個人でのクラウドファンディングのやり方|企画づくりから支援を集めるまで


この記事のポイント
- ✓クラウドファンディングやり方個人の全体像を
- ✓手数料の実額と表示のルールまで含めて整理します
- ✓CAMPFIREとMakuakeの手数料
個人でクラウドファンディングを始めたいと考えて調べ始めると、「誰でもできます」という案内と「成功率は3割です」という記事が同時に出てきて、判断がつかなくなります。この記事は、手続きの手順だけでなく、手数料の実額、目標金額の決め方、守らなければならない表示のルール、税金の扱いまでを通しで整理します。結論を先に書くと、個人が現実的に使えるのは購入型と寄付型の2つ、手数料はプラットフォームによって実質17%から22%、そして成否を分けるのは公開後の宣伝ではなく公開前の準備です。この記事を読み終えたときに、自分の企画が成り立つかどうかを自分で判定できる状態を目指します。
4つの型のうち個人が使えるのはどれか
クラウドファンディングは、資金の出し手が何を受け取るかで4つの型に分かれます。まずここを整理しないと、選ぶプラットフォームを間違えます。
購入型は、支援した人が商品やサービス、体験といったリターンを受け取る形です。法律上の位置づけは通信販売に近く、実質的には予約販売として扱われます。個人がもっとも使いやすいのがこの型で、CAMPFIRE、Makuake、GREEN FUNDING といったサービスが対応しています。
寄付型は、支援した人が原則としてリターンを受け取らない形です。災害支援、動物の保護、医療費の支援、地域の活動などに使われます。お礼の手紙や活動報告を送ることはありますが、金銭的な価値のあるものを返さないのが基本です。
融資型(貸付型)は、支援した人が利息を受け取る形です。金融商品取引法や貸金業法の規制がかかるため、資金を集める側も事業者として一定の要件を満たす必要があります。個人が思いつきで使える仕組みではありません。
株式投資型は、支援した人が未公開株を受け取る形です。株式を発行するので、法人(株式会社)でなければ利用できません。金融商品取引法の規制のもとで、少額電子募集取扱業務として運営されています。
つまり個人が実際に選ぶのは購入型と寄付型です。この2つの違いは「リターンを返すかどうか」だけではなく、税金の扱いと守るべき表示のルールまで変わります。詳しくは後の節で説明します。
型を選ぶ基準はシンプルです。作るものや売るものが決まっていて、支援した人に渡せるなら購入型。活動そのものに賛同を集めたいなら寄付型。迷ったら購入型を選ぶほうが、支援が集まりやすい傾向があります。何かを受け取れるほうが、参加の理由が分かりやすいからです。
手数料の実額を確かめる
「手数料は約20%」という説明をよく見かけますが、内訳が違うので実額を確かめておきます。
CAMPFIREの場合、利用手数料と決済手数料が分かれています。公式のヘルプページの表では、CAMPFIRE本体が利用手数料12%と決済手数料5%で、どちらも別途消費税がかかります。合計すると17%に消費税が乗る形です。同じ会社が運営する machi-ya は利用手数料20%と決済手数料5%、CAMPFIRE Community は利用手数料15%で決済手数料なしという体系になっています。
CAMPFIREの各サービスへの掲載手数料として、プロジェクトが成立(All-or-Nothing 方式で目標金額を達成、もしくは All-in 方式で支援金が1円以上)した場合、プロジェクトオーナーは、集まった支援総額に対する下表の料率に消費税を加えた額をCAMPFIREにお支払いいただきます。 出典: help.camp-fire.jp
Makuake の場合は、決済手数料が手数料の中に含まれています。公式の料金ページでは、集まった金額(応援購入総額)に対して20%(税抜・決済手数料込み)とされており、税込にすると22%です。掲載そのものは無料の成功報酬制で、All-or-Nothing 型で目標金額に届かなかった場合は手数料も発生しません。入金は、プロジェクト終了月の翌月25日という案内になっています。
ここから計算すると、100万円が集まった場合に手元に入るのは、CAMPFIRE 本体なら約81万円、Makuake なら78万円です。そこからリターンの原価と発送費を引くので、実際に手元に残る金額はさらに小さくなります。目標金額を決めるときは、この差し引きを先に計算してください。
手数料のほかに見落としやすい費用が2つあります。1つは、やむを得ない事情でプロジェクトの募集をキャンセルする場合のキャンセル手数料です。もう1つは、リターンの制作を外注する場合の前払いです。支援金が入るのはプロジェクト終了後なので、それまでの制作費は自分で立て替えることになります。
プラットフォームを選ぶときに比べる4つの点
購入型のサービスは複数あり、手数料だけで選ぶと後で困ります。比べる観点を整理します。
1つめは審査と掲載までの日数です。プラットフォームによって、申込みから公開までに数日で済むところと、担当者との打ち合わせを経て1か月以上かかるところがあります。時期に合わせて公開したい企画なら、申込みの何日前から動くべきかを先に確認してください。Makuake は実行者ごとに担当キュレーターが付いて伴走する形を取っており、プロジェクトの設計や広報の相談が手数料の中に含まれています。手数料が高めに見えても、初めて世に出す企画では相談できる相手がいることが効きます。
2つめは集まっている利用者の層です。新しい商品やガジェット、食品などの物販が強いところ、社会的な活動や地域のプロジェクトが集まるところ、クリエイターの作品や継続的な支援に向いたところと、性格が分かれています。自分の企画と近い成立事例が並んでいるかを、公開されているプロジェクト一覧で確かめます。同じジャンルで成立した企画のページを5件ほど読むと、金額の水準、リターンの構成、写真の使い方が見えてきます。
3つめはサポートの範囲です。ページの作り方の相談に乗ってくれるか、写真や文章の改善を提案してくれるか、メディアへの紹介をしてくれるか。手数料の内訳を見るときは、この部分にいくら払っているのかという見方をすると判断しやすくなります。
4つめは入金の時期と方法です。プロジェクト終了から入金までの日数は、プラットフォームによって差があります。制作費の支払いの時期と合わない場合、その間の資金を自分で用意する必要があります。ここは公開前に必ず確認してください。
なお、審査で通らない企画もあります。禁止されている商材、許可が必要なのに取っていない事業、実現の見通しが立っていない企画などです。断られた場合は、内容を直して再度申込むか、別のプラットフォームで相談します。断られた理由には、公開しても集まらないという判断が含まれていることが多いので、理由を聞いて企画に反映するほうが結果的に得です。
All-or-Nothing と All-in の違い
購入型のプロジェクトを始めるとき、最初に選ぶのがこの方式です。結果に大きく影響するので、違いを正確に押さえます。
All-or-Nothing は、目標金額に達した場合だけプロジェクトが成立する方式です。達しなければ支援金は支援者に返され、手数料も発生しません。リターンを届ける義務も発生しません。
All-in は、目標金額に達しなくても集まった金額を受け取る方式です。1円でも集まれば成立し、集まった金額に応じた手数料が発生し、支援してくれた人にリターンを届ける義務も生じます。
選び方の基準は、リターンを届けるために必要な最低ラインがあるかどうかです。金型を作らなければ商品ができない、最低ロットが100個からという事情がある場合は、All-or-Nothing を選びます。目標に届かないまま10個分の支援だけ受け取ってしまうと、原価が合わずに自腹を切ることになります。
逆に、集まった金額に応じて量を調整できる企画、たとえば自分の手で作れる制作物や、参加人数に応じて規模を変えられるイベントなら、All-in でも成り立ちます。
実務でよく起きる失敗は、All-in を選んでおいて目標の3割しか集まらず、リターンの原価と発送費で赤字になるパターンです。All-in を選ぶなら、「支援が1件しか来なくても赤字にならないか」を先に計算してください。この計算をしておけば、方式の選択で迷うことはなくなります。
企画は4つの問いに答えられるかで決まる
プラットフォームの選び方より前に、企画そのものが成り立つかを点検します。次の4つに具体的に答えられるかどうかが判定基準です。
1つめは「何を作るのか」です。完成形が想像できる具体性が必要です。「地域を元気にしたい」では支援の理由になりません。「廃校になった小学校の教室を、地元の木材を使った作業場に改装する」なら、何にお金が使われるかが見えます。
2つめは「誰に届くのか」です。支援してくれる人の顔が思い浮かぶかどうかです。クラウドファンディングは、不特定多数に広く呼びかけて集まるものではありません。実際に集まる支援の多くは、もともとつながりのある人か、その人から紹介された人です。だから「この企画を知ったら支援してくれそうな人を30人挙げられるか」という問いに答えられないなら、企画より先に関係を作る段階です。
3つめは「いくら必要なのか」です。積み上げで出せる必要があります。次の節で詳しく説明します。
4つめは「なぜ今なのか」です。締め切りがある理由が必要です。「来春の開店に間に合わせるため」「この材料が手に入るのが今年だけのため」といった事情があると、支援を先送りされません。理由がないと、応援したい気持ちがあっても今日は支援しないという選択になります。
クラウドファンディングは、インターネット上でプロジェクトを公開し、魅力を感じた人に支援者になってもらい、資金を調達する方法です。 出典: freee.co.jp
この4つに答えが出たら、企画書として1枚に整理できます。プラットフォームの担当者に相談するときも、この1枚があれば話が早く進みます。
目標金額は積み上げで決める
目標金額の決め方でつまずく方が多いので、計算の順番を示します。切りのよい数字から決めると、ほぼ失敗します。
第一に、実際に必要な費用を全部並べます。材料費、設備費、外注費、場所の費用、許可の申請費用。ここは見積りを取って実額で出します。
第二に、リターンの原価を足します。支援者に渡す物の材料費と制作費です。支援者の人数が増えるほど増える費用なので、1人あたりの単価で出しておきます。
第三に、発送費を足します。宅配便の送料、梱包材、伝票。ここを忘れると赤字の原因になります。1件あたり数百円から千円台になるため、100人に届けるなら数万円から十数万円です。
第四に、手数料を上乗せします。CAMPFIRE 本体なら17%に消費税、Makuake なら22%です。ここが重要な点で、手数料は集まった総額に対してかかります。だから「必要な金額÷(1−手数料率)」で逆算します。必要な金額が80万円で手数料が22%なら、80万円÷0.78で約103万円が目標金額です。
第五に、予備費を積みます。想定外の値上がり、作り直し、発送のトラブル。全体の1割を見ておくと安心です。
この積み上げで出した金額が、自分が集められそうな範囲を大きく超えている場合は、企画の規模を小さくします。目標を下げるのではなく、やることを減らすのが正解です。目標だけ下げると、達成しても資金が足りず、リターンを届けられません。
公開前の準備で結果の大半が決まる
クラウドファンディングで一番誤解されているのが、公開してから宣伝を始めればよいという考え方です。実際には逆で、公開初日に動くかどうかで最後まで決まります。
理由は仕組みにあります。プラットフォームのトップページや特集に載るかどうかは、公開直後の伸び方に左右されます。初日に支援が入って上位に表示されれば、そこから新しい支援者が来ます。初日に動かなければ、埋もれたまま終わります。
だから公開前にやることは、告知の準備です。順番で示します。
公開の1か月前から、企画の内容を周囲に話し始めます。SNSで「こういうことを準備している」と経過を出します。完成してから発表するのではなく、作っている途中を見せます。
公開の2週間前に、支援してくれそうな人へ個別に連絡します。一斉送信ではなく、1人ずつです。「この日に公開するので、初日に見てもらえると助かります」と伝えます。30人に連絡して10人が初日に動けば、最初の勢いが作れます。
公開の1週間前に、ページの内容を仕上げます。写真、文章、リターンの一覧、スケジュール。公開してから直すこともできますが、初日に来た人が判断できる状態にしておく必要があります。
公開の当日は、朝に告知を出します。そして支援が入ったら、その日のうちに個別にお礼を伝えます。ここを丁寧にやると、その人が周囲に紹介してくれます。
公開中の運営と、中だるみへの手当て
公開期間は30日から60日が一般的です。この期間の支援の入り方には型があり、最初の3日と最後の3日に集中し、中間が落ち込みます。この中だるみへの手当てを先に用意しておきます。
活動報告を定期的に出します。週1回でも構いません。内容は進捗そのもので、「材料の仕入れ先が決まりました」「試作の1回目ができました」といった報告です。活動報告は支援者に通知が届くので、その人が周囲に共有するきっかけになります。
リターンを途中で追加する手もあります。最初に用意したリターンで反応が薄い価格帯があったら、新しい選択肢を追加します。3,000円と1万円の間が空いているなら、5,000円の枠を追加します。ただしプラットフォームによって公開後の変更に制限があるので、事前に確認してください。
達成した場合の次の目標を示す手法もあります。目標金額に達した後で「ここまで集まったら追加でこれをやります」と示すと、達成後も支援が続きます。この次の目標は、最初から用意しておくほうが慌てません。
やってはいけないのは、支援を急かす文面を繰り返すことです。同じ内容を何度も流すと、見る人が離れます。出すのは進捗であって催促ではありません。
終わってからが本番になる
プロジェクトが成立したら、そこから実行の段階です。ここでつまずくと、次の企画ができなくなります。
まず入金の時期を確認します。Makuake の場合、プロジェクト終了月の翌月25日という案内になっています。プラットフォームによって時期が違うので、制作費の支払いのタイミングと合うかを先に確かめます。合わない場合は、立て替えの資金を用意しておく必要があります。
次に、リターンの制作と発送です。ここで起きるトラブルは、ほとんどが遅れです。材料が入らない、作業が想定より時間がかかる、発送の手配が追いつかない。遅れそうだと分かった時点で、活動報告で状況と新しい予定を伝えます。黙って遅れるのが一番よくありません。支援者が怒るのは遅れたことより、連絡がないことです。
発送の実務では、住所の不備と再配達が想定以上に発生します。100件を発送すれば数件は届きません。予備の在庫と、再送の費用を見込んでおきます。
そして完了の報告をします。届いたかどうかの確認、使われている様子の共有、次の予定。ここまでやると、次の企画のときに同じ人が支援してくれます。クラウドファンディングは1回で終わる資金調達ではなく、支援者との関係を作る仕組みだと考えると、この最後の工程の意味が分かります。
守らなければならない表示のルール
購入型のクラウドファンディングは、実質的に通信販売として扱われます。だから表示のルールがかかります。ここを知らずに始めると、後から指摘を受けます。
特定商取引法の第11条は、通信販売の広告に表示しなければならない事項を定めています。商品や権利の販売価格または役務の対価(送料が含まれない場合は販売価格と送料の両方)、代金の支払いの時期と方法、商品の引渡時期または役務の提供時期、申込みの期間に関する定めがあるときはその内容、申込みの撤回または解除に関する事項です。プラットフォームの入力欄がこれらを網羅していることが多いのですが、空欄のまま公開できてしまう項目もあります。リターンの発送予定時期と、キャンセルできるかどうかは必ず書いてください。
景品表示法もかかります。実際より良く見せる表示(優良誤認)と、価格や取引条件を有利に見せる表示(有利誤認)は禁じられています。「業界初」「世界最軽量」といった表現を使う場合、根拠を示せる状態にしておく必要があります。根拠がないまま書くと問題になります。
ステルスマーケティングの規制も押さえます。令和5年10月から、事業者が自分の広告であることを隠して第三者の感想のように見せる表示が景品表示法の不当表示に位置づけられました。知人に依頼して支援と感想を投稿してもらう場合、依頼であることを明示する必要があります。金銭のやり取りがなくても、依頼して書かせたものは対象になります。制度の内容は消費者庁のステルスマーケティングに関する情報のページで確認できます。
食品を扱う場合は食品表示法と営業許可、化粧品は薬機法、酒類は酒税法の許可が関わります。物を作って売る企画では、その分野の許可が必要かどうかを先に確かめてください。
寄付型を選ぶときに気をつける点
寄付型は、リターンを用意しなくてよいので手間が少なく見えます。実際には別の難しさがあるので、選ぶ前に押さえておきます。
第一に、支援の理由づけが難しくなります。購入型なら「この商品が欲しい」という動機で支援が入りますが、寄付型は共感だけが動機です。だから活動の内容と、集まったお金が何に使われるかを、購入型より丁寧に示す必要があります。医療費の支援なら見積りの内訳、動物の保護なら頭数と1頭あたりの費用、地域の活動なら会場費や材料費の内訳。数字で示せるかどうかで結果が変わります。
第二に、使途の報告義務が重くなります。支援者は物を受け取らないので、お金が実際にどう使われたかが唯一の成果です。終了後に領収書の写しや写真を添えた報告を出すことを前提に、記録を残しながら進めてください。
第三に、税金の扱いが購入型より複雑です。個人が個人から受け取る寄付は贈与税の対象になり得ます。年間110万円の基礎控除があるので、それを超える部分が課税の対象です。目標金額が110万円を超える企画では、公開前に税理士に相談しておく価値があります。法人が寄付を集めて税制上の優遇を受ける形もありますが、個人の場合はその枠組みが使えません。
第四に、寄付を募る行為そのものに規制がかかる場合があります。街頭での募金には自治体の条例が関わることがあり、宗教や政治に関わる活動には別の規制があります。オンラインのみで完結する場合は問題になりにくいのですが、企画の性質によっては事前に確認が必要です。
寄付型が向いているのは、金銭的なリターンを返す余裕がないほど切迫している状況か、リターンを返すこと自体が活動の趣旨に合わない場合です。それ以外なら、購入型でお礼の品を用意するほうが支援が集まりやすく、使途の説明も軽くなります。
税金の扱いを型ごとに押さえる
集まった資金の税金の扱いは、型によって変わります。ここは判断が分かれる部分があるので、断定を避けつつ考え方を整理します。
購入型は、リターンの対価として受け取るお金なので、売上として扱われます。事業として継続的に行っているなら事業所得、単発なら雑所得として確定申告の対象になります。経費として認められるのは、リターンの原価、発送費、プラットフォームの手数料などです。集まった総額から手数料を引いた金額が入金されますが、税務上は総額を収入として計上し、手数料を経費に立てる形になるのが一般的です。
消費税については、購入型が課税取引に当たるという整理が示されています。国税庁の税務大学校の論文では、購入型はプロジェクトへの金銭の拠出とリターンの受取りに明確な対価性が認められるため、反復、継続、独立して行われる限り、金額の多寡にかかわらず消費税法上の事業に該当し課税取引になるとされています。いっぽう寄付型は対価性が認められない場合には事業に該当せず、消費税の対象外という整理です。
寄付型は、個人が個人から受け取る場合に贈与税の対象になる可能性があります。年間110万円の基礎控除があるため、それを超える部分が課税対象です。法人から個人への寄付は一時所得として扱われることが一般的です。いずれも金額と事情によって扱いが変わるため、必ず税務署または税理士に確認してください。
インボイス制度との関係も出てきます。課税事業者として登録している場合、リターンに対する請求の扱いや、プラットフォームの手数料に係る仕入税額控除の処理が関わります。登録していない場合でも、年間の売上が1,000万円を超えれば翌々年から課税事業者になります。
この記事は制度の一般的な説明であり、個別の税務の判断を保証するものではありません。金額が大きくなる企画では、公開前に税理士に相談しておくと後の処理が楽になります。
資金を集める前に収入の土台を作る選択
クラウドファンディングを検討する理由が「資金がないから」である場合、順番を考え直す価値があります。手数料が17%から22%かかり、リターンの制作と発送の手間が発生し、支援者への報告義務が続きます。集めた金額のすべてが自由に使えるわけではありません。
必要な金額が数十万円の規模なら、在宅で仕事を受けて自分で作るほうが早い場合があります。市場の相場を知っておくと、判断の材料になります。文章に関わる仕事の相場は著述家,記者,編集者の年収・単価相場で確認できます。技術的な仕事の相場はソフトウェア作成者の年収・単価相場に整理されています。どちらも担当する範囲によって単価の幅が大きいことが読み取れます。
在宅で始めやすい仕事の種類を知るには、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事に業務の内容が整理されています。事業の課題からAIの使い方を設計する仕事ならAIコンサル・業務活用支援のお仕事、物を作る仕事ならアプリケーション開発のお仕事で、それぞれ必要なスキルと仕事の形が分かります。
在宅の仕事を始めるときに効く資格を先に押さえておく道もあります。在宅ワークに強い資格10選|自宅で稼げるスキルを身につけるには、在宅の仕事につながりやすい資格が整理されています。働く環境を整えておくことも、公開期間中の運営を続けるうえで効いてきます。
クラウドファンディングが向いているのは、資金が足りないときではなく、支援者との関係を作りたいときです。作ったものを届ける相手を先に見つけたい、企画に共感してくれる人を集めたい。そういう目的なら、手数料を払う意味があります。
集まるかどうかは公開前の関係の量で決まっている
在宅ワークとフリーランスの市場を20年にわたって見てきた運営者の立場から、クラウドファンディングについて見えてきたことを書きます。
成立した企画と、届かなかった企画の差は、企画の質より、公開前に持っていた関係の量に強く現れます。日ごろから自分の仕事の経過を人に見せていた人は、公開初日から支援が入ります。逆に、公開が決まってから急にSNSを始めた人は、初日に誰も見ていません。集まる金額は、公開前の1年で作った関係の総量とほぼ比例します。
だから準備の本体は、ページの文章を練ることではありません。作っている途中を見せる習慣を持つことです。失敗も見せます。うまくいかなかった試作、やり直した部分、迷っている選択。こういう経過を見ている人は、完成品の価値を理解しているので、支援の判断が早くなります。
もう1つ、構造の話をします。仲介手数料が乗らない直接取引には、同じ予算で依頼者はより多く頼めて、受け手は手取りが厚くなるという性質があります。手数料0%で成り立つ関係は、金額が同じでも双方に余裕が生まれます。クラウドファンディングの手数料が17%から22%だという数字を見ると、この差の大きさが実感できるはずです。集めた100万円のうち20万円前後が仕組みの側に渡るのは、初めて世に出すものを広く知らせる対価としては妥当な範囲ですが、2回目以降は自分の顧客に直接届ける形のほうが手元に残ります。運営者として見てきた限りでは、長く続いている作り手は、1回目にクラウドファンディングで顧客を作り、2回目からは自分の販路で売っていました。
始める前に確かめる7項目
最後に、公開ボタンを押す前に確かめる項目を並べます。
第一に、必要な金額を積み上げで出したか。材料費、リターンの原価、発送費、手数料、予備費の5つを足して、手数料率で逆算したか。第二に、支援してくれそうな人を30人挙げられるか。名前が出ないなら、公開はまだ早いです。第三に、All-or-Nothing と All-in のどちらを選ぶか決まっているか。最低ロットがあるなら All-or-Nothing です。第四に、リターンの発送予定時期を書いたか。特定商取引法の表示事項です。第五に、支援が1件しか来なかった場合に赤字にならないか。All-in を選ぶなら必須の計算です。第六に、入金の時期と制作費の支払い時期が合っているか。合わないなら立て替えの資金を用意します。第七に、許可や届出が必要な分野かどうかを確かめたか。食品、化粧品、酒類は特に注意が必要です。
この7項目をすべて確認できたら、公開の準備は整っています。作業に集中できる環境の作り方は在宅ワークの集中力アップ|ポモドーロ以外に効く7つのテクニックに整理されていて、公開期間中の運営にも役立ちます。企画書や支援者への報告文を正確に書く力も直接効くので、ビジネス文書検定のように文書の型を体系的に学べる資格を押さえておくと、公開後のやり取りで相手の反応が変わります。技術的な企画を出すなら、裏づけになる資格や実績を先に示しておくことが、支援の判断材料として働きます。
よくある質問
Q. 個人でもクラウドファンディングはできますか?
購入型と寄付型なら個人でも利用できます。融資型は金融商品取引法や貸金業法の規制がかかり、株式投資型は株式を発行するため株式会社でなければ使えません。個人が実際に選ぶのは購入型と寄付型の2つで、リターンを渡せるものがあるなら購入型のほうが支援が集まりやすい傾向があります。
Q. クラウドファンディングの手数料はいくらですか?
プラットフォームによって違います。CAMPFIRE本体は利用手数料12%と決済手数料5%で、どちらも別途消費税がかかります。Makuakeは集まった金額に対して20%(税抜・決済手数料込み)で、税込では22%です。100万円が集まった場合に手元に入るのは、CAMPFIRE本体なら約81万円、Makuakeなら78万円という計算になります。
Q. 目標金額はどう決めればよいですか?
積み上げで出します。材料費や設備費などの実費、リターンの原価、発送費を足し、そこに予備費として全体の1割を加えます。そのうえで手数料を上乗せしますが、手数料は集まった総額にかかるため「必要な金額÷(1−手数料率)」で逆算します。必要な金額が80万円で手数料が22%なら、約103万円が目標金額です。
Q. 集まったお金に税金はかかりますか?
購入型はリターンの対価なので売上として扱われ、事業所得または雑所得として確定申告の対象になります。消費税については課税取引という整理が示されています。寄付型は個人から個人への場合に贈与税の対象になる可能性があり、年間110万円の基礎控除を超える部分が課税対象です。個別の判断は税務署または税理士に確認してください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
宮田 陸@SOHO編集部
現役大学生フリーランサー
法政大学3年生。高校時代にYouTube切り抜き動画でクラウドソーシングを始め、大学2年でバイトを完全にやめる。大学生×フリーランスのリアルを発信中。
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