未経験から居宅介護支援事業所で働く|受け入れている募集と、慣れるまで


この記事のポイント
- ✓未経験から居宅介護支援事業所で働く道を整理しました
- ✓「経験不問」の募集がケアマネ資格を持つ実務未経験者向けなのか
- ✓事務職向けなのかの見分け方
未経験から居宅介護支援事業所で働けるのか。先に結論をお伝えします。働くことはできます。ただし、「未経験」という言葉が何を指しているかによって、入れる職種がまったく変わります。
居宅介護支援事業所の「未経験可」の募集は、多くの場合、ケアマネジャーの資格は持っているが居宅での実務は初めてという人に向けたものです。介護の仕事そのものが未経験の人が入れるのは、主に事務職の募集です。つまり、資格も介護の経験もない人が、いきなりケアマネジャーとして働くことはできないということです。これ、知らない人が本当に多いんです。
この記事では、居宅介護支援事業所の募集を「未経験」の意味ごとに分解し、ケアマネジャーとして入る道と事務職として入る道、入職してから慣れるまでの流れ、つまずきやすい法定の期限、そして求人票と労働条件通知書で確かめておきたいことまでを、順番に解説します。
「未経験」には3つの意味がある:募集を分解する
居宅介護支援事業所は、自宅で暮らす要介護の人のケアプランをつくる事業所です。ケアプランをつくるのは、介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格を持つ職員で、事業所の中心はケアマネジャーです。そこに、事業所によっては事務職員が加わります。
では、求人サイトで見かける「未経験可」「経験問わず」は、誰に向けた言葉なのでしょうか。たとえば、ある求人サイトには次のような募集が掲載されています。
キープする求人を見るカルミア介護支援事業所のケアマネジャー求人NEW【名古屋市西区上名古屋】週休2日制◎経験問いません!利用者様の人生に寄り添うケアを大切にする居宅介護支援事業所です 出典: job-medley.com
この募集は「ケアマネジャー求人」です。つまり、「経験問いません」はケアマネジャーとしての実務経験を問わないという意味で、ケアマネジャーの資格そのものは前提になっています。
居宅介護支援事業所の「未経験」を整理すると、次の3つに分けられます。
| 未経験の意味 | 入れる職種 | 前提になる資格 |
|---|---|---|
| ケアマネの資格はあるが、居宅の実務は初めて | ケアマネジャー | 介護支援専門員証 |
| 施設ケアマネの経験はあるが、居宅は初めて | ケアマネジャー | 介護支援専門員証 |
| 介護の仕事そのものが初めて | 事務職員 | 原則不要 |
1つ目は、介護福祉士や看護師として現場で働きながら資格を取り、初めてケアマネジャーとして働く人です。居宅介護支援事業所の「未経験可」の求人の多くは、この人たちを対象にしています。
2つ目は、特別養護老人ホームなどの施設でケアマネジャーをしていた人が、居宅に移るケースです。資格も経験もありますが、居宅の働き方は施設とかなり違うため、「居宅未経験可」として募集されます。
3つ目は、介護の仕事をしたことがない人です。この場合、ケアマネジャーとして働くことはできませんが、事務職員として居宅介護支援事業所に入ることはできます。
求人を探すときは、まず自分がこの3つのどれに当たるかをはっきりさせてください。そうすれば、応募できる募集と、応募しても採用されない募集を最初に分けられます。
ケアマネジャーとして入る道:受験資格と、資格を取るまで
介護の経験がまだない人でも、将来ケアマネジャーとして居宅介護支援事業所で働きたいと考えることはあるでしょう。その場合、どのくらいの道のりになるのかを整理しておきます。
受験資格は「5年以上かつ900日以上」
ケアマネジャーになるには、都道府県が実施する「介護支援専門員実務研修受講試験」に合格する必要があります。この試験は、誰でも受けられるわけではありません。
受験資格は、次のどちらかの業務に、通算5年以上かつ900日以上従事していることです。
・介護福祉士、看護師、准看護師、社会福祉士、理学療法士、作業療法士、薬剤師、医師などの法定資格にもとづく業務 ・特別養護老人ホームなどの生活相談員、介護老人保健施設の支援相談員、障害福祉の相談支援専門員などの相談援助の業務
つまり、介護の仕事が未経験の人は、まず介護福祉士などの資格を取って現場で経験を積むか、相談援助の職に就いて経験を積む必要があるということです。無資格の介護職員として働いた期間だけでは、受験資格にはなりません。
介護職員として働き始め、3年の実務経験と実務者研修で介護福祉士を取り、そこから5年の経験を積む。こうした道のりを考えると、介護の仕事が未経験の人がケアマネジャーになるまでには、少なくとも数年から8年ほどかかることになります。
合格から、実際に働けるまで
試験は年に1回、10月に行われます。合格率は年によって変わりますが、近年は2割から3割程度で推移しています。
合格しても、すぐにケアマネジャーとして働けるわけではありません。合格後に87時間以上の実務研修を修了し、都道府県に登録して「介護支援専門員証」の交付を受けて、ようやくケアマネジャーとして働けるようになります。介護支援専門員証の有効期間は5年で、更新するには研修を受ける必要があります。
つまり、居宅介護支援事業所の「未経験可」の求人に応募できるのは、この介護支援専門員証を持っている人ということです。資格の取得見込みで応募を受け付ける事業所もありますが、実際に働き始められるのは証の交付を受けてからになります。
現場の介護職員や看護師として働いている人にとっては、今の仕事の経験が、そのまま受験資格の年数に数えられます。介護職員の給与水準は介護職員の年収・単価相場で、看護師の給与水準は看護師の年収・単価相場で、職業統計にもとづく年齢ごとの目安を確認できます。ケアマネジャーに移ったときに給与がどう変わるかを考える材料になります。
事務職として入る道:介護事務の仕事と、求人の見分け方
介護の仕事が未経験の人が、今すぐ居宅介護支援事業所で働く道が、事務職員です。
居宅介護支援事業所の事務職員の仕事
居宅介護支援事業所の事務職員は、ケアマネジャーが訪問や会議に出ている間の事務所を支える役割です。主な仕事は、次のようなものです。
・電話の一次対応と、ケアマネジャーへの伝言 ・サービス事業所とのFAXの送受信と整理 ・給付管理のためのデータ入力の補助 ・国民健康保険団体連合会(国保連)への伝送の準備 ・利用者ごとの書類のファイリング ・来客の対応や、郵便物の管理
ケアマネジャーが1〜3人程度の小さな事業所では、事務職員を置かないことも多く、置いていてもパートで1人ということがよくあります。そのため、居宅介護支援事業所の事務職の求人は、ケアマネジャーの求人に比べて数が少なめです。
求人を探すときの落とし穴
「居宅介護支援事業所 事務」で求人を検索すると、実は居宅介護支援事業所ではない求人が多く混ざってきます。ある求人検索サイトでは、次のような特徴の求人が並んでいます。
【求人の特徴】夜勤なし,残業なし,残業ほぼなし,残業月20時間以内,介護事務,介護,介護付き住宅勤務経験,介護施設経験...有料老人ホームでの介護業務・身体介助(移乗介助、食事介助)... 出典: 求人ボックス
この求人は「介護事務」という特徴が付いていながら、仕事の内容は有料老人ホームでの身体介助です。つまり、検索のキーワードに引っかかっていても、居宅介護支援事業所の事務職とは限らないということです。
事務職として応募するときは、次の3点を確認してください。
・事業所の種別に「居宅介護支援」と書かれているか ・仕事の内容に、身体介助や送迎が含まれていないか ・「事務兼介護職」のように、兼務が前提になっていないか
特に、同じ法人がデイサービスや訪問介護も運営している場合、「事務員」として入ったのに、人手が足りない日は送迎や介助に回されることがあります。兼務の可能性があるかどうかは、入職前に書面で確認しておくことをおすすめします。
事務職員の働き方と給与
居宅介護支援事業所の事務職員は、パートでの募集が多い職種です。勤務時間は「9時〜16時」「週3〜4日」のような枠が多く、夜勤や土日の出勤はほとんどありません。月初の給付管理の時期だけ勤務日を増やしてほしいと頼まれることもあります。
時給は地域によって差がありますが、市場の相場では1,050〜1,300円程度が目安です。正社員として、法人の本部の事務と兼ねて募集される場合もあります。介護の現場の仕事に比べて体への負担が小さく、決まった時間で帰りやすいことから、子育て中の人や、介護の業界に少しずつ慣れたい人に選ばれています。
事務職で役立つ知識
居宅介護支援事業所の事務職員に必須の資格はありません。ただ、介護保険の請求の仕組みを知っていると、仕事に慣れるのが早くなります。介護事務の民間資格のほか、医療機関の請求事務の知識も一部重なります。医療事務の資格の内容や試験の概要は、医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)で紹介しています。介護保険と医療保険では請求の仕組みが違うので、そのまま使えるわけではありませんが、保険請求の考え方の基礎として役立ちます。
事務職員として働きながら、介護保険の仕組みに関心を持ち、その後に介護の現場に移って資格を取る人もいます。遠回りに見えても、ケアマネジャーの仕事を事務所の中から見ておける経験は、将来の選択肢を考えるうえで大きな材料になります。
居宅介護支援事業所の1日と、未経験者が戸惑うところ
入職後の流れを見る前に、居宅介護支援事業所の1日がどう動いているかを押さえておきます。職場の中で何が起きているかを知っておくと、慣れるまでに何に時間がかかるのかが分かります。
ケアマネジャーの典型的な1日
ケアマネジャーの1日は、おおむね次のように動きます。
・8時30分:出勤。前日の夕方から届いたFAX、メール、留守番電話を確認する ・9時:サービス事業所や家族からの電話に対応し、必要な連絡を回す ・10時〜12時:利用者の自宅を訪問し、モニタリングを行う(2件程度) ・13時30分:利用者の自宅でサービス担当者会議を開く ・15時:病院で退院前のカンファレンスに出る ・16時〜17時30分:事務所に戻り、支援経過の記録、ケアプランの修正、FAXの送信
訪問している時間は1日のうち3〜4時間程度で、残りは電話、調整、記録にあてられます。「外回りの仕事」というイメージで入ると、事務所で受話器を持っている時間の長さに驚くことになります。
月の中の忙しさの波
さらに、居宅介護支援事業所の仕事は、月の中で忙しさの波があります。
月の初めの10日間は、前月に使ったサービスの実績を各事業所から集め、ケアプランの予定と突き合わせて、給付管理票を国保連に提出する時期です。提出の期限は毎月10日で、これが遅れるとサービス事業所に介護報酬が支払われません。月の中旬は訪問と会議が中心になり、月末は翌月のサービス利用票と提供票をつくって配ります。
未経験者が最初に戸惑うのは、この月の周期です。1か月目は流れを追うだけで精一杯ですが、2〜3回繰り返すと、いつ何をすればよいかが体に入ってきます。最初の3か月を「仕組みを覚える期間」と考えておくと、焦らずに済みます。
施設ケアマネから居宅に移る人が戸惑うこと
施設でケアマネジャーをしていた人は、資格も経験もありますが、居宅に移ると別の戸惑いがあります。
施設では、利用者の様子を毎日直接見られ、サービスの調整も施設の中の職員との話し合いで済みました。居宅では、利用者の暮らしを月1回の訪問と電話で把握し、外部の多くの事業所と連絡をとり合う必要があります。給付管理の業務も、施設ではほとんど経験しないものです。
また、居宅では、利用者の家族との関わりが施設より濃くなります。介護を担う家族の疲れや、家族の間での意見の違いに向き合う場面が増えます。施設ケアマネの経験がある人でも、最初の数か月は「居宅の新人」として、同行と少ない件数から始める事業所が多いのはこのためです。
ケアマネとして入職したら:最初の3か月の流れ
ここからは、ケアマネジャーの資格を持ち、居宅介護支援事業所に初めて入る人が、どのように仕事に慣れていくのかを見ていきます。事業所によって進め方は違いますが、多くの事業所で共通する流れがあります。
1か月目:同行と、事業所の仕組みを覚える
入職して最初の数週間は、先輩のケアマネジャーの訪問やサービス担当者会議に同行します。この時期に覚えるのは、ケアマネジャーとしての知識よりも、その事業所の仕組みです。
・給付管理のソフトの使い方 ・書類の保管場所と、記録の書き方のルール ・よく連絡をとるサービス事業所と、その担当者の名前 ・担当地域の病院、地域包括支援センター、市町村の窓口
実務研修で学んだケアマネジメントの流れは、ここで実際の書類や電話と結びついていきます。研修では1人の事例をじっくり考えますが、現場では何十人分の予定が同時に動いていることに、最初は戸惑う人が多いです。
2か月目:少ない件数から担当を持つ
1か月ほどたつと、先輩から引き継ぐ形で、少ない件数の担当を持ち始めます。最初は5〜10件程度から始め、状態が安定していて、家族との関係も良好な利用者から任されることが多いです。
担当を持つと、モニタリングの訪問、サービス利用票の作成、月初の給付管理を、自分の担当分について回すことになります。分からないことは、主任ケアマネジャーや先輩に確認しながら進めます。
3か月目以降:件数を増やし、新規の相談を受ける
3か月目ごろからは、担当の件数を少しずつ増やし、新規の相談も受けるようになります。新規の相談では、アセスメント、ケアプランの原案づくり、サービス事業所探し、サービス担当者会議の開催までを一通り担います。
担当件数が一人前の水準(多くの事業所で30件台)に届くまでは、半年から1年ほどかけるのが一般的です。事業所によっては、3か月ほどで30件を任せるところもあるので、面接で「独り立ちまでの目安」と「最初の担当件数」を聞いておくと安心です。
私のところに相談に来た方で、施設の介護職からケアマネジャーの資格を取り、居宅介護支援事業所に転職した人がいました。「入職して2週間で25件を引き継がれ、どれが期限の迫った書類なのか分からないまま月初を迎えてしまった」という内容です。雇用契約書には教育の体制について何も書かれていなかったそうです。法律上、事業所に一定の研修期間を設ける義務があるわけではありませんが、入職前に確認していれば、別の事業所を選ぶこともできたはずでした。
特定事業所加算を取っている事業所は、研修の計画がある
事業所を選ぶときの目安の1つが、特定事業所加算を取っているかどうかです。この加算を取るには、主任ケアマネジャーを含む複数のケアマネジャーを常勤で置き、ケアマネジャーごとに計画的な研修を行うことが求められます。つまり、未経験のケアマネジャーを育てる体制が、制度の上で整えられているということです。
一方で、この加算を取っている事業所は、困難な事例も受け入れ、24時間連絡がとれる体制を整えることも求められます。新人のうちから夜間の携帯電話の当番が回ってくるかどうかは、確認しておきたい点です。
慣れるまでにつまずきやすいこと
未経験から居宅介護支援事業所で働く人が、最初につまずきやすい点をまとめておきます。あらかじめ知っておくだけで、慌てずに済むことが多いです。
法定の手順と期限が決まっている
ケアマネジャーの仕事には、国の基準で決められた手順があります。たとえば、ケアプランを新しくつくるときや大きく変えるときには、サービス担当者会議を開き、本人の同意をもらってケアプランを交付する必要があります。担当する利用者の家は、少なくとも月に1回訪問し、その結果を記録しなければなりません。
これらの手順を踏まなかった場合、「運営基準減算」という仕組みで、その利用者についての介護報酬が半分に減らされます。減算の状態が2か月以上続くと、報酬そのものが受け取れなくなります。つまり、書類の不備は、事業所の収入に直接響くということです。
新人のうちは、この期限の管理が一番の負担になります。担当者会議をいつまでに開くか、同意をいつまでにもらうかを、月ごとの一覧にして管理する習慣をつけると、見落としが減ります。
電話の多さと、板挟み
居宅介護支援事業所では、1日に何十本もの電話を受けます。利用者の家族の要望と、サービス事業所の都合がぶつかることもあります。「デイサービスを週に1回増やしたい」という家族の要望に対して、デイサービスには空きがなく、介護保険で使える金額の上限も近い、というような場面です。
ケアマネジャーは、家族の味方でも事業所の味方でもなく、利用者本人の生活にとって何が必要かを基準に調整する立場です。この立ち位置に慣れるまでは、どちらからも責められているように感じて、しんどくなる人が少なくありません。
個人情報の扱いとFAXの誤送信
ケアマネジャーは、利用者の病名、家族の事情、経済的な状況など、とても繊細な情報を扱います。サービス担当者会議などで他の事業所と情報を共有するときは、あらかじめ利用者と家族から、個人情報を使うことについて文書で同意をもらっておくことが基準で決められています。つまり、同意がないまま情報を外に出すことはできないということです。
未経験の人が特に気をつけたいのが、FAXの誤送信です。居宅介護支援事業所では、今もサービス事業所との連絡にFAXを多く使います。1日に何枚も送るうちに、短縮ダイヤルの押し間違いで別の事業所に利用者の情報を送ってしまう事故は、実際に起きています。送信前に宛先を声に出して確認する、送る書類の氏名の一部を伏せる、といった事業所ごとのルールがあれば、最初に教わっておきましょう。
※誤送信などで個人情報が漏れたおそれがある場合は、自分だけで対応せず、すぐに管理者に報告してください。事業所として、本人への説明や関係機関への報告が必要になることがあります。
自法人のサービスを勧めるよう求められる
併設型の事業所では、同じ法人のデイサービスや訪問介護を優先して紹介するよう、暗に求められることがあります。ただ、ケアプランは利用者の選択にもとづいてつくるもので、介護保険法でも、ケアマネジャーは公正かつ誠実に業務を行うことが求められています。特定の事業所への紹介が偏りすぎると、報酬が減算される仕組みもあります。
※上司から不適切な紹介を強く求められて悩んでいる場合は、都道府県や市町村の介護保険の担当窓口や、労働問題に詳しい弁護士への相談も検討してください。
求人票と労働条件通知書で確かめること
最後に、居宅介護支援事業所に応募するとき、そして内定をもらったときに確かめておきたいことを整理します。
労働条件は書面で受け取る
労働基準法第15条では、使用者は労働契約を結ぶときに、賃金や労働時間などの労働条件を明示しなければならないと定めています。特に大切な項目は、書面などで明示することが義務です。さらに2024年4月からは、就業の場所や業務が将来どこまで変わりうるか(変更の範囲)も明示する項目に加わりました。
つまり、「事務員として採用したが、将来は介護職も兼務する可能性がある」のであれば、そのことが労働条件通知書に書かれているべきだということです。入職前に通知書を受け取り、業務の内容と変更の範囲を確認してください。
担当件数と、独り立ちまでの目安
求人票に担当件数の目安が書かれているかを確認します。書かれていなければ、面接で「入職時の担当件数」「一人前とされる件数」「そこまでの期間」を聞いておきましょう。
携帯電話の当番と、その扱い
夜間や休日に利用者からの連絡を受ける携帯電話の当番がある場合は、その頻度と手当を確認します。当番中にどの程度の対応を求められるかによっては、その時間が労働時間に当たるかどうかが問題になることもあります。判例では、呼び出しに備えて一定の場所にいることを義務づけられ、実際の対応も求められる時間は、労働時間に当たると判断されたものがあります。
※当番の時間の扱いに疑問がある場合は、労働基準監督署の総合労働相談コーナーに相談してください。
自家用車を使う場合
訪問に自家用車を使う事業所では、ガソリン代や車の維持費の扱い、事故が起きたときの責任の分担を確認しておきます。業務中の事故では、事業所も責任を負う場合がありますが、自分の任意保険を使うよう求められることもあります。任意保険の業務使用の特約が必要になる場合もあるので、保険の内容もあわせて見直しておくと安心です。
試用期間の条件
試用期間中の給与や、試用期間の長さも確認しておきます。試用期間中であっても、合理的な理由のない解雇は認められません。とはいえ、条件を最初に書面で確認しておくことが、トラブルを防ぐ一番の方法です。
運営者として見てきたことと、未経験から踏み出す人へ
在宅ワークやフリーランスの市場を長く運営してきた立場から見ると、未経験の分野で仕事を始めて長く続く人には、共通点があります。自分が「何の未経験なのか」を最初に言葉にし、足りない部分を補う順番を決めてから動いていた点です。居宅介護支援事業所で言えば、資格が足りないのか、居宅の実務が足りないのか、介護保険の知識が足りないのかによって、選ぶ入り口が変わります。
また、介護や相談援助の経験は、雇われる働き方だけでなく、研修の講師や、事業所の書類の点検、記録の整理などを個人で請け負う形でも活かせるようになっています。仲介の手数料が乗らない直接の契約では、依頼する事業所は同じ予算で必要な支援を受けられ、受ける側は手取りが厚くなります。人手の限られる介護の分野では、この双方に無理のない形が意味を持つと感じています。
どの入り口から入るかに迷うときは、第三者と一緒に整理するのも1つの方法です。働き方や転職の悩みを専門に聞く仕事の中身は、職場・転職・キャリア相談のお仕事で紹介しています。相談を受ける側の国家資格については、キャリアコンサルタントで受験資格や試験の内容を確認できます。
未経験から居宅介護支援事業所で働くことはできます。ケアマネジャーの資格を持つ人は「居宅未経験可」の募集から、介護の仕事が初めての人は事務職の募集から。入り口を正しく選び、労働条件を書面で確かめてから踏み出せば、慣れるまでの不安はずっと小さくなります。法律は、知っている人の味方です。
よくある質問
Q. 資格も介護経験もない未経験者が居宅介護支援事業所で働けますか?
ケアマネジャーとしては働けませんが、事務職員として働くことはできます。ケアマネジャーになるには、介護福祉士や看護師などの資格にもとづく業務、または相談援助の業務に通算5年以上かつ900日以上従事したうえで試験に合格し、実務研修を修了する必要があります。事務職の募集は数が少なめなので、事業所の種別を確認して探してください。
Q. 居宅介護支援事業所の「未経験可」の求人は誰向けですか?
多くは、ケアマネジャーの資格を持っているが居宅での実務は初めてという人向けです。施設ケアマネから居宅に移る人を「居宅未経験可」として募集している場合もあります。求人の職種がケアマネジャーであれば、介護支援専門員証を持っていることが前提になるので、応募前に職種と応募資格の欄を確認してください。
Q. 未経験のケアマネが一人前の担当件数になるまでどのくらいかかりますか?
最初は5〜10件程度から担当を持ち始め、30件台の担当を持つまでに半年から1年ほどかけるのが一般的です。ただし事業所によっては数か月で30件近くを任せるところもあります。特定事業所加算を取っている事業所は計画的な研修が求められているので、面接で最初の担当件数と独り立ちまでの目安を確認しておくと安心です。
Q. 居宅介護支援事業所の事務員として入ったのに介護業務を頼まれたらどうすればよいですか?
まず労働条件通知書で業務の内容と、2024年4月から明示が義務になった業務の変更の範囲を確認してください。介護業務が含まれていなければ、応じるかどうかは話し合いで決める問題になります。書面に書かれていない業務を一方的に命じられて困っている場合は、労働基準監督署の総合労働相談コーナーや弁護士に相談してください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
長谷川 奈津@SOHO編集部
行政書士・元企業法務
企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。
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