本業の経理と副業の帳簿代行を両立するなら就業規則の確認が先

朝比奈 蒼
朝比奈 蒼
本業の経理と副業の帳簿代行を両立するなら就業規則の確認が先

この記事のポイント

  • 本業で経理をしながら副業で帳簿代行を受けたい方に向けて
  • 就業規則の確認ポイントと両立の進め方を整理しました
  • 経理・帳簿代行の本業と両立を検討する際の注意点を解説します

結論から言います。本業で経理をしながら副業として帳簿代行を受けたいなら、案件を探し始める前に、まず自社の就業規則を確認するべきです。経理・帳簿代行 本業と両立というテーマで検索している方の多くは、すでに経理の実務経験があり、そのスキルを副業に活かしたいと考えている方だと思います。実務経験があるからこそ即戦力になれる一方、本業と同じ職種を副業にする分、確認すべき点も多くなります。この記事では、両立のために押さえておくべき論点を整理していきます。

編集の仕事を通じてさまざまな副業の相談事例を見てきましたが、経理職の副業は他の職種と比べて、確認すべき論点が明らかに多い分野です。正直なところ、これは職種の性質上避けられない部分でもあります。だからこそ、確認の手順を一つずつ丁寧に踏んでおくことが、後々のトラブルを避ける最も確実な方法になります。

なぜ経理職の副業は「就業規則の確認」が特に重要なのか

副業全般において就業規則の確認は基本ですが、経理職の場合はその重要性が一段と高くなります。理由は主に3つあります。

1つ目は、競業避止義務との関係です。本業の会社の経理を担当している方が、同業他社や取引先の帳簿代行を副業として引き受けると、情報漏洩や利益相反のリスクが生じます。多くの企業の就業規則には、競業にあたる副業を制限する条項が含まれています。

2つ目は、守秘義務との関係です。経理職は本業の会社の財務情報に日常的に触れる立場にあります。副業先の依頼者に対して、本業で得た情報を意図せず参考にしてしまうリスクや、逆に副業先の情報を本業に持ち込んでしまうリスクは、他の職種の副業よりも高くなりがちです。

3つ目は、労働時間管理との関係です。本業が正社員である場合、副業の労働時間によっては、労働基準法上の労働時間通算のルールが適用されることがあります。ただし、業務委託として副業を行う場合は雇用契約に基づく労働時間通算の対象外となるのが一般的で、この点は業務委託か雇用かによって扱いが変わります。副業先とどのような契約形態を結ぶのかを最初に確認しておくことが、労働時間の扱いを正しく理解する出発点になります。

株式会社Cielo Express様は社長自身が経理業務を担うことにより月80時間もの時間を費やし、本業推進の大きな足かせとなっていました。

出典: go.taxita.com

この事例は依頼者側の視点ですが、経理業務が時間を要する専門性の高い仕事であることがよく分かります。だからこそ、経理経験者が副業として帳簿代行を受ける場合、本業とのバランスを取る計画性が特に求められます。専門性が高い仕事だからこそ、片手間で対応できるという油断を持たず、自分の可処分時間を正確に見積もった上で案件を受けることが重要になります。

就業規則で確認すべき具体的なチェックポイント

副業を始める前に、就業規則の中でも特に次の項目を確認しておきましょう。

副業・兼業の許可制か届出制か

企業によって、副業を始める際に「事前の許可が必要」なのか「事後の届出でよい」のかが異なります。許可制の場合、会社の承認を得ないまま副業を始めると、就業規則違反として懲戒の対象になる可能性があります。まずは人事部門や上長に、自社がどちらの方式を採用しているかを確認してください。

競業避止義務の範囲

「同業他社への就職・業務提供を禁止する」といった条項がある場合、経理・帳簿代行の副業がこの範囲に含まれるかどうかを確認する必要があります。特に、本業の会社が経理代行サービスや会計コンサルティングを事業として行っている場合、個人での帳簿代行の副業が競業とみなされる可能性が高くなります。

秘密保持義務の範囲

入社時に締結した秘密保持契約や誓約書に、副業先での情報の取り扱いに関する言及がないかも確認しておきましょう。本業で得た知識やノウハウを、副業先の業務でどこまで活用してよいのかが曖昧な場合、トラブルの火種になりかねません。

副業の時間・収入の上限

就業規則によっては、副業に充てられる時間や、副業で得られる収入に上限を設けている企業もあります。上限を超えて副業を行った場合、本業への支障を理由に注意を受けることもあるため、事前に確認しておくと安心です。

経営者の皆様にとって、経理業務は会社の健康状態を把握するために不可欠なものです。しかし、その作業は時に膨大で、本業への集中を妨げる要因にもなりかねません。

出典: hiroshima-keiridaikou.com

依頼者側にとっても「本業への集中を妨げない」ことが記帳代行を依頼する動機の一つです。副業として帳簿代行を受ける側も、同じように自分の本業への支障を避ける視点を持つ必要があります。

就業規則を確認した後の進め方

就業規則を確認し、副業が可能だと分かったら、次に進める手順を整理します。

会社に副業を届け出る、または許可を得る

許可制の企業であれば、副業の内容(経理・帳簿代行であること、業務委託であること)を具体的に説明し、承認を得ます。この際、競業にあたらないことを説明できるよう、想定している依頼者の業種や規模をある程度明確にしておくとスムーズです。

副業先の選定で競業を避ける

本業の会社と同業種、あるいは取引関係にある企業からの依頼は避けるのが無難です。業種の異なる個人事業主や小規模事業者の帳簿代行から始めると、競業リスクを抑えながら実務経験を積むことができます。

業務委託契約を締結する

副業として帳簿代行を受ける場合、多くは雇用契約ではなく業務委託契約になります。契約書に業務範囲、報酬、秘密保持義務が明記されているかを確認し、本業の就業規則と矛盾する内容が含まれていないかもチェックしておきましょう。

時間管理を徹底する

本業の終業後や休日に副業の時間を確保することになります。あらかじめ1週間あたりの作業可能時間を見積もり、無理のない範囲で依頼を受けることが、本業への支障を避けるうえで重要です。

就業規則違反になりやすい具体的なケース

抽象的な注意点だけでは判断が難しいため、実際に問題になりやすい具体的なケースを整理しておきます。

ケース1:取引先の帳簿代行を無許可で受けてしまう

本業の会社が普段から取引している企業から、個人的に「帳簿を見てもらえないか」と依頼されるケースです。人間関係の延長で気軽に引き受けてしまいがちですが、これは競業避止義務や利益相反の観点から最も問題になりやすいパターンです。本業の会社を経由した関係で得た依頼は、たとえ善意であっても、就業規則違反やコンプライアンス上の問題に発展するリスクが高いと考えてください。

ケース2:副業の作業中に本業の会計ソフトを使ってしまう

在宅勤務が増えた影響で、自宅の同じパソコン環境で本業と副業の両方を行う方も少なくありません。うっかり本業用の会計ソフトのアカウントで副業のデータを扱ってしまったり、逆に副業用の端末に本業のデータが混在してしまったりすると、情報管理上の重大な問題になります。本業と副業で使用するソフトウェアやアカウントは、必ず物理的・論理的に分離しておく必要があります。

ケース3:副業の届け出をしないまま収入が増えていく

最初は小さな案件のつもりで始めた副業が、口コミで依頼が増え、気づけば就業規則の届け出基準を超える収入になっているケースです。届け出制の企業であれば、収入や時間が一定の基準を超えた時点で届け出を行う義務が生じることがあります。案件が増えてきたタイミングで、改めて就業規則を確認し、必要な手続きを取ることを忘れないようにしてください。

ケース4:SNSでの発信が競業とみなされる

副業の実績をアピールするためにSNSで発信する際、本業の会社名や取引先が特定できる情報を意図せず含めてしまうケースもあります。守秘義務との関係で問題になりやすいため、発信内容は本業に関する具体的な情報を含まないよう、慎重に言葉を選ぶ必要があります。

これらのケースに共通するのは、悪意なく、なし崩し的に問題が広がっていく点です。副業を始める前だけでなく、続けている間も定期的に「本業との関係で問題が生じていないか」を振り返る習慣を持つことが大切です。案件が増えてくると、当初は問題なかった依頼者との関係が、いつの間にか本業の取引先と接点を持つようになっていることもあります。定期的な棚卸しを怠らないようにしてください。半年に一度程度、抱えている副業案件の一覧を見直し、本業との関係に変化がないかを確認するだけでも、リスクの早期発見につながります。

本業と副業、両方の経理業務を両立させる時間管理のコツ

経理という仕事は、月末月初に業務が集中しやすい特徴があります。本業でも副業でも同じ時期に繁忙期が重なると、両立が難しくなる場面が出てきます。

正直なところ、これは経理職ならではの悩みです。一般的な副業であれば、本業の繁忙期をずらして副業の作業時間を確保できることもありますが、経理は業界を問わず月末月初に業務が集中しやすい傾向があるため、両立の難易度は他の職種よりやや高いと言えます。

対策としては、副業先の締め日を本業の締め日とずらして交渉することが有効です。たとえば本業の月次締めが月末であれば、副業先には「20日締め」のような別のタイミングで依頼を受けるようにすると、業務が完全に重なることを避けられます。契約前の打ち合わせで、締め日の希望を伝えておくとよいでしょう。

繁忙期が完全に一致してしまう案件を受けてしまうと、本業の決算対応と副業の納期が同時に押し寄せ、どちらも中途半端な仕上がりになりかねません。案件を引き受ける前に、自分の本業のスケジュールを1年単位で棚卸しし、繁忙期と閑散期を可視化しておくと、副業案件を打診された際に即座に「引き受けられる時期かどうか」を判断できるようになります。

また、副業の案件数を増やしすぎないことも大切です。1件あたりの作業時間を正確に見積もり、本業に支障が出ない範囲で件数を絞ることが、長期的に両立を続けるための現実的な方法です。案件を打診されるたびに安易に引き受けるのではなく、現在抱えている案件数と本業の状況を踏まえて、断る判断も含めて自分でコントロールする姿勢を持つことが、結果的に一つひとつの案件の質を保つことにもつながります。

経理経験者が副業先を選ぶ際の業種の選び方

競業を避けながら副業を進めるためには、副業先の業種選びが重要な判断ポイントになります。

本業の会社と全く異なる業界の個人事業主や小規模事業者を選ぶのが、最もリスクの低い選び方です。たとえば本業が製造業の経理であれば、副業先は飲食業やクリエイター系の個人事業主など、業界も規模も異なる相手を選ぶと、競業とみなされる可能性はほぼなくなります。

規模の面でも、本業の会社が中堅・大企業であれば、副業先は個人事業主や創業間もない小規模事業者を選ぶことで、直接的な競合関係が生まれにくくなります。小規模事業者は経理担当者を雇う余裕がないことが多く、記帳代行のニーズも高いため、経理経験者にとって案件を見つけやすい層でもあります。

地理的な観点も参考になります。本業の会社が特定の地域で事業を展開している場合、その商圏から離れた地域の事業者を副業先に選ぶことで、取引先が重複するリスクをさらに下げられます。オンラインでのやり取りが基本となる帳簿代行では、地理的な制約はほとんどないため、この選び方は現実的な対策になります。

経理職の副業に対する会社側の受け止め方

経理職の副業について、会社側がどのように受け止めているかを理解しておくと、届け出や相談の際のコミュニケーションがスムーズになります。

多くの企業では、副業そのものを一律に禁止しているわけではなく、「本業に支障が出ないこと」「競業にあたらないこと」「情報漏洩のリスクがないこと」の3点を満たしていれば、副業を容認する傾向が強まっています。厚生労働省が公表しているモデル就業規則でも、副業・兼業を原則として認める方向性が示されており、多くの企業がこれに準じた規定を採用するようになってきました。

ただし、経理職は財務情報という機密性の高い情報を扱う立場にあるため、他の職種よりも慎重な判断をする企業も少なくありません。副業を届け出る際は、単に「副業をしたい」と伝えるだけでなく、業務委託契約であること、扱う情報の範囲、想定している依頼者の業種などを具体的に説明できるよう準備しておくと、会社側も判断しやすくなります。

税務や会計の専門家である税理士が直接関わることで、税法に則った正確な記帳が行われ、後の税務申告もスムーズに進みます。経理業務の専門知識がない方でも、安心して本業に専念できる環境が手に入るのです。

出典: hiroshima-keiridaikou.com

この引用にあるように、依頼者が記帳代行に求めているのは「専門知識を持つ人に安心して任せられること」です。経理経験者が副業として提供できる価値も、まさにこの安心感にあります。就業規則を守りながら誠実に副業を進めることは、依頼者に提供する安心感そのものを裏付ける行動でもあります。

副業収入の確定申告について

本業で給与を得ながら副業で帳簿代行の報酬を得た場合、副業の所得額によっては確定申告が必要になることがあります。具体的な要件は個々の状況によって異なるため、正確な判断は勤務先の総務・経理担当者や、税務署、国税庁の公式情報で確認することをおすすめします。

住民税の徴収方法についても、確定申告の際に「普通徴収」を選択できる場合があります。副業の所得にかかる住民税を本業の給与から天引きされたくない場合の一つの選択肢ですが、自治体や状況によって取り扱いが異なることがあるため、詳細はお住まいの自治体の窓口に確認してください。この記事では確定的な金額や手続きの断定は避けますが、副業を始める前に一度、税務署や自治体の窓口で相談しておくと安心です。

副業が会社に知られることを気にする方の中には、住民税の徴収方法をきっかけに副業の存在が発覚するのではないかと心配する声もあります。ただし、経理職として副業を始める場合は、そもそも就業規則に沿って会社に届け出ることが前提になるため、隠すことを考えるのではなく、正規の手続きを踏んで進める姿勢を持つことが、結果的に自分自身を守ることにつながります。

社会保険の扱いについても触れておきます。副業が業務委託契約である場合、原則として本業の社会保険の扱いに直接影響することは少ないですが、副業の形態や収入によって扱いが変わることもあります。詳細は日本年金機構の公式情報や、勤務先の担当窓口で確認するのが確実です。税務や社会保険に関する制度は改正されることもあるため、副業を継続する中でも定期的に最新の情報を確認しておく習慣を持っておくと安心です。

情報漏洩を防ぐための実務的な工夫

経理職の副業で最も気をつけるべきリスクは、意図しない情報漏洩です。ここでは、日々の実務で取り入れやすい具体的な工夫を紹介します。

まず、本業と副業でパソコンやアカウントを分けることです。同じ端末で作業する場合でも、少なくともブラウザのプロファイルを分ける、クラウド会計ソフトのログインアカウントを完全に切り分けるといった対策を徹底してください。誤って本業のデータを副業先に送信してしまう、あるいはその逆が起きるといった事故は、一度の不注意で信頼を大きく損ないます。

次に、作業する時間帯や場所を明確に区切ることです。本業の勤務時間中に副業の連絡に対応したり、逆に副業の作業時間中に本業の資料を開いたりすることがないよう、生活の中でオンとオフを切り替える習慣をつけておくと、うっかりミスを防ぎやすくなります。

さらに、副業先とのやり取りには、本業のメールアドレスやチャットツールを使わないことも基本的な注意点です。専用の連絡手段を用意しておくことで、情報の混在を物理的に防ぐことができます。こうした基本的な工夫の積み重ねが、結果的に長く両立を続けるための土台になります。

経理経験を副業に活かすメリットとデメリット

本業で経理を担当している方が副業として帳簿代行を受けることには、他の職種にはないメリットとデメリットの両方があります。

メリットとしては、まず即戦力として案件を獲得しやすい点が挙げられます。実務経験があることで、未経験者よりも高い単価での契約や、月次決算まで対応できる業務範囲の広い案件を任されやすくなります。次に、本業と副業のスキルが相互に高め合う点もメリットです。複数の事業者の帳簿を扱うことで、業種ごとの会計処理の違いに触れる機会が増え、本業での視野も広がります。

一方でデメリットとしては、先に述べた競業避止義務や守秘義務との兼ね合いが常につきまとう点です。また、経理という仕事の性質上、繁忙期が本業と重なりやすく、時間管理の負担が他の職種の副業よりも大きくなる傾向があります。さらに、本業と副業の両方で数字を正確に扱う緊張感が続くため、精神的な負荷も見過ごせません。無理のないペースで案件数を調整することが、長く続けるための鍵になります。

このメリットとデメリットを冷静に比較すると、経理経験を副業に活かすこと自体は合理的な選択である一方、その合理性を活かせるかどうかは、本人の自己管理能力に大きく左右されるという結論になります。案件を増やすことに前のめりになりすぎず、まずは小さく始めて、本業への影響がないことを確認しながら徐々に規模を広げていく進め方が、結果的に最も遠回りをしない方法だと言えます。

経理・帳簿代行の副業を探す際の準備

副業として帳簿代行の案件を探す際は、まず経理・財務・帳簿・税務のお仕事のようなお仕事ガイドで、求められるスキルや業務の全体像を確認しておくとよいでしょう。本業で培った実務経験をどのようにアピールすれば、案件獲得につながりやすいかのヒントが得られます。

また、契約や発注書に関する基礎知識も身につけておくべきです。業務委託契約全般における発注者・受注者間のルールについては、フリーランスを守る「下請法(取適法)」の知識|発注書・契約書の必須項目チェックリストで、発注書や契約書に最低限含まれるべき項目を確認しておくと、副業先とのトラブルを未然に防ぎやすくなります。将来的に個人事業主としての独立や、法人化を検討する段階になった場合は、本店移転・役員変更登記の報酬相場|オンライン申請とプロへの依頼比較【2026年最新】のような登記関連の情報も参考になります。

税理士のもとで実務経験を積みながら副業を進める道筋も検討する価値があります。税理士の副業ガイド|確定申告代行・記帳代行で稼ぐ方法【2026年版】では、税理士事務所と連携しながら記帳代行に携わる進め方が紹介されています。専門家の監督のもとで実務を進めることで、本業との利益相反リスクを抑えながら副業経験を積むことができます。

20年この市場を見てきた立場からの観察

長くこの市場を見てきた立場から言えば、本業と副業の両立に成功している経理経験者には、共通する姿勢があります。それは、副業先を「自分のスキルを試す場」ではなく「本業とは異なる業種の知見を得る場」として捉えている点です。競業を避けて異業種の依頼者を選ぶことは、リスク管理であると同時に、視野を広げる機会にもなっています。

長く続く人ほど、単発の作業をこなすことよりも、就業規則の範囲内で誠実に副業を進める姿勢を大切にしています。会社への届け出を怠らず、本業に支障が出ない範囲で案件数を調整することが、結果的に長期的な信頼関係の構築につながっています。

また、仲介手数料が発生しない直接取引の場合、依頼者は同じ予算でより多くの業務を依頼でき、受け手は手取りが厚くなるという構造があります。本業と副業を両立させる中で使える時間が限られているからこそ、限られた時間あたりの手取りが厚い取引を選ぶことは、時間効率の観点でも合理的な選択と言えます。

正直なところ、就業規則の確認を後回しにして副業を始めてしまい、後になって本業先とのトラブルに発展するケースは、経理職に限らず珍しくありません。経理という職種は特に守秘義務や競業避止義務との関係が密接なだけに、案件を探し始める前の確認作業を省略しないことが、両立を長続きさせる最初の一歩になります。

両立を続けるうえで意識しておきたい心構え

最後に、本業と副業の経理業務を両立させる上での心構えについて触れておきます。両立は一時的な取り組みではなく、継続的なバランス調整が求められる働き方です。案件が増えて忙しくなった時期ほど、就業規則の範囲を逸脱していないか、本業への影響が出ていないかを、定期的に振り返る習慣を持つことが大切です。

また、副業を始めた当初の目的を見失わないことも重要です。スキルアップのためなのか、収入を補うためなのか、将来の独立に向けた実績づくりなのか、目的によって案件の選び方や時間の配分は変わってきます。目的が明確であれば、無理に案件数を増やそうとせず、自分にとって本当に必要な経験だけを選び取る判断がしやすくなります。

本業と副業、双方に誠実であろうとする姿勢は、遠回りに見えて、実は最も安定した両立の形につながります。就業規則の確認という地味な最初の一歩を丁寧に踏むことが、長く続けられる副業の土台になるはずです。焦らず一つずつ手順を踏んで、無理のない両立の形を見つけてください。

よくある質問

Q. 本業で経理をしながら副業で帳簿代行を受けても問題ありませんか?

就業規則で副業が許可されており、競業避止義務や秘密保持義務に抵触しない範囲であれば可能です。同業他社や取引関係のある企業からの依頼は避け、まず就業規則を確認してください。

Q. 副業の帳簿代行はどのくらいの時間を確保すればいいですか?

本業の繁忙期と重ならないよう、副業先の締め日を調整することをおすすめします。1週間あたりの作業可能時間をあらかじめ見積もり、無理のない件数で受注することが大切です。

Q. 副業の収入は確定申告が必要ですか?

所得額や状況によって要否が変わるため、一律には言えません。副業収入が発生した場合は、税務署や国税庁の公式情報で確認し、必要に応じて自治体の窓口にも相談してください。

Q. 就業規則で副業が許可制の場合、どう進めればいいですか?

副業の内容(経理・帳簿代行であること、業務委託であること)を具体的に説明し、事前に会社の承認を得てください。競業にあたらないことを示せるよう、依頼者の業種を明確にしておくとスムーズです。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年3月17日最終更新:2026年9月18日
朝比奈 蒼

この記事を書いた人

朝比奈 蒼@SOHO編集部

ITメディア編集者

IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。

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