就労移行支援事業所の志望動機をどう書くか|ここを選んだ理由の組み立て方


この記事のポイント
- ✓就労移行支援の志望動機は「障害のある方の役に立ちたい」だけでは届きません
- ✓就職と定着がゴールの職場で何が起きているか
- ✓職種ごとに求められる力
「就労移行支援の志望動機、どう書けばいいのか分からなくて」。
このご相談、本当によくいただきます。
企業で人事や営業をしてきた方。 介護や障害福祉の現場から移ろうとしている方。 ご自身やご家族が支援を受けた経験から、この仕事に関心を持った方。 入口はさまざまですが、履歴書の志望動機の欄で手が止まってしまうのは、みなさん同じです。
大丈夫ですよ。 書けないのは、気持ちが足りないからではありません。 就労移行支援事業所という職場の中で、毎日何が起きているのか。 そこがまだ言葉になっていないだけなんです。
この記事では、就労移行支援の志望動機を、職場の実態から組み立てる方法をお話しします。 職場の特徴、職種ごとに求められる力、ここを選んだ理由の組み立て方、経歴別の例文まで、順番に見ていきましょう。
志望動機を書く前に、就労移行支援という職場を言葉にしておく
志望動機がどの事業所にも出せる文章になってしまう一番の原因は、職場の姿があいまいなまま書き始めることです。 まず、就労移行支援事業所がどんな職場なのかを、ご自身の言葉で説明できるようにしておきましょう。
ゴールは「事業所を卒業して、企業で働き続けること」
就労移行支援は、一般企業への就職を目指す障害のある方が、原則2年の標準利用期間の中で、働くための準備と就職活動を行う福祉サービスです。 就労継続支援A型やB型が「働く場」そのものを提供するのに対して、就労移行支援は「就職するための通過点」です。
つまり、利用者さんが事業所に長く通い続けることは、この職場のゴールではありません。 事業所を卒業し、企業で働き、その仕事を続けていくこと。 そこまでを見届けるのが、就労移行支援の職員の仕事です。
就職したあとの最初の6か月は、就労移行支援事業所が職場への定着を支えます。 その後は「就労定着支援」という別のサービスに移り、最長3年、支援が続きます。 事業所の報酬も、就職した人が半年以上働き続けている割合によって大きく変わる仕組みになっています。
志望動機の中に「就職」だけでなく「働き続けること」への視点が入っていると、採用担当者は「この職場を分かっている人だ」と感じます。
1日の中で職員がしていること
就労移行支援事業所の1日は、おおよそ次のように動いています。
・9時前後 職員出勤、欠席連絡の対応、プログラムの準備 ・10時 朝礼、体調チェック ・10時から12時 午前のプログラム(パソコン訓練、ビジネスマナー、軽作業の訓練など) ・13時から15時 午後のプログラム(応募書類の作成、模擬面接、自己理解のワーク)と個別面談 ・15時 終礼、利用者さん帰宅 ・15時から18時 記録、企業開拓、実習の調整、定着支援の連絡、職員ミーティング
見ていただくと分かるように、利用者さんが帰ったあとに、企業や関係機関とやり取りする時間がしっかりあります。 福祉の現場でありながら、企業との橋渡しの仕事が大きな比重を占める。 これが、同じ障害福祉でも、B型事業所やグループホームとは違うところです。
人の配置
就労移行支援事業所には、職業指導員と生活支援員を合わせて利用者6人に1人以上、就労支援員が利用者15人に1人以上、そしてサービス管理責任者が配置されます。 定員20人の事業所なら、常勤の職員は5人から7人ほど。 少人数のチームで、一人ひとりの就職までの道のりを支えていく職場です。
応募する職種によって、志望動機の軸が変わる
就労移行支援事業所の求人には、いくつかの職種名が並んでいます。 志望動機は、この職種によって書くべき中身が少しずつ変わります。 応募する前に、どの枠に応募するのかを必ず確かめておきましょう。
職業指導員
職業指導員は、パソコン訓練や軽作業の訓練など、働くための技能を身につけるプログラムを担当します。 事務職、製造業、IT関係など、前職で身につけた技能をそのまま生かしやすい職種です。
志望動機の軸は、「自分の技能を、相手に合う形に分けて伝えられること」です。 「エクセルが得意です」だけでは足りません。 「新人研修で、表計算の操作を手順ごとに分けて教えてきた経験を、利用者さん一人ひとりのペースに合わせて生かしたい」と書くと、この職場で何ができるかが伝わります。
生活支援員
生活支援員は、体調管理や生活リズム、対人関係の悩みなど、働くための土台を支えます。 介護職、看護職、心理職、教員などの経験を生かしやすい職種です。
志望動機の軸は、「日々の小さな変化に気づき、それを就職への準備につなげられること」です。 体調の波がある方と関わってきた経験や、相手の話を丁寧に聞いてきた場面を書くと届きます。
就労支援員
就労支援員は、企業開拓、職場実習の調整、就職活動の支援、就職後の定着支援を担当します。 人事、営業、人材紹介などの経験を持つ方が多く活躍している職種です。
志望動機の軸は、「企業の目線と、本人の目線の両方に立てること」です。 企業側が障害者雇用で何に困っているのかを知っている経験は、大きな強みになります。 民間企業の障害者の法定雇用率は2.5%で、2026年7月からは2.7%に引き上げられます。 雇用を広げたい企業と、働きたい本人をどうつなぐかを、ご自身の経験から語れると強い志望動機になります。
サービス管理責任者
サービス管理責任者は、個別支援計画を作り、支援全体をまとめる立場です。 実務経験と研修の修了が要件になるため、応募するのは主に障害福祉や介護の経験者です。
志望動機の軸は、「チームの支援の質をどう高めたいか」です。 前の職場で個別支援計画をどう工夫してきたか、職員とどう情報を共有してきたかを具体的に書きましょう。
小さな事業所では、職種の枠を越えて全員が少しずつ何でも担当します。 応募する職種の軸を中心にしながら、ほかの職種の仕事にも関心があることを一言添えておくと安心です。
採用担当者は、就労移行支援の志望動機のどこを読んでいるか
就労移行支援事業所の採用担当者の多くは、管理者やサービス管理責任者本人です。 明日から一緒に現場に立つ人が、あなたの志望動機を読んでいます。 その目線で、特に見られている点を3つお伝えします。
就職と定着が、この仕事のゴールだと分かっているか
「障害のある方の力になりたい」「寄り添う支援がしたい」。 どちらも大切な気持ちですが、就労移行支援の志望動機としては、少し足りません。 寄り添うことは手段であって、この職場のゴールは、利用者さんが企業で働き続けられるようになることだからです。
「寄り添いながら、ご本人が自分に合う働き方を見つけ、就職後も続けていけるように支えたい」。 ゴールまで含めて書くと、読み手の受け取り方が変わります。
企業の側の事情も想像できるか
就労移行支援の職員は、利用者さんの味方であると同時に、受け入れる企業にとっての相談相手でもあります。 企業の担当者が「どんな配慮をすればいいのか分からない」と不安を抱えていることを、想像できる人かどうか。 これは、福祉の経験が長い方ほど見落としやすい点です。
福祉の経験者なら、「企業の方の不安にも耳を傾け、双方が無理なく続けられる形を一緒に探したい」と書き添えるだけで、視野の広さが伝わります。
ひとりで抱え込まず、チームで動けるか
少人数の職場では、一人の職員が抱え込むと、すぐに支援が止まります。 前職で、困ったときに誰に相談し、どう共有してきたか。 その経験を一文でも入れておくと、安心して任せられる人だと受け取ってもらえます。
就職者数や定着率という数字を、どう受け止めているか
就労移行支援事業所には、就職者数や定着率という数字の目標があります。 先ほどお話ししたとおり、報酬がこの数字で変わる仕組みだからです。
採用する側は、応募者がこの数字をどう受け止めているかを気にしています。 「数字より一人ひとりの気持ちを大切にしたい」とだけ書くと、事業所の経営の現実を知らない人に見えることがあります。 反対に、「就職者数を増やすことに貢献したい」とだけ書くと、本人のペースを置き去りにしないか心配されます。
おすすめは、両方を見ている書き方です。 「ご本人が納得できる就職と、その後も続けられる働き方を一つずつ積み重ねることが、結果として事業所の定着率につながると考えています」。 数字を、一人ひとりの支援を積み重ねた結果として捉えている姿勢が伝わります。
ここを選んだ理由を組み立てる4つの手順
ここからは、実際に志望動機を組み立てる手順をお話しします。 ポイントは、「なぜ就労移行支援なのか」と「なぜこの事業所なのか」を、分けて考えることです。
手順1:きっかけを「場面」で書き出す
まず、この仕事に関心を持ったきっかけを、具体的な場面で書き出してみてください。 「障害者雇用に関わりたいと思った」ではなく、「前の職場で、障害者雇用で入社した同僚が、配慮の内容が伝わっていないことで悩んでいたのを見た」。 場面で書くと、あなたにしか書けない文章になります。
手順2:その事業所の特色を3つ拾う
次に、応募する事業所の特色を拾います。 就労移行支援事業所は、ここ数年で特色を打ち出すところが増えました。
・事務職やIT分野の就職に特化している ・精神障害や発達障害のある方が中心 ・在宅での訓練を取り入れている ・軽作業や清掃など、体を動かす仕事への就職に強い ・就職者数や定着率をホームページで公表している ・同じ法人で就労定着支援も運営している
ホームページ、求人票、見学で見聞きしたことから、3つ拾ってみてください。
手順3:自分の経験と、事業所の特色をつなぐ
手順1で書き出した場面と、手順2で拾った特色の中から、つながるものを探します。 IT特化の事業所なら、パソコンの操作を人に教えた経験。 精神障害の方が中心の事業所なら、体調の波がある人と関わった経験。 定着支援に力を入れている事業所なら、入社後のフォローに関わった経験。
このつながりが、「なぜこの事業所なのか」の答えになります。
手順4:入職後にやりたいことで締める
最後に、入職後に取り組みたいことを具体的に書いて締めます。 「まずは日々のプログラムで利用者さんの様子を丁寧に知り、将来的には企業との実習の調整にも関わりたい」。 入職直後にできることと、経験を積んでから取り組みたいことを分けて書くと、現実的な見通しを持った人だと伝わります。
4つの手順を、ひとつの文章にまとめる
4つの手順で出てきた材料を並べると、志望動機の骨組みができあがります。 たとえば、次のような流れです。
・きっかけの場面:前職で、体調の波がある同僚が、周りに相談できずに休職したのを見た ・事業所の特色:精神障害の方が中心で、体調のセルフチェックと個別面談を丁寧に行っている ・つながり:体調の変化に早く気づき、言葉にする手伝いをすることが、働き続ける力になると感じた ・入職後にやりたいこと:まず朝の体調チェックと面談の補助から関わり、将来は定着支援にも携わりたい
この4行を、それぞれ一文から二文に広げてつなげれば、300字ほどの志望動機になります。 最初から美しい文章を書こうとせず、まずはこの4行を埋めることから始めてみてください。 骨組みさえできていれば、言葉を整えるのはあとからいくらでもできます。
経歴別の志望動機の例文
ここでは、よくある経歴ごとに、例文を紹介します。 そのまま使うのではなく、ご自身の場面に置き換えて使ってください。
企業の人事から、就労支援員に応募する場合
前職では人事部で採用を担当し、障害者雇用の受け入れにも関わってきました。 入社した方が、配慮の内容を上司にうまく伝えられず、半年ほどで退職してしまったことがあります。 企業の側に、どう関わればよいかを相談できる相手がいれば結果は違ったのではないかと、今も考えています。 貴事業所が就職後の定着支援に力を入れ、企業訪問を定期的に行っていると伺い、企業の事情を知る立場から、ご本人と企業の間をつなぐ役割を担いたいと考え応募いたしました。
介護職から、生活支援員に応募する場合
特別養護老人ホームで5年間、介護職として勤務してきました。 日々の関わりの中で、表情や食事の量の小さな変化から体調の異変に気づくことを大切にしてきました。 高齢者介護の経験を生かしながら、今後は、ご本人が自分の力で働く場所へ進んでいく過程を支えたいと考えるようになりました。 貴事業所では毎朝の体調チェックを丁寧に行い、生活リズムの安定から就職につなげていると知り、これまでの経験を生かせる職場だと感じ志望いたしました。
事務職から、職業指導員に応募する場合
事務職として8年間、表計算ソフトを使ったデータ管理を担当し、新人の研修役も務めてきました。 人によって理解しやすい説明の順番が違うことに気づき、手順書を作り分ける工夫をしてきました。 貴事業所が事務職への就職に特化した訓練を行っていることを知り、実務で使われる操作を、利用者さん一人ひとりに合う形で伝える仕事に携わりたいと考え応募いたしました。
教員から、生活支援員や職業指導員に応募する場合
特別支援学校で7年間、高等部の生徒の進路指導に携わってきました。 卒業後に企業へ就職した生徒が、数か月で職場になじめず離職してしまう場面を何度も見て、学校を出たあとの支えが途切れてしまうことに課題を感じてきました。 貴事業所が就職後の定着支援まで一貫して行っていると知り、卒業後の大人の方が働き続けられるように、長い時間軸で関わる支援に携わりたいと考え応募いたしました。
障害福祉の経験者が、別の事業所へ移る場合
就労継続支援B型事業所で4年間、生活支援員として勤務してきました。 作業に慣れた利用者さんから「一般企業で働いてみたい」という声を聞くことが増え、その希望に応える支援をもっと深く学びたいと考えるようになりました。 貴事業所では企業実習の受け入れ先を多く持ち、実習後の振り返りを丁寧に行っていると伺いました。 B型で培った作業の段取りや体調への目配りを生かしながら、就職を目指す方の支援に取り組みたいと考えています。
経験者が事業所を移るときは、「前の事業所ではできなかったこと」ではなく、「前の事業所で見えてきた、次に取り組みたいこと」として書くのがポイントです。
未経験で、パート勤務に応募する場合
子育てをしながら働ける仕事を探す中で、就労移行支援という仕事を知りました。 PTAの役員として、立場の違う保護者の意見をまとめてきた経験があります。 平日の午前中に勤務できますので、朝の体調チェックや午前のプログラムの補助から、利用者さんが安心して1日を始められるように関わりたいと考えています。
将来の見通しを、志望動機にどう入れるか
面接では、「5年後、どんな支援者になっていたいですか」と聞かれることがよくあります。 志望動機の中に、将来の見通しを少し入れておくと、面接での受け答えにもつながります。
職業指導員や就労支援員の面接対策を扱った記事では、将来の目標の立て方について、次のように書かれています。
職業指導員・就労支援員としてのキャリアビジョンを描く際は、短期的・中期的・長期的な目標を明確に設定することが重要です。 例えば、短期的には「初めの一年で実務経験を積み、支援手法を学ぶ」こと、中期的には「3年後にはチームリーダーとして、他のスタッフと共にプロジェクトを推進する」こと、そして長期的には「キャリアコンサルタントとして独立し、より多くの人を支援する」ことを目指すという具合です。 出典: sugowish.com
短期、中期、長期に分けて考える方法は、とても使いやすいと思います。 ただ、就労移行支援の志望動機に書くときは、少しだけ注意してほしいことがあります。
長期の目標に「独立」を強く書きすぎると、採用する側は「すぐに辞めてしまうのでは」と不安になります。 将来の目標は、「この事業所で経験を積むことが、その目標にどうつながるか」とセットで書いてください。 たとえば、「利用者さんの就職から定着までを一貫して経験し、将来は資格を取って、職場の中で相談支援の質を高める役割を担いたい」。 事業所の中で成長していく姿として書くと、前向きな見通しとして受け取ってもらえます。
資格を目標に入れる場合
就労移行支援の職員が目指す資格として、キャリアコンサルタント、社会福祉士、精神保健福祉士などがよく挙がります。 キャリアコンサルタントの資格ガイドでは、受験資格や学び方が整理されているので、将来の目標を具体的に書くときの参考になります。 キャリアコンサルタント
資格の名前を出すときは、「なぜその資格なのか」を一言添えましょう。 「就職活動の支援をより専門的に行いたいので」と理由があるだけで、資格の話が志望動機と自然につながります。
志望動機でやりがちな失敗と、書き直しの例
最後に、就労移行支援の志望動機でよく見かける失敗と、書き直しの例をお伝えします。
失敗1:「障害のある方の役に立ちたい」で終わっている
気持ちは伝わりますが、どの障害福祉の事業所にも出せる文章です。 「障害のある方が、自分に合う仕事を見つけて働き続けられるよう、就職から定着までを支えたい」と、この職場のゴールまで書き足しましょう。
失敗2:「就職させたい」と書いている
熱意の表れですが、「させる」という言葉は、本人の意思より職員の意向が先に立っている印象を与えます。 就労移行支援では、本人が迷ったり、立ち止まったりする時間も大切な過程です。 「ご本人が納得して就職先を選べるように支えたい」と言い換えましょう。
失敗3:前の職場への不満が透けて見える
「前職は数字ばかり求められたので、人の役に立つ仕事がしたい」。 正直な気持ちでも、この書き方だと、就労移行支援にも就職者数や定着率という数字の目標があることを知らない人に見えてしまいます。 「前職で目標に向けて計画を立ててきた経験を、一人ひとりの就職までの計画づくりに生かしたい」と、経験を前向きに言い換えましょう。
失敗4:ご自身やご家族の経験を、そのまま書きすぎる
ご自身が障害や病気と向き合ってきた経験、ご家族を支えてきた経験は、この仕事への深い理解につながる大切な財産です。 書いてはいけないということはありません。
ただ、つらかった経験を詳しく書きすぎると、採用する側は「この方自身の体調は大丈夫だろうか」「利用者さんに自分を重ねすぎないだろうか」と心配になります。 経験は一文か二文に留め、「その経験から、どんな支援が大切だと考えるようになったか」に重心を置いて書いてください。
失敗5:面接で話す内容と、書いた志望動機がずれている
志望動機は、面接で必ず深掘りされます。 「前職のどんな場面で、そう感じたのですか」「当事業所のどこを見て、そう思われましたか」。 書いた内容の背景を聞かれたときに、具体的な場面が出てこないと、借りてきた言葉のように受け取られてしまいます。
書き終えたら、一文ずつ「なぜそう言えるのか」を自分に問いかけ、声に出して答えてみてください。 答えに詰まる文は、場面を足すか、削るかのどちらかです。
私が面接練習で気づいたこと
私はキャリアの相談を受ける仕事の中で、福祉の現場への転職を目指す方の志望動機を、何十本も一緒に読んできました。 最初の頃、私は「熱意がしっかり伝わる文章」がよい志望動機だと思っていて、思いを込めて書き足すアドバイスばかりしていました。
でも、実際に採用された方の志望動機を後から見せていただくと、熱意の強さより、「その事業所で、自分が明日から何をするか」が具体的に書かれていたんです。 それ以来、私は「思いを足す」のではなく「場面を足す」アドバイスをするようになりました。 あなたの志望動機にも、ぜひ一つ、具体的な場面を足してみてください。
求人票と見学から、志望動機の材料を拾う
志望動機の材料は、求人票と見学の中にたくさん眠っています。 最後に、どこから拾えばよいかをまとめます。
求人票から拾う
・事業所の特色(IT特化、精神障害の方が中心、在宅訓練ありなど) ・募集職種と、担当する仕事の範囲 ・就労定着支援を同じ法人で運営しているか ・研修制度や資格取得の支援があるか(将来の目標と結びつけやすい) ・勤務時間(15時以降に企業との調整の時間があるか)
見学から拾う
見学ができるなら、ぜひ行ってみてください。 見学で見たことを志望動機に一文入れるだけで、ほかの応募者と大きく差がつきます。
・朝礼や体調チェックの進め方 ・パソコン訓練の教材や、作業手順の示し方の工夫 ・職員が利用者さんに声をかけるときの距離と言葉づかい ・掲示されている就職先の職種や、卒業生の声
「見学の際、体調チェックのシートをご本人が自分の言葉で書いている様子を拝見し、就職後に自分から体調を伝える力を育てていると感じました」。 こうした一文は、どんな美しい言葉より、あなたが本気でこの事業所を見たことを伝えてくれます。
見学のときに聞いておくと、志望動機に使えること
見学では、職員の方に少しだけ質問する時間をもらえることがあります。 次のような質問は、答えがそのまま志望動機の材料になります。
・「利用者の方は、どんな職種に就職されることが多いですか」 ・「就職したあとの定着支援は、どのくらいの頻度で行っていますか」 ・「職員の方が、この事業所で大切にしていることは何ですか」 ・「新しく入った職員は、最初にどんな仕事から担当しますか」
特に3つ目の質問への答えは、事業所の考え方がよく表れます。 「ご本人が自分で決めることを大事にしています」と返ってきたなら、志望動機に「ご本人の選択を尊重する支援」という軸を入れると、事業所の考え方と重なります。 聞いた内容をそのまま書き写すのではなく、ご自身の経験と重なる部分を探して言葉にしてください。
給与の相場も一緒に見ておく
志望動機を書く時期に、給与の相場も確かめておきましょう。 介護職員の年収データでは、福祉の仕事の相場が施設の種類や地域ごとにまとめられており、就労移行支援の求人の条件を比べるときの目安になります。 介護職員の年収・単価相場
運営者として見てきた、就労支援の仕事で長く続く人
在宅ワークやフリーランスの仕事の場を20年ほど運営してきた立場から、働く人と仕事をつなぐ場面を数多く見てきました。 その中で感じているのは、人と仕事をつなぐ仕事で長く続く人ほど、「つなぐこと」より「つながったあと」に時間を使っている、ということです。
就職が決まった瞬間は、支援する側にとってもうれしい瞬間です。
小さな困りごとを早めに拾い、本人と職場の両方に声をかけ続けること。 就労移行支援の職員が定着支援を大切にしているのは、まさにこの経験則からだと思います。
在宅で仕事を受ける人たちを見ていても、同じことが言えます。 長く続く人は、最初の仕事を得ることより、「この人に任せると安心」という関係を一つずつ育てることに時間を使っています。 志望動機に「就職の先」まで書けるかどうかは、この仕事への理解の深さそのものだと、私は感じています。
仕事の仲介の場を見てきた立場から、もうひとつ感じることがあります。 間に入るものが少ないほど、受け手の手元に残るものは厚くなる、ということです。 中間の手数料がかからない直接のやり取りでは、依頼する側は同じ予算でより多くを頼め、受ける側は手取りが厚くなります。 余計な層がないぶん、お互いの要望もまっすぐ届きます。 就労支援の職員が、企業と本人の間で「翻訳者」として働くときも、伝言を重ねるより、三者が直接話せる場をつくるほうが、うまくいくことが多いように感じます。
志望動機に書く「ここを選んだ理由」は、あなたがこの職場のゴールをどう理解しているかの表れです。 職場や転職の相談を受ける仕事の紹介ページでは、就労支援で身につく力が、企業の相談窓口や個人向けのキャリア支援など、どんな場面で生かされているかがまとめられています。 志望動機の中の「将来の見通し」を考えるときに、目を通してみてください。 職場・転職・キャリア相談のお仕事
あなたの経験の中には、必ずこの職場につながる場面があります。 焦らず、一つずつ言葉にしていきましょう。
よくある質問
Q. 就労移行支援の志望動機は、福祉未経験でも書けますか?
書けます。就労移行支援事業所では、企業の人事や営業、事務職、教員など、福祉以外の経験を持つ職員が多く活躍しています。前職で人に何かを教えた場面、立場の違う人の間に立った場面などを具体的に書き、それが就職と定着を支える仕事にどうつながるかを示すと、未経験でも説得力のある志望動機になります。
Q. 就労移行支援とB型事業所で、志望動機の書き方は変わりますか?
変わります。B型は働く場そのものを提供する職場ですが、就労移行支援は一般企業への就職と、その後の定着がゴールです。就労移行支援の志望動機では、就職から定着までを見届けたいという視点や、受け入れる企業の目線にも立てることを入れると、職場を理解している人だと伝わります。
Q. 自分や家族が支援を受けた経験を、志望動機に書いてもよいですか?
書いて構いません。支援を受ける側の気持ちが分かることは、この仕事の大きな財産です。ただし、つらかった経験を詳しく書きすぎると体調面を心配されることがあるので、経験は一文か二文に留め、その経験からどんな支援が大切だと考えるようになったかに重心を置いて書くのがおすすめです。
Q. 志望動機の長さは、どのくらいが適切ですか?
履歴書の欄なら200字から300字程度、別紙や応募フォームで自由に書ける場合でも400字程度に収めると読みやすくなります。きっかけの場面、事業所の特色とのつながり、入職後にやりたいことの3つがそろっていれば十分です。面接で深掘りされる前提で、要点を絞って書きましょう。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
中西 直美@SOHO編集部
産業カウンセラー・キャリアコンサルタント
大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。
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