【産後の在宅】ハンドメイド販売は作りためより受注数を絞ると続く


この記事のポイント
- ✓産後にハンドメイド販売を在宅で始めたい方へ
- ✓手数料と原価を踏まえた収支の考え方
- ✓自分で売る型と受託製作型の比較
結論から書きます。産後にハンドメイド販売を在宅で始めるなら、最初に決めるべきは「何を作るか」ではなく「在庫をどこまで持たないか」です。
理由は明快で、ハンドメイド販売は在宅ワークのなかで唯一、先にお金が出ていく構造だからです。材料を買い、作り、写真を撮り、売れるのを待つ。売れなければ、材料費と作業時間の両方が戻りません。データ入力や文字起こしのように、働いた分だけ確実に報酬が発生する仕事とは、リスクの構造がまったく違います。
そしてもうひとつ。「産後 ハンドメイド販売 在宅」で検索して出てくる情報の多くが、この点をぼかしています。「好きなことを仕事に」「スキマ時間で作品づくり」といった表現が並ぶ。正直なところ、これはどうかと思います。産後という限られた時間と体力を投じる判断をするなら、収支の構造を先に知っておくべきです。
この記事では、ハンドメイド販売の市場構造、自分で売る型と受託製作型の比較、原価と手数料を踏まえた実質時給の考え方、産後の生活で続けるためのコツ、そして法律と税金の注意点を順に整理します。良い面も悪い面も、両方書きます。
なお、体調の回復ペースには大きな個人差があります。細かい手作業を再開してよい時期や、1回あたりの作業時間については、必ず主治医や産後健診の場でご相談ください。この記事は在宅ワークの実務面に限定した内容です。
ハンドメイド販売の市場構造を、数字で押さえる
まず、売る場所と、そこで発生するコストの話をします。
プラットフォーム手数料は販売価格の1割前後が標準
ハンドメイド作品を売る場所は、大きく3種類あります。ハンドメイド専門のマーケットプレイス、フリマアプリ、そして自分のネットショップです。
専門マーケットプレイスの販売手数料は、おおむね販売価格の10%前後に設定されています。フリマアプリはやや高く、10%程度。自分でネットショップを開設する形なら手数料は下がりますが、集客をすべて自分で行う必要があります。
つまり、1,000円の作品が売れても、手元に入るのは900円前後。ここから材料費と送料を引くと、残りはさらに小さくなります。この構造を頭に入れてから価格を決めないと、作れば作るほど時間が減るだけ、という状態になります。
客単価は低い層に集中している
ハンドメイド作品の実勢価格は、アクセサリー類で800円から3,000円、布小物で1,200円から4,000円あたりに集中しています。ベビー用品やスタイ、名入れグッズは需要が安定していますが、価格帯は同様に低め。
ここが最初の壁です。1個1,500円の作品を月20個売っても、売上は3万円。そこから手数料と材料費を引くと、手元に残るのは半分程度になります。作業時間が1個あたり1時間なら、実質時給は750円前後。
これは「向いていない」という話ではなく、「価格設定と作業時間の設計が全て」という話です。逆に言えば、この2つを設計できれば、数字は変わります。
検索して出てくる「ハンドメイド 在宅」の求人は、販売ではない
ここは注意喚起として書いておきます。求人サイトで「ハンドメイド 在宅」と検索すると、作品を売る仕事とは無関係な募集が大量に混ざります。
ボディケア、アロマトリートメントがメインの施術となりますが、時間内オーダーメイド式で施術をご提供いただいていますので...在宅訪問,完全歩合,繁華街にある,客単価10,000円以上,経験者歓迎... 出典: 求人ボックス
これは「ハンドメイド」でも「在宅」でもない、施術業の業務委託です。検索エンジンが「ハンド」「メイド」「在宅」という語を拾った結果、まったく別業種の募集が混ざっている。
同じ検索結果には、ハンドメイド用パーツの検品作業、梱包作業、数珠製作といった内職系の募集も並びます。これらは実在する仕事ですが、「自分の作品を売る」こととは別物です。募集を見るときは、自分がやりたいのが「作って売る」なのか「作って納める」なのかを、先に区別してください。
「作って売る」と「作って納める」を比較する
産後にどちらを選ぶかで、リスクも収入の安定性も大きく変わります。フェアに比較します。
自分で売る型(マーケットプレイス出品)
良い点は、作るものを自分で決められること、価格を自分で設定できること、そして売れれば利益率が高いことです。デザインが評価されれば、同じ作業時間でも単価を上げられます。作品が資産として蓄積し、リピーターが付けば安定します。
悪い点は、収入がゼロの月がありうること、在庫リスクを自分で負うこと、そして販売以外の作業が想像以上に多いことです。撮影、説明文の作成、価格調整、問い合わせ対応、梱包、発送、確定申告用の記録。制作時間は全体の半分以下になることも珍しくありません。
産後の観点で言うと、「収入が読めない」という性質が最大のネックです。家計の補填を目的にするなら、この型だけに賭けるのは危険だと考えています。
受託製作型(在宅職人・内職・受注生産)
企業や作家から依頼を受けて、指定された仕様のものを作る形です。数珠の製作、パーツの組み立て、ぬいぐるみの衣装製作、ノベルティの手作業など、募集は継続的に出ています。
良い点は、材料が支給されることが多く、初期投資が不要なこと。そして作った分だけ確実に報酬が発生することです。在庫リスクがありません。収入が読めるという点で、産後の家計には向いています。
悪い点は、単価が低いこと、作るものを選べないこと、そして納期が固定されていることです。1個あたり数十円から数百円という設定が多く、量をこなさないと金額になりません。
正直に書くと、時給換算では受託製作型のほうが低くなりがちです。ただし「確実に入る」という性質は、産後の不安定な時期には金額以上の価値があります。
産後の入り口としてどちらを選ぶか
現実的な答えは、「受託製作型で手を動かす感覚を取り戻しつつ、自分で売る型を小さく試す」という併走です。
理由は2つあります。1つは、産後は作業速度が読めないため、いきなり在庫を抱える判断ができないこと。もう1つは、受託製作で「1個作るのに何分かかるか」を計測できれば、自分で売る型の価格設定が正確になることです。
在宅で成立している仕事の全体像を先に見ておきたい方は在宅でできる仕事おすすめ【2026年版】|スキル別ランキングが網羅的です。ハンドメイド販売が他の選択肢と比べてどの位置にあるのかを、収入の安定性という軸で確認してから決めることをおすすめします。
収支を正しく計算する方法
ここを飛ばす人が本当に多い。数字で管理できるかどうかが、続くかどうかを決めます。
原価率は3割以下に抑えるのが目安
材料費が販売価格に占める割合を、原価率と呼びます。ハンドメイドの場合、30%以下が目安です。1,500円で売る作品なら、材料費は450円まで。
これを超えると、手数料と送料を引いた後にほとんど残りません。逆に言えば、「良い材料を使いたい」と思ったら、価格を上げるしかない。安い価格で高い材料を使う設計は、必ず破綻します。
なお、原価には材料費だけでなく、梱包資材、ラッピング、値札、送り状も含めて計算してください。1個あたり80円から150円程度の梱包コストは、意外と効いてきます。
送料をどちらが負担するかを最初に決める
送料込みの価格設定にするか、購入者負担にするか。この判断で利益が変わります。
市場の傾向として、送料込みのほうが売れやすいのは事実です。ただし、小さな作品で送料込みにすると、利益がほぼ消えます。1,000円未満の作品を送料込みで出すのは、構造的に無理があると考えています。
対策としては、複数個まとめ買いを促す設計にする、あるいは価格帯を上げて送料を吸収できる作品に絞る。この2つが現実的です。
実質時給を必ず一度は計算する
計算式は単純です。「(販売価格 マイナス 手数料 マイナス 材料費 マイナス 梱包費 マイナス 送料) 割る 制作から発送までの総時間」。
ここで大事なのは、分母に制作時間だけでなく、撮影、出品作業、梱包、発送、問い合わせ対応をすべて含めることです。この計算をすると、多くの方が驚きます。私も編集の仕事で似た経験をしていて、記事1本の単価だけ見て引き受けた結果、取材と修正対応を含めた総時間で割ったら想定の3分の1だった、ということがありました。分母を正しく取らないと、判断を間違えます。
計算した結果が低くても、そこで諦める必要はありません。問題は「どこに時間を食われているか」を特定することです。撮影に毎回1時間かかっているなら、撮影場所と設定を固定して10分に短縮できます。改善できるポイントは必ずあります。
産後の生活で無理なく続けるための設計
ここからは実務的な話です。
工程を5つに分割して、別々の日にやる
ハンドメイドを「作品を作る作業」として1本で捉えると、まとまった時間がない産後には成立しません。工程を分割してください。
材料の準備と裁断。制作。写真撮影。出品作業(説明文の作成と価格設定)。梱包と発送。この5つは、それぞれ性質も必要な集中力も違います。
材料の準備は細切れ時間でもできます。制作は集中が要ります。撮影は明るい時間帯に限られます。出品作業は文章を書くので静かな時間が向いています。梱包は単純作業なので、疲れている日でもできる。
この振り分けができると、「今日は30分しかないから材料の準備だけ」という進め方が可能になります。1日で1個完成させようとするから止まるのであって、工程で分ければ止まりません。
実際の1日の組み立て方については在宅ワーク主婦の1日のタイムスケジュール公開に具体例が出ています。理想論ではない時間割を見ると、自分の生活への落とし込み方が見えてきます。集中できる時間を確保する工夫は在宅ワークの集中力アップ|ポモドーロ以外に効く7つのテクニックにまとまっており、制作工程のように中断コストが高い作業には特に有効です。
在庫を持たない設計から始める
最初は受注生産、つまり注文が入ってから作る形にしてください。在庫を先に作ると、売れなかったときに材料費と時間の両方を失います。
受注生産のデメリットは、発送までの日数がかかることです。ただし、これは「制作に7日から10日いただきます」と明記すれば解決します。ハンドメイド作品を買う人は、既製品より待つことを前提にしています。産後の状況で、即日発送を約束する必要はまったくありません。
むしろ、無理な納期を設定して守れないほうが、評価に響きます。余裕を持った日数を最初から提示してください。
発送のタイミングを週1回に固定する
注文のたびに郵便局やコンビニへ行くのは、産後の生活では負担が大きい。発送日を週1回に固定し、商品ページにもその旨を書いておく。これだけで移動の回数が激減します。
集荷サービスや、コンビニ受け渡しのフリマ便を使う方法もあります。子どもを連れて外出せずに完結する経路を、最初に確保してください。
作業場所の安全を確保する
これは実務というより前提の話です。ビーズ、金具、針、ボタン。ハンドメイドで使う材料の多くは、小さくて誤飲の危険があります。
赤ちゃんが自由に動けるようになる前でも、作業スペースは分離してください。作業後に床に落ちたパーツがないか確認する習慣を、最初から作ること。トレイの上でだけ作業する、蓋付きのケースに戻す、といったルールを決めておくと確実です。
これは効率の話ではなく、安全の話です。ここだけは省略しないでください。
売れている出品者がやっていること
市場を観察すると、売れる出品と売れない出品の差は、作品の質だけでは説明できません。
写真の情報量が違う
売れている出品は、写真が最低5枚あります。全体、拡大、裏側、サイズがわかる比較対象と並べたもの、実際に使っている状態。この5枚が揃っていると、購入者の不安がほぼ消えます。
背景は白か木目に固定。自然光の入る時間帯に、同じ場所で撮る。この2つを決めておけば、撮影時間は大幅に短縮できます。スマートフォンのカメラで十分です。
説明文が具体的である
「かわいい○○です」だけの説明文は売れません。売れている出品は、サイズ(ミリ単位)、素材、重さ、想定される用途、注意点(金属アレルギーの有無、洗濯可否など)が明記されています。
つまり、購入者が質問したくなることを先に書いておく。これは問い合わせ対応の削減にも直結します。産後の限られた時間を、同じ質問への回答に使うのはもったいない。
文章の型を体系的に押さえておくと、説明文の質が安定します。ビジネス文書検定は文書作成の基本的な型を学ぶ枠組みとして知られており、説明文や取引メッセージの書き方に応用が効きます。
SNSでの発信を制作の一部に組み込む
ハンドメイド販売は、出品しただけでは見つけてもらえません。SNSからの流入が売上を左右します。
ただし、産後にSNS運用まで完璧にやろうとすると破綻します。現実的なのは、制作工程の写真を撮っておいて、週2回だけ投稿するという最低限の運用です。毎日投稿する必要はありません。
近年は、投稿文の作成や画像の整理にAIツールを使う出品者も増えています。マーケティング分野でAIがどう業務に組み込まれているかはAI・マーケティング・セキュリティのお仕事に、企業側の活用事例を含めて整理されています。個人の販売でも、考え方の部分は転用できます。業務全体をAIで効率化する視点はAIコンサル・業務活用支援のお仕事が参考になります。
将来的に自分のネットショップを持ちたい場合、技術面の理解があると選択肢が広がります。アプリケーション開発のお仕事にはWebサービスがどう作られているかがまとまっており、CCNA(シスコ技術者認定)のようなIT系の資格は直接販売に効くわけではありませんが、専門性を持つことで単価が上がるという構造はどの分野でも共通です。
初心者が最初に選ぶべき題材の条件
何を作るかを決めるときに、好みだけで選ぶと続きません。産後という条件を前提にすると、題材には満たすべき条件があります。
1個あたりの制作時間が30分以内に収まること
産後の生活で確保できる時間は、多くの場合30分単位です。1個作るのに3時間かかる作品は、完成までに何日もかかり、途中で中断が入ります。中断が入ると、作りかけの状態を保管する場所も必要になります。
まずは30分以内で1個が仕上がる題材から入ってください。ピアスやイヤリング、シンプルなヘアアクセサリー、小さな布小物などが該当します。慣れて作業が速くなってから、単価の高い複雑な作品へ広げるほうが、途中で止まりません。
材料が近所か通販ですぐ揃うこと
特殊な材料を使う作品は、材料の入手そのものがボトルネックになります。産後は買い物に出る回数を増やせません。手芸店の通販で常時在庫があるもの、複数の店で扱いがあるものを選んでください。
材料が廃番になると、同じ作品を作り続けられなくなります。リピーターが付いた後にこれが起きると、機会損失が大きい。定番として長く流通している材料を選ぶのは、地味ですが重要な判断です。
季節に左右されにくいこと
季節限定の題材は、売れる時期が短く在庫リスクが高くなります。産後の1年目は、通年で需要がある題材に絞るほうが安全です。ベビー用品、シンプルなアクセサリー、日常使いの布小物などは、季節変動が比較的小さい傾向があります。
季節ものに手を出すのは、通年商品で売れ方のパターンをつかんでからで十分です。
法律と税金で押さえるべきこと
ここを知らずに始めて、後から困る方が一定数います。
継続的に販売する場合は特定商取引法の表示が必要になる
ネットで継続的に商品を販売する場合、特定商取引法に基づく表示(事業者名、住所、連絡先、返品条件など)が求められます。マーケットプレイスによっては、プラットフォーム側の情報で足りる運用になっているものもありますが、自分でネットショップを開く場合は自分で表示する必要があります。
住所や電話番号の公開に抵抗がある方は多い。プラットフォームによっては開示請求があった場合に遅滞なく提供する形での運用を認めているケースもあります。利用するサービスの規約を必ず確認してください。法令の条文はe-Govで確認できます。
作るものによっては別の規制がかかる
これは見落とされがちです。食品を作って売るなら食品衛生法の営業許可が必要になります。石けんや化粧品の類は、薬機法の規制対象です。「ハンドメイドだから自由」ということはありません。
アクセサリーでも、金属アレルギーに関する表示や、乳幼児向け製品の安全性については注意が必要です。乳幼児向けの布製品を作る場合、素材の安全性に関する基準を確認してください。
キャラクターの生地を使った作品を販売することも、著作権や商標権の問題になり得ます。生地に「商用利用不可」と明記されているものは、作品にして売ることができません。ここは購入前に確認する習慣を付けてください。
収入が出たら税金と扶養を確認する
販売で得た所得が一定額を超えると、確定申告が必要になります。材料費、送料、梱包資材、プラットフォーム手数料は経費として扱えます。何が経費になるか、いくらから申告が必要かは国税庁の情報が出発点になります。
配偶者の社会保険の扶養に入っている場合、税の基準と社会保険の基準は別物です。加入している健康保険組合によって運用が異なるため、パートナーの勤務先経由での確認が必要です。年金や健康保険の一般的な考え方は日本年金機構にまとまっています。
育児休業給付金を受け取りながら販売する場合の扱いについては、必ずハローワークと勤務先の人事担当の両方に確認してください。制度の一般的な情報は厚生労働省で確認できますが、個別ケースの可否は窓口確認が確実です。
受託製作で働く場合は契約条件を文字で残す
企業から受注して製作する形なら、業務委託契約になります。業務内容、単価、支払期日、不良品が出た場合の扱い。この4点は必ず書面かメールで確定させてください。
支払い遅延や一方的な減額に直面した場合の相談先は公正取引委員会が公開しています。2024年11月に施行されたフリーランス保護新法では、報酬の支払期日や取引条件の明示について発注者側の義務が定められています。知っているだけで、交渉の姿勢が変わります。
注意したい募集の見分け方
内職系の募集には、古典的な悪質パターンが今も残っています。
「材料キットを購入すれば在宅で製作の仕事ができる」という形。これは、仕事の提供を口実に商品を買わせる取引にあたる可能性が高い。特定商取引法で規制対象とされている類型です。
見分け方は単純で、働き始める前にこちらがお金を払う構造かどうか。登録料、材料費、キット代、講習費。名目に関わらず、先に支払いを求める募集は避けてください。まともな発注者が受注者から金銭を徴収する必要はありません。
「作れば全部買い取ります」という約束も要注意です。実際には品質基準を理由に買い取りを拒否されるケースが報告されています。買取条件が具体的に文書化されていない募集は、応募前に立ち止まってください。
最初の3か月を、週単位で設計する
「何から始めればいいか分からない」という状態で走り出すと、材料だけが増えていきます。産後の限られた時間を無駄にしないために、最初の3か月の中身を具体的に決めておきます。
1か月目:作らずに、調べて計測する
いきなり作り始めないでください。最初の1か月は、市場を見る期間に充てます。
やることは3つです。1つ目は、自分が作りたい題材の実勢価格を30件分書き出すこと。価格帯の中心値と、上位の出品者が何を売りにしているかが見えてきます。2つ目は、材料の入手先と単価を確定させること。同じ材料を扱う店を2つ以上見つけておくと、廃番のリスクが下がります。
3つ目が重要で、試作を3個だけ作り、1個あたりの制作時間を実測することです。ここで出た数字が、以降のすべての判断の土台になります。感覚で「30分くらい」と見積もると、ほぼ確実に外れます。
2か月目:3点だけ出品する
出品数を増やしたくなりますが、最初は3点に絞ってください。理由は、売れなかったときに「何が原因か」を切り分けられるからです。
10点を同時に出すと、写真が悪いのか、価格が高いのか、題材が合っていないのかが分かりません。3点なら、価格だけを変える、写真だけを撮り直すといった検証ができます。
この月にやるのは、出品して、2週間ごとに1つだけ条件を変えることです。同時に複数を変えないでください。何が効いたか分からなくなります。
3か月目:売れた理由と売れない理由を分ける
3か月目に入ると、判断材料が揃ってきます。ここで初めて、方向を決めます。
見るのは、閲覧数と購入数の2つです。閲覧数が少ないなら、見つけてもらえていないので、タイトルと検索されそうな言葉を見直します。閲覧数はあるのに買われないなら、写真か価格か説明文の問題です。この切り分けさえできれば、次に何をすべきかが自動的に決まります。
産後の1年目は、売上を伸ばすことより「判断の仕組みを作ること」に価値があります。仕組みができていれば、時間が取れるようになったときに一気に伸ばせます。
問い合わせとトラブルを、型で処理する
対応そのものより、「どう答えるか考える時間」が負担になります。先に型を決めておけば、その場の判断が要りません。
返品と不良品の線引きを、出品前に決めておく
到着した商品に不備があった場合の対応は、迷わず受けてください。作り直すか返金するかは、材料費と制作時間を比べて決めます。
一方で、「イメージと違った」という理由の返品を受けるかどうかは、自分で決めてよい部分です。手作りの品は、色味や風合いに個体差が出ます。この点を商品説明に明記しておけば、無条件に応じる義務はありません。
決めた方針は、商品説明のいちばん下に短く書いておいてください。書いてあることは、まずトラブルになりません。書いていないことだけが揉めます。
オーダーメイドの依頼は、条件を絞って受ける
「この色で作れますか」「サイズを変えられますか」という依頼は、必ず来ます。産後の状況で全部受けると、作業時間が読めなくなります。
現実的な運用は、受ける範囲を先に決めて公開しておくことです。たとえば「色の変更のみ対応、サイズ変更と新規デザインは不可」と書いておく。これなら、判断せずに機械的に返せます。
追加料金の設定も先に決めてください。色変更なら300円加算、といった形です。金額を毎回考えるのが、いちばん時間を食います。
低評価がついたときの動き方
低い評価は、いずれつきます。産後の疲れた状態でこれを受け取ると、想像以上にこたえます。
決めておくのは、「その日は返信しない」というルールです。感情が動いている状態で書いた文章は、後から読み返すとほぼ後悔します。翌日、事実だけを短く返す。それで十分です。
そして、評価は件数が積み上がるほど1件の重みが薄まります。最初の数件のうちは影響が大きく見えますが、続けていれば必ず薄まります。1件で全部が決まる仕組みではありません。
現場を長く見てきた立場からの観察
在宅ワークとフリーランスの市場を20年運営してきた立場から、いくつか書いておきます。
ハンドメイドで長く続いている方に共通しているのは、作品の完成度ではありません。「売れた理由と売れなかった理由を記録している」ことです。この色は動いた、このサイズは動かなかった、この時期はこれが出た。感覚ではなく記録で判断している人が残っています。逆に、作りたいものだけを作り続けて在庫が積み上がる形は、産後の資金繰りに直接響きます。
そして受託製作の側で見ていると、長く依頼が続く方は、納期の連絡が早い。「間に合いません」ではなく「3日前倒しで進んでいます」あるいは「2日遅れる見込みです」を先に出す。発注側にとって最も価値があるのは、品質より予測可能性です。これは技能ではなく習慣の問題で、産後の限られた時間でも身につけられます。
報酬の経路についても書いておきます。ハンドメイドの販売手数料が10%前後、大手クラウドソーシングの手数料が16.5%から20%程度。この差は、年間で見ると小さくありません。仲介手数料が差し引かれる形では、依頼者が支払った金額と受け手が受け取る金額のあいだに必ず差が生まれます。中間マージンが乗らない直接取引の形なら、依頼者は同じ予算でより多くを頼めて、受け手は手数料0%のまま手取りが厚くなる。運営者として見てきた限りでは、この構造の違いを理解している人ほど、同じ作業量で残る金額が大きい。
産後は作業時間そのものを増やせない局面です。だからこそ、1時間の労働に対する取り分が厚い経路を選ぶ意味が、他のどの時期より大きくなります。
最後に、収入の柱としての位置づけについて。ハンドメイド販売は、軌道に乗るまでに時間がかかる形式です。市場を見てきた実感として、出品開始から安定した受注が入るまでには半年から1年程度を見ておくのが現実的だと考えています。だから、産後すぐの家計を支える手段として単独で選ぶのはおすすめしません。
確実に報酬が発生する仕事を軸に置きながら、ハンドメイドは並行して育てる。この二本立てなら、収入の不安を抱えずに続けられます。作りたいものを作る時間を守るためにも、収入の柱は別に持っておくほうが合理的です。
よくある質問
Q. 産後にハンドメイド販売を始めるなら、最初に何をすべきですか?
在庫を持たない設計にすることです。最初は受注生産にして、注文が入ってから作る形にしてください。在庫を先に作ると、売れなかったときに材料費と作業時間の両方を失います。商品ページに「制作に7日から10日いただきます」と明記すれば、余裕を持った納期で運用できます。
Q. ハンドメイド販売の手数料や原価はどのくらい見ておくべきですか?
プラットフォームの販売手数料は販売価格の10%前後が標準です。材料費は販売価格の30%以下に抑えるのが目安で、梱包資材やラッピング、送り状も原価に含めて計算してください。1個あたり80円から150円程度の梱包コストは見落としやすいので、必ず入れて実質時給を計算しましょう。
Q. 自分で作品を売るのと、受託製作を受けるのはどちらが産後向きですか?
収入の安定性なら受託製作型です。材料が支給されることが多く初期投資が不要で、作った分だけ確実に報酬が発生します。ただし単価は低め。現実的には、受託製作で1個あたりの所要時間を計測しながら、自分で売る型を小さく試す併走をおすすめします。
Q. 材料キットを買えば在宅で製作の仕事ができる、という募集は大丈夫ですか?
避けてください。仕事の提供を口実に商品を買わせる取引は、特定商取引法で規制対象とされている類型にあたる可能性が高いです。登録料、材料費、キット代、講習費など、名目に関わらず働き始める前にこちらが支払う構造の募集は応募しないことをおすすめします。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
朝比奈 蒼@SOHO編集部
ITメディア編集者
IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。
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