職歴より扱った会議の種類を書く在宅議事録作成の職務経歴書


この記事のポイント
- ✓議事録作成の在宅案件に応募して落ち続けている方へ
- ✓職務経歴書に社名と在籍年数を並べても通りません
- ✓納品までの時間をどう書くか
まず、安心してください。議事録作成の在宅案件に応募して落ち続けているのは、皆さんの経験が足りないからではありません。職務経歴書の書き方が、この仕事の選考基準とかみ合っていないだけです。
私が見てきた限り、落ちる職務経歴書には共通点があります。社名、在籍年数、担当部署、そして「議事録作成を含む庶務全般」という一行。これで終わっているのです。発注側はこの書類から、あなたが自社の会議を任せられる人かどうかを判断できません。判断できない書類は、通りません。
この記事では、職務経歴書のどこを書き換えれば選考が動くのかを具体的に示します。結論を先に言うと、書くべきは職歴ではなく「扱った会議の種類」です。何人が参加する、どういう性質の会議を、何時間分、どのくらいの時間で仕上げてきたのか。この4点が書かれていない書類は、在籍20年でも通りません。逆にこの4点が書かれていれば、在籍3年でも通ります。
在宅の議事録作成で職務経歴書に割かれる時間は1分もない
最初に、発注側がどういう状況で書類を読んでいるかを共有します。ここを誤解したまま書き直しても、結果は変わりません。
議事録作成を外部に出す会社は、たいてい人手が足りていません。会議に出ている人が議事録も書いていて、その負担が限界に来たから外に出す。つまり発注担当者自身が忙しい。応募が10通あれば、1通あたりに使う時間は1分を切ります。最初の画面に映る範囲、A4で言えば上から3分の1で「読み進めるか、閉じるか」が決まっています。
この現実を踏まえると、職務経歴書の上部に「経歴の時系列」を置くのは最悪の選択です。時系列は下から読むか上から読むかで印象が変わりますし、そもそも発注側は皆さんの転職歴に関心がありません。関心があるのは1点だけです。「この人にうちの会議を渡して、こちらの手間が減るのか」。
在宅の場合、この判断がさらにシビアになります。オフィス勤務なら、初日に隣の席で教えられます。分からなければその場で聞ける。在宅ではそれができません。
在宅ワークだと、オフィスみたいに「隣の席の人にちょっと聞く」ができない。だからこそテキストで残す議事録の重要度が高い。 出典: note.com
引用のとおり、在宅では議事録そのものの重要度が上がります。同時に、議事録を書く人を選ぶときの慎重さも上がります。教える手間がかけられないぶん、「最初から分かっている人」を探すしかない。だから書類で確認したいのは「教えなくても済むか」なのです。
議事録作成の在宅案件がどこにあり、いくらで動いているか
相場観も押さえておきます。ここを外すと、応募先の選び方から間違います。
会議1時間分の議事録を、要約形式で仕上げる仕事の外部委託単価は、案件により3,000円から1万5,000円程度に分布します。この幅は品質の差ではなく、求められる成果物の差です。発言をほぼ拾う逐語に近いものは高く、決定事項とタスクだけを箇条書きにするものは安い。音声の質、参加人数、専門用語の多さでも変わります。
一方、雇用型で議事録作成を担当する求人の相場も見ておく価値があります。求人ボックスに出ているIT系プロジェクトの事務求人には、次のような条件のものがあります。
【仕事内容】月収34万以上 課題管理・議事録作成担当/A23496 仕事内容:<プロジェクト管理>・大手日系生命保険プロジェクトの課題管理・議事録作成担当の引継ぎ<担当製品>プロジェクト 職種:<システム運用管理・保守>IT系(開発) 使用するツール:PowerPoint、Excel、Word 給与:<時給>2,180円 交通費別途支給<月収例>34万8800円=時給2180円×160時間(残業代別途) 出典: 求人ボックス
時給2,180円という数字は、議事録作成が単体では低く見られがちな一方、プロジェクト管理の文脈に乗ると評価が上がることを示しています。ここが職務経歴書の書き方に直結します。「会議の記録を取る人」として売るのか、「プロジェクトの決定を管理する人」として売るのか。同じ経験でも、後者の書き方をした人が通ります。
在宅の業務委託でも構図は同じです。単価が上がるのは、議事録の先にある業務、つまり課題管理表の更新、タスクの担当者への割り振り、次回会議のアジェンダ案作成まで含めて任せられる人です。職務経歴書には、そこまで手が届く人であることを書かなければなりません。
会議の種類を書くと選考が動く理由
ここからが本題です。なぜ職歴ではなく会議の種類なのか。
理由は単純で、議事録作成の難易度は会議の種類でほぼ決まるからです。社名を見ても難易度は分かりません。「株式会社◯◯で総務5年」と書かれていても、そこでどんな会議を扱ったのかが分からなければ、発注側は自社の会議に当てはめて考えることができない。
逆に「参加者12名の部門横断プロジェクト定例、週1回90分、発言者は毎回6名前後」と書かれていれば、発注側は即座に自社の会議と比較できます。「うちの会議は8名だから、これなら大丈夫だな」と。この比較ができた瞬間に、書類は通過します。
議事録の難易度を決める5つの会議タイプ
会議を種類で書くとき、次の5分類で整理すると発注側に伝わります。
1つ目は定例報告会議です。各担当が進捗を順番に述べる形式で、発言順が決まっており、話題も予測できます。議事録としては最も易しい部類ですが、量が多くなりがちです。週次で30分から60分、参加者5名から15名という規模が典型です。
2つ目は意思決定会議です。役員会、稟議の審議、投資判断など、結論を出すことが目的の会議です。難易度が上がるのは、途中の議論が結論に至る過程を残す必要があるからです。「A案が却下された理由」を書き落とすと、後から同じ議論が蒸し返されます。ここを書ける人は評価されます。
3つ目はブレインストーミングや企画会議です。発言が飛び交い、話者の特定が難しく、結論が出ないまま終わることもあります。逐語で追うと収拾がつかないので、論点ごとに再構成する編集力が要ります。難易度は高めです。
4つ目は顧客との商談や打ち合わせです。社外が入るため、記録の正確さが後々の契約トラブル防止に直結します。言った言わないを避けるための記録という性質が強く、要約しすぎると価値がなくなります。
5つ目はトラブル対応や障害報告の会議です。時系列の正確さが命で、「何時何分に誰が何をしたか」を落とせません。専門用語も多い。難易度は最も高い部類です。
職務経歴書には、このうち自分が実際に扱ったものを具体的に書きます。5つ全部を書く必要はありません。むしろ2つか3つに絞って、それぞれを深く書いたほうが通ります。
参加人数、時間、発言者数の3点セットを添える
会議の種類だけでは、まだ足りません。同じ「定例会議」でも、参加者3名と参加者20名では別の仕事です。
書くべき数字は3つです。参加人数、会議時間、そして実際に発言する人数。3つ目を書く人はほとんどいませんが、これが一番効きます。参加者20名でも発言するのが3名なら、議事録は易しい。参加者6名で全員が発言するなら、話者の特定に神経を使います。この違いを分かっている人だと伝わるからです。
書き方の例を挙げます。
「月次の営業部門定例(参加15名、60分、発言者は部長含め5名前後)を3年担当。決定事項とタスクを分けた要約形式で、会議終了から4時間以内に共有」
この一文に、会議の種類、規模、発言者数、期間、成果物の形式、納期がすべて入っています。発注側はこれを読んで、自社の会議に当てはめられます。社名は不要です。
納品までの時間は、実は最重要の項目
発注側が外部に議事録を出す最大の理由は、スピードです。会議の翌週に議事録が出てきても意味がない。決定したことを、参加していない人に伝えて動かすために議事録があるからです。
特に在宅ワークだと、1日に複数のオンライン会議が入ることもある。後回しにすると「あれ、どの会議で何が決まったっけ?」となる。 出典: note.com
だから職務経歴書には、納品までの時間を必ず書きます。「当日中」「翌営業日午前」「会議終了後2時間以内」。この記載があるかないかで、書類の説得力がまったく変わります。
注意点として、書いた時間は守れる範囲にしてください。「1時間以内」と書いて実際は3時間かかるなら、初回の案件で信頼を失います。60分の会議を要約議事録にする作業は、慣れた人でも60分から90分かかります。文字起こしから起こすなら3時間を見ておくべきです。ここを盛るのは、長期的には損です。
落ちる職務経歴書に共通する4つの書き方
私が退職前に副業を始めたとき、最初に書いた職務経歴書は今見ると惨憺たるものでした。技術部門で20年やってきた自負があったので、担当製品と役職を並べて満足していたのです。当然、通りませんでした。以下は、そのとき自分がやっていた失敗も含めて整理したものです。
「議事録作成」という単語だけが書いてある
最も多いパターンです。「業務内容:会議運営、議事録作成、資料作成、庶務全般」。
この書き方の問題は、情報量がゼロに近いことです。日本の会社員でこの経験がない人のほうが少ない。差別化になっていません。発注側から見ると「他の9人と同じ」であり、選ぶ理由がありません。
直し方は単純で、単語を文にすることです。何の会議で、どういう形式の記録を、どのくらいの速さで作ったのか。単語を並べる欄が足りないと感じたら、書く項目を減らして1項目を厚くしてください。項目数より深さです。
経歴の時系列が主役になっている
2つ目は、履歴書と職務経歴書を同じ発想で書いてしまうパターンです。上から入社順に社名が並び、業務内容は各社2行ずつ。
在宅の業務委託では、時系列そのものに価値がありません。発注側は、あなたのキャリアの物語を読みたいのではなく、今この仕事ができるかを知りたい。だから構成を変えます。
上から順に、扱える会議の種類と実績、納品形式とスピード、使用ツールと環境、そして最後に経歴の要約。この順です。時系列を後ろに回すことに抵抗があるかもしれませんが、在宅案件ではこの順のほうが通ります。40代、50代で応募する場合はなおさらです。年齢や在籍年数より、今できることを先に見せたほうがいい。
使えるツールの名前を並べただけ
3つ目は、ツール名の羅列です。「Word、Excel、PowerPoint、Zoom、Teams、Notion、各種文字起こしツール」。
ツール名は、使えて当たり前という前提で読まれます。並べても加点になりません。加点になるのは、ツールをどう使い分けているかです。
例えばこう書きます。「録音は会議アプリの標準機能と手元のICレコーダーで二重に取り、片方が失敗しても復旧できるようにしている。自動文字起こしは下書きとしてのみ使い、決定事項と数値は必ず音声で確認してから確定する」。
この2文は、ツールへの依存度と、事故に対する備えの両方を示しています。発注側が一番怖いのは「録音が失敗したので議事録が作れません」という連絡です。そこに手当てがある人だと分かれば、書類は通ります。
なお、AIの自動文字起こしを使うこと自体は、今や隠す必要のない前提です。ただし「AIに投げているだけの人」と見られると単価が下がります。人が手を入れている部分を明示してください。
守秘義務への配慮が書かれていない
4つ目、これは中高年で経験が長い方ほど陥りやすい落とし穴です。実績を具体的に書こうとして、前職の会議内容を書きすぎてしまう。
「大手金融機関の◯◯システム刷新プロジェクトで、予算◯億円の投資判断会議を担当」。こう書くと、経験の厚みは伝わります。しかし同時に「この人は他社の秘密も同じように話すのだな」と伝わります。守秘義務が特に厳しい議事録という仕事では、これは致命傷です。
正しい書き方は、業種と規模を抽象化することです。「金融系の基幹システム刷新案件で、経営層が参加する投資判断会議を担当。予算規模、社名、システム名は開示不可」。この一文があると、むしろ信頼が上がります。開示できないことを明示できる人は、扱いを分かっている人だからです。
契約の基本を押さえておくことも、書類の説得力につながります。フリーランスとして受注する場合、秘密保持契約(NDA)の締結や、報酬の支払期日をめぐるルールは、2024年に施行されたフリーランス保護新法が下敷きになります。制度面の一次情報は厚生労働省や公正取引委員会のサイトで確認できます。職務経歴書に「NDA締結済みの案件経験あり」と一行入れておくだけでも、発注側の警戒は下がります。
在宅ならではの要件を、書類でどう証明するか
在宅の議事録案件では、オフィス勤務にはない確認事項があります。ここを書類で先回りして潰しておくと、面談まで進む確率が上がります。
音声環境と録音の受け渡し方法
在宅で議事録を作る場合、音声をどう受け取るかが最初の関門です。会議にオンラインで同席するのか、録音ファイルを後から受け取るのか。この2つは別の仕事です。
同席型は、その場の空気や指差しの内容が分かるぶん精度が上がりますが、指定の時間に必ず在席する必要があります。育児や介護と両立している方には制約になります。録音受け取り型は時間の自由度が高い一方、音声の質に品質が左右されます。
職務経歴書には、どちらの経験があるかを書きます。両方あるなら両方書く。片方しかないなら、その片方をはっきり書く。ここを曖昧にすると、面談で必ず聞かれて時間を取られます。
音声環境については、こう書くと効きます。「有線接続の環境で回線が安定しており、同席型の会議で音声が途切れた経験は直近1年でゼロ。録音は会議ツールとローカルの二重取り」。
納期の書き方と、破らないための余裕の取り方
在宅では、体調不良や家庭の事情で作業できない日が必ず来ます。私の場合、子どもの学校行事や親の通院がそれにあたりました。
だから納期は、最短ではなく「必ず守れる時間」で書きます。実力が2時間なら、書類には「翌営業日の午前中まで」と書く。そして実際には当日中に出す。この運用のほうが、長い目で見て評価されます。
逆に「即日対応可能」とだけ書いて、実際には案件が重なると遅れる人が一番嫌われます。発注側にとって、遅れる可能性がある人は計算に入れられません。
非同期のやり取りに耐えられることを示す
在宅の議事録案件では、疑問点を即座に聞けません。会議中に聞き取れなかった固有名詞を、後からチャットで確認することになります。
このとき、質問の出し方で仕事の質が分かります。「聞き取れない箇所がありました」だけ送るのは最悪です。「14分30秒付近、A社の担当者名が聞き取れませんでした。『たなか』または『たなが』に聞こえます。ご確認ください」と送れる人は、次も指名されます。
職務経歴書には、この姿勢を一文で書きます。「不明点はタイムコードと聞こえた候補を添えて質問し、確認の往復を1回で終わらせるようにしている」。地味な一文ですが、実務を知っている人にしか書けない一文です。
在宅で働き続けるには、こうしたコミュニケーション設計に加えて、自分の状態を管理する仕組みも要ります。孤独や燃え尽きへの備えについては在宅ワーカーのメンタルヘルスケア|孤独・燃え尽きを防ぐ5つの習慣【2026年版】で、在宅特有の消耗パターンと対策がまとまっています。長く続ける前提で環境を整えるなら、目を通しておく価値があります。
書き換えの実例:同じ経験でも、こう変わる
抽象論だけでは動かないので、実際の書き換えを示します。
書き換え前
【職務経歴】
2008年4月〜2026年3月 株式会社◯◯(製造業)
総務部 主任
業務内容:会議運営、議事録作成、資料作成、来客対応、備品管理、庶務全般
使用ソフト:Word、Excel、PowerPoint
【自己PR】
18年間、総務部門で幅広い業務を経験してまいりました。
真面目にコツコツ取り組むことが得意です。
在宅でも責任を持って業務を遂行いたします。
この書類の問題は、読んだ人の頭に何も残らないことです。18年という数字はありますが、その18年で何ができるようになったかが書かれていません。「真面目にコツコツ」は、応募者の9割が書きます。差になりません。
書き換え後
【対応できる会議と実績】
・部門横断のプロジェクト定例(参加10〜15名、60〜90分、発言者5名前後)
週1回を通算6年担当。決定事項/保留事項/担当者付きタスクの3分割形式で作成
・経営層が出席する意思決定会議(参加6〜8名、90分)
月1回を通算4年担当。却下された案とその理由まで残す形式
・社外を含む取引先との打ち合わせ(参加4〜6名、45〜60分)
言った言わないを防ぐため、金額・納期・数量は発言者名を付けて記載
【納品形式とスピード】
・要約形式:会議終了から4時間以内
・準逐語形式:翌営業日の午前中まで
・Word、Google ドキュメント、Notion のいずれでも納品可
【録音と品質管理】
・会議ツールの録音とローカル録音の二重取りで、片方の失敗に備える
・自動文字起こしは下書きとしてのみ使用。決定事項・数値・固有名詞は音声で再確認
・不明点はタイムコードと聞こえた候補を添えて一括で質問し、往復を1回で終える
【守秘義務】
・NDA締結案件の経験あり。社名・金額・システム名は非開示で運用
【経歴要約】
製造業の総務部門で18年。うち議事録作成を主担当として12年。
同じ人の同じ経験ですが、読んだ後に残る情報量がまったく違います。特に「却下された案とその理由まで残す形式」の一行は、この人が議事録の目的を理解していることを示します。発注側はここで「話が早そうだ」と判断します。
経験が浅い場合の書き方
「そんな経験はない」という方もいるはずです。会議に出た経験はあるが、議事録は他の人が書いていた、というケース。
この場合は、経験を作ってから応募します。方法は2つあります。
1つは、公開されている会議の録画や音声で練習し、成果物を作ること。自治体の議会中継、企業の決算説明会、公開されているウェビナーなど、素材はいくらでもあります。これで5本ほど作れば、サンプルとして提出できるものができます。
もう1つは、資格で下支えすることです。文書作成の基礎を体系的に示せる資格としてビジネス文書検定があり、敬語・文書構成・社内文書の型を扱います。議事録は社内文書の一種なので、この検定の内容はそのまま実務に接続します。実際の活かし方はビジネス文書検定で文書作成の副業力アップ|在宅ライティング案件に詳しくまとまっています。
IT系のプロジェクト会議を狙うなら、話が別です。専門用語が分からないと議事録が書けません。ネットワーク周辺の会議を扱うならCCNA(シスコ技術者認定)レベルの用語知識があると、議論についていけます。資格そのものより、用語が分かることが単価に直結します。
サンプルの作り方と、渡し方
サンプルを提出する場合、注意点が2つあります。
1つは、実案件の議事録をそのまま出さないこと。社名を伏せても、内容から推測できる場合があります。守秘義務違反のリスクを取る価値はありません。
2つは、サンプルは1形式ではなく2形式作ること。要約形式と準逐語形式の両方を、同じ素材から作って並べます。これがあると「うちはこっちの形式で」という話がすぐできます。選択肢を先に見せられる人は、打ち合わせの回数が減るので好まれます。
選考に落ちたあと、何を直せば次につながるか
落ちた理由は、たいてい教えてもらえません。だから自分で仮説を立てて潰していくことになります。
書類で落ちているのか、面談で落ちているのか
まず切り分けます。応募10件で面談ゼロなら書類の問題です。面談まで進むのに決まらないなら、書類は機能していて、条件面か話し方の問題です。
書類の問題なら、この記事で挙げた4つの落とし穴を順に確認してください。特に「会議の種類が書かれているか」は最優先です。
面談で落ちているなら、多くは条件のミスマッチです。稼働できる時間帯、対応できる会議の頻度、単価。ここが合っていないだけのことが多い。書類の書き直しより、応募先の選び直しのほうが効きます。
単価を上げるための次の一手
議事録作成は、それ単体では単価が上がりにくい仕事です。文字起こしの自動化が進んだことで、「音声を文字にする」部分の価値は下がりました。
だから、周辺業務に手を伸ばすことが単価を上げる唯一の道になります。課題管理表の更新、タスクの担当者割り当て、次回アジェンダの作成。ここまで受けると、時給換算は上がります。
その先を考えるなら、業務プロセスそのものへの提案に踏み込む道があります。会議の進め方や記録の型を整理する仕事です。AIコンサル・業務活用支援のお仕事では、AIツールを業務に組み込む支援の実態が整理されており、議事録の自動化を社内に定着させる仕事がどういうものかが分かります。議事録を作る側から、議事録の仕組みを作る側へ移る道筋です。
技術寄りに広げたい方向けにはAI・マーケティング・セキュリティのお仕事が、業務系のシステムに関わる方向にはアプリケーション開発のお仕事が参考になります。議事録から入って、プロジェクト管理の周辺へ移る人は実際に多いです。
単価の目安を持っておくことも重要です。文書作成系の職種の相場は著述家,記者,編集者の年収・単価相場で、システム開発寄りの相場はソフトウェア作成者の年収・単価相場で確認できます。自分の請求額が市場のどのあたりにいるかを知らないまま交渉すると、安く受け続けることになります。
専門領域を絞ると通りやすくなる
もう1つの方向は、業界を絞ることです。汎用の議事録作成者は競合が多い。しかし「医療業界の会議が分かる」「法務の会議が分かる」となると、途端に競合が減ります。
例えば法律事務所は、打ち合わせ記録や案件管理で外部の手を借りることがあります。法律事務所のパラリーガルの働き方|在宅・時短勤務の現状【2026年版】を読むと、法務周辺の在宅業務がどう成立しているかが見えます。前職で法務や知財に触れた経験があるなら、その領域に絞った職務経歴書を作るほうが早い。
絞ることを怖がる方が多いのですが、在宅の業務委託では絞ったほうが通ります。「何でもできます」は「特に強みがない」と読まれるからです。
20年この市場を見てきた立場からの観察
運営者として長く見てきた立場から、2点だけ書いておきます。
1点目。長く仕事が続いている人ほど、職務経歴書に「速さ」ではなく「揺れなさ」を書いています。最速で出せることより、いつ頼んでも同じ品質で出てくること。発注側にとって、品質が安定している人は計算に入れられます。計算に入れられる人には、次の会議も回ってきます。一度きりの早さで勝負すると、体調を崩した瞬間に関係が切れます。この差は、書類の段階から出ています。「◯時間以内」と書く人と、「必ず翌営業日午前までに、同じ形式で」と書く人。後者が残ります。
2点目は、手取りの話です。仲介手数料が乗る取引では、発注側が支払う金額と受け手が受け取る金額に15%から20%の差が生まれます。議事録作成のように単価がそれほど高くない仕事では、この差が効きます。会議1本8,000円の仕事なら、手数料で1,600円が消える。月8本受けて1万2,800円です。手数料0%の直接取引では、この差が両側に効きます。依頼する側は同じ予算でより多く頼めるし、受ける側は同じ作業量で手取りが厚くなる。運営者として見てきた限り、この構造に気づいた人は、実績ができた段階で取引の場所を移しています。金額の大小ではなく、手取りが厚いという質の話です。
そして、直接取引になると職務経歴書の重みが増します。仲介が入る場合、プラットフォームの評価スコアが名刺代わりになります。直接取引ではそれがない。だから書類そのもので判断されます。この記事で書いた「会議の種類を書く」という話は、直接取引に移るときにこそ効いてきます。
独自データから見える、議事録作成の位置づけ
在宅ワークの職種を横断して見ると、議事録作成は少し特殊な位置にあります。
入口が広い一方で、天井もある仕事です。パソコンとインターネット環境があれば始められる。特別な資格も要らない。しかしそれゆえに、供給が多く、単価が上がりにくい。ここまでは多くの記事が書いていることです。
見落とされがちなのは、この仕事が「会社の意思決定の中身を見る仕事」だという点です。定例会議の議事録を1年書き続けると、その会社がどう動いているかが分かります。誰が決裁者で、どの部門が力を持ち、何がボトルネックになっているか。この理解は、他の仕事に転用できます。
実際、議事録作成から入って、プロジェクトの進行管理、業務改善の提案、資料作成の一括受注へと広げていく人がいます。逆に、議事録を議事録のままで受け続けると、単価は横ばいのままです。この分岐点は、案件を受け始めて6ヶ月から1年のあたりに来ます。
だから、職務経歴書を書くときに意識してほしいことがあります。「議事録を作れる人」として書くと、議事録の仕事しか来ません。「会議で決まったことを、動くかたちにできる人」として書くと、その周辺の仕事が来ます。同じ経験でも、どう書くかで届く仕事が変わる。18年の経験を「議事録作成、庶務全般」の8文字に圧縮してしまうのは、あまりにもったいない。
40代、50代で在宅の仕事を探し始めた方に、最後に伝えたいことがあります。年齢は、この仕事では不利になりません。会議の場数、業界知識、決裁の流れへの理解。これらは年数を重ねた人のほうが持っています。不利になるのは、それを書類に落とせていないときだけです。持っているものを、発注側が読める形に翻訳する。やることはそれだけです。
よくある質問
Q. 議事録作成の在宅案件に応募するとき、職務経歴書は何枚が適切ですか?
A4で1枚から2枚が適切です。発注担当者が1通あたりに使う時間は1分を切るため、3枚以上あると読まれません。優先順位は、扱える会議の種類と実績、納品形式とスピード、録音と品質管理の方法、守秘義務への配慮、最後に経歴要約という順です。時系列の職歴は最後に短くまとめてください。
Q. 議事録作成の経験がなくても応募できますか?
応募は可能ですが、そのままでは通りにくいです。公開されている議会中継やウェビナーの音声を素材に、要約形式と準逐語形式のサンプルを5本ほど作ってから応募してください。あわせてビジネス文書検定などで文書の型を押さえておくと、書類の説得力が上がります。実案件の議事録をサンプルに使うのは守秘義務違反になるので避けてください。
Q. 在宅の議事録作成の単価相場はどのくらいですか?
会議1時間分の要約議事録で、案件により3,000円から1万5,000円程度に分布します。差を生むのは成果物の形式(要約か準逐語か)、参加人数、専門用語の多さ、納期です。単価を上げたい場合は、議事録単体ではなく課題管理表の更新や次回アジェンダ作成まで受けると評価が変わります。
Q. AIの自動文字起こしを使っていると書いても大丈夫ですか?
書いて問題ありません。今は使っているのが前提です。ただし「AIに投げているだけ」と読まれると単価が下がるので、人が手を入れる工程を明示してください。自動文字起こしは下書きとしてのみ使い、決定事項・数値・固有名詞は音声で再確認している、と書くのが効果的です。録音を二重に取っている旨も添えると信頼が上がります。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
前田 壮一@SOHO編集部
元メーカー管理職・43歳でフリーランス転身
大手電機メーカーで品質管理を20年間担当した後、42歳でフリーランスに転身。中高年のキャリアチェンジや副業の始め方を、自身の経験をもとに発信しています。
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