保育士辞めたい40代の判断基準|体力と給与から考える次の道 2026

前田 壮一
前田 壮一
保育士辞めたい40代の判断基準|体力と給与から考える次の道 2026

この記事のポイント

  • 保育士を辞めたいと考える40代の方へ
  • 役職の負担という3つの理由を整理し
  • 資格を活かす道と別の職種へ移る道

まず、安心してください。40代で保育士を辞めたいと考えることは、投げ出すことではありません。むしろ、体と生活を守るための判断として、ごく合理的な選択になりうる年代です。

ただ、20代や30代で辞める場合と、40代で辞める場合では、考えるべき順番がまったく違います。20代なら「次に何をしたいか」から考えて構いません。40代は逆です。「この先15年から20年、どういう体と収入で働き続けるのか」から考えて、そこに合う仕事を選びます。順番を逆にすると、次の職場でも同じところでつまずきます。

私自身、長く勤めた会社を辞めて独立した経験があります。そのときに一番怖かったのは、収入の額そのものではなく「途切れる」ことでした。住宅ローンは残っていて、子どもの学費もこれから増える。妻には何度も「大丈夫なの」と聞かれました。結論として乗り越えられたのは、辞める1年ほど前から副業で別の収入源を作っていたからです。ゼロからの転身ではなかった。この順番が、40代の転職で一番大事な部分だと思っています。

この記事では、40代の保育士が辞めたいと感じる理由を整理したうえで、資格を活かして働き方を変える道、別の職種に移る道、そして50代以降を見据えたお金の準備を順に書きます。焦らせるつもりはありません。今日決めなくていいことと、今日から始めたほうがいいことを分けて読んでください。

40代で辞めたくなる理由は、気持ちの問題ではありません

40代の保育士から聞く辞めたい理由は、だいたい4つに整理できます。そして、そのどれも精神論では解決しません。順に見ていきます。

1つ目は体力です。これは避けようのない現実です。

40代になると、保育士の仕事において体力的な衰えを実感する場合もあるようです。保育士は長時間立ちっぱなしで動き回ったり、子どもたちを抱えたり、話す際にしゃがんだりして、足腰に負担がかかる場面も多いといえます。そのため、40代になると腰痛が悪化するケースも。若い頃は気力で乗り切れたことも、年齢を重ねるとつらく感じる場面があるようです。 出典: hoiku.levwell.jp

腰痛と膝の痛みは、根性で押し切るとその後の人生の質を落とします。私の周囲でも、無理を続けた結果、手術と長い療養が必要になった人がいます。体の痛みを理由に環境を変えるのは、逃げではなく管理です。

2つ目は給与です。40代になると、この問題が最も鋭く刺さります。

保育士の給与は、他の業界と比べて高いとはいえません。新卒時は平均的な水準でも、昇給率が低い傾向にあるため、年齢を重ねて40代になり、給与の伸びに不満を感じる場合もあるでしょう。近年では、保育士の待遇を改善する制度「保育士等キャリアアップ研修」が導入されているものの、期待には応えきれていないケースも。 出典: hoiku.levwell.jp

昇給率が低いという指摘は、20代には実感しにくく、40代には直撃します。同世代の他業種の人と比べると差が開いていて、しかもこの先も開き続けると分かってしまう。子どもの教育費が最も重くなる時期に、収入の天井が見えるのはつらい話です。保育士の給与水準が統計上どのあたりにあるのかは、保育士の年収・単価相場に年齢層別のデータがまとまっています。自分の手取りが平均より低いのか、それとも業界全体の構造なのかを、先に切り分けてください。

3つ目は、役職と後輩指導の負担です。40代になると、主任やリーダーを任され、自分のクラスを持ちながら若手の相談を受け、保護者からの難しい問い合わせは全部回ってくる。手当は数千円から数万円で、増えた責任に対して釣り合っていないことが多い。この構造の不公平さに気づいた瞬間に、気持ちが切れます。

4つ目は、若い職員との働き方の違いです。持ち帰りや残業を当然としてきた世代と、時間内に終わらせることを重視する世代が同じ職場にいて、その調整役が40代に回ってきます。どちらの言い分も分かるので、板挟みになります。

この4つを並べると分かることがあります。どれも「気の持ち方」では変わりません。変えられるのは環境と働き方だけです。だから、辞めたいと感じたときに自分を責める必要はまったくありません。

40代の転職は不利なのか、実際のところ

正直に書きます。40代の転職は、20代より確実に難しくなります。ただし「保育士だから不利」ではなく、「40代だから選び方が変わる」というのが正確な表現です。

不利になるのは、未経験の職種で正社員の枠を狙う場合です。同じ未経験なら、育てる期間を長く取れる若い人が採用されます。これは差別ではなく採用する側の合理です。ここで戦うと消耗します。

一方で、40代が有利になる場面もはっきりしています。人手が足りず、経験がある人をすぐに現場に出したい職場です。具体的には、保育士資格が配置基準に使える施設、介護や医療の現場、そして人と話すことが中心の相談業務です。この分野では、40代の経験は説明材料になります。保護者対応を20年してきた人が、初めて接する相手を落ち着かせる技術を持っていないわけがないのです。

もう1つ、年代を問わず有利になる要素があります。求人が出た瞬間に応募できる状態にしてあるかどうかです。40代向けの良い条件の求人は、数が少なく、出るとすぐ埋まります。職務経歴書を作っていない人は、そこから2週間かけて準備して、その間に枠が埋まります。ここは準備だけで差がつく部分なので、今日からやってください。書き方の型は職務経歴書の書き方完全ガイド|転職成功率を上げるコツ【2026年版】に沿えば十分です。

ここで、よく聞かれる質問に先に答えておきます。「40代で異業種に移れますか」という質問です。答えは、移れます。ただし、条件が2つあります。1つは、収入が一時的に下がることを受け入れること。もう1つは、応募する職種を3つ以内に絞ることです。あれもこれもと広く受けると、どの応募も準備が浅くなります。これは私が独立するときに実際にやった失敗で、最初の数か月はいろいろな分野に手を出して、どれも中途半端に終わりました。絞ってから急に進み始めました。

資格を持ったまま、働く場所だけを変える道

40代にとって最も現実的な選択は、実はこれです。保育士資格は持ったまま、保育園という職場から離れる。給与が落ちにくく、書類選考で通りやすく、経験がそのまま値段になります。

まず、児童発達支援や放課後等デイサービス、いわゆる療育の分野です。保育士資格が配置要件として使えるので、未経験でも入れます。子どもの人数が少なく、1人に向き合う時間を長く取れるのが特徴です。40代の落ち着いた対応が保護者から信頼されやすい分野でもあります。ただ、体力面では楽になるとは限りません。行動への対応で力を使う場面があり、送迎の運転を任される事業所も多いです。

次に、学童保育です。対象が小学生になるため、抱き上げる動作とおむつの介助がなくなります。腰への負担を減らしたい人には直接効く選択肢です。勤務が午後からになり、午前を通院や家事に使えるのも40代には大きい。弱点は収入です。会計年度任用職員として採用されることが多く、年収は保育園勤務より下がる傾向があります。

3つ目は、企業内保育所と院内保育所です。定員が小さく、行事が少なく、運営会社の福利厚生が適用されます。有給が取りやすいという声を多く聞きます。求人の数が限られるので、見つけたときに動ける準備が必要です。

4つ目は、小規模保育所や認定こども園への移籍です。同じ保育士の仕事でも、園によって持ち帰りと残業の量は大きく違います。「保育の仕事が嫌になった」のではなく「この園の運営が限界だった」というケースは本当に多い。判断の材料として、面接で必ず聞いてほしいことが3つあります。行事の準備を勤務時間内に行っているか、有給の平均取得日数はどのくらいか、この1年で何人が退職したかです。渋られたら、それが答えです。

5つ目は、パートや短時間勤務への切り替えです。40代で体が持たないなら、労働時間を減らすのは正しい対処です。収入は落ちますが、後述する副業と組み合わせると、総額を維持しながら体の負担を減らせます。

保育から離れる場合、どの職種を狙うか

保育の仕事そのものから離れたい場合、40代が狙うべき職種には共通点があります。資格要件が緩く、人手が不足しており、人と話す量が多い職種です。

介護の分野は、最も入りやすい選択肢です。人手不足が続いており、40代の採用は普通のことです。保育で身につけた身体介助の感覚、記録を毎日書く習慣、家族への説明の技術がそのまま使えます。資格は働きながら取れる仕組みが整っています。夜勤に入れば収入は保育士時代より上がることが多い。ただし、体力的には楽になりません。腰痛が理由の人には勧められません。相場は介護職員の年収・単価相場で確認できます。

医療事務は、座って働ける方向です。受付で患者と接し、カルテと保険点数を扱います。人と接する部分は保育の経験が生き、事務の部分は勉強で埋まります。民間資格を取っておくと、未経験でも説明材料になります。範囲と難易度は医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)で確認してください。

一般事務は、希望者が多く競争が激しい分野です。40代未経験で正社員を狙うのは厳しいので、派遣や契約からの入り方を検討します。差がつくのは表計算ソフトの操作です。関数を使った集計と、見やすい表を作れるかどうかで判断されます。年収の水準は総合事務員の年収・単価相場にまとまっています。

そして、40代の経験が最も高く評価される方向が相談業務です。子育て、教育、進路といった分野の相談は、経験がそのまま商品になります。若い相談員には出せない安心感が値段になる分野です。どんな依頼があるのかは子育て・教育・進学相談のお仕事で内容を見られます。支援の仕事を体系的に学びたい場合は、キャリアコンサルタントという国家資格もあります。受験には講習が必要で費用もかかりますが、40代からの取得で現役期間が20年近く残る資格です。

職種を選ぶときの基準を1つ挙げておきます。「60歳でもこの仕事を続けられるか」で判断してください。40代の転職は、残りの職業人生の後半をどこで過ごすかを決める作業です。50代で再度やり直すことになる選択は、なるべく避けたい。

50代以降を見据えて、いま決めておくこと

ここは焦らずに、しかし必ず考えてほしい部分です。40代の判断は、50代と60代の生活に直結します。

まず年金です。厚生年金に加入する会社員として働き続けるか、業務委託で働くかで、将来受け取る額が変わります。業務委託や自営になると国民年金だけになり、厚生年金の上乗せがなくなります。この差は月額で数万円規模になることがあり、20年以上受け取ると考えると無視できません。自分の見込み額は日本年金機構の案内で確認できます。ねんきん定期便の数字を一度見ておいてください。

次に、体の見通しです。50代になって今の仕事を続けられるかを、正直に見積もります。腰や膝に痛みが出ている人が、60歳まで乳児クラスの担任を続けるのは現実的ではありません。ここで大事なのは、痛みが出てから動くのではなく、痛みが出た時点で「移る準備を始める」ことです。私の周りでも、準備を始めた人と我慢を選んだ人では、5年後の状況がはっきり分かれました。

3つ目に、収入の構成です。40代から先は、1つの勤め先に全額を預ける構成の危うさが上がります。体調で働けなくなったとき、収入がゼロになるからです。勤務先からの収入を7割から8割に抑え、残りを別の収入源で埋める形を作れると、事故に強くなります。この考え方を実際にどう組み立てるかは後の節で書きます。

4つ目に、資格の棚卸しです。保育士資格に加えて、事務系の資格を1つ足すだけで応募できる求人の幅が変わります。40代から取るなら、勉強期間が短く、実務に直結するものを選びます。表計算ソフトの操作を証明するMOS Excel(Microsoft Office Specialist)や、お金の知識を扱うFP技能士3級は、数か月の勉強で届く範囲です。高度な資格を取って人生を変えようとするのではなく、応募のときに「これができます」と言える材料を増やすのが目的です。

最後に、住宅ローンと教育費の山を確認します。この先5年で最も支出が大きい年はいつか。その年に収入が下がる転職をぶつけると苦しくなります。逆に、支出の山を越えた後なら、多少下がっても耐えられます。家計の時間軸と転職の時期を合わせるのは、40代特有の調整です。

辞める前に済ませるお金と書類の手続き

順番を間違えると、数十万円単位で損をします。40代は扶養家族がいる人が多いので、ここは特に丁寧にやってください。

有給休暇は必ず消化してください。残日数を確認し、退職日を有給が消化できる位置に設定します。「引き継ぎがあるから」と言われても、取得は権利です。年度末に辞める場合、3月に有給を入れるのは難しいと感じるかもしれませんが、退職日を4月中旬に設定して有給を充てる方法があります。

失業給付は、自己都合退職だと待期期間と給付制限があり、実際の振り込みは数か月後になります。その間の生活費を無給で計算してください。目安として、生活費の3か月から6か月分を現金で持っておくと判断に余裕が出ます。体調不良が理由で医師の診断がある場合は、特定理由離職者として扱われ制限が短くなることがあります。条件は変わるので厚生労働省の案内で最新を確認してください。

健康保険は、退職後に3つの選択肢があります。任意継続、国民健康保険、家族の被扶養者になる形です。保険料が最も安くなる組み合わせは人によって違うので、退職前に市区町村の窓口と勤務先の担当に金額を出してもらって比べます。ここを比べずに決めて、年間で10万円以上の差が出た例を見たことがあります。

書類は、離職票、源泉徴収票、雇用保険被保険者証、年金手帳または基礎年金番号の控え、そして保育士登録証の現物の所在を確認します。退職後に元の職場へ連絡するのは気が重いので、在職中に手元を整えておきます。

住民税にも注意してください。前年の所得に対してかかるため、収入が下がった年に前年基準の住民税が請求されます。退職した翌年の6月に、思っていたより高い通知が届いて驚く人が毎年います。税の仕組みは国税庁の解説で確認できます。

在職中に別の収入源を作っておく手順

ここが、私が皆さんに一番伝えたい部分です。40代の転職で最も効くのは、辞める前に収入の柱を2本目立てておくことです。

理由は2つあります。1つは、収入が途切れないので条件を妥協せずに選べること。もう1つは、「この仕事が自分に合うか」を辞める前に試せることです。辞めてから試すと、合わなかったときに戻れません。

やり方は単純です。週に数時間だけ、別の形で働いて報酬を受け取ってみる。保育士の経験を持つ人が試しやすいのは3つあります。1つ目は、休みの日に単発でベビーシッターの依頼を受ける形です。マッチングサービスに登録すれば、稼働できる日を自分で決められます。有資格者は時給の設定が上がるサービスが多く、資格が直接お金になります。

2つ目は、文章を書く仕事です。子育て、発達、食育といった分野は、実務経験のある書き手が足りていません。指導計画や連絡帳を毎日書いてきた人は、読み手に合わせて文章を整える訓練を済ませています。3つ目は、データ入力のような、覚えることが少なく初日から成果を出せる作業です。データ入力・文字起こし・分類のお仕事で作業内容と納品の形を見ておくと、自分にできるかどうかの判断が早くつきます。

私が副業を始めたころの失敗を1つ書きます。最初の3か月、単価の安い仕事を大量に受けて、睡眠を削って納品していました。結果として本業の質が落ち、家族との時間も削れて、続かなくなりました。そこから方針を変えて、受ける件数を減らし、1件あたりの単価を上げる交渉を始めました。件数を追うのではなく、同じ相手から継続して依頼をもらう形にしたことで、時間の負担が半分になりました。40代は体力に限りがあります。量で解決しようとしないことです。

注意点を2つ。まず、勤務先の就業規則を確認してください。副業を禁じている園もあります。禁止されている場合は、退職後に始める計画にします。次に、報酬を受け取る際の手数料です。仲介サービスを使うと報酬から15%から20%が引かれます。年間100万円なら15万円から20万円が消える計算です。実績ができたら、直接契約に移すことを考えてください。

副業から始めて働き方を組み替えた人の話は、キャリア・副業・人生相談のお仕事にある相談の例で、どの規模から始める人が多いのかが分かります。

園長や同僚への伝え方と、引き継ぎの進め方

40代の退職は、20代の退職とは受け止められ方が違います。主任やリーダーを任されている人が抜けると、園の運営に穴が空くからです。だからこそ、伝え方を準備してから話してください。準備なしで切り出すと、慰留の勢いに押されて退職の時期が半年先まで動かされることがあります。

最初に、退職の意思を伝える相手と順番を決めます。原則は園長に最初に伝えることです。同僚や後輩に先に話すと、噂として園長の耳に入り、話がこじれます。伝える場は、廊下での立ち話ではなく、時間を取ってもらう形にします。「お話ししたいことがあるので、15分いただけますか」と切り出すだけで、相手の構えが変わります。

次に、伝える内容を3つに絞ります。退職の意思、希望する退職日、そして引き継ぎの案です。理由は長く説明しないほうがうまくいきます。詳しく話すと、園長は「その理由を解消すれば残ってくれる」と考えて交渉を始めます。異動で改善するなら残る意思がある場合は理由を具体的に話してよいのですが、辞める決意が固まっているなら、体調や家庭の事情といった変更のきかない理由で短く伝えるのが穏やかです。

慰留されたときの対応も決めておきます。40代の退職では「あなたがいないと回らない」と言われることがあります。この言葉は事実かもしれませんが、皆さんが人員配置の責任を負う立場ではありません。回らない体制で運営してきたのは園の側です。ここは冷たく聞こえるかもしれませんが、線を引かないと退職日が決まりません。「申し訳ありませんが、意思は変わりません。引き継ぎには協力します」の2文で足ります。

引き継ぎは、書いて渡す形にしてください。口頭で伝えると、後から連絡が来ます。クラスの子どもごとの配慮事項、保護者ごとの連絡の経緯、行事の進行表と業者の連絡先、書類の保管場所。これを紙かデータで残すと、退職後に電話が鳴る回数が減ります。40代のベテランほど、頭の中にしか入っていない情報が多いので、この作業には数日かかります。退職日の直前に始めると間に合いません。

最後に、辞めた後の関係も考えておきます。保育の業界は地域内でつながっていて、次の職場で元の同僚と再会することがあります。療育施設や学童保育に移る場合、連携先として関わる可能性もあります。感情的な辞め方をすると、この先の働きやすさに影響します。不満があっても、最後の1か月は淡々と過ごすのが得です。

異業種の面接で聞かれることと、その答え方

40代で異業種を受けるとき、面接で必ず聞かれる質問が3つあります。準備してあるかどうかで結果が変わるので、答えの型を作っておきます。

1つ目は「なぜ保育士を辞めたのですか」です。ここで前の職場の批判をすると、採用する側は警戒します。原則は、事実を述べたうえで、次にやりたいことに着地させることです。「体を使う業務が続く環境では長く働けないと判断しました。座って進める業務で経験を積み、長く勤めたいと考えています」という形です。感想ではなく判断として述べるのがコツです。「頑張ったけれど無理でした」と言うと、耐えられなかった人として受け取られます。「こう判断しました」と言えば、考えて動く人として受け取られます。

2つ目は「年下の上司の下でも大丈夫ですか」です。40代の転職では、ほぼ必ず聞かれます。採用する側の本音は、扱いにくい人を入れたくないという不安です。ここでは、過去に年下から教わった具体的な場面を1つ話すのが効きます。「若い職員から新しい記録の方法を教わって、自分のやり方を変えた経験があります」といった話です。抽象的に「気にしません」と答えるより、実例が1つある方が信用されます。

3つ目は「給与が下がりますが構いませんか」です。ここで即答して構いませんと言うのも、渋るのも、どちらも印象が良くありません。準備しておく答えは、金額の下限を自分の中で決めておくことです。生活費から計算した最低額を持っていれば、「提示の金額で問題ありません」と言えるか「この水準までであれば可能です」と言えるかが即座に判断できます。曖昧なまま面接に行くと、後で条件で揉めます。

書類と受け答えの土台になるのは、文書の型の知識です。報告と依頼を書き分ける技術は、事務職でも相談業務でも初日から必要になります。基礎から整えたい場合はビジネス文書検定で問われる範囲を見ておくと、何が足りないのかがはっきりします。加えて、自分の状態や職場の環境を言葉で説明できるようになると、次の職場で早めに手を打てます。その観点ではメンタルヘルス・マネジメント検定の内容が役に立ちます。不調の兆候と対応を体系的に扱う試験なので、自分のためにも、後輩を見る立場としても使えます。

練習は、声に出して1人でやるだけで効果があります。頭の中で組み立てた文章は、口に出すと途中で詰まります。3回話せば順番が固まります。40代は経験が豊富な分、話が長くなりがちです。1つの質問に対して1分以内で答え終える練習をしておいてください。

今日から動く順番を決める

最後に、明日何をするかを決めます。皆さんに提案したい順番は次のとおりです。

1日目は、体の状態を記録します。痛みがある部位、いつから続いているか、朝起きられるかどうか。これを書き出すと、緊急度が判定できます。眠れない、起き上がれない、通勤の途中で涙が出るという段階なら、転職活動より先に医療機関です。この状態で選んだ転職先は、ほぼ間違えます。判断力が落ちているときに「今より少し楽そう」で決めると、同じことを繰り返します。傷病手当金という制度があり、在職中に相談を始めるほうが手続きが簡単です。

2日目から3日目は、お金を数えます。手取りの月額、生活費の月額、貯金、住宅ローンの残りと教育費の山。無給で何か月耐えられるかを1つの数字にします。この数字が、辞める時期を決めます。

4日目から7日目は、求人を2件以上開いて並べます。考えるだけでは迷いは減りません。療育施設の求人と学童保育の求人、あるいは介護の求人と医療事務の求人を並べると、自分が給与と体力のどちらを優先しているのかが自動的に分かります。比べる項目は、基本給と手当の内訳、賞与の実績、年間休日数、残業の実績、持ち帰りの有無、そしてこの1年の退職者数です。

2週目は、職務経歴書を作ります。担当したクラスと人数、受け持った行事とその役割、作成した書類の種類を数字で書きます。「5歳児クラス担任」ではなく「25名分の記録を毎日作成し、25世帯との連絡窓口を1年間担当」と書くと、他業種の人にも規模が伝わります。

3週目以降は、応募と並行して副業を1件試します。これで、収入が途切れない状態を作りながら選べるようになります。

40代で辞めたいと感じているなら、その感覚は体と生活からの正当な信号です。無視して続けた先にあるのは、選択肢が減った50代です。今なら、資格を持ったまま場所を変える道も、別の職種に移る道も、働く時間を減らして収入源を分ける道も残っています。準備さえすれば、40代からでも遅くありません。

よくある質問

Q. 40代で保育士を辞めても再就職できますか?

できます。ただし狙う職種で難易度が大きく変わります。保育士資格が配置要件になる療育施設や学童保育、人手不足が続く介護や医療事務は40代の採用が普通に行われています。未経験の一般事務で正社員を狙うのは競争が厳しいため、派遣や契約からの入り方を検討してください。

Q. 体力の限界を理由に辞めるのは甘えでしょうか?

甘えではありません。腰痛や膝の痛みを我慢して続けると、手術や長期療養が必要になり、その後の働き方の選択肢そのものが減ります。抱き上げる動作が少ない学童保育や、座って進める事務職への移行は、体を管理するための合理的な判断です。

Q. 辞める前に必ずやっておくことは何ですか?

有給休暇の残日数を確認して消化できる退職日に設定すること、健康保険を任意継続と国民健康保険と被扶養者の3つで比べること、生活費の3か月から6か月分を現金で確保すること、離職票や保育士登録証などの書類の所在を確認することです。

Q. 40代から副業を始めるのは現実的ですか?

現実的です。ただし件数を追うと本業と家庭に影響が出ます。週に数時間から始め、単発のベビーシッターや子育て分野の執筆、データ入力のように覚えることが少ない作業を選んでください。勤務先の就業規則で副業が禁じられていないかは先に確認します。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年9月20日最終更新:2026年9月24日
前田 壮一

この記事を書いた人

前田 壮一@SOHO編集部

元メーカー管理職・43歳でフリーランス転身

大手電機メーカーで品質管理を20年間担当した後、42歳でフリーランスに転身。中高年のキャリアチェンジや副業の始め方を、自身の経験をもとに発信しています。

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