お絵描きを副業にする|作品の売り方と依頼の受け方


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この記事のポイント
- ✓お絵描き副業を「作品の売り方」と「依頼の受け方」の2本柱で整理しました
- ✓会社員が確かめる就業規則と税
- ✓トラブルを防ぐ取り決めまでを具体的に解説します
お絵描き副業について調べている人の多くは、「描けるかどうか」ではなく「描いたものがどうやってお金になるのか」がわからずに止まっています。結論から言うと、お絵描きを副業にする道は大きく2本しかありません。作品を作って売る道と、他人の依頼を受けて描く道です。この2本は準備するものも、収入の出方も、必要な事務作業もまるで違います。この記事では、その2本を分けて整理し、報酬の相場、始める順番、会社員が先に確かめるべき就業規則と税、そしてトラブルを防ぐ取り決めまでを具体的に書いていきます。
お絵描きを副業にする人が増えている背景
在宅でできる仕事のなかで、絵を描く仕事は比較的早い段階から個人に開かれてきた分野です。理由は単純で、成果物がデータで完結し、納品も打ち合わせもオンラインで済むからです。印刷や発送が必要な物販と違って在庫を持たずに始められるため、初期費用の壁が低いという特徴があります。
もうひとつ大きいのが、絵の使われ先が増えたことです。以前は書籍や広告といった限られた出口しかありませんでしたが、今は個人が運営するSNSアカウント、YouTubeのサムネイル、ゲームのアイコン、小規模事業者の会社案内、社内資料の図解まで、絵が必要な場面が細かく分散しています。1件あたりの単価は下がった一方で、依頼の入口そのものは確実に増えました。
この分野を扱う情報サイトでも、参入のしやすさが繰り返し指摘されています。
実はイラストレーターの副業は、在宅でできる副業の中でも特にニーズが高く、初心者・未経験者でも始めやすいジャンルのひとつです。 出典: alc.co.jp
ただし、始めやすいことと続けやすいことは別です。始めやすい分野には人が集まるので、入口の価格競争は激しくなります。実際に長く続けている人を見ると、最初の数か月で単価の高い仕事に飛びつくのではなく、納期を守る、指示を読み違えない、修正のやり取りを短く終える、といった地味な部分で評価を取りに行っています。正直なところ、絵の上手さだけで選ばれる場面は、副業の入口ではそれほど多くありません。
副業として絵を描く人が本業を持ちながら活動している例も珍しくありません。長く両立している人の言葉に、その感覚がよく表れています。
今は本職でも絵を描いていますが、それでもずっと継続して副業でも描いているので、やっぱりどっちの立場で描くのも好きです♪(会社で描くのは、組織の一員として描く感じ。家で副業で描くのは、自分一人が責任を持って描く感じ。僕はそのどちらもが好きです♪) 出典: note.com
お絵描き副業で実際に発生している仕事の種類
ひとくちにお絵描き副業と言っても、実際の仕事は用途でくっきり分かれます。用途が違えば求められる画風も納期も違うので、自分の描けるものと合う場所を選ぶことが最初の分岐点になります。
SNSやゲームで使うアイコンとヘッダーは、依頼件数がもっとも多い領域です。サイズが小さく、描き込みの量が限られるため、1件の作業時間を短くまとめやすいという利点があります。ただし単価も低めで、3,000円から1万5,000円程度の幅に収まる依頼が中心です。
配信者や動画投稿者向けの素材は、アイコンより単価が上がります。立ち絵、待機画面、サムネイル用の人物カットなどで、表情差分や衣装差分をセットで求められることが多く、1万円から5万円前後の依頼が目立ちます。差分の追加は工数がそのまま増えるので、見積もりの段階で1点いくらを決めておかないと、後から時間だけ削られます。
事業者向けの説明イラストと図解は、画風の主張よりも「わかりやすいか」で評価される仕事です。会社案内、サービス紹介ページ、社内マニュアル、採用パンフレットなどが対象で、1点あたり5,000円から3万円程度、まとまった本数で発注されると継続的な収入になりやすい領域です。ここは絵の技術より、文章を読んで図に落とす力が効きます。文章の構成を整える力が報酬に直結するという点では、著述家,記者,編集者の年収・単価相場で扱っている文章系の仕事と近い性質を持っています。
グッズや作品としての販売は、依頼を受けるのではなく自分で作って売る道です。ステッカー、アクリルスタンド、ポストカード、デジタル素材集などが該当します。1点あたりの利益は小さいものの、同じデータが何度も売れるので、時間と収入が切り離せる可能性があります。その代わり、売れるまでの時間が読めません。
ゲームや書籍の仕事は単価がもっとも高い層です。キャラクターデザイン1体で3万円から20万円を超える例もありますが、実績と守秘義務への対応が前提になるため、副業のスタート地点にはなりにくいと考えたほうが現実的です。
報酬の相場と、時間あたりで見たときの現実
お絵描き副業でつまずきやすいのが、単価と時間単価を混同してしまうことです。1件1万円の依頼は一見よさそうに見えますが、下描きから修正対応まで20時間かかれば、時間あたりは500円です。逆に1件4,000円のアイコンを3時間で仕上げられるなら、時間あたりは1,300円を超えます。最初に測るべきなのは、単価ではなく自分の制作時間です。
測り方は簡単で、練習でも構わないので、1枚に何時間かかったかを記録します。ラフに何時間、線画に何時間、着色に何時間、書き出しと調整に何時間。この内訳を5枚分そろえると、自分の1時間あたりの生産量が見えます。そこに希望の時間単価を掛ければ、受けてよい最低金額が決まります。
もうひとつ相場を歪めるのが修正です。修正回数を決めずに受けると、依頼者は悪気なく何度でも修正を頼みます。一般的な取り決めは、ラフ段階の方向転換は1回まで、線画以降の修正は2回まで、それ以降は追加料金という形です。この一文を見積もりに入れるだけで、実質の時間単価はかなり安定します。
仲介サービスを使う場合は、手数料も時間単価に影響します。クラウドソーシング型のサービスでは報酬から10%から20%程度が引かれるのが一般的で、年間50万円の売上なら5万円から10万円が手元に残らないことになります。仲介を挟まず発注者と直接契約できる在宅ワーク求人サイトでは手数料0%の仕組みを取っているところもあり、同じ受注額でも手取りが変わります。実績づくりの段階は仲介型を使い、やり取りに慣れてから手数料のかからない経路も併用する、という順番で考えると無理がありません。
始める順番:何から手を付けるか
「まず何をすればいいか」で止まっている人が多いので、順番を具体的に書きます。
最初にやるのは、描けるものを3種類に絞ることです。人物のバストアップ、動物、食べ物や小物。何でも描けますと書くより、この3つならこの品質で出せますと示したほうが依頼は来ます。依頼者は「自分の欲しい絵と同じものが並んでいるか」で判断しているので、幅よりも一致が効きます。
次に、その3種類で見本を6枚から10枚用意します。ここで大事なのは、実際に納品する形式で作ることです。アイコンを受けるなら正方形で、透過あり、SNSに載せたときの見え方まで確認したものを置きます。作品集にはA4サイズの大作が並んでいるのに、受けたいのはアイコン、という食い違いは本当によく見かけます。
3つめに、価格表を作ります。1点いくら、差分いくら、修正は何回まで、納期は何営業日。この4項目が決まっていない状態で依頼を受けると、交渉のたびに条件が変わって疲弊します。金額に自信がなくても、まず書いてしまったほうが動き出せます。
4つめに、受け取りの準備をします。振込先、請求書の書式、屋号を使うかどうか。請求書は無料の会計サービスでも作れますし、書式そのものはビジネス文書の型に従っておけば問題ありません。文書のルールを体系的に押さえたい人はビジネス文書検定の出題範囲が実務の目安になります。
最後に、応募先を選びます。仲介型のサービス、在宅ワーク求人サイト、SNSでの募集、知人からの紹介。この4経路を同時に見ておくと、片方が止まっても手が空きません。
私が最初に受けた図解の仕事では、参考資料を渡されたのにろくに読まず、自分の得意な描き方で仕上げて提出したことがあります。結果として全面差し替えになり、報酬は変わらないのに作業時間が2倍になりました。以来、着手前に資料を読み込み、「私はこう理解しました」という要約を1通送るようにしています。この1通があるだけで、方向違いの手戻りはほぼ消えました。
作品の売り方:自分で作って売る道の組み立て
自分で作って売る道は、依頼を待たずに始められる代わりに、売れる形に整える作業が必要です。
出口は大きく3つあります。デジタルデータの販売、印刷物やグッズの販売、そして素材としてのまとめ売りです。デジタルデータは在庫も発送もないので、副業として最も手離れがよい形です。印刷物やグッズは、受注生産に対応したサービスを使えば在庫を抱えずに始められます。素材のまとめ売りは、同じテーマの絵を30点から50点ほどそろえて1セットにする形で、単価を上げやすい反面、最初にまとまった制作時間が必要です。
売れる形に整えるうえで効くのは、用途を明示することです。「かわいいイラスト集」ではなく「飲食店のメニューに使える手描き風の料理カット40点」と書いたほうが売れます。買う人は絵を探しているのではなく、自分の困りごとを解決する材料を探しています。
価格は、安くすれば売れるという単純な構造になっていません。300円のデータを100個売るのと、3,000円のセットを10個売るのは同じ売上ですが、問い合わせ対応の手間は前者のほうが圧倒的に多くなります。副業で使える時間が限られているなら、単価を上げて点数を絞る方向が現実的です。
物として売る場合は、表示のルールにも注意が必要です。インターネットで継続的に商品を販売する場合、特定商取引法にもとづく表示として販売者の氏名、住所、連絡先の表示が求められます。自宅の住所を出したくない場合は、住所を貸すサービスを使う方法があります。制度の内容は所管の官庁が公開している一次情報で確認してください。法令の条文そのものを読みたい場合はe-Govから辿れます。
売り方の設計でもうひとつ効くのが、同じ絵を複数の出口に置くことです。1枚のイラストを、データ販売、ポストカード、スマートフォンの壁紙という3つの形で出すだけで、売れる可能性は単純に増えます。追加の制作時間はほとんどかからず、書き出しのサイズを変えるだけで済む場合も多いです。副業として時間が限られているなら、新しく描く前に「すでに描いたものを別の形で出せないか」を先に考えるほうが効率がよくなります。
反対に、やらないほうがよいことも挙げておきます。他人の作品に似せた絵を、似ていることを売りにして売るのは避けてください。既存のキャラクターや商標を無断で使った商品は、販売停止だけでなく損害賠償の請求につながる可能性があります。「よく見かけるから大丈夫」は根拠になりません。自分で考えた図柄だけで組み立てるのが、長く売り続けるための最短の道です。
依頼の受け方:取り決めておくと後で困らないこと
依頼を受ける道で問題になるのは、絵の技術ではなく決めごとの抜けです。トラブルの相談で挙がるのは、ほぼ次の5点に集約されます。
1つめは、権利の範囲です。納品した絵をどこまで使えるのか。SNSのアイコンだけなのか、商品に印刷してよいのか、他人に転売してよいのか。用途が広がるほど本来の料金は上がるので、「どこで、何に使いますか」を必ず先に聞きます。
2つめは、修正の回数です。前述のとおり、段階ごとに上限を書きます。書いていないと、依頼者側も「まだ直してもらえる」と思い込んだまま進みます。
3つめは、納期の数え方です。「1週間」ではなく「資料一式を受け取った日から7営業日」と書きます。資料が届かないまま日数が過ぎて、こちらが遅れた扱いになるのを防げます。
4つめは、支払いの時期です。着手金を先に受け取るのか、納品後の支払いなのか、いつまでに払われるのか。取引の条件を書面に残しておくことは、業務委託で働く側を守る基本です。フリーランスとして業務委託で受ける取引については、取引条件の明示や報酬の支払期日に関するルールが法律で整理されています。制度の詳細は公正取引委員会や厚生労働省の公式情報を確認してください。
5つめは、キャンセルの扱いです。ラフの段階で止まった場合、線画まで進んで止まった場合、それぞれいくら請求するのかを決めておきます。ここを決めていないと、作業した分がまるごと消えます。
この5点を1枚のテキストにまとめ、依頼を受けるたびに送るだけで、面倒な交渉の大半は前倒しで片付きます。長く続けている人は例外なくこの1枚を持っています。
書面と言うと構えてしまう人がいますが、契約書の形式である必要はありません。メールやメッセージで「この条件で進めます」と送り、相手から「それで問題ありません」と返ってきた記録が残っていれば、後から確認できる材料になります。逆に、通話だけで決めた条件は互いの記憶に頼ることになり、認識が食い違ったときに立場が弱くなります。話がまとまったら、その日のうちに文字にして送る習慣を付けてください。
やり取りの記録は、依頼が終わった後もフォルダごとに残しておくと役に立ちます。同じ依頼者から半年後に追加の依頼が来たとき、前回の条件と価格をすぐ出せるからです。前回と違う金額を出してしまうと、理由を説明する手間が発生します。案件ごとに、条件、金額、納品日、使った時間の4項目だけでも残しておけば十分です。
会社員が副業として描くときに確かめること
会社に勤めながら描く場合、確かめる順番があります。
最初は就業規則です。副業禁止と書かれているのか、届出制なのか、許可制なのか。就業時間外の活動をどこまで制限できるかには限界がありますが、規則に反した状態で進めれば社内の処分の対象になり得ます。曖昧なまま始めるより、届出の様式があるかを人事に確認したほうが早く済みます。
次に、本業と競合しないかの確認です。同じ業界の同じ用途の絵を、本業の取引先の競合に納品するような形は避けたほうがよい領域です。守秘義務の対象になっている資料や画風を持ち出すのは、当然ながら問題になります。
3つめが税金です。給与以外の所得が年間20万円を超える場合、確定申告が必要になるのが原則です。ここで注意したいのは、所得は売上ではなく、売上から経費を引いた金額だという点です。ペンタブレット、ソフトの利用料、参考書籍、通信費の一部などは経費として扱える可能性があります。所得税の取り扱いは国税庁の公式情報が一次情報です。なお、申告が必要な水準に達していない場合でも、住民税の申告は別途必要になることがあります。自分の住む自治体の案内を確認してください。
4つめに、記録の習慣です。売上と経費を月ごとに記録しておくだけで、申告の作業時間は大きく減ります。会計サービスを使う場合、freeeやマネーフォワードのような事業者向けの仕組みが使えます。無料の表計算ソフトで十分な規模なら、それでも構いません。
続ける人と辞める人の分かれ目
この分野で辞めていく理由は、意外にも「売れないから」ではありません。多いのは、生活のリズムに組み込めなかったというものです。
本業が終わってから描く場合、机に向かえる時間は実質2時間前後です。この2時間で何ができるかを決めておかないと、ソフトを立ち上げて資料を眺めただけで終わります。続いている人は、作業を工程で切って管理しています。月曜はラフ、火曜は線画、水曜と木曜は着色、金曜は書き出しと連絡。1日の中で完結させようとしないのが共通点です。
集中が続かないという相談もよく見ます。作業を細かく区切る方法は絵の作業とも相性がよく、在宅ワークの集中力アップ|ポモドーロ以外に効く7つのテクニックで扱っているような、時間を区切る以外の工夫も試す価値があります。
環境の問題も無視できません。データの受け渡しが大きくなりがちな仕事なので、通信が不安定だと納品のたびに時間を取られます。回線の選び方は作業効率に直結するので、在宅ワークに最適なネット回線|光回線vsホームルーターの選び方のような比較を一度見ておくと、後から買い直す手間が省けます。
もうひとつ、単価を上げる道を持っているかどうかが分かれ目になります。同じアイコンを同じ金額で受け続けると、収入は作業時間の上限で止まります。上げる方向は2つで、用途の広い仕事に移ること、そして絵以外の工程も引き受けることです。後者の例として、SNS運用の企画まで含めて受ける、広告用のバナー設計まで受ける、といった形があります。この領域の仕事の広がりはAI・マーケティング・セキュリティのお仕事で扱っている案件像が参考になります。
画像生成の普及で何が変わったか
この2年で変わったのは、「早く安く大量に」という需要の一部が自動化に移ったことです。ブログの挿絵や、量だけが必要なバナーの差分は、以前より依頼が減っています。この変化を無視すると、価格だけで比べられる場所に居続けることになります。
一方で、増えている需要もあります。キャラクターの設定を一貫させたい仕事、権利関係をはっきりさせたい仕事、実在の商品や店舗を正確に描く仕事は、むしろ人に頼む理由が強くなりました。修正指示を受けて意図どおりに直せること、権利の所在を書面で示せること、この2点は自動生成では代わりにならない部分です。
そのため、これから始める人が置く軸は「安く早く」ではなく「任せて安心」に寄せたほうが有利です。具体的には、設定資料を自分で作って渡す、修正のやり取りを記録として残す、使用範囲を文書で明示する。このあたりを標準の手順として持っている人は、価格で比べられにくくなります。
生成ツールを使うこと自体は、使い方次第で作業を短縮する道具になります。下描きの構図検討や色の当たりをつける工程で使い、最終的な線と仕上げは自分で描くという分担にしている人もいます。ただし、依頼を受ける側として使う場合は、依頼者が生成物の混入を許可しているかを必ず確認してください。ここを黙って進めると、信用の問題になります。ツールの業務への組み込みを本格的に扱う仕事としてはAIコンサル・業務活用支援のお仕事のような領域も広がっています。
依頼が来るようにするための見せ方
作品を置く場所を作っただけでは依頼は来ません。依頼者が見ているのは、絵そのものより「頼んだあとどうなるか」です。ここを見せられているかどうかで、同じ画力でも問い合わせの数が変わります。
まず、作品の1枚ごとに「何のために描いたか」を短く添えてください。飲食店のメニュー用、配信の待機画面用、社内資料の説明図。用途が書かれていると、依頼者は自分の案件に置き換えて考えられます。用途が書かれていない作品集は、きれいでも「自分の欲しいものが作れるかわからない」で終わります。
次に、制作の流れを箇条で示してください。問い合わせから見積もり、ラフの提出、修正、線画、着色、納品。どの段階で何を確認されるのかがわかると、初めて依頼する人の不安が減ります。特に社内の承認を通して発注する立場の人は、社内に説明できる材料を欲しがっています。
3つめに、納品するデータの形式を書いてください。拡張子、解像度、透過の有無、印刷に使えるかどうか。この情報がないと、依頼者は発注のたびに確認を挟むことになり、面倒がられて別の人に流れます。
4つめに、受けられない仕事も書いてください。取り扱わないジャンル、対応できない納期、引き受けない使用範囲。断る条件が明示されている人は、条件が合わない問い合わせに時間を取られません。書いておくと依頼が減るように感じますが、実際に減るのは成立しない相談だけです。
最後に、返信の目安を書いてください。営業日の何時までに返すのか、休みの曜日はいつか。返信が読めることは、安心して任せられる条件のひとつです。連絡の設計まで含めて仕事を組み立てる感覚は、開発系の在宅案件でも同じように求められます。実際の進め方の型はアプリケーション開発のお仕事の案件像を見ると、絵の仕事にも応用できる部分が見つかります。
市場を長く見てきた立場からの観察
フリーランスと在宅ワークの市場を20年運営してきた立場から言えば、絵の仕事で長く続いている人に共通しているのは、絵の質そのものよりも「この人に任せると楽だ」という評価を積んでいることです。返信が早い、指示の抜けを先に聞いてくれる、納品データの形式が最初から整っている。この3つが揃っている人は、単価交渉をしなくても次の依頼が来ます。逆に、絵は良いのに連絡が途切れる人は、1回で終わってしまいます。
もうひとつ、運営者として見てきた限りでは、手取りの厚さが継続の可否を左右しています。同じ2万円の依頼でも、仲介手数料が引かれるかどうかで手元の金額は変わります。発注者の側から見ても、中間マージンが乗らなければ同じ予算でより多くを依頼できます。手数料0%の仕組みが効くのは、金額の大小の話ではなく、依頼する側と受ける側の双方に余裕が生まれるという質の話です。余裕があるからもう1点頼める、余裕があるから丁寧に直せる。この循環に入った関係は、数年単位で続きます。
在宅の仕事全般で見ると、絵の仕事は「作品を売る」と「依頼を受ける」の両方を同じスキルで回せる珍しい分野です。依頼が薄い時期は自分の作品を作り、依頼が来たらそちらを優先する。この切り替えができるので、収入の谷が浅くなります。ほかの在宅の仕事と組み合わせて収入源を分ける考え方は、在宅ワークに強い資格10選|自宅で稼げるスキルを身につけるで扱っているような、スキルの土台を増やす発想とも噛み合います。
最後に、始めるときの目安を1つだけ挙げます。最初の3か月は、収入よりも「1件を完結させた回数」を数えてください。金額は後から上げられますが、依頼を受けて納品して請求するという一連の流れは、回数をこなさないと身に付きません。5件を完結させた時点で、自分が受けるべき仕事の種類と金額はかなり見えてきます。
よくある質問
Q. お絵描き副業は未経験でも受注できますか?
用途を絞れば可能です。SNSのアイコンや小物のカットのように描き込みの量が限られる領域は、見本が6枚から10枚あれば応募の判断材料になります。実績がない段階では、納期を守ることと指示を正確に読むことで評価を取るほうが確実です。まずは1件を完結させ、納品形式のやり取りに慣れてから単価の高い領域に移してください。
Q. 報酬の相場はどのくらいですか?
用途で幅があります。アイコンやヘッダーは3,000円から1万5,000円程度、配信者向けの立ち絵や差分付きの素材は1万円から5万円前後、事業者向けの説明イラストは1点5,000円から3万円程度が目安です。単価より自分の制作時間を先に測り、希望の時間単価を掛けて受注の最低額を決めてください。
Q. 会社員でも副業として描いて大丈夫ですか?
まず就業規則で副業の扱いを確認してください。禁止、届出制、許可制のどれに当たるかで対応が変わります。本業の取引先と競合する仕事や、守秘義務の対象を持ち出す形は避けてください。給与以外の所得が年間20万円を超える場合は確定申告が必要になるため、売上と経費の記録を月ごとに残しておくと後の作業が軽くなります。
Q. 修正を何度も求められて困っています。どう防げますか?
見積もりの段階で回数の上限を書いてください。ラフ段階の方向転換は1回まで、線画以降は2回まで、それ以降は追加料金という形が一般的です。あわせて、使用範囲、納期の起算日、支払いの時期、キャンセル時の扱いを1枚のテキストにまとめ、依頼を受けるたびに送ると交渉の大半が前倒しで片付きます。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
朝比奈 蒼@SOHO編集部
ITメディア編集者
IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。
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