電子書籍を自費出版する手順と、販売先ごとの違い

@SOHO編集部
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電子書籍を自費出版する手順と、販売先ごとの違い

この記事のポイント

  • ✓電子書籍を自費出版する手順を
  • ✓原稿の準備からファイルの作成
  • ✓価格の決め方まで順番に整理しました

電子書籍の自費出版を考えている人の多くは、「本当に費用をかけずに出版できるのか」「原稿をどんな形にすれば販売できるのか」「Amazon以外の販売先も使ったほうがいいのか」という疑問を抱えています。結論から言うと、電子書籍は、販売先のサービスに登録すれば、出版そのものの費用をかけずに個人でも出版できます。ただし、原稿をファイルの形に整える作業、表紙の用意、価格とロイヤリティの条件の選択は自分で行う必要があり、販売先によって条件が違います。この記事では、電子書籍を自費出版する手順を順番に整理し、代表的な販売先であるAmazonのKindle ダイレクト・パブリッシングの条件を公式のヘルプで確かめながら、販売先ごとの違いを説明します。

電子書籍の自費出版とは、出版社を通さずに本を売ること

自費出版とは、出版社に企画を通して本を出してもらうのではなく、著者が自分で費用や手間を負担して本を出すことです。紙の本の自費出版では、印刷や製本、書店への流通にまとまった費用がかかるため、一般に数十万円以上の費用を見込む必要がありました。

電子書籍の場合は、印刷も製本も要りません。販売先のサービスが用意している仕組みにファイルを登録すれば、その日から世界中の読者に向けて本を売り出せます。編集やデザインを専門の会社に頼む出版サービスの解説でも、次のように紹介されています。

電子書籍は印刷代や紙代がかからないため、紙の本に比べてかなり低価格で出版できます。 出典: publishing-house.jp

代表的な販売先であるAmazonのKindle ダイレクト・パブリッシング(KDP)の公式サイトでも、電子書籍と紙書籍を無料で出版できると説明されています。KDPとは、著者が自分でKindle本を出版するためのAmazonの仕組みのことです。

電子書籍の自費出版で出される本の内容は、さまざまです。仕事で身につけた知識をまとめた実用書、趣味の分野の解説、小説やエッセイ、写真集、自分史などがあります。紙の本では採算が合わないような、読者の少ない専門的な分野でも出しやすいのが、電子書籍の大きな特徴です。

一方で、出版社を通さない分、編集、校正、表紙のデザイン、宣伝のすべてを自分で考える必要があります。出版社の編集者が担ってきた「読みやすく、誤りのない本に仕上げる」仕事を、自分で行うか、外に頼むかを決めることが、自費出版の出発点になります。

電子書籍を自費出版する手順

電子書籍を自費出版するまでの流れを、順番に並べます。

  1. 本の企画を決める。誰に向けて、何を伝える本かを1文で書けるようにする
  2. 原稿を書く。章立てを先に決めてから書き進める
  3. 原稿を校正する。誤字や表記の揺れ、事実の誤りを確かめる
  4. 電子書籍のファイルを作る。販売先が受け付ける形式に整える
  5. 表紙の画像を用意する
  6. 販売先のサービスに登録し、本の情報を入力する
  7. 価格とロイヤリティの条件を選ぶ
  8. プレビューで表示を確かめてから出版する
  9. 出版した後、読者に知ってもらうための発信をする

この流れの中で、時間がかかるのは原稿を書く段階と、校正と、ファイルを作る段階です。販売先への登録そのものは、準備が整っていれば数十分から数時間で終わります。出版の申請をしてから実際に販売が始まるまでには、販売先の確認の時間がかかることがあります。

販売先に登録するときに入力する主な情報は、本の題名、著者の名前、本の紹介文、検索で見つけてもらうための言葉(キーワード)、本の分類(カテゴリー)などです。著者の名前は、本名でなくペンネームでもかまいません。ただし、一度決めた名前で本を出し続けると、読者がその名前で本を探してくれるようになるので、最初の1冊を出す前に、長く使える名前を決めておきます。紹介文とキーワードは、読者が本にたどり着くための入り口になるので、時間をかけて考えます。

次の節からは、それぞれの段階で気をつけたい点を説明します。

原稿の準備と、企画の決め方

電子書籍を出版する前に、まず「誰に向けて、何を伝える本か」を決めます。ここがあいまいなまま書き始めると、途中で内容が広がりすぎたり、読者にとって何が得られる本なのかが分からなくなったりします。

企画を決めるときは、次の3つを書き出しておきます。

  • 読者。どんな状況にいて、何に困っている人か
  • 本を読んだ後に、読者ができるようになること
  • ほかの本と比べて、この本ならではの点

たとえば、「在宅で写真の仕事を始めたい人に向けて、機材の選び方と最初の仕事の受け方を、実際の撮影の手順とともに伝える本」のように、1文で言える形にします。この1文が、本の題名や紹介文を考えるときの土台にもなります。

原稿を書くときは、先に章立てを決めます。章ごとに伝えたいことを2行から3行で書き出し、全体の流れを確かめてから本文に取りかかると、書き直しが少なくて済みます。電子書籍の読者は、スマートフォンで少しずつ読むことが多いので、1つの章を長くしすぎず、見出しで区切って読みやすくすることも大切です。

電子書籍には、決まった分量はありません。数万字の本もあれば、1万字ほどの短い本もあります。短い本は価格を低くして手に取ってもらいやすくする、長い本は内容の深さで価値を出す、というように、分量と価格は一緒に考えます。

校正は、自費出版でいちばん手を抜きやすい工程

出版社を通す本では、編集者と校正の担当者が、原稿の誤りを何度も確かめます。自費出版では、この工程を自分で行うことになり、ここが手薄になりやすい部分です。

校正で確かめる点は、次のとおりです。

  1. 誤字と脱字
  2. 表記の揺れ。同じ言葉を「メール」と「Eメール」のように違う書き方で書いていないか
  3. 数字や固有名詞の誤り。人名、会社名、製品名、日付など
  4. 事実の誤り。制度や料金などは、出版する時点の情報になっているか
  5. 文のつながり。主語と述語が対応しているか、意味が通じるか

自分で書いた文章は、自分では誤りに気づきにくいものです。書き終えてから数日置いてから読み返す、紙に印刷して読む、声に出して読む、といった方法で、違う目で読む工夫をします。家族や知人に読んでもらえるなら、それがいちばん確実です。

電子書籍は、出版した後でも原稿を差し替えられます。しかし、最初に読んだ読者の評価は残ります。誤りの多い本だと思われると、その後の本も手に取ってもらいにくくなります。出版の前の校正には、時間を惜しまないことが大切です。

伝わる文章を書く力と、表記をそろえる力は、ビジネスの文章の勉強でも身につきます。誰に向けて何を伝えるかを組み立てる練習には、ビジネス文書検定の勉強も役に立ちます。

電子書籍のファイルの作り方

原稿ができたら、販売先が受け付ける形式のファイルに整えます。KDPの公式のヘルプでは、電子書籍の原稿として、Microsoft Word の DOC や DOCX の形式、EPUB の形式、Kindle Create で作る KPF の形式などが受け付けられると説明されています。

形式 中身 向いている人
Word(DOC・DOCX) ワープロのソフトで書いた原稿のファイル 文章が中心の本を、手持ちのソフトで作りたい人
EPUB 電子書籍の標準の形式。多くの販売先で使える 複数の販売先で同じファイルを使いたい人
KPF Amazon の Kindle Create で作るファイル Kindle 向けに表示を整えたい人

KDPのヘルプでは、ほとんどの DOC や DOCX のファイルは問題なく電子書籍に変換されるものの、複雑な書式を含むファイルは適切に変換されないことがあるとされています。文章が中心の本なら、見出しや段落の書式を決まった形にそろえた Word のファイルで出版できます。

ここで、日本語の本を作る人が知っておきたいことがあります。KDPのヘルプには、Kindle Create では日本語のリフロー型の本と、プリント・レプリカの本はサポートされていない(マンガの形式は日本語で使える)と書かれています。リフロー型とは、読む人の画面の大きさや文字の大きさに合わせて、文章の折り返しが自動で変わる形式のことです。文章が中心の本はふつうリフロー型で作ります。日本語の文章の本を Kindle 向けに作るなら、Word のファイルか EPUB のファイルで用意する形になります。最新のサポートの状況は、KDPの電子書籍の原稿のファイル形式のヘルプで確かめてください。

複数の販売先で本を出すなら、EPUB の形式で作っておくと、同じファイルを使い回せることが多く便利です。EPUB を作るには専用のソフトやサービスを使います。どの方法で作った場合も、出版の前に、販売先が用意しているプレビューの道具で、スマートフォンや電子書籍の端末でどう見えるかを必ず確かめます。KDPでは Kindle Previewer という道具で、変換された電子書籍の表示を確かめられます。

表紙の画像を用意する

電子書籍の表紙は、販売のページで読者が最初に目にする部分です。書店の棚で本を手に取るのと同じように、表紙が本を選ぶかどうかの大きな決め手になります。

表紙を作るときに気をつけたいのは、小さく表示されたときの見え方です。販売のページの一覧では、表紙は親指の爪ほどの大きさで表示されます。その大きさでも題名が読め、何の本かが伝わるデザインにします。文字を詰め込みすぎず、題名を大きく、背景はすっきりさせるのが基本です。

表紙の画像のサイズや形式は、販売先ごとに決まりがあります。KDPでは、電子書籍の表紙の画像の必要条件がヘルプで説明されているので、作る前に確かめておきます。

表紙は自分で作ることもできますが、デザインに自信がなければ、デザイナーに頼むのも1つの方法です。表紙のデザインを外に頼むときの報酬の目安は、デザインの仕事の相場から見当をつけられます。デザイナーの仕事の報酬の目安はデザイナーの年収・単価相場にまとまっています。

表紙に写真やイラストを使う場合は、権利に注意します。インターネットで見つけた画像をそのまま使うことはできません。自分で撮った写真を使うか、商用での利用が認められた素材を、利用の条件に従って使います。

KDPのロイヤリティの条件と価格の決め方

電子書籍の価格は、販売先ごとに決まった範囲の中で、著者が自分で決めます。KDPでは、売り上げのうち著者が受け取る割合を、35% と 70% の2つのロイヤリティの選択肢から選びます。ロイヤリティとは、本が売れたときに著者が受け取る取り分のことです。

KDPの公式のヘルプに書かれている、日本の Amazon.co.jp での希望小売価格の要件は次のとおりです。

ロイヤリティの選択肢 最低希望小売価格 最高希望小売価格
35% 99円 20,000円
70% 250円 1,650円

70% の選択肢の価格の範囲は、2026年7月7日から広げられました。KDPのヘルプでは、Amazon.com で70% の選択肢の最高希望小売価格が$9.99から$12.99に広げられ、ほかのマーケットプレイスでも同様の変更が行われたと説明されています。以前の情報では日本の最高額が違う数字で書かれていることがあるので、価格を決める前にKDPの電子書籍のロイヤリティのヘルプで最新の数字を確かめてください。

ここで大切な条件があります。KDPのヘルプには、ブラジル、日本、メキシコ、インドの読者への販売で70% の選択肢を選ぶには、電子書籍を KDP セレクトに登録する必要があると書かれています。つまり、日本の読者に向けて売る本で70% のロイヤリティを受けたいなら、KDP セレクトへの登録が前提になります。また、70% の選択肢には配信コストがかかります。配信コストとは、本のファイルの容量に応じて差し引かれる、読者に本を届けるための費用のことです。

価格を決めるときは、次の点を考えます。

  • 同じ分野の電子書籍が、どのくらいの価格で売られているか
  • 本の分量と内容の深さ
  • 70% の選択肢を選ぶか。選ぶなら KDP セレクトに登録できるか
  • 読み放題のサービスで読まれることを重視するか

価格を低くすると手に取ってもらいやすくなる一方で、1冊あたりの取り分は小さくなります。最初は低めの価格で出して読者の反応を見て、評価が集まってから価格を見直す著者もいます。

KDP セレクトと読み放題のサービス

KDP セレクトとは、KDPのヘルプによると、Kindle本専用の90日間の無料のプログラムです。登録すると、Kindle本は自動で Kindle Unlimited に加えられ、本の無料キャンペーンの対象にもなります。

Kindle Unlimited とは、月額の料金を払った読者が、対象の本を読み放題で読めるAmazonのサービスのことです。KDP セレクトに登録した本は、この読み放題の対象になり、読まれたページの量に応じて著者にロイヤリティが支払われます。読み放題の読者は、気軽に本を開いてくれるので、無名の著者にとっては、本を知ってもらうきっかけになります。

ただし、KDP セレクトには条件があります。登録している期間は、その本の電子版をAmazonだけで販売することが条件になっていて、ほかの販売先で同じ本の電子版を売ることはできません。90日の期間は、自動で更新される設定になっていることが多いので、ほかの販売先でも売りたいと考えたら、登録の取り消しの手続きをしておく必要があります。登録の要件と取り消しの方法は、KDPのヘルプで確かめてください。

KDP セレクトに登録するかどうかは、この記事の次の節で説明する、ほかの販売先を使うかどうかと一緒に決めます。日本の読者に向けて売るなら、70% のロイヤリティと読み放題の対象になることの利点が大きいため、Amazon だけで売ると決めて KDP セレクトに登録する著者が多くいます。

販売先ごとの違い

電子書籍の販売先は、Amazon の KDP だけではありません。楽天Kobo の Kobo ライティングライフ、Google Play ブックス、Apple Books など、個人が電子書籍を出版できる仕組みはほかにもあります。また、複数の販売先にまとめて配信してくれる取次のサービスもあります。

販売先を選ぶときに比べたい点は、次のとおりです。

比べる点 中身
読者の多さ その販売先で電子書籍を買う人がどのくらいいるか
ロイヤリティの割合 売り上げのうち著者が受け取る割合と、その条件
価格の範囲 決められる価格の上限と下限
受け付けるファイルの形式 用意したファイルがそのまま使えるか
支払いの条件 報酬が振り込まれる時期と、最低の支払い額
独占の条件 ほかの販売先で売ることが制限されるか

Amazon は日本の電子書籍の読者が多い販売先で、KDP セレクトの読み放題の仕組みもあるため、最初の1冊を出す販売先として選ばれやすい場所です。一方で、Amazon 以外の販売先を使う読者もいます。複数の販売先で売れば、より多くの読者に届く可能性がありますが、その場合は KDP セレクトに登録できず、日本での70% のロイヤリティも選べません。

ロイヤリティの割合や支払いの条件は、販売先ごとに違い、改定されることもあります。Amazon 以外の販売先を使う場合は、それぞれの公式のヘルプや規約を開いて、出版する時点の条件を確かめてください。

原稿に書いてよいこと、気をつけること

自費出版では、出版社の法務の担当者が原稿を確かめてくれることはありません。権利や表現に関わる点も、自分で確かめる必要があります。

まず、他人の文章や画像の扱いです。他人が書いた文章を本に載せる場合は、著作権法で認められた「引用」の範囲で行います。引用として認められるには、一般に、引用する部分が自分の文章の補足にとどまること、引用した部分がはっきり分かるように区別されていること、出典が示されていることなどが求められます。文章の大部分が他人の文章の書き写しになっている場合は、引用とは認められません。歌の歌詞や、ほかの本の図表を載せる場合も同じように注意が必要です。判断に迷う場合は、権利者に許可を求めるか、自分の言葉で書き直します。

次に、実在の人や会社について書く場合です。体験記や自分史では、家族や知人、勤めていた会社のことを書くことがあります。相手が特定できる書き方で、相手の名誉を傷つけるような内容や、私生活の事実を書くと、トラブルになることがあります。名前を伏せる、特定できない書き方にするなどの配慮をし、必要なら本人の了解を取ります。

さらに、健康やお金に関わる実用書では、読者の行動を左右する書き方に注意します。制度や料金のように変わる情報は、出版した時点の情報であることを明記し、読者が最新の情報を公式の窓口で確かめられるよう案内しておくと、内容が古くなったときの誤解を防げます。

販売先にも、出版できる内容についての決まりがあります。KDPには、出版できないコンテンツについてのガイドラインがあり、ほかの人の権利を侵害する本や、すでに公開されている文章をそのまままとめただけの本などは、出版できないことがあります。出版の前に、販売先のガイドラインに目を通しておいてください。

紙の本も一緒に出したいときの選択肢

電子書籍を出した後に、紙の本も出したいと考える人は少なくありません。紙の本は、手元に残る形として家族や知人に渡せるほか、講演やセミナーの会場で手渡すこともできます。

KDPでは、電子書籍だけでなく紙書籍も無料で出版できると公式に説明されています。KDPの紙書籍は、注文が入るたびに1冊ずつ印刷して届ける仕組みのため、事前に大量に印刷して在庫を抱える必要がありません。著者が受け取るロイヤリティは、販売価格から印刷の費用などを差し引いて計算されます。KDPのヘルプには、印刷のコストとロイヤリティを計算する道具も用意されています。

紙の本を作るには、電子書籍とは別の準備が要ります。電子書籍は読む人の画面に合わせて文章の折り返しが変わりますが、紙の本はページの大きさが決まっているため、ページごとの文字の配置を整えたファイルを用意する必要があります。表紙も、表、背、裏が1枚につながった形で作ります。背の幅は、ページ数によって変わります。

紙の本は、印刷の費用がかかる分、電子書籍より価格が高くなりがちです。電子書籍で反応を見て、読まれることが分かってから紙の本を作る、という順番にすると、作業の手間を無駄にせずに済みます。

自費出版のメリットとデメリット

電子書籍の自費出版には、はっきりしたメリットとデメリットがあります。

メリットの1つ目は、費用をかけずに出版できることです。KDPなどのサービスは出版そのものに費用がかからず、自分で作業すれば、手元のパソコンだけで本を出せます。2つ目は、早く出版できることです。原稿が整っていれば、出版社の企画会議を待つことなく、自分の決めた時期に出せます。3つ目は、内容を自分で決められることです。出版社では採算が合わないと判断されるような、読者の少ない分野の本でも出せます。4つ目は、出版した後でも内容を直せることです。情報が古くなったら、原稿を差し替えて最新の内容にできます。

デメリットの1つ目は、売れるかどうかは自分の発信にかかっていることです。出版社のような宣伝の力はなく、書店に並ぶこともありません。本を出しただけでは、読者に見つけてもらえないことがほとんどです。2つ目は、品質を自分で保つ必要があることです。校正や表紙の作りが甘いと、評価に直結します。3つ目は、収入が読みにくいことです。電子書籍の売れ行きは本によって大きく違い、出版しても数冊しか売れないことも珍しくありません。

自費出版は、大きな収入を得る手段というより、自分の知識や経験を形に残し、それを読みたい人に届ける手段と考えておくと、期待と結果の差に悩まずに済みます。

外注するときの費用の目安と頼み方

原稿を書くのは自分で行い、ファイルの作成や表紙、校正を外に頼む人もいます。出版サービスを手がける会社の解説では、外注の費用の目安について次のように書かれています。

文字中心の完成原稿があり、データ作成と登録代行だけをしてもらう場合は、2万~5万円前後がひとつの目安です。表紙デザイン、校正、編集まで含めると10万~20万円前後、さらに企画、取材、執筆から依頼する場合は30万円以上になることがあります。 出典: publishing-house.jp

同じ「電子書籍の制作」でも、どこまで頼むかで費用は大きく変わります。料金を比べるときは、総額だけでなく、どの作業が含まれているかを確かめます。

外に頼むときに確かめたい点は、次のとおりです。

  • どの作業が料金に含まれているか(ファイルの作成、表紙、校正、登録の代行など)
  • 修正は何回まで受けてもらえるか
  • 本の権利は著者に残るか。売り上げの一部を手数料として取る契約になっていないか
  • 販売先のアカウントは誰の名前で作るか。著者の名前で作り、著者が管理できるか

特に、販売先のアカウントと売り上げの受け取りが著者の手元に残るかは、必ず確かめます。登録の代行を頼んだ結果、アカウントを相手が管理していて、売り上げの確認や原稿の差し替えが自分でできない、という形は避けたいところです。

作業の一部だけを、在宅のフリーランスに直接頼む方法もあります。表紙のデザインはデザイナーに、校正は校正の経験がある人に、というように作業ごとに頼めば、必要な分だけ費用をかけられます。

出版した後に読者に届ける工夫

電子書籍は、出版してからが本当の始まりです。読者に本を知ってもらうための工夫を紹介します。

1つ目は、本の紹介文を丁寧に書くことです。販売のページの紹介文は、読者が買うかどうかを決める大切な材料です。この本で何が分かるのか、誰に向けた本なのかを、最初の数行で伝えます。目次を載せておくと、内容がつかみやすくなります。

2つ目は、自分の発信の場を持つことです。ブログやSNSで、本の内容に関わる情報を日ごろから発信しておくと、本を出したときに知らせる相手がいる状態になります。本の一部を発信の中で紹介し、続きは本で読めると案内する方法もあります。

3つ目は、読者の感想を集めることです。読んだ人の感想は、ほかの読者が本を選ぶときの参考になります。知人に読んでもらった場合は、率直な感想を販売のページに書いてもらえるよう頼んでおきます。ただし、報酬を払って良い感想を書いてもらうことは、販売先の決まりで禁じられていることが多いので注意してください。

4つ目は、続けて本を出すことです。1冊目より2冊目、2冊目より3冊目と、本の数が増えるほど、著者の名前で本を探してくれる読者が増えていきます。同じ分野の本を続けて出すと、1冊を読んだ読者が別の本も手に取ってくれるようになります。

確定申告と、収入の扱い

電子書籍の売り上げで収入を得た場合は、収入の額によって確定申告が必要になります。会社員が副業として電子書籍を出している場合は、給与以外の所得が年20万円を超えると、原則として確定申告が必要です。

ロイヤリティの収入は、本の執筆を仕事として続けているかどうかで、雑所得や事業所得として扱われます。どちらになるかは、収入の規模や続け方で変わるので、迷ったら税務署に相談してください。

海外の会社から報酬を受け取る販売先では、税金の手続きのために、販売先のサービスに税務の情報を登録する必要があることがあります。KDPでも、アカウントの設定で税務の情報を入力する手続きがあります。入力の方法はKDPのヘルプに案内されているので、出版する前に済ませておきます。

自費出版で発信を続ける人に見られる傾向

在宅の仕事とフリーランスの仲介を20年あまり続けてきた運営者として見てきた限りでは、電子書籍の自費出版を仕事の幅を広げる手段にしている人は、本そのものの売り上げより、本を出したことで生まれる仕事のつながりを大切にしています。自分の専門の分野で1冊の本をまとめた経験は、その分野の知識を体系立てて説明できることの証明になります。本を読んだ人から、記事の執筆や講座の講師、相談の仕事を頼まれるようになった例は少なくありません。

もう1つ見えてくるのは、本作りの各工程を自分で経験した人が、その技術を在宅の仕事にしていることです。原稿の校正、電子書籍のファイルの作成、表紙のデザイン、紹介文の執筆などは、自費出版を考える人から頼まれる仕事でもあります。仲介の手数料がかからない直接の取引なら、依頼する側は同じ予算でより多くの作業を頼め、受ける側は手取りが厚くなります。本作りの技術は、自分の本を出す力であると同時に、ほかの人の本作りを支える力にもなります。

出版した本を読者に届けるための発信や集客の工夫を、仕事として広げていく道もあります。どんな仕事があるかはAI・マーケティング・セキュリティのお仕事で紹介しています。原稿を書く時間の作り方に悩んでいる人は、在宅ワークの集中力アップ|ポモドーロ以外に効く7つのテクニックも参考にしながら、まずは1冊目を形にしてみてください。

よくある質問

Q. 電子書籍の自費出版に費用はかかりますか?

Amazon の Kindle ダイレクト・パブリッシングでは、電子書籍を無料で出版できると公式に説明されています。原稿の執筆、校正、ファイルの作成、表紙の用意をすべて自分で行えば、出版そのものに費用はかかりません。表紙のデザインや校正、ファイルの作成を外に頼む場合は、頼む範囲に応じて費用がかかるので、どの作業が含まれているかを確かめて比べます。

Q. Kindle本で70%のロイヤリティを受けるにはどうすればいいですか?

KDPのヘルプでは、日本の Amazon.co.jp での70%の選択肢の希望小売価格は250円から1,650円の範囲とされています。また、日本の読者への販売で70%を選ぶには、電子書籍を KDP セレクトに登録する必要があります。70%の選択肢には配信コストもかかるので、価格を決める前に最新のヘルプで条件を確かめてください。

Q. 日本語の電子書籍はどんなファイルで作ればいいですか?

KDPでは、Word の DOC や DOCX、EPUB などの形式の原稿を受け付けています。KDPのヘルプには、Kindle Create では日本語のリフロー型の本はサポートされていないと書かれているため、文章が中心の日本語の本は Word か EPUB で用意するのが一般的です。出版の前に Kindle Previewer で表示を確かめておくと安心です。

Q. Amazon以外の販売先でも同時に売れますか?

売ることはできますが、KDP セレクトに登録している期間は、その本の電子版をAmazonだけで販売することが条件になります。複数の販売先で売るなら KDP セレクトには登録できず、日本の読者への販売で70%のロイヤリティも選べません。読者の多さとロイヤリティの条件を比べて、どちらの形にするかを決めます。

この記事について

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年8月19日最終更新:2026年10月17日
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@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。

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