50歳以上が国民年金基金に入るメリット

前田 壮一
前田 壮一
50歳以上が国民年金基金に入るメリット

この記事のポイント

  • 国民年金基金に50歳以上で加入するメリットと注意点を
  • 掛金月額表と年金額表の実数で整理しました
  • 社会保険料控除の効き方

まず、安心してください。50歳を過ぎてから国民年金基金に加入することはできますし、意味もあります。「今から始めても加入期間が短くて無駄になるのでは」という心配をして検索した皆さんに、最初に結論をお伝えします。50歳以上で加入する場合でも、掛金の全額が所得控除の対象になり、受け取る年金は一生涯続き、金額は加入した時点で確定します。この3つは加入期間の長さに関係なく効きます。

ただし、良いことばかりではありません。50歳1月を過ぎると選べる給付の型が減りますし、いったん加入すると自分の意思では脱退できません。自営業やフリーランスとして働いてきた人が老後の備えを考えるとき、この制度を選ぶべきかどうかは、掛金と受取額の実数を見てから判断すべきです。この記事では、国民年金基金連合会が公表している掛金月額表と年金額表の数字をそのまま使って、50歳以上で入る場合のメリットと注意点を整理します。

国民年金基金とはどういう制度か

国民年金基金は、自営業やフリーランスなど国民年金の第1号被保険者が、老齢基礎年金に上乗せする年金を受け取るための公的な制度です。平成3年5月に創設されました。会社員には厚生年金という2階部分がありますが、自営業にはそれがない。その差を埋めるために作られた制度だと考えてください。

国民年金基金連合会は、制度の位置づけをこう説明しています。

国民年金基金は、自営業者など国民年金の第1号被保険者の方々の多様化するニーズに応え、より豊かな老後を過ごすことができるよう、国民年金(老齢基礎年金)に上乗せした年金を受け取るための公的な年金制度です。 出典: npfa.or.jp

加入できるのは、日本国内に住む20歳以上60歳未満の第1号被保険者です。加えて、60歳以上65歳未満で国民年金に任意加入している人、海外に住んでいて任意加入している人も入れます。つまり、50代はもちろん、60代前半でも条件次第で加入の道があるということです。

一方で、入れない人もはっきり決まっています。厚生年金に加入している会社員(第2号被保険者)、その扶養に入っている配偶者(第3号被保険者)、国民年金保険料の免除を受けている人、農業者年金の被保険者です。免除については例外があり、産前産後期間の免除を受けている場合は加入できます。

基金には「全国国民年金基金」と、職種別に作られた3つの「職能型国民年金基金」の2種類があります。行う事業の内容は同じで、どちらか一方にしか加入できません。住所地や業種を問わず入れるのが全国国民年金基金です。

50歳以上で加入するときに変わる3つのこと

50歳を境に、制度の使い方が変わります。正確には「50歳1月以上」という区切りで、これは加入した日の属する月の末日における年齢が50歳1か月以上という意味です。誕生月に加入した人は50歳0月、その翌月なら50歳1月となります。

変わる点の1つ目は、選べる給付の型です。国民年金基金の給付には、終身年金のA型・B型と、確定年金のⅠ型からⅤ型までの7種類があります。1口目は必ず終身年金のA型かB型を選びます。2口目以降は確定年金も選べるのですが、国民年金基金連合会は「加入時年齢が50歳1月以上の方は、Ⅳ型・Ⅴ型への新規加入および増口はできません」と定めています。Ⅳ型とⅤ型は60歳から受け取りが始まる型なので、加入から受給までの期間が短すぎて成り立たないためです。

さらに60歳以上で加入する場合は、選べるのが終身年金A型・B型と確定年金Ⅰ型の3種類だけになります。年齢が上がるほど選択肢は絞られていきます。

2つ目は、年金額の決まり方です。50歳0月までに加入した人は「年金月額基本額」という分かりやすい単位で年金額が決まりますが、50歳1月以降に加入した人は加入月数に応じて年金額が変わります。国民年金基金連合会は50歳1月以上の人向けに別の年金額表を用意していて、加入時の年齢と月数を引き当てる形になっています。

3つ目は、掛金の払込期間です。60歳未満で加入した場合、掛金を納めるのは加入時から60歳到達前月までです。50歳で入れば10年、55歳で入れば5年しか納められません。60歳以上で加入した場合は、65歳到達前月または任意加入被保険者の資格を失う予定の月の前月までになります。

掛金はいくらか。50歳以上の実数を確認する

掛金月額は、給付の型、加入口数、加入時の年齢、性別で決まります。国民年金基金連合会が公表している掛金月額表から、50歳1月から59歳11月までに加入する場合の数字を拾います。

男性の場合、1口目は終身年金A型で月18,400円、B型で月16,900円です。2口目以降はA型9,200円、B型8,450円、確定年金Ⅰ型6,375円、Ⅱ型4,405円、Ⅲ型6,865円となっています。

女性の場合は、1口目がA型で月21,300円、B型で月20,640円です。2口目以降はA型10,650円、B型10,320円で、確定年金の各型は男性と同額です。女性の掛金が高いのは、平均寿命が長く終身年金を受け取る期間が長くなるためです。

A型とB型の違いは保証期間の有無にあります。A型は保証期間が付いていて、年金を受け取る前や保証期間中に亡くなった場合、遺族に一時金が支払われます。B型は保証期間がない代わりに、同じ年金額なら掛金が安くなります。1口目はいったん選ぶと減額も型の変更もできないので、ここは慎重に決めてください。

掛金の上限は現在、月額6万8,000円です。個人型確定拠出年金(iDeCo)にも加入している場合は、その掛金と合算して6万8,000円以内という扱いになります。そして、ここに大きな変更が予定されています。

令和8年12月より、国民年金基金の掛金上限額が68,000円から75,000円へ引き上がります。 出典: npfa.or.jp

令和8年12月分の掛金(令和9年2月引落)から上限が月7万5,000円になります。上限がiDeCoの掛金と合算になる点は変わりません。所得が高く控除枠を使い切っていた人にとっては、年間で8万4,000円ぶんの枠が増える計算になります。

いくら受け取れるのか。年金額表を引いて確かめる

次に受取額です。国民年金基金連合会の「50歳1月以上の方の年金額」の表から、代表的な年齢の数字を拾います。年金額は男女共通で、1口目と2口目以降で額が異なります。

52歳0月で加入し、60歳まで96か月納めた場合、1口目の年金額は年94,540円、2口目以降は年47,270円です。

55歳0月で加入し、60か月納めた場合は、1口目が年57,760円、2口目以降が年28,880円になります。

59歳0月で加入し、12か月しか納められない場合でも、1口目が年11,220円、2口目以降が年5,610円です。金額は小さくなりますが、ゼロにはなりません。

この年金額は終身年金であれば一生涯続きます。60歳未満で加入した場合の受給開始は原則65歳からです。年金額は加入した時点で確定し、その後の運用成績や物価の動きで増減することはありません。

50歳以上で入るメリットを5つに整理する

ここまでの数字を踏まえて、50歳を過ぎてから加入する利点を整理します。

第一に、掛金の全額が社会保険料控除の対象になることです。 国民年金基金連合会は「一般の個人年金が最大で年額4万円(平成24年1月以降に契約した個人年金)までしか所得控除されないのに比べても断然お得です」としたうえで、課税所得金額400万円くらいで掛金が年額30万円の場合、所得税と住民税の合計で約9万円軽減され、掛金は実質約21万円になるという例を示しています。ここが50代にとって効きやすい理由は単純で、住宅ローンの返済が進み、子どもの扶養も外れ、課税所得が人生で最も高くなりやすい時期だからです。ただし軽減額は課税所得や掛金額によって変わりますので、自分の場合にいくらになるかは確定申告の数字か税務署で確認してください。

第二に、終身年金であることです。 何歳まで生きるか分からないという不安に対して、生きている限り受け取れる年金は直接の答えになります。国民年金基金連合会は、令和6年生命表(厚生労働省)によると65歳の平均余命は男性が約19年、女性が約24年だとしています。65歳から受け取り始めて平均まで生きるなら、男性で19年ぶん、女性で24年ぶんを受け取る計算になります。

第三に、金額が変動しないことです。 加入時に将来の受取額が確定するため、老後の家計を組み立てやすくなります。運用成績で目減りする心配がない代わりに、物価が大きく上がった場合には実質的な価値が下がります。この点は後で注意点として改めて触れます。

第四に、遺族一時金があることです。 終身年金A型と確定年金の各型は、年金を受け取る前または保証期間中に亡くなった場合、遺族に一時金が支払われます。掛け捨てにならない仕組みが用意されているということです。B型にはこの保証がありません。

第五に、口数を調整できることです。 2口目以降は、家計の状況に応じて増やしたり減らしたりできます。子どもが独立して支出が減った時期に増口し、収入が落ちた年は減口する、といった使い方ができます。増口は何回でも可能です。ただし1口目は減らせませんし、掛金を前納した期間については減口できません。

掛金と受取額を並べて、回収までの年数を計算する

メリットだけを並べても判断はできません。掛金の総額と年金額を並べて、何年受け取れば納めた額に届くのかを計算してみます。国民年金基金連合会が公表している数字を使った概算です。

男性が55歳0月で加入し、1口目の終身年金A型を選んだ場合。掛金は月18,400円を60か月納めるので、総額は1,104,000円です。受け取る年金は年57,760円。単純に割ると、19.1年ぶん受け取ったところで納めた額に並びます。65歳から受け取り始めるなら84歳ごろです。65歳男性の平均余命が約19年ですから、ちょうど平均的な寿命のあたりということになります。

同じ条件で女性の場合。掛金は月21,300円を60か月で総額1,278,000円、年金は同じく年57,760円なので、22.1年ぶんで並びます。65歳から受け取るなら87歳ごろ。65歳女性の平均余命は約24年ですから、こちらは平均より手前で並ぶ計算です。

ただし、この計算には税の軽減が入っていません。掛金を年間で見ると、男性1口目なら18,400円 × 12か月 = 220,800円です。課税所得がある程度あって所得税と住民税を合わせて3割の負担が減るなら、実質の負担は約15万円まで下がります。5年で約77万円。この前提なら13年台、つまり78歳前後で並ぶ計算になります。

52歳0月で加入した場合も見ておきます。男性1口目A型で、掛金は18,400円 × 96か月 = 1,766,400円、年金は年94,540円。割ると18.7年で、やはり19年前後という結果になります。

ここから読み取れることは2つあります。ひとつは、加入年齢が何歳でも回収までの年数はおおむね19年前後で揃うということ。制度の設計上そうなるようにできています。もうひとつは、税の軽減を計算に入れるかどうかで結論が5年以上変わるということです。所得があって税負担が重い人ほど、この制度は有利に働きます。逆に、所得が少なく控除の効果が薄い人には、数字上の魅力は小さくなります。

なお、ここで示した数字は掛金月額表と年金額表から計算した概算です。実際の年金額は百円単位になりますし、個別の税負担も事情によって変わります。加入を決める前に、基金の窓口で自分の条件での試算を出してもらってください。

加入する前に知っておくべき5つの注意点

正直に書きます。この制度には、入ってから困る可能性のある制約があります。

第一に、自分の意思では脱退できません。 国民年金基金連合会は「国民年金基金への加入は任意ですが、付加年金を代行した公的な年金制度のため、加入後は途中で任意に脱退はできません」と明記しています。資格を失うのは、60歳になったとき、会社員になって第1号被保険者でなくなったとき、保険料の免除を受けたとき、亡くなったときなどに限られます。家計が苦しくなったから抜ける、という選択はできません。できるのは2口目以降の減口までです。

第二に、納めた掛金は引き出せません。 加入資格を失っても、支払った掛金が戻ってくるわけではなく、将来年金として支給される形になります。急にまとまったお金が必要になっても、ここからは取り出せないと考えてください。

第三に、物価の上昇に弱い構造です。 年金額が加入時に確定するということは、受け取るころに物価が上がっていても金額は変わらないということです。20年後に受け取る年57,760円の価値が、今の57,760円と同じとは限りません。この弱点を補うには、値動きのある資産を別に持つ、公的年金の繰下げ受給を検討するといった組み合わせが必要になります。

第四に、国民年金本体を滞納すると給付が受けられません。 国民年金基金連合会は、本体の保険料を滞納した場合、その滞納期間に対する基金の年金給付は受け取れないとしています。滞納した期間ぶんの掛金は返ってきますが、年金は増えません。基金に入るなら、本体を確実に納めることが前提になります。

第五に、付加年金とは併用できません。 付加年金は、国民年金の保険料に月400円を足して納めると将来の老齢基礎年金が増える制度ですが、国民年金基金の掛金には付加年金に相当する部分が組み込まれています。基金に加入すると付加保険料を納める必要はなくなり、逆に付加保険料を納めている人が基金に入る場合は、付加年金の納付をやめることになります。どちらか一方です。

遺族一時金はどう支払われるのか。A型とB型の分かれ目

1口目でA型を選ぶかB型を選ぶかは、掛金の差だけの問題ではありません。遺族への備えが付くかどうかが変わります。

国民年金基金連合会によると、保証期間のある終身年金A型と、確定年金のⅠ型からⅤ型に加入している人が、年金を受け取る前または保証期間中に亡くなった場合、遺族に一時金が支払われます。年金を受け取る前に亡くなった場合は、加入時の年齢、亡くなった時の年齢、そこまでの掛金納付期間に応じた額が支給されます。保証期間中に亡くなった場合は、残りの保証期間に応じた額です。

保証期間のない終身年金B型だけに加入している場合でも、年金を受け取る前に亡くなったときには1万円の一時金が支払われます。ただし金額はこの1万円だけで、掛金に見合った額が戻ってくるわけではありません。

一時金を受け取れる遺族の順位も決まっています。亡くなった時に生計を同じくしていた、配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹の順です。生計を同じくしていたことが条件なので、別世帯で生活していた家族が自動的に対象になるわけではありません。

そして実務で見落とされやすいのが、遺族一時金は非課税だという点です。生命保険の死亡保険金とは課税の扱いが異なります。ただし相続全体の中でどう扱われるかは事情によって変わりますので、金額が大きい場合は税務署か税理士に確認してください。

50代で加入する場合、A型とB型の掛金差は男性で月1,500円、女性で月660円です。5年で計算すると、男性で9万円、女性で約4万円。この差額で遺族への保証を買うかどうか、という判断になります。配偶者や子どもがいて、ほかに死亡保障を用意していない人は、A型を選んでおくほうが安心できる場面が多いはずです。

iDeCoと比べたときの違いを5つの軸で整理する

50代の上乗せ年金としてよく比較されるのがiDeCo(個人型確定拠出年金)です。どちらも掛金が全額所得控除の対象になりますが、性格はかなり違います。

1つ目の軸は、受取額が確定しているかどうかです。 国民年金基金は加入時に年金額が確定します。iDeCoは自分で選んだ商品の運用結果で受取額が変わります。増える可能性がある代わりに、減る可能性もあります。

2つ目は、受け取り方です。 国民年金基金の1口目は終身年金で、生きている限り受け取れます。iDeCoは原則として積み上げた資産を取り崩す形なので、受け取り方を年金形式にしても有限です。長生きへの備えという一点では、終身年金に分があります。

3つ目は、途中でやめられるかどうかです。 国民年金基金は任意の脱退ができません。iDeCoは掛金の拠出を止めて運用だけ続けることができます。家計の変動に対する柔軟性はiDeCoのほうが高い構造です。

4つ目は、手数料です。 iDeCoには口座管理手数料がかかり、運用する商品にも信託報酬がかかります。国民年金基金にはこうした費用の負担がありません。

5つ目は、掛金の枠です。 国民年金基金とiDeCoは合算で上限が判定されます。現在は月6万8,000円、令和8年12月分からは月7万5,000円です。どちらか一方に寄せるか、配分するかを決める必要があります。

50代という年齢を踏まえると、運用期間が10年を切る点は無視できません。相場が下がった局面で受け取り時期を迎えると、回復を待つ時間が足りないからです。受取額を確定させたい部分は国民年金基金、物価上昇に追随させたい部分はiDeCo、というように役割を分けて配分する考え方が現実的です。配分の比率に正解はありませんので、家計の安定をどこまで重視するかで決めてください。

60歳以降も加入を続けるという選択肢

50代で加入を迷っている人に知っておいてほしいのが、60歳以降の扱いです。

国民年金法の改正により、国民年金に任意加入している60歳以上65歳未満の人も国民年金基金に加入できるようになりました。任意加入とは、老齢基礎年金を満額に近づけるために60歳を過ぎても自分から国民年金保険料を納め続ける仕組みのことです。国民年金の納付月数が480か月に満たない人が対象になります。

この場合の掛金の払込期間は、加入時から65歳到達前月まで、または任意加入被保険者の資格を失う予定の月の前月までです。選べる給付の型は、終身年金A型・B型と確定年金Ⅰ型の3種類に限られます。

注意が必要なのは、60歳未満で加入していた人が60歳以降も続けたい場合です。国民年金基金連合会は、改めて加入の手続きが必要で、掛金額も新たな額になると案内しています。自動的に継続されるわけではありません。60歳の誕生日が近づいたら、基金と年金事務所の両方に確認してください。

結果として、55歳で加入した人が60歳以降も任意加入を続ければ、掛金を納める期間を10年に延ばせる可能性があります。「50代からでは期間が短い」という前提そのものが、必ずしも当てはまらないということです。国民年金の納付月数が足りているかどうかは、ねんきん定期便かねんきんネットで確認できます。

50歳以上で加入を検討すべき人、見送るべき人

判断の目安を挙げます。断定はできませんので、自分の状況と照らし合わせてください。

検討する価値が高いのは、課税所得がそれなりにあり、今後も第1号被保険者として働き続ける見込みの人です。 所得控除の効果が大きく、資格喪失のリスクも低いからです。自営業やフリーランスとして長く続けてきて、65歳以降も何らかの形で働くつもりがある人は、掛金を払い続けられる見通しも立てやすくなります。

終身で受け取れることに価値を感じる人にも向いています。 貯蓄や投資信託は取り崩せばなくなりますが、終身年金はなくなりません。長生きへの備えとして、家計の土台部分に置く使い方が合います。

逆に、数年以内に会社員として働く可能性がある人は慎重に考えてください。 厚生年金に入った時点で加入資格を失います。納めた分は将来年金として戻りますが、想定していた受取額には届きません。

手元の現金に余裕がない人も見送るべきです。 途中で抜けられないうえ、納めた掛金を引き出せません。生活費の半年分程度の現金を確保してから検討するのが現実的な順序です。

物価上昇への備えを重視する人は、iDeCoとの併用を検討する余地があります。 iDeCoは運用次第で受取額が変わりますが、その分だけ物価に追随する可能性があります。掛金の上限は合算で管理されるため、どちらにいくら振り分けるかという配分の問題になります。

自営業やフリーランスの備えを考えるうえでは、保険と年金を切り分けて整理しておくと判断しやすくなります。ネット生命保険おすすめ比較|対面型との違いとメリットでは、保障を買う手段としての生命保険の選び方を、対面型との比較で整理しています。また、掛金や保険料の税務上の扱いを確定申告でどう処理するかは、個人事業主の保険料は経費にできる?仕訳と確定申告の方法にまとめてあります。国民年金基金の掛金は経費ではなく社会保険料控除として扱う点が、実務ではよく間違えられるところです。

加入の手続きと、決める前にやっておくこと

手続き自体は複雑ではありません。全国国民年金基金か、該当する職能型国民年金基金に資料を請求し、加入申出書に必要事項を書いて提出します。掛金は口座振替で納められ、国民年金本体の保険料も同じ口座からまとめて引き落とす形にできます。4月から翌年3月までの1年分を前納すると、0.1か月分の掛金が割り引かれます。

決める前にやっておくとよいことを3つ挙げます。

ひとつ目は、ねんきん定期便で自分の老齢基礎年金の見込額を確認することです。土台がいくらあるのかが分からないまま、上乗せの額だけを決めることはできません。

ふたつ目は、65歳以降の生活費を月単位で書き出すことです。家賃または住宅の維持費、食費、光熱費、通信費、医療費、そして国民健康保険料と介護保険料。65歳を過ぎても保険料の負担はなくなりません。この合計と年金見込額の差が、埋めるべき金額になります。

みっつ目は、掛金を払い続けられるかを収入の見通しと突き合わせることです。60歳まであと5年なら、その5年間の仕事の見込みが立っているかどうかが判断の前提になります。

50代の加入希望者がつまずきやすい誤解を3つ潰しておく

問い合わせの場で繰り返し出てくる勘違いを整理します。どれも、知らないまま手続きを進めると後で困るものです。

ひとつ目は「掛金を多く払えば年金がその分だけ早く増える」という誤解です。 国民年金基金は口数制で、1口ごとに掛金と年金額が対応しています。掛金を増やすには口数を増やすしかなく、口数を増やせば年金額も増えますが、回収までの年数はほとんど変わりません。掛金を厚くしても、元に戻るまでの期間が短くなるわけではないということです。増口の判断は「所得控除の枠をどこまで使いたいか」で考えるほうが実態に合っています。

ふたつ目は「確定年金を多めに選べば早く受け取れる」という誤解です。 2口目以降で選べる確定年金には、終身年金の年金額を超えてはならないという制約があります。50歳1月以上ではⅣ型とⅤ型が選べないため、実際に選べるのはⅠ型、Ⅱ型、Ⅲ型に限られます。1口目が必ず終身年金である以上、全体を短期の受け取りに寄せることはできない設計です。

みっつ目は「老齢基礎年金を繰り上げれば基金も一緒に繰り上がる」という誤解です。 国民年金基金連合会は、老齢基礎年金を繰上げ受給している期間中、基金からは国民年金の付加年金に相当する部分だけを受け取ることになると説明しています。つまり、繰り上げても基金の本体部分が前倒しで出てくるわけではありません。60歳から生活費を年金で埋めたい人は、この点を織り込んで計画を立ててください。

これら3つに共通しているのは、加入してからでは修正できない種類の思い違いだということです。資料を取り寄せたら、給付の型の一覧と年金額表を並べて、自分が選ぼうとしている組み合わせで本当に希望どおりの受け取り方ができるかを確かめてください。分からなければ、申し込む前に基金の窓口へ電話で聞くのがいちばん早い方法です。

運営者の視点から見た、50代の備えと働き方

在宅ワークと業務委託の市場を20年見てきた立場から言うと、50代で老後の備えを考える人が本当に気にすべきなのは、掛金の多寡よりも「何歳まで、どのくらいの単価で働けるか」でした。年金を月2万円増やす努力と、65歳以降も月5万円の仕事を続けられる状態を作る努力では、後者のほうが家計への効き方が大きい場面が少なくありません。

運営者として見てきた限りでは、60代でも仕事が途切れない人には共通点があります。作業そのものの速さではなく、依頼する側から見て「この人に任せると楽だ」と思われる関係を持っていることです。連絡が早い、前提の確認が的確、納品物の粒度が安定している。こうした積み重ねは年齢で衰えにくく、むしろ経験とともに厚くなります。

報酬の構造も無視できません。仲介手数料が重なる取引では、同じ予算でも受け手に届く額が薄くなります。中間マージンが乗らない手数料0%の直接取引は、依頼する側から見れば同じ予算でより多く頼めて、受ける側から見れば手取りが厚くなる構造です。この差は1件では小さく見えても、掛金を払い続けられるかどうかという場面で効いてきます。

50代から需要が伸びている分野を知っておくことも、備えの一部になります。AIコンサル・業務活用支援のお仕事AI・マーケティング・セキュリティのお仕事は、実務経験の長さがそのまま価値になりやすい領域です。単価の水準を確かめたい場合は、ソフトウェア作成者の年収・単価相場著述家,記者,編集者の年収・単価相場で、職種ごとの分布を公的統計に基づいて確認できます。文書で仕事を進める力を体系的に補いたいなら、ビジネス文書検定のような資格も、年齢に関係なく取り組める選択肢です。

最後にもう一度だけ。国民年金基金は、入ってから抜けられない制度です。だからこそ、掛金月額表と年金額表の実数を自分の目で確かめ、税の軽減まで入れて計算してから決めてください。焦って決める必要はありません。50代の5年は、判断を間違えないために使ってよい時間です。

よくある質問

Q. 50歳を過ぎてからでも国民年金基金に加入できますか?

加入できます。対象は20歳以上60歳未満の国民年金第1号被保険者で、60歳以上65歳未満でも国民年金に任意加入していれば加入できます。ただし50歳1月以上で加入する場合、確定年金のⅣ型とⅤ型は選べません。60歳以上ではさらに絞られ、終身年金A型・B型と確定年金Ⅰ型の3種類になります。

Q. 55歳で加入した場合、掛金と年金額はいくらになりますか?

男性が55歳0月で1口目の終身年金A型に加入する場合、掛金は月18,400円です。60歳まで60か月納めると総額1,104,000円になり、受け取る年金は年57,760円です。女性は掛金が月21,300円で、年金額は男女共通です。2口目以降を足すと、その分だけ掛金も年金額も増えます。

Q. 途中でやめて掛金を返してもらうことはできますか?

できません。国民年金基金は加入後に自分の意思で脱退できない制度で、納めた掛金を引き出すこともできません。資格を失うのは、60歳になったとき、会社員になって第1号被保険者でなくなったとき、保険料の免除を受けたときなどです。負担を減らしたい場合は、2口目以降を減らす減口で対応します。

Q. 掛金の上限は変わるのですか?

変わります。現在の上限は月額6万8,000円ですが、令和8年12月分の掛金から7万5,000円に引き上げられます。引き落としは令和9年2月分からです。上限は個人型確定拠出年金(iDeCo)の掛金と合算して判定される点は変わりませんので、両方に加入している人は配分を見直す機会になります。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年9月4日最終更新:2026年9月23日
前田 壮一

この記事を書いた人

前田 壮一@SOHO編集部

元メーカー管理職・43歳でフリーランス転身

大手電機メーカーで品質管理を20年間担当した後、42歳でフリーランスに転身。中高年のキャリアチェンジや副業の始め方を、自身の経験をもとに発信しています。

@SOHOで仕事を探してみませんか?

手数料0%・登録無料のクラウドソーシング。フリーランスの方も企業の方も、今すぐ始められます。

関連記事

カテゴリから探す

クラウドソーシング入門

クラウドソーシング入門

クラウドソーシングの基礎知識・始め方・サイト比較

職種別ガイド

職種別ガイド

職種・スキル別の案件獲得方法と単価相場

副業・在宅ワーク

副業・在宅ワーク

副業・在宅ワークの始め方と対象者別ガイド

フリーランス

フリーランス

フリーランスの独立・営業・実務ノウハウ

お金・税金

お金・税金

確定申告・節税・経費・ローンなどお金の知識

スキルアップ

スキルアップ

プロフィール・提案文・単価交渉などのテクニック

比較・ランキング

比較・ランキング

サービス比較・おすすめランキング

AI活用

AI活用

職種別にChatGPT・生成AIを活用して業務効率化・収益化するノウハウ

最新トレンド

最新トレンド

市場動向・法改正・AIなど最新情報

発注者向けガイド

発注者向けガイド

クラウドソーシングで外注・人材探しをする企業・個人向け

転職・キャリア

転職・キャリア

転職エージェント・転職サイト比較・キャリアチェンジ

看護師の転職・求人

看護師の転職・求人

看護師の転職・派遣・単発バイト・副業など働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

薬剤師の転職・求人

薬剤師の転職・求人

薬剤師・登録販売者の転職・派遣・パートなど働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

介護職の転職・求人

介護職の転職・求人

介護職・介護福祉士・ケアマネジャー・訪問介護員の転職・派遣・夜勤など働き方のガイド

保育士の転職・求人

保育士の転職・求人

保育士・保育補助・幼稚園教諭の転職・派遣・パートなど働き方のガイド

医療職の転職・求人

医療職の転職・求人

医師・産業医・リハビリ職・歯科衛生士・管理栄養士・医療事務の転職や働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

採用・求人

採用・求人

無料求人掲載・採用コスト削減・人材募集の方法

オフィス・ワークスペース

オフィス・ワークスペース

バーチャルオフィス・コワーキング・レンタルオフィス

法律・士業

法律・士業

契約トラブル・士業独立開業・フリーランス新法

シニア・50代

シニア・50代

シニア世代のキャリアチェンジ・副業・年金

セキュリティ

セキュリティ

サイバーセキュリティ・脆弱性対策・情報保護

金融・フィンテック

金融・フィンテック

暗号資産・決済・ブロックチェーン・金融テクノロジー

経営・ビジネス

経営・ビジネス

経営戦略・ガバナンス・事業承継・知財

ガジェット・機材

ガジェット・機材

フリーランスに役立つPC・デバイス・周辺機器

子育て×働き方

子育て×働き方

子育てと在宅ワークの両立・保育園・時間管理

補助金・助成金

補助金・助成金

個人事業主・フリーランスが使える公的補助金・助成金・給付金の申請ガイド

アウトソーシング・外注ガイド

アウトソーシング・外注ガイド

SNS運用・経理・広告など、業務のアウトソーシング(外注)を検討する企業・個人向け。費用相場・依頼の流れ・失敗しない選び方