社会保険料がかかる年収の壁を知っておく

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社会保険料がかかる年収の壁を知っておく

この記事のポイント

  • ✓社会保険料がかかる年収の壁を
  • ✓106万円と130万円の2本に絞って整理します
  • ✓適用拡大で要件がどう変わるか

社会保険料の壁だけに絞って整理します。年収の壁と呼ばれるラインはいくつもありますが、手取りが目に見えて減るのは社会保険料が発生するときだけです。税の壁は越えてもなだらかに増えるので、気にする順番は後回しで構いません。

結論から書くと、見るべきラインは2本です。勤務先の社会保険に加入する要件としての106万円、そして家族の扶養から外れる基準としての130万円。この2本の意味と、どちらが自分に当たるのかを判断できれば話は終わります。そしてこの2本は、いま制度が動いている最中です。この記事では数字の羅列ではなく、判定の仕組みと保険料の実額、そして越えたときに何が返ってくるかまで書きます。

社会保険料が発生するラインは2本だけ

最初に整理します。社会保険料が発生する経路は2つあり、それぞれに対応するラインがあります。

第一の経路は、自分が勤務先の社会保険に加入するケースです。パートやアルバイトでも、一定の要件を満たすと勤務先の健康保険と厚生年金に加入します。この要件のひとつに月額賃金の基準があり、年換算した金額から106万円の壁と呼ばれてきました。

第二の経路は、家族の健康保険の扶養から外れるケースです。配偶者や親の被扶養者として認定される収入の基準が130万円で、これを超える見込みになると扶養から外れます。外れた先は、勤務先の社会保険に入るか、自分で国民健康保険と国民年金に入るかのどちらかです。

この2本の関係が分かりにくいのは、どちらが先に来るかが勤務先によって違うからです。社会保険の適用対象になっている勤務先で週20時間以上働いているなら、106万円のほうが先に来ます。適用対象外の勤務先や、週20時間未満で複数の仕事を掛け持ちしている場合は、130万円が先に来ます。だから最初に確認すべきは、金額ではなく「自分の勤務先が社会保険の適用対象か」「週の所定労働時間が20時間以上か」の2点です。

この2点が分かれば、自分に当たる壁が1本に決まります。逆に、この確認をせずに金額だけを見ていると、106万円を気にして時間を抑えていたのに実は対象外だった、あるいは130万円まで大丈夫だと思っていたら106万円で加入になった、という食い違いが起きます。給与明細で健康保険料と厚生年金保険料が引かれているかを見れば、自分が今どちらの状態かはすぐ分かります。

106万円の壁の中身と、撤廃で何が変わるか

106万円の壁の正体は、短時間労働者が勤務先の社会保険に加入する要件です。要件は複数あり、すべてを満たしたときに加入になります。

週の所定労働時間が20時間以上であること。2ヶ月を超える雇用の見込みがあること。学生ではないこと。勤務先の被保険者の総数が一定規模以上であること。そして月額賃金が8.8万円以上であること。この月8.8万円を年換算すると約106万円になるため、106万円の壁と呼ばれてきました。

ここで重要なのは、月額賃金8.8万円の計算に含まれないものがあることです。残業代、賞与、通勤手当、家族手当、精皆勤手当などは含めません。基本給と諸手当のうち、毎月決まって支払われるものだけで判定します。つまり残業が多くて月の総支給が9万円を超えても、基本給ベースで8.8万円未満なら加入要件を満たしません。ここは誤解が多いところです。

そしてこの要件は、いま変わりつつあります。

令和7(2025)年の年金制度改正法において、「106万円の壁」の撤廃などの被用者保険の適用拡大を実施しています。 被用者保険の適用拡大について 被用者保険の適用拡大を進めています。被用者保険の適用拡大や被用者保険に加入することのメリットなどは、「社会保険適用拡大特設サイト」をご確認ください。 出典: mhlw.go.jp

撤廃されるのは月額賃金8.8万円という賃金の要件です。これがなくなると、週20時間以上働いていれば賃金の額に関係なく社会保険に加入することになります。あわせて企業規模の要件も段階的に引き下げられ、最終的になくす方針が定められています。適用の時期は段階的に設定されているので、自分の勤務先がいつ対象になるかは勤務先の担当者か年金事務所に確認してください。

方向としては、106万円というラインそのものが意味を失っていきます。代わりに効いてくるのが週20時間という労働時間の要件です。収入を抑えるのではなく、シフトの時間を20時間未満にするかどうかで判断する形に移ります。就業調整をしている人は、金額の管理から時間の管理に切り替える必要があります。

130万円の壁。判定は契約内容の見込みで決まる

次に130万円です。こちらは家族の健康保険の被扶養者として認定される収入の基準です。

判定の考え方が誤解されやすいので、正確に押さえます。判定に使うのは暦年の実績ではなく、これから1年間の収入の見込みです。月額に直すと108,333円を超える状態が続くかどうかで見られます。したがって、年の後半から働き始めて暦年の合計が130万円に届かない場合でも、月額が基準を超え続けるなら扶養から外れる判定になり得ます。

見込みの判断基準については、取扱いが明確化されています。

被扶養者認定時点で労働契約の内容(基本給および諸手当等)によって見込まれる年間収入が130万円未満であり、かつ、他の収入が見込まれず、主として被保険者の収入によって生計を維持していると認められる場合には、原則として、被扶養者に該当するものとして取り扱われることとなります。 出典: mhlw.go.jp

つまり労働契約の内容で見込まれる年間収入が基準を下回っていれば、原則として被扶養者と認められます。契約上は年間120万円の見込みだったが、繁忙期の残業で結果として超えた、というケースの扱いが後述する救済につながります。

もう1つの要件が、被保険者の収入によって主として生計を維持していることです。具体的には、同居している場合は被扶養者の収入が被保険者の収入の半分未満であることが原則です。別居している場合は、被扶養者の収入が被保険者からの援助額より少ないことが要件になります。配偶者の年収が300万円で本人が130万円未満なら問題ありませんが、配偶者の年収が240万円で本人が125万円だと、半分未満という要件に引っかかる可能性があります。

なお130万円の判定に含める収入は幅広いです。給与だけでなく、通勤手当、賞与、事業収入、不動産収入、年金、失業給付、傷病手当金、出産手当金も含みます。税の計算では非課税の通勤手当や失業給付も、社会保険の判定では収入として数えます。ここが税との最大の違いです。失業給付の日額が3,612円以上だと年換算で130万円を超えるため、受給中は扶養に入れない、という話はここから来ています。

19歳から23歳未満は150万円、60歳以上は180万円

130万円という基準には例外があります。この例外を知らずに損をしている人が多いので、独立した節にします。

まず19歳以上23歳未満の被扶養者です。大学生や専門学校生の年代がここに当たります。所得税の特定扶養控除の要件が見直されたことに合わせて、社会保険の被扶養者の収入要件も引き上げられました。

就業調整対策等の観点から、19歳以上23歳未満の親族等を扶養する場合における所得税法上の特定扶養控除の要件の見直し等が行われたことを踏まえ、扶養認定を受ける方(配偶者を除く)が19歳以上23歳未満である場合の年間収入要件の額を150万円未満に引き上げました。 出典: mhlw.go.jp

対象は配偶者を除く19歳以上23歳未満の親族です。基準は150万円未満に引き上げられました。月額に直すと125,000円です。学生でアルバイトや在宅の仕事をしている人は、130万円ではなく150万円で判断できます。ただし勤務先の社会保険の加入要件は別なので、週20時間以上働いていて適用対象の勤務先なら、150万円未満でも加入になります。学生は原則として短時間労働者の適用除外ですが、休学中、夜間部、通信制の場合は除外されないことがあります。

次に60歳以上の人、または障害厚生年金を受けられる程度の障害がある人です。この場合の基準は180万円未満に緩和されます。定年後に再雇用やパートで働く人、親を扶養に入れている人は、この基準で判断します。ただし公的年金を受け取っている場合は、その年金額も収入に含めて計算します。年金が月10万円なら年間120万円で、給与が60万円を超えると180万円に達します。年金と給与を合計して見てください。

これらの例外は、届出をしなければ適用されません。年齢による基準の切り替えも自動ではないことがあります。子どもが19歳になった年、あるいは自分が60歳になった年には、勤務先を通じて健康保険の保険者に基準を確認してください。書類を出すだけで数十万円分の働ける余地が生まれることがあります。

保険料はいくらになるか。実額で確認する

壁を越えるかどうかの判断には、保険料の実額が必要です。計算の仕組みを押さえます。

社会保険料は標準報酬月額という区分に基づいて決まります。毎月の報酬を一定の幅で区切り、その区分ごとに保険料が定められています。報酬には基本給だけでなく、残業代、通勤手当、各種手当が含まれます。この点は106万円の要件判定と違うので注意してください。要件判定では通勤手当を除きますが、保険料の計算では含めます。

健康保険料率は保険者によって違います。協会けんぽなら都道府県ごとに決まり、おおむね10%前後です。健康保険組合はそれぞれの料率を定めています。この料率を事業主と被保険者が半分ずつ負担するため、本人の負担は5%前後になります。40歳以上65歳未満はこれに介護保険料が加わり、料率は1.6%前後で、こちらも半分が本人負担です。

厚生年金保険料率は全国一律で18.3%です。こちらも半分ずつ負担するため、本人負担は9.15%です。

合計すると、本人負担は報酬の14%から15%程度になります。年収130万円で加入した場合、標準報酬月額は11万円前後の区分になり、本人負担は健康保険と厚生年金を合わせて月15,500円前後、年間で18万円から19万円という水準です。40歳以上ならこれに介護保険料が加わります。

ここに雇用保険料も乗ります。料率は年度ごとに改定されますが、労働者負担は0.5%台です。年収130万円なら年間7,000円前後です。

さらに所得税と住民税があります。年収130万円なら所得税はかかりませんが、住民税は年間1万円台になります。社会保険料を支払うと、その全額が社会保険料控除として所得から引かれるため、所得税と住民税は安くなります。この点は保険料の負担を少し和らげます。

自分の勤務先で加入した場合の保険料は、給与担当者に聞けば正確な金額を出してもらえます。壁を越えるかどうかを検討しているなら、想定する月収での保険料を先に試算してもらってください。制度の詳細は厚生労働省や日本年金機構の案内に掲載されています。

手取りが元に戻るのは年収いくらからか

負担の額が分かったので、手取りの逆転がどこで解消するかを見ます。

年収125万円で扶養に留まっていた場合、社会保険料の負担がないので手取りは120万円台です。ここで年収131万円になって扶養を外れ、勤務先の社会保険に加入すると、保険料で19万円前後、雇用保険料と住民税を加えて20万円強が引かれます。手取りは110万円前後です。年収を6万円増やしたのに手取りが10万円下がる。これが壁の実態です。

手取りが元の水準に戻るのは、おおむね年収150万円台です。そこを超えると、働いた分だけ手取りが増えていきます。したがって選択肢は2つです。130万円未満に抑えるか、150万円台を超えるところまで一気に増やすか。130万円から150万円の区間は、働く時間が増えるだけで手取りが目減りする区間なので、あえて留まる理由はありません。

ただし、この計算には入っていないものがあります。勤務先の対応です。社会保険の適用に合わせて手当を支給したり賃上げをしたりする企業には、国の支援が用意されています。社会保険適用促進手当という形で支給される手当は、一定の範囲で保険料の算定対象から除く扱いが認められています。つまり勤務先がこの仕組みを使っていれば、手取りの目減りは小さくなります。勤務先がこの対応をしているかどうかで、越えるべき年収の水準が変わります。給与担当者に確認する価値があります。

私はアパレルの運営代行の仕事で、ブランド側のシフト設計に関わったことがあります。年末の繁忙期に向けてスタッフの稼働を増やしたいのに、扶養の範囲を超えるから入れないと言われる。これは現場でよく起きます。そのとき有効だったのは、スタッフ全員に一律で「103万円まで」と伝えるのをやめて、1人ずつ条件を確認することでした。配偶者の扶養に入っている人と、学生の人と、独身で自分の社会保険に入っている人では、当たる壁がまったく違います。一律で管理すると、本当は働ける人の時間まで削ることになります。私自身、この整理をするまでは全員同じ基準で考えていて、正直なところ現場に無駄なブレーキをかけていました。

仕事を掛け持ちしているときの数え方

在宅の仕事を複数受けている人や、パートを2つ掛け持ちしている人は、数え方に独特のルールがあります。ここを間違えると判定がずれます。

まず勤務先の社会保険の加入要件についてです。週20時間以上という所定労働時間の要件は、勤務先ごとに判定します。合算しません。A社で週12時間、B社で週12時間働いていて合計24時間になっても、それぞれが20時間未満なので、どちらの勤務先でも加入要件を満たしません。月額賃金の要件も同じく勤務先ごとに見ます。掛け持ちで働くと社会保険に入りにくい、という構造になっているわけです。

一方、扶養の判定に使う130万円は合算します。A社で70万円、B社で70万円なら合計140万円となり、基準を超えます。さらに業務委託の報酬や、その他の収入もすべて足します。勤務先ごとに見ないので、どこも20時間未満で社会保険に入らないまま、扶養からだけ外れるという状態が起こり得ます。この場合は自分で国民健康保険と国民年金に加入することになり、労使折半がないぶん負担が重くなります。掛け持ちで働くなら、合計額を毎月確認してください。

逆に、2つ以上の勤務先でそれぞれ加入要件を満たした場合は、二以上事業所勤務届を提出します。標準報酬月額は両方の報酬を合算して決定され、保険料はそれぞれの報酬額に応じて按分されます。この届出は本人が行うもので、期限は事実が発生してから10日以内です。勤務先が自動でやってくれるものではないので、掛け持ちで両方が加入対象になったら自分で年金事務所に提出してください。

在宅の仕事を複数の取引先から受けている場合は、すべて業務委託であれば勤務先の社会保険には関係しません。合計した所得が130万円の基準を超えるかどうかだけを見ます。取引先ごとに年間いくらになるかを一覧にしておくと、年の途中で判断できます。

一時的に超えたときの救済を知っておく

繁忙期の残業で、結果として130万円を超えてしまうことがあります。この場合に扶養から即座に外れるわけではありません。

一時的な収入の変動によって年収が基準を超えた場合、事業主がその事情を証明すれば、被扶養者の認定を継続できる仕組みが用意されています。対象は、繁忙期の残業や、人手不足による一時的な勤務時間の延長など、恒常的でない収入増です。基本給が上がった場合や、契約上の所定労働時間が増えた場合は対象になりません。

この扱いには回数の制限があります。同一の被扶養者について連続で2回までが原則です。3年続けて超えるようなら、それは一時的ではなく恒常的な状態と判断されます。

手続きの流れは、まず本人が勤務先に事情の証明を依頼し、その書類を配偶者や親の勤務先に提出して、健康保険の保険者に提出してもらう形です。年に1回行われる被扶養者の資格確認、いわゆる検認のタイミングで指摘されることが多いので、超えたと分かった時点で先に動くのが確実です。

もう1つ、扶養から外れる手続きが遅れた場合のリスクも押さえておきます。実際には要件を満たしていないのに被扶養者のまま保険証を使っていた場合、後から資格を遡って喪失させられ、その間に受けた医療費の保険者負担分を請求されることがあります。金額が大きくなることもあるので、基準を超える見込みになったら速やかに届出してください。判断に迷うなら、超える前に保険者へ問い合わせるのが最も安全です。

業務委託やフリーランスの収入はどう数えるか

在宅で業務委託の仕事を受けている場合、壁の計算が変わります。ここは情報が少ないので詳しく書きます。

まず、業務委託で働いている人は勤務先の社会保険に加入しません。雇用契約ではないからです。したがって106万円の壁は関係ありません。関係するのは130万円、つまり家族の扶養から外れるかどうかだけです。

判定に使う収入の計算方法が問題になります。健康保険の被扶養者の判定では、自営業や業務委託の収入から必要経費を差し引いた額で見ます。ただし、認められる経費の範囲が税とは違います。売上を得るために直接必要な経費に限られるのが一般的で、税務上は認められる青色申告特別控除や、家事按分した家賃や光熱費は差し引けないことが多いです。

しかもこの取り扱いは保険者ごとに違います。協会けんぽと健康保険組合で判断が異なり、組合の間でも違います。だから業務委託で働くなら、最初にやるべきことは配偶者や親の勤務先の健康保険の保険者に問い合わせることです。聞くべきことは3つです。業務委託の収入はどう計算するか。経費として認められるものは何か。提出が必要な書類は何か。この3点が確認できれば、自分がいくらまで受けられるかが確定します。

私が独立したときも、この経費の扱いで一度つまずきました。税の申告では通っている費用が、扶養の判定では認められないと知ったときは面倒だと思いましたが、先に聞いておけば計算は一度で終わります。年度の途中で扶養を外れる手続きをやり直すより、はるかに楽です。

売上の見通しを立てるには、自分の職種の相場を知る必要があります。文書やライティングの水準は著述家,記者,編集者の年収・単価相場にまとまっています。開発や運用の仕事ならソフトウェア作成者の年収・単価相場が参考になります。単価が分かれば、経費を引いた所得を基準の手前に収めるために何件受けられるかが計算できます。

扶養から外れる場合、業務委託の人は勤務先の社会保険に入れないので、国民健康保険と国民年金に加入します。国民健康保険料は前年の所得に基づいて計算されるため、独立した初年度は前の給与に応じた高い保険料になることがあります。国民年金保険料は定額で、月額は年度ごとに改定されます。厚生年金と違って労使折半がないため、負担感は大きくなります。一方で経費を計上して所得を抑えれば保険料も下がるので、帳簿の付け方が保険料に直結します。経費と控除の区別は個人事業主の保険料は経費にできる?仕訳と確定申告の方法に整理されています。

保険料を払うことで返ってくるもの

負担の話だけで終わらせると判断を誤ります。社会保険に加入することで得られるものを金額で見ます。

第一に、将来の年金が増えます。厚生年金は国民年金の上に報酬比例部分が乗る仕組みなので、加入した期間と報酬に応じて受取額が増えます。国民年金だけの人と比べて、終身で受け取る額が上がります。加入期間が10年、20年と続くほど効果が大きくなり、生涯で見ると支払った保険料を上回ることが一般的です。

第二に、病気で働けないときの傷病手当金が使えます。連続3日間の待期を経て4日目以降、標準報酬日額の3分の2が最長1年6ヶ月支給されます。扶養に入っている間、あるいは国民健康保険に加入している間は、この給付がありません。

第三に、出産で休むときの出産手当金が使えます。出産日以前42日から出産日後56日までの期間について、標準報酬日額の3分の2が支給されます。こちらも被扶養者と国民健康保険の加入者は対象外です。

第四に、障害を負ったときの障害厚生年金、亡くなったときの遺族厚生年金の対象になります。国民年金の障害基礎年金や遺族基礎年金より対象範囲が広く、金額も上乗せされます。

第五に、保険料の半分を勤務先が負担します。国民健康保険と国民年金には事業主負担がありません。同じ保障を自分で用意するより、負担は軽くなります。

この5つを並べると、判断の軸が変わります。目先の手取りだけを見れば壁の内側が有利ですが、働く期間が10年以上ある見込みなら、加入したほうが総額で有利になることが多いです。とくに出産や病気で長く休む可能性がある年代の人は、所得補償の有無が決定的です。世帯の保障設計を見直すなら30代の生命保険おすすめ|子育て世代の保障設計が考え方の整理に使えます。

独自データの考察。時間の上限を外した人の単価が動く

在宅ワークと業務委託の市場を20年見てきた立場から、壁との付き合い方について観察を書きます。

収入の上限を決めて働く人は、引き受ける仕事の種類が限られます。年間の売上を基準の手前に収める必要があるので、短時間で終わる単発の作業に寄ります。運営者として見てきた限りでは、この形で数年働いた人は、後から単価を上げるのに苦労していました。単発の作業は代わりが見つかるので、交渉の余地が小さいのです。

一方で上限を外した人は、継続して関わる仕事を受けられるようになります。継続の仕事は相手の事情が見えてくるので、次にやるべきことを提案できます。提案ができる立場になると、単価は自然に動きます。長く続く人ほど、単発の作業をこなすことより「この人に任せると楽だ」と思わせる関係づくりに時間を使っている、というのが20年見てきた実感です。壁を越えるかどうかの判断は、保険料の損得だけでなく、この仕事の質の変化まで含めて考える価値があります。

手取りの構造についても書いておきます。仲介の手数料が乗る取引では、依頼者が支払った金額の一部が仲介に消えます。手数料が0%の直接取引では、同じ予算で依頼者はより多くを頼めますし、受け手は同じ作業で手取りが厚くなります。壁の手前で働く人にとっては、売上の上限が決まっているぶん、同じ売上で手取りが厚いほうが確実に有利です。壁を越えて働く人にとっては、増えた保険料の負担を手取りの厚さで埋められます。どちらの立場にも効くという点が、この構造の強みです。

働ける時間を増やす方向に舵を切るなら、扱える領域を広げておくと交渉が楽になります。需要が強い分野の仕事の中身はAI・マーケティング・セキュリティのお仕事で確認できます。契約書や見積書の作法を体系的に押さえたいならビジネス文書検定のような資格が実務に直結します。書類が整っている人は、初回のやり取りで信用されるぶん、単価の話に早く進めます。

最後に整理します。社会保険料が発生するのは、勤務先の社会保険に加入するときと、家族の扶養から外れるときの2通りです。前者の基準は賃金から労働時間へ移りつつあり、週20時間が実質の分かれ目になります。後者は130万円で、19歳以上23歳未満は150万円、60歳以上は180万円です。判定は暦年の実績ではなく契約内容による見込みで、一時的に超えた場合は事業主の証明で救済されます。そして業務委託で働くなら、経費の扱いを保険者に先に確認する。この5点を押さえれば、壁に振り回されずに働き方を決められます。

よくある質問

Q. 社会保険料がかかる年収の壁はどれを見ればいいですか?

2本だけです。勤務先の社会保険に加入する要件としての106万円と、家族の扶養から外れる基準としての130万円です。どちらが先に来るかは、勤務先が社会保険の適用対象か、週の所定労働時間が20時間以上かで決まります。金額より先にこの2点を確認してください。

Q. 106万円の壁はなくなるのですか?

2025年に成立した年金制度改正法で、月額賃金8.8万円という賃金要件を撤廃し、企業規模の要件も段階的に引き下げて最終的になくす方針が定められました。適用は段階的なので時期は勤務先か年金事務所に確認してください。今後は週20時間という労働時間が実質の分かれ目になります。

Q. 学生の子どもは130万円までしか働けませんか?

19歳以上23歳未満の被扶養者は、年間収入の要件が150万円未満に引き上げられています。配偶者は対象外です。ただし勤務先の社会保険の加入要件は別で、週20時間以上働いていて適用対象の勤務先なら加入になります。休学中や夜間部、通信制の場合は学生の適用除外にならないことがあります。

Q. 繁忙期の残業で130万円を超えたら扶養から外れますか?

一時的な収入の変動であれば、事業主がその事情を証明することで被扶養者の認定を継続できます。連続2回までが原則で、基本給の引き上げや所定労働時間の恒久的な増加は対象になりません。超えたと分かった時点で勤務先に証明を依頼し、保険者へ提出してください。

この記事について

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年1月27日最終更新:2026年10月13日
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