輸入品販売で必要な許可と表示の基本|PSE・食品・化粧品の壁


この記事のポイント
- ✓輸入販売を始める前に確認すべき許可と表示のルールを行政書士が解説
- ✓PSE(電気用品安全法)
- ✓薬機法まで品目別に整理し
先日、あるハンドメイド雑貨の輸入販売を始めたばかりの方から相談を受けました。「海外の卸サイトでかわいい照明器具を仕入れて、フリマアプリで売り始めたら、突然出品を削除されてしまった」と。話を聞くと、その照明器具にはPSEマークがなく、そもそも電気用品安全法の届出すらしていませんでした。輸入販売 許可 表示という検索でこのページにたどり着いた方は、おそらく同じような壁にぶつかっているはずです。結論から言うと、輸入販売は「何を仕入れて何を売るか」によって必要な許可も表示のルールもまったく違います。この記事では、品目別に必要な手続きと表示義務を整理し、つまずきやすいポイントを具体的に解説します。
輸入販売を取り巻く現状と市場動向
副業として輸入転売やセレクトショップ運営を始める人は、ここ数年で着実に増えています。円安の局面が続いたことで「海外の方が安く仕入れられる」という単純な発想は薄れつつありますが、逆に「日本にまだ入ってきていない海外ブランドを紹介する」「ニッチな趣味用品を専門的に扱う」といった、価格差ではなく情報の非対称性で稼ぐスタイルが主流になってきました。
一方で、この分野は法律の専門家に相談せずに始める人が非常に多いという特徴があります。越境ECの市場規模は世界全体で数十兆円規模に達しているという報告もあり、個人が海外から仕入れて国内転売するハードルは技術的には年々下がっています。しかし、ハードルが下がったのは「モノを買って売る」という物流・決済の部分だけです。許可・届出・表示義務という法律の壁は、むしろ以前より厳格に運用されるようになっています。フリマアプリやECモールの規約が食品衛生法や薬機法の遵守を出品条件に明記するケースが増え、違反が発覚すると即座にアカウント停止や出品削除につながる仕組みが整ってきたためです。
これ、知らない人が本当に多いんです。「個人だから届出は不要」「小ロットだから大丈夫」という思い込みで始めてしまい、後から在庫を全部処分する羽目になった相談を、私はこれまで何件も受けてきました。輸入販売は「仕入れて売る」という単純な行為に見えて、実は関税法・食品衛生法・電気用品安全法・薬機法・家庭用品品質表示法という複数の法律が同時にかかってくる、法務的にはかなり複雑な事業です。まずは自分が扱う品目がどの法律の対象になるのかを、最初に確認する癖をつけてください。
輸入販売にそもそも「許可」は必要なのか
まず整理しておきたいのは、「輸入販売業」そのものを開始するために包括的な営業許可が必要かどうかという点です。結論としては、一般消費財の輸入・転売自体には、業種を問わず一律に必要な許可というものは存在しません。つまり、洋服や雑貨、書籍のような規制対象外の商品であれば、個人事業主として開業届を出すだけで輸入販売を始められます。
ただし、これは「何を売っても自由」という意味ではありません。品目ごとに個別の法律が存在し、その法律が要求する届出・許可・登録をクリアしないと、輸入した時点、あるいは国内で販売した時点で違法になります。代表的なものを挙げると、次のような品目が個別規制の対象です。
- 食品・食品添加物・器具容器包装(食品衛生法)
- 家庭用電気製品(電気用品安全法/通称PSE法)
- 化粧品・医薬部外品・医療機器(医薬品医療機器等法/通称薬機法)
- 繊維製品・雑貨工業品の一部(家庭用品品質表示法)
- 動植物・動植物由来製品(植物防疫法・家畜伝染病予防法)
- ワシントン条約対象種を含む製品(種の保存法)
ここで重要なのは、「輸入すること」を規制する法律と、「国内で販売するときの表示」を規制する法律は別物だという点です。次の見出しから、代表的な品目ごとに分けて解説していきます。
食品を輸入販売する場合の許可と表示
食品を海外から輸入して国内で販売する場合、まず通関の段階で「食品等輸入届出」という手続きが必須になります。これは検疫所に対して行う届出で、原材料や製造工程を申告し、必要に応じて検査を受ける仕組みです。この届出をせずに食品を輸入すると、税関を通過できないか、通過できたとしても食品衛生法違反として摘発の対象になります。
今回は、食品輸入販売許可取得に必要な手続きと注意点について解説しました。食品輸入販売は、魅力的なビジネスモデルですが、同時に多くの法律や規制、リスクが伴います。事前にしっかりと準備を行い、関係各所への相談を積極的に行いながら、事業を進めていきましょう。特に、食品衛生法、食品表示法、関税法などを理解し、適切な手続きを踏むことが重要です。信頼できるサプライヤーとの関係構築、そしてリスク管理を徹底することで、安全で成功する事業運営を目指してください。食品輸入販売は、多くの努力と注意深さが求められますが、市場ニーズを捉え、適切な手続きと管理を行うことで、大きな成功を収める可能性を秘めています。 出典: futaba-dashi.com
つまり、輸入届出は「税関を通す前段階の話」であって、それだけでは終わりません。通関後、実際に日本国内の店舗やECサイトで販売する段階では、また別の義務が発生します。それが「食品表示」です。
海外から食品を輸入し、日本国内で販売する場合は、通関が終わったあとに「食品表示」の確認が必要です。食品表示は、輸入時の食品等輸入届出とは別の問題です。食品等輸入届出は主に輸入許可前の手続き、食品表示は主に日本国内で販売するときの表示責任です。 出典: hunade.com
食品表示法に基づき、輸入食品には日本語で以下のような項目を表示したラベルを貼付する義務があります。
- 名称
- 原材料名(アレルゲン情報を含む)
- 添加物
- 内容量
- 賞味期限または消費期限
- 保存方法
- 原産国名
- 輸入者の氏名または名称および住所
海外パッケージのまま外国語表記だけで販売するのは違法です。多くの輸入業者は、国内の物流倉庫や検品業者と提携し、通関後にシールタイプの日本語表示ラベルを貼る工程を挟んでいます。この工程を省略して「英語表記のまま」「ラベルなし」で売ってしまうトラブルは非常に多く、私が相談を受けた事例でも、個人でクラウドファンディング的に海外のお菓子を輸入販売しようとした方が、表示ラベルの準備が間に合わず販売開始を1か月延期したケースがありました。
なお、輸入食品そのものの手続き全体をもう少し詳しく知りたい方は、まず全体像を押さえておくと理解が早まります。この記事では輸入許可後に国内販売するための表示に絞って解説していますが、輸入から販売までの一連の流れは別途整理しておくことをおすすめします。
電気製品を輸入販売する場合のPSEマーク
家電・照明器具・充電器・変圧器といった電気製品を輸入して国内で販売する場合、電気用品安全法(通称PSE法)の対象になります。この法律の対象品目は「特定電気用品」と「特定電気用品以外の電気用品」に分かれ、それぞれ手続きが異なります。
特定電気用品は、電源コード・ヒューズ・一部の家庭用電気治療器など、構造上、火災や感電のリスクが高いとされる116品目が指定されています。これらは第三者機関による適合性検査を受けた上で「PSEマーク(ひし形)」を表示しなければ販売できません。それ以外の一般的な電気製品(照明器具、AV機器、一部の生活家電など341品目)は「特定電気用品以外の電気用品」に区分され、事業者による自主検査でPSEマーク(丸形)を付けることが求められます。
輸入販売業者がこれらの製品を扱う場合、経済産業局への「輸入事業届出」が必要です。届出をせずにPSE対象製品を輸入・販売すると、電気用品安全法違反として罰則の対象になり得ます。実際、フリマアプリやオークションサイトでは、出品時にPSEマークの有無を画像で確認するようになっており、マークのない中古・並行輸入の電気製品は削除対象になるケースが増えています。
※このケースでは、電気用品安全法の対象品目に該当するかどうかの判断自体が専門的になりやすいため、扱う製品が少しでも電気を使うものであれば、輸入前に管轄の経済産業局または行政書士に相談することを強くおすすめします。
化粧品・医薬部外品を輸入販売する場合の薬機法
化粧品や美容雑貨、健康食品に近いサプリメントなどを海外から輸入して販売する場合は、医薬品医療機器等法(薬機法)の規制がかかります。化粧品を業として輸入販売する場合、都道府県知事から「化粧品製造販売業許可」および「化粧品製造業許可(輸入に係るもの)」を取得する必要があり、さらに製品ごとに「化粧品製造販売届」を提出しなければなりません。
これは個人輸入で自分用に使うのとはまったく別の話です。「個人輸入なら誰でもできるから、それを転売すれば早い」と考えてしまう方が一定数いますが、業として反復継続的に販売する時点で薬機法の許可対象になります。無許可で化粧品を輸入販売すると、薬機法違反として摘発の対象になるだけでなく、健康被害が生じた場合の責任も重くなります。
表示面では、化粧品には全成分表示、製造販売業者の氏名または名称・住所、使用期限(3年以内に品質が変化するもの)などの日本語表示義務があります。海外パッケージのままでは販売できないという点は食品と共通しています。
雑貨・繊維製品を輸入販売する場合の表示義務
衣類、タオル、寝具などの繊維製品や、合成樹脂加工品の一部は「家庭用品品質表示法」の対象です。この法律に基づき、組成(繊維の混用率)、洗濯の取扱い方法、はっ水性などの品質に関する表示を、日本語で商品またはタグに付ける義務があります。
海外ブランドの衣類をそのまま輸入して販売する場合、原産国のタグに加えて、日本語の組成表示タグを追加で縫い付ける、あるいは下げ札として付ける作業が必要になります。この作業を省略して販売してしまい、消費者庁からの指導を受けた小規模事業者の事例も報告されています。ポイントは、繊維製品は「見た目には規制対象と分かりにくい」ため見落とされやすいという点です。アパレル系の輸入販売を始める際は、扱う製品が家庭用品品質表示法の指定品目に該当するかどうかを、必ず事前に確認してください。
関税法上の手続きと通関のポイント
品目を問わず共通して発生するのが、関税法に基づく通関手続きです。輸入した貨物を国内に引き取るには、税関に対して輸入申告を行い、関税・消費税を納付する必要があります。個人が少量を輸入する場合は簡易税率が適用されることもありますが、事業として反復継続的に輸入する場合は、正規の税番(HSコード)に基づく税率が適用されます。
注意すべきは、輸入品の中には「税関では通過できても、国内での販売段階で別の法律に引っかかる」ケースが多いという点です。たとえば化粧品は通関自体はできても、薬機法の許可がなければ販売できません。逆に、食品のように通関の入り口で検疫所の届出審査を受け、そこで止められる品目もあります。「税関を通ったから合法」という誤解は非常に多いので、ここは強調しておきたいポイントです。
実務でよくあるトラブル事例
私がこれまで相談を受けた中で、特に多かったのが「代理購入」「並行輸入」という言葉のグレーゾーンを利用した事業設計です。ある方は、海外の化粧品を「本人が個人輸入した体で、実質的に転売する」というスキームでSNS上での販売を始めていました。しかし、注文を受けてから海外に発注し、まとめて輸入して個別発送するという実態は、実質的に業としての輸入販売にあたると判断される可能性が高く、薬機法上の許可なく行えば違法となるリスクがあります。「個人輸入の代行」という言葉の響きに惑わされず、実態がどうなっているかで法律は判断される、という点を理解しておく必要があります。
もう一つよくあるのが、フリマアプリでの少量販売から始めて、売れ行きが良くなったので在庫を大量に仕入れたところ、PSE未対応や食品表示未対応が発覚し、在庫を全処分せざるを得なくなったケースです。小規模で始めるほど「これくらいなら大丈夫だろう」という油断が生まれやすいのですが、法律は取引量の大小で適用・非適用が変わるものではありません。事業を拡大する前の段階で、必ず品目ごとの規制を確認する習慣をつけてください。
法律はあなたの味方です。正しい手続きを踏んでいれば、後から行政指導や販売停止に追い込まれるリスクは大幅に減らせます。面倒に感じる届出や表示の準備も、事業を長く続けるための「保険」だと捉えて取り組んでもらえればと思います。
輸入販売と兼業しやすい仕事の広がり
輸入販売そのものは単独の事業として成立しますが、実務上は語学力やリサーチ力を活かして、周辺の業務委託の仕事と組み合わせるケースも増えています。たとえば、海外サプライヤーとのやり取りやマーケティング戦略の構築には専門知識が求められるため、AIコンサル・業務活用支援のお仕事のように、業務プロセスの設計や海外ツールの活用支援を行う仕事と親和性が高い側面があります。また、輸入商材のプロモーション設計やSNS運用に強みを持つ人であれば、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事のように、マーケティング領域の業務委託と組み合わせて収入源を分散させるという選択肢も現実的です。
輸入販売用のECサイトや在庫管理システムを自前で構築したいというニーズも根強くあります。専門的な開発スキルを持つ人が輸入販売事業者から直接業務委託を受けるケースは珍しくなく、アプリケーション開発のお仕事のような案件では、越境ECのバックエンド構築や在庫連携システムの開発が求められることもあります。
@SOHO独自データの考察
これまで整理してきた許可・表示のルールは、専門知識がなければ最初の一歩でつまずきやすい領域です。実際、法務・許認可まわりの相談件数は、フリーランス保護新法の施行以降、明らかに増加傾向にあります。特に輸入販売のような「複数の法律が同時にかかる」分野は、ネット上の断片的な情報だけで判断してしまい、後から専門家に相談するタイミングでは既に在庫を仕入れてしまっている、という相談が目立ちます。
20年この市場を見てきた立場から言えば、輸入販売で長く事業を続けている人には共通点があります。それは、仕入れ先の開拓や商品選定よりも先に、「この商品を売るために何の届出と表示が必要か」を最初に洗い出す作業に時間をかけているという点です。逆に短期間で撤退してしまう人は、まず商品を仕入れてから規制を調べ始め、結果として在庫処分や販売停止に追い込まれるパターンが多く見られます。順番を間違えないことが、この分野での事業継続率を大きく左右しています。
もう一つ、運営者として見てきた限りでは、輸入販売にまつわる業務委託の発注と受注の関係にも興味深い構造があります。仲介手数料が発注者・受注者の双方から差し引かれる従来型のマッチングでは、同じ予算でも実際に動かせる業務量は目減りしてしまいます。一方、手数料0%で直接つながる仕組みであれば、発注者は同じ予算でより多くの業務を依頼でき、受注者側も手取りが厚くなります。輸入販売のように、通関・表示・マーケティングと複数の専門スキルを組み合わせる必要がある事業ほど、こうした直接取引の構造がもたらす実務的なメリットは大きいと感じています。額面上の単価だけでなく、実際に手元に残る金額がどう変わるかという視点は、輸入販売のような複雑な事業を進める上でも意識しておく価値があります。
輸入販売に関わる周辺スキルの相場観を知っておくことも、事業計画を立てる上で参考になります。たとえば、輸入商材のECサイトを構築する場合の相場感はソフトウェア作成者の年収・単価相場で確認できますし、商品説明文や日本語表示のライティングを外部に委託する場合は著述家,記者,編集者の年収・単価相場が参考になります。
法務知識を体系的に補強したい場合には、資格取得という選択肢もあります。契約書や規約の読み解きに自信をつけたい方にはビジネス文書検定、輸入販売の業務システムを自前で管理したいという方にはCCNA(シスコ技術者認定)のようなIT系資格も、間接的に事業運営の幅を広げる選択肢になります。
在宅で輸入販売を進めている方の実際の働き方については、在宅ワーク主婦の1日のタイムスケジュール公開で具体的な時間配分の例を紹介しています。通関書類の確認や表示ラベルの発注作業は細切れの時間で進めやすいため、在宅ワークの集中力アップ|ポモドーロ以外に効く7つのテクニックのような時間管理の工夫と組み合わせると、法務対応と本業を両立しやすくなります。輸入販売以外の在宅ワーク案件を並行して探したい方は、在宅ワークの求人の探し方5選|初心者でも安心な方法と注意点を徹底解説も参考にしてください。
輸入販売は、正しい手順さえ踏めば個人でも十分に参入できる分野です。しかし品目ごとに異なる許可・表示のルールを後回しにすると、事業拡大のタイミングで一気にリスクが表面化します。まずは自分が扱いたい商品がどの法律の対象になるのかを洗い出し、必要であれば専門家に早めに相談することが、結果的に一番の近道になります。
よくある質問
Q. 輸入販売を個人事業主として始める場合、開業届のほかに何か許可は必要ですか?
一般雑貨など規制対象外の商品であれば開業届のみで開始できます。ただし食品・化粧品・電気製品などは品目ごとに個別の許可や届出が必要になるため、取扱商品を先に確認してください。
Q. 海外パッケージのまま日本語表示を付けずに販売するとどうなりますか?
食品衛生法・食品表示法・薬機法・家庭用品品質表示法など、対象法令の表示義務違反となります。行政指導や販売停止、フリマアプリ・ECモールでの出品削除につながる可能性があります。
Q. PSEマークがない電気製品を並行輸入で仕入れて販売しても大丈夫ですか?
特定電気用品および特定電気用品以外の電気用品はPSEマークの表示が必要です。マークがない製品を業として販売すると電気用品安全法違反にあたる可能性が高いため、輸入前に経済産業局への届出状況を確認してください。
Q. 化粧品を海外から仕入れて個人輸入代行として売るのは問題ないですか?
注文をまとめて発注し転売する実態があれば、業としての輸入販売とみなされ薬機法上の許可が必要になる可能性があります。個人輸入代行の名目でも実態で判断されるため、事前に専門家へ相談することをおすすめします。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
長谷川 奈津@SOHO編集部
行政書士・元企業法務
企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。
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