テンプレート販売は面接も電話もなく外出が苦手でも在宅で完結


この記事のポイント
- ✓外出が苦手な方がテンプレート販売を在宅で始めるための実務手順をまとめました
- ✓販売プラットフォームの手数料比較
- ✓未経験からの7ステップ
結論から書きます。テンプレート販売は、外出が苦手な方が在宅で取り組める仕事のなかで、対人接触の量が最も少ない部類に入ります。面接なし、電話なし、納期に追われる打ち合わせもなし。作って、出品して、売れたら自動でデータが渡る。この完結度は他の在宅ワークにはない特徴です。
ただし、もうひとつ結論を先に置きます。テンプレート販売で結果が出るかどうかは、テンプレートを作る技術ではなく、「どこで売るか」と「どう見つけてもらうか」で9割決まります。ここを勘違いしたまま始めると、良いものを作ったのに1件も売れないという状態が半年続きます。実際、そうなっている人が非常に多いというのが正直な観察です。
この記事では、市場の実態を数字で押さえたうえで、売れるジャンル、プラットフォームの手数料比較、未経験からの手順、メリットとデメリット、そして規約と権利の落とし穴まで、実務の順番で整理します。良い面だけを並べるつもりはありません。
テンプレート販売とは何か。何が売られている市場なのか
まず定義から。テンプレート販売とは、あらかじめ作っておいた「型」をデジタルデータとして販売し、購入者が自分の内容に差し替えて使う、というビジネスです。物流が発生しないので、在庫も発送もありません。
実際に取引されているカテゴリ
市場で流通している主なカテゴリを挙げます。
第一に、デザイン系。SNSの投稿画像、バナー、サムネイル、名刺、チラシ、メニュー表。Canvaのテンプレートリンクを販売する形が主流です。
第二に、ドキュメント系。Excelの家計簿・在庫管理表・シフト表、Wordの契約書ひな型・議事録、PowerPointの提案資料スライド。事務職やバックオフィス経験がそのまま使えます。
第三に、Notion系。タスク管理、読書記録、家計簿、プロジェクト管理。ここ数年で最も伸びているカテゴリのひとつです。
第四に、Webサイト系。WordPressテーマ、STUDIOやペライチのテンプレート、HTMLとCSSのランディングページ雛形。
第五に、印刷系。ウェディングの席次表や招待状、出産報告のカード、学習プリント、手帳のリフィル。PDFで納品する形が一般的です。
第六に、動画系。動画編集ソフト用のプリセット、テロップの型、オープニングアニメーション。
このうち、パソコンの基本操作しかない状態から入りやすいのは、Canva系とドキュメント系です。専門ソフトが不要で、無料または低コストで始められます。
「怪しいのでは」という警戒は正しい
テンプレート販売を検索すると、SNS発の「誰でも簡単に」という情報が大量に出てきます。この違和感を最初に持つのは、むしろ健全な感覚です。実際に始めた方も、同じ入口で足を止めています。
そんなときに、SNSで見かけた「テンプレート販売で在宅収入」という言葉。正直、最初は「また怪しい系か…」と思いました。 出典: note.com
テンプレート販売という手法そのものは、まったく怪しくありません。デジタルコンテンツの正当な販売です。怪しいのは、その手法を教えることで収益を得ようとする側の煽り方であって、手法ではない。ここは切り分けて考えてください。
収入の実態。データで確認しておく
期待値を先に正しく設定します。ここを曖昧にした記事が多すぎるので、はっきり書きます。
在宅ビジネス全般の月収分布について、調査データがあります。
エンジニアスキルを活かして在宅ビジネスを始めた場合も、月収は「5万円以下」が一番多く34.8%、次に多いのが「5~10万円」で23.2%と、ほぼ同じ結果が出ています。月10万円未満の人が半分を占めており、実際に在宅ビジネスで月10万円を達成するのはかんたんではないことがわかるでしょう。 出典: baseu.jp
エンジニアスキルという比較的単価の高い領域ですら、この分布です。テンプレート販売はさらに単価が低い商材なので、この数字より下から始まると考えるのが妥当です。
単価と必要販売数の逆算
テンプレートの販売価格帯は、おおむね次のレンジに収まります。
・シンプルなCanvaテンプレート1点:500円から1500円 ・複数点のセット商品:2000円から5000円 ・Notionの本格的なテンプレート:1000円から5000円 ・WordPressテーマなど専門性の高いもの:5000円から3万円
仮に単価1500円のテンプレートで、プラットフォーム手数料が10%だとすると、手元に残るのは1350円。月に3万円を目指すなら、月23件売る必要があります。
この「月23件」という数字を見て、多いと感じるか少ないと感じるか。正直なところ、出品数が10点程度の状態では、まず届きません。逆に、ラインナップが50点あって、そのうち数点が定番として回っていれば、十分に現実的な数字になります。
ストック型の収益であるという性質
テンプレート販売は、作業時間と収入が比例しません。1点作るのに3時間かかったとして、それが100件売れれば時給換算は跳ね上がるし、0件なら時給はゼロです。
この分散の大きさが、テンプレート販売の本質的なリスクであり、同時に魅力でもあります。体調に波があって毎日決まった時間に働けない方にとって、「働いた時間に縛られない収益源」を持てることの意味は小さくありません。ただし、これを唯一の収入源にする設計は、勧めません。
外出せずに本当に完結するのか。工程を分解して検証する
「在宅」と書いてあっても、実際には打ち合わせや電話が発生する仕事は珍しくありません。テンプレート販売はどうか、工程ごとに確認します。
制作工程
すべて自宅のパソコン内で完結します。Canva、Excel、Notion、いずれもオンラインまたはローカルで動きます。素材が必要な場合も、無料の素材サイトからダウンロードするだけです。外に撮影に行く必要は、原則ありません。
出品工程
プラットフォームへの会員登録、本人確認、口座登録、商品ページの作成。すべてブラウザ上の作業です。本人確認は運転免許証やマイナンバーカードをスマートフォンで撮影してアップロードする形式が主流で、窓口に行く必要はありません。
販売・納品工程
購入されると、プラットフォームが自動でダウンロードリンクを購入者に渡します。売り手が何かを送る作業は発生しません。ここが物販との決定的な違いです。梱包も発送も、郵便局に行く必要もありません。
購入者対応
ここだけ、コミュニケーションが発生します。「開けません」「編集の仕方がわかりません」という問い合わせです。ただし、これはプラットフォーム内のメッセージ機能によるテキストのやりとりで、電話番号を公開する必要はありません。
対処法としては、購入者向けの使い方ガイド(PDF)を商品に同梱してしまうのが一番効きます。問い合わせの8割は「使い方がわからない」なので、これを先回りして潰すと、対応工数は劇的に減ります。
確定申告
副業として給与以外の所得が年間20万円を超える場合、確定申告が必要になります。ここも電子申告を使えば税務署に行かずに済みます。制度の詳細は国税庁で確認できますし、申告そのものはe-Taxでオンライン完結します。
結論として、テンプレート販売は工程のどこにも「外出」が必須の場面がありません。この点は、在宅ワークのなかでも際立っています。
販売プラットフォームの比較。手数料の差は無視できない
どこで売るかが9割、と最初に書きました。その最大の要素が手数料と集客力です。
| プラットフォーム | 販売手数料の目安 | 集客力 | 向いているジャンル |
|---|---|---|---|
| BOOTH | 販売価格の5.6%+22円 | 中(創作系に強い) | イラスト、同人、Notion |
| note | 有料記事で5%〜15%程度 | 高(検索流入あり) | ノウハウ付きテンプレート |
| BASE | 決済手数料込みで6.6%+40円+サービス料3% | 低(自力集客が前提) | 何でも(自分の店) |
| STORES | プランにより0%〜5% | 低(自力集客が前提) | 何でも(自分の店) |
| ココナラ | 22%程度 | 高(購入意欲の高い層) | 業務用ドキュメント |
| minne | 9.9%程度 | 中 | 印刷系、ウェディング |
| Creative Market | 40%程度が運営取り分 | 高(海外) | デザイン系 |
数字が示すとおり、手数料の差は最大で30ポイント以上あります。年間50万円を売り上げたとして、手数料5%のところと22%のところでは、手元に残る額に8万5000円の差が生まれます。正直なところ、この差を計算せずにプラットフォームを選んでいる人が多すぎます。
手数料が安ければいいわけではない
一方で、手数料が安いプラットフォームは集客を自分でやる必要があります。自前のネットショップは手数料が最も安い代わりに、誰も見に来ません。SNSやブログで自力で人を集める前提です。
外出が苦手な方にとって、SNS運用は「外に出ない代わりに人前に立つ」作業であり、心理的な負担が別の形でかかることがあります。ここは正直に見積もっておくべきです。
現実的な戦略は、次の2段構えです。最初は集客力のあるプラットフォーム(手数料は高い)で売れる型を見つける。売れる商品が特定できたら、手数料の安い場所や自前のショップに主力を移していく。実績ゼロの状態で自力集客に賭けるのは、単純に効率が悪い。
未経験から始める7ステップ
具体的な手順に落とします。順番どおりに進めてください。
ステップ1:自分の職歴と生活から「型」の候補を洗い出す
ゼロから発想しようとしないでください。テンプレートは、自分がすでに面倒だと感じて工夫してきたものが商品になります。
事務職の経験があれば請求書や在庫管理表。飲食店の勤務経験があればシフト表やレシピ原価計算表。子育て中なら献立表や学習記録。持病の管理をしているなら服薬記録や体調ログ。
自分の日常のなかで「これ毎回作り直すの面倒だな」と思っているものは、他の誰かも同じことを思っています。それが最初の商品候補です。
ステップ2:既存の売れ筋を最低30点調べる
ここを飛ばす人が本当に多い。作る前に、市場を見てください。
各プラットフォームで自分のジャンルを検索し、上位に出てくる商品を30点、スプレッドシートに記録します。記録項目は、価格、サムネイルのデザイン、商品説明の書き方、レビュー数、含まれる点数。
ここで見えてくるのは、「売れている商品は例外なくサムネイルが整っている」という事実です。中身の良し悪しは、買う前には見えません。買い手が判断材料にできるのは、サムネイルと説明文だけです。
ステップ3:最初の1点を作る
1点目は、完璧を目指さないでください。市場に出してみないと、需要があるかは絶対にわかりません。
制作時間の目安は、Canvaのシンプルなテンプレートなら2時間から4時間。Excelの管理表なら4時間から8時間。Notionの本格的なダッシュボードなら10時間以上かかることもあります。
ステップ4:使い方ガイドを必ず添える
これが差別化の最大ポイントです。テンプレート単体で売っている人と、丁寧な使い方ガイドを付けている人では、レビュー評価がまったく違います。
ガイドに書くべきは、ファイルの開き方、色の変え方、文字の差し替え方、印刷の設定、よくあるトラブルの対処。画面キャプチャを貼って、5ページから10ページ程度のPDFにします。
ステップ5:サムネイルと商品説明に、制作時間の半分を使う
繰り返しますが、買い手はサムネイルで判断します。中身に4時間かけたなら、見せ方にも2時間かけてください。
サムネイルに必ず入れる要素は、商品名、含まれる点数、対応ソフト名、ビフォーアフターまたは使用イメージ。文字が読めるサイズかどうかは、スマートフォンで縮小表示して確認します。
商品説明は、「誰の、どんな作業を、どれだけ短縮するか」を冒頭に書きます。機能の羅列から始めるのは失敗パターンです。
ステップ6:出品して、3か月は触らずに待つ
出品直後は売れません。プラットフォームの検索に馴染むまで時間がかかります。
この期間にやるべきことは、次の商品を作ることだけです。1点目の反応を毎日確認して一喜一憂するより、点数を増やしたほうが確実に前に進みます。
ステップ7:データを見て、売れた方向に寄せる
3か月経つと、閲覧数と購入数のデータが溜まります。ここで初めて分析します。
閲覧は多いのに売れていないなら、価格か商品説明の問題。閲覧自体が少ないなら、タイトルとタグの問題。この切り分けができれば、改善の方向は自動的に決まります。
メリットとデメリットを、フェアに並べる
良い面だけを書くのは不誠実なので、両方書きます。
メリット
在庫リスクがゼロ。デジタルデータなので、売れなくても損失は制作時間だけです。
初期費用がほぼゼロ。Canvaの無料プラン、Excel、Notionの無料プランで始められます。
外出も対人接触も不要。前述のとおり、工程のどこにも必須の外出がありません。
一度作れば繰り返し売れる。同じデータが何度でも販売できます。
時間の制約がない。深夜でも早朝でも、体調のいいタイミングで作業できます。
デメリット
収益化まで時間がかかる。最初の3か月から6か月は、ほぼ売上ゼロと考えてください。
競合が非常に多い。参入障壁が低いということは、同じことを考える人が大量にいるということです。
模倣されやすい。デザインは真似されます。法的に争うのは現実的でないケースがほとんどです。
プラットフォーム依存のリスク。規約変更やアカウント停止で、収入が一夜で消える可能性があります。だから複数の売り場を持つべきです。
購入者対応が完全にゼロにはならない。返金要求や使い方の問い合わせは、必ず一定量発生します。
正直なところ、「簡単に始められる」と「簡単に稼げる」は、まったく別の話です。テンプレート販売は前者ではありますが、後者ではありません。
つまずきやすい場面と、実務での対処
編集の仕事で、テンプレート販売者への取材や、自分自身で販売用の資料テンプレートを作った経験から、実際に詰まる箇所を挙げます。
私が最初に作ったのは、取材記事の構成をまとめる企画書テンプレートでした。自分の業務で毎回使っていたものなので、需要はあると思っていた。結果は、3か月で1件も売れませんでした。原因を後から分析してわかったのは、商品名に「企画書テンプレート」としか書いていなかったことです。買い手は「企画書」では検索しません。「取材 質問リスト」「インタビュー 構成 テンプレート」といった、具体的な作業名で検索します。中身は変えず、タイトルとタグだけを作業名ベースに書き直したところ、閲覧数が明確に動きました。テンプレート販売は、商品開発の仕事ではなく、検索されるための言葉選びの仕事だと理解したのは、このときです。
「作りすぎて出せない」問題
完璧主義の方に非常に多いのが、作り込みすぎて出品に至らないパターンです。3か月かけて1点も出していない、という状態は珍しくありません。
対処は単純で、締切を自分で切ることです。「1点あたり最大6時間、超えたらその時点の状態で出す」というルールを決める。出してから修正すればいいのです。デジタルデータの利点は、いつでも差し替えられることです。
集中が続かない問題
制作作業は長時間の単独作業なので、集中の維持が課題になります。特に自宅は誘惑が多い。この点については、時間の区切り方の具体的な手法を在宅ワークの集中力アップ|ポモドーロ以外に効く7つのテクニックにまとめてあります。作業の中身より、切り替えの設計を変えたほうが効くケースが多いです。
生活時間そのものの組み方に迷う場合は、在宅ワーク主婦の1日のタイムスケジュール公開で、実際の時間配分の例を見ておくと基準ができます。
規約と権利。ここを外すとアカウントが飛ぶ
軽く扱われがちですが、テンプレート販売で最も致命的なのがここです。
素材のライセンスを必ず確認する
無料素材サイトのイラストや写真を使ってテンプレートを作り、それを販売する。これは多くのケースで規約違反です。「再配布禁止」「テンプレートへの組み込み禁止」と明記されているサイトが大半だからです。
Canvaの素材も同様で、Canvaの規約では素材をそのまま使った編集可能なテンプレートの販売に制限があります。自作の素材か、商用利用かつ再配布可のライセンスが明示された素材だけを使ってください。
フォントのライセンス
見落としが最も多いのがフォントです。画像として書き出す場合と、編集可能なファイルとして配布する場合では、必要なライセンスが違います。編集可能なテンプレートを売るなら、購入者もそのフォントを使えることが前提になります。
安全なのは、オープンライセンスのフォント(Google Fontsなど)に限定することです。
他社の著名なデザインを模倣しない
売れている商品を参考にするのは構いませんが、レイアウトを丸ごと真似するのは別の話です。意匠権や著作権の問題になり得ますし、実務的にはプラットフォームからの削除で終わります。
特定商取引法に基づく表記
デジタルコンテンツを継続的に販売する場合、特定商取引法に基づく表記が必要です。プラットフォームによっては運営側の情報で代替できる仕組みがありますが、自前のショップでは自分の氏名と住所の表記が必要になるケースがあります。ここは開業前に確認しておいてください。
開業と社会保険の扱い
継続的な事業になってくると、開業届や、国民年金・国民健康保険の扱いを整理する必要が出ます。会社を辞めて在宅の仕事に切り替える段階の方は、日本年金機構で手続きの流れを先に確認しておくと、後から慌てずに済みます。
価格の決め方と、値上げのタイミング
作ったあとで最も迷うのが値付けです。ここは感覚で決めず、手順にしてしまったほうが早く進みます。
最初の価格は市場の中央値に置く
事前に調べた30点の価格を並べて、真ん中の値を初期価格にします。最安値を狙う必要はありません。デジタル商品は「安いから買う」より「これで解決しそうだから買う」で選ばれるため、最安値をつけても購入数はほとんど動かないからです。
むしろ、極端に安い価格は品質が低いという印象を与えます。500円のテンプレートと1,500円のテンプレートが並んでいたとき、買い手は安いほうを試し買いするのではなく、説明が充実しているほうを選びます。価格で戦う設計は、点数を大量に持っている人にしか成立しません。
セット化で単価を上げる
単品で売れる商品が出てきたら、関連するものをまとめたセットを別商品として出します。単品1,000円のものを3点セットで2,500円にする。買い手にとっては1点あたりが安くなり、売り手にとっては1回の販売額が上がります。
セットを作るときは、用途がつながっているものだけを束ねてください。「家計簿と献立表と学習記録」のように使う場面が違うものを詰め合わせても、買い手は自分に必要な1点分の価値でしか判断しません。「月次の家計簿と、年間の集計表と、費目の一覧」のように、一つの作業を最初から最後まで通せる構成にすると、単品より高い価格が通ります。
値引きは常時ではなく期間を区切る
割引を常時出していると、通常価格が実質的に無効になります。値引きするなら、期間を明示して短く区切ってください。
値上げについては、レビューが10件を超えて評価が安定してきた時点が一つの目安です。すでに購入した人には影響しないので、上げてから反応を見て、購入が止まるようなら戻せばいい。テンプレート販売では、価格の実験ができることそのものが利点です。1回の変更で判断せず、最低でも1か月は同じ価格で様子を見てください。
購入後の対応とバージョン管理
出品したら終わりではありません。むしろ、売れ始めてからの手当てが、次の商品の売れ行きを決めます。
返金の申し出にどう向き合うか
デジタル商品は、いったん渡すと取り戻せません。そのため多くのプラットフォームでは、原則として購入者都合の返品を受け付けない扱いになっています。ただし、商品説明と中身が違う、ファイルが開けないといったケースは別です。
申し出が来たときは、まず何が起きているかを事実として確認してください。「どのソフトの、どのバージョンでお使いですか」「エラーの画面をお送りいただけますか」。ここで感情的なやりとりに入らないことが重要です。こちらの説明不足が原因なら、返金に応じたうえで商品説明を直す。この一件で得られる情報のほうが、返金額より価値があります。
なお、返金や取引条件の扱いはプラットフォームの規約で決まっているため、自分で独自のルールを商品ページに書いても、規約が優先されます。出品前に該当箇所を読んでおいてください。
仕様変更に追いつくための更新計画
テンプレートは、依存しているソフトが変わると壊れます。Canvaの機能変更、表計算ソフトの関数の挙動、Notionの仕様更新。放置していると、ある日から「開けない」という問い合わせが急に増えます。
対策として、四半期に一度、出品中の商品を自分で開き直して動作を確認する日を決めてください。点数が増えるほどこの作業は重くなるので、最初から更新日を決めておくのが現実的です。更新したら、購入済みの人にも新しいファイルが届く仕組みかどうかを確認しておきます。プラットフォームによっては、出品者がファイルを差し替えると既存の購入者も最新版を取得できます。
レビューを増やすための一手間
購入直後は、買い手の関心が最も高い時点です。ここで使い方ガイドの補足を一言添えると、レビューが書かれる確率が上がります。星の評価を依頼する文面は好まれないので、「うまく動かない箇所があればお知らせください」という形で窓口だけ示すのが無難です。
レビューが5件を超えたあたりから、検索での表示が変わってきます。点数を増やすことと同じくらい、最初の数件の評価を丁寧に積むことに意味があります。
在宅の収入設計から見た、テンプレート販売の適切な置き場所
最後に、視点を引いて整理します。
単独の柱にせず、二層構造で組む
テンプレート販売は、収益が発生するまでの時間が長く、金額の分散が大きい。これを唯一の収入源にすると、精神的にかなり苦しくなります。
現実的な設計は、都度報酬が発生する仕事(フロー型)で当月の生活費を作りながら、テンプレート販売(ストック型)を積み上げる二層構造です。
フロー型としてどんな仕事があるかは、在宅でできる仕事おすすめ【2026年版】|スキル別ランキングにスキル別の一覧が整理されています。テンプレート制作で身につくスキルと相性のいい仕事を、ここから選ぶという考え方ができます。
職種ごとの単価の目安を知りたい場合は、文章系なら著述家,記者,編集者の年収・単価相場、開発系ならソフトウェア作成者の年収・単価相場にデータがあります。自分の作業時間を何に振り分けるべきかの判断材料になります。
テンプレート制作から派生する仕事
テンプレートを作り続けると、副産物として複数のスキルが身につきます。デザインの型を作る力、業務フローを整理して図解する力、そして検索されるための言葉を選ぶ力。
最後の「言葉選び」は、そのままWebマーケティングの中核スキルです。この方向に伸ばす場合、どんな業務が在宅で発注されているかはAI・マーケティング・セキュリティのお仕事で確認できます。
また、生成AIの普及によって、テンプレート制作そのものは効率化が進む一方、「業務をどう型に落とすか」を設計する仕事の価値は上がっています。この領域の実務内容はAIコンサル・業務活用支援のお仕事にまとまっています。テンプレート制作で培った「作業を分解して再利用可能な形にする」という思考は、そのまま通用します。
技術方面に進むならアプリケーション開発のお仕事、ビジネス文書の型を武器にするならビジネス文書検定、インフラ領域ならCCNA(シスコ技術者認定)といった選択肢もあります。いずれも在宅で学習でき、受験もオンラインまたは近隣の会場で完結する形式が増えています。
20年この市場を見てきた立場からの観察
フリーランスと在宅ワークの市場を20年運営してきた立場から見ると、テンプレート販売で長く続いている人には、はっきりした共通点があります。
それは、単発の商品を数多く出すことではなく、特定のジャンルで「この人の作るものは使いやすい」という認識を作ることに時間を使っている、という点です。バラバラのジャンルに手を出した人より、狭い領域を深く埋めた人のほうが、結果的に長く売れ続けている。運営者として見てきた限り、この傾向は職種を問わず一貫しています。
もうひとつ、額面と手取りの話をします。同じ売上金額でも、間に何段も手数料が乗る経路と、依頼者と直接つながる経路とでは、手元に残る額が明確に違います。手数料0%で直接つながる形は、受け手の手取りが厚くなるだけでなく、依頼する側も同じ予算でより多くを依頼できる。片方が得をする構造ではなく、両方が得をする構造です。この差に気づいて動き方を変えた人は、同じ作業量でも生活の余裕がまったく違ってきます。
テンプレート販売は、その入口として悪くない選択です。作ったものが評価される感覚を、対人接触ゼロで得られる。そこから、テキストベースの直接取引へ静かに広げていく。外に出る回数を増やさずに収入を厚くするなら、この順番が最も合理的だと考えています。
よくある質問
Q. テンプレート販売は本当に外出せずに完結しますか?
完結します。制作はパソコン内、出品と本人確認はブラウザとスマートフォン撮影、納品はプラットフォームが自動でダウンロードリンクを渡す仕組みです。梱包も発送もありません。購入者対応だけはテキストのやりとりが発生しますが、使い方ガイドのPDFを商品に同梱すると問い合わせの大半を先回りして減らせます。
Q. 未経験でも作れるジャンルはどれですか?
Canvaのデザインテンプレートと、ExcelやWordのドキュメント系が入りやすい入口です。専門ソフトが不要で、無料または低コストで始められます。事務職の経験があれば請求書や在庫管理表、飲食店の経験ならシフト表や原価計算表など、自分が面倒に感じて工夫してきたものが、そのまま商品候補になります。
Q. どのくらいで売上が立ちますか?
最初の3か月から6か月は、ほぼ売上ゼロと考えてください。プラットフォームの検索に馴染むまで時間がかかるためです。仮に単価1500円、手数料10%で月3万円を目指すなら月23件の販売が必要で、出品10点程度では届きません。3か月は反応を気にせず点数を増やし、それからデータを見て改善する進め方が現実的です。
Q. 無料素材サイトのイラストを使ったテンプレートを売っても大丈夫ですか?
多くのケースで規約違反になります。無料素材サイトは「再配布禁止」「テンプレートへの組み込み禁止」を明記していることが大半だからです。フォントも同様で、編集可能なファイルとして配布する場合は購入者もそのフォントを使えることが前提になります。自作素材か、商用利用かつ再配布可と明示された素材、オープンライセンスのフォントに限定するのが安全です。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
朝比奈 蒼@SOHO編集部
ITメディア編集者
IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。
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