生活相談員の志望動機をどう書くか|書き出しの型と、避けたい言い回し


この記事のポイント
- ✓生活相談員の志望動機を
- ✓採用側が見ている3点から逆算して組み立てる方法をまとめました
- ✓職場の種類や立場ごとの書き分け
生活相談員の志望動機が書けない。この相談は本当に多いです。理由ははっきりしていて、書けないのは文章力の問題ではなく、何を書けば評価されるのかが分からないからです。結論から言うと、志望動機で見られているのは「熱意」ではありません。この人がうちの事業所で問題なく働けるかどうか、その根拠が書いてあるかどうかです。つまり、気持ちを盛る必要はなく、事実と理由をつなげて示せばよいということです。この記事では、志望動機を4つのブロックに分けて組み立てる方法と、書き出しの型、そして避けたほうがよい言い回しを整理します。
採用側が志望動機で見ている3つのこと
まず、読む側の視点に立ちます。志望動機を読む人は、施設長や管理者、法人の人事担当です。多くの場合、応募書類を読む時間は長くありません。その短い時間で何を確認しているのか。整理すると3つです。
1つ目は、続けられそうかどうかです。介護分野では採用してもすぐに離職してしまう例があり、採用する側はそこを最も気にします。だから、この人が何を求めていて、うちの事業所でそれが満たされるのかを読み取ろうとします。「働きたい」という気持ちよりも、「この職場を選んだ理由が具体的か」が見られます。
2つ目は、仕事の中身を理解しているかどうかです。生活相談員は、相談援助だけの職種ではありません。契約書類の説明、記録、実績の確認、外部機関との調整、事業所内の段取り。この幅を理解している人と、「話を聞く仕事」だと思っている人では、入職後の定着率が変わります。だから採用側は、志望動機の記述から理解の深さを推し量ります。
3つ目は、うちの事業所を理解しているかどうかです。生活相談員が働く場所は、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、通所介護、短期入所生活介護、有料老人ホームなど複数あり、それぞれ仕事の中身が違います。どこでも通用する志望動機は、逆に言えばどこにも刺さりません。
この3つを押さえたうえで書けば、志望動機は自然と具体的になります。逆に、この3つを意識せずに書くと、「人の役に立ちたい」「経験を活かしたい」といった、誰が書いても同じ文章になります。これ、知らない人が本当に多いんです。
もう1つ、法的な観点から触れておきます。応募書類は、採用の判断材料として使われるだけでなく、入職後の労働条件の前提にもなります。「送迎業務は難しい」「土日の勤務は月に何回までなら可能」といった条件があるなら、志望動機の中で触れなくても、応募の段階で伝えておくべきです。伝えずに入職して後から食い違うと、双方が困ります。つまり、志望動機は自分を良く見せる場であると同時に、認識をすり合わせる場でもあるということです。
志望動機を4つのブロックで組み立てる
型を示します。4つのブロックを、この順で並べます。
ブロック1:この職種を選んだ理由
なぜ生活相談員なのかを書きます。ここでのポイントは、他の職種と比較したうえでの理由になっていることです。
介護職員として働いてきた方なら、「現場で利用者に接する中で、ご家族との調整や外部機関との連携が支援の質を左右する場面を何度も見てきた。その部分に直接関わりたい」といった書き方ができます。福祉系の学校を出た方なら、実習で見た相談援助の場面と結びつけられます。
避けたいのは、「人と話すのが好きだから」という理由だけで終えることです。生活相談員の業務は対話だけではないので、理解が浅いと受け取られます。
ブロック2:この事業所を選んだ理由
ここが最も差がつくブロックです。事業所のサイトや求人票を読み、そこに書かれている方針や取り組みのうち、自分の考えと重なる部分を1つ挙げます。
「地域との交流を大切にしている点に共感した」だけでは弱い。何を見てそう思ったのかを書きます。「サイトで紹介されていた地域の行事への参加の取り組みを見て」といった形で、情報源に触れると具体性が出ます。
見学に行っているなら、そのときに見たことを書くのが最も強い。「見学の際に、職員の方が利用者のお名前で呼びかけていた場面が印象に残った」といった記述は、他の応募者には書けません。
ブロック3:自分が貢献できること
これまでの経験のうち、生活相談員の業務と重なる部分を挙げます。介護の実務経験、記録を書いてきた経験、外部との調整の経験、書類の管理の経験。職種が違っても、要素で重なる部分があれば書けます。
事務職の経験がある方なら、書類管理や期限管理の経験が直接活きます。営業の経験がある方なら、外部との関係づくりの経験が通所系では強みになります。ここは職務経歴書と重複してかまいません。
ブロック4:入職後にどうしたいか
短期と中期を分けて書くと、計画性が伝わります。短期は「まず契約関係の書類と記録の型を早く覚え、一人で回せる状態を作る」といった実務的な内容。中期は「将来的に介護支援専門員の取得を目指したい」といった資格やキャリアの方向です。
この4ブロックを、履歴書の欄なら合計300字から400字程度に収めます。欄が大きい様式なら、ブロック2とブロック3を厚くします。
書き出しの型を5つ持っておく
書き出しで止まる方が多いので、型を5つ挙げます。
型1:現場での気づきから入る
「介護職員として5年間勤務する中で、ご家族との情報共有が支援の質を大きく左右する場面を繰り返し経験しました。」
現職や前職での具体的な場面から入る形です。介護職からの異動や転職では最も自然に流れます。
型2:事業所の取り組みから入る
「貴施設が公開されている在宅復帰に向けた取り組みを拝見し、退所後の生活まで見据えた支援に関わりたいと考え応募いたしました。」
事業所研究をしていることが最初の一文で伝わる形です。ブロック2を先頭に持ってくる構成になります。
型3:資格取得の経緯から入る
「社会福祉士の資格取得の過程で学んだ相談援助の視点を、実務の場で活かしたいと考えております。」
資格を取得したばかりの方や、学校を出たばかりの方に向く形です。ただし、これだけだと弱いので、ブロック2で具体性を補います。
型4:職種の理解から入る
「生活相談員は、利用者とご家族、施設内の職員、外部の関係機関という立場の異なる相手をつなぐ役割を担う職種だと理解しております。」
職種理解の深さを最初に示す形です。ただし、理解を示すだけで終えると評論のようになるので、次の文で自分の経験に接続します。
型5:見学の体験から入る
「見学の際に拝見した、職員の方々が利用者のお名前で声をかけられている場面が印象に残りました。」
見学に行った方だけが使える、最も強い型です。体験は他の応募者と重複しません。
どの型を選ぶにせよ、書き出しの1文で「この人は準備してきたな」と伝わることが目的です。逆に言えば、書き出しが誰でも書ける一般論だと、その後がどれだけ良くても印象が薄くなります。
避けたい言い回しと、その理由
次に、避けたほうがよい表現を挙げます。理由まで含めて理解しておくと、応用が利きます。
「人の役に立ちたいと思い」
最も多く書かれる表現です。悪いことではありませんが、生活相談員に限らず、あらゆる職種に当てはまります。書いてはいけないというより、これだけで終えないことが重要です。役に立ちたいと思った具体的な場面まで書けば、生きた文章になります。
「アットホームな雰囲気に惹かれ」
事業所のサイトによく載っている言葉をそのまま返した形です。読む側は「サイトを見た」以上の情報を得られません。雰囲気に触れるなら、何を見てそう感じたかを書きます。
「未経験ですが一生懸命頑張ります」
意欲の表明そのものは問題ありませんが、これは根拠ではありません。採用側が知りたいのは、未経験の部分をどう埋める見込みがあるかです。「前職で培った書類管理の経験を活かしつつ、契約関係の様式については早期に習得したい」のように、埋め方を書きます。
「福祉の仕事に興味があり」
興味は動機の入り口であって、応募の理由にはなりません。興味を持ってから応募に至るまでに何をしたか。資格の勉強を始めた、施設の見学に行った、関連する本を読んだ。行動が書いてあると、興味が本気であることの根拠になります。
「給与や待遇に魅力を感じ」
条件面が応募の理由であることは自然ですが、志望動機に書く内容ではありません。条件の確認は面接や労働条件通知書の場面で行います。志望動機の欄では、仕事の中身に関する理由を書きます。
「貴社」と「貴施設」の混同
社会福祉法人が運営する施設に「貴社」と書いてしまう例があります。法人の形態によって適切な呼び方が変わります。株式会社なら貴社、社会福祉法人なら貴法人や貴施設、医療法人なら貴院や貴法人。応募先の法人形態を確認して使い分けてください。細かい点ですが、書類を扱う職種に応募する以上、ここは見られます。
前職への否定的な記述
「前職では相談員としての業務に集中できなかったため」といった書き方は、事実であっても志望動機の欄では避けます。読む側は「うちでも同じ不満を持つのでは」と受け取ります。同じ内容でも、「相談援助により集中できる環境で経験を積みたい」と、求める方向として書けば印象が変わります。
職場の種類ごとに、書き分ける
生活相談員が働く場所は複数あり、求められる資質が違います。同じ志望動機を使い回すと、そこが噛み合いません。
特別養護老人ホームでは、長期にわたって利用者と家族に関わります。入所の申し込みから、生活の中での相談、看取りに関する意向確認まで。志望動機では、腰を据えて関わりたいという方向性と、家族との継続的な関係づくりへの関心を書くと噛み合います。
介護老人保健施設では、在宅復帰が目的です。入所から退所までの調整が中心で、医療機関や居宅介護支援事業所とのやり取りが多くなります。外部との連携に関心があること、複数の案件を並行して進められることを示すと合います。
通所介護では、日々の利用者との距離が近く、稼働の管理や送迎の調整も業務に含まれます。事業所によっては、居宅介護支援事業所への情報提供といった外向きの動きも入ります。利用者と直接関わりたいという動機と、事業所の運営に関わる姿勢の両方を書くと噛み合います。
短期入所生活介護では、予約の管理が中心になります。段取りと調整の力が求められる場面が多く、正確さを重んじる姿勢を示すと合います。
有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅では、入居の相談と見学対応が中心です。ご家族に施設の特徴を説明する場面が多いため、説明する力や、相手の不安を受け止める姿勢を書くと噛み合います。
書き分けるといっても、全文を作り直す必要はありません。ブロック2とブロック3を職場の種類に合わせて入れ替えれば、十分に噛み合います。
やりがいの部分については、外部の解説でも共通して語られています。
生活相談員のやりがいは、利用者さんからの感謝の言葉をもらえることや、スキルアップできることです。業務上で関わる人が多いため、各所と連携をとったり、利用者さんと施設の橋渡し役になったりする部分に、やりがいを感じられるでしょう。 出典: job.kiracare.jp
橋渡し役という言葉は、志望動機を組み立てるときの軸として使えます。誰と誰の間に立ちたいのか、そこで何をしたいのか。この2つが書いてあれば、職種理解が伝わります。
立場ごとの書き方
応募者の立場によって、強調すべき点が変わります。
介護職員から相談員へ移る場合
最も書きやすい立場です。現場で見てきた具体的な場面を根拠にできるからです。
書くべきは、現場での経験が相談援助にどうつながるかという接続です。「利用者の日常の変化を把握する視点は、家族への説明や外部との情報共有の場面で活きると考えている」といった形で、経験を相談員の業務に翻訳します。
注意点は、「現場がきつくなったから」という理由に読まれないことです。実際にそういう事情があったとしても、志望動機の欄では前向きな方向として書きます。
福祉系の学校を出たばかりの場合
実務経験がないぶん、学びと行動を根拠にします。実習で見た場面、卒業研究で扱ったテーマ、資格取得の過程で学んだこと。加えて、応募先の見学に行っているなら、そこで感じたことを書きます。
未経験であることを詫びる必要はありません。詫びるより、どう埋めるかを書くほうが評価されます。
ブランクがある場合
離職期間について触れるかどうかを迷う方が多いのですが、触れておくほうが自然です。理由は、履歴書の職歴を見れば期間が空いていることは分かるからです。触れずにいると、読む側が推測することになります。
書き方としては、期間の事情を1文で示し、その間に何をしていたか、そして今どういう状態かを続けます。制度の変更点を確認している、記録の書き方を復習している、といった準備が書けると強い。
他業種から入る場合
福祉分野の経験がない場合は、要素で接続します。事務職なら書類管理と期限管理。営業職なら外部との関係づくり。接客業なら相手の状況を読み取る力。医療事務なら制度に関わる書類の扱い。
ただし、生活相談員は社会福祉士や精神保健福祉士、社会福祉主事任用資格といった要件を前提とする職種です。認められる資格や実務経験の範囲は自治体ごとに運用が異なりますので、応募の前に必ず、就職先のある自治体の介護保険担当窓口で要件を確認してください。※要件を満たしていないまま応募すると、書類の段階で見送りになります。制度に関する一次情報は厚生労働省のサイトから辿れます。
書く前にやる、事業所調べの手順
志望動機が書けない原因の大半は、材料が足りないことです。文章を考える前に、材料を集めます。手順を示します。
第一に、求人票を隅まで読みます。読むのは条件面だけではありません。職種欄の書き方、必要な資格、業務内容の記載の細かさ、事業所の説明文。業務内容が丁寧に書かれている求人票は、採用に手間をかけている事業所であることが多いものです。逆に一行だけの求人票では、応募前に問い合わせて確認する必要が出てきます。
第二に、事業所のサイトを見ます。見るべきは3か所です。理念や方針のページ、施設の紹介ページ、そしてお知らせや行事の報告です。理念は多くの事業所が似た言葉を使うので、そこだけでは差が出ません。差が出るのは、お知らせの更新頻度と中身です。どんな行事をしているか、どんな取り組みを外に出しているか。ここから、その事業所が何に力を入れているかが読み取れます。
第三に、法人全体を見ます。事業所単独ではなく、法人がどんな施設を運営しているか。特別養護老人ホームと通所介護と居宅介護支援事業所を併設している法人なら、将来的に別の事業所に異動する可能性があります。志望動機で法人全体に触れられると、長く働く意思が伝わります。
第四に、可能なら見学に行きます。見学は選考ではないので、気負う必要はありません。見るのは設備の新しさではなく、職員同士の会話です。相談員が現場の職員に何かを頼んだときの反応、利用者が職員を呼ぶときの様子。ここに事業所の空気が表れます。そして、見学で見たことは志望動機に書ける唯一の一次情報になります。
第五に、その事業所がある地域の状況を調べます。高齢化の進み方、他の事業所の数、交通の便。地域の話に触れられると、なぜここなのかという理由が厚みを持ちます。
この5つを済ませると、書く材料は十分に揃います。材料が揃っていれば、あとは4つのブロックに配置するだけです。文章がうまい必要はありません。具体的であればよいのです。
なお、集めた情報のうち、面接で話す予定のものはメモに残しておいてください。志望動機に書ききれなかった材料が、面接での回答になります。書類と面接で材料を使い分けると、一貫していながら情報量のある応募になります。
例文の骨格を、3つの立場で組み立てる
具体的な組み立て方を、骨格の形で示します。そのまま写すのではなく、自分の材料を入れて使ってください。
介護職員から通所介護の相談員へ応募する場合
書き出しは、現場での気づきから入ります。介護職員として勤務する中で、家族への説明や外部との情報共有が支援の質を左右する場面を見てきたこと。ここを1文か2文で書きます。
続けて、その事業所を選んだ理由を書きます。サイトや見学で確認した具体的な取り組みを1つ挙げ、自分の考えとどう重なるかを示します。
次に、貢献できることを書きます。現場での経験があるため、利用者の日常の変化を把握する視点を持っていること。その視点が、ケアマネジャーへの報告や家族への説明で活きること。
最後に、入職後の方針を書きます。まず契約関係の書類と記録の型を早く覚えたいこと、将来的に介護支援専門員の取得を目指したいこと。
福祉系の学校を卒業して応募する場合
書き出しは、資格取得や実習の経験から入ります。実習で見た相談援助の場面のうち、印象に残ったものを1つ挙げます。
続けて、その事業所を選んだ理由を書きます。学校で学んだ内容と、その事業所の取り組みが重なる部分を示します。
貢献できることは、実務経験がないぶん、学びと姿勢で書きます。記録の書き方を学んできたこと、制度の枠組みを理解していること。加えて、応募先の見学に行ったなら、その行動そのものが準備の証拠になります。
入職後の方針は、具体的な習得の順番で書くと計画性が伝わります。契約関係の書類から覚え、記録の型を固め、実績に関わる業務に進みたい、という順です。
他業種から応募する場合
書き出しは、職種を選んだ理由から入ります。なぜ福祉分野なのか、そのきっかけになった経験や行動を書きます。ここで、資格取得の勉強を始めたといった具体的な行動があると強い。
続けて、その事業所を選んだ理由。そして、貢献できることは要素で接続します。事務職なら書類管理と期限管理、営業職なら外部との関係づくり、接客業なら相手の状況を読み取る力。前職の何が、生活相談員のどの業務に対応するのかを明示します。
入職後の方針では、未経験の部分をどう埋めるかを具体的に書きます。「早く慣れたい」ではなく、「契約関係の様式を最初の1か月で覚え、記録の型を3か月で固めたい」といった形にします。
3つに共通するのは、抽象的な意欲より、具体的な行動と順番を書いている点です。読む側は、この人が入職した後の姿を想像できるかどうかで判断します。想像させるには、具体性しかありません。
履歴書と職務経歴書の役割を分ける
志望動機だけを磨いても、書類全体で見たときにちぐはぐだと効果が薄れます。
履歴書の志望動機欄は、「なぜここか」を書く場所です。文字数が限られるので、ブロック2とブロック4を中心に組み立てます。
職務経歴書は、「何ができるか」を書く場所です。ブロック3の内容を、事実ベースで展開します。どこで、どのくらいの期間、何を担当したか。数字で書けるところは数字で書きます。担当した利用者の人数、担当した業務の範囲、使っていた記録システムの名称。
この2つの役割分担ができていないと、履歴書と職務経歴書に同じことが書いてあるという状態になります。読む側からすると、限られた情報しか得られません。
書類の形式面も見られます。誤字脱字、日付の記載、写真の有無、押印の要否。生活相談員は書類を扱う職種なので、応募書類の正確さがそのまま仕事の正確さとして受け取られます。文書の構成や敬語の使い分けを体系的に整理したい方には、ビジネス文書検定の学習範囲が参考になります。この資格は社内外の文書の型を扱うもので、応募書類にも相談記録にも通じる部分があります。
提出前に確認する項目を挙げます。誤字脱字がないか。法人形態に合った呼び方をしているか。志望動機の中に事業所固有の情報が入っているか。文末の表現が統一されているか。求人票に書かれた必要書類が揃っているか。そして、送付方法と締め切りを守っているか。
これらは当たり前のことに見えますが、実際にはここで落ちる応募が一定数あります。書類を扱う職種の選考では、書類そのものが最初の試験になっています。
志望動機は、面接でそのまま使われる
もう1つ押さえておきたいのが、志望動機が面接の質問の元になるという点です。
面接官は、志望動機を読んだうえで質問を組み立てます。「ここに書かれている場面について、もう少し詳しく教えてください」と聞かれます。つまり、書いた内容は必ず深掘りされるということです。
だから、書けないことは書かないほうがいい。具体的に語れない経験を盛って書くと、面接で崩れます。逆に、実際に経験したことを書いておけば、深掘りされるほど説得力が増します。
書き終えたら、各文について「これを聞かれたら何を答えるか」を自分で確認してください。答えが出てこない文があれば、その文は削るか、答えられる内容に書き換える。この作業をしておくと、面接の準備の大部分が同時に終わります。
契約書の相談を受けていていつも感じるのは、トラブルの多くが「書いていないこと」ではなく「書いてあるのに認識がずれていること」から起きるということです。応募書類も同じです。書いた内容と、面接で話す内容と、実際にできることが一致していれば、入職後のずれは小さくなります。逆に、書類で良く見せて入職すると、そのギャップを自分で埋め続けることになります。法律の世界でも、合意は正確であるほど双方を守ります。
応募条件を、書類の段階で正確に伝える
最後に、法務の視点から1つ補足します。志望動機の欄に書く内容ではありませんが、応募の段階で必ず整理しておくべきことです。
働くうえでの制約は、隠さずに伝えてください。子どもの送迎があるため始業時刻に制約がある、家族の介護があるため土日の勤務は月に何回までにしたい、運転免許がないため送迎業務はできない。こうした条件は、伝えないまま入職すると必ず問題になります。
隠して入職したほうが採用されやすいのではないか、と考える方がいます。短期的にはそうかもしれません。ただ、労働契約は双方の合意で成り立つものです。前提が食い違ったまま始まった契約は、あとで必ず調整が必要になります。そのときに立場が弱くなるのは、伝えていなかった側です。
伝え方には順番があります。まず、できることを先に示す。次に、制約を事実として述べる。最後に、その制約をどう補うかを提案する。「平日の日中は問題なく勤務できます。子どもの保育園の都合で、始業を9時30分にしていただけると助かります。そのぶん、昼の休憩を短くする、あるいは終業を後ろにずらすといった形で調整は可能です」。この順で伝えると、要求ではなく相談として受け取られます。
そして、採用が決まったら、合意した内容が労働条件通知書に反映されているかを必ず確認してください。労働条件は書面で明示されることになっています。口頭で合意した勤務時間や業務範囲が書面と食い違っている場合は、入職前に確認します。※内容に疑問が残るときは、都道府県労働局や労働基準監督署の相談窓口を利用できます。書面が整っていることは、疑うことではなく、双方を守るための手続きです。
これ、知らない人が本当に多いんです。応募書類の段階から、あなたは契約の当事者です。志望動機を丁寧に書くのと同じ熱量で、条件の確認も丁寧に行ってください。
他の職種の応募書類から、書き方を学ぶ
志望動機の書き方は、職種が違っても構造が共通しています。他分野の事例を見ておくと、自分の書類を客観的に評価しやすくなります。
看護の分野では、病棟、クリニック、訪問看護、施設で求められる資質が変わり、応募の際にどこを強調するかも変わります。職場の種類ごとの働き方と選び方をまとめた看護師におすすめの職場・働き方・転職支援ツールを徹底解説は、職場に合わせて自分の強みを翻訳するという発想を確認する材料になります。
薬剤師の分野では、企業への転職に明確な壁があり、書類の段階で見られる点がはっきりしています。年収や働き方、中途採用で評価される要素を整理した企業薬剤師への転職ガイド|年収・働き方・中途採用の壁を突破する方法【2026年版】は、資格職が別の環境に移るときに何を示すべきかを具体的に扱っています。
組織に属さず働く場合、志望動機に相当するのは提案書です。案件の獲得の進め方を扱ったインテリアコーディネーターのフリーランス独立ガイド|年収・案件獲得・働き方では、相手の課題を理解したうえで自分ができることを示すという構造が説明されています。志望動機の組み立て方と、発想は同じです。
職種ごとの報酬水準を確認したい場合は、相場をまとめたデータベースが使えます。ソフトウェア作成者の年収・単価相場や、文章を書く仕事の相場をまとめた著述家,記者,編集者の年収・単価相場を見ると、雇用と業務委託で報酬の考え方がどう違うかが分かります。条件を判断するときの外部の物差しになります。
他分野の仕事の中身を知りたい場合は、職種ごとの解説も参考になります。業務にAIをどう組み込むかを支援する仕事を扱ったAIコンサル・業務活用支援のお仕事、マーケティングやセキュリティを含む領域を扱うAI・マーケティング・セキュリティのお仕事、開発の仕事の全体像を扱うアプリケーション開発のお仕事といったページでは、求められるスキルの示し方が具体的に説明されています。介護分野でも記録システムの導入が進んでおり、ITの基礎に触れておくと選考で話題にできます。ネットワークの基礎を扱うCCNA(シスコ技術者認定)の学習範囲は生活相談員の業務に必須ではありませんが、システムの話題で前提が共有できる程度の理解は得られます。
市場を長く見てきた立場からの観察
在宅ワークと業務委託の市場を20年運営してきた立場から言えば、職種を問わず、選ばれ続ける人には共通点があります。それは、自分ができることを正確に伝えている点です。過大に見せる人でも、過小に見せる人でもありません。
志望動機で盛る必要がないのは、このためです。盛って採用されても、入職後に期待とのずれが生じます。逆に、できることとできないことを正確に書いた人は、入職後の立ち上がりが速い。周囲も、何を任せてよいかが分かるからです。運営者として見てきた限りでは、この差は入職から数か月で明確に表れます。
もう1つ、長く市場を見ていて感じるのは、報酬を額面だけで判断すると選択を誤りやすいということです。業務委託の世界では、仲介が入ると手数料が引かれ、同じ発注金額でも受け手の手取りが変わります。手数料0%で直接つながる形が支持されるのは、金額が跳ね上がるからではありません。同じ予算で依頼者はより多く頼め、受け手は手取りが厚くなる。この双方が得をする構造があるからです。
この見方は、応募先を選ぶ場面にも当てはまります。給与から通勤時間と残業と持ち帰りを引いたあとに何が残るか。それが実質的な条件です。志望動機を書くために事業所を調べる過程は、そのまま条件を見極める作業にもなります。
だから、志望動機を書く作業は、採用側に向けたものであると同時に、自分のためのものでもあります。なぜこの職種なのか、なぜこの事業所なのか、自分は何ができて何ができないのか。これを言葉にする過程で、自分が働く場所に何を求めているかがはっきりします。書けないということは、まだそこが定まっていないということです。定まってから書けば、言葉は自然に出てきます。
よくある質問
Q. 生活相談員の志望動機は、何文字くらいで書けばよいですか?
履歴書の欄の大きさに合わせますが、300字から400字程度が目安です。職種を選んだ理由、その事業所を選んだ理由、自分が貢献できること、入職後にどうしたいかの4つのブロックで構成します。欄が大きい様式の場合は、事業所を選んだ理由と貢献できることを厚くすると、他の応募者と差がつきます。
Q. 未経験でも採用される志望動機の書き方はありますか?
未経験であることを詫びるより、どう埋めるかを書くほうが評価されます。前職の経験のうち、書類管理、期限管理、外部との調整、相手の状況を読み取る力といった要素で重なる部分を挙げてください。ただし生活相談員は任用資格などの要件を前提とする職種のため、応募前に自治体の介護保険担当窓口で要件を確認してください。
Q. 避けたほうがよい言い回しはありますか?
「人の役に立ちたい」「アットホームな雰囲気に惹かれ」「未経験ですが頑張ります」は、どれも根拠がないため印象に残りません。前職への否定的な記述も避けます。また、社会福祉法人に「貴社」と書くなど、法人形態に合わない呼び方は書類を扱う職種では特に目につくので、応募先の形態を確認してください。
Q. 志望動機は面接でどう使われますか?
面接官は志望動機を読んだうえで質問を組み立てるため、書いた内容は必ず深掘りされます。書き終えたら各文について「これを聞かれたら何を答えるか」を確認し、答えが出てこない文は削るか書き換えてください。実際に経験したことだけを書いておけば、深掘りされるほど説得力が増します。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
長谷川 奈津@SOHO編集部
行政書士・元企業法務
企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。
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