認知症ケア専門士の受験資格|実務経験の数え方と申し込み


この記事のポイント
- ✓認知症ケア専門士の受験資格を
- ✓日本認知症ケア学会の公式案内をもとに解説
- ✓10年の間に3年以上という実務経験の数え方
介護の現場で認知症の人と向き合う中で、もっと体系的に学びたい、自分の経験を形にしたいと考えて、認知症ケア専門士を目指す人は少なくありません。ところが受験資格を調べると「10年の間に3年以上の実務経験」という条件が出てきて、自分の経験がそれに当たるのか、パートの期間や転職前の職場の期間をどう数えるのか、迷うことが多いものです。
この記事では、認定を行う一般社団法人日本認知症ケア学会の公式サイトと、受験申請に使う実務経験証明書の様式に書かれている内容をもとに、認知症ケア専門士の受験資格を詳しく整理します。実務経験の数え方、対象になる施設と職種、含まれない経験、証明書の書き方、そして第1次試験から資格の取得までの申し込みの流れを順に解説します。受験料や試験の方法は見直しが告知されているので、受験する年度の「受験の手引」で必ず確かめてください。
認知症ケア専門士とはどんな資格か
認知症ケア専門士は、一般社団法人日本認知症ケア学会が認定する民間の資格です。国家資格ではありません。試験の公式サイトでは、資格の性格を次のように説明しています。
認知症ケア専門士の資格は,一般社団法人日本認知症ケア学会が認定する更新制の資格で,認知症介護従事者の自己研鑚および生涯学習の機会提供を目的に設けられた資格です. 出典: 認知症ケア専門士認定試験公式サイト「試験概要:受験資格」
ここで押さえておきたいのは「更新制」という言葉です。一度合格すれば一生有効な資格ではなく、決められた期間ごとに、学会の講座への参加などで学びを続けて更新する仕組みになっています。学会の専門士のページには「更新の手引」や単位に関する書類が用意されています。取得したあとも学び続けることが前提の資格だと理解しておくと、受験を決める前の心構えができます。
学会の専門士制度の説明によると、この制度は認知症ケアに対する優れた学識と高度の技能、倫理観を備えた人材を育てることを目的に、平成15年11月の学会の総会で実施が決まりました。学会の会員でなくても受験でき、認定後も生涯学習の義務が課されると説明されています。
認知症ケア専門士が評価されるのは、介護福祉士や介護支援専門員(ケアマネジャー)のような業務の資格とは別に、認知症のケアという分野に絞って、知識と実践の力を示せる点です。介護施設、在宅介護のサービス、医療機関など、認知症の人と関わる職場で、ケアの質を高める役割を担う人が取得を目指しています。
受験資格は「10年の間に3年以上」の実務経験
認知症ケア専門士の受験資格は、実務経験だけで決まります。学歴や保有している資格は問われません。第22回(2026年度)の試験について、公式サイトでは次のように定めています。
認知症ケアに関する施設,団体,機関等において,2016年4月1日~2026年3月31日の間に3年以上の認知症ケアの実務経験を有する者 出典: 認知症ケア専門士認定試験公式サイト「試験概要:受験資格」
言い換えると、受験する年度の3月31日からさかのぼって10年の間に、認知症ケアの実務経験が合計で3年以上あれば受験できるということです。第22回の場合は2016年4月1日から2026年3月31日までが対象の期間です。次の年度の試験では、この期間が1年ずつ後ろにずれると考えられるので、受ける年度の受験の手引で対象の期間を確かめてください。
この「10年の間に」という区切りが、実務経験の数え方で最初に確かめるべき点です。たとえば20年前に3年間介護の仕事をしていて、その後ずっと別の仕事をしていた人は、対象の期間の外にある経験なので数えられません。反対に、対象の期間の中であれば、途中で仕事を離れた時期があっても、前後の期間を合わせて3年以上になれば条件を満たします。
公式サイトでは、受験資格について次の確認事項を挙げています。
- 実務経験を証明する施設・団体・機関などは、認知症の専門である必要はない
- 職種や職務内容は、認知症ケアに携わっている限り制限はない
- 介護福祉士や介護支援専門員などの資格の有無にかかわらず受験できる
- 資格を持っている人でも、認知症ケア実務経験証明書の提出が必要
- ボランティア活動や実習などは、認知症ケアの実務経験に含まれない
つまり、介護職だけでなく、看護師、相談員、リハビリの専門職、ケアマネジャーなど、職種を問わず、認知症の人のケアに携わってきた経験であれば対象になり得ます。一方で、介護福祉士の資格を持っているからといって自動的に受験資格が認められるわけではなく、どの職場で何年、認知症ケアに携わったかを証明書で示す必要があります。
実務経験の数え方を具体例で確かめる
実務経験の数え方を、よくある働き方の例で考えてみます。ここで示すのは公式サイトの確認事項を当てはめた考え方の例で、個別の判断は学会が行います。迷う場合は、受験の手引を読んだうえで事務センターに問い合わせてください。
1つ目は、1つの職場で働き続けている例です。2022年4月に特別養護老人ホームに介護職として入り、2026年3月まで働いている人は、対象の期間の中で4年の経験があることになります。証明書は今の職場に1枚書いてもらえば足ります。
2つ目は、転職している例です。2018年4月から2020年3月までデイサービスで2年、2023年4月から2026年3月までグループホームで3年働いた人は、2つの職場を合わせて5年の経験があります。この場合は、それぞれの職場に証明書を書いてもらいます。公式の様式には、複数の施設・団体・機関などの実務経験を申請する場合は、様式をコピーして使うよう書かれています。
3つ目は、認知症の専門ではない職場の例です。一般の病院の病棟や、障害のある人の施設で働いていても、その中で認知症の人のケアに携わっていれば、施設が認知症の専門であるかどうかは問われません。証明書の勤務内容の欄に、職種と職務の内容を書いてもらいます。
4つ目は、数えられない経験の例です。学生時代の介護実習や、休日に参加していた地域のボランティア活動は、どれだけ期間が長くても実務経験には含まれません。また、対象の期間より前に退職した職場の経験も数えられません。
数え方で迷いやすいのが、パートや非常勤で働いた期間、育児休業などで休んでいた期間の扱いです。公式サイトの受験資格のページと証明書の様式には、勤務の形態や勤務日数についての細かい基準は書かれていません。証明書には「就業期間」を書く欄があり、就業中の人は書類の作成日を終わりの日として書くよう指示されています。勤務の形態や休業の期間の扱いは、受験の手引の説明で確かめ、分からない場合は申請の前に事務センターへ問い合わせるのが確実です。
認知症ケア実務経験証明書の書き方
受験の申請でいちばん手間がかかるのが、認知症ケア実務経験証明書(様式2)の準備です。試験の公式サイトでは、この様式だけを単独でダウンロードできるようにしています。様式2以外の申請書類は、有料の受験の手引に同封されています。
公開されている様式2には、次の項目を書く欄があります。
| 項目 | 書く内容 |
|---|---|
| 施設・団体・機関等の名称、代表者の氏名と印 | 証明する職場の名前と、証明する権限のある代表者 |
| 受験者の氏名とふりがな、生年月日 | 受験する本人の情報(生年月日は西暦) |
| 就業期間 | 働き始めた日から終わった日まで(就業中なら書類の作成日まで) |
| 施設・団体・機関等の所在地と電話・FAX | 職場の連絡先 |
| 勤務内容(職種・職務内容等) | 職種と、認知症ケアに携わった職務の内容 |
様式の注意書きで特に大事なのは、記載事項はすべて証明する権限を持つ施設・団体・機関などの側で書くことになっている点です。受験者が自分で書いて代表者に印だけを押してもらうものではありません。書き間違いを直す場合は、代表者の職印(訂正印)で訂正し、修正液などで直したものは無効になると書かれています。
ここが申請で最もつまずきやすいポイントです。証明書は職場の事務の担当者や施設長に頼んで書いてもらうので、自分の都合だけでは仕上がりません。特に、以前の職場に証明書を頼む場合は、連絡先を調べ、事情を説明し、郵送でやり取りするだけで数週間かかることもあります。前の職場が閉鎖されている、運営する法人が変わっている、といった場合はさらに時間がかかります。受験を決めたら、真っ先に証明書の依頼から始めてください。
再び受験する人には、証明書を出し直さなくてよい場合があります。公式サイトによると、過去に受理された申請書に書かれている就業期間が、今回の対象の期間の中に3年以上含まれている場合は、様式2を提出する必要はなく、代わりに様式3(第1次試験受験資格確定済証貼付用紙)を提出します。
以前の職場に証明書を頼むときの進め方
実務経験証明書は、今の職場だけでなく、以前に働いていた職場にも頼む必要があることがあります。退職した職場に連絡するのは気が引けるものですが、準備を整えて頼めば、先方の手間を減らし、スムーズに書いてもらえます。
頼む前に用意しておくものは次のとおりです。
- 公式サイトからダウンロードした様式2を印刷したもの(書き損じに備えて2枚以上)
- 自分が在籍していた期間と職種、担当していた業務の控え
- 記入して返送してもらうための返信用の封筒と切手
- 返送してほしい期限のメモ(申請期間の開始より前の日付)
記入例は受験の手引に載っているので、手引を手元に用意してから依頼すると、先方から書き方を聞かれたときに答えられます。依頼の手紙やメールには、次のような内容を簡潔に書きます。
「〇年〇月から〇年〇月まで、貴施設で介護職員として勤務しておりました△△と申します。このたび、一般社団法人日本認知症ケア学会の認知症ケア専門士認定試験を受験するにあたり、認知症ケア実務経験証明書のご記入をお願いしたく、ご連絡いたしました。様式と返信用の封筒を同封いたします。お忙しいところ恐れ入りますが、〇月〇日までにご返送いただけますと幸いです。」
前の職場が閉鎖されている場合や、運営する法人が変わっている場合は、どこに証明を頼めばよいかが分からなくなることがあります。その場合は、自分だけで判断せず、早めに学会の事務センターに相談してください。証明できる人がいない期間を無理に数えようとすると、申請の段階で受理されないおそれがあります。
第1次試験の内容と申し込みの流れ
受験資格を満たしていることが確かめられたら、第1次試験に申し込みます。第22回(2026年度)の第1次試験の概要を、公式サイトの案内をもとに整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験日 | 2026年7月12日(日)9時30分から15時15分 |
| 試験方法 | Web試験(パソコンなどを使いインターネット上で行う試験) |
| 試験分野 | 認知症ケアの基礎、認知症ケアの実際Ⅰ:総論、認知症ケアの実際Ⅱ:各論、認知症ケアにおける社会資源の4分野 |
| 出題数 | 各分野50問、4分野合計200問(五者択一) |
| 合格要件 | 各分野で正答率70%以上。4分野すべての合格で第1次試験に合格 |
| 申請期間 | 2026年3月10日から4月10日(消印有効) |
試験は1分野ごとに60分で、午前に2分野、午後に2分野を受けます。各分野の合格の有効期間は5年間なので、1回で4分野すべてに合格できなくても、合格した分野は5年間は受け直す必要がありません。仕事をしながら受ける人は、1年目に2分野、2年目に残りの2分野、という計画も立てられます。
申し込みの流れは次のとおりです。
- 受験の手引を購入する:受験の手引が願書になっていて、第22回は1部1,000円(税込)でした。前の年度以前の手引は使えないので、毎年買い直す必要があります
- 申請書類を作る:受験申請書、認知症ケア実務経験証明書(新規の人)、作った書類のコピー各2部を用意します。申請書は油性のボールペン(黒または青)で書きます
- 簡易書留で送る:第1次試験用の所定の封筒(オレンジ色)に入れ、申請期間内に簡易書留で送ります
公式サイトでは、書類の作成や受験の手引の購入の遅れを理由とする申請の遅れは認められないと明記されています。申請期間は約1か月しかないので、証明書の準備は申請期間が始まる前に終えておくのが理想です。
申請が受理されると、第22回では2026年5月25日に受験票が投函されました。Web試験なので、6月5日から6月30日までの事前動作確認の期間に、受験票に書かれたWeb試験サイトにログインして動作を確かめます。用意するものは、受験票、試験当日に使うパソコンやタブレット(パソコン推奨)、インターネットの環境、本人認証のコードを受け取るためのスマートフォンや固定電話です。結果の通知は2026年8月17日に投函され、ホームページでの合格発表は行わないと案内されています。
第2次試験と資格の取得まで
第1次試験の4分野すべてに合格すると、第2次試験に進みます。第22回の第2次試験は論述試験で、認知症ケアの事例に対する論述を書いて、申請期間中に他の申請書類とともに提出する方式と案内されています。論述の問題は第1次試験の合格通知に同封され、各設問は400字以上600字以内で書きます。公式サイトでは、パソコンで解答したい人のために論述用紙のWord版も公開されています。
第2次試験の合格要件は、公式サイトで次の5つが示されています。
- 適切なアセスメントの視点を持っている
- 認知症を理解している
- 適切な介護計画を立てられる
- 制度と社会資源を理解している
- 認知症の人の倫理的な課題を理解している
アセスメントとは、本人の状態や暮らしの様子、家族の状況などを情報として集め、どんな支援が必要かを見極めることです。事例を読んで、本人の困りごとの背景を考え、具体的なケアの計画と、使える制度やサービスを示す力が問われます。
第22回の第2次試験の申請期間は2026年8月25日から9月25日(消印有効)で、第2次試験用の封筒(ピンク色)に入れ、申請書類のコピー各3部とともに簡易書留で送ります。論述試験の合格者には倫理研修があり、合格者が登録の申請をして、資格の取得となります。
申請から資格の取得までの1年の流れ
第22回(2026年度)の日程をもとに、申請の準備から資格の取得までの1年の流れを表にまとめます。翌年度以降の日程は変わることがあるので、目安として読んでください。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 申請の数か月前 | 対象の期間の実務経験を数え、各職場に証明書を依頼する |
| 申請期間の前 | 受験の手引を購入し、申請書類を作る |
| 3月10日から4月10日 | 第1次試験の申請(簡易書留、消印有効) |
| 5月25日 | 受験票の投函 |
| 6月5日から6月30日 | Web試験の事前動作確認 |
| 7月12日 | 第1次試験 |
| 8月17日 | 第1次試験の結果通知の投函(合格者には論述問題を同封) |
| 8月25日から9月25日 | 第2次試験の申請(論述の答案を同封、消印有効) |
| 第2次試験の合格後 | 倫理研修を受け、登録を申請して資格を取得 |
この表で分かるとおり、申請から資格の取得までは1年近くかかります。特に、第1次試験の申請期間が3月から4月にかけての約1か月しかないこと、そして第2次試験の申請期間が第1次試験の結果通知のすぐ後に来ることに注意が必要です。結果を待ってから論述の準備を始めると時間が足りなくなるので、第1次試験が終わったら、事例を読んで論述する練習を始めておくと安心です。
申請の書類で不備を出さないための確認
申請の書類に不備があると、受験できなくなるおそれがあります。公式サイトの案内から、送る前に確かめたい点をまとめます。
- 受験する年度の受験の手引を使っているか(前の年度以前の手引は使えない)
- 申請書を油性のボールペン(黒または青)で書いているか
- 実務経験証明書が、対象の期間の中で合計3年以上になっているか
- 証明書の訂正が、代表者の職印で行われているか(修正液は無効)
- 作った申請書類のコピーを、決められた部数(第1次試験は各2部)用意しているか
- 所定の色の封筒に入れ、簡易書留で送っているか
- 申請期間の最終日の消印に間に合うか
公式サイトでは、原則として一度提出された申請書類は返却できないこと、簡易書留以外の方法で送って起きた事故について学会は責任を負わないことも明記されています。送る前に書類のコピーを手元に残しておくと、問い合わせが必要になったときに内容を確かめられます。
受験料と第2次試験の方法の見直しに注意
受験を計画するうえで必ず確かめておきたいのが、受験料と第2次試験の方法の見直しです。試験の公式サイトのトップには「2026年から受験料/2次試験が変わります」というお知らせが掲載されており、案内の文書では、2026年度から次のように改めるとしています。
| 試験 | 新しい料金 |
|---|---|
| 認知症ケア専門士 第1次試験 | 1分野につき4,000円 |
| 認知症ケア専門士 第2次試験 | 9,000円 |
| 認知症ケア准専門士 | 16,000円 |
同じ文書では、新型コロナウイルス感染症の影響で2020年度から中止していた実地(対面)の第2次試験を再開し、試験の方法を「論述試験(面接なし)」とすること、内容は倫理と実践の計2題で、会場は全国4会場(北海道・東京・神戸・福岡の予定)とすることが案内されています。
一方で、公式サイトの第22回(2026年度)の試験概要のページには、第1次試験の受験料が1分野3,000円(4分野で12,000円)、第2次試験の受験料が8,000円で、論述の答案を郵送で提出する方式と書かれています。このように、公式サイトの中で新旧の記載が混在しているため、受験料と第2次試験の方法は、受験する年度の受験の手引の記載を正として確かめてください。費用の見積もりは、高いほうの金額で考えておくと安心です。
第2次試験が会場での論述に変わる場合は、試験の準備も変わります。自宅で時間をかけて答案を練る方式から、限られた時間で書き上げる方式になるので、事例を読んで要点をつかみ、短い時間で筋道の通った文章を書く練習が必要になります。
第2次試験の論述に向けた練習
第2次試験の論述は、第2次試験の合格要件として示されている5つの視点に沿って書く練習をすると、答案の筋道が立てやすくなります。事例を読んだら、次の順番で整理してみてください。
- 本人の状態と暮らしの様子、家族の状況など、事例に書かれている情報を抜き出す(アセスメントの視点)
- 本人の言動の背景に、認知症のどんな症状や不安があるのかを考える(認知症の理解)
- 本人の困りごとを和らげるための具体的なケアを、誰が、いつ、どのように行うかまで書く(介護計画)
- 使える制度やサービス、地域の支援、連携する職種を挙げる(制度と社会資源の理解)
- 本人の意思や尊厳をどう守るか、家族の思いとの間でどう調整するかに触れる(倫理的な課題の理解)
第22回の論述は各設問400字以上600字以内でした。600字は思ったより短く、5つの視点をすべて詳しく書こうとすると字数が足りなくなります。設問が何を求めているかを最初に確かめ、その設問に直接答える内容を中心に書くことが大切です。
練習の方法としては、公式の「認知症ケア事例集」の事例を使い、時間を計って答案を書き、あとから5つの視点が入っているかを自分で点検するやり方が取り組みやすいでしょう。職場の先輩に認知症ケア専門士がいれば、答案を読んでもらい、現場の目から見て具体性が足りない部分を指摘してもらうと、答案の質が上がります。会場での論述に変わる場合に備えて、手書きで時間内に書き切る練習もしておくと安心です。
実務経験が足りない人は准専門士という選択肢
受験資格の3年に届かない人や、これから介護の仕事に就く人には、認知症ケア准専門士という資格があります。学会の認知症ケア准専門士認定試験のページでは、受験資格を次のように案内しています。
- 2026年3月31日に満18歳以上の人
- 「認知症ケアの実務経験」がない人
准専門士の試験は、学生や家族、市民に認知症をより深く理解する機会を広め、質の高い介護人材の輩出につなげることを目的にしていると説明されています。第9回の試験の合格者には、資格の認定日を2026年10月1日として、9月下旬ごろに認定証を送ると案内されています。
准専門士を取っておくと、将来、認知症ケア専門士を目指すときに有利になります。公式サイトによると、准専門士の資格を取ってから5年以内で、認知症ケア専門士の受験資格(10年の間に3年以上の実務経験)を満たしている人は、第1次試験が免除され、第2次試験から受けられます。その場合は、認知症ケア実務経験証明書と、論述問題の送付を希望する届(様式6)を提出します。第22回では、この届の提出期間は2026年7月1日から7月31日でした。
これから介護の仕事を始める人や、介護の学校に通っている学生は、まず准専門士で基礎を固め、働きながら3年の経験を積んで専門士の第2次試験に進む、という道筋を描くことができます。
第1次試験の勉強の進め方
第1次試験は、学会が発行している「認知症ケア標準テキスト」に準じた内容で出題されます。公式サイトでは、学会が公式に制作・監修している教材は次の5冊だけだと明記し、公式を名乗る非公式の商品に注意するよう呼びかけています。
- 改訂5版・認知症ケアの基礎
- 改訂5版・認知症ケアの実際Ⅰ:総論
- 改訂6版・認知症ケアの実際Ⅱ:各論
- 改訂6版・認知症ケアにおける社会資源
- 改訂4版・認知症ケア事例集
第1次試験の4分野は、標準テキストの第1巻から第4巻に対応しています。各分野50問、五者択一で70%以上の正答率が求められるので、各分野35問以上の正解が目安です。4分野で合わせて200問と量が多いので、1冊ずつ読み進め、章ごとに要点をノートにまとめる方法が取り組みやすいでしょう。
分野ごとの勉強のポイントを整理します。
| 分野 | 対応するテキスト | 勉強のポイント |
|---|---|---|
| 認知症ケアの基礎 | 認知症ケアの基礎 | 用語の定義を正確に覚え、似た用語を比べて整理する |
| 認知症ケアの実際Ⅰ:総論 | 認知症ケアの実際Ⅰ:総論 | ケアの考え方を、現場での自分の関わりと結びつけて理解する |
| 認知症ケアの実際Ⅱ:各論 | 認知症ケアの実際Ⅱ:各論 | 具体的な場面を想像しながら読み、対応の理由まで説明できるようにする |
| 認知症ケアにおける社会資源 | 認知症ケアにおける社会資源 | 制度の名前と対象、窓口を表にして整理する |
社会資源の分野は、制度の改正の影響を受けやすい分野です。テキストの版と、試験がどの時点の制度をもとに出題されるかを、受験の手引で確かめてから勉強を始めてください。また、試験の公式サイトでは、試験に関する情報を複製したり、SNSを含むインターネットに投稿したりすることを禁止しており、発覚した場合は失格や合格の取り消しになることがあると注意しています。
資格を活かして働き方を広げる
認知症ケア専門士の資格は、介護施設や医療機関でのケアの質を高める役割を担うときに力を発揮します。職場の研修の講師を任される、新人の指導役になる、家族からの相談に応じる、といった場面で、体系的に学んだ知識が役立ちます。
職場の中では、資格を持っていることを周りに伝えておくと、認知症の人への関わり方で相談を受ける機会が増えます。たとえば、行動・心理症状への対応に悩む同僚に、本人の不安の背景を一緒に考える声かけをする、ケアの計画を見直す会議で認知症の理解に基づいた意見を出す、といった形で、学んだことを職場全体のケアに広げていけます。民間の資格なので、資格手当や評価の対象になるかどうかは事業所によって違います。取得を目指す段階で勤め先の規程を確かめ、上司に受験の予定を伝えておくと、証明書の依頼や試験日の勤務の調整もしやすくなります。
資格を取ったあとも、更新のために学び続ける必要があります。この学び続ける姿勢は、介護の分野で長く働くうえでの財産になります。介護や福祉の事業所では、職員の研修に国の助成金を使う動きもあり、その仕組みは福祉用具貸与事業所のスキルアップ助成金2026|人材開発支援助成金の活用法で、人材開発支援助成金の使い方を整理しています。職場に研修の費用を支援する制度がないかを確かめるときの参考になります。
介護の現場の経験は、在宅でできる仕事にもつながります。たとえば、介護や認知症に関する記事の執筆や監修の補助、研修資料の作成、介護事業所の案内文づくりなどは、現場を知っている人が書くことで内容の確かさが増します。ただし、医療や健康に関わる内容は読み手の判断に影響するので、根拠を示し、断定しすぎない書き方が求められます。第2次試験の論述の練習で身につく、事例を整理して筋道を立てて書く力は、こうした文章の仕事にもそのまま活きます。文書の作成力を客観的に示したい人は、実務技能検定協会のビジネス文書検定の内容も参考になります。
在宅ワークとフリーランスの仲介を2004年から続けてきた運営者として見てきた限りでは、専門分野の経験を外部の仕事に活かして長く続けている人ほど、資格の名前より「現場を知っている人の確かな仕事」で信頼を積み重ねています。中間の手数料が乗らない直接のやり取りでは、依頼する側は同じ予算でより多くを頼め、受ける側は手取りが厚くなります。介護の現場で培った知識は、その信頼の確かな土台になります。
認知症ケア専門士を目指すなら、まず自分の実務経験が対象の期間の中で3年以上あるかを確かめ、実務経験証明書の依頼から始めてください。そのうえで受験する年度の受験の手引を購入し、受験料と試験の方法を確かめてから計画を立てると、申請の期間に慌てずに済みます。
よくある質問
Q. 介護福祉士の資格があれば実務経験証明書は不要ですか?
不要にはなりません。公式サイトでは、介護福祉士や介護支援専門員などの資格を持っている人でも、認知症ケア実務経験証明書の提出が必要と明記されています。認知症ケア専門士の受験資格は、保有している資格ではなく、対象の期間の中で3年以上の認知症ケアの実務経験があるかどうかで判断されます。
Q. ボランティアや実習の期間は実務経験に含まれますか?
含まれません。公式サイトの受験資格の確認事項で、ボランティア活動や実習などは認知症ケアの実務経験に含まれないと示されています。施設や団体で、職種を問わず認知症ケアに携わって働いた期間が対象です。勤務の形態や休業期間の扱いで迷う場合は、受験の手引を読んだうえで事務センターに問い合わせてください。
Q. 第1次試験で一部の分野だけ合格した場合はどうなりますか?
各分野の合格の有効期間は5年間です。4分野のうち一部だけ合格した場合は、合格した分野は有効期間の中であれば受け直す必要がなく、残りの分野を受験します。再受験のときは過去の結果通知で合否と有効期限を確かめ、必要な分野の受験申請を行います。4分野すべての合格で第1次試験の合格となります。
Q. 実務経験が3年に満たない場合は何を受けられますか?
認知症ケアの実務経験がない満18歳以上の人は、認知症ケア准専門士の試験を受けられます。准専門士の資格取得から5年以内に、認知症ケア専門士の受験資格を満たした人は、第1次試験が免除され第2次試験から受けられます。働きながら経験を積む人にとって、段階を踏んで専門士を目指せる道筋になります。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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