目合格制度を使って複数年かけて取る人も多い資格です。数百時間を投じた結果が月1万円では、割に合わないという感想になります。

ただし、手当の金額で資格の価値を測るのは筋が違います。手当は「資格を持っていること」への支払いであって、「資格を使って責任を負うこと」への支払いではないからです。報酬が本当に動くのは、選任を受けたときです。

選任には2つの形があります。1つは、自社の事業場に社員として選任される形。もう1つは、電気保安法人や個人の保安業者が、外部委託承認制度を使って複数の事業場の保安管理を請け負う形です。後者は1件あたりの委託費が発生し、契約数がそのまま収入になります。

さらに注意すべきは、手当の支給条件です。資格を持っているだけで支給する会社もあれば、選任されている期間だけ支給する会社もあります。求人票の「資格手当あり」という一行では区別がつきません。面接で「選任されていない場合も支給されますか」と確認してください。この一言で、入社後の見込みが変わります。

未経験の壁は、どこに立っているのか

資格を取ったのに高収入の求人が見つからない、という声には裏付けがあります。ある資格講座の記事では、次のように整理されています。

「電験三種を取得したのに、高収入の求人が少なかった」という声もあります。経験がある人が求められているため、未経験で条件がよい求人は多くありません。 電験三種の有資格者でも、未経験の場合は年収600万円程度が限界です。ただし実務経験が多く、独立している場合は年収1,000万円を超えている人もいます。 出典: u-can.co.jp

未経験で600万円が上限というのは、裏を返せば600万円までは資格だけで届くということでもあります。問題はその先です。

なぜ経験が求められるのか。電気主任技術者の仕事は、点検表にチェックを入れることではありません。受変電設備の異常の兆候を読み取り、停電させずに対処の段取りを組み、電力会社や工事業者と調整し、法定点検の記録を残す。この一連を自分の判断で回せるかどうかが問われます。判断の材料は、過去に見た故障の数で決まります。だから経験年数が値段になるわけです。

未経験からこの壁を越える道は3つあります。

1つ目は、実務経験を積める職場に最初から入ることです。ビルメンテナンス会社の中でも、高圧受電設備のある現場を持っている会社を選びます。求人票に「選任経験を積めます」と書いてある会社は、その意図で採用しています。

2つ目は、電気工事の現場を経験することです。第二種電気工事士を持って施工側を経験すると、設備の中身が体で分かるようになります。保安側に移ったときの理解の速さが違います。

3つ目は、認定校や実務経験による上位資格への接続を見据えることです。電験二種まで取ると、扱える設備の規模が上がり、求人の層が変わります。

業種別に、給料がどう組み上がるか

同じ電験三種でも、どの業界に身を置くかで到達点が変わります。主要な5つを比べます。

ビルメンテナンス業界は、入口として最も門戸が広い領域です。年収帯は350万円から500万円が中心で、宿直手当が乗る勤務形態も多くあります。設備全般を見るため、電気だけでなく空調や給排水の知識も身につきます。ただし給与テーブルの上限は低めで、現場責任者になっても600万円台が見えるところです。

製造業の工場設備部門は、受変電設備の管理に加えて生産設備の保全を担います。大手メーカーであれば給与テーブル自体が高く、年収600万円台から700万円台も現実的です。ただし採用枠が狭く、経験者を求める傾向が強い。

電気保安法人は、外部委託を受けて複数の事業場を巡回する形です。担当件数と移動距離が業務量を決めます。年収帯は400万円台から600万円台ですが、独立を見据えた経験を積む場所としては最短です。

再生可能エネルギー関連は、太陽光発電所の保安管理が中心です。案件数が伸びている領域で、地方の遠隔地を複数受け持つ形態もあります。

データセンターは、近年最も条件がよくなっている領域です。無停電が絶対要件のため設備が冗長化されており、そのぶん管理の質が問われます。給与水準は他業種より一段高く設定されることが多い。サーバーや電源設備を扱う現場の仕事の中身はサーバー・インフラ構築・保守のお仕事にまとまっており、電気と情報の両方が分かる人材が求められていることが読み取れます。

建物側の設備設計に関わる道もあります。図面から設備の配置を読む仕事の性質は建築・インテリア・図面デザインのお仕事を見ると分かりますが、保安管理の経験者が設計側の相談に乗る形は、単価が上がりやすい働き方です。

年代と経験年数で、提示額はどう動くか

この職種の給与曲線は、年齢ではなく経験年数に連動します。ただ、業界の慣習として節目があるため、目安を置いておきます。

20代は、250万円台から350万円台が中心です。この時期に受け取る金額は、正直なところ将来の年収とほとんど関係がありません。決定的なのは、高圧受電設備のある現場に配属されているかどうかです。低圧の設備しかない現場で3年過ごすと、資格は持っているのに語れる経験がない状態になります。配属先を選べる立場にないとしても、社内で現場の異動希望を出し続ける価値はあります。

30代前半は、350万円台から450万円台が目安です。選任を受けたかどうかで分かれ始めます。選任経験があると、転職市場での提示額が一段上がり、保安法人からの引き合いも来ます。まだ選任されていないなら、この年代のうちに動くのが得策です。

30代後半から40代は、この職種で最も幅が広がる時期です。年次点検の停電作業を主担当として仕切った経験、事故対応の実績、複数事業場の管理経験。これらが積み上がっていれば500万円台から600万円台が見えます。積み上がっていなければ、20代と同じ仕事を続けることになります。

50代以降は、経験が最も値段になります。故障の兆候を音や温度で気づける、電力会社との協議の勘所を知っている、若手を育てられる。こうした部分は短期間では身につかないため、独立でも再就職でも評価されます。ただし、夜勤や高所作業といった体力面の負担が重い働き方は続けにくくなるため、40代のうちに知識で勝負できる領域を持っておくかどうかが分かれ道になります。

雇用形態による差も押さえておきます。正社員は年収の安定度が高く、契約社員や嘱託は選任のために短期で雇われる形が多い。後者は時給換算では高くても、契約が切れれば終わりです。派遣の場合は選任責任の所在が複雑になるため、契約内容を必ず確認してください。

電気工事士との違いを、収入の観点から整理する

電験三種と第一種電気工事士は、よく比較されます。ある調査では電験三種の平均が約400万円から450万円、電気工事士が約400万円から500万円とされており、水準そのものは大きく変わりません。難易度は電験三種の方が明確に高いのに、です。

この逆転が起きる理由は、収入の源泉が違うからです。電気工事士は施工という作業に対して報酬が発生します。手を動かした分だけ売上が立ち、繁忙期には残業代も乗ります。一方、電気主任技術者は保安という状態の維持に対して報酬が発生します。何も起きない月も報酬は同じです。

ではどちらが有利なのか。短期的には電気工事士、長期的には電験三種です。工事の仕事は年齢とともに体力の制約を受けますが、保安管理は経験が積み上がるほど任される規模が大きくなります。そして独立したときの収入の上限は、電験三種の方が高くなりやすい。外部委託は契約が継続するため、ストック型の収入になるからです。

実際には、両方持っている人が最も強い立場にいます。施工が分かる保安担当は、工事業者への指示が具体的になり、見積もりの妥当性も判断できます。逆に保安が分かる工事担当は、設計段階から将来の保守性を考えた提案ができます。どちらかを持っているなら、もう一方を足す価値は十分にあります。

年収が上がらない人に共通する3つのこと

現場で長く見ていると、資格取得後に止まる人には共通の型があります。

1つ目は、資格を取った場所にそのまま留まることです。いまの会社に電験三種を必要とする設備がないなら、資格は永遠に手当のままです。持っていることと、使える場所にいることは別の話です。設備がない職場で「いつか評価されるだろう」と待っても、評価する材料が発生しません。

2つ目は、選任を避けることです。選任されると法的な責任が発生します。事故が起きれば責任を問われる立場になるため、引き受けたがらない人は一定数います。しかし報酬が動くのは責任を引き受けた瞬間からです。責任を取らない働き方を選び続けるなら、手当の範囲が上限になります。

3つ目は、人と話す部分を軽視することです。この仕事は電力会社との協議、工事業者への指示、経営側への設備投資の説明が日常的に発生します。ある資格講座も次のように書いています。

電験三種取得による知識や技能だけでは、年収1,000万円を目指すのは難しいでしょう。企業で働く場合、通常、マネジャーや現場責任者としての能力を評価され、高い地位に就くことではじめて実現可能です。 電験三種の有資格者は電力会社などと交渉する機会も多いため、専門知識だけでなく対人的な能力も育てていきましょう。 出典: u-can.co.jp

技術で入って、判断と調整で上がる。これがこの職種の給与曲線の形です。

年収を上げる5つの手を、順番に並べる

順序が大事です。効果の出る順に並べます。

第一に、選任される立場に移ること。いまの職場で選任の予定がないなら、選任させてくれる職場に移ります。これが最も短い距離です。

第二に、実務経験の年数を積むこと。5年を境に求人の層が変わります。3年で転職を繰り返すより、5年を1社で積んだほうが、その後の提示額が伸びやすい。

第三に、扱う設備の規模を上げること。同じ保安管理でも、キュービクル1台の事業場と、特別高圧の受電設備を持つ工場では、任された事実の重みが違います。職務経歴書に書ける設備の規模が、そのまま単価になります。

第四に、上位資格と周辺資格を足すこと。電験二種は扱える電圧の上限を広げます。エネルギー管理士は省エネ法の選任要件に接続します。消防設備士や第一種電気工事士は、現場の守備範囲を広げます。制御や自動化の領域に踏み込むなら、情報系の基礎知識も役に立ちます。基礎の全体像を確認するならITパスポートの資格ガイドが土台になります。

第五に、独立して外部委託を受けること。ここだけは収入の構造が変わります。次の節で詳しく見ます。

独立した場合、収入はどう作られるか

電験三種で年収1,000万円という話が出てくるのは、ほぼこの領域です。

仕組みはこうです。自家用電気工作物を持つ事業場は電気主任技術者を選任する義務がありますが、一定の条件を満たす場合、外部の有資格者に保安管理を委託することが認められています。これが外部委託承認制度です。委託を受ける側は、1件あたり月額の委託費を受け取り、定期的に巡回点検を行います。

収入は単純な掛け算です。1件あたりの月額に契約件数を掛ける。だから件数を増やせば増えますが、増やすほど巡回の移動時間が増えます。実際には担当できる件数に上限があり、移動距離とエリアの密度が収入の天井を決めます。

独立に必要なものは3つです。実務経験の年数、経済産業局への手続き、そして測定器などの設備投資です。経験年数の要件があるため、資格を取ってすぐに独立することはできません。保安法人に数年在籍して要件を満たしてから、という順序になります。

独立の難しさは技術ではなく営業にあります。委託先をどう見つけるか。多くは、前職のつながり、設備業者からの紹介、地域の同業者からの引き継ぎです。ゼロから飛び込みで取るのは現実的ではありません。だから、在籍中に人間関係を丁寧に作っておいた人が独立後に困りません。

需要の側で、いま何が起きているか

給料の話をするなら、需要が増えているのか減っているのかを見ておく必要があります。この職種については、増える側の材料がいくつか揃っています。

第一に、有資格者の高齢化です。電気主任技術者は長く同じ会社に勤める人が多く、選任されている層の年齢構成が上に偏っています。退職が進むにつれ、選任の担い手が足りなくなる事業場が出てきます。

第二に、太陽光発電所の増加です。一定規模以上の発電設備には電気主任技術者の選任または外部委託が必要で、この十数年で対象となる設備が大きく増えました。地方の遠隔地に点在するため、巡回できる人材が限られるという事情もあります。

第三に、データセンターの建設です。電力を大量に消費し、かつ停電が許されない施設が増えています。受電設備の規模が大きく、冗長構成の管理には相応の技術が要るため、経験者への引き合いが強い領域になっています。

第四に、省エネと電力コストへの関心です。電気料金の水準が上がると、設備の運転を見直して消費を抑えられる人材の価値が上がります。ここはエネルギー管理士との組み合わせが効く領域です。

ただし、需要が増えることと給料が上がることは自動的には結びつきません。人手が足りない領域ほど、一人あたりの担当件数を増やして対応する動きが出るからです。担当件数が増えても報酬が変わらないなら、それは条件が悪化しています。需要の増加を自分の収入に変えるには、引き受ける件数ではなく、引き受ける責任の重さで交渉する必要があります。

求人票で提示額の中身を見抜く

転職で年収を上げようとするとき、求人票の年収欄だけを比べると判断を誤ります。この職種で確認すべき項目は6つあります。

1つ目は、選任の予定です。「電験三種必須」と書いてあっても、選任するとは限りません。監督官庁への届出に必要な人数を確保するためだけの募集なのか、実際に主任技術者として立たせる募集なのか。ここが年収の伸び方を決めます。

2つ目は、扱う設備の規模と種類です。受電容量、高圧か特別高圧か、自家発電設備の有無、担当する事業場の数。求人票に書かれていなければ面接で聞きます。規模が大きいほど、その経験は次の転職で効きます。

3つ目は、勤務形態です。宿直や当直が入るか、緊急呼び出しの当番があるか。年収500万円でも、月4回の宿直と緊急対応の待機が含まれるなら、実質の時給は大きく下がります。

4つ目は、みなし残業の時間数です。設備トラブルは時間を選ばないため、残業の実態と固定残業手当の設定は必ず確認します。

5つ目は、資格手当の支給条件です。前に触れたとおり、保有で出るのか選任で出るのかで意味が変わります。

6つ目は、移動距離です。特に保安法人の場合、担当エリアの広さが1日の使い方を決めます。年収が同じでも、片道2時間の現場を複数持つ働き方と、30分圏内に収まる働き方では、生活の質が変わります。

この6つを3社分並べて比べると、額面の順位と実質の順位が入れ替わることがよくあります。年収欄だけで落とした会社の方が、時間でも経験でも有利だった、というのは珍しくありません。

資格取得にかかる費用と、戻るまでの期間

受験を検討している段階なら、費用の全体像を押さえておくと決断が速くなります。

受験手数料はインターネット申込で7,700円、書面申込で8,100円です。教材は独学なら4科目分のテキストと問題集で2万円から3万円、通信講座なら5万円台から10万円台、通学講座は20万円を超えることもあります。電験三種は年2回実施される形になっており、科目合格を持ち越しながら複数年で仕上げる人が多いため、受験手数料は1回では終わらない前提で見ておくのが現実的です。

戻る側を見ます。資格手当が月1万円なら年12万円。独学ルートなら2年から3年で回収できます。ただし、前述のとおり本当の回収は手当ではなく、選任される立場に移ったときの基本給の差で起きます。選任を条件に転職して年収が50万円上がるなら、教材費は最初の1年で問題にならなくなります。

学習時間の目安は、電気の基礎知識がない方で1,000時間前後、工業高校や高専で電気を学んだ方なら500時間程度です。4科目それぞれに性格があり、理論は計算力、電力と機械は範囲の広さ、法規は暗記が中心になります。理論を先に固めると他の科目の理解が速くなるため、着手の順序は理論からが定石です。

社会人が続けるコツは、机に向かう時間を待たないことです。移動中に法規の条文を読む、休憩中に過去問を1問解く。この積み上げが効きます。1回で4科目を狙って全滅するより、今年は理論と法規、来年は電力と機械、と決めてしまった方が結果が出ます。

市場を長く見てきた立場からの観察

20年この市場を見てきた立場から言うと、技術者の収入が伸びる分かれ目は、技術力そのものより「頼まれ方」にあります。

異常が起きてから呼ばれる人と、設備投資を検討する段階で相談される人。後者は単価の交渉が起きにくく、契約も切れにくい。運営者として見てきた限りでは、長く安定している人ほど、点検の報告書に「今年は問題なし」とだけ書くことをしません。どの部位があと何年で更新時期に入るか、そのとき費用がいくらかかるかを添える。この一手間が、次の相談につながっています。

もう一つ、報酬の構造にも触れておきます。同じ保安管理の業務でも、元請けから二次請け、三次請けと流れる形だと、発注側が払った金額と受け手に届く金額の差が大きく開きます。中間マージンが乗らない直接の取引なら、依頼する側は同じ予算でより手厚く頼めて、受ける側は手数料0%のぶん手取りが厚くなります。独立を考えている方ほど、単価表を眺める前に、誰から誰へ金が流れているのかを確かめる価値があります。

いまの自分の位置から、次に何をするか

最後に、状況別の一歩を整理します。

これから受験する方は、科目合格制度を前提に計画を立ててください。理論、電力、機械、法規の4科目で、合格した科目は一定期間持ち越せます。1年で4科目を狙って全滅するより、2年計画で確実に積む方が結果が出やすい。学習時間の目安は合計1,000時間前後とされますが、電気の基礎がある方はこれより短くなります。

資格を持っていて選任されていない方は、社内で選任の予定があるかを確認してください。予定がないなら、それは能力の問題ではなく環境の問題です。高圧受電設備のある現場を持つ会社へ移る方が、社内で待つより早く収入が動きます。

すでに選任経験がある方は、職務経歴書に設備の規模と容量を具体的に書いてください。「ビル管理」ではなく「受電容量2,000キロボルトアンペアのキュービクル、年次点検の停電作業を主担当として5年」と書く。この解像度で書けるかどうかで、提示額が変わります。

独立を検討している方は、経済産業局が公開している外部委託承認の要件を先に読んでください。必要な実務経験年数と設備の要件が明記されています。要件を満たす年がいつ来るのかを数えて、そこから逆算して準備を始めるのが確実です。

電験三種は、給料を自動的に上げてくれる資格ではありません。責任を引き受けられる場所に移るための入場券です。券を持ったまま入場しないでいるのが、いちばんもったいない使い方です。

よくある質問

Q. 電験三種の平均年収はいくらですか?

公開されている数字は350万円から500万円、求人調査では約400万円から450万円という幅があります。数字が割れるのは、母集団に求人の提示額と実際の年収が混ざっていること、ビルメンテナンスと製造業と電力会社で給与テーブルが違うこと、そして資格を持っているだけの人と選任されている人が混ざっていることが理由です。

Q. 電験三種の資格手当はいくらですか?

月額1万円程度が相場で、高い会社でも2万円前後です。年額では12万円から24万円になります。ただし支給条件が会社によって異なり、資格を持っているだけで出る会社と、選任されている期間だけ出る会社があります。面接で「選任されていない場合も支給されるか」を確認してください。

Q. 電験三種で年収1,000万円は可能ですか?

可能ですが、雇われている状態では難しいです。企業勤務の場合は、資格だけでなくマネジャーや現場責任者としての能力を評価されて高い地位に就いた場合に届く水準です。現実的な道は、外部委託承認制度を使って独立し、複数の事業場の保安管理を受託する形です。ただし独立には実務経験年数の要件があります。

Q. 未経験で電験三種を取っても意味がありますか?

意味はありますが、資格だけで届く上限はおよそ600万円程度とされています。企業が求めているのは資格そのものではなく、受変電設備の異常を判断し、停電の段取りを組み、電力会社や工事業者と調整できる経験です。高圧受電設備のある現場を持つ会社に入り、選任の経験を積める環境を選ぶことが最短の道になります。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年2月20日最終更新:2026年9月24日
朝比奈 蒼

この記事を書いた人

朝比奈 蒼@SOHO編集部

ITメディア編集者

IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。

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