小規模多機能型居宅介護の夜勤という時間|人員体制と、体を慣らしていく順番

長谷川 奈津
長谷川 奈津
小規模多機能型居宅介護の夜勤という時間|人員体制と、体を慣らしていく順番

この記事のポイント

  • ✓小規模多機能型居宅介護の夜勤は
  • ✓どの時間に何が起きるのか
  • ✓16時間勤務と労働基準法の関係

小規模多機能型居宅介護の夜勤について調べている方から、いちばん多く聞かれるのは「本当に一人なんですか」という質問です。

結論から書きます。宿泊されている方の見守りは、原則として夜勤職員1名で担当します。ただし「事業所に一人きり」ではありません。人員配置の基準では、夜勤職員1名に加えて宿直職員1名を置くことになっています。この2つの役割の違いを知らないまま応募して、入職後に「聞いていた話と違う」となる方が本当に多いんです。

この記事では、夜勤帯に事業所の中で何が起きているのか、人員の基準がどう定められているのか、16時間の勤務を労働基準法がどう扱っているのかを順番に整理します。そのうえで、初めての夜勤に体をどう慣らしていくか、求人票のどの行を見れば実態が分かるかまで書いていきます。

夜勤職員と宿直職員は、役割がまったく違う

まず人数の話から始めます。小規模多機能型居宅介護(以下、小多機と略します)は地域密着型サービスの1つで、登録定員は29名以下、そのうち通いの定員が15名以下、宿泊の定員が9名以下と決まっています。つまり、夜に事業所で寝ている方は多くても9名です。

夜間および深夜の時間帯の人員は、厚生労働省令で定められています。夜勤職員を1名以上、宿直職員を1名以上。この2つは並列ではなく、仕事の中身が分かれています。

夜勤職員は、宿泊している方のケアを担当します。就寝介助、夜間のトイレ誘導、体位変換、巡視、起床介助。ここは他の入所系施設の夜勤と同じです。

宿直職員は、主に「随時の訪問」に備える役割を持ちます。小多機は通い、訪問、泊まりを1つの事業所で提供するサービスです。登録している方が自宅で夜中に転倒した、体調が急変した、といった連絡が入ったとき、事業所から職員が自宅へ向かいます。この出動要員が宿直職員です。つまり、事業所の中の宿泊者を見る人と、外に出ていく可能性がある人が、別々に置かれているわけです。

ここで注意してほしい点があります。宿泊される方が誰もいない日は、夜勤職員と宿直職員を置かないことが認められています。ただしこれは「誰もいなくていい」という意味ではなく、訪問サービスに対応できる体制を確保していることが条件です。実際の運用としては、職員がオンコール(携帯電話を持って自宅待機)で備える形が多く見られます。この日の扱いが労働時間になるのか待機になるのかは、事業所ごとに就業規則で定められています。応募前に確認しておくべき項目の1つです。

なお、看護小規模多機能型居宅介護(看多機)は、これに訪問看護の機能が加わります。医療的ケアが必要な方が宿泊するため、夜間に喀痰吸引や経管栄養が発生する場合があります。求人票の名称が「小規模多機能」なのか「看護小規模多機能」なのかで、夜勤の中身は変わります。この2つを同じものとして探している方が、これも本当に多いんです。

夕方から翌朝まで、時間がどう流れるか

実際の夜勤帯を、時間に沿って見ていきます。ここは事業所によって差がありますが、おおまかな骨格は共通しています。

夕方16時から17時、通いの方の送りが始まります。小多機の特徴は、この送りに夜勤に入る職員が関わる場合があることです。通いから帰る方を自宅まで送り、戻ってきてそのまま夜勤に入る。この流れがある事業所では、勤務の開始時刻が実質的に早まります。

17時台から18時台は、宿泊の方の受け入れと夕食です。宿泊利用は毎日同じ顔ぶれではありません。今日は5名、明日は7名、という形で人数も顔ぶれも動きます。ここが特別養護老人ホームの夜勤との大きな違いです。ただし小多機の場合、宿泊する方は全員が同じ事業所に登録している方なので、日中の通いや訪問で顔を合わせています。初対面ということはまずありません。この点は、ショートステイの夜勤より負担が軽いと言えます。

19時台から21時台が、服薬の確認、口腔ケア、就寝介助です。ここまでが夜勤帯の第1の山になります。9名が上限とはいえ、全員に個別対応が必要な時間帯なので、実際には慌ただしく動くことになります。

22時以降は巡視と記録です。定時の巡視に加え、センサーマットの反応やナースコールへの対応が入ります。この間に、日中の記録の入力、翌日の通いの準備、洗濯物の整理といった業務をこなします。深夜の時間帯に休憩を取る取り決めになっている事業所が多く、仮眠の可否はここで決まります。

夜間に訪問の連絡が入った場合、原則として宿直職員が対応します。ただし小規模な事業所では、夜勤職員が対応せざるを得ない場面も起こります。この場合、事業所の中に誰もいなくなる時間が生じます。応募前に「夜間の訪問対応は誰が行うのか」「そのとき事業所の中はどうなるのか」を確認してください。ここが曖昧な事業所は、実際に問題が起きたときの責任の所在も曖昧です。

明け方5時台から起床介助が始まり、朝食、服薬、そして日勤者への申し送りで勤務が終わります。通いの方の迎えが9時前後に始まるため、その準備まで夜勤者が担う事業所もあります。

16時間という勤務を、法律はどう扱っているか

ここからは法律の話です。堅く聞こえるかもしれませんが、自分の勤務条件を判断するために必要な知識なので、噛み砕いて書きます。

小多機の夜勤は、2交代制で長時間になる傾向があります。実態を調べた資料があります。

小規模多機能型居宅介護の夜勤では、勤務時間が長いことを大変に感じる人もいます。日本医療労働組合連合会の「「2025介護施設夜勤実態調査」結果概要(p.17)」によると、調査対象の小規模多機能型居宅介護事業所はすべて2交代制で、そのうち約8割が夜間の勤務時間が16時間以上です。なお、こちらのデータの調査対象事業所は、(看護)小規模多機能型居宅介護事業所28件となっています。 出典: job.kiracare.jp

16時間という数字を見て「労働基準法に違反しているのでは」と思う方がいます。結論から言うと、それだけでは違反になりません。

労働基準法の原則は、1日8時間、1週40時間です。これを超えて働かせるには、時間外労働の協定(いわゆる36協定)を結ぶか、変形労働時間制を採用する必要があります。介護の夜勤で一般的なのは後者で、1か月単位の変形労働時間制を使います。つまり、1か月を平均して週40時間に収まっていれば、特定の日に16時間勤務があっても適法になる、という仕組みです。

次に休憩です。労働時間が8時間を超える場合、1時間以上の休憩を与えなければなりません。16時間拘束であれば、通常は2時間前後の休憩が設定されています。ここで重要なのは、休憩は労働から完全に解放されている時間でなければならない、という点です。仮眠中でもナースコールが鳴れば起きて対応する、という状態は、法律上は休憩ではなく手待ち時間(労働時間)にあたる可能性があります。これ、知らない人が本当に多いんです。求人票に「休憩2時間」とあっても、その2時間に何が起きるのかは面接で確認する価値があります。

深夜割増も押さえておいてください。午後10時から翌午前5時の労働には、通常の賃金の25パーセント以上の割増賃金が必要です。これは夜勤手当とは別の話です。夜勤手当という名目の一時金だけが支給され、深夜割増が計算されていないケースがあります。給与明細に深夜割増の項目があるかどうかは、入職後に必ず見てください。

最後に宿直です。宿直は、労働基準監督署長の許可を受けた場合に限り、労働時間の規制から外れる働き方です。許可の基準は、常態としてほとんど労働する必要がない勤務であること、という点にあります。つまり、宿直の名目で実質的に夜勤と同じ業務をさせていれば、その扱いは適切ではありません。※自分の勤務がどちらにあたるか判断がつかない場合は、所轄の労働基準監督署に相談してください。相談は無料で、匿名でも受け付けています。

夜勤手当と、月の収入がどう変わるか

夜勤の回数は給与に直接効きます。介護職の夜勤手当は、2交代制の16時間夜勤で6,000円前後が中心帯です。小多機もこの水準から大きくは外れません。月4回であれば手当だけで2万4,000円前後、月8回なら5万円近くになります。

ただし、手当の額だけで比較するのは危険です。確認すべき点が3つあります。

1つめは、その手当が深夜割増を含んでいるかどうかです。「夜勤手当8,000円(深夜割増含む)」と書かれている事業所と、「夜勤手当5,000円」に加えて深夜割増が別途つく事業所では、後者のほうが手取りが多くなる場合があります。求人票に「みなし」「込み」という言葉が出てきたら、何が含まれているかを聞いてください。

2つめは、宿直に入った場合の手当です。宿直手当は夜勤手当より低く設定されているのが通常で、3,000円前後という事業所もあります。夜勤と宿直の両方に入るシフトの場合、月の手当額は求人票の見た目より低くなることがあります。

3つめは、夜勤専従の扱いです。夜勤専従で働く場合、日勤がないぶん基本給の設計が変わります。夜勤専従は労働時間の上限管理が厳しく、月の回数に上限が設けられている事業所がほとんどです。「夜勤専従で月10回」といった募集を見かけたら、変形労働時間制の枠に収まっているかを確認してください。

処遇改善の加算も給与に影響します。介護職員等処遇改善加算は事業所が算定するもので、どの区分を取得しているかで職員1人あたりの配分額が変わります。求人票に加算の区分が書かれていれば、それは情報を開示している事業所だという判断材料になります。

ほかの施設の夜勤と、どこが違うか

小多機の夜勤を検討している方の多くは、他の形態の夜勤と比較しています。違いを整理しておきます。

特別養護老人ホームの夜勤は、フロアあたり20名から30名を1名から2名で見るのが一般的です。人数の面では小多機のほうが明らかに少なく、9名が上限です。ただし特養は建物の設備が整っており、他フロアに職員がいます。小多機は建物が小さく、夜間に事業所内にいる人数が絶対的に少ない。この心細さは、人数比の計算には出てきません。

グループホームの夜勤は、1ユニット9名を1名で見る点が小多機とよく似ています。違いは、グループホームの入居者は毎晩同じ顔ぶれであるのに対し、小多機は宿泊する方が日によって変わることです。また小多機には夜間の訪問対応が発生します。

有料老人ホームは規模の幅が大きく、比較が難しいのですが、小多機との最大の違いは、小多機が「その方の在宅生活全体に関わる」点です。日中の通い、自宅への訪問、夜の泊まり。同じ職員が3つの場面で同じ人を見ます。夜勤帯に「この方は昨日ご自宅でこう過ごしていた」という情報を持っている。これは他の形態にはない強みです。

私は行政書士として介護事業所の指定申請や運営規程の整備に関わる機会があります。小多機の運営規程を読むと、事業所ごとに夜間の体制の書き方がかなり違うことに気づきます。宿直職員の業務範囲を細かく定めている事業所もあれば、「必要に応じて訪問を行う」の一文で済ませている事業所もある。前者は、夜間に何が起きるかを想定して体制を組んでいます。運営規程は事業所に備え付けられていて、利用者や家族に開示されるものです。面接の際に見せてもらえないか聞いてみる価値はあります。

体を慣らしていく順番

夜勤を初めて経験する方、あるいはブランクから戻る方に向けて、現実的な順番を書いておきます。

最初にやるべきは、夜勤に入る前に登録している方を日勤で覚えることです。小多機の夜勤は、宿泊する方が全員「すでに知っている方」であることが前提で回っています。通いや訪問で関わっていない状態で夜勤に入ると、負担が一気に上がります。入職後、日勤だけで1か月から2か月過ごしてから夜勤に入る事業所が多く、これは合理的な順番です。面接で「夜勤の独り立ちまでどのくらいですか」と聞いて、「すぐに入ってもらいます」と答える事業所は、人員に余裕がありません。

次に、夜勤に同行して入る期間です。先輩と2人で入る回数が3回から5回程度確保されているのが標準的です。この期間に確認しておきたいのは、緊急時の連絡先と手順です。利用者の急変時に誰に電話するか、救急要請の判断は誰がするか、家族への連絡は誰が行うか。この3つを紙で持っておくだけで、初回の単独夜勤の不安はかなり減ります。

体のほうの慣らし方も書いておきます。16時間勤務でいちばんきついのは、明けた日の過ごし方です。帰宅してすぐ長時間眠ると、その夜に眠れず、翌日まで崩れます。明けの日は2時間から3時間程度の仮眠にとどめ、夜に通常どおり寝るほうが、生活リズムは早く戻ります。夜勤中の食事は、深夜に重いものを摂ると眠気が強くなるため、分けて少量ずつ摂る方が多いようです。

もう1つ、夜勤の回数配分です。月4回であれば週1回のペースになり、体の負担は分散します。月6回を超えると、連続する日程が組まれる可能性が高くなります。夜勤明けの翌日が休みになっているかどうかは、シフト表の実物を見せてもらうのが確実です。※夜勤明けの当日は「休み」ではなく勤務日の続きです。翌日が公休かどうかを確認してください。

求人票のどの行に、実態が書かれているか

求人票には、その事業所の夜間体制がかなり具体的に出ています。

「夜勤1名+宿直1名」と明記されている求人は、体制を開示しています。「夜勤あり」としか書かれていない場合は、面接で必ず聞いてください。基準上は宿直職員を置くことになっていますが、実際にどう運用しているかは事業所によって差があります。

勤務時間の記載も重要です。「17時から翌9時」であれば16時間、「16時30分から翌9時30分」なら17時間です。この1時間の差は、毎回積み重なると大きくなります。

登録定員と宿泊定員も見てください。登録定員29名で宿泊定員9名の事業所と、登録定員20名で宿泊定員5名の事業所では、夜勤の負担が違います。ただし宿泊定員が少ない事業所は、そのぶん通いと訪問の比重が高く、夜間の訪問要請が多い可能性もあります。

募集人数と募集背景も判断材料です。「夜勤できる方3名募集」と書かれている事業所は、夜勤に入れる職員が不足しています。入職直後から回数が多くなる可能性を想定しておいてください。

給与欄の内訳表示も見逃さないでください。「月給25万円(夜勤4回分の手当を含む)」という書き方は、夜勤を4回入って初めてその額になるという意味です。夜勤に入れない月は下がります。この読み方を知らずに応募して、初月の給与明細を見て驚く方がいます。

夜中に鳴る電話と、一人で判断しなければならない場面

小多機の夜勤でいちばん緊張するのは、利用者のケアそのものより、事業所の電話が鳴った瞬間だと感じる方が多いと思います。登録している方は29名まで。そのうち宿泊しているのは多くても9名で、残りの20名前後は自宅で夜を過ごしています。その自宅にいる方やご家族から、夜中に連絡が入るのが小多機という職場です。

入ってくる電話の中身は、実際にはかなり幅があります。「トイレに行こうとして転んで起き上がれない」「熱が38度を超えている」「本人が落ち着かず、家族が眠れない」「明日の通いを休みたい」。緊急度の高いものと、朝まで待てるものが混ざって届きます。夜勤者はまず、電話口で状況を聞き取り、どの手順に乗せるかを決めなければなりません。

ここで大事なのは、夜勤者が医療的な判断を背負わない仕組みになっているかどうかです。小多機には看護職員の配置が必要ですが、夜間に看護職員が事業所にいることは通常ありません。そのため多くの事業所では、看護職員が携帯電話を持って自宅で待機する、いわゆるオンコール体制を取っています。夜勤者は「転倒して頭を打った」「呼吸が苦しそう」といった情報を看護職員に伝え、救急要請するか、訪問して様子を見るか、朝まで経過を見るかの判断を仰ぎます。このオンコール先があるかないかで、夜勤の重さはまったく変わります。

面接で聞いておきたいのは次の3点です。夜間に連絡を取れる看護職員がいるか。その看護職員に電話がつながらなかったときの2番目の連絡先は誰か。管理者やケアマネジャーにも夜間の連絡が回る決まりになっているか。この3つに具体的な答えが返ってくる事業所は、夜間の電話を想定して体制を作っています。

もう1つ、小多機ならではの場面があります。登録している方のご自宅の鍵の扱いです。訪問サービスのために鍵を預かっている、あるいはキーボックスの番号を管理している事業所は少なくありません。夜間に自宅へ向かう場合、その鍵や番号をどう持ち出し、誰が持ち出したかをどう記録するかが決まっている必要があります。入職後のオリエンテーションで鍵の管理簿を見せてもらえるかどうかは、事業所の管理の丁寧さを知る手がかりになります。

救急搬送になった場合の流れも押さえておいてください。救急隊に渡す情報として、既往歴、服薬内容、かかりつけ医、緊急連絡先をまとめた用紙を利用者ごとに用意している事業所が多くあります。夜勤者が一人で搬送に付き添えば事業所の中が空になるため、付き添いは宿直職員が行うのか、家族に病院へ向かってもらうのか、あらかじめ決めておくのが一般的です。この取り決めを知らないまま単独夜勤に入ると、判断のすべてがその場で自分に降ってきます。

看取りに関わる可能性と、事前に確かめておくこと

小多機では、登録している方の最期に関わる場面があります。住み慣れた自宅で過ごしたいという方を、通いと訪問と泊まりで支え続けた結果として、宿泊中や夜間の訪問中に状態が変わることは珍しくありません。看護職員の配置や医師との連携を条件に、看取りの体制に関する加算を算定している事業所もあります。

看取りを行っている事業所の夜勤は、そうでない事業所の夜勤と中身が違います。状態が変わりつつある方が宿泊している夜は、巡視の間隔を短くし、呼吸の様子や表情の変化を細かく記録します。ご家族が泊まり込むこともあり、その対応も夜勤者の仕事に入ります。亡くなられた場合には、医師への連絡、ご家族への連絡、死亡時刻の確認を医師が行うまでの対応など、手順に沿って動くことになります。

これは怖がる話ではなく、事前に知っておくべき話です。看取りに関わる経験は、介護職としての大きな財産になります。ただし、手順と連絡体制が整っていない事業所で一人で直面するのは、心身ともに負担が大きすぎます。求人票や事業所のホームページに「看取り対応」「ターミナルケア」という記載があれば、面接で次のことを確認してください。これまで年に何件ほど看取りがあったか。夜間に状態が変わったとき、医師と看護職員にどの順番で連絡するか。亡くなられた後の振り返りの場を設けているか。振り返りの場がある事業所は、職員の気持ちの負担にも目を向けています。

介護職の給与水準を全体の中で確かめておきたい方は、介護職員の年収・単価相場を見ておくと、夜勤手当を含めた自分の条件が相場のどのあたりにあるかを判断しやすくなります。夜勤の回数を増やす前に、基本給と手当の組み合わせが妥当かどうかを確かめておく意味は大きいはずです。

夜勤を続けられなくなったときのために

夜勤は、体調や家庭の事情でいつまでも続けられるとは限りません。そのときのために、いま準備できることを書いておきます。

1つは、日勤のみの職種へ移る道です。小多機の中でも、ケアマネジャーや管理者は基本的に日勤です。介護支援専門員の受験資格は、指定された国家資格等に基づく業務または相談援助業務に5年以上かつ900日以上従事した経験が必要です。夜勤に入っている今のうちに、この年数を積んでおく意味は大きいと考えています。

もう1つは、現場の経験を別の形に変える道です。介護の記録や報告書を書き慣れた方は、文章で対価を得る仕事に移りやすい側面があります。介護保険制度を実務で理解している書き手は、実際のところ多くありません。どの道に進むか迷うときは、キャリアコンサルタントのような相談の専門家に経験の棚卸しを手伝ってもらうと、自分では気づかなかった強みが見えてきます。

文書作成の基準を整えておくことも、夜勤を続けるうえで役に立ちます。何をもって「伝わる文書」とするかの物差しを持つと、夜勤の申し送りや、家族への説明文書に直接効いてきます。起きたことと自分の判断を分けて書くだけでも、翌朝の日勤者の受け取り方が変わります。

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この市場を20年見てきた運営者の立場から、1つ観察を添えておきます。長く働き続けている方に共通しているのは、体力ではなく、自分の勤務条件を正確に把握していることです。何時間働いて、どの時間に割増がついて、休憩が実際に取れているのか。これを把握している人は、無理が続いたときに早い段階で交渉できます。把握していない人は、限界まで気づけません。

そしてもう1つ。仲介の手数料が乗らない直接のやり取りでは、依頼する側は同じ予算でより多く頼めて、受け取る側の手取りが厚くなります。手数料0%という条件の値打ちは、金額の大きさよりもこの手取りの質にあります。夜勤で収入の柱を作りながら、明けの日に別の形の仕事を少しずつ試していく。そういう組み立て方も、いまは現実的です。

夜勤を検討している方は、まず求人票の夜間体制の行と勤務時間の行を確認してください。そこに何人と書いてあるか、何時から何時までと書いてあるか。この2つが分かれば、面接で聞くべきことが自然に決まります。法律はあなたの味方です。条件を知ることから始めてください。

よくある質問

Q. 小規模多機能型居宅介護の夜勤は本当に一人体制ですか?

宿泊されている方のケアは夜勤職員1名が担当しますが、事業所に一人きりではありません。人員基準では夜勤職員1名に加えて宿直職員1名を配置することになっており、宿直職員は主に夜間の随時訪問に備えます。ただし宿泊者がいない日は、訪問対応の体制を確保していれば両方を置かないことが認められています。

Q. 16時間勤務は労働基準法に違反しないのですか?

それだけでは違反になりません。1か月単位の変形労働時間制を採用し、1か月を平均して週40時間に収まっていれば適法です。ただし8時間を超える勤務には1時間以上の休憩が必要で、休憩は労働から完全に解放されている必要があります。仮眠中もコール対応を求められる場合は手待ち時間にあたる可能性があります。

Q. 夜勤手当はいくらくらいが相場ですか?

2交代制の16時間夜勤で6,000円前後が中心帯です。ただし手当に深夜割増が含まれているかどうかで手取りが変わります。午後10時から翌午前5時の労働には25パーセント以上の割増賃金が必要で、これは夜勤手当とは別の扱いです。求人票に「込み」「みなし」とある場合は、何が含まれるかを面接で確認してください。

Q. 未経験でも小規模多機能の夜勤に入れますか?

入れますが、いきなり単独で入る職場は避けたほうが安全です。標準的な流れは、日勤で1か月から2か月かけて登録者を覚え、その後に先輩と2人での夜勤を3回から5回経験してから独り立ちします。小規模多機能の夜勤は宿泊者が全員すでに知っている方であることを前提に回るため、日勤での顔合わせが先に必要です。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年7月16日最終更新:2026年9月18日
長谷川 奈津

この記事を書いた人

長谷川 奈津@SOHO編集部

行政書士・元企業法務

企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。

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