樹木医になるには|大学で学ぶ道と実務経験


この記事のポイント
- ✓樹木医になるには大学で樹木医補を取る道と
- ✓5年の実務経験を積む道があります
- ✓樹木医補の認定に必要な単位
樹木医になるには大学で何を学べばよいのか、どの大学を選べば近道になるのかを調べている人は多いはずです。高校生や保護者が進路を考える場面もあれば、社会人が学び直しを検討する場面もあるでしょう。ただ、樹木医は大学を卒業すればなれる資格ではなく、卒業後の実務経験と試験、研修を経てはじめて名乗れる資格です。
先に結論を書くと、大学で樹木医を目指す近道は、一般財団法人日本緑化センターが登録した「樹木医補資格養成機関」の大学や専門学校で、決められた科目を履修して卒業し、樹木医補の認定を受けることです。樹木医補になると、樹木医の試験に応募するのに必要な実務経験が5年から1年に短くなります。この記事では、樹木医の制度の全体像、大学で学ぶ道と実務経験から目指す道の違い、試験と研修の中身、卒業後の働き先を、公式の情報をもとに順番に整理します。
樹木医とはどんな資格か
樹木医は、日本緑化センターが認定する資格です。国家資格ではなく民間の資格ですが、「樹木医」の名前は登録商標で、同センターの資格審査に合格して登録した人だけが名乗れます。センターは樹木医を次のように説明しています。
樹木の調査・研究、診断・治療、公園緑地の計画・設計・設計監理などを通して、樹木の保護・育成・管理や、落枝や倒木等による人的・物損被害の抑制、後継樹の育成、樹木に関する知識の普及・指導などを行う専門家のことです。 出典: 日本緑化センター 樹木医制度
つまり、病気や虫、気象、土の状態などで弱った木を調べて原因を見極め、手当ての方法を考える「木のお医者さん」です。各地の巨樹や古木、公園や街路樹の木を守るだけでなく、枝が落ちたり木が倒れたりして人やものに被害が出るのを防ぐ役割も担います。
制度は平成3年度に始まり、センターは自らを国内唯一の樹木医資格の認定機関と説明しています。合格者は樹木医登録者の名簿に載り、その名簿は林野庁、国土交通省、環境省、都道府県や政令指定都市の緑化を担当する部署などに情報提供されます。自治体が公園や街路樹の木の診断を頼むとき、この名簿が使われる場面があるということです。
国土交通省登録資格になった
令和7年2月14日に、樹木医は国土交通省の「公共工事に関する調査及び設計等の品質確保に資する技術者資格」に登録されました。対象は公園施設の樹木の点検と診断の業務です。国や自治体の入札で、技術力と価格を合わせて評価する方式のときに、この資格を持つ技術者がいると加点されるといった扱いを受けられます。公共の仕事で樹木医が評価される仕組みが、制度として整ったことになります。
名乗れるのは登録した人だけ
センターは、樹木医でない人が樹木医を名乗って仕事をするトラブルが多く報告されているとして、注意を呼びかけています。依頼する側に、樹木医認定証や携帯型認定証を確かめるよう勧めているほどです。名前の似た別の資格もあるので、進路を考えるときは「日本緑化センターが認定する樹木医」を目指しているのかを確かめておきましょう。
樹木医になるまでの2つの道
樹木医になるまでの流れは、大きく次の2つの道に分かれます。
| 道 | 試験に応募するための条件 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 大学などで樹木医補を取る道 | 樹木医補の認定後、1年以上の業務経歴 | 高校生、大学で学び直す人 |
| 実務経験から目指す道 | 樹木に関する業務経歴が5年以上 | 造園、林業、公園管理などで働いている人 |
どちらの道でも、最後は日本緑化センターの第1次審査(選抜試験)と第2次審査(樹木医研修と資格審査)に合格する必要があります。違うのは、試験に応募できるまでの期間です。
ここでいう業務経歴とは、センターの説明によると、樹木の調査・研究、診断・治療、保護・育成・管理、公園緑地の計画・設計・設計監理、緑化樹木や果樹の生産などに関する実務や研究に従事した期間のことです。令和5年度から、一般の応募に必要な年数は7年から5年に短縮されています。例外もあるので、自分の経歴が数えられるかは、センターの「樹木医Q&A」で確かめてください。
大学で学ぶ道:樹木医補とは
樹木医補は、樹木学や病虫害などの基礎を大学などで学んだ学生に、樹木医への道を開くために設けられた資格です。センターに「樹木医補資格養成機関」として登録された大学や専門学校で、決められた科目を履修して卒業した人が、申請して認定を受けます。
必要な科目と単位
樹木医補の認定には、在学中に次の条件を満たす必要があります。
- 講義科目:6分野以上で14単位以上
- 実験・実習科目:4分野以上で4科目以上
どの授業がどの分野に数えられるかは、大学ごとにセンターが認めた「分野別科目対応表」で決まっています。同じ科目が複数の分野にまたがっている場合は1つの分野でしか数えられないなど、数え方には決まりがあり、センターは数え間違いが多いと注意を呼びかけています。入学したら早めに対応表を手に入れ、4年間の履修計画を立てることが大切です。
認定の申請と時期
申請は、所定の申請書に、履修した科目名と取得単位数が分かる成績証明書、卒業証明書(卒業見込証明書も可)を添えて行います。4月期の申請は5月中旬ごろ、10月期の申請は11月中旬ごろに認定されます。
樹木医補になるとどう有利になるか
樹木医補に認定されると、樹木医の選抜試験に応募するときに次の扱いを受けられます。
- 必要な実務経験が5年から1年に短縮される
- 選抜試験の受験料が一部免除される
実務経験の数え方の決まりにより、4月期に認定された人は翌年の試験を、10月期に認定された人は翌々年の試験を受けられるとされています。大学を卒業して就職し、1年働いた後に選抜試験に挑めるということです。一般の道より4年早く応募できるのは、大きな違いです。
樹木医補を取れる大学の選び方
登録されている大学と専門学校
センターの登録大学等一覧によると、樹木医補資格養成機関として認定・登録を受けた学校は、令和6年11月現在、通算で44の大学(短期大学を含む)と19の専門学校(専修学校や農林大学校などを含む)です。一覧には、北海道大学、岩手大学、山形大学、筑波大学、宇都宮大学、千葉大学、東京大学、東京農工大学、東京農業大学、法政大学、日本大学、新潟大学、信州大学、名古屋大学、三重大学、京都大学、神戸大学、鳥取大学、高知大学、九州大学、宮崎大学、鹿児島大学、琉球大学などが並び、近年も新しく登録される学校があります。
注意したいのは、登録が廃止された学校もあることです。一覧には登録年度と登録廃止年度が載っており、たとえば令和9年度の入学生から登録が廃止される大学も記載されています。登録を廃止した学校では、登録年度から廃止年度の前年度までに在学した人が対象です。志望校を決めるときは、「入学する年度に登録が続いているか」を必ずセンターの最新の一覧で確かめてください。
学部・学科の見方
樹木医補の対象になるのは、大学全体ではなく、特定の学部や学科、課程です。農学部の森林科学や生物環境、造園や緑地計画、環境系の学科などが多く見られます。志望する大学が登録されていても、自分が入る学科で分野別科目対応表の科目がそろうかは、大学の担当者に確かめるのが確実です。
学費の目安
進学情報サイトのスタディサプリ進路では、樹木医に関わる大学・短大の初年度の学費の分布を次のように紹介しています。
スタディサプリ進路ホームページでは、大学・短大により金額が異なりますが、樹木医にかかわる大学・短大は、81~100万円が3校、101~120万円が1校、121~140万円が2校、141~150万円が3校、151万円以上が3校となっています。 出典: スタディサプリ進路 樹木医にかかわる大学・短大
この数字は、同サイトに掲載されている学校に限った集計です。国公立か私立か、学部によっても大きく変わるので、志望校の募集要項で必ず確かめてください。
専門学校という選択
樹木医補資格養成機関には、専門学校や農林大学校も含まれています。大学より短い期間で現場に近い技術を学べるのが特徴で、卒業後すぐに造園や緑化の会社で働きたい人に向いています。分野別科目対応表は、大学の場合は原則4年、専門学校の場合は原則2年で卒業することを前提に整理されている、とセンターは説明しています。
実務経験から目指す道
大学で樹木医補を取らなかった人や、社会人になってから樹木医を目指す人は、樹木に関する業務経歴を5年以上積んで応募します。
業務経歴として数えられる仕事の例
- 造園会社での庭木や公園の樹木の手入れ、植栽工事
- 林業の仕事や、森林組合での森林の管理
- 自治体の公園緑地や街路樹の管理の仕事
- 緑化樹木や果樹の生産
- 大学や研究機関での樹木に関する研究
- 公園緑地の計画・設計・設計監理
造園会社や林業の会社で働きながら5年の経験を積み、選抜試験に挑む人は少なくありません。登録された樹木医の多くは、造園や林業、公園管理など、樹木に関わる仕事の経験者です。
社会人が大学で学び直す場合
社会人が大学に入り直して樹木医補を目指す道もあります。この場合、卒業後に1年の業務経歴があれば応募できますが、在学期間と合わせると、働きながら5年の経験を積む道と期間が大きくは変わらないこともあります。すでに樹木に関わる仕事をしている人は、実務経験の道のほうが現実的です。樹木と関係のない仕事から転職したい人は、造園や緑化の会社に就職して経験を積むか、学び直して樹木医補を取るかを、自分の年齢と生活の状況で比べて決めましょう。
樹木医になるまでの年数の目安
2つの道で、樹木医として登録されるまでにどのくらいの年数がかかるかを、公式の日程をもとに目安として並べます。どちらも、選抜試験と研修に1回で合格した場合の流れです。
大学で樹木医補を取る場合
- 高校卒業後、登録された大学に入学し、4年間で必要な科目を履修する
- 卒業の年の4月期に樹木医補を申請し、5月中旬ごろに認定を受ける
- 造園や緑化の会社などに就職し、樹木に関わる仕事で1年以上の経験を積む
- 翌年の5月から6月に選抜試験に申し込み、7月に受験する
- 合格したら秋の樹木医研修と資格審査を受け、11月中旬ごろに合否の通知を受ける
- 合格者は12月1日付けで樹木医として認定・登録される
この流れでは、大学に入学してからおよそ6年弱で樹木医として登録されることになります。高校を卒業してすぐに進学した場合、20代前半で樹木医を名乗れる計算です。
実務経験から目指す場合
- 造園、林業、公園管理などの仕事に就き、樹木に関わる業務で5年以上の経験を積む
- 6年目の5月から6月に選抜試験に申し込み、7月に受験する
- 秋の研修と資格審査を経て、12月1日付けで登録される
こちらは、仕事に就いてからおよそ6年で樹木医として登録される流れです。高校卒業後すぐに造園の会社に就職した場合でも、大学に進んだ場合とほぼ同じ年齢で樹木医を目指せます。大学で学ぶ道は、体系的な知識と研究の経験を得られる点が強みで、実務の道は、収入を得ながら現場の技術を身につけられる点が強みです。
選抜試験は毎年90〜100名ほどの研修受講者を選ぶ試験なので、1回で合格できるとは限りません。何度か挑戦することも見込んで、早めに応募の条件を満たしておくことが大切です。
第1次審査(選抜試験)の中身
樹木医の資格審査は、第1次審査の選抜試験と、第2次審査の樹木医研修・資格審査の2段階です。センターの説明では、選抜試験で90〜100名の研修受講者を選ぶとされています。
試験の形式
選抜試験は、業績審査と筆記試験で行われます。筆記試験の内容は次のとおりです。
| 試験 | 時間 | 内容 |
|---|---|---|
| 択一式 | 90分 | 35問。樹木医が備えるべき一般教養(倫理を含む)、研修科目に関係する専門分野、高校の生物の知識などから幅広く出題 |
| 論述式 | 90分 | 3問。総合的にバランスのとれた知識・技術・文章能力を審査 |
高校の生物の知識が出題範囲に含まれている点は、大学で学ぶ人にとっても実務から目指す人にとっても見落とせません。論述式では文章で説明する力が問われるため、日ごろから調べたことを文章にまとめる練習が役立ちます。
令和8年度の日程と受験料
令和8年度の選抜試験は、7月12日に北海道、仙台、東京、名古屋、大阪、福岡の6会場で行われ、申込期間は5月1日から6月15日まででした。受験料は、樹木医補の認定を受けていない人が19,000円、樹木医補の認定を受けている人が16,000円(いずれも税込)です。センターは令和7年度から応募の方法を大きく改善したと案内しているので、受ける年の「受験の手引き」で最新の手続きを確かめてください。
第2次審査(樹木医研修)と資格審査
選抜試験に合格すると、樹木医研修を受けます。令和8年度は、講義の動画配信(2週間程度)と、茨城県つくば市での6日間の実習・資格審査を組み合わせて行われました。研修は第1期と第2期に分かれ、どちらかを選べます。
研修で学ぶ16科目
研修の科目は、樹木の分類、樹木の生理、樹木・樹林の生態、樹木の構造と機能、樹木保護に関する制度、土壌の診断、病害の診断と防除、虫害の診断と防除、腐朽病害の診断と対策、大気汚染害の診断と対策、気象害の診断と対策、後継樹木の育成と遺伝子保存、幹の外科技術と機器による診断、樹木の移植法、植栽基盤の調査・判定と土壌改良、総合診断の16科目です。土壌や病害虫、幹の診断など、実習を伴う科目が多くあります。
研修期間中に、16科目の筆記試験、樹種の識別に関する適性試験、面接試験が行われ、センターの樹木医制度審議会が結果を総合的に評価して合格者を決めます。最終的な合否は11月中旬ごろに書面で通知され、合格者は登録の手続きを経て樹木医として認定されます。
研修の費用
研修費は120,000円(税込)で、往復の交通費や宿泊費は別にかかります。研修では『最新・樹木医の手引き』を参考にする場合があるとされ、持っていない人は書籍代も必要です。勤めながら受ける人は、実習の6日間の休みを職場と調整しておく必要があります。
登録の更新
令和元年度以降に認定された樹木医は、5年ごとの登録更新が必要です。更新には、5年間で樹木医CPD(継続的な学びの記録の仕組み)を100単位以上取得することが求められます。資格を取った後も、研修や講習に参加して学び続けることが前提の資格だということです。
選抜試験に向けた勉強の進め方
選抜試験は、樹木の専門知識だけでなく、一般教養や倫理、高校の生物、そして文章で説明する力まで問われます。大学で学んだ人も、実務から目指す人も、次の順番で準備すると抜け漏れが減ります。
- 受験の手引きを読み、択一式と論述式の出題の範囲と形式を確かめる
- 高校の生物の教科書を通して読み直し、細胞、光合成、呼吸、遺伝、生態系の基礎を固める
- 研修で使われる『最新・樹木医の手引き』で、樹木の分類、生理、病害虫、土壌の基礎を学ぶ
- 自分の業務経歴や研究を整理し、業績審査で何をどう示すかをまとめる
- 論述式に向けて、テーマを決めて800字ほどの文章を書く練習を週に1本続ける
論述式の準備
論述式は3問で、知識・技術・文章能力が総合的に見られます。日ごろの仕事や研究で出会った木の症状を題材に、「何が起きていたか」「原因をどう考えたか」「どんな手当てをしたか、またはすべきだったか」の3段で書く練習をすると、本番でも組み立てに迷いません。書いた文章は、職場の先輩や指導教員に読んでもらい、専門用語の使い方や論理の飛躍を指摘してもらうと上達が早くなります。
樹種を見分ける力を早めにつける
第2次審査には、緑化樹木を中心とした樹種の識別に関する適性試験があります。葉の形や付き方、樹皮、冬芽など、季節によって手がかりが変わるため、短期間で身につけるのは難しい力です。大学生のうちから、構内や近くの公園の木を図鑑と照らし合わせて覚えていく習慣をつけておくと、試験の直前に慌てずにすみます。
なお、研修のテキストについて、センターは改訂作業を進めており、令和8年度の研修は改訂4版を使い、改訂5版は2026年11月以降に発刊予定と案内しています。受ける年度に使われる版を確かめてから入手しましょう。
樹木医に関わるほかの資格
日本緑化センターは、樹木医と樹木医補のほかにも、樹木や緑化に関わる資格を運営しています。また、造園の分野には国の資格もあります。樹木医とあわせて検討されることの多いものを整理します。
| 資格 | 性格 | 関わる場面 |
|---|---|---|
| 樹木医補 | 民間資格(日本緑化センター) | 樹木医の補佐、樹木医を目指す入口 |
| 松保護士 | 民間資格(日本緑化センター) | 松林や松の木の保護 |
| 自然再生士・自然再生士補 | 民間資格(日本緑化センター) | 失われた自然の再生の事業 |
| 造園技能士 | 国家検定 | 造園工事の施工の技能 |
| 造園施工管理技士 | 国家資格 | 造園工事の施工管理 |
造園の会社で働く人は、造園技能士や造園施工管理技士で工事の技能と管理の力を示し、樹木医で木の診断の専門性を加える、という組み合わせがよく見られます。大学で学ぶ人は、まず樹木医補を取り、就職先の仕事に合わせてほかの資格を加えていくと、経験と資格が無理なくかみ合います。
樹木医を目指すのに向いている人
樹木医の仕事は、木が好きという気持ちだけでは続きません。次のような特徴がある人は、この仕事に向いています。
- 小さな変化に気づく観察力がある:葉の色、枝の伸び方、樹皮の傷、根元の土の盛り上がりなど
- 原因を1つに決めつけず、いくつもの可能性を比べて考えられる
- 屋外での作業や、季節を問わない現場の仕事に耐えられる
- 調べた結果を、木に詳しくない依頼主に分かりやすく説明できる
- 何年もかけて学び続けることをいとわない
とくに大事なのが、説明する力です。樹木医が「この木は倒れる危険がある」と判断すれば、伐採という重い決断につながることもあります。地域で大切にされてきた木であればなおさら、判断の理由を丁寧に説明し、関係者の納得を得る力が求められます。
樹木医の仕事と働く場所
樹木医として働く場所は、主に次のようなところです。
- 造園会社:公園や庭園、街路樹、企業の緑地の樹木の診断と手入れ
- 樹木の診断を専門にする会社:倒木の危険の調査、巨樹や古木の樹勢の回復
- 建設コンサルタント:公園や道路の計画で、樹木の調査や保全の提案
- 自治体:公園緑地や街路樹の管理、樹木の保全の計画
- 林業や森林組合:森林の管理
- 大学や研究機関:樹木の病気や生理の研究
仕事の中身は、木の外見を観察し、幹をたたいて音を聞いたり、専用の機器で幹の内部の腐れを調べたり、根の周りの土を調べたりして、弱った原因を突き止めるところから始まります。そのうえで、枝の剪定、土の入れ替え、支柱の設置、病害虫の対策などの手当てを考え、報告書にまとめて依頼主に説明します。木の上での作業や、倒れかけた木の周りでの作業もあるため、安全管理の知識と装備は欠かせません。
Q. 収入の考え方
樹木医の資格を持っていることで決まった給料がもらえるわけではなく、多くの人は造園会社やコンサルタント会社の社員、自治体の職員として働き、そこに資格の手当や役割が加わる形です。独立して樹木の診断を請け負う人もいますが、資格を取ってすぐに独立するより、勤め先で経験を積んでからが一般的です。具体的な収入は、勤め先の職種や地域で大きく違うので、求人票で確かめてください。
高校生・大学生が今からできること
Q. 高校生の場合
樹木医の選抜試験には高校の生物の知識が出題されます。高校の段階で生物をしっかり学んでおくことは、大学の授業にも、将来の試験にも役立ちます。進学先を選ぶときは、次の順番で調べると迷いません。
- 日本緑化センターの登録大学等一覧で、通える範囲の学校を探す
- その学校の登録年度と、登録廃止の予定がないかを確かめる
- 樹木医補の対象になる学部・学科を、大学の案内やオープンキャンパスで確かめる
- 卒業生の就職先に、造園、緑化、林業、建設コンサルタントなどがあるかを見る
Q. 大学生の場合
すでに登録大学に在学している人は、分野別科目対応表を見て、卒業までに講義科目6分野14単位以上、実験・実習科目4分野4科目以上を取れるかを確かめます。留年や編入をした人は、対応表の読み方が変わる場合があるので、大学の担当者や指導教員に相談するよう、センターも案内しています。
在学中にできることとしては、樹木や森林の研究室に入って調査に参加する、自治体や造園会社のインターンシップに参加する、といった方法もあります。現場の作業を早いうちに見ておくと、教科書の知識がどう使われるのかが分かり、卒業研究のテーマ選びや就職先の判断にも役立ちます。
就職先を考えるときは、卒業後1年の業務経歴が樹木に関わる仕事で積めるかが大事です。造園会社や緑化の会社、自治体の公園緑地の部署など、樹木の調査や管理に関わる仕事を選ぶと、早く選抜試験に挑めます。
現場で経験を積むときに大切にしたいこと
樹木医を目指して造園や緑化の現場で働き始めると、教科書だけでは分からないことに数多く出会います。たとえば、同じ種類の木でも、植えられている場所の土の固さや水はけ、日当たり、周りの舗装の状態で弱り方がまったく違います。現場では、木そのものだけでなく、木の周りの環境まで見る目を養うことが求められます。
経験を積む期間は、日々の作業を記録に残しておくと、選抜試験の業績審査や論述式の準備に役立ちます。どんな木を、どんな症状で、どう判断し、どんな手当てをしたかを、写真と短いメモで残しておきましょう。後から見返すと、自分の判断の癖や、見落としやすい点が分かります。
安全の面では、高い場所での作業、チェーンソーなどの機械の扱い、倒れる危険のある木の周りでの作業など、危険が伴う場面が多くあります。現場の安全の決まりを守り、必要な講習を受けておくことが、長く働き続けるための前提です。木を守る仕事は、まず自分と周りの人の安全を守るところから始まります。
樹木の知識を在宅の仕事につなげる視点
樹木医を目指す過程で身につく知識は、現場の仕事だけでなく、在宅でできる仕事にも活かせます。
- 樹木の調査結果をまとめた報告書の作成や清書
- 緑化や園芸、樹木の病気をテーマにした記事の執筆
- 調査データの集計や、図面・図表の作成
- 自治体や企業の緑化の資料、パンフレットの原稿づくり
公園や街路樹の調査では、木の位置を図面に落とし、木ごとに番号を振って、幹の太さや高さ、症状を一覧表にまとめる作業が欠かせません。図面の作成や表の整理は、現場に出なくても進められる部分で、CADや表計算ソフトを扱える人は、調査の補助として在宅で関わる道があります。樹木の名前や症状の用語を正しく理解していれば、現場の担当者とのやり取りも滑らかになり、修正の手間が減ります。
樹木の診断の仕事では、現場での調査と同じくらい、報告書で依頼主に分かりやすく伝える力が求められます。社外向けの文書を正確に書く基本はビジネス文書検定の出題範囲で確かめられます。記事の執筆に関心がある人は、自分の得意分野を示す見本記事を用意しておくと、依頼する側が判断しやすくなります。作り方はWebライターのポートフォリオの作り方|案件獲得率が上がるテンプレート付き【2026年版】で紹介しています。
求人と仕事の動きから見た樹木医への道
在宅ワークと業務委託の仲介を20年あまり運営してきた中で見えてきたのは、専門の資格を目指す人ほど、資格を取る前から「何を記録し、どう伝えられるか」を積み上げているという点です。樹木の調査の記録を写真と文章で整理できる人は、資格を取る前でも、調査報告書の清書や図表づくりといった仕事を任されやすくなります。その経験が、選抜試験の論述や、資格を取った後の報告書の質にもつながります。
もう1つの傾向は、専門性の高い仕事ほど、依頼する側と受ける側が直接やり取りできるほうが、用語や判断の確認がしやすいという点です。樹木の名前や症状の書き方のように細かな確認が何度も入る仕事では、間に入る手数料がない手数料0%の直接取引なら、同じ予算で依頼する側はより丁寧な確認を頼め、受ける側は手取りが厚くなります。双方が得をする形が、専門の仕事を長く続ける土台になっています。
研究や調査に近い仕事の収入の幅は研究者の年収・単価相場にまとめられています。大学で樹木を学んだ後、研究の道に進むか、現場で樹木医を目指すかを考えるときの材料として、職種ごとの相場を確かめておくと進路を決める手がかりになります。
よくある質問
Q. 大学を卒業すれば樹木医になれますか?
卒業するだけではなれません。日本緑化センターに登録された大学などで決められた科目を履修して卒業すると、樹木医補の認定を受けられます。樹木医補になると選抜試験の応募に必要な実務経験が5年から1年に短くなり、選抜試験と樹木医研修、資格審査に合格してはじめて樹木医として登録されます。
Q. 樹木医補になるにはどの科目を取ればよいですか?
登録された大学などで、講義科目を6分野以上14単位以上、実験・実習科目を4分野以上4科目以上履修して卒業する必要があります。どの授業がどの分野に数えられるかは、大学ごとの分野別科目対応表で決まっています。同じ科目は1つの分野でしか数えられないので、入学後早めに対応表を確かめてください。
Q. 大学に行かずに樹木医を目指すことはできますか?
できます。樹木の調査・研究、診断・治療、保護・育成・管理、公園緑地の計画・設計などの業務経歴が5年以上あれば、選抜試験に応募できます。令和5年度から必要な年数は7年から5年に短縮されました。造園会社や林業、自治体の公園管理などで経験を積んで目指す人も多くいます。
Q. 樹木医の試験と研修にはどのくらいの費用がかかりますか?
令和8年度の選抜試験の受験料は、樹木医補でない人が19,000円、樹木医補の人が16,000円(税込)です。合格後の樹木医研修の研修費は120,000円(税込)で、つくば市での実習に通う交通費や宿泊費が別にかかります。金額は年度で変わることがあるので、受ける年の受験の手引きで確かめてください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
関連記事
カテゴリから探す

クラウドソーシング入門
クラウドソーシングの基礎知識・始め方・サイト比較

職種別ガイド
職種・スキル別の案件獲得方法と単価相場

副業・在宅ワーク
副業・在宅ワークの始め方と対象者別ガイド

フリーランス
フリーランスの独立・営業・実務ノウハウ

お金・税金
確定申告・節税・経費・ローンなどお金の知識

比較・ランキング
サービス比較・おすすめランキング

AI活用
職種別にChatGPT・生成AIを活用して業務効率化・収益化するノウハウ

最新トレンド
市場動向・法改正・AIなど最新情報

発注者向けガイド
クラウドソーシングで外注・人材探しをする企業・個人向け

転職・キャリア
転職エージェント・転職サイト比較・キャリアチェンジ

看護師の転職・求人
看護師の転職・派遣・単発バイト・副業など働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

薬剤師の転職・求人
薬剤師・登録販売者の転職・派遣・パートなど働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

介護職の転職・求人
介護職・介護福祉士・ケアマネジャー・訪問介護員の転職・派遣・夜勤など働き方のガイド

保育士の転職・求人
保育士・保育補助・幼稚園教諭の転職・派遣・パートなど働き方のガイド

医療職の転職・求人
医師・産業医・リハビリ職・歯科衛生士・管理栄養士・医療事務の転職や働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

保険
生命保険・医療保険・フリーランスの保険設計

採用・求人
無料求人掲載・採用コスト削減・人材募集の方法

オフィス・ワークスペース
バーチャルオフィス・コワーキング・レンタルオフィス

法律・士業
契約トラブル・士業独立開業・フリーランス新法

シニア・50代
シニア世代のキャリアチェンジ・副業・年金

セキュリティ
サイバーセキュリティ・脆弱性対策・情報保護

金融・フィンテック
暗号資産・決済・ブロックチェーン・金融テクノロジー

経営・ビジネス
経営戦略・ガバナンス・事業承継・知財

ガジェット・機材
フリーランスに役立つPC・デバイス・周辺機器

子育て×働き方
子育てと在宅ワークの両立・保育園・時間管理

補助金・助成金
個人事業主・フリーランスが使える公的補助金・助成金・給付金の申請ガイド

M&A・事業売却
会社売却・事業承継・事業譲渡を考える経営者向け。売却の流れ、税金、従業員への伝え方、仲介会社の選び方

アウトソーシング・外注ガイド
SNS運用・経理・広告など、業務のアウトソーシング(外注)を検討する企業・個人向け。費用相場・依頼の流れ・失敗しない選び方







