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成長投資枠とつみたて投資枠で同じ銘柄を買うとどうなるか|合算の扱いと注意点 2026

@SOHO編集部
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成長投資枠とつみたて投資枠で同じ銘柄を買うとどうなるか|合算の扱いと注意点 2026

この記事のポイント

  • ✓成長投資枠と積立投資枠(つみたて投資枠)で同じ銘柄を買うと
  • ✓売却後の枠の復活はどう扱われるのか
  • ✓金融庁と日本証券業協会の公式の説明をもとに

成長投資枠とつみたて投資枠(「積立投資枠」と呼ばれることもあります)で同じ銘柄を買うことは、制度上できます。ただし、両方の枠の対象になっている投資信託に限られ、買った金額は枠ごとに別々に記録されて、年間の投資枠と生涯の非課税保有限度額を消費していきます。この記事では、金融庁のNISA特設サイトと日本証券業協会のQ&Aに書かれている内容をもとに、2026年11月時点の数字で「同じ銘柄を両方の枠で持つと何が起きるか」を順に整理します。

結論:同じ銘柄は両方の枠で買えるが、両方の対象になっている商品に限られる

NISAには2つの枠があります。つみたて投資枠は、金融庁が定めた条件を満たす投資信託とETF(上場投資信託)を、積立の方法でだけ買える枠です。成長投資枠は、上場株式、ETF、REIT(不動産投資信託)、公募の株式投資信託などを、積立でも一括でも買える枠です。2つの枠は同じNISA口座の中で同時に使えます。

金融庁は、2024年から始まったNISAの特徴として、つみたて投資枠と成長投資枠を併用できることを挙げています。

2024年からのNISAでは、つみたてNISAがつみたて投資枠に、一般NISAが成長投資枠に引き継がれ、併用が可能になりました。 例えば、つみたて投資枠で積立投資を継続しながら、成長投資枠で個別銘柄に一括投資することも可能になりました。 出典: 金融庁 NISA特設ウェブサイト「NISAを知る」

同じ投資信託を両方の枠で買うときに最初に確かめるのは、その投資信託が「つみたて投資枠の対象」と「成長投資枠の対象」の両方に入っているかです。つみたて投資枠の対象は、金融庁が公表している届出一覧で確かめられます。2026年10月23日時点の一覧では、つみたて投資枠の対象は377本でした(金融庁「つみたて投資枠対象商品」)。成長投資枠の対象の投資信託は、資産運用業協会(2026年4月に投資信託協会と日本投資顧問業協会が統合した団体)が公表しているリストで確かめられます(資産運用業協会「NISA成長投資枠の対象商品」)。

つみたて投資枠の対象になっている指数連動型の投資信託の多くは、成長投資枠の対象にも入っています。一方で、成長投資枠だけの対象になっている投資信託もあります。たとえば販売会社のランキング画面では、銘柄ごとに「NISA成長枠」「NISAつみたて枠」の表示が付いており、どちらの枠で買えるかが分かります。次の表は、マネックス証券と松井証券が2026年10月に公式サイトで公表していたランキングの表示から、主な投資信託の対象枠を書き出したものです。

ファンド名(正式名称) 運用会社 つみたて投資枠 成長投資枠
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) 三菱UFJアセットマネジメント 対象 対象
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) 三菱UFJアセットマネジメント 対象 対象
eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX) 三菱UFJアセットマネジメント 対象 対象
eMAXIS Slim 国内株式(日経平均) 三菱UFJアセットマネジメント 対象 対象
iFreeNEXT FANG+インデックス 大和アセットマネジメント 対象 対象
ニッセイNASDAQ100インデックスファンド<購入・換金手数料なし> ニッセイアセットマネジメント 対象外 対象
日経225ノーロードオープン アセットマネジメントOne 対象外 対象
eMAXIS Slim 先進国債券インデックス(除く日本) 三菱UFJアセットマネジメント 対象外 対象

※2026年11月時点。マネックス証券のランキング(2026年10月19日〜23日の週間売れ筋ほか)と、松井証券のNISAランキング(2026年10月26日更新分)の対象枠の表示による。

表の下の3本のように、成長投資枠でしか買えない投資信託は、つみたて投資枠では同じ銘柄を持てません。

なぜ成長投資枠だけの対象になる投資信託があるのかは、つみたて投資枠の条件を見ると分かります。日本証券業協会のQ&Aでは、つみたて投資枠の対象は「長期の積立・分散投資に適した一定の商品性を有するもの」に限られ、信託期間が無期限か20年以上であること、ヘッジなどを除いてデリバティブ取引で運用しないこと、毎月分配型でないことなどが約款で定められ、さらに連動する指数や手数料の水準が内閣府の告示の要件に合うものに限るとしています。指数連動型でも、告示で定める指数に入っていない指数に連動するものや、手数料の水準が要件を超えるものは、つみたて投資枠の対象になりません。金融庁が公表している2026年10月23日時点の分類では、つみたて投資枠の対象377本のうち、ETFは国内5本、海外6本で、残りは公募投資信託でした。「同じ銘柄を両方の枠で」と考えるときは、まず両方の列が「対象」になっている投資信託かどうかを確かめることになります。

2026年11月時点の制度の数字

同じ銘柄を両方の枠で買うと、どれだけの金額まで非課税で持てるかは、制度の上限で決まります。金融庁と日本証券業協会の公式の説明にある数字を表にします。

項目 つみたて投資枠 成長投資枠
年間投資枠 120万円 240万円
2つの枠の合計の年間投資枠 360万円 360万円
非課税保有限度額(生涯の上限) 2つの枠の合計で1,800万円 1,800万円のうち1,200万円まで
買い方 積立(累積投資契約による定期的な買付け)だけ 積立と一括の両方
対象の投資信託 金融庁の条件を満たし届け出られたもの 信託期間20年未満、毎月分配型、一定のデリバティブ取引を使うものなどを除く
非課税で持てる期間 無期限 無期限

※2026年11月時点。金融庁 NISA特設ウェブサイトと日本証券業協会「2024年以降のNISAに関するQ&A」(2026年9月30日改定)による。

非課税保有限度額とは、NISA口座で持てる商品の買付金額の合計の上限のことです。年間投資枠は1年の間に新しく買える金額の上限で、2つは別の数字です。たとえば、同じ投資信託をつみたて投資枠で毎月10万円(年120万円)、成長投資枠で年240万円買い続けると、年360万円ずつ枠を使い、5年で合計1,800万円に達します。成長投資枠は1,200万円が上限なので、成長投資枠だけを使う場合は1,200万円で止まり、残りの600万円はつみたて投資枠でしか使えません。

2027年1月からは、つみたて投資枠の年齢の条件がなくなり、0歳から17歳の未成年者もNISA口座を開けるようになります。金融庁の説明では、未成年者が使えるのはつみたて投資枠だけで、年間投資枠は60万円、非課税保有限度額は600万円です。18歳未満の口座では成長投資枠を使えないため、「同じ銘柄を両方の枠で」という使い方は18歳以上の口座の話になります。

NISA口座は1人1口座で、つみたて投資枠と成長投資枠を別々の金融機関で使うことはできません。金融庁のよくある質問にも、2つの枠は一つの金融機関で使うと書かれています。同じ銘柄を両方の枠で買う場合も、同じ証券会社のNISA口座の中で、枠を分けて買うことになります。

同じ銘柄を両方の枠で持つと、口座の中でどう扱われるか

同じ投資信託をつみたて投資枠と成長投資枠の両方で買った場合、その投資信託は一つの銘柄ですが、枠ごとに別の買付けとして記録されます。ここで大事になるのが「簿価」という考え方です。簿価とは、買ったときの金額(取得価額)のことで、値上がりや値下がりをした後の評価額とは違います。

日本証券業協会のQ&Aでは、非課税保有額は簿価で計算し、購入時手数料などは含めないとされています。購入時手数料とは、投資信託を買うときに販売会社に払う手数料のことです。マネックス証券と松井証券は、取り扱うすべての投資信託の購入時手数料を0円としています(各社の公式サイトの表示)。購入時手数料がかかる販売会社で買う場合も、枠を消費するのは買付代金の部分だけです。

非課税保有額の計算は簿価(取得価額)ベースで行いますが、購入手数料等は含みません。 出典: 日本証券業協会「2024年以降のNISAに関するQ&A」

具体的な数字で見てみます。ある年に、全世界株式に連動する投資信託をつみたて投資枠で毎月5万円(年60万円)、成長投資枠で6月に100万円買ったとします。この年に消費する年間投資枠は、つみたて投資枠60万円、成長投資枠100万円で、合計160万円です。非課税保有額(買付金額の合計)も160万円増え、そのうち成長投資枠の分は100万円として数えられます。同じ銘柄であっても、どちらの枠で買ったかによって、どちらの上限にカウントされるかが分かれます。

翌年の年間投資枠は、前年に使い残した分を繰り越せません。日本証券業協会のQ&Aでは、つみたて投資枠を60万円しか使わなかった年に、残りの60万円を翌年に加えて180万円買うことはできないとしています。成長投資枠も同じ扱いです。同じ銘柄を両方の枠で買う人の多くは「年360万円をどう埋めるか」を考えますが、その年に使わなかった枠は、その年で終わります。

保有残高の画面で、同じ銘柄が枠ごとに分かれて表示されるか、まとめて表示されるかは、証券会社の画面の作りで変わります。税金の扱いは枠ごとの記録で決まるため、画面の表示方法にかかわらず、どちらの枠でいくら買ったかは、各社の取引履歴や、年間投資枠の残りを示す買付可能枠の画面で確かめられます。

具体例:同じ銘柄を両方の枠で買い続けたときの枠の動き

制度の数字を、同じ投資信託を両方の枠で買い続けた場合の表にしてみます。前提は、18歳以上の人が、同じ投資信託をつみたて投資枠で毎月10万円、成長投資枠で毎年1月に120万円買い、途中で売らない場合です。値上がりや値下がりは枠の計算に関係しないため、表には買付金額だけを書きます。

年 つみたて投資枠の買付 成長投資枠の買付 その年の合計 非課税保有額の累計(うち成長投資枠)
1年目 120万円 120万円 240万円 240万円(120万円)
2年目 120万円 120万円 240万円 480万円(240万円)
3年目 120万円 120万円 240万円 720万円(360万円)
5年目 120万円 120万円 240万円 1,200万円(600万円)
7年目 120万円 120万円 240万円 1,680万円(840万円)
8年目 120万円 0円 120万円 1,800万円(840万円)

※4年目と6年目は前後の年と同じ買い方のため省略。

この前提では、8年目に成長投資枠で買おうとすると、非課税保有限度額の1,800万円を超えてしまうため、8年目の途中で新しく買える金額がなくなります。日本証券業協会のQ&Aにも、年間投資枠の範囲内であっても非課税保有限度額を超えて投資することはできないと書かれています。同じ銘柄を両方の枠で買い続ける場合は、年間投資枠だけでなく、累計が1,800万円に近づいたときの扱いも見ておく必要があります。

もう一つ知っておきたいのが、同じ銘柄でも買った日ごとに簿価が違うことです。投資信託の値段は基準価額で表されます。基準価額とは、投資信託の1万口あたりの値段のことで、毎営業日に1回計算されます。たとえばeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の基準価額は、2026年10月30日に37,716円でした(三菱UFJアセットマネジメントの公式サイトの表示)。つみたて投資枠で毎月買う分と、成長投資枠でまとめて買う分は、それぞれ買った日の基準価額で口数が決まります。

同じ投資信託の同じ口数を持っていても、どちらの枠の分を売るかで簿価が違い、翌年に空く枠の金額も変わります。たとえば基準価額が低い時期にまとめて買った成長投資枠の分は、同じ口数でも簿価が小さく、売ったときに空く枠も小さくなります。売る前に、枠ごとの簿価(取得価額)を口座の画面で確かめておくと、翌年に使える枠の見込みを立てやすくなります。

売却すると枠はどう戻るか

NISAで持っている商品を売ると、売った商品の簿価の分だけ、翌年以降に非課税保有限度額が空きます。金融庁は次のように説明しています。

2024年からのNISAでは、商品を売却した場合、翌年以降売却した商品の簿価(取得金額)の分だけ非課税投資枠が復活し、再利用が可能になります。 出典: 金融庁 NISA特設ウェブサイト「NISAを知る」

ここで2つの点を区別しておきます。1つ目は、戻るのは「簿価」であって、売ったときの値段ではないことです。成長投資枠で100万円で買った投資信託が150万円に値上がりしてから売っても、翌年に空くのは100万円です。逆に70万円に値下がりしてから売っても、空くのは100万円です。

2つ目は、空いた枠を使うときも、年間投資枠の上限は変わらないことです。売った年の中では、一度使った年間投資枠は戻りません。日本証券業協会のQ&Aでも、ある年につみたて投資枠で60万円買って同じ年に売っても、その年の60万円分を再び使うことはできず、減った非課税保有額は翌年以降に年間投資枠の範囲内で使えるとされています。

同じ銘柄を両方の枠で持っている場合、どちらの枠から売ったかで、空く枠の種類が変わります。日本証券業協会のQ&Aには、非課税保有額が1,800万円(うち成長投資枠1,200万円)の人が、つみたて投資枠の商品を600万円分すべて売った例が載っています。この場合、翌年はつみたて投資枠に600万円の空きができ、年間120万円の範囲で買い直していくことになります。成長投資枠で持っている分を売った場合は、成長投資枠の1,200万円の上限の中に空きができます。同じQ&Aには、非課税保有額が1,200万円(すべて成長投資枠)の人が成長投資枠の商品をすべて売った例もあり、売った年は成長投資枠で新しく買えないものの、つみたて投資枠では買えること、翌年には合計1,800万円(うち成長投資枠1,200万円)の空きができ、年間投資枠の範囲で新しく買えることが示されています。同じ銘柄を両方の枠で持っている人が一部を売るときは、どちらの枠の分を売ったかで、翌年に空く枠の種類が変わることになります。

つみたて投資枠は積立でしか買えないため、空いた枠を埋めるのに年単位の時間がかかります。成長投資枠は一括でも買えるため、年間240万円の範囲であれば一度に買い直せます。これは商品の良し悪しではなく、2つの枠の買い方の違いから来る仕組みです。

売却の順番については、証券会社の取引ルールに書かれています。たとえばマネックス証券の公式サイトのNISA取引ルールでは、同じ銘柄を複数の年(勘定年)に分けて持っている場合、NISA口座での売却は古い年のものから順に行われると説明されています。売るときに枠や年を選べるか、どの順で売られるかは証券会社ごとに違うため、売る前に自分の証券会社の取引ルールを読んでおく必要があります。

分配金の再投資で起きやすいこと

分配金とは、投資信託が決算のときに受益者(持っている人)に払うお金のことです。分配金を受け取らずに同じ投資信託を買い増す設定を「再投資」と呼びます。同じ銘柄を両方の枠で持っていて、分配金の再投資を選んでいる場合、再投資の買付けも年間投資枠を消費します。

マネックス証券の公式サイトのNISA取引ルールでは、つみたて投資枠で持っている投資信託の分配金の再投資は、つみたて投資枠、成長投資枠、特定口座(特定口座がない場合は一般口座)の順に行われると説明されています。つみたて投資枠の当年の枠が足りないときは成長投資枠で、成長投資枠も足りないときは課税される口座で再投資されます。また、成長投資枠で持っている投資信託の再投資は、つみたて投資枠では行われず、成長投資枠が足りないときは特定口座で行われるとしています。

この扱いは、年の途中で枠をほぼ使い切る買い方をしたときに影響します。たとえば12月に分配金が出る投資信託を、つみたて投資枠と成長投資枠の両方で上限まで買っていた場合、その分配金の再投資は課税される口座で行われることになります。指数連動型の投資信託には、分配金を出さない方針で運用されているものもあります。eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の交付運用報告書(2025年4月26日〜2026年4月27日)では、この期間の分配金は0円でした。分配金の方針は、運用会社の交付目論見書の「収益分配方針」で確かめられます。

ここで、税金の扱いを確認しておきます。金融庁の説明では、株式や投資信託の売却益や分配金には通常約20%の税金がかかり、NISA口座で買った商品から得た利益は非課税になります。課税される口座で再投資された分は、NISAの非課税の対象にはなりません。

同じ銘柄にそろえる場合と分ける場合の違い

同じ銘柄を両方の枠で買うかどうかは、制度の問題ではなく、資産の配分の考え方の問題です。販売会社のSBI証券は、公式サイトの解説で次のように書いています。

NISA制度では、つみたて投資枠と成長投資枠で同じ銘柄を選ぶこと自体は制度上問題ありません。 出典: SBI証券「成長投資枠とつみたて投資枠で同じ銘柄を選んだ方がよい?投資枠の効果的な使い分けについて解説」

そのうえで、同じ銘柄にそろえる場合と、枠ごとに違う商品を買う場合の違いを、商品の性質の面から並べます。

比べる点 同じ銘柄にそろえる 枠ごとに違う商品を買う
値動き 口座全体が一つの投資信託の値動きに連動する 組み合わせた商品の値動きの合計になる
管理の手間 確かめる目論見書や運用報告書が少ない 商品ごとに確かめる書類が増える
費用 信託報酬が一つの料率で決まる 商品ごとの信託報酬の加重平均になる
成長投資枠の使い道 つみたて投資枠と同じ商品の買い増しに使う 個別株、ETF、REIT、債券型の投資信託などにも使える

どちらにするかを決めるときの手がかりは、商品名ではなく、自分が受け入れられる値動きの大きさです。たとえば全世界の株式に連動する投資信託を両方の枠で持てば、口座の中身は株式だけになります。株式の値動きを和らげたい場合は、成長投資枠で債券型の投資信託を組み合わせる方法があり、その場合は「同じ銘柄」にはなりません。値動きをどこまで受け入れるかは人によって違うため、一つの答えはありません。

この記事は特定の商品の購入を勧めるものではありません。購入の前には、各ファンドの目論見書(投資信託説明書)を読んで確かめてください。目論見書は、運用会社の公式サイトのファンドのページで読めます。たとえば三菱UFJアセットマネジメントでは、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)のファンドページに交付目論見書と交付運用報告書が掲載されています。

費用の見方:同じ銘柄なら料率は同じ、違う銘柄なら差を計算する

同じ銘柄を両方の枠で持つ場合、どちらの枠で持っていても、投資信託にかかる費用の料率は同じです。投資信託の費用で最も大きいのは信託報酬です。信託報酬とは、投資信託を持っている間、純資産総額から毎日少しずつ差し引かれる運用の費用のことです。このほかに、株式の売買の手数料や海外での保管費用なども投資信託の財産から払われ、これらを含めた1年間の費用の割合を「実質コスト」と呼びます。実質コストは、運用会社が出している交付運用報告書の「1万口当たりの費用明細」の合計で確かめられます。

純資産総額とは、その投資信託が運用しているお金の総額のことです。設定日は、その投資信託の運用が始まった日です。両方の枠の対象になっている主な指数連動型の投資信託について、運用会社の公式の数字を、信託報酬が低い順に並べました。

ファンド名(正式名称) 運用会社 連動する指数(ベンチマーク) 信託報酬(税込・年率) 実質コスト(1万口当たりの費用明細の合計)と計算期間 純資産総額(2026年10月30日) 設定日
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) 三菱UFJアセットマネジメント MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース) 0.05775%以内 0.085%(2025年4月26日〜2026年4月27日) 14兆1,277億円 2018年10月31日
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) 三菱UFJアセットマネジメント S&P500指数(配当込み、円換算ベース) 0.0814%以内 0.081%(2025年4月26日〜2026年4月27日) 13兆1,573億円 2018年7月3日
eMAXIS Slim 先進国株式インデックス(除く日本) 三菱UFJアセットマネジメント MSCIコクサイ・インデックス(円換算ベース) 0.09889%以内 0.115%(2025年4月26日〜2026年4月27日) 1兆3,774億円 2017年2月27日
eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX) 三菱UFJアセットマネジメント TOPIX(配当込み) 0.143%以内 0.147%(2025年4月26日〜2026年4月27日) 8,385億円 2017年2月27日
eMAXIS Slim 国内株式(日経平均) 三菱UFJアセットマネジメント 日経平均株価(配当込み) 0.143%以内 0.147%(2025年4月26日〜2026年4月27日) 5,526億円 2018年2月2日

※2026年11月時点。信託報酬は各ファンドの交付目論見書(2026年7月25日)、実質コストは交付運用報告書、純資産総額と設定日は三菱UFJアセットマネジメントの公式サイトのファンドページによる。「以内」は純資産総額に応じて段階的に料率が下がる仕組みの上限の料率。

表の読み方を一つ示します。信託報酬が年0.0814%の投資信託と年0.143%の投資信託を、それぞれ100万円ずつ持ったとします。残高が100万円のまま変わらないと仮定した費用だけの単純な計算では、1年の信託報酬は814円と1,430円で、差は616円です。10年間では差が6,160円になります。実際には残高が値動きで変わるため、費用の額もそれに合わせて変わりますが、料率の差がそのまま費用の差になる点は同じです。同じ銘柄を両方の枠で持つ場合は、この差は生まれず、どちらの枠でも同じ料率がかかります。

信託報酬と実質コストが離れているときは、売買の手数料や保管費用が大きいことを示しています。上の表では、全世界株式(オール・カントリー)は信託報酬0.05775%に対して実質コスト0.085%で、海外の株式の売買にかかる税金や保管費用などが含まれています。S&P500の投資信託の比べ方はS&P500の投資信託の比較にまとめています。

同じ銘柄を両方の枠で買う前に確かめる手順

同じ銘柄を両方の枠で買う前に確かめることを、手順として並べます。どれも公式の資料や自分の口座の画面で確かめられるものです。

  1. その投資信託がつみたて投資枠の対象かを、金融庁の「つみたて投資枠対象商品届出一覧」で確かめる
  2. 成長投資枠の対象かを、資産運用業協会の「NISA成長投資枠の対象商品」で確かめる
  3. 運用会社の交付目論見書で、信託報酬、信託財産留保額、収益分配方針を読む
  4. 自分のNISA口座の画面で、その年のつみたて投資枠と成長投資枠の残りの金額を確かめる
  5. 積立の設定で、どちらの枠で買う設定になっているか、枠が足りなくなったときの扱いを確かめる

信託財産留保額とは、投資信託を売るときに差し引かれ、投資信託の財産に残される費用のことです。この記事の表に挙げた投資信託は、マネックス証券のファンド詳細の表示ではいずれも信託財産留保額が「なし」でしたが、最終的には目論見書で確かめます。

5番目の積立の設定は、証券会社によって画面が違います。マネックス証券の公式サイトでは、NISAでの投信つみたての申し込みを「NISAまとめて積立」という画面で行うと案内しています。どの証券会社でも、同じ銘柄に2つの積立を設定する場合は、それぞれがどちらの枠で買われるかを設定の確認画面で確かめておくと、思わぬ枠で買付けが行われることを防げます。

2027年1月からの未成年者のNISAについては、親権者が子どもの口座を管理する形になり、成長投資枠は使えません。家族の分も含めて計画を立てる場合は、18歳以上の口座と18歳未満の口座で、使える枠が違う点を確かめておく必要があります。

収入に波がある働き方と、2つの枠の使い方

会社員の給与と違い、フリーランスや在宅で業務を受ける人の収入は、月によって大きく変わることがあります。職種ごとの単価の幅はデザイナーの年収・単価相場のような職種別のデータを見ると分かりやすく、案件の数や単価で手取りが上下します。こうした働き方では、毎月決まった金額を積み立てるつみたて投資枠と、余裕がある月にまとめて買える成長投資枠の違いが、そのまま使い方の違いになります。

収入が多い月に成長投資枠で同じ銘柄を買い増し、少ない月はつみたて投資枠の積立だけにする方法は、制度の仕組みの範囲で選べる方法の一つです。反対に、収入が減ったときに積立を止めることも、つみたて投資枠ではいつでもできます。止めた月の分の枠は繰り越せないため、年の後半に成長投資枠で埋めるかどうかは、生活のための資金をどれだけ手元に残したいかで決まります。

個人事業主がNISAの枠と事業の資金をどう分けるかは個人事業主のNISA戦略で、フリーランスのNISAの活用の考え方はNISA積立投資の比較で取り上げています。NISAの非課税の枠は、使っても使わなくても毎年120万円と240万円が用意されます。同じ銘柄で埋めるか、違う商品を組み合わせるかは、収入の波と手元の資金の量を見ながら、年ごとに決め直すことができます。

よくある質問

Q. つみたて投資枠と成長投資枠で同じ投資信託を買うと、合算して管理されますか?

銘柄としては同じでも、どちらの枠で買ったかは別々に記録されます。年間投資枠はつみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円がそれぞれ消費され、非課税保有限度額は2つの枠の合計1,800万円(うち成長投資枠1,200万円)の中で簿価(買付金額)で数えられます。画面での表示方法は証券会社によって違います。

Q. どの投資信託でも両方の枠で買えますか?

両方の枠の対象になっている投資信託だけです。つみたて投資枠の対象は金融庁の届出一覧(2026年10月23日時点で377本)、成長投資枠の対象は資産運用業協会のリストで確かめられます。成長投資枠だけの対象になっている投資信託もあるため、買う前に両方の一覧を見ておく必要があります。

Q. 値上がりした投資信託を売ると、枠は値上がり後の金額で戻りますか?

戻るのは売った商品の簿価(買ったときの金額)です。100万円で買って150万円で売っても、翌年以降に空くのは100万円です。また、売った年の中では一度使った年間投資枠は戻らず、空いた枠は翌年以降に年間投資枠の範囲内で使えます。

Q. 分配金の再投資は、どちらの枠で行われますか?

証券会社の取引ルールで決まります。マネックス証券の公式の説明では、つみたて投資枠で持つ投資信託の再投資は、つみたて投資枠、成長投資枠、特定口座の順に行われます。年の途中で枠を使い切ると、再投資が課税される口座で行われることがあるため、自分の証券会社のルールを確かめておくと安心です。

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年8月21日最終更新:2026年11月2日
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